第16課でタ形を習い、辞書形・ナイ形・タ形がそろったところで、それらを組み合わせて普通体(です・ますを使わない話し方)を作り、友達や家族と話す言い方に切り替える課です。普通体は新しく暗記する形ではなく、今までの活用形の並べ直しなので、最初に「です・ます」と普通体を左右2列に並べた表を作り、課の最後まで消さずに使います。後半の「〜と言います」「〜と思います」「〜でしょう」は、丁寧な文の中に普通体を入れる形で、普通体を正しく作れるかどうかがそのまま試されます。普通体は第18課の連体修飾の土台にもなるので、この課で形を確実にしておくと次の課が楽になります。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(前の課とのつなぎ) | 10分 | 第16課のタ形を「きのう何をしましたか」で2〜3問確かめる。そのあと教師が同じ内容を、先生への報告(「です・ます」)と友達との電話(普通体)の2通りで演じて見せ、話し方が相手によって変わることに気づかせる |
| 普通体の作り方 | 35分 | 「です・ます」と普通体の2列の表を、動詞→い形容詞→な形容詞・名詞の順に作る。動詞は辞書形・ナイ形・タ形を当てはめるだけで、新しいのは「〜なかった」だけだと見せる |
| 学習項目1 普通表現 | 45分 | 先生の絵と友達の絵を左右に貼って場面を作り、上がり調子の質問・「うん/ううん」・誘いの「〜ない?」・頼む「〜て」を、丁寧な形と並べて練習する。1コマ目はここまで |
| 学習項目2 〜と言います/言う | 25分 | 「これは日本語で何と言いますか」から入り、伝言を伝える文へ広げる。内容を伝えるときは「と」の前が普通体になることを2列の表で確かめる |
| 学習項目3 〜と思います/思う | 25分 | 写真を見て意見を言い、答えの分からない写真で考えを言う。否定は「〜ないと思います」の形で、意見を聞くときは「〜をどう思いますか」 |
| 学習項目4 〜でしょう/だろう | 20分 | 天気予報の地図で予想の「でしょう」を言い、上がり調子の「でしょう?」で相手に確かめる言い方まで |
| まとめの活動 | 20分 | ペアで週末の予定を普通体で話し合い、相手が言ったことと自分の考えを、クラスに「です・ます」で「〜さんは〜と言いました」「〜と思います」と報告する |
「です・ます」を使わない話し方を普通体といいます。動詞は新しく覚える形はほとんどなく、辞書形・ナイ形・タ形と、ナイ形の「ない」を「なかった」にした形の四つです。い形容詞は「です」を取るだけで、「暑くない・暑かった・暑くなかった」もそのまま使えます。な形容詞と名詞は「です」が「だ」になり、否定は「じゃない」、過去は「だった」「じゃなかった」です。
動詞: ます→辞書形/ません→ナイ形/ました→タ形/ませんでした→〜なかった。い形容詞: 〜いです→〜い。な形容詞・名詞: 〜です→〜だ
口頭の代入練習では、教師が「です・ます」の文をカードで出し、学生が普通体に言いかえる。動詞のグループと形容詞・名詞を混ぜ、慣れたら逆に普通体を出して「です・ます」に戻させる。場面のやり取りでは、きのうしたことを普通体の日記で3文書かせ、隣の人と読み合う。
普通体を使った話し方で、友達・家族・年下の人など、親しい相手と話すときに使います。先生・会社の上の人・初めて会う人には、今までどおり「です・ます」で話します。質問は「か」をつけずに文の終わりを上げて言い(会う?)、な形容詞と名詞の質問は「だ」を落とします(ひま?・あした休み?)。答えは「はい・いいえ」のかわりに「うん・ううん」が多くなります。
普通体の文+上がり調子(質問)。な形容詞・名詞の質問は「だ」を落とす。誘うときは「〜ませんか」→「〜ない?」、頼むときは「〜てください」→「〜て」
口頭の代入練習では、教師が「です・ます」の質問をカードで出し、学生が友達に聞く形に言いかえて、隣の人が「うん/ううん」で答える。場面のやり取りでは、相手のカード(先生・友達・会社の人・家族)を引かせ、同じ用件(あしたの予定を聞く・映画に誘う)を相手に合わせた話し方で言わせる。
ほかの人が言ったことを伝える言い方です。言ったことばをそのまま伝えるときは「 」に入れ(先生は「おはよう」と言いました)、内容を伝えるときは普通体にして「と」をつけます(田中さんはあした来ないと言いました)。な形容詞と名詞は「だ」を入れます(あしたは休みだと言いました)。「と」の前の時の形は、言った人が言ったときのままで、「言いました」に合わせて過去にはしません。物の名前を聞くときは「〜は日本語で何と言いますか」と言い、友達との会話では「言う・言った」を使います。
普通体+と+言います(な形容詞・名詞は「だ」を入れる)。ことばをそのまま伝えるときは「 」+と+言います
口頭の代入練習では、人物が吹き出しで話している絵(吹き出しの中は「です・ます」の文)を見せ、学生が「〜さんは〜と言いました」と普通体にして伝える。名詞・な形容詞の文を必ず混ぜる。場面のやり取りでは、3人組で伝言ゲームをし、最後の人が伝えた内容を元の吹き出しと比べる。
自分の意見や、はっきり分からないことについての自分の考えを、言い切らずに言う形です。「と」の前は普通体で、な形容詞と名詞は「だ」を入れます(あの店は静かだと思います)。そうではないと考えるときは、「〜ないと思います」のように「と」の前を否定にするのが普通です。ほかの人の考えを言うときは「田中さんは〜と思っています」と「ています」を使います。相手の意見を聞くときは「〜をどう思いますか」と言います。
普通体+と+思います(な形容詞・名詞は「だ」を入れる)
口頭の代入練習では、写真カードと形容詞のカードを組み合わせて「〜は〜と思います」と言わせ、な形容詞・名詞のカードを混ぜて「だ」を入れるかどうかを判断させる。慣れたら「〜ないと思います」も混ぜる。場面のやり取りでは、身近な話題(いちばんいい季節・日本の食べ物)を一つ決め、ペアで「〜をどう思いますか」と聞き合ってクラスに報告させる。
はっきりとは分からないことを、たぶんそうだと予想して言う形です。天気予報やニュースでよく使い、「たぶん」といっしょに使うことも多いです。動詞・い形容詞は普通体にそのままつけ、な形容詞と名詞は「だ」を取ってつけます(あしたは雨でしょう)。「だろう」は普通体の形で、書く文やひとりごとに使い、話し言葉では男性が使うことが多い傾向があります。文の終わりを上げて「〜でしょう?」と言うと、相手も知っているはずのことを確かめる言い方になります。
動詞・い形容詞の普通体+でしょう/だろう(な形容詞・名詞は「だ」を取ってつける)
口頭の代入練習では、天気のマークと地名のカードで予報を言わせ、次に「たぶん」をつけて、身近な予想(あしたのテスト・週末の天気・電車の混み方)に広げる。場面のやり取りでは、友達どうしの会話で、相手について知っていることを「〜でしょう?」で確かめ、相手が「うん/ううん」で答える。
この課の練習の中心は、新しい語よりも、今まで習った語の普通体の形です。「うん・ううん」「たぶん」のような会話の語は単語だけで覚えさせず、上がり調子や答えの形と一緒に場面の中で練習します。天気の言葉(晴れ・くもり・雨)を使う場合は、天気予報の地図とマークで「でしょう」と一緒に入れると定着します。
宿題は、きのうしたことを普通体の日記で4〜5文書くことと、友達に聞いた週末の予定を「〜さんは〜と言いました」の形で2文書くこと。次のコマの最初に日記を隣の人と読み合い、教師が「〜さんは何と言いましたか」と聞いて復習してから、第18課の連体修飾(普通体で名詞を説明する形)に入ります。
第17課の普通体はどの順で教えればいいですか?
動詞から始め、辞書形・ナイ形・タ形をすでに知っている形として表の右の列に入れ、新しいのは「〜なかった」だけだと見せます。次にい形容詞(「です」を取るだけ)、最後にな形容詞と名詞(「です」が「だ」になる)の順にします。形がそろってから普通表現の会話に入り、そのあと「〜と言います」「〜と思います」「〜でしょう」で、文の中に普通体を入れる使い方に進みます。
名詞・な形容詞の「だ」は、いつ入れていつ落としますか?
この課では、「〜と言います」「〜と思います」の前では入れ(休みだと思います)、「〜でしょう」の前と、上がり調子の質問では落とします(休みでしょう/あした、休み?)。友達との会話で「だ」で言い切ると強く聞こえることもあります。学習者が最も混ぜやすい点なので、四つの場合を一枚の表にして、課の最後まで黒板に残しておくとよいです。
「〜と思います」と「〜でしょう」の違いは何ですか?
「〜と思います」は話し手の考えであることを示し、意見にも予想にも使えます。「〜でしょう」は予想に使い、天気予報やニュースのように、だれの考えかを前に出さずに言う言い方です。自分の意見(この店がいいと思います)は「と思います」で、天気のような自分では決められないことの予想は「でしょう」で、と場面で分けて練習します。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目で普通体の作り方と普通表現の会話まで、2コマ目で「〜と言います」「〜と思います」「〜でしょう」とまとめの活動をします。普通体の作り方が不安なクラスでは、2コマ目の最初に5分ほど言いかえの速さの練習を入れてから進むと、後半の文型で止まりません。
普通体はだれに使うと教えればいいですか?
この課では、友達・家族・年下の人には普通体、先生・会社の上の人・初めて会う人・店の人には「です・ます」と、相手で分けて教えます。親しくなった人にずっと「です・ます」で話すと距離を感じさせることもあると伝えると、普通体を使う理由が分かりやすくなります。相手のカードを引いて同じ用件を言い分ける練習を、授業の最初に短く入れると定着します。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。