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みんなの日本語 初級Ⅰ 第13課「別々にお願いします」の教案

『みんなの日本語 初級Ⅰ 第2版 本冊』 ・ 会話「別々にお願いします」

欲しい物と、したいことを言えるようになる課です。「Nが欲しいです」は第9課の「Nが好きです」と同じ「が」の形で入り、「〜たいです」は動詞に付けてい形容詞のように活用させる最初の文型になります。文型3「〜へ〜に行きます」は第5課の「〜へ行きます」に目的を足す形で、どこへ何をしに行くかが言えるようになります。会話は食堂で注文して会計を別々に頼む場面なので、「おなかがすきました」→「何か食べたいです」→「食堂へ食べに行きましょう」と、3つの文型が一つの流れになるように組むと教えやすくなります。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。文型の表記は出版社のシラバス一覧に合わせています。
学習項目4時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 「Nが欲しいです」で、欲しい物とその理由(〜から)を言える。否定と過去も言える
  • 「〜たいです」で、したいこと・したくないことを言える。相手に「何をしたいですか」と聞ける
  • 「〜へ〜に行きます」で、どこへ何をしに行くかを言える・聞ける
  • 食堂で注文し、会計のときに「別々にお願いします」と頼める

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(復習)10分第9課「Nが好きです」「Nがあります」の「が」と、第12課のい形容詞の活用(〜くないです/〜かったです)を口頭で復習しておく。この2つが文型1・2の土台になる
ます形の確認15分既習の動詞を板書して「ます」を消し、残った部分を「ます形」と呼ぶことを確かめる。新出の動詞(遊びます・泳ぎます・迎えます)も同じようにする
文型1 Nが欲しいです30分絵カード(物)で導入 → 理由の「から」を足す → 否定・過去 → ペアで「何が欲しいですか」
文型2 〈Vます形〉たいです35分「ビールが欲しいです」から「ビールを飲みたいです」へつなぐ → 動詞カードで代入 → 否定・過去 → 「何か」「どこか」を足して週末の予定を聞き合う
文型3 〜へ〜に行きます40分場所カードと目的カードの2枚で導入 → 動作の名詞(買い物・食事・散歩)と動詞のます形の両方を回す → 「いつ・だれと」(第5課)を足して質問する
会話25分「おなかがすきました」から始めて、食堂で注文 → 食べる → 会計で「別々にお願いします」までを場面で聞かせ、ロールプレイへ
練習C・問題25分練習Cの型で3つの場面(誕生日の希望・週末の予定・行き先を聞く)をペアで作らせ、問題の聞き取りで締める。次の第14課(て形)に向けて、ます形が言えるかを最後にもう一度確かめる

学習項目 1 ます形の作り方

意味・はたらき活用

「行きます」から「ます」を取った「行き」の部分を「ます形」と呼びます。この課の文型2・3で初めて、ます形に別のものを付けて使います(〜たいです/〜に行きます)。動詞のグループ分けはまだ扱わず(第14課のて形で初めて要る)、ここでは「ます を取ると ます形」とだけ押さえます。

接続

Vます → Vます形(「ます」を取る。活用の種類によらず同じ)

形
行きます → 行き食べます → 食べします → し/勉強します → 勉強し来(き)ます → 来(き)

導入

  • 板書で「ます」を消す既習の動詞を縦に5つ書き(行きます・飲みます・食べます・見ます・します)、「ます」を赤で囲んでから消す。残った部分を指して「ます形」と名前を言う。次に動詞カードを見せて、学生に「ます」なしの形だけを言わせる。
  • 新出の動詞でも同じこの課の新出動詞(遊びます・泳ぎます・迎えます・疲れます)の意味を絵で確かめたあと、同じようにます形を言わせる。「来ます→来(き)」はひらがなを添えて読みを固定しておく。

板書案

Vます - ます = ます形
行き〔ます〕 食べ〔ます〕 し〔ます〕 き(来)〔ます〕
〔赤〕「ます」を四角で囲んで消す 〔青〕残った部分に下線
ます形 + たいです/ます形 + に 行きます(この課で使う2つ)

場面と発話(自作)

  • 教師が「買います」の動詞カードを見せ、「ます形は?」と聞く。買い。
  • 教師が「勉強します」のカードを見せる。勉強し。
  • 教師が「来ます」のカードを見せる。学生が「く」と言いかけた。き。来(き)ます の き です。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

動詞カードをテンポよく見せて「ます形」だけを言わせるフラッシュカード練習を2分。文型2に入る前と、授業の最後にもう一度やる。

  1. 口頭動詞カード(飲みます・書きます・起きます・寝ます・勉強します・来ます)をテンポよく見せ、教師が「ます形は?」と言ったら全体で「飲み」「書き」と答える。次にカードを絵の面にして、学生が「飲みます、飲み」と2つ続けて言う。最後は教師の動作(飲む・書く・寝る)だけをキューにして個人を指名する。文字→絵→動作とキューを替えて3周する。
  2. ペアます形キャッチボール: Aが動詞カードを1枚引いて「ます」の形で読み、Bがます形で返す。5枚で役を交替する。Bが「します」を「しま」で切ったら、Aはカードの「ます」の2字を指で隠して見せる。慣れたら、Bは返したあとに「たいです」を付けて言い、文型2の予告にする。
  3. 産出わたしの動詞カード: 学生が、今日したことと週末にすることを動詞で3つ選び、カードの表に「〜ます」、裏に「ます形」を書いてクラスで出し合う。教師が見るのは、どこで切っているか(し/しま)と「来(き)」の読み。作ったカードは、そのまま文型2・3の代入練習のキューに使う。

つまずきと手当て

  • 「します」を「しま」で切る(どこまでが「ます」か分からない)。「ます」は最後の2拍だと指で示す
  • 「来ます」のます形を「く」と読む。漢字では見えないので、板書は「き(来)」のようにひらがなを先に
  • ます形だけで文を終える(「明日、行き。」)。ます形は何かを付けるための形で、単独では使わないと言っておく

既習の文型との違い

  • Vます/Vません/Vました/Vませんでした(第4課)第4課では「ます」の部分を「ません・ました・ませんでした」に替えて、否定と過去を作りました。この課では反対に「ます」を取り、残った部分に別のもの(たい・に行きます)を付けます。学習者は「*行きますたいです」「*行きましたに行きます」のように、活用した形のまま付けることがあるので、「ます」を囲んで消してから付ける手順を板書で毎回見せます。
関連する文型

学習項目 2 Nが欲しいです

意味・はたらき文型 1

話し手が、その物を手に入れたいと思っていることを言う文型です。「欲しい」はい形容詞で、欲しい物は「が」で示します(「Nが好きです」と同じ形)。活用もい形容詞と同じで、「欲しくないです」「欲しかったです」「欲しくなかったです」になります。質問の「何が欲しいですか」は友達や家族など近い相手に使う形で、目上の人に物を勧めるときは第7課の「〜はいかがですか」を使います。また、ほかの人の気持ちを言い切る形(「田中さんは車が欲しいです」)には使いません。

接続

N+が+欲しいです(「欲しい」はい形容詞。否定は「欲しくないです」)

形
Nが欲しいですNは欲しくないです(否定では「は」になりやすい)Nが欲しかったです/欲しくなかったです何が欲しいですか

導入

  • 絵カードの「物」と教師の本当の希望から車・カメラ・パソコン・時計の絵カードを黒板に貼り、教師が自分のことを「わたしは新しいパソコンが欲しいです。今のパソコンは古いですから」と言う。「古いですから」の理由で気持ちが伝わる。板書は「[N]が 欲しいです」の枠にして、「が」を赤で囲む。第9課の「[N]が 好きです」の枠を隣に書いて、同じ「が」だと見せる。
  • 活用はい形容詞と同じ第12課で使った「大きい・大きくないです・大きかったです・大きくなかったです」の表を出し、「欲しい」を同じ表に入れさせる。質問は「〜さんは何が欲しいですか」を学生にふり、答えに「どうしてですか」と理由を聞いて「〜から」を付けさせる。

板書案

[N]が 欲しいです
わたしは 新しい 自転車が 欲しいです。
今の 自転車は 古いですから。
〔赤〕「が」を丸で囲む (隣に)[N]が 好きです(第9課)
〔青〕欲しい → 欲しくないです → 欲しかったです → 欲しくなかったです(い形容詞の表)

場面と発話(自作)

  • 誕生日が近い。友達に、何が欲しいか聞かれた。新しい時計が欲しいです。今の時計は古いですから。
  • 友達と買い物に来た。友達が「かばん、買いますか」と聞く。先週買ったばかりだ。いいえ、かばんは欲しくないです。先週買いましたから。
  • 友達と去年の話をしている。去年、車が欲しかったです。高かったですから、買いませんでした。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 物の絵カードを見せて「〜が欲しいです」と言わせ、次に理由のカード(古い・ない・高い)を足して「〜が欲しいです。〜から」まで言わせる。否定は「〜は欲しくないです」で回す。練習Cの型: ペアで「誕生日に何が欲しいですか」「〜が欲しいです」「どうしてですか」「〜から」のやり取りを、相手を替えて3回。

  1. 口頭物の絵カード(車・時計・カメラ・パソコン・自転車)を見せて、全体で「〜が欲しいです」。次に理由のカード(古い・高い・ない)を足して「〜が欲しいです。今の〜は古いですから」まで言わせる。「×」の印を付けたカードで「〜は欲しくないです」、「去年」のカードで「〜が欲しかったです」に替える。最後に個人を指名して、物と理由を自由に組ませる。
  2. ペアプレゼント相談: Aは誕生日が近い人、Bは友達。Bが「誕生日に何が欲しいですか」「どうしてですか」と聞き、Aは手元の物カード3枚から1枚を選んで理由を付けて答える。Bが別の物を指して「〜は?」とすすめ、Aは「〜は欲しくないです。〜から」と断る。3往復したら役を交替する。
  3. 産出欲しい物スピーチ: 学生が自分の本当に欲しい物を1つ、30秒で話す(何が欲しいか・理由・いつごろ欲しいか)。聞く人は1つ質問する。教師が見るのは「が」になっているか、「欲しくないです/欲しかったです」の活用、理由の「から」が文の後ろに付いているか。

つまずきと手当て

  • 「〜を欲しいです」と言う(動詞の目的語と混同)。「〜が好きです」と並べて「が」に直す
  • 「欲しいじゃありません」「欲しいでした」(な形容詞の活用で言う)。い形容詞だと分かるように、第12課の表に戻す
  • 先生や目上の人に「先生はお茶が欲しいですか」と聞く。相手に勧めるときは「お茶はいかがですか」(第7課)だと言い添える
  • 動詞を入れて「食べますが欲しいです」と言う。これは文型2「〜たいです」で言える、と先に言っておくと混乱が減る

既習の文型との違い

  • Nが好きです/嫌いです(第9課)どちらも気持ちの向かう物を「が」で示す点は同じですが、「好き」はな形容詞、「欲しい」はい形容詞です。そのため否定と過去の形が違い、学習者は「*欲しいじゃありません」「*欲しいでした」と「好き」の活用につられます。2つの枠を並べて「が」の共通点を見せたあと、活用は第12課のい形容詞の表に戻して確かめます。
  • 〈Vます形〉たいです(この課の文型2)「欲しい」の前は物の名詞、「〜たい」の前は動作の動詞です。学習者は「*食べますが欲しいです」のように動詞を「欲しい」の前に置くことがあります。同じ物の絵で「すしが欲しいです」と「すしを食べたいです」を並べ、名詞なら「欲しい」、動詞なら「たい」と板書で分けます。
関連する文型

学習項目 3 〈Vます形〉たいです

意味・はたらき文型 2

話し手がしたいことを言う文型です。動詞のます形に「たい」を付けます。「〜たい」が付いた形はい形容詞と同じ活用で、「〜たくないです」「〜たかったです」「〜たくなかったです」になります。目的語は「を」のままでも、「が」に替えてもかまいません(「ビールを飲みたいです」「ビールが飲みたいです」)。「Nが欲しいです」と同じく、質問の「〜たいですか」は近い相手に使い、目上の人には使いません(上司に「コーヒーを飲みたいですか」は失礼で、「コーヒーはいかがですか」「〜ませんか」で代える)。ほかの人のことを言い切る形にも使いません。この課で出る「何か」「どこか」と組み合わせると、「何か食べたいです」「どこか(へ)行きたいです」のように言えます。

接続

Vます形+たいです(たくないです/たかったです/たくなかったです)

形
Vます形たいですVます形たくないですVます形たかったです/たくなかったですNを(が)Vます形たいです

導入

  • 「欲しいです」から「たいです」へつなぐ文型1の最後に「ビール」の絵カードで「ビールが欲しいです」と言わせたあと、教師が「飲みます」のカードを足して「ビールを飲みたいです」と言う。板書は「Vます形 + たいです」の枠に「飲み+たいです」を入れ、ます形の部分を囲む。そのまま動詞カード(休みます・帰ります・会います・泳ぎます)で代入。
  • 週末の予定で状況を作るカレンダーで週末を指し、教師が「土曜日はうちで休みたいです。疲れましたから」「日曜日は海へ行きたいです」と自分の予定を言う。そのあと「〜さんは週末、何をしたいですか」と学生にふり、「何か食べたいです」「どこか行きたいです」の答え方もここで見せる。活用は「欲しい」の表の下に「飲みたい」を足して、同じ形だと確かめる。

板書案

Vます形 + たいです
飲みます → 飲み → 飲みたいです
わたしは 海で 泳ぎたいです。
〔赤〕たいです/たくないです/たかったです/たくなかったです(「欲しい」の表の下に)
〔青〕Nを Vたいです →(点線の矢印)→ Nが Vたいです も言える

場面と発話(自作)

  • 昼休み、友達と食堂へ行く。何を食べるか聞かれた。今日は牛どんが食べたいです。おなかがすきましたから。
  • 夏休みの計画を友達と話している。夏休みは沖縄へ行きたいです。海で泳ぎたいです。
  • 日曜日の朝、友達から「買い物に行きませんか」と電話があった。とても疲れている。すみません。今日はどこへも行きたくないです。うちで休みたいです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 動詞カードだけで「〜たいです」を言わせ、次に目的語のカード(映画・すし・友達)を足して「〜を〜たいです」に。否定は「疲れました」の絵を見せて「〜たくないです」、過去は「子どものとき」の絵で「〜たかったです」を回す。練習Cの型: 「今度の週末、何をしたいですか」「〜たいです」「いいですね。いっしょに〜ませんか」(第6課)まで続ける。

  1. 口頭動詞カード(休みます・帰ります・会います・泳ぎます・遊びます)で全体に「〜たいです」。次に状況の絵(疲れた人・おなかがすいた人・のどがかわいた人)を見せて、学生が「休みたいです」「何か食べたいです」「何か飲みたいです」と自分で動詞を選ぶ。「×」の印で「〜たくないです」、「子どものとき」の絵で「〜たかったです」に替え、最後は個人を指名する。
  2. ペア週末プラン会議: 2人に土曜日と日曜日のカレンダーと、したいことのカード(映画・海・買い物・釣り・散歩)を配る。Aが「週末、何をしたいですか」と聞き、Bが「〜たいです」と答える。Aは「いいですね。いっしょに〜ませんか」(第6課)か、「わたしは〜たくないです。〜たいです」で返し、2人で予定を1つ決める。決まったら役を交替する。
  3. 産出夏休みにしたいこと3つ: したいこと2つと、したくないこと1つを、理由を付けて書いて発表する(「〜たいです。〜から」)。教師が見るのは、ます形で切れているか、「たくない・たかった」の活用、ほかの人のことを「〜たいです」で言い切っていないか。

つまずきと手当て

  • 「食べますたいです」「食べるたいです」と言う(ます形で切れていない)。ます形のフラッシュカードに戻す
  • 「たいじゃありません」「たいでした」と活用する。「欲しい」と同じい形容詞の活用だと表で見せる
  • 先生に「先生は何を飲みたいですか」と聞く。意味は通じるが失礼になるので、「何を飲みますか」「コーヒーはいかがですか」に直す
  • 「友達は日本へ来たいです」のように、ほかの人のことを言い切る。この課では「わたし」のことと、相手への質問だけに限る

既習の文型との違い

  • Vませんか(第6課)「〜ませんか」は相手を誘う形で、する人は話し手と相手です。「〜たいです」は話し手一人の気持ちを言うだけで、相手を誘ってはいません。誘いたいなら「映画を見たいです。いっしょに見ませんか」と続けて言う、という順を練習で見せると、2つの役目の違いが分かります。
  • Nが欲しいです(この課の文型1)活用はどちらもい形容詞と同じですが、「欲しい」の前は名詞と「が」、「〜たい」の前は動詞のます形です。目的語の助詞も、「欲しい」は「が」、「〜たい」は「を」でも「が」でもよい、という差があります。「ビールを欲しいです」は話し言葉では聞かれる形ですが、この課では「が」にそろえて練習します。
関連する文型

学習項目 4 〈場所〉へ〈Vます形〉/Nに行きます

意味・はたらき文型 3

どこへ何をしに行くか、移動の目的を言う文型です。「に」の前には動詞のます形(食べに・見に・泳ぎに)か、「します」を付けて動詞になる名詞(買い物に・食事に・散歩に・花見に)を置きます。後ろの動詞は「行きます・来ます・帰ります」の移動の動詞です。語順は「場所へ + 目的に + 行きます」が基本ですが、「目的に + 場所へ」の順でも言えます。ます形の前には「を」で目的語を置けます(「食堂へ昼ご飯を食べに行きます」)。

接続

〈場所〉へ+Vます形/動作のN+に+行きます/来ます/帰ります

形
〈場所〉へ〈Vます形〉に行きます〈場所〉へNに行きます(買い物・食事・散歩など「します」が付く名詞)〈場所〉へNを〈Vます形〉に行きます〈Vます形〉に来ます/帰ります

導入

  • 場所カードと目的カードを合わせる第5課の「デパートへ行きます」を言わせてから、「デパートで何をしますか」と聞いて「買い物します」を引き出す。2枚のカードを並べて教師が「デパートへ買い物に行きます」と言い、板書は「〈場所〉へ [ 〜 ]に 行きます」の枠。「買い物します」の「します」を消して「買い物」だけが残ることを見せる。次に「食堂へ」「昼ご飯を食べます」で、動詞のます形が入る形を同じ枠で見せる。
  • 教師の今日の予定で状況を作る今日の予定のメモを見せながら「午後、郵便局へ手紙を出しに行きます」「夜、駅へ友達を迎えに行きます」と言う(出します・迎えますはこの課の新出)。そのあと学生に「今日、どこへ行きますか」「何をしに行きますか」と聞き、答えに「いつ」「だれと」(第5課)を足させる。

板書案

〈場所〉へ [Vます形/N]に 行きます
図書館へ 本を 借りに 行きます。
デパートへ 買い物に 行きます。(買い物します の「します」を消す)
〔赤〕へ=場所 〔青〕に=目的 後ろは 行きます/来ます/帰ります だけ

場面と発話(自作)

  • 友達に「土曜日、何をしますか」と聞かれた。京都へ桜を見に行きます。
  • 昼休み、会社の人に「どこへ行きますか」と聞かれた。食堂へ食事に行きます。いっしょに行きませんか。
  • 夏休みに国から母が来る。先生にそのことを話す。8月に母が日本へ遊びに来ます。いっしょに東京へ買い物に行きます。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 場所カード(図書館・プール・公園・スーパー)と目的カード(本を読みます・泳ぎます・散歩します・買い物します)を1枚ずつ見せて1文で言わせる。目的カードは、動詞のます形になるものと名詞になるものを交ぜて出す。練習Cの型: ペアで「週末、どこへ行きますか」「〜へ〜に行きます」「いいですね。だれと行きますか」まで続け、最後に文型2の「〜たいです」も使わせる(「〜へ〜に行きたいです」)。

  1. 口頭場所カード(図書館・郵便局・駅・プール・デパート)と目的カードを1枚ずつ見せて1文で言わせる。目的カードは、動詞のもの(本を借ります・手紙を出します・友達を迎えます・泳ぎます)と、名詞のもの(買い物・食事・散歩)を交ぜて出す。慣れたら教師が場所だけ言って「何をしに?」と聞き返し、学生は「〜に行きます」の部分を答える。最後は個人を指名する。
  2. ペア予定表インフォメーション・ギャップ: Aは田中さんの1週間の予定表(行き先だけ)、Bは同じ予定表(目的だけ)を持つ。Aは「月曜日、田中さんは何をしに行きますか」、Bは「どこへ行きますか」と聞き合い、2人で表を埋める。埋めたら1日ずつ「田中さんは月曜日、〜へ〜に行きます」と1文で確かめ合う。
  3. 産出わたしの一週間発表: 自分の今週の予定を3つ、「いつ・どこへ・何をしに・だれと」で話す。最後の1つは「〜へ〜に行きたいです」で、まだ決めていない希望を言う。教師が見るのは、場所の「へ」と目的の「に」の取り違え、「に」の前の名詞が「します」の付く名詞か、後ろが移動の動詞になっているか。

つまずきと手当て

  • 「食べますに行きます」「食べるに行きます」(ます形で切れていない)。動詞のます形だけが「に」の前に入ると枠で示す
  • 「ラーメンに行きます」のように、動作でない名詞を「に」の前に置く。「に」の前は「〜します」と言える名詞だけで、物は「ラーメンを食べに」の形にする
  • 「食堂に食事へ行きます」と、場所の「へ」と目的の「に」を取り違える。板書の枠で、場所は「へ」・目的は「に」と色を分ける
  • 「図書館へ本を読みに勉強します」のように、後ろを移動の動詞以外にする。後ろは「行きます・来ます・帰ります」だけと限る

既習の文型との違い

  • 〈場所〉へ行きます/来ます/帰ります(第5課)第5課は行き先だけを言う形で、この課ではそこに「何をしに」を足します。語の数が増えるので、学習者は「*図書館へ本を借りへ行きます」のように目的にも「へ」を付けがちです。第5課の文の真ん中に〔青〕の箱を1つ差し込む形で板書すると、行き先の「へ」はそのままで、目的には「に」が付くことが見えます。
  • 〈場所〉でVます(第6課)「図書館で本を読みます」はその場所でする動作を言う文で、移動は含みません。「図書館へ本を読みに行きます」はそこへ移動する目的を言う文です。「図書館で本を読みに行きます」も、「で」が「読み」に掛かる正しい文です(「海で泳ぎに行きます」も自然)。行き先を言うなら「へ」、そこでする動作の場所なら「で」、と何に掛かるかで助詞が決まることを板書で示し、この課の練習では行き先の「へ」にそろえます。
関連する文型

語彙の扱い

新出語は、動詞(遊びます・泳ぎます・迎えます・疲れます・出します・入ります・出ます)、「します」が付く動作の名詞(買い物・食事・散歩)、形容詞(欲しい・広い・狭い・大変)、「何か・どこか」、食堂で使う表現(定食・牛どん・ご注文は・別々に)に分かれます。動作の名詞は文型3の「〜に行きます」の材料になるので、意味の確認のときに「買い物します/買い物に行きます」の2つの形で言わせておくと文型3が速く入ります。「おなかがすきました」「のどがかわきました」は文型1・2の理由(〜から)として使えるので、会話の前に口慣らしをしておきます。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 欲しい(ほしい) 物を自分の物にしたいときの言葉です。い形容詞です。 〜が欲しいです・新しい〜が欲しいです
    デパートで、新しいカメラを見ている。
    このカメラが欲しいです。でも、高いですね。
  • 遊びます(あそびます) 仕事や勉強をしないで、好きなことをします。 友達と〜・公園で〜・〜に来ます
    友達に、日曜日の予定を聞かれた。
    日曜日、友達と公園で遊びます。
  • 泳ぎます(およぎます) 海や川やプールで、水の中を進みます。教師の動作で見せます。 海で〜・プールへ〜に行きます
    夏休みの予定を話している。
    夏休みは沖縄の海で泳ぎたいです。
  • 迎えます(むかえます) 来る人を待つために、駅や空港へ行きます。 友達を〜・駅へ〜に行きます
    あした、国から友達が来る。
    あした、空港へ友達を迎えに行きます。
  • 疲れます(つかれます) たくさん働いたあとの、もう休みたい様子です。「疲れました」の形でよく使います。 仕事で〜・とても〜ました
    金曜日の夜、友達に飲みに誘われた。
    すみません。今日は疲れましたから、うちへ帰りたいです。
  • 買い物(かいもの) 店へ行って物を買うことです。「します」を付けると動詞になります。 〜します・〜に行きます・デパートで〜します
    週末の予定を聞かれた。
    日曜日、母とデパートへ買い物に行きます。
  • 食事(しょくじ) 朝ご飯や昼ご飯や晩ご飯を食べることです。「します」を付けると動詞になります。 〜します・〜に行きます
    会社の昼休み。同僚に声をかける。
    いっしょに食事に行きませんか。
  • 散歩(さんぽ) 公園や川のそばを歩くことです。「します」を付けると動詞になります。 〜します・公園へ〜に行きます
    友達に、毎朝何をするか聞かれた。
    毎朝、犬と公園へ散歩に行きます。
  • 何か(なにか) まだ決めていない物を言うときの言葉です。後ろの「を」は付けなくてもいいです。 〜食べたいです・〜飲みませんか
    授業のあと、おなかがすいた。
    おなかがすきましたね。何か食べたいです。
  • どこか(どこか) まだ決めていない場所を言うときの言葉です。 〜(へ)行きたいです・〜(へ)行きませんか
    連休の前に、友達と話している。
    あしたから休みですね。どこか行きたいです。
  • 別々に(べつべつに) 一人ずつ分けて、という意味です。店でお金を一人ずつ出すときによく使います。 〜お願いします
    食堂で友達と食べたあと、レジでお金を出す。
    すみません、別々にお願いします。
  • 大変(たいへん) 仕事などが多くて、とても疲れるときの言葉です。な形容詞です。 仕事が〜です・〜ですね
    友達が毎日夜11時まで働いている。
    毎日11時まで働きますか。大変ですね。

会話の扱い

場面は昼休みの食堂で、二人が店に入って注文し、食べたあとの会計で別々に払うよう頼む流れです。まず「おなかがすきました」「何か食べたいです」「食堂へ食べに行きましょう」の3文で場面を作り、店に入ってから「ご注文は」「〜をお願いします」「別々にお願いします」の表現を聞かせます。ロールプレイは、メニューカード(定食・牛どん・うどん・コーヒーなど、絵と値段つき)を配り、学生2人が客、1人が店員になって「入る→注文→会計」をやらせます。慣れたら、行き先を喫茶店や本屋に替えて「〜へ〜に行きませんか」から始めると、文型3と第6課の「Vませんか」もいっしょに回せます。会話の文そのものはここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。

宿題と次のコマ

問題の聞き取りと、作文を3文(誕生日に欲しい物と理由・週末にしたいこと・どこへ何をしに行くか)。次のコマは第14課のて形に入るので、宿題の確認のあとに動詞のます形をもう一度フラッシュカードで言わせてから、グループ分けに進む。

よくある質問

  • 第13課の「〜が欲しいです」と「〜たいです」はどう教え分けますか?

    「欲しい」は物(名詞)を、「〜たい」は動作(動詞)をしたい気持ちを言います。どちらもい形容詞と同じ活用なので、1枚の活用表に上下に並べて見せます。導入は「ビールが欲しいです」から「ビールを飲みたいです」へ、同じ物の絵で続けると、名詞か動詞かの違いだけが目に入ります。

  • 「〜たいです」の前の助詞は「を」と「が」のどちらで教えればいいですか?

    どちらも正しい形です。この課の練習は第6課の「NをVます」の延長で作れる「を」にそろえ、「が」も言えることは板書の点線で見せる程度にすると、誤りが増えません。学習者が「が」で言ったときは直しません。

  • 「〜に行きます」の「に」の前に名詞を入れられるのはどんなときですか?

    「します」を付けて動詞になる名詞(買い物・食事・散歩・勉強など)のときです。学生には「〜します」と言えるかを口で確かめさせます。言えない名詞(ラーメン・本など)は「ラーメンを食べに」「本を借りに」のように動詞を足して言わせます。

  • 目上の人に「〜たいですか」「〜が欲しいですか」と聞いてはいけないのはなぜですか?

    相手の気持ちを直接たずねる形なので、目上の人には踏み込みすぎに聞こえるからです。物や飲み物を勧めるときは「〜はいかがですか」(第7課)、誘うときは「〜ませんか」(第6課)を使います。この課では、友達など近い相手への質問に限って練習すると最初に言っておきます。

  • 第13課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は復習・ます形・文型1・文型2まで、2コマ目は文型3・会話・練習Cと問題です。文型3は動詞の形と名詞の形の2つを回すので時間がかかります。足りないときは会話のロールプレイを短くして、文型3の練習を残します。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。

PRこの教科書

手引きで扱っている教科書。本文・例文は手元の教科書で確かめてください。