みんなの日本語 初級Ⅱ 第38課「片づけるのが好きなんです」の教案
『みんなの日本語 初級Ⅱ 第2版 本冊』 ・ 会話「片づけるのが好きなんです」
動詞の辞書形・普通形に「の」を付けて、「すること」を一つの名詞のように扱う課です。「〜のは難しいです」で行為そのものを評価し、「〜のが好きです・上手です」で人の好みや得意なことを言い、「〜のを忘れました」「〜のを知っていますか」で、忘れたこと・知っていることの中身を動詞のまとまりで言えるようになります。最後に「〜のはN2です」で、言いたいことを文の終わりに置いて強める言い方を扱います。「の」の前は辞書形・普通形(ます形ではない)、「の」の後ろの助詞は「は・が・を」の三つを、同じ板書の上で並べて見せ続けるのがこの課の芯です。新しい活用形は出ないので、第18課の辞書形と第20課の普通形をカードで素早く確かめてから入ります。
このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。文型の表記は出版社のシラバス一覧に合わせています。
学習項目5時間90分×2コマ
この課のねらい(Can-do)
- 「日本語で電話するのは難しいです」のように、ある行為について自分の評価や感想を言える
- 「わたしは料理を作るのが好きです」「石井さんは歌うのが上手です」で、好み・得意なこと・速さなどを言える
- 「かぎを掛けるのを忘れました」で、するはずだったことを忘れたと言い、「〜のを知っていますか」で相手が知っているかどうかをたずねられる
- 「わたしが生まれたのは小さな村です」のように、いちばん伝えたいことを文の終わりに置いて言える
進め方と時間配分
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
| 導入(復習と前の課とのつなぎ) | 10分 | 辞書形と普通形をカードで速く言わせる(読みます→読む、行きました→行った)。第18課の「趣味は〜ことです」を二、三人に言わせ、「こと」を「の」に替えた文を板書の横に書いて、「すること=名詞」の箱を作って見せる |
| 文型1(〜のはAです) | 30分 | 教師が難しそうに箸で豆をつまむ、重い箱を持ち上げるなどの動作をして「〜のは難しいです・大変です」。板書は[V辞書形+の]を四角で囲み、その後ろに「は+A」。評価の形容詞(楽しい・難しい・危ない・体にいい など)をカードで並べる |
| 文型2(〜のがAです) | 30分 | 第9課の「Nが好きです・上手です」を思い出させ、Nの場所に[V辞書形+の]の箱を入れる。好き・嫌い・上手・下手・速い・遅いの六つを板書に縦に並べ、文型1との違いは「人について言う形容詞か、行為の評価か」で一本線を引く |
| 文型3・4(〜のを忘れました/〜のを知っていますか) | 40分 | 教室を出るときに電気を消すのを忘れる寸劇で「〜のを忘れました」。物を忘れた「傘を忘れました」と並べて、何を忘れたかが「物」か「すること」かを比べる。続けて、学校の予定やニュースを話題に「〜のを知っていますか」「いいえ、知りませんでした」のやり取りへ |
| 文型5(〜のはN2です) | 30分 | 教師の出身地・好きな食べ物を、まず普通の文で言い、次に「わたしが生まれたのは〜です」と言い直して、言いたいことが最後に来ることを矢印で見せる。な形容詞・名詞の「だ→な」は第26課の板書を呼び出して確かめる |
| 会話 | 20分 | 片づけが好きだという人が、散らかった場所の整理を引き受ける流れ。文末の「〜のが好きなんです」で、この課の「の」と第26課の「〜んです」が一つの文に重なることに気づかせ、役割を替えて読む |
| 練習C・問題 | 20分 | 練習Cは「好きなこと・苦手なこと」「忘れたこと」「知っていますか」の三つの場面。問題は聞き取りを教室で、文法の部分は宿題に |
学習項目 1 〈V辞書形〉のはAです
意味・はたらき文型 1
動詞の辞書形に「の」を付けると、「〜すること」という意味の名詞のまとまりになります。それを「は」で話題にして、後ろに「難しい・楽しい・危ない・大変だ」などの形容詞を置き、その行為そのものについての評価や感想を言う文型です。だれがしても言えるような一般的な評価に使うことが多く、「の」の代わりに第18課の「こと」を使っても意味はほとんど変わりません。「の」の中の文の目的語には、もとの文と同じ「を」がそのまま残ります。
接続
V辞書形+の+は+A(いA・なA)です(例: 日本語で電話する+のは+難しいです)。「の」の中の助詞はもとの文のまま
形
日本語で電話するのは難しいです朝、公園を散歩するのは気持ちがいいです夜、一人で山に登るのは危ないです毎日 料理を作るのは大変です
導入
- 教師の動作から「すること」を箱に入れる教師が箸で小さな豆をつまもうとして何度も落とし、「箸で豆を取るのは難しいです」と言う。板書に「箸で豆を取ります」と書き、ます形を辞書形に直してから右に「の」を付け、全体を四角で囲む。四角の後ろに「は 難しいです」と書き、「この四角が一つの名詞」と言って、「日本語は難しいです」の「日本語」の場所に入っていることを並べて見せる。
- 学生の生活で評価を言わせる「日本の生活で難しいこと・楽しいこと」を学生に聞き、出てきた動詞(漢字を書く・電車に乗る・温泉に入る など)を板書の四角に入れていく。形容詞はカード(難しい・簡単・楽しい・大変・危ない・気持ちがいい)で教師が指し、学生が文を完成させる。
板書案
[V辞書形 + の] は + A です
箸で豆を取ります → [箸で豆を取る の]は 難しいです。
日本語 は 難しいです。(第8課)← 四角は この「日本語」の場所に入る
〔赤〕辞書形 〔青〕の 〔四角〕名詞のまとまり
評価の列: 難しい・簡単・楽しい・大変・危ない・気持ちがいい
場面と発話(自作)
- 日本に来て三か月の留学生が、日本人の友達に生活の中で困っていることを話す。日本語で電話するのは まだ難しいです。
- 休みの日の朝、近所の人と公園で会った。毎朝歩いていると話す。朝 散歩するのは気持ちがいいですね。
- 雨の夜に自転車で帰ろうとする友達に、注意する。雨の夜、自転車に乗るのは危ないですよ。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
動詞の絵カードと形容詞カードを1枚ずつ出し、「漢字を書きます・難しい→漢字を書くのは難しいです」の言い換え(練習Bの型)を10組。次にペアで「日本の生活で楽しいこと・大変なこと」を一つずつ「〜のは〜です」で言い合い、相手が「そうですね/そうですか」で受けるやり取り(練習Cの型)にする。
- 口頭動詞の絵カード(箸で食べる・漢字を書く・一人で旅行する・夜 自転車に乗る・温泉に入る)と形容詞カード(難しい・楽しい・危ない・大変・気持ちがいい)を1枚ずつ出す。教師は最初「漢字を書きます、難しい」とます形で言い、学生が全体で「漢字を書くのは難しいです」と言い換える。次に教師は絵だけを見せ、形容詞は学生に選ばせて個人で言わせる。最後に教師が「どうですか」と聞き、学生が自分の評価で答える形にする。
- ペア「日本の生活アンケート」。Aは行為の絵カードを5枚持ち、Bは何も持たない。Aがカードを見せて「〜のはどうですか」と聞き、Bは自分の考えで「〜のは楽しいです。〜から」と理由を一言足して答える。Aは表に○(楽しい・簡単)か△(難しい・大変)を書く。5枚終わったらカードを替えて交替する。
- 産出「日本の生活ランキング」。学生が「日本の生活で楽しいこと・大変なこと・危ないこと」を一つずつ「〜のは〜です」で書き、一人ずつクラスで言う。ほかの学生は同じ考えなら手を挙げ、いちばん手の多かった文を板書に残す。教師が見るのは、ます形に「の」を付けていないか、四角の中の「を」が変わっていないか、「は」が二つになっていないか。
つまずきと手当て
- 「の」を落とす、またはます形に付ける(×漢字を書くは難しいです、×漢字を書きますのは難しいです)。四角の中は辞書形、四角の右に「の」、と板書の形に毎回戻す
- 「の」の中の「を」を「が」や「の」に変える(×漢字が書くのは、×漢字の書くのは)。もとの文「漢字を書きます」を四角の上に書いておき、中の助詞は変わらないと指す
- 「は」を二つ重ねる(「日本語は話すのは難しいです」)。ほかの言葉と比べる対比の文としてなら言えるが、ふつうは話題の「は」は四角の後ろの一つだけ、と言い、「日本語を話すのは」に直させる
既習の文型との違い
- 趣味はN/〈V辞書形〉ことです(第18課)第18課の「趣味は写真を撮ることです」は、述語の「です」の前に動詞のまとまりを置く形で、ここには「の」が使えません(*趣味は写真を撮るのです)。この課の「〜のは」は動詞のまとまりを文の前の話題の場所に置く形で、「の」も「こと」も使えます。学生が「こと=の」と覚えて第18課の形に「の」を入れたら、「です」の前は「こと」と板書の位置で示します。
- Nは Aです(第8課)「日本語は難しいです」と同じ骨組みで、Nの場所が[V辞書形+の]に替わっただけです。学生は動詞をそのまま「は」の前に置いて「*日本語を話すは難しいです」と言いがちなので、名詞の場所に入るには「の」が要る、と第8課の文を上に書いて比べます。
関連する文型
学習項目 2 〈V辞書形〉のがAです
意味・はたらき文型 2
第9課の「Nが好きです」「Nが上手です」のNの場所に、[V辞書形+の]を入れる文型です。好き・嫌い・上手・下手・速い・遅いなど、「人がどうか」を言う形容詞といっしょに使い、「わたしは歌うのが好きです」「父は歩くのが速いです」のように、その人の好み・得意・苦手・速さを言います。文型1の「〜のは」が行為そのものの評価なのに対し、こちらは人(「〜は」で示す)について述べる文だと考えると分けやすくなります。
接続
N(人)は+V辞書形+の+が+A(好き・嫌い・上手・下手・速い・遅い など)です
形
わたしは写真を撮るのが好きです姉は絵をかくのが上手です弟は朝 起きるのが遅いですわたしは人の前で話すのが下手です
導入
- 第9課の文に四角を入れる板書に「わたしは サッカーが好きです」と書き、「サッカー」を消して「サッカーを見る+の」の四角を入れる。学生に「サッカーをするのが好きですか、見るのが好きですか」と聞き、四角の中だけが変わる文を二つ並べる。好き・嫌い・上手・下手・速い・遅いを縦に書いて、後ろに付く助詞が「が」になることを色で示す。
- クラスの人について言わせる事前に学生の得意なこと(料理・歌・速く走る など)を聞いておき、「〇〇さんは料理を作るのが上手です」と教師が紹介する。続けて学生同士で「〜さんは何をするのが好きですか」とたずね合い、聞いたことを「〜さんは〜のが好きです」とクラスに報告させる。
板書案
N(人)は [V辞書形 + の] が A です
わたしは サッカー が 好きです。(第9課)
わたしは [サッカーを 見る の] が 好きです。
人について言う列: 好き・嫌い・上手・下手・速い・遅い
〔赤〕が 〔線〕左の列「〜のは+評価」と右の列「〜のが+人のこと」を分ける
場面と発話(自作)
- 新しい会社で、同僚に休みの日に何をしているかと聞かれた。わたしは山に登るのが好きです。
- クラスでパーティーの準備をする。料理の得意なクラスメートにお願いしたい。石井さんは料理を作るのが上手ですから、お願いします。
- 家族のことを聞かれて、兄がいつも急いで食事をすると話す。兄は食べるのがとても速いです。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
人の絵と行為の絵(泳ぐ・歌う・走る・字を書く)と形容詞カード(好き・上手・速い・下手)を組み合わせて、「〜は〜のが〜です」の代入練習(練習Bの型)。そのあとペアで「何をするのが好きですか」「何をするのが下手ですか」を聞き合い、一人ずつ相手のことをクラスに紹介する(練習Cの型)。
- 口頭人の絵(父・姉・弟・わたし)、行為の絵(泳ぐ・歌う・歩く・字を書く・朝 起きる)、形容詞カード(好き・上手・速い・遅い)の三つを並べ、教師が一枚ずつ指す。「父・歩く・速い」→全体で「父は歩くのが速いです」。慣れたら人だけ替える、形容詞だけ替える、と1か所ずつ替えて個人で言わせる。最後に教師が「〇〇さんは何をするのが好きですか」と聞き、学生が自分のことで答える。
- ペア「インタビュー表」。表には行為が6つ(料理を作る・歌う・写真を撮る・早く起きる・人の前で話す・漢字を書く)並び、横に「好き/嫌い」「上手/下手」の欄がある。Aが「〜のが好きですか」「〜のが上手ですか」と聞き、Bの答えに○×を付ける。Bは「上手」と聞かれたら「いいえ、まだ下手です」「少しできます」のように答える。6つ終わったら交替。
- 産出「となりの人紹介」。ペアの表を見て、相手のことを三文でクラスに紹介する(「〇〇さんは写真を撮るのが好きです。料理を作るのが上手です。でも、朝 起きるのは遅いです」)。聞いた学生は一つ質問する。教師が見るのは、「が」を「を」にしていないか、自分のことに「上手」を使っていないか、評価の形容詞(難しい・楽しい)と人の形容詞の助詞が混ざっていないか。
つまずきと手当て
- 「が」の代わりに「を」を使う(×歌うのを好きです)。母語で「好き」が他動詞の学習者に多い。第9課の「Nが好きです」の板書に戻し、四角の後ろは「が」と色で指す
- 自分のことに「上手です」を使う(「わたしは料理を作るのが上手です」と自分から言う)。第9課と同じく、自分には「少しできます」「好きです」、ほめられたら「いいえ、まだまだです」と返す、と場面で見せる
- 「は」と「が」のどちらを使うか迷って止まる(「漢字を書くのは難しいです」と「わたしは漢字を書くのが好きです」が混ざる)。「〜のが難しいです」も日本語として言えるので誤りにはしないが、この課では「難しい・楽しいは〜のは」「好き・上手・速いは〜のが」と二列に分けて板書し、迷ったら列を見るように言う
既習の文型との違い
- Nが好きです/嫌いです(第9課)形は第9課と同じで、「が」の前のNが[V辞書形+の]に替わっただけです。母語で「好き」が目的語を取る学習者は、Nのときは「サッカーが好きです」と言えていても、動詞が入ると「*歌うのを好きです」と「を」に戻ることがあります。第9課の文を真上に書き、助詞の場所が同じことを指で追わせます。
- 趣味はN/〈V辞書形〉ことです(第18課)「趣味は山に登ることです」は趣味の中身を一つ言う形、「わたしは山に登るのが好きです」は好みを言う形で、どちらも自分のことを話すときに使えます。第18課に引かれて「わたしは山に登ることが好きです」とするのは誤りではありませんが、この課では「好き・上手」の前は「の」でそろえて練習し、「こと」は「趣味は〜ことです」「〜ことができます」の二つに残しておくと混乱が少なくなります。
関連する文型
学習項目 3 〈V辞書形〉のを忘れました
意味・はたらき文型 3
するはずだったこと・するつもりだったことを、忘れてしなかったと言う文型です。「傘を忘れました」は物を置いてきたことですが、「かぎを掛けるのを忘れました」は「かぎを掛ける」という行為をしなかったことを言います。「の」の前は、したかどうかが問題の行為なので、過去のことでも辞書形を使います。「〜のを忘れないでください」の形で、相手に注意するときにもよく使います。
接続
V辞書形+の+を+忘れました(「忘れないでください」「忘れないでくださいね」の形でも)
形
かぎを掛けるのを忘れました薬を飲むのを忘れました友達に電話するのを忘れました帰るとき、電気を消すのを忘れないでください
導入
- 寸劇で「物」と「すること」を比べる教師が教室を出て行き、すぐに戻って「あ、傘を忘れました」と傘を取る。もう一度出て行き、戻って電気のスイッチを指して「あ、電気を消すのを忘れました」と消す。板書に「傘を忘れました」「[電気を消す+の]を忘れました」を上下に並べ、上は物、下は「すること」と書き分ける。
- けさのことを聞く学生に「けさ、何か忘れましたか」と聞き、「〜のを忘れました」で答えさせる。答えが出にくければ、絵カード(窓を閉める・かぎを掛ける・朝ご飯を食べる・メールを送る)を出して選ばせる。
板書案
傘 を 忘れました。(物)
[電気を 消す の] を 忘れました。(すること)
〔赤〕辞書形 〔青〕を
帰るとき、[窓を 閉める の]を 忘れないで ください。(注意)
消した のを 忘れました → 「消したこと」を忘れた(意味がちがう)
場面と発話(自作)
- 駅に着いてから、家のかぎのことを思い出した。いっしょにいる友達に言う。あ、いけない。かぎを掛けるのを忘れました。
- 友達から「きのうの夜、電話をくれると言っていましたね」と言われた。すみません。電話するのを忘れました。
- 最後に教室を出る学生に、教師が頼む。帰るとき、窓を閉めるのを忘れないでくださいね。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
「すること」の絵カードを出して「かぎを掛けます→かぎを掛けるのを忘れました」の言い換え(練習Bの型)。続けて「出かける前に〜のを忘れないでください」と家族や友達に注意する場面をペアで作り、言われた側は「はい、わかりました」で受ける(練習Cの型)。
- 口頭「すること」の絵カード(かぎを掛ける・窓を閉める・薬を飲む・メールを送る・電源を切る)を出し、教師が「かぎを掛けます」と言って、学生が全体で「かぎを掛けるのを忘れました」。途中に物のカード(傘・財布・辞書)を混ぜ、物なら「傘を忘れました」、することなら「〜のを忘れました」と、学生がすぐに選べるようにする。最後に同じカードで「〜のを忘れないでください」に言い換えさせる。
- ペア「出かける前チェック」。Aは出かける人、Bは家族。Bは出かける前にすることのリスト(5つ)を持ち、Aは自分がしたことに○が付いたカードを持つ。Bが「かぎを掛けるのを忘れないでくださいね」と言い、Aはカードを見て「はい、掛けました」か「あ、忘れました」で答える。忘れていたら「じゃ、すぐ掛けます」まで言う。リストを替えて交替する。
- 産出「わたしの忘れもの話」。最近忘れたことを二つ、「先週 〜のを忘れました。それで、〜」のように、どうなったかを一文足して話す(物を忘れた話も一つ入れてよい)。聞く人は「大変でしたね」で受ける。教師が見るのは、過去だからとた形にしていないか、「の」が落ちていないか、物に「の」を付けていないか。
つまずきと手当て
- 過去だからとた形にする。「かぎを掛けたのを忘れました」は文としては言えるが、「掛けたこと(事実)を忘れた」という別の意味になる。しなかった行為を言うときは辞書形、と板書に書いておく
- 「の」を落とす、または「こと」と「の」を迷って止まる(×薬を飲むを忘れました)。この形では「の」をまず覚えさせ、四角の後ろに「を」を付ける形を何度も口にさせる
- 物を忘れたときにも「の」を付ける(×傘のを忘れました)。上下二段の板書(物は「Nを」、することは「V辞書形+のを」)で区別させる
既習の文型との違い
- 〈Vない形〉ないでください(第17課)第17課の「忘れないでください」は、この課で「〜のを忘れないでください」になり、何を忘れてはいけないかを動詞のまとまりで言えるようになります。学習者は、してほしい行為をそのまま否定して「かぎを掛けないでください」と言ってしまうことがあり、これでは「掛けるな」の意味になります。してほしいときは「掛けるのを忘れないでください」、と二つを並べて意味を確かめます。
- 〈Vて形〉しまいました(遺憾)(第29課)「かぎを掛けるのを忘れてしまいました」と重ねると、「忘れた」に残念な気持ちが加わります。第29課の「財布をなくしてしまいました」と同じ働きです。この課ではまず「忘れました」で形を固め、言えるようになった学生には「〜てしまいました」を足してもよい、と後から示します。
関連する文型
学習項目 4 〈V普通形〉のを知っていますか
意味・はたらき文型 4
ある出来事や事実を、相手がもう知っているかどうかをたずねる文型です。ニュースやうわさ、学校や会社の予定などを話題にするときによく使います。知らせたい内容を普通形で言い、「の」を付けて「知っていますか」の目的語にします。普通形なので、これから起こること(辞書形)・もう起こったこと(た形)・否定(ない形)のどれも入ります。答えは「はい、知っています」、知らなかったときは「いいえ、知りませんでした」で、「知っていません」とは言いません。
接続
V普通形(辞書形・ない形・た形・なかった形)+の+を+知っていますか(答え: はい、知っています/いいえ、知りませんでした)
形
来月、駅前に大きなスーパーができるのを知っていますかあしたは授業がないのを知っていますか森さんに赤ちゃんが生まれたのを知っていますか——いいえ、知りませんでした
導入
- 教師が「ニュース」を持ってくる教師が少し声を落として「みなさん、来週の金曜日、学校が休みになるのを知っていますか」と聞く。知らない学生に「いいえ、知りませんでした」と言わせ、板書に[来週の金曜日 学校が休みになる+の]の四角と「を 知っていますか」を書く。答え方の二つを下に書き、「知っていません」に×を付けておく。
- 普通形を入れ替える同じ四角の中を「休みになる→休みになった」「授業がある→授業がない」と替えて、普通形ならどれでも入ることを見せる。第20課の普通形の表を横に貼っておき、学生にカードで形を選ばせる。
板書案
[V普通形 + の] を 知っていますか。
[来週の金曜日 学校が 休みに なる の]を 知っていますか。
なる/ならない/なった(普通形なら どれでも)
——はい、知っています。/いいえ、知りませんでした。
〔赤〕四角の中の主語は「が」 〔斜線〕*いいえ、知っていません
場面と発話(自作)
- 寮の友達と話していて、近くの店のことを伝えたい。駅の近くのパン屋が来月 閉まるのを知っていますか。
- 会社で、同じ部の人が入院したことを知らない同僚に話す。石井さんが先週 入院したのを知っていますか。
- 友達から、あしたの授業が休みになったと聞いた。初めて聞いたことだった。え、そうですか。知りませんでした。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
ニュースの絵カード(店ができる・電車の値段が上がる・試験の日が変わる・赤ちゃんが生まれた)を出して、「〜のを知っていますか」の言い換え(練習Bの型)。次に学生一人ずつに、学校や町の本当のニュースを一つ考えさせ、ペアで「〜のを知っていますか」「いいえ、知りませんでした。いつですか」と続けるやり取り(練習Cの型)にする。
- 口頭ニュースのカード(駅前に新しい店ができる・バスが高くなった・試験の日が変わる・図書館が新しくなった・森先生に赤ちゃんが生まれた)を出し、教師がます形で「駅前に新しい店ができます」と言って、学生が全体で「駅前に新しい店ができるのを知っていますか」。次に教師が質問し、学生は二つの答え(「はい、知っています」「いいえ、知りませんでした」)をカードの○×に合わせて言う。最後に「なる→なった」「ある→ない」と四角の中だけを替えて個人で言わせる。
- ペア「ニュース交換」。AとBは違うニュースのカードを3枚ずつ持つ。Aが「〜のを知っていますか」と聞き、Bは知らなければ「いいえ、知りませんでした。いつですか」「どこですか」と一つ聞き返し、Aがカードを見て答える。Bは知っていることにしてもよく、そのときは「はい、知っています」と受けて一言感想を足す。3枚終わったら交替。
- 産出「クラスのニュース」。グループで学校や町の本当のニュースを一つ選び、「〜のを知っていますか」で始めて三文で発表する(いつ・どこ・どう思うか)。聞く人は「知りませんでした」か「知っています」で受けて、一つ質問する。教師が見るのは、四角の中が普通形になっているか、答えに「知っていません」を使っていないか、四角の中の主語が「は」になっていないか。
つまずきと手当て
- 答えに「知っていません」「知りません」を使う(×いいえ、知っていません)。いま初めて聞いたことには「知りませんでした」と言う、と答え方を板書に固定しておく
- 丁寧形に「の」を付ける(×休みになりますのを知っていますか)。四角の中は普通形、と第20課の表に戻す
- 「の」の中で主語に「は」を使う(「石井さんは入院したのを知っていますか」にすると意味がずれる)。四角の中の主語は「が」、と色で示す(「石井さんは」にすると、石井さんが知っているかを聞く文に聞こえる)
既習の文型との違い
- Nを知っていますか(第15課)第15課の「石井さんの電話番号を知っていますか」は、名前や番号のような情報を知っているかを聞く形で、知らなければ「いいえ、知りません」と答えます。この課の「〜のを知っていますか」は出来事を知らせる言い方で、初めて聞いた人は「いいえ、知りませんでした」と答えるのが自然です。学生が第15課と同じく「知りません」と答えたら、いま聞いてわかったことなら「でした」、と場面で直します。
- 〈V/いA/なA/N 普通形(〜だ→〜な)〉んですか(第26課)どちらも普通形の後ろに「の/ん」が付きますが、第26課の「〜んですか」は見たことの理由や説明を相手に求める言い方、この課の「〜のを知っていますか」は相手がその出来事を知っているかを聞く言い方です。な形容詞・名詞の現在肯定はこの形でも「休みなのを知っていますか」と「な」になるので、第26課の「だ→な」の板書をそのまま使えます。
関連する文型
学習項目 5 〈V/いA/なA/N1 普通形(〜だ→〜な)〉のはN2です
意味・はたらき文型 5
「わたしは小さな村で生まれました」を「わたしが生まれたのは小さな村です」と言い直すように、いちばん伝えたいことを文の最後のN2に置いて強める言い方です。前半の[普通形+の]は「〜したもの・〜したところ・〜した人・〜した時」などを指し、後半のN2がその答えになります。相手の質問に答えるときや、相手の思い込みを直すときに自然に使えます。な形容詞と名詞の現在肯定は、第26課の「〜んです」と同じく「だ」が「な」に変わります。
接続
V・いA・なA・N の普通形+の+は+N2+です(なA・Nの現在肯定は「だ→な」: 好きなのは・休みなのは。前半の中の主語は「が」)
形
わたしが生まれたのは北海道の小さな村ですいちばん楽しかったのは国の友達と行った旅行ですわたしが好きなのは日本の古い歌ですこの店が休みなのは水曜日です
導入
- 普通の文から言い直す教師が「わたしは北海道の小さな村で生まれました」と言ってから、「わたしが生まれたのは……北海道の小さな村です」と、最後の部分をゆっくり強く言い直す。板書で二つの文を上下に書き、下の文の「北海道の小さな村」から上の文の同じ部分へ矢印を引いて、言いたいことが文の最後に動いたことを見せる。同時に「わたしは」が四角の中で「わたしが」に変わることを色で示す。
- 質問に答える形で使う学生に「国でいちばん有名な食べ物は何ですか」と聞き、「〜のは〜です」の形で答えさせる前に、教師が「わたしの国で有名なのは〜です」と見本を言う。な形容詞の「有名だ→有名な」、名詞の「休みだ→休みな」は、第26課の「だ→な」の板書を出して確かめる。
板書案
わたしは 北海道の小さな村で 生まれました。
↓ 言いたいことを うしろへ(矢印)
[わたしが 生まれた の]は 北海道の小さな村 です。
好きだ→好きな のは/休みだ→休みな のは(〔赤〕な)
〔赤〕四角の中の主語は「が」 N2の後ろに「を」「が」は残さない
場面と発話(自作)
- 日本人の知り合いに出身を聞かれた。首都の出身だと思われていたので、直す。いいえ、わたしが生まれたのは山の中の小さな町なんです。
- 日本に来てからの一年をクラスで振り返る。思い出に残っていることを一つ話す。いちばん楽しかったのは、友達と京都へ行ったことです。
- 休みの日に行こうとしていた店について、友達に教える。あの店が休みなのは月曜日ですよ。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
まず「わたしは〜で生まれました→わたしが生まれたのは〜です」のように、普通の文を「〜のはN2です」に組み替える練習(練習Bの型)を、動詞・い形容詞・な形容詞・名詞の順に。次にペアで「生まれた所・いちばん好きな食べ物・日本でいちばん驚いたこと」を「〜のは〜です」で紹介し合い、聞いた人が一つ質問を足す(練習Cの型)。
- 口頭教師が普通の文を言い、下線の部分を最後に動かして言い換えさせる。キューの例は「わたしは日曜日に友達に会いました(日曜日)→わたしが友達に会ったのは日曜日です」「わたしは日本の古い歌が好きです→わたしが好きなのは日本の古い歌です」「この店は水曜日が休みです→この店が休みなのは水曜日です」。動詞→い形容詞→な形容詞→名詞の順に全体で、次に個人で。最後に教師が「どこで生まれましたか」と聞き、学生が「わたしが生まれたのは〜です」で答える。
- ペア「思い込みを直す」。Aは相手について少しまちがった思い込みのカード(「〇〇さんは大きな町で生まれたんですね」)、Bは本当のことのカード(「生まれた所: 山の中の小さな村」)を持つ。Aがカードを読み、Bは「いいえ、わたしが生まれたのは〜なんです」と直す。Aは「そうですか」で受けて一つ質問する。カードを4枚替えて交替。
- 産出「わたしのいちばん」スピーチ。「わたしがいちばん好きなのは〜です」「日本でいちばん大変だったのは〜です」「国でいちばん有名なのは〜です」の三つを、それぞれ理由を一文足して話す。聞く人はメモを取り、あとで一人について「〇〇さんがいちばん好きなのは〜です」と言い直す。教師が見るのは、N2の後ろに助詞が残っていないか、「だ→な」、四角の中の主語が「が」になっているか。
つまずきと手当て
- 前半の主語に「は」を使う(×わたしは生まれたのは北海道です)。「は」は「の」の後ろに一つだけで、四角の中の主語は「が」、と板書の色で示す
- N2の後ろに、もとの文の「を」「が」を残す(×なくしたのは財布をです)。「を」「が」は消える。「で」「から」などは「会ったのは駅でです」「始まるのは3時からです」のように残せることもあるが、この課では「N2+です」の形だけを練習する
- な形容詞・名詞で「だ」を残す(×好きだのは、×休みだのは)。第26課の「〜んです」と同じ規則、と板書の赤い「な」を指す
既習の文型との違い
- 〈V/いA/なA/N 普通形(〜だ→〜な)〉んですか(第26課)「だ→な」の規則は第26課と同じなので、「好きなのは」「休みなのは」は第26課の板書で確かめられます。違いは働きで、「〜んですか」は説明を求める文の終わり、「〜のは」は文の前半を名詞のまとまりにして、答えを最後のN2に置く形です。会話の題「片づけるのが好きなんです」のように、一つの文に「の」と「ん」が両方入ることもあります。
- 〈V辞書形〉のはAです(第38課 文型1)同じ「〜のは」でも、文型1は後ろが形容詞で行為の評価を言い(「日本語で電話するのは難しいです」)、文型5は後ろが名詞で「何か・どこか・いつか」の答えを言います(「わたしが生まれたのは小さな村です」)。学生が「生まれたのは」のあとに形容詞を続けて文が通らなくなったら、後ろに来るのが形容詞か名詞かを先に確かめさせます。
関連する文型
語彙の扱い
この課の新出語は、文型3の材料になる「すること」の動詞(かぎを掛けます・電源を入れます/切ります・運びます など)と、文型4のニュースの材料になる出来事の語(入院します・退院します・赤ちゃん など)、文型1の評価に使う語(気持ちがいい・気持ちが悪い など)が中心です。動詞は「〜のを忘れました」の形に入れて絵カードで出し、出来事の語は「〜のを知っていますか」の話題としてそのまま使います。「大きな・小さな」のような名詞の前にだけ付く語は、文型5の例(小さな村)の中で文ごと覚えさせ、単語だけで説明しません。
この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)
- 片づけます(かたづけます) 散らかっている物を決まった場所に戻して、部屋や机をきれいにします。 部屋を〜・机の上を〜・本を〜
パーティーのあと、部屋に皿や紙がたくさんある。「わたしは片づけるのが好きですから、手伝いますよ。」
- 掛けます(かぎを)(かけます) ドアや窓が開かないように、かぎを使います。 かぎを〜・ドアにかぎを〜
旅行に出かけて、駅に着いてから家のことを思い出した。「あ、かぎを掛けるのを忘れました。」
- 切ります(電源を)(きります) パソコンや機械のスイッチを押して、動かないようにします。「入れます」の反対です。 電源を〜・パソコンの電源を〜
教室を最後に出る学生に頼む。「帰るとき、パソコンの電源を切るのを忘れないでください。」
- 運びます(はこびます) 物を持って、ほかの場所へ動かします。 荷物を〜・机を〜・2階へ〜
引っ越しの日。友達が重い箱を持っている。「重い物を一人で運ぶのは大変ですね。手伝いましょうか。」
- 入院します(にゅういんします) 病気やけがで、病院に何日か泊まって治します。 病院に〜・一週間〜
会社で、同じ部の人が休んでいる理由を同僚に伝える。「石井さんが先週 入院したのを知っていますか。」
- 参加します(さんかします) 大勢でする集まりや行事に入って、いっしょにします。 パーティーに〜・旅行に〜・会に〜
町のお祭りについて、友達と話している。「お祭りに参加するのは楽しいですよ。」
- 育てます(そだてます) 子どもや動物、花や野菜を、大きくなるまで世話します。 子どもを〜・花を〜・野菜を〜
近所の人が、家の前でたくさんの花を育てている。「花を育てるのが上手ですね。」
- 気持ちがいい(きもちがいい) 体や心が、さわやかで楽しい感じです。 朝は〜・〜天気
休みの日の朝、公園で知り合いに会った。「朝 散歩するのは気持ちがいいですね。」
- 散歩します(さんぽします) 特に用事はなく、楽しむために外を歩きます。 公園を〜・犬と〜・朝〜
新しい同僚に、休みの日にすることを聞かれた。「わたしは川のそばを散歩するのが好きです。」
- 忘れます(わすれます) 覚えていたことが頭からなくなります。物を置いてくるときにも使います。 傘を〜・宿題を〜・電話するのを〜
朝、ごみの日だったのに、ごみの袋がまだ玄関にある。「あ、ごみを出すのを忘れました。」
- 生まれます(うまれます) 人や動物がこの世に出てきます。 村で〜・〜年に〜・赤ちゃんが〜
日本人の知り合いに出身を聞かれた。「わたしが生まれたのは海の近くの小さな町です。」
会話の扱い
会話は、片づけるのが好きだという人が、散らかった場所の整理を引き受ける、という流れです。題の「片づけるのが好きなんです」は、この課の文型2「〜のが好きです」に第26課の「〜んです」が重なった形で、「の」の後ろに「が」、文の最後に「んです」と、二つの「の/ん」が一つの文に入っていることに気づかせると、課の復習になります。最初は音声か教師の読みで流れをつかませ、何を片づけるのか、だれが頼んでだれが引き受けるのかを絵で確かめてから、役割を替えて二回読みます。そのあと「片づける」の部分を学生の好きなこと(料理を作る・掃除する・人の話を聞く など)に替えて、手伝いを申し出る場面として再現させます。仕事のあとのあいさつなど、決まった言い方は意味を分解せず、場面ごとかたまりで入れます。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。
宿題と次のコマ
宿題は問題の文法部分と、「わたしのこと」を五文で書くこと(「〜のは〜です(評価)」一つ・「〜のが好きです/下手です」一つ・「最近〜のを忘れました」一つ・クラスの人に聞きたい「〜のを知っていますか」一つ・「わたしが〜のは〜です」一つ)。次のコマの最初に辞書形・普通形のカードテストをし、宿題の「〜のを知っていますか」をペアで聞き合ってから、第39課の理由の言い方(「〜て、〜」「〜ので」)に入る。四角([普通形+の])の板書は第39課以降の「の」の理解にもつながるので、写真に撮っておく。
よくある質問
第38課の「〜のは」と「〜のが」は、どう使い分けを教えればいいですか?
後ろの形容詞で二つの列に分けると混乱が少なくなります。「難しい・楽しい・危ない・大変・気持ちがいい」のように行為そのものを評価するときは「〜のは」、「好き・嫌い・上手・下手・速い・遅い」のように人の好みや得意を言うときは「(人は)〜のが」です。「〜のが難しいです」も日本語として言えるので誤りにはしませんが、この課では二列の板書を見せて、迷ったら列を見るように言います。
「〜の」と第18課の「〜こと」は替えられますか?
この課の「〜のは難しいです」「〜のを忘れました」「〜のを知っていますか」は、多くの場合「こと」に替えても意味はほとんど変わりません。替えられないのは「です」の前(「趣味は〜ことです」)と「〜ことができます」で、ここは「こと」だけです。反対に、目や耳でとらえる動詞(見る・聞こえる など)の前は「の」だけになりますが、初級ではこれを一度に全部出さず、この課の四つの形を「の」で固めるほうが定着します。
「かぎを掛けるのを忘れました」は過去のことなのに、なぜた形ではないのですか?
忘れたのは「かぎを掛ける」という、するはずだった行為で、その行為は実際にはしていないからです。「掛けたのを忘れました」と言うと、掛けたという事実を覚えていない、という別の意味になります。板書に「しなかったこと→辞書形」と一行書いておき、た形にした学生にはどちらの意味かを聞き返して気づかせます。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は辞書形・普通形の確認から文型1・2、文型3の途中まで。2コマ目は文型3・4・5と会話、練習Cです。普通形があやふやなクラスでは、最初に第20課の普通形の表で10分ほど確かめる時間を取ると、文型4・5で止まらなくなります。
「わたしが生まれたのは〜です」で、なぜ「わたしは」ではなく「わたしが」になるのですか?
「わたしが生まれた」は「の」の前に入った小さな文で、中の文の主語は「が」で表すからです。第22課の「わたしが住んでいる部屋」と同じ規則なので、その板書を出して比べると早く納得します。「は」は文全体の話題を示す印で、この文では「〜のは」の一つだけ、と説明します。
この課に関係する用語・解説・練習問題
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。