この課で辞書形が初めて出ます。辞書形は「〜ことです」「〜ことができます」「〜と、…」の中で使う文の途中の形として入れ、辞書形で文を終える言い方(普通体)は第17課まで出さないと決めておくと、学習者が迷いません。最初の「〜になります/〜くなります」はます形のまま使えるので、新しい形に入る前の肩ならしとして、第6課の形容表現と第12課の「〜にします」を思い出させながら「変わる」ことを言わせます。後半の「〜と、…」は、季節・機械・道案内のように「こうすると、いつもこうなる」ことを言う形で、後ろに「〜ましょう」「〜てください」が来ない点を早めに押さえます。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(前の課とのつなぎ) | 10分 | 第14課の「〜てあげました/〜てもらいました」で週末にしたことを2〜3人に聞いて復習する。そのあと4月と8月の絵を2枚並べて「4月は暖かいです」(第6課の形容表現)を言わせ、この課は「変わる」ことと「すること」を言う課だと予告する |
| 学習項目1 〜になります/〜くなります | 25分 | ます形のままで言えるので、辞書形より先に入れる。変わる前と変わった後の2枚の絵で導入し、い形容詞とな形容詞・名詞の2列で板書。「何になりたいですか」で第9課の「〜たいです」とつなぐ |
| 辞書形の作り方 | 30分 | 第11課のて形、第12課のない形と同じグループ分けを黒板に戻し、ます形→辞書形の作り方を板書。絵カードで速いテンポの口頭練習をして、すぐに「〜ことです」の枠に入れる |
| 学習項目2 〜は…ことです | 25分 | 教師の趣味を写真や実物で紹介し、「趣味はNです」と「趣味は〜ことです」を並べて板書。学生の趣味を聞いて回り、クラスの趣味の表を作る |
| 学習項目3 〜ことができます | 30分 | 教師の実演(できること・できないこと)から「Nができます」→「〜ことができます」へ。次に図書館や寮の決まりの絵で「ここで〜ことができます」の使い方に広げる |
| 学習項目4 〜と、… | 35分 | スイッチ・自動販売機の写真と、黒板の簡単な地図で導入。「〜と」の後ろには「いつもそうなること」が来て、「〜ましょう」「〜てください」は来ないことを板書で示す |
| まとめの活動 | 25分 | ペアで自己紹介カードを作る(趣味は〜ことです/〜ことができます/将来〜になりたいです)。最後に教室から近くの駅までの道案内を「〜と、…」で1つずつ言わせる |
辞書に載っている形なので「辞書形」と呼びます。この課では「〜ことです」「〜ことができます」「〜と、…」の前に置く形として使い、辞書形で文を終える言い方は第17課(普通体)まで出しません。作り方は第11課のて形・第12課のない形と同じグループ分けで決まります。グループⅠはます形の「ます」の前の音を、い段からう段に変えます(書きます→書く)。グループⅡは「ます」を「る」に替えるだけ(食べます→食べる)、グループⅢは「します→する」「来ます→来る(くる)」の2つを覚えます。
ます形 → 辞書形(グループⅠ: ますの前の音をい段→う段/グループⅡ: ます→る/グループⅢ: する・来る)
絵カード20枚前後で「ます形→辞書形」を速いテンポで回し、グループⅠ・Ⅱ・Ⅲを混ぜて出す。間違えたカードだけ手元に戻してもう一周。慣れたら教師が辞書形を言って学生がます形に戻す逆向きも一周やり、「ない形→辞書形」のように形どうしを行き来させる。
ものや人のようすが変わることを言います。い形容詞は最後の「い」を「く」に替えて「なります」をつけ(暑い→暑くなります)、な形容詞と名詞は「に」をつけて「なります」をつけます(静かになります・医者になります・春になります)。「いい」だけは「よくなります」になります。もう変わったことは「〜くなりました」「〜になりました」と言い、第9課の「〜たいです」と組み合わせると「〜になりたいです」で将来の希望が言えます。
い形容詞(〜い)→〜く+なります/な形容詞・名詞+に+なります(いい→よくなります)
代入練習では、形容詞と名詞のカードを混ぜて1枚ずつ見せ、「〜くなります」と「〜になります」を言い分けさせる。「いい」のカードを途中に必ず混ぜる。やり取りの練習では、町や季節の前後の絵をペアに配り、「この町はどうなりましたか」「にぎやかになりました」のように、変わったことを聞き合わせる。
動詞の辞書形に「こと」をつけると、「〜すること」というひとまとまりの名詞として使えます。この課では「趣味は〜ことです」「夢は〜ことです」の形で、自分が好きでいつもすることや、これからしたいことを説明します。趣味が名詞一つで言えるときは「趣味は音楽です」でもよく、「何をするのか」まで言いたいときに「趣味は音楽を聞くことです」と「〜こと」を使います。聞くときは「趣味は何ですか」です。
Nは+V辞書形+こと+です(「こと」の前はいつも辞書形)
代入練習では、動詞と目的語のカード(写真をとる・ギターをひく・映画を見るなど)を見せて「趣味は〜ことです」と言わせ、ます形のカードから辞書形を作る手間を毎回入れる。やり取りの練習では、ペアで「趣味は何ですか」「〜ことです」「そうですか。いいですね」と聞き合い、聞いた内容を「〜さんの趣味は〜ことです」とクラスに報告させる。
「〜ことができます」は、二つの意味で使います。一つは人の力で、練習してできるようになったこと(泳ぐことができます・ピアノをひくことができます)です。もう一つはその場所や決まりのうえでできること(この図書館では本を2週間借りることができます)です。名詞だけで言えるときは「日本語ができます」「サッカーができます」と「Nができます」を使い、助詞はどちらも「が」です。できないときは「〜ことができません」、聞くときは「〜ことができますか」と言います。
N+が+できます/V辞書形+こと+が+できます
代入練習では、「できる・できない」の印(○×)をつけた動作の絵カードを見せて、「〜ことができます/できません」を言い分けさせる。やり取りの練習では、「ピアノ・料理・自転車・漢字」などの表を配り、ペアで「〜ことができますか」と聞き合って表に○×を書き、そのあと「この教室では何をすることができますか」と場所の決まりでも聞き合う。
前のことが起きると、いつも、または当然、後ろのことが起きる、という関係を表します。季節や自然の変わり方(夜になると、寒くなります)、機械の使い方(このボタンを押すと、水が出ます)、道案内(まっすぐ行くと、右に駅があります)でよく使います。「と」の前は動詞の辞書形かない形です。後ろには「いつもそうなること」が来るので、自分の意志や相手へのお願い(〜ましょう・〜てください・〜たいです)は来ません。
V辞書形/Vない形+と、…(この課は動詞で練習する。い形容詞も「寒いと」の形でつながるが、な形容詞・名詞は「だ」が要るので普通体の課で扱う)
代入練習では、前と後ろの絵カードを2枚組(スイッチ→電気・ボタン→お茶・夜→寒い)で見せて「〜と、…」の一文にさせ、途中からない形のカード(めがねをかけない→字がよく分からない、など)も混ぜる。やり取りの練習では、ペアの片方に地図、もう片方に行き先のカードを持たせ、「〜はどこですか」「まっすぐ行くと、…」と道案内をさせる。
この課の新しい言葉は、趣味(スポーツ・音楽・料理・写真など)、季節や天気の変化、道案内(まっすぐ・曲がる・右・左)、機械の操作(押す・ボタン)のかたまりで扱うと、学習項目の練習にそのまま入れられます。動詞は「ギターをひく」「写真をとる」のように目的語と助詞つきで、しかも辞書形とます形の両方で言わせて覚えさせます。職業の名詞は「〜になりたいです」の練習のときにまとめて絵カードで出すと定着します。
宿題は、自己紹介の続きとして「わたしの趣味は〜ことです」「〜ことができます/できません」「将来、〜になりたいです」の3文を書くことと、ます形20語を辞書形に直す表。次のコマの最初に、宿題の文を使って「〜さんの趣味は何ですか」「〜さんは何をすることができますか」と教師が聞いて復習し、辞書形の表を5語だけ口頭で確かめてから、第16課の「〜ことがあります」(タ形)に入ります。
第15課の辞書形はどの順で教えればいいですか?
ます形のまま言える「〜になります/〜くなります」を先に入れ、そのあと辞書形の作り方に入ると、新しい形の前に一度肩をならせます。辞書形は第11課のて形・第12課のない形と同じグループ分けを黒板に戻し、グループⅠは五十音表の上で い段 → う段 に動かして見せます。作り方を終えたらすぐ「趣味は〜ことです」の枠に入れ、形だけの練習を長くしないほうが定着します。
「〜と、…」の後ろに「〜てください」「〜ましょう」が来ないのはなぜですか?
この課の「〜と」は、前のことが起きると後ろのことがいつも、当然起きる、という関係を表すので、後ろには話し手の意志やお願いが入りません。「駅に着いたら、電話してください」のように言いたいときは、この本では第19課の「〜たら」を使うと伝えて、今は止めておきます。導入では、スイッチや季節のように何度やっても同じ結果になる例だけを使うと、この制限が自然に伝わります。
「Nができます」と「〜ことができます」はどう教え分けますか?
先に「日本語ができます」「テニスができます」の名詞の形を出し、何をするかを動詞で言いたいときに「辞書形+こと」で名詞にしてから「ができます」につなぐ、と示します。助詞はどちらも「が」なので、「ギターをひくことができます」の中の「を」と、「できます」の前の「が」を色を分けて板書します。意味は「その人の力」と「場所の決まり」の2つがあるので、泳ぐ人の絵と図書館の看板を並べて見せます。
「〜になります」と「〜にします」の違いは何ですか?
「〜にします」(第12課)は、話し手が自分で選んで決めることです。「〜になります」は、意志とは関係なくようすや立場が変わることです。注文の場面で「コーヒーになります」と言う誤りが出たら、「だれが決めますか」と聞き、自分が決めるなら「します」と戻します。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は導入、「〜になります/〜くなります」、辞書形の作り方、「〜は…ことです」まで、2コマ目は「〜ことができます」と「〜と、…」、まとめの自己紹介カードと道案内です。辞書形が定着していないクラスでは、2コマ目の最初に辞書形の書き取りを5分入れてから進めると、第16課のタ形に入るときにも崩れません。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。