日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

みんなの日本語 初級Ⅱ 第26課「ごみはどこに出したらいいですか」の教案

『みんなの日本語 初級Ⅱ 第2版 本冊』 ・ 会話「ごみはどこに出したらいいですか」

初級Ⅱの最初の課で、文末に「〜んです」を付ける言い方を集中して扱います。見たこと・聞いたことをきっかけに「〜んですか」と事情をたずね、「〜んです」で理由や事情を説明し、さらに「〜んですが、」で事情を先に言ってから頼む・助言を求める、という三つの使い方を一つずつ積み上げます。形の上では第20課の普通形に「んです」を付けるだけですが、な形容詞と名詞の「だ」が「な」に変わる点だけは毎回口に出させます。「〜んです」は何でも付ければ丁寧になる表現ではなく、「その場の事情」と結びつく表現だということを、場面を見せながら伝えるのがこの課の芯です。使いすぎると相手を問い詰める感じになることも、早めに一言添えておきます。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。文型の表記は出版社のシラバス一覧に合わせています。
学習項目5時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 見たこと・聞いたことをきっかけに「〜んですか」で相手の事情をたずねられる
  • 「どうして〜んですか」と理由を聞き、「〜んです」で理由や事情を説明できる
  • 「〜んですが、〜ていただけませんか」で事情を先に言ってから、ていねいに頼める
  • 「〜んですが、どこに(何を・どう)〜たらいいですか」で、わからないことのやり方を人にたずねられる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(普通形の復習と初級Ⅱへのつなぎ)15分第20課の普通形の板書(動詞・い形容詞・な形容詞・名詞の四列、現在・過去・肯定・否定)を復活させ、カードで「行きます→行く」「静かです→静かだ」「学生です→学生だ」を速く言わせる。最後に「静かだ→静かな」「学生だ→学生な」と赤で書き換え、「今日はこの形を使います」とだけ言う
文型1(普通形+んですか)35分教師が大きな荷物を持って教室に入る、上着を着て帽子をかぶる、などの動作を見せ、学生に「どこへ行くんですか」と聞かせる。普通形の四列の横に「+んですか」を書き、「見たことについて聞く」と矢印で示す
文型2・3(どうして〜んですか/〜んです)40分疲れた顔・かさを二本持って来た学生などの場面で「どうして〜んですか」「〜んです」のやり取り。続けて「どうしたんですか」「頭が痛いんです」のように、聞かれた事情を「〜んです」で説明する型に広げる。1コマ目はここまで
文型4(〜んですが、〜ていただけませんか)30分「〜てください」との丁寧さの差を、相手(友達・先生)を替えて見せる。「事情+んですが、」を先に言うと頼みやすくなることを、言う・言わないの二通りで比べる
文型5(〜んですが、疑問詞〜たらいいですか)30分ごみの分け方の絵、駅の切符売り場の絵などで、やり方がわからない人がたずねる場面を作る。第25課の「〜たら」のた形をカードで一度確かめてから入る
会話15分引っ越してきたばかりの人が、ごみの出し方を管理人にたずねる流れ。「〜んですが、〜たらいいですか」と「〜ていただけませんか」がどこで出るかに印を付けさせ、役割を替えて読む
練習C・問題15分練習Cは「〜んですか」で声をかける場面・理由を言う場面・頼む/やり方を聞く場面の三つ。問題は聞き取りを教室で、文法の部分は宿題に

学習項目 1 〈V/いA/なA/N 普通形(〜だ→〜な)〉んですか

意味・はたらき文型 1

相手の様子や持ち物を見て、または話を聞いて、「それはどういうことですか」と事情をたずねる言い方です。ただの質問(「行きますか」)と違い、目の前の何か(見たこと・聞いたこと)がきっかけになっていることを相手に示します。そのため、関心を持っていることが伝わり、会話が自然に始まります。一方で、きっかけが無いのに使ったり、目上の人に何度も使ったりすると、問い詰めているように聞こえることがあります。話し言葉では「んです」、書き言葉では「のです」になります。文法の用語では「ノダ文」と呼ばれ、話し手が目の前の状況や前の話と結びつけて説明を求めたり示したりする、説明のモダリティの一つとして扱われます。

接続

普通形+んですか(V: 行くんですか・行かないんですか・行ったんですか/いA: 高いんですか/なA: 静かなんですか/N: 休みなんですか。なAとNの現在肯定は「だ」が「な」に変わる。過去は「静かだったんですか」「休みだったんですか」でそのまま)

形
(大きな荷物を見て)旅行に行くんですか(新しい時計を見て)その時計、高かったんですか(にぎやかな声を聞いて)きょうは何か あるんですか(教室にだれもいないのを見て)きょうは休みなんですか

導入

  • 教師の様子を見て聞かせる教師が大きなかばんと傘を持ち、上着を着て教室に入る。学生に「先生、どこへ……」と途中まで言い、「どこへ行くんですか」と言わせる。続けて、ぬれた傘を持って入る(「雨が降っているんですか」)、新しいくつをはく(「新しいくつを買ったんですか」)、と三つほど見せて、見たことがきっかけで聞いていることを体で分からせる。
  • 普通形の四列に「んですか」を足す板書に動詞・い形容詞・な形容詞・名詞の四列の普通形を書き、右に「+んですか」を付ける。な形容詞と名詞だけ「だ」を消して「な」を赤で書き、「静かなんですか」「休みなんですか」と全員で言う。過去の「だった」はそのまま、と同じ板書の下の段で見せる。

板書案

普通形 + んですか
V 行く → 行くんですか  いA 高い → 高いんですか
なA 静かだ → 静かなんですか  N 休みだ → 休みなんですか
過去は そのまま: 静かだったんですか/休みだったんですか
(大きな かばんを 見て)旅行に 行くんですか。
〔赤〕だ → な(なA・N の現在だけ)  〔青〕見たこと → 聞く の矢印

場面と発話(自作)

  • 朝、同じ会社の人がとても疲れた顔で来た。心配して声をかける。きのう 遅くまで 仕事を したんですか。
  • 友達の部屋に遊びに行ったら、ギターが置いてあった。ギターを弾くんですか。
  • クラスメートが国のお菓子を持ってきてくれた。とてもおいしい。これ、おいしいですね。国の お菓子なんですか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

持ち物や様子の絵カード(大きなかばん・ぬれた傘・新しいカメラ・きれいな花)を出して「〜んですか」の代入練習(練習Bの型)。な形容詞・名詞のカードを混ぜて「〜なんですか」を何度も言わせる。次にペアで、相手の持ち物や服を一つ見つけて「〜んですか」と聞き、相手が「ええ、〜んです」と答える(練習Cの型)。

  1. 口頭持ち物や様子の絵カードを見せ、教師がキューを出す(大きなかばん →「旅行・行く」、ぬれたかさ →「雨・降っている」、新しいカメラ →「買った」、だれもいない教室 →「休み」、静かな部屋 →「静か」)。全員で「旅行に行くんですか」→ 列 → 個人の順に言わせる。2周目はキューを普通形だけ(「休みだ」「静かだ」)にして、学生が「休みなんですか」「静かなんですか」と「な」に変えて返す。な形容詞・名詞のカードを3枚に1枚は混ぜ、「だ」が残ったら黒板の赤い「な」を指すだけで言い直させる。
  2. ペアAに「週末にしたこと・これからすること」の絵カード(買い物・映画・料理・山)を3枚持たせ、1枚ずつBに見せる。Bは絵を見て「〜んですか」と聞き、Aは「ええ、〜んです」か「いいえ、〜んです」(本当のことを言い直す)で答える。3枚で交替。慣れたら、Aはカードを見せずに様子だけを演技し(あくびをする・かさを振る)、Bはその様子から「〜んですか」で聞く。
  3. 産出「見つけて聞こう」:学生は教室を歩き、クラスメートの持ち物・服・様子から一つ見つけて「〜んですか」と聞き、相手の答えを一言メモする。3人と話したら席に戻り、何を見て何を聞いたかを隣の人に話す。教師が見るのは、な形容詞・名詞の「だ→な」、「*行きますんですか」のような丁寧形への接続、見たことと関係のない、相手の生活に入りすぎる質問になっていないか、の3点。3点目はその場で止めず、終わってから全体で一例だけ取り上げる。

つまずきと手当て

  • な形容詞・名詞で「だ」を残す(*静かだんですか、*学生だんですか)。板書の赤い「な」を指し、「だ+ん」は無い、と言い切る。過去の「だった」まで「な」にする誤り(*休みなったんですか)も同じ板書で直す
  • 丁寧形に付ける(*行きますんですか、*高いですんですか)。「んです」の前は必ず普通形、と四列の板書に戻る
  • きっかけが無いのに使う、または目上の人に続けて使う(初対面で「結婚しているんですか」と何度も聞く)。見たこと・聞いたことがあるときの質問で、知らない人の生活に入りすぎると失礼に聞こえる、と場面で比べて見せる

既習の文型との違い

  • 〈普通形〉でしょう?(第21課)第21課の「〜でしょう?」は、話し手がそう思っていることを相手に確かめる言い方です。「〜んですか」は、話し手が知らないことについて、見たことをきっかけに相手に説明を求める言い方です。「雨が降っているでしょう?」は話し手がもう知っていて同意を求め、「雨が降っているんですか」はぬれたかさを見て事情を聞いています。名詞・な形容詞は「でしょう」の前では「だ」が消え、「んですか」の前では「な」になるので、「*休みなでしょう?」「*休みんですか」のように形も混ざりやすいところです。
  • 動詞普通形、動詞文普通体(第20課)第20課の普通形は、友達や家族との会話で文の終わりに使う形でした。この課ではその普通形が文の途中に入り、後ろに「んです」が付いて、文全体は丁寧な文になります。学習者は「普通形=くだけた話し方」と覚えているので、先生に普通形を使ってよいのかと戸惑います。「んです」の前の普通形は部品で、丁寧さは最後の「です」で決まる、と説明します。
関連する文型

学習項目 2 どうして〈普通形(〜だ→〜な)〉んですか / …〈普通形(〜だ→〜な)〉んです

意味・はたらき文型 2

「どうして〜んですか」で理由をたずね、「〜んです」で理由を説明するやり取りです。理由を聞くときは、「どうして〜ますか」より「どうして〜んですか」のほうが自然で、会話ではふつうこちらを使います。答えるときも、「〜からです」のほかに「〜んです」で事情を説明する言い方がよく使われます。「〜んです」で答えると、ただ理由を述べるより、「こういう事情があるんです」と相手に分かってもらおうとする気持ちが出ます。

接続

どうして+普通形+んですか ── 普通形+んです(なA・Nの現在肯定は「〜なんです」。答えの前に「〜からです」を使ってもよい)

形
どうして きのう 来なかったんですか ── 熱があったんですどうして 駅まで 歩くんですか ── 自転車が 壊れたんですどうして この店に よく 来るんですか ── 安くて おいしいんですどうして 引っ越すんですか ── 今の部屋は 駅から 遠いんです

導入

  • かさを二本持って来た学生に前もって一人の学生に頼み、晴れているのにかさを二本持って教室に入って来てもらう。教師がかさを指して「どうしてかさを二本持っているんですか」、学生が「一本は友達に返すんです」。板書は質問と答えを上下に並べ、「どうして」と「理由」を線で結ぶ。「どうしてかさを二本持っていますか」と言い換えて見せ、日本語では「んですか」のほうが自然、と一言だけ添える。
  • 答え方を二つ並べる同じ質問に「熱があったからです」と「熱があったんです」の二つで答え、どちらも使えるが、「んです」は事情を分かってほしい気持ちがこもる、と表情を変えて言い分ける。区別を細かく説明せず、会話では「んです」で答える練習を多めにする。

板書案

どうして + 普通形 + んですか。
── 普通形 + んです。 / ── 普通形 + からです。
どうして きのう 休んだんですか。 ── 熱が あったんです。
どうして 日本語を 勉強するんですか。 ── 日本の 会社で 働きたいんです。
〔線〕「どうして」と「理由」を 線で 結ぶ
〔赤〕からです か んです の どちらか 一つ  〔青〕なA・N → 〜なんです

場面と発話(自作)

  • いつも元気な友達が、きょうは何も食べていない。どうして食べないんですか。── おなかが痛いんです。
  • アルバイト先で、店長に「来週の土曜日は休みたい」と言ったら、理由を聞かれた。どうして休むんですか。── 国から 母が 来るんです。
  • クラスメートが同じ辞書を二つ持っている。どうして二つ あるんですか。── 一つは 妹に あげるんです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

原因と結果の二枚一組の絵カード(休んだ人と熱・歩く人と壊れた自転車など)で、教師が一枚目を見せて学生が「どうして〜んですか」、二枚目を見せて別の学生が「〜んです」と答える代入練習(練習Bの型)。次にペアで、自分の最近の行動(引っ越し・アルバイト・旅行など)を一つ言い、相手が理由をたずねる(練習Cの型)。

  1. 口頭行動と理由の2枚組カードを使う。教師が1枚目を見せてキューを出し(「きのう・休みました」「タクシーで・来ました」「早く・帰ります」)、学生が「どうしてきのう休んだんですか」と聞く。続けて2枚目を見せ(「熱」「時間がない」「子どもが病気」)、別の学生が「熱があったんです」「時間がなかったんです」「子どもが病気なんです」と答える。全員 → 列 → 個人。名詞のカード(病気・試験・休み)を混ぜ、「〜なんです」を毎回口に出させる。
  2. ペア同じ人物の絵が並んだシートを2種類用意し、Aのシートには行動だけ、Bのシートには理由だけを書いておく(インフォメーション・ギャップ)。Aが行動を見て「(名前)さんはどうして〜んですか」と聞き、Bが自分のシートを見て「〜んです」と答え、Aは理由を書き込む。4人分で交替し、最後に二人でシートを見比べて答え合わせをする。
  3. 産出「理由インタビュー」:前の時間に「最近したこと・これからすること」を一つ決めてこさせる(引っ越し・アルバイト・旅行・料理教室など)。ペアで一人が言うと、相手は「どうして〜んですか」で理由を2回まで聞き、聞いた人がクラスに「(名前)さんは〜。〜からです」と一文で伝える(伝えるときは第9課の「から」を使う)。教師が見るのは、答えが「〜です」だけで終わっていないか、「*からんです」の重ね、名詞・な形容詞の「な」の3点。

つまずきと手当て

  • 質問は「んですか」なのに、答えを「〜です」だけで終える(どうして来なかったんですか ──「熱です」)。理由の文の形(熱があったんです/熱があったからです)で答える、と板書の線を指す
  • 「から」と「んです」を重ねて形が崩れる(*熱があったからんです)。「からです」か「んです」のどちらか一つ、と二つの答えを並べた板書に戻る
  • 名詞・な形容詞で「な」が落ちる(*あしたは試験んです)。「試験なんです」と、文型1の赤い「な」をもう一度言わせる

既習の文型との違い

  • 〈文〉から(理由)、〈文〉(第9課)第9課では「どうしてですか」「〜からです」で理由を言いました。この課の「〜んです」は、理由を述べるだけでなく、相手に事情を分かってほしいという気持ちが加わります。両方を続けて練習すると「*熱があったからんです」と重ねる誤りが出るので、「からです」か「んです」のどちらか一つ、と板書で分けます。第9課の、文の前半に理由を置く「熱がありましたから、休みました」の形は、この課でもそのまま使えます。
  • どうして〜ましたか(「んです」を使わない質問)理由を聞く質問は「どうして休みましたか」でも文としては正しいのですが、会話では「どうして休んだんですか」のほうがふつうです。学習者は質問を「〜ましたか」、答えを「〜んです」と片方だけ変えることが多いので、質問と答えを上下に並べた板書で、両方に「ん」が入ることを確かめます。
関連する文型

学習項目 3 〜。〈普通形(〜だ→〜な)〉んです

意味・はたらき文型 3

相手に聞かれたことや、その場の状況について、話し手が「実はこういう事情なんです」と説明を加える言い方です。「どうしたんですか」と聞かれて「頭が痛いんです」と答える、約束に遅れて「すみません。目覚まし時計が鳴らなかったんです」と自分から事情を言う、といった使い方が代表的です。同じ内容を「頭が痛いです」と言うと、ただの報告になり、相手の問いや状況とのつながりが弱く聞こえます。ただし、何の状況もないのに「わたしは〜なんです」と言うと、何かの言い訳をしているように聞こえることがあります。

接続

(状況・相手の問い)+普通形+んです(なA・Nの現在肯定は「〜なんです」)

形
どうしたんですか ── 頭が痛いんですすみません。目覚まし時計が 鳴らなかったんです元気が ないですね ── 国の 家族に 会いたいんですこの部屋、ちょっと 寒いんです。窓を 閉めても いいですか

導入

  • 「どうしたんですか」に答える教師がおなかを押さえる・足を引きずる・何かを探す、などの動作をし、学生に「どうしたんですか」と聞かせて「おなかが痛いんです」「財布が無いんです」と答える。板書は「どうしたんですか」の下に答えを三つ並べ、どれも「その様子のわけ」だと矢印で示す。
  • 自分から事情を言う教師が遅れて教室に入り、何も言わずに座る場面と、「すみません。電車が止まったんです」と言ってから座る場面を続けて見せ、どちらが自然か学生に聞く。聞かれなくても、相手に分かってほしい事情は「〜んです」で先に言う、と一行で書く。

板書案

どうしたんですか。 ── 普通形 + んです。
頭が 痛いんです。  かぎが ないんです。
すみません。目覚まし時計が 鳴らなかったんです。(聞かれる前に 自分から)
すみません。きょうは ちょっと 用事が あるんです。(断る)
〔矢印〕様子 → わけ  〔青〕「〜です」だけ → ただの 報告

場面と発話(自作)

  • 授業中、クラスメートの顔色が悪い。先生が「どうしたんですか」と聞いた。かぜを ひいたんです。ちょっと 熱が あるんです。
  • 約束の時間に20分遅れて、待っていた友達に会った。すみません。道が わからなかったんです。
  • 会社の人に飲みに行こうと誘われたが、きょうは行けない。すみません。きょうは ちょっと 用事が あるんです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

体の調子・困ったことの絵カード(頭痛・けが・忘れ物・道に迷うなど)で、「どうしたんですか」「〜んです」の代入練習(練習Bの型)。次に、遅れた・宿題を忘れた・誘いを断る、の三つの場面カードを引き、自分から「すみません。〜んです」と事情を言う練習(練習Cの型)。断るときは「ちょっと〜んです」で終えてよいことをここで見せる。

  1. 口頭様子の絵カード(おなかを押さえる人・かぎを探す人・元気がない人・暑そうな人)を見せ、教師が「どうしたんですか」と聞く。学生はカードの裏の語(「おなか・痛い」「かぎ・ない」「国の家族・会いたい」「この部屋・暑い」)を見て「おなかが痛いんです」と答える。全員 → 個人。2周目は教師が絵の様子を演技し、学生が「どうしたんですか」と聞く側と答える側を両方言う。
  2. ペアAがカードを1枚引き、黙ってその様子を演技する。Bは「どうしたんですか」と聞き、Aが「〜んです」と答え、Bは「大丈夫ですか」「お大事に」などで一言返す。4枚で交替。慣れたら、Bが返事のあとに「どうして〜んですか」ともう一度聞き、文型2につなげる。
  3. 産出「すみません、じつは……」ロールプレイ:遅れて来た・宿題を忘れた・誘いを断る、の場面カードを引き、相手役(先生・友達・会社の人)の前で、聞かれる前に自分から「すみません。〜んです」と事情を言う。断りは「ちょっと〜んです」で止めてよい。教師が見るのは、事情を言わずに謝るだけになっていないか、理由を三つ四つ並べて長くなっていないか。長くなった学生には一文で言い直させる。

つまずきと手当て

  • 様子を聞かれて「〜です」だけで答える(どうしたんですか ──「頭が痛いです」)。間違いではないが報告に聞こえるので、「わけを言うときは『んです』」と、動作を見せた導入に戻って言い直させる
  • 状況が無いのに自己紹介などで使う(初対面で「わたしはタイ人なんです」)。前に相手の問いや場面があるときの説明の形、と導入の板書の矢印を示す
  • 断りや言い訳で「んです」の後に理由をいくつも続けて長くなる。日本語では「ちょっと用事があるんです」くらいで止めるほうが自然なことが多い、と短い形を示す

既習の文型との違い

  • どうして〈普通形(〜だ→〜な)〉んですか / …〈普通形(〜だ→〜な)〉んです(この課の文型2)文型2は「どうして」と聞かれて理由を答えるやり取りで、文型3は「どうしたんですか」に様子のわけを答えたり、聞かれる前に自分から事情を言ったりする使い方です。形は同じ「〜んです」なので、違いは前にある問いや場面だけです。文型3は問いが無くても使えるので、遅れて教室に入る場面のように、相手が知りたいことを先に言う練習で区別させます。
  • 〈文〉から(理由)、〈文〉(第9課)誘いを断るとき、第9課の「すみません。用事がありますから」も、この課の「すみません。ちょっと用事があるんです」も事情を言っています。「〜から。」で文を終えると理由を言い張るように強く聞こえることがあり、「〜んです」で止めるほうがやわらかく聞こえます。断りの場面では「ちょっと〜んです」を勧めます。
関連する文型

学習項目 4 〈普通形(〜だ→〜な)〉んですが、 / 〈Vて形〉いただけませんか

意味・はたらき文型 4

まず「〜んですが、」で自分の事情を言い、そのあとで「〜ていただけませんか」とていねいに頼む言い方です。「〜んですが、」は話の前置きで、これから頼みたいことや聞きたいことの背景を相手に知らせるはたらきをします。「〜ていただけませんか」は、第14課の「〜てください」よりずっとていねいで、目上の人や知らない人に頼むときに使います(「いただけ」はこの段階ではかたまりで覚え、形の成り立ちは可能形を習う第27課以降でよい)。事情が相手に伝われば、頼みの部分を言わずに「〜んですが……」で止めることも会話ではよくあります。

接続

普通形+んですが、+Vて形+いただけませんか(なA・Nの現在肯定は「〜なんですが」)

形
駅までの 道が わからないんですが、地図を かいて いただけませんかこの漢字の 読み方が わからないんですが、教えて いただけませんかあしたは 病院へ 行くんですが、授業を 休んでも いいですかコピー機の 使い方が わからないんですが……

導入

  • 「てください」と比べる学生同士で「ペンを貸してください」、次に教師に対して同じことを言わせ、教師が少し困った顔をする。そこで「ペンを忘れたんですが、貸していただけませんか」と言い直して見せる。板書は「〜てください(友達)」「〜ていただけませんか(先生・知らない人)」を上下に並べ、上から下へていねいになる矢印を書く。
  • 事情を先に言う効果同じ頼みを、いきなり「この漢字を教えていただけませんか」と言う場合と、「この漢字の読み方がわからないんですが、」を前に付ける場合の二通りで言い、受ける側の教師がどちらで答えやすいかを表情で見せる。板書は「事情+んですが、」「頼み」を二つの箱にし、最初の箱だけで止めても相手に伝わる、と点線で示す。

板書案

事情 + んですが、 頼み + Vて いただけませんか。
ペンを 忘れたんですが、貸して いただけませんか。
〜て ください(友達)
 ↓ ていねい
〜て いただけませんか(先生・知らない 人)
〔点線〕「〜んですが……」で 止めても いい  〔赤〕いただけ

場面と発話(自作)

  • 大学の事務室で、書類の書き方がわからない。受付の人に頼む。この紙の 書き方が よく わからないんですが、教えて いただけませんか。
  • あした引っ越しをするが、荷物が多い。同じアパートの、少し知っている人に頼む。あした 引っ越しなんですが、ちょっと 手伝って いただけませんか。
  • 来週、日本語のスピーチ大会に出る。先生に練習を聞いてほしい。先生、来週 スピーチを するんですが、時間が あるとき、練習を 聞いて いただけませんか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「困っていること」のカード(読めない・わからない・忘れた・壊れた)と「頼むこと」のカード(教えて・貸して・直して・見て)を組にして、「〜んですが、〜ていただけませんか」の代入練習(練習Bの型)。次に、相手を先生・事務の人・友達のカードで替え、友達なら第14課の「〜てください」でもよい、と言い分ける場面練習(練習Cの型)。

  1. 口頭事情と頼みのカードを組にしてキューを出す(「ペン・忘れた/貸す」「この漢字・わからない/教える」「スピーチ・する/聞く」「あした・引っ越しだ/手伝う」)。全員で「ペンを忘れたんですが、貸していただけませんか」→ 個人。「いただけませんか」が「いただきませんか」に崩れたら、そこだけを全員で3回言う。次に前半だけを言って止める練習をし、教師が「ああ、いいですよ」と受けて、前置きだけで頼みが伝わることを体で分からせる。
  2. ペア「頼む人」と「頼まれる人」。頼まれる人は相手のカード(先生・事務の人・友達)を胸に持ち、頼む人は相手を見て言い方を選ぶ。友達なら第14課の「〜てください」でもよく、先生・事務の人には「〜んですが、〜ていただけませんか」。頼まれる人は「いいですよ」か「すみません、ちょっと……」で答える。5回で交替。
  3. 産出「お願いカード」:学生が自分の生活で本当に困っていること(書類・アパート・アルバイト・日本語の宿題)を一つカードに書き、だれに頼むかを決めて、事情 → 頼みの二文で言う。一組ずつクラスの前で演じ、聞いている学生は「事情を先に言ったか」「相手に合った言い方か」を手を挙げて判定する。教師が見るのは、「*教えていただきませんか」の取り違え、「*わからないですんですが」のような丁寧形への接続、先生役に「〜てください」だけで頼んでいないか。

つまずきと手当て

  • 「いただけませんか」を「いただきませんか」と言う(*教えていただきませんか)。「〜ませんか」の誘い(第6課)と混ざっている。「いただけ」はこの形のまま、とかたまりで繰り返し言わせる
  • 前置きを丁寧形にする(*わからないですんですが、*わかりませんんですが)。「んですが」の前は普通形、と文型1の四列の板書で確かめる
  • 目上の人に「〜てください」で頼んで、命令のように聞こえる。「〜てください」は指示にも使うので、お願いするときは「〜ていただけませんか」、と二段の板書の矢印を示す

既習の文型との違い

  • 〈Vて形〉ください(第14課)第14課の「〜てください」は頼みにも指示にも使う形で、先生が学生に言う「ここに名前を書いてください」のように、相手がそうするのが当然という響きを持つことがあります。「〜ていただけませんか」は、相手がしてくれるかどうかをたずねる形なので、目上の人や知らない人に頼むときに合います。学習者は目上の人にも「〜てください」で頼みがちなので、相手のカードを替えて言い分けさせます。
  • わたしは〈人〉に〈Vて形〉もらいます(第24課)「〜ていただけませんか」は、第24課の「〜てもらいます」の仲間で、動作をしてもらうのは話し手です。「先生にスピーチを聞いてもらいました」と同じ向きだと示すと、だれが何をするのかがはっきりします。「もらう」のていねいな形や可能形としての成り立ちは後の課に回し、この課では頼むときの決まった形として結びつけるだけにします。
関連する文型

学習項目 5 〈普通形(〜だ→〜な)〉んですが、 / 疑問詞〈Vた形〉らいいですか

意味・はたらき文型 5

「〜んですが、」で自分の状況を言い、そのあとで「どこに(何を・どう・だれに)〜たらいいですか」と、どうすればよいかを相手にたずねる言い方です。やり方・場所・相手などがわからなくて、アドバイスや指示がほしいときに使います。「〜たら」は第25課で習った形で、「〜たらいいですか」全体で「どうするのがよいか」を聞く意味になります。答えるほうは「〜たらいいですよ」「〜てください」で教えます。

接続

普通形+んですが、+疑問詞(どこ・何・どう・だれ・いつ など)+Vた形+らいいですか

形
ごみを 出したいんですが、どこに 出したら いいですか日本の 料理を 習いたいんですが、どこで 習ったら いいですかパソコンが 動かないんですが、どう したら いいですかかぎを なくしたんですが、だれに 言ったら いいですか ── 管理人に 言ったら いいですよ

導入

  • ごみの分け方の絵で燃えるごみ・瓶・缶などの絵と、ごみ置き場の絵を黒板に貼る。教師が瓶を持って困った顔をし、「瓶を捨てたいんですが、どこに出したらいいですか」と言う。学生に置き場の絵を指してもらい、「ここに出したらいいですよ」と答える。板書は「状況+んですが、」「疑問詞+たら いいですか」の二つの箱。
  • 疑問詞を入れ替える同じ枠のまま、疑問詞のカード(どこに・何を・どう・だれに・いつ)を一枚ずつ差し込んで、それぞれに合う状況(何を持って行ったら/どうしたら/だれに聞いたら)を学生と一緒に作る。「どうしたらいいですか」は困ったときに一番よく使う形として、かたまりで言えるようにする。

板書案

事情 + んですが、 疑問詞 + Vた + ら いいですか。
出します → 出した → 出したら
ごみを 出したいんですが、どこに 出したら いいですか。
── あそこに 出したら いいですよ。
〔差し込み〕どこに/何を/どう/だれに/いつ
〔赤〕〜たら いいですか(やり方を 聞く) ⇔ 〔青〕〜ても いいですか(許可)

場面と発話(自作)

  • 日本に来たばかりで、銀行でお金を国に送りたい。銀行の人にたずねる。国に お金を 送りたいんですが、どう したら いいですか。
  • 来月、日本人の友達の結婚式に行く。日本の結婚式は初めてで、会社の日本人の先輩にたずねる。日本の 結婚式は 初めてなんですが、何を 着て 行ったら いいですか。
  • 電車に忘れ物をした。駅員にたずねる。電車に かばんを 忘れたんですが、どこへ 行ったら いいですか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

困った状況のカード(ごみ・忘れ物・病気・道・手続き)と疑問詞カードを組にして、「〜んですが、疑問詞〜たらいいですか」の代入練習(練習Bの型)。た形の言い換えが詰まる学生には、先に「出します→出した→出したら」の三段だけを速く言わせる。次に、町の役所・駅・アパートの管理人など役を決めたロールプレイで、たずねる側と教える側を交代する(練習Cの型)。

  1. 口頭先にた形の三段(「出します → 出した → 出したら」「行きます → 行った → 行ったら」「します → した → したら」)を速く言わせてから、状況カードと疑問詞カードを組にしてキューを出す(「ごみ・出したい+どこに・出す」「かぎ・なくした+だれに・言う」「日本語・上手になりたい+どう・勉強する」「友達の誕生日+何を・あげる」)。全員 → 個人で「〜んですが、疑問詞〜たらいいですか」。最後に「どうしたらいいですか」だけをかたまりで3回。
  2. ペア「町の案内所」:Bには町の地図とお知らせ(ごみの日・病院や郵便局の時間)を渡し、Aには困りごとのカードだけを渡す(インフォメーション・ギャップ)。Aが「〜んですが、疑問詞〜たらいいですか」と聞き、Bが地図とお知らせを見て「〜たらいいですよ」と教える。3枚で交替する。
  3. 産出「生活相談ロールプレイ」:アパートの管理人・駅員・銀行の人などの役を決め、相談する側は自分が日本(または今住んでいる町)で実際に困ったことを使う。教える側は「〜たらいいですよ」「〜てください」で答え、相談した側が「わかりました。ありがとうございました」で終える。教師が見るのは、た形の作り方(*行いたら・*出しったら)、「どこに出してもいいですか」と許可の形に取り違えていないか、前置きなしでいきなり「どうしたらいいですか」と言っていないか。

つまずきと手当て

  • た形の作り方を間違える(*書きたら、*行いたら、*出しったら)。第19課・第25課のた形カードを数枚回してから入り、「〜たら」の前は必ずた形、と板書に書いておく
  • 「〜たらいいですか」を「〜てもいいですか」と混ぜる(「どこに出してもいいですか」と言う)。「〜てもいいですか」は許可を求める形(第15課)、「〜たらいいですか」はやり方を聞く形、と二つを並べて意味の違いを場面で見せる
  • 前置きを省いていきなり「どうしたらいいですか」だけを言い、相手に何の話かが伝わらない。「〜んですが、」で状況を先に言うと相手が答えやすい、と文型4の二つの箱の板書につなげる

既習の文型との違い

  • 〈Vて形〉もいいですか(第15課)第15課の「〜てもいいですか」は、自分がしようとしていることを相手が許すかどうかを聞く形で、答えは「はい、いいですよ」「すみません、ちょっと……」です。「〜たらいいですか」は、どうするのがよいか分からないときにやり方を聞く形で、答えは「〜たらいいですよ」「〜てください」です。「ここに出してもいいですか」と「どこに出したらいいですか」を並べ、答えの形の違いから見分けさせます。
  • 〈Vた形〉ら、〜(確定条件)(第25課)第25課の「〜たら」は「駅に着いたら、電話します」のように、前のことが起きたあとで後ろのことをする、という言い方でした。この課の「〜たらいいですか」も同じた形+らを使いますが、文全体で「どうすればよいか」を聞く決まった形です。条件の意味を説明し直す必要はなく、た形の作り方を第25課のカードで確かめてから入ります。
関連する文型

語彙の扱い

この課の新出語は、ごみの出し方や町の生活の語(ごみ・瓶・缶・置き場 など)、困ったときに使う動詞(探します・遅れます・間に合います・連絡します など)が中心です。ごみの語は実物や絵カードで文型5の場面にそのまま使い、動詞は普通形と「〜んです」の形を1組にして練習で出します。「何でも」「どこでも」のような疑問詞+でもの語は、文で覚えさせ、単語だけで説明しません。下の語は、この課の文型の練習で使いやすい語を選んだもので、教科書の新出語の一覧ではありません。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 遅れます(おくれます) 決まった時間より、あとになります。 授業に〜・電車が〜・10分〜
    約束の時間に遅れて、待っていた友達に会った。
    「すみません。電車が 遅れたんです。」
  • 間に合います(まにあいます) 決まった時間までに、着いたり終わったりします。 電車に〜・授業に〜
    友達が駅のほうへ走っている。
    「どうして 走るんですか。」「8時の 電車に 間に合わないんです。」
  • 探します(さがします) なくした物やほしい物を、見つけようとします。 かぎを〜・アパートを〜・アルバイトを〜
    友達が机の下やかばんの中を見ている。
    「何を 探して いるんですか。」「かぎが ないんです。」
  • 連絡します(れんらくします) 電話やメールで、相手に知らせます。 会社に〜・先生に〜・あとで〜
    あしたアルバイトを休みたいが、だれに知らせるか分からない。
    「あした 休みたいんですが、だれに 連絡したら いいですか。」
  • 忘れます(わすれます) 持って来る物を持って来なかったり、覚えていたことが分からなくなったりします。 宿題を〜・かさを〜・名前を〜
    先生に「宿題は?」と聞かれた。
    「すみません。うちに 忘れたんです。」
  • 貸します(かします) 自分の物を、少しの間ほかの人に使わせます。 ペンを〜・辞書を〜・お金を〜
    授業の前に、辞書を持って来なかったことに気がついた。先生に頼む。
    「辞書を 忘れたんですが、ちょっと 貸して いただけませんか。」
  • 教えます(おしえます) 知っていることを、ほかの人が分かるように話します。 道を〜・漢字を〜・電話番号を〜
    駅で、行きたい病院への道が分からない。駅員に頼む。
    「さくら病院へ 行きたいんですが、道を 教えて いただけませんか。」
  • 手伝います(てつだいます) ほかの人の仕事をいっしょにして、その人を助けます。 引っ越しを〜・仕事を〜
    土曜日に引っ越しをする。同じアパートの人に頼む。
    「土曜日に 引っ越すんですが、ちょっと 手伝って いただけませんか。」
  • 出します(だします) ごみを決まった場所に持って行って置きます。手紙やレポートを送るときにも使います。 ごみを〜・手紙を〜・レポートを〜
    引っ越したばかりで、ごみの日が分からない。管理人にたずねる。
    「ごみを 出したいんですが、何曜日に 出したら いいですか。」
  • 痛い(いたい) 体のどこかが悪くて、つらいと感じるようすです。 頭が〜・おなかが〜・歯が〜
    友達が頭を押さえて座っている。
    「どうしたんですか。」「頭が 痛いんです。」
  • 用事(ようじ) しなければならない、ちょっとした仕事や約束です。 〜があります・ちょっと〜
    会社の人に食事に誘われたが、きょうは行けない。
    「すみません。きょうは ちょっと 用事が あるんです。」
  • 初めて(はじめて) 前に一度もしたことがなくて、今度がいちばん最初です。 〜です・〜行きます・日本は〜
    来月、日本の友達の結婚式に行く。何を持って行くか分からない。
    「日本の 結婚式は 初めてなんですが、何を 持って 行ったら いいですか。」

会話の扱い

会話は、引っ越してきたばかりの人が、ごみの出し方がわからなくて管理人にたずねる、という流れです。前置きの「〜んですが、」から「どこに〜たらいいですか」「〜ていただけませんか」へと進む部分が、この課の文型4・5がそのまま使われる場面になっています。最初は音声か教師の読みで流れをつかませ、ごみの日・置き場所など、たずねている内容を絵で確かめてから、役割を替えて二回読みます。そのあと、ごみを「自転車を止める場所」「荷物の受け取り」など学生の生活に近い困りごとに置き換えて再現させます。地域によってごみの分け方や出す日が違うので、学生の住んでいる町のルールを話題にすると身近になります。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。

宿題と次のコマ

宿題は問題の文法部分と、「いま困っていること」を一つ選び、「〜んですが、〜たらいいですか」と「〜んですが、〜ていただけませんか」の二文で人にたずねる文を書くこと。次のコマの最初に普通形+んです(特に「〜なんです」)のカードテストをし、宿題の文をペアで発表し合ってから、第27課の可能形に入る。第27課の会話でも可能形に「〜んです」が付くので、この課の四列の板書は写真に撮っておく。

よくある質問

  • 第26課の「〜んです」はどう導入すればいいですか?

    教師が大きなかばんを持って教室に入る、ぬれたかさを持って来るなど、学生が見て思わず聞きたくなる様子を作り、「どこへ行くんですか」「雨が降っているんですか」と学生に言わせるところから始めます。意味を説明するより先に、「見たことがきっかけで聞く」場面を三つほど続けて見せます。そのあとで第20課の普通形の四列に「+んですか」を足し、な形容詞と名詞だけ「だ」が「な」に変わることを赤で書きます。

  • 「〜んですか」と「〜ますか」の違いは何ですか?

    「行きますか」は相手の予定をただたずねる質問で、「行くんですか」は大きな荷物を見たなど、目の前のきっかけがあって事情の説明を求める質問です。そのため「〜んですか」は関心を示して会話を始めやすい一方、きっかけが無いのに使ったり、目上の人に何度も使ったりすると問い詰めるように聞こえます。教室では同じ「旅行に行く」で、荷物の絵がある場合と無い場合を比べて見せると違いが伝わります。

  • 「静かなんです」「休みなんです」の「な」はどう教えますか?

    普通形の四列のうち、な形容詞と名詞の現在肯定だけ「だ」を消して「な」を赤で書き、「だ+ん」の形は無いと言い切ります。過去の「静かだった」「休みだった」にはそのまま「んです」が付くので、同じ板書の下の段に並べます。練習では、な形容詞・名詞のカードを3枚に1枚は混ぜて「〜なんです」を何度も言わせ、次のコマの最初にもカードで確かめます。

  • 「〜ていただけませんか」はこの課でどこまで教えますか?

    この課では、目上の人や知らない人にていねいに頼む決まった形として、かたまりで言えるようにするところまでにします。「いただけ」が可能形であることや「もらう」のていねいな形であることの説明は、可能形を学ぶ第27課以降に回します。教室でいちばん多い誤りは「*教えていただきませんか」なので、第6課の「〜ませんか」と混ざらないように繰り返し言わせます。

  • 第26課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は普通形の復習から文型1〜3まで、2コマ目は文型4・5と会話、練習C・問題です。普通形が定着していないクラスでは導入の復習を長めに取り、3コマに分けてもかまいません。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。

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手引きで扱っている教科書。本文・例文は手元の教科書で確かめてください。