日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 初級Ⅰ 第4課「わたしは北海道へ行きます」の教案

『学ぼう!にほんご 初級Ⅰ』

第3課で時刻と「〜に…ます」「〜ました」を習ったあとを受けて、まず月と日の言い方で「いつ」に答える範囲を日付まで広げ、そのうえで移動の動詞「行きます・来ます・帰ります」を軸に、行き先(へ)・乗り物(で)・いっしょに行く人(と)を一つずつ足していく課です。新しい活用形はなく、増えるのは助詞と時の言葉なので、板書は「[いつ] [人]と [乗り物]で [場所]へ 行きます」の枠を課の途中で消さずに残し、項目が進むたびに列を足していくと、学習者の頭にも同じ枠ができます。月日の読みは不規則な所が多く、ここで声に出す回数を惜しまないことが、あとの課の予定・約束の話をすべて楽にします。課の終わりには、自分の予定を「いつ・だれと・何で・どこへ」まで一文で言えることをめざします。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目4時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 月と日を正しく読み、「〜は何月何日ですか」と聞いて、誕生日や行事の日を答えられる
  • どこへ行くか・どこから来たか・どこへ帰るかを「へ」で言い、「行きます」「来ます」「帰ります」を向きで使い分けられる
  • 何で(乗り物)・だれと行くかを、助詞を取り違えずに一文の中で言える
  • 第3課の時の言い方と合わせて、自分の予定や前にしたことを「いつ・だれと・何で・どこへ」まで言える

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)10分第3課の「〜は…時から…時までです」「〜に…ます」を時計の絵で2〜3問聞いて復習する。続けて黒板にカレンダーを描き、「時計の次はカレンダーです」と言って、この課は「いつ」を日付まで広げ、そのあと「どこへ行くか」を話す課だと予告する。月日の言葉と時の言葉(先週・今週・来週など)はこのカレンダーで先に入れておく
学習項目1 何月何日35分月の読み→日の読み(1〜10日・14日・20日・24日の特別な読み)→学校の行事の日や「誕生日は何月何日ですか」を聞き合う。第3課の「から・まで」と組み合わせて休みの期間も言う
学習項目2 〜へ…(移動表現)40分教師の動作と場所の絵カードで「行きます・来ます・帰ります」の向きを見せ、「[場所]へ 行きます」の枠を板書する。カレンダーの日付を左に足して「-月-日に〜へ行きます」まで
学習項目3 〜で…へ(移動表現)30分枠の左に「[乗り物]で」の列を足し、乗り物の絵カードで代入練習。「何で」の聞き方と、乗り物を使わないときの言い方まで
学習項目4 〜と…へ(移動表現)35分さらに「[人]と」の列を足し、二人の絵と一人の絵で「〜と」「一人で」を分ける。枠を全部使って教師が自分の予定を一文で言い、学生にも言わせる
まとめの活動30分「いつ・だれと・何で・どこへ」を聞き合うインタビュー表で総合練習。聞いた内容を「〜さんは-月-日に〜と〜で〜へ行きます」とクラスに報告させ、最後にクラスの誕生日カレンダーを完成させる

学習項目 1 何月何日

意味・はたらき学習項目 1

月と日の言い方を覚え、日付を聞いて答えられるようにする項目です。文の形は第1課の「〜は…です」と第3課の「〜から…まで」で、新しい文型はありませんが、読みの不規則な所が集中しています。月は数字に「がつ」をつけますが、4月(しがつ)・7月(しちがつ)・9月(くがつ)だけ数字の読みが変わります。日は1日〜10日と14日・20日・24日が特別な読み(ついたち・ふつか・みっか…とおか、じゅうよっか・はつか・にじゅうよっか)で、それ以外は数字に「にち」をつけます。聞くときは「何月(なんがつ)何日(なんにち)ですか」です。使う場面は、書類の日付欄、誕生日、休みや試験の期間など、教室の外ですぐに要る所ばかりです。時刻(第3課)と同じく「数字+単位」の言い方ですが、数字の読みが単位によって変わる点が新しく、文法というより語彙と発音の項目と考えて、練習の回数で定着させます。文法用語で言えば「月・日」は数字に付く助数詞で、2日〜10日の「ふつか・みっか」などは和語の数え方(ひ・ふ・み)が残った形です。

接続

数字+月(がつ)+数字+日(にち/特別な読み)。文は「〜は-月-日です」「〜は-月-日から-月-日までです」の名詞文

形
〜は何月何日ですか——-月-日です誕生日は何月何日ですか〜は-月-日です〜は-月-日から-月-日までです

導入

  • カレンダーで月と日を声に出す黒板に大きなカレンダーを描き、まず月を1月から12月まで全員で読む。4月・7月・9月は赤で書いて読みを横に添え、数字の読みのままでは言えないことを見せる。次に日を1日から順に読み、特別な読みの日(1〜10日・14日・20日・24日)を赤丸で囲む。
  • きょうの日付と誕生日教師がカレンダーのきょうの日に丸をつけて「-月-日です」と言ってみせ、次に学校の行事の日を指して「テストは何月何日ですか」と聞き、全員で答える。続けて教師が自分の誕生日をカレンダーで指して「わたしの誕生日は-月-日です」と言い、一人ずつ「〜さんの誕生日は何月何日ですか」と聞く。答えた日にその学生の名前を書きこんでいくと、クラスの誕生日カレンダーができ、課の最後まで使える。

板書案

〔カレンダー〕 -月 -日
4月=しがつ 7月=しちがつ 9月=くがつ 〔赤〕
1日 ついたち … 10日 とおか / 14日 20日 24日 〔赤丸〕
夏休みは 何月何日からですか。—— 7月20日からです。
誕生日は -月-日です。 〔青〕月→日 の順の矢印

場面と発話(自作)

  • 市役所の窓口で、留学生が申し込みの締め切りの日を職員に確かめる。すみません、申し込みは何月何日までですか。——11月30日までです。
  • 新しいクラスの最初の日、となりの席の学生と誕生日を聞き合う。誕生日は何月何日ですか。——3月8日です。
  • 学校の掲示板の前で、留学生が先生に夏休みの期間を確かめる。夏休みは何月何日からですか。——7月20日から8月31日までです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、教師がカレンダーの日を指して学生が読む→教師が日付を言って学生が指す、の両方向を速く回し、特別な読みの日を多めに出す。場面のやり取りでは、クラス全員に「誕生日は何月何日ですか」と聞いて回り、聞いた日付を自分のカレンダーに書く活動にすると、聞く・言う・書くが一度に練習できる。

  1. 口頭教師がカレンダーの日を指し、全員で読む→個人で読む。キューは「指さし」「数字カード(8)」「教師が言う日付を学生が指す」の3通りで、特別な読みの日(ついたち・ようか・はつか・じゅうよっか)を多めに混ぜる。慣れたら月も付けて「3月14日」のように通して言わせ、最後は教師が「あしたは?」「金曜日は?」と聞いて日付で答えさせる。
  2. ペア情報差のある2枚のカードを使う。Aのカードには5人の誕生日、Bのカードには別の5人の誕生日が書いてあり、「〜さんの誕生日は何月何日ですか」と交互に聞いて空欄を埋める。答える側は声だけで伝え、カードを見せない。終わったら役を替え、休みの期間(-月-日から-月-日まで)のカードでもう1回。
  3. 産出「誕生日の列ならべ」。全員が立ち、日本語だけで誕生日を聞き合って、1月1日に近い人から順に一列に並ぶ。並び終わったら端から一人ずつ「わたしの誕生日は-月-日です」と言い、教師は列の順が合っているか、特別な読みの日と4月・7月・9月の読みを聞いて直す。最後に結果をクラスの誕生日カレンダーに書きこむ。

つまずきと手当て

  • 4月・7月・9月を「よんがつ」「なながつ」「きゅうがつ」と読む。月の読みは数字の読みと別だと赤で書いた3つを毎回確かめ、時刻の4時(よじ)・7時(しちじ)・9時(くじ)と並べて見せると覚えやすい
  • 8日を「はちにち」、20日を「にじゅうにち」、14日を「じゅうよんにち」と読む。特別な読みの日はカレンダーの赤丸を見ながら声に出す回数で覚えさせ、1日は「ついたち」で、「いちにち(一日の長さ)」とは意味が違うことも一言添える
  • 母語の順で「*18日10月」と日を先に言う。日本語は大きい単位から「月→日」の順だと、カレンダーの上(月)から下(日)へ指でたどって見せる
  • 「何月何日」を「なにがつなににち」と読む。「なんがつなんにち」で統一して読ませる

既習の文型との違い

  • 〜は…時から…時までです(第3課)時刻も日付も「数字+単位」ですが、4は「よじ(4時)」「しがつ(4月)」「よっか(4日)」と単位ごとに読みが変わります。学習者は時刻の読みを日付に持ちこみ、4日を「よにち」、9日を「くにち」のように読みがちです。4・7・9が入る時刻・月・日を一つの表に並べて読ませると、違いが目で分かります。
  • 〜に…ます(第3課)第3課で数字の入る時(6時)に「に」が付くことを習っているので、日付にも同じく「に」が付きます(10月18日に)。一方、「きょう」「あした」には付きません。日付の練習の段階で「-月-日に」と「あした」を並べて、どちらに「に」が付くかを確かめておくと、次の項目の予定の文が崩れません。
関連する文型

学習項目 2 〜へ…(移動表現)

意味・はたらき学習項目 2

移動を表す動詞「行きます・来ます・帰ります」と、行き先を示す助詞「へ」を学びます。「へ」は書くときは「へ」、読むときは「え」です。「行きます」は今いる所から離れていく動き、「来ます」は話し手のいる所へ近づく動き、「帰ります」はうちや国など自分のもといる所へ戻る動きです。第3課の時の言い方と「〜ました」を合わせて、「-月-日に〜へ行きます」「きのう〜へ行きました」のように予定も前のことも言えます。行き先を聞くときは「どこへ行きますか」です。「行きます」と「来ます」の選び分けは話し手がどこにいるかで決まるので、母語の go/come と同じとは限りません。文法用語で言えば、「へ」は移動の向き・行き先を示す格助詞で、「行く・来る」の使い分けは話し手の位置を基準にする直示(ダイクシス)の問題です。

接続

場所の名詞+へ+行きます/来ます/帰ります(「へ」は「え」と読む)

形
〜へ行きます〜へ来ます/〜へ帰りますどこへ行きますか-月-日に〜へ行きます/きのう〜へ行きました

導入

  • 教師が動いて見せる教師が教室のドアまで歩きながら「行きます」、席へ戻りながら「来ます」と言い、向きを体で見せる。次に場所の絵カード(駅・銀行・病院・デパート・図書館・大使館など)を黒板に貼り、教師が「あした、銀行へ行きます」と自分の予定として指さしながら言う。板書は「[場所]へ 行きます」の枠だけにし、カードを差し替えて全員でくり返す。
  • 「来ます」「帰ります」を矢印で分ける黒板の左に教室の絵、右にうちの絵を描き、教室へ向かう矢印に「来ます」、うちへ向かう矢印に「帰ります」と書く。学生に「毎日何時に学校へ来ますか」「何時にうちへ帰りますか」と聞き、第3課の「〜に…ます」で答えさせる。最後にカレンダーの日付を指して「-月-日に国へ帰ります」と言い、枠の左に「[いつ]」の列を足す。

板書案

[場所] へ 行きます/来ます/帰ります
あした、駅へ 行きます。
へ =「え」と読む 〔赤〕
〔絵〕教室 ← 来ます うち ← 帰ります 〔矢印〕
[いつ] [場所]へ 行きます。 〔青〕列を一つ足す

場面と発話(自作)

  • 金曜日の授業のあと、友達に週末の予定を聞かれた留学生が答える。あした、どこへ行きますか。——京都へ行きます。
  • 会社で、年末に一時帰国する社員が、上司に帰る日を伝える。12月20日に国へ帰ります。
  • 新しいクラスの自己紹介で、留学生が日本に来た時期を話す。先月の10日に日本へ来ました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、場所の絵カードを1枚ずつ見せて「〜へ行きます」、次に場所カードと「来ます/帰ります」の矢印カードを組み合わせて動詞を選ばせ、さらにカレンダーの日付や「あした」「きのう」のカードを足して「ます」と「ました」を言い分けさせる。場面のやり取りでは、ペアで「週末、どこへ行きますか」「〜へ行きます」と聞き合い、月曜日には「週末、どこへ行きましたか」で同じやり取りを過去の形でくり返す。

  1. 口頭場所の絵カードを1枚ずつ見せ、全員で「銀行へ行きます」→個人で。次に矢印カード(教室へ向かう=来ます、うちへ向かう=帰ります、外へ出る=行きます)を場所カードに重ねて動詞を選ばせる。さらに「あした」「きのう」「12月20日」のカードを足し、「ます」と「ました」を言い分けさせる。キューは場所カード・矢印カード・時のカードの3種。
  2. ペアAは週末の予定の絵(行き先と曜日)が描かれたカード、Bは空欄の表を持つ。Bが「土曜日、どこへ行きますか」と聞き、Aは絵を見て答え、Bは表に書く。3問で交替。2回目は「先週の土曜日、どこへ行きましたか」と過去の形で同じやり取りをし、「ます」と「ました」が時の言葉に合っているかをペアで確かめ合わせる。
  3. 産出「週末の予定発表」。学生は自分の土曜日と日曜日の行き先を2文で言い、聞いた人は「〜さんは土曜日、〜へ行きます」とクラスに伝え直す。教師は「へ」を「え」と読んでいるか、時の言葉に付く「に」の有無、「来ます」と「帰ります」の取り違えを聞いて、その場で直す。

つまずきと手当て

  • 「へ」を「he」と読む。板書の「へ」の上に小さく「え」と読みを書き、最初の数回は教師がはっきり「え」と読んで聞かせる
  • 「*駅で行きます」のように、行き先に別の助詞をつける。行き先は「へ」と一つに決めて代入練習をくり返す。「学校に行きます」と言う学生は誤りではないので直さず、「この課は へ で練習しましょう」とだけ言う
  • 母語の come の感覚で、相手のうちへ自分が向かうときに「あした、〜さんのうちへ来ます」と言ってしまう。教室とうちの矢印に戻り、「来ます」は話し手のいる所へ向かうときだと確かめる
  • 「*あしたに行きます」と、どの時の言葉にも「に」をつける。第3課で習った、数字の入る時(-時・-日・-月)には「に」をつけ、きのう・あした・来週・来月などにはふつうつけない、という区別を2列の表で見せる
  • 「来ます(きます)」と「来週(らいしゅう)・来月(らいげつ)」で「来」の読みが違うことに戸惑う。動詞は「き」、時の言葉は「らい」と、板書で並べて読ませる

既習の文型との違い

  • 〜に…ます(第3課)第3課の「に」は時(7時半に起きます)に付き、この課の「へ」は場所(駅へ行きます)に付きます。一文に両方入ると、学習者は「*7時へ駅に行きます」のように助詞を入れ替えることがあります。板書で時の列と場所の列を分け、「時は に、場所は へ」と列ごとに助詞を決めて見せます。
  • ここ/そこ/あそこは〜です(第2課)第2課では場所の言葉を「〜は…です」の文で言いましたが、この課では同じ場所の言葉が動詞の前に来て「〜へ」が付きます。「ここは駅です」と「駅へ行きます」を並べ、「です」の文には「へ」が要らないことを確かめます。「あそこへ行きます」のように指示語にも「へ」が付くと示しておくと、教室の中で指さしだけで練習できます。
関連する文型

学習項目 3 〜で…へ(移動表現)

意味・はたらき学習項目 3

乗り物の名詞に「で」をつけて、何に乗って行くか(行き方)を言います。前の項目の「〜へ行きます」の前に「〜で」を足すだけで、「バスで駅へ行きます」のようになります。乗り物を聞くときは「何(なん)で行きますか」です。この「で」は手段を表すはたらきで、第5課では、この乗り物の「で」の仲間の道具の「で」(スプーンで食べます)と、動作をする場所の「で」が出てきます。歩くときは乗り物ではないので「で」を使わず、別の言い方になる点も学習者の質問によく出ます。文法用語で言えば、この「で」は手段・方法を表す格助詞で、第5課で出る場所の「で」(コンビニで買います)と同じ形なので、何に付いているか(乗り物か場所か)で見分けさせます。

接続

乗り物の名詞+で+場所+へ+行きます/来ます/帰ります

形
〜で〜へ行きます(電車で・バスで・自転車で・飛行機で)何で〜へ行きますか-月-日に飛行機で国へ帰ります

導入

  • 教師の通勤を絵カードで話す乗り物の絵カード(電車・地下鉄・バス・タクシー・自転車・新幹線・飛行機・船)を貼って名前を言わせたあと、教師が「わたしは毎日電車で学校へ来ます」と自分のことを話す。「[場所]へ 行きます」の枠の左に「[乗り物]で」の列を足し、乗り物カードを差し替えて全員でくり返す。
  • クラスの通学の表を作る学生一人ひとりに「〜さんは何で学校へ来ますか」と聞き、答えを黒板に正の字で数える。クラスの通学の表ができるので、続けて表を見ながら学生同士で「〜さんは何で来ますか」と聞き合わせると、同じ文型を何度も口にする場ができる。

板書案

[乗り物] で [場所] へ 行きます
バスで 駅へ 行きます。
何(なん)で 行きますか。—— 電車で 行きます。
〔赤〕乗り物=で 〔青〕場所=へ
[いつ] [乗り物]で [場所]へ 行きます。

場面と発話(自作)

  • 朝の教室で、先生がヘルメットを持っている学生に聞く。毎日、何で学校へ来ますか。——自転車で来ます。
  • 友達と週末の予定を話している留学生が、行き方を言う。あした、新幹線で大阪へ行きます。
  • 会社で、同僚に夏休みの帰国のことを話す。8月10日に飛行機で国へ帰ります。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、乗り物カードと場所カードを重ねて見せ、「バスで駅へ行きます」のように一文で言わせる。慣れたら日付のカードを足し、「何で」の問いも混ぜる。場面のやり取りでは、「〜へ何で行きますか」のインタビュー表(行き先3つ×乗り物)をペアで埋め、聞いた内容を「〜さんは〜で〜へ行きます」とクラスに報告させる。

  1. 口頭乗り物の絵カードで名前を言わせたあと、乗り物カードと場所カードを重ねて「自転車で学校へ来ます」と一文で言わせる。キューは「乗り物カードだけ差し替える」「場所カードだけ差し替える」「日付カードを足す」の3段で、最後は教師が「何で?」とだけ聞いて答えさせる。全体→列ごと→個人の順に回す。
  2. ペアAは「行き先と乗り物」が書かれた旅行カード(例: 大阪・新幹線)を伏せて持ち、Bは「大阪へ何で行きますか」と聞いて当てる。Bは「電車ですか」と聞いて絞ってよく、Aは「はい、電車です」「いいえ、新幹線です」で答える。3枚で交替し、最後に互いの答えを「〜さんは新幹線で大阪へ行きます」と言い直させる。
  3. 産出「通学ルート調べ」。学生は自分のうちから学校までの来方を「うちから駅まで自転車で来ます。駅から学校までバスで来ます」のように話し、聞いた人がクラスの通学の表に書き足す。教師は乗り物に「で」、行き先に「へ」が付いているか、「何で」を「なんで」と読んでいるかを聞く。乗り物を使わない学生には「歩いて来ます」をそのまま渡し、形の説明はしない。

つまずきと手当て

  • 「*電車に駅へ行きます」「*バスへ駅へ行きます」のように、乗り物に別の助詞をつける。板書の枠の列を指さし、「乗り物は で、場所は へ」と戻す
  • 「何で」を「なにで」と読む。この課では「なんで」で統一して読ませる
  • 乗り物を使わないとき、学生が「*歩くで行きます」と言おうとする。聞かれたら「歩いて行きます」をひとかたまりの言い方としてだけ渡し、形の説明はテ形の第11課に回す
  • 「電車で学校へ」と「学校へ電車で」のどちらが正しいかで止まる。どちらも言えるので、まず板書の順で言えるようにし、入れ替えた言い方は直さない

既習の文型との違い

  • 〜へ…(移動表現)(第4課)前の項目の「へ」は行き先、この項目の「で」は行き方で、同じ一文に並びます。学習者は助詞を一つ覚えるとほかにも当てはめ、「*バスへ駅へ行きます」「*駅で行きます」のように混ぜます。板書の列の見出しに「乗り物」「場所」と書き、列ごとに助詞が決まっていることを見せます。
  • 〜は…時から…時までです(第3課)第3課の「から・まで」は場所にも使えるので、「うちから駅まで自転車で行きます」のように行き方を一続きで言えます。ただし「から・まで」が時にも場所にも付くのに対して、この「で」は乗り物にしか付きません。「から・まで」を場所に広げるのはこの項目の産出で初めて見せてよく、聞かれたら「時と同じく場所にも使えます」と一言で済ませます。
関連する文型

学習項目 4 〜と…へ(移動表現)

意味・はたらき学習項目 4

いっしょに行く相手を「と」で表します。「友達と京都へ行きます」のように、人の名詞に「と」をつけて「〜へ行きます」の前に置きます。相手がいないときは「一人で行きます」と言い、このときは「と」ではなく「で」になります。相手を聞くときは「だれと行きますか」です。この項目で、時・人・乗り物・場所を一文にまとめて言えるようになります。使う場面は週末や休みの予定、出張の報告などで、この項目で「いつ・だれと・何で・どこへ」の枠が全部そろいます。文法用語で言えば、この「と」は動作をいっしょにする相手を表す格助詞(共同の「と」)で、名詞を並べる並列の「と」とは働きが違います。

接続

人の名詞+と+場所+へ+行きます/来ます/帰ります(相手がいないときは「一人で」)

形
〜と〜へ行きますだれと〜へ行きますか一人で〜へ行きます-月-日に〜と〜で〜へ行きます

導入

  • 二人の絵と一人の絵二人が並んで歩く絵と、一人で歩く絵を用意する。二人の絵を指して「友達と行きます」、一人の絵を指して「一人で行きます」と言い、枠の左にさらに「[人]と」の列を足す。「一人で」は乗り物の「で」の列のそばに赤で書き、人がいないときだけの言い方だと見せる。
  • 枠を全部使って教師の予定を言う枠が「[いつ] [人]と [乗り物]で [場所]へ 行きます」までそろったところで、教師がカレンダーを指しながら「11月3日に友達と電車で京都へ行きます」と通して言う。次に学生に「日曜日、だれとどこへ行きますか」と聞き、答えた学生にはそのまま「何で行きますか」「何月何日に行きますか」と重ねて、一文に組み立て直させる。

板書案

[人] と [場所] へ 行きます
友達と 京都へ 行きます。
一人で 行きます。 〔赤〕「と」ではなく「で」
だれと 行きますか。
[いつ] [人]と [乗り物]で [場所]へ 行きます。 〔青〕列が全部そろう

場面と発話(自作)

  • 休み時間に、クラスメートに週末の予定を聞く。日曜日、だれと京都へ行きますか。——友達と行きます。
  • 月曜日の朝、先生に週末のことを聞かれた留学生が答える。きのう、一人でデパートへ行きました。
  • 会社で、出張の予定を同僚に伝える。来週、課長と新幹線で大阪へ行きます。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、人の絵カード(友達・家族・先生・会社の人・一人)を場所カードと組み合わせて「〜と〜へ行きます」、次に乗り物カードと日付も足して、三つの助詞を一文で言わせる。場面のやり取りでは、「いつ」「だれと」「何で」「どこへ」の四つを続けて聞くインタビューをペアで行い、聞いた内容を「〜さんは-月-日に〜と〜で〜へ行きます」と報告させる。

  1. 口頭人の絵カード(友達・家族・先生・会社の人・一人)を場所カードと組み合わせて「先生と図書館へ行きます」を全員で。次に乗り物カード、日付カードを一枚ずつ足して、要素が四つの文を言わせる。キューは「人カードの差し替え」「一人のカード(と→で)」「教師の問い(だれと?何で?いつ?)」の3種で、一人のカードを不意に混ぜて「一人で」が出るか確かめる。
  2. ペアインタビュー表(いつ・だれと・何で・どこへ の4列)を使う。Aが自分の休みの予定を一つ決め、Bは四つの問いを順に聞いて表を埋める。Aは一度に全部言わず、聞かれたことだけ答える。終わったらBが「〜さんは-月-日に〜と〜で〜へ行きます」と一文にまとめて言い、Aが合っているか確かめる。交替して2回。
  3. 産出「旅行プラン・インタビュー」。教室を歩き回って3人に休みの予定を聞き、いちばん遠くへ行く人を探す。最後に一人ずつ、聞いた人の予定を一文でクラスに報告する。教師は人に「と」、乗り物に「で」、場所に「へ」が付いているか、「一人と」になっていないか、語順が途中で崩れていないかを聞いて直す。

つまずきと手当て

  • 「*一人と行きます」と言う。「一人で」は相手がいないことを表すので「と」にならないと、二人の絵と一人の絵に戻って確かめる
  • 「*バスと行きます」のように、乗り物にも「と」をつける。母語の with を人にも乗り物にも使う学習者に多い。枠の列の見出しに「人」「乗り物」と書いておき、列を指さして戻す。なお「家族で行きます」「二人で行きます」は、みんなで一つのまとまりになって行くという自然な言い方なので、学生が使っても直さない
  • 名詞を並べる「と」(母と父)を先に知っている学習者が、「友達と行きます」の「と」と区別できない。並べる「と」のあとには名詞が来て、相手の「と」のあとには動詞が来る、と後ろを見て区別させる
  • 四つの要素を全部入れようとして語順が崩れ、途中で止まる。「いつ・だれと・何で・どこへ・行きます」の板書の順でまず言えるようにし、要素を一つずつ足していく

既習の文型との違い

  • 〜で…へ(移動表現)(第4課)「バスで」の「で」は乗り物、「一人で」の「で」は人数で、同じ「で」が二つ出ます。学習者は「で」と「と」を入れ替えて「*バスと行きます」「*一人と行きます」と言います。「と」の前には自分以外の相手が来て、「一人で」は相手がいないときの決まった言い方だと、二人の絵と一人の絵で分けて見せます。
  • 〜は…です(第1課)第1課の名詞文では人の名詞に「は」が付き(わたしは留学生です)、この課では同じ人の名詞に「と」が付いて相手になります。「わたしは友達と行きます」のように一文に両方入ると、学習者は「は」と「と」の人を取り違え、自分が行く話なのに「友達はわたしと行きます」と言ってしまうことがあります。「は」の人が話の中心、「と」の人がいっしょに行く人だと、人の絵に印を付けて見せます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の新出語は、月日の言い方、時の言葉(先週・今週・来週、先月・今月・来月、去年・今年・来年)、場所、乗り物、人のかたまりに分かれます。月日はカレンダー、時の言葉は「先・今・来」の3列の表、場所・乗り物・人は絵カードで入れ、どれも単語だけで終わらせず、「14日に」「来週」「バスで」「友達と」のように助詞つきの形で枠の中に入れて練習します。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 行きます(いきます) 今いる所から、ほかの所へ移ります。 〜へ行きます・電車で〜・友達と〜
    金曜日、友達に週末の予定を聞かれる。
    土曜日、横浜へ行きます。
  • 来ます(きます) ほかの所から、話している人のいる所へ移ります。 学校へ来ます・日本へ〜・何で〜
    先生が、毎朝の来方を学生に聞く。
    毎朝、何で学校へ来ますか。——バスで来ます。
  • 帰ります(かえります) うちや国など、自分のもといる所へ戻ります。 うちへ帰ります・国へ〜・-時に〜
    授業のあと、同じクラスの学生に帰る時間を聞かれる。
    5時にうちへ帰ります。
  • 誕生日(たんじょうび) その人が生まれた月と日です。 〜は-月-日です・母の〜・友達の〜
    新しいクラスの最初の日、となりの学生と話す。
    わたしの誕生日は5月24日です。
  • 来週(らいしゅう) 今週の次の週です。後ろに「に」は付けません。 〜行きます・〜の月曜日・〜帰ります
    会社で、同僚に出張の予定を伝える。
    来週、課長と大阪へ行きます。
  • 先月(せんげつ) 今月の前の月です。「〜ました」といっしょに使います。 〜行きました・〜の10日・〜来ました
    自己紹介で、日本に来た時を話す。
    わたしは先月、日本へ来ました。
  • 電車(でんしゃ) 線路の上を走る乗り物です。 〜で行きます・〜で来ます
    友達に会社までの行き方を聞かれる。
    毎日、電車で会社へ行きます。
  • 自転車(じてんしゃ) 足でこいで走る、車輪が二つの乗り物です。 〜で来ます・〜で行きます
    朝の教室で、ヘルメットを持った学生に聞く。
    きょうは何で来ましたか。——自転車で来ました。
  • 飛行機(ひこうき) 空を飛ぶ乗り物です。遠い所や国へ行くときに使います。 〜で帰ります・〜で行きます
    夏休みの前に、先生に帰国の予定を話す。
    8月3日に飛行機で国へ帰ります。
  • 友達(ともだち) 仲のいい、親しい人です。 〜と行きます・〜のうち
    休み時間に、日曜日の予定を聞かれる。
    日曜日、友達と京都へ行きます。
  • 家族(かぞく) 父・母・兄弟など、いっしょに暮らす人たちです。 〜と行きます・〜で行きます
    年末の予定を同僚に聞かれる。
    12月30日に家族と長野へ行きます。
  • 一人で(ひとりで) 自分だけで、という意味です。いっしょに行く人はいません。 〜行きます・〜来ました
    月曜日の朝、先生に週末のことを聞かれる。
    きのう、一人で美術館へ行きました。

宿題と次のコマ

宿題は、自分の来週か来月の予定を「いつ・だれと・何で・どこへ」の四つを入れて3文書くこと(行った所なら「〜ました」で書いてよい)と、家族の誕生日を「〜の誕生日は-月-日です」で書くこと。次のコマの最初に、宿題の文を使って「〜さんは何月何日にどこへ行きますか」と教師が聞いて復習し、クラスの誕生日カレンダーで「〜さんの誕生日は何月何日ですか」と一言やり取りしてから、第5課の「〜を…ます」に入ります。

よくある質問

  • 第4課の月日の読みはどう教えればいいですか?

    月は数字に「がつ」を付けるだけですが、4月・7月・9月だけ赤で書いて読みを添えます。日は1〜10日・14日・20日・24日の特別な読みをカレンダーの赤丸で見せ、規則で覚えさせるより、指さして読む練習の回数で定着させます。時刻の4時・7時・9時と並べた表を一枚作っておくと、時刻と日付の読みの混同が減ります。

  • 「〜へ行きます」と「〜に行きます」はどちらで教えればいいですか?

    この課の学習項目は「へ」なので、練習は「へ」にそろえます。学生が「学校に行きます」と言っても誤りではないので直さず、「この課は へ で練習しましょう」とだけ伝えます。目的を表す「〜に行きます」(食べに行きます)は第9課で出るので、ここで「に」の説明を広げないほうが、時の「に」(第3課)との混乱も起きません。

  • 「行きます」と「来ます」の違いはどう見せますか?

    教師が教室の中で実際に動き、ドアへ向かいながら「行きます」、席へ戻りながら「来ます」と言うのがいちばん早い方法です。黒板には教室とうちの絵を描き、矢印で「来ます」「帰ります」を分けます。go/come と同じだと思っている学習者には、話し手のいる所へ向かうときが「来ます」だと、矢印の向きで何度も確かめます。

  • 「で」と「と」の取り違えはどう防ぎますか?

    板書の枠に「人」「乗り物」「場所」の列の見出しを書き、列ごとに助詞を一つに決めて見せます。練習では人カードと乗り物カードを混ぜて出し、学習者に列を選ばせてから言わせます。「一人で」だけは人の列なのに「で」になるので、赤で書いて別に覚えさせます。

  • 第4課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目で導入と月日の言い方、「〜へ」まで、2コマ目で「〜で」「〜と」と、四つの要素を全部入れるまとめの活動を行います。月日の読みが定着していないクラスでは、2コマ目の最初に5分の日付読みを入れてから進めます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。