文の中に疑問文をはめこむ言い方を学ぶ課です。「だれが来ますか」「会議は何時からですか」のような疑問詞のある疑問文は「〜か」で、「間に合いますか」のような「はい・いいえ」で答える疑問文は「〜かどうか」で、「わかりません」「教えてください」「調べます」などの文の中に入れられるようになります。あわせて「〈Vて形〉みます」で、結果や様子を知るために実際にやってみることを言えるようになります。疑問詞があれば「か」、なければ「かどうか」と一本の線を引き、普通形の「だ」を落とすことを毎回口で確かめるのがこの課の芯です。分からないことを人に聞く・確かめる場面がそのまま練習になるので、教室の外の用事(店・役所・駅)を材料にします。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(復習とつなぎ) | 10分 | 第21課の「〈普通形〉と思います」「〈普通形〉と言います」で、普通形を文の中に入れたことを思い出させる。普通形の四列(V・いA・なA・N)を板書に復活させ、「きょうは、疑問文を文の中に入れます」とだけ言う |
| 文型1(疑問詞〜か、〜) | 40分 | 教師が財布やかぎを探すふりをして「かぎはどこですか」→「かぎがどこにあるか、わかりません」。板書で疑問文の「ですか」を消して普通形+「か」にし、後ろに「わかりません/教えてください/調べます」を並べる。な形容詞・名詞の「だ」を消すところを赤で示す |
| 文型2(〜かどうか、〜) | 30分 | 「あしたは雨ですか」に「はい」とも「いいえ」とも答えられないことを見せて「あした雨かどうか、わかりません」。文型1の板書の横に並べ、疑問詞がある→か、ない→かどうか、と二列に分けて書く |
| 文型1・2の使い分け | 20分 | 疑問文カード(疑問詞あり・なしを混ぜる)を出し、学生に「か」か「かどうか」かを先に言わせてから文を作らせる。「〜か、教えてください」「〜かどうか、調べます」のように後ろの動詞も替えて回す |
| 文型3(〈Vて形〉みます) | 35分 | 知らない国のお菓子や新しいペンを出して「食べてみます」「書いてみます」。やってみる前と後の顔を見せ、結果を知るために実際にするのがポイントと示す。「〜てみてください」「〜てみたいです」まで広げる |
| 会話 | 20分 | 子どもの学校での様子を親が先生にたずねる流れ。「〜かどうか、心配です」が芯なので、心配なことを「〜かどうか」で言う部分だけ、学生自身の心配(試験・天気・仕事)に置き換えて再現させる |
| 練習C・問題 | 25分 | 練習Cは「店で聞く」「試してみる」「心配を話す」の三つの場面でやり取りを作る。問題は聞き取りを教室で、文法の部分は宿題に |
「だれ・何・どこ・いつ・いくら・どうして・どのくらい」などの疑問詞のある疑問文を、ほかの文の中に入れる言い方です。「会議は何時からですか」をそのまま人にたずねるのではなく、「会議が何時からか、わかりません」「何時からか、教えてください」のように、分からないこと・知りたいこと・調べることの中身として言います。入れる疑問文は普通形にし、最後の「ですか」「ますか」の代わりに「か」を付けます。な形容詞と名詞の現在肯定は「だ」を付けずに「か」に続けます(何が必要か・いつが休みか)。後ろには「わかりません」「知っていますか」「覚えていません」「教えてください」「調べます」「考えます」「確かめます」など、知る・考える・聞くことの動詞が来ることが多いです。
疑問詞を含む普通形+か、〜(V: どこで買ったか/いA: どのくらい高いか/なA: 何が必要か(×必要だか)/N: 何曜日か(×何曜日だか)。過去の「だった」はそのまま: どこが静かだったか)
疑問詞の入った疑問文カード(「パーティーは何時からですか」「この荷物はいくらですか」「だれが来ますか」)を出し、「〜か、わかりません」に言い換える代入練習(練習Bの型)。後ろを「教えてください」「調べます」「覚えていません」に替えて二周目を回す。次にペアで、一人が駅・店・役所の係になり、もう一人が「〜か、教えてください」と聞くやり取り(練習Cの型)にする。
疑問詞のない疑問文(「はい」か「いいえ」で答える疑問文)を、ほかの文の中に入れる言い方です。「あしたは晴れますか」を「あした晴れるかどうか、わかりません」のように言い、はい・いいえのどちらなのかが分からない、確かめたい、心配だ、という気持ちを表します。作り方は文型1と同じで、普通形にして「かどうか」を付け、な形容詞と名詞の現在肯定は「だ」を付けません(便利かどうか・本当かどうか)。疑問詞があるときは「か」、ないときは「かどうか」で、二つを混ぜて「×何時に来るかどうか」とは言いません。後ろには「わかりません」「確かめます」「聞いてみます」「心配です」などが来ます。
普通形+かどうか、〜(V: 間に合うかどうか・来ないかどうか/いA: 寒いかどうか/なA: 便利かどうか(×便利だかどうか)/N: 本当かどうか(×本当だかどうか))。疑問詞のある文には付けない
はい・いいえの疑問文カード(「この店でカードが使えますか」「この部屋は静かですか」「先生はあした来ますか」の型)を「〜かどうか、わかりません」に言い換える代入練習(練習Bの型)。次に文型1のカードを混ぜて、「か」か「かどうか」かを選ばせながら回す。最後にペアで、旅行・引っ越し・アルバイトの面接などの前に心配なことを「〜かどうか、心配です」で二つずつ言い合い、相手が「大丈夫ですよ」「〜てみてください」と答えるやり取り(練習Cの型)にする。
結果や様子がまだ分からないことを、知るために実際にやってみることを表します。「この服を着てみます」は、似合うかどうか・サイズが合うかどうかを知るために着る、という意味です。「〜てみてください」で人にすすめ、「〜てみたいです」でまだしたことのないことへの興味を言えます。実際にその動作をするのが前提なので、「しようとしたができなかった」ことには使いにくい言い方です(「早く起きてみました」は、実際に早く起きたという意味になります)。また、毎日決まってすることには使いません。文型1・2の「〜か/〜かどうか」と組み合わせて、「合うかどうか、着てみます」のように使うことが多いです。
Vて形+みます(着てみます・食べてみます・聞いてみます・してみます)。「〜てみてください」「〜てみたいです」「〜てみました」のように「みる」がふつうの動詞として活用する
動作の絵カード(着る・はく・食べる・飲む・使う・聞く)で「〜てみます」の言い換え(練習Bの型)をし、同じカードで「〜てみてください」「〜てみたいです」まで回す。次に、店で試着・試食を頼むやり取りと、友達に国の料理や日本の場所をすすめるやり取り(練習Cの型)をペアで作る。「〜かどうか、〜てみます」を一文で言えるように、最後にカードを二枚重ねて出す(サイズ/はく → 合うかどうか、はいてみます)。
この課の新出語には、数える・はかる・確かめるなど「調べて分かる」ための動詞と、長さ・重さ・高さ・大きさのような量の名詞が多く、文型1・2の材料にそのまま使えます(「重さがどのくらいか、はかります」「サイズが合うかどうか、確かめます」)。動詞は「〜か、〜ます」の後ろに来る形で文ごと練習させ、量の名詞は「どのくらいですか」とセットで絵や実物(ひも・はかり)を使って入れます。
会話は、日本の学校に通う子どもの親が担任の先生と話し、学校でうまくやれているか、友達ができたかを心配してたずねる、という流れです。題にもなっている「〜かどうか、心配です」が芯で、はい・いいえで答える心配を文の中に入れる言い方を、親の気持ちといっしょに聞かせます。最初はCDか教師の読みで流れをつかませ、親と先生の役を替えて二回読んだら、「〜かどうか、心配です」の部分を学生自身の心配(試験が難しいかどうか・新しい会社に慣れるかどうか・国の家族が元気かどうか)に置き換えて再現させます。先生の側の安心させる返し方(大丈夫ですよ・心配しなくてもいいですよ)は、意味を分解せずにかたまりで入れます。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。
宿題は問題の文法部分と、「わたしが分からないこと・心配なこと」を五つ(「〜か、わかりません」二つ・「〜かどうか、心配です」二つ・「〜てみたいです」一つ)で書くこと。次のコマの最初に、疑問文カードを見せて「か」か「かどうか」かを言わせる速答テスト(10枚)をしてから宿題の文を発表させ、第41課のやりもらいの敬語につなぐ。「か/かどうか」の二列の板書は、あとの課で普通形を文の中に入れる文型が出るたびに使うので、写真に撮っておく。
第40課の「〜か」と「〜かどうか」は、どう使い分けて教えればいいですか?
文の中に入れる疑問文に疑問詞(何・どこ・いつ・だれ・いくら など)があれば「か」、なければ「かどうか」、と一本の線で教えます。板書を左右二列に分け、疑問文カードを見せたら、文を作る前に「疑問詞はありますか」と聞いて「か」か「かどうか」かだけを先に言わせると、「何時に来るかどうか」のように混ぜる誤りが減ります。
「何が必要だか、わかりません」と「だ」を残す学生には、どう直せばいいですか?
普通形の四列(V・いA・なA・N)を板書に出し、な形容詞と名詞の現在肯定の「だ」だけを赤で消して、「か」の前に「だ」は来ないと見せます。第32課の「かもしれません」も同じく「だ」を落とすので、二つを並べて確かめると定着しやすくなります。過去の「だった」は消さないことも同じ板書で示し、消しすぎの誤りを先に防ぎます。話し言葉で「必要だか」と言う人もいるので誤りとまでは言わず、この課では「だ」を落とした形を固めると伝えます。
「〜てみます」と「〜てください」「〜たことがあります」は、どう区別させますか?
「〜てみます」は、結果が分からないことを知るために一度実際にする、という意味です。「はいてください」は頼む・指示する、「はいてみてください」は合うかどうか試すようにすすめる、と同じ動詞で並べます。経験の「〜たことがあります」とは、「食べたことがない → 食べてみたい」の順につなぐと、違いが場面で分かります。
第40課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目で復習と文型1・文型2の導入まで、2コマ目で「か/かどうか」の使い分け、文型3「〜てみます」、会話、練習Cと問題を扱います。普通形がまだ不安定なクラスでは、1コマ目の最初に普通形の言い換えを10分ほど足し、その分、問題を宿題に回します。
第40課の板書は、どう組めばいいですか?
黒板の左に文型1(疑問詞+普通形+か)、右に文型2(普通形+かどうか)を並べ、上に「疑問詞あり→か」「疑問詞なし→かどうか」の見出しを付けます。どちらの列でも、な形容詞・名詞の「だ」に赤で×を付け、右の端に「わかりません・教えてください・調べます」など後ろに来る動詞を並べます。文型3は下の段に「?の顔→やってみる→!の顔」と描き、「合うかどうか、はいてみます」で上の二列とつなぎます。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。