第11課のて形と第12課のない形を受けて、許可(〜てもいいです)・禁止(〜てはいけません)・不要(〜なくてもいいです)を言い分ける課です。新しい活用形はなく、すでに覚えたて形・ない形に「も」「は」と後ろの言葉を足すだけなので、板書は「て形+もいいです」「て形+はいけません」「ない形→なくて+もいいです」の3段を並べ、形の違いがひと目で分かるようにします。教室・図書館・寮・アルバイト先など、学習者が毎日ぶつかる「ここで〜してもいいか」という場面がそのまま練習の場になり、許可を求める・断るやり取りの丁寧さもここで身につけます。第12課の「〜なければなりません」と合わせると、「しなければならない/しなくてもいい/してもいい/してはいけない」の4つで、規則や指示がひととおり言えるようになります。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(前の課とのつなぎ) | 10分 | 第11課の「〜てください」、第12課の「〜ないでください」「〜なければなりません」を絵カードで2〜3問。教師が「窓を開けてください」と頼んだあと、今度は学生の側から「〜してもいいか」を聞く言い方がこの課だと予告する。て形・ない形の作り方は動詞カードで一巡させて確かめておく |
| 学習項目1 〜てもいいです/〜なくてもいいです | 45分 | 教師が先に学生へ「〜てもいいですか」と許可を求めて見せ、答え方「ええ、どうぞ」「すみません、ちょっと…」まで。次にない形→なくての作り方を板書して「〜なくてもいいです」へ進み、「〜なければなりません」と上下に並べる |
| 学習項目2 〜てはいけません | 35分 | ×のついた注意書きの絵記号で場所のきまりの場面を作る。第12課の「〜ないでください」と並べ、相手に頼むのか、きまりを言うのかを比べる。1コマ目はここまで |
| 復習(1コマ目の確かめ) | 15分 | 2コマ目の頭に、許可・不要・禁止の3つを絵カードで混ぜて5問ずつ。「〜てもいいですか」と聞かれて「ええ、どうぞ」「すみません、ちょっと…」「いいえ、〜てはいけません」のどれで答えるかを、カードの○・×・-の印で決めさせる |
| 学習項目3 〜てもかまいません/〜なくてもかまいません | 30分 | 学習項目1の「いいです」を「かまいません」に入れ替えるだけだと見せ、「ません」で終わっても許可だと強調する。受付の職員の言い方として、聞き取りから入る |
| まとめの活動 | 45分 | 寮・図書館・アルバイト先のきまりの表をグループで作り、「〜なければなりません/〜なくてもいいです/〜てもいいです/〜てはいけません」の4つを使って説明し合う。最後に、聞いた側が「〜てもいいですか」と質問して確かめる |
「〜てもいいです」は、ある行為が許されていることを表します。自分がしたいことの許可を求めるときは「〜てもいいですか」と聞き、答えは「ええ、いいですよ」「どうぞ」が自然です。「〜なくてもいいです」は、しなくても問題がない(その必要がない)ことを表し、第12課の「〜なければなりません」と反対の意味になります。形容詞や名詞にもつき、「安くてもいいです」「あしたでもいいです」のように、条件をゆるめて「それでも問題ない」と言うときにも使います。
動詞のて形+もいいです/ない形の「ない」を「なくて」に変えて+もいいです(書かない→書かなくてもいいです)
口頭の代入練習では、動詞の絵カード(座る・写真を撮る・窓を開ける・電話をかける・先に帰る)を見せて「〜てもいいですか」を言わせ、カードを裏返してない形を見せたら「〜なくてもいいです」に変えさせる。場面のやり取りでは、片方が先生役、片方が学生役になり、許可を求める→「ええ、どうぞ」か「すみません、ちょっと…」で答える、をカードを替えながら回す。
ある行為が許されていない(禁止されている)ことを表します。規則・きまり・注意書きのように、話し手の気持ちよりも「そういうきまりになっている」と伝える言い方で、先生が学生に、親が子どもに、のように立場が上の人から下の人へ言うときや、場所のきまりを説明するときに使います。目上の人に向かって直接「〜てはいけません」と言うと強すぎて失礼になります。第12課の「〜ないでください」は相手に頼む言い方で、「〜てはいけません」はきまりとして言う言い方です。「ては」の「は」は「わ」と読みます。
動詞のて形+はいけません(「は」は「わ」と読む)
口頭の代入練習では、絵記号カードと場所カード(図書館・美術館・病院・電車)を重ねて見せ、「〜で〜てはいけません」と一文で言わせる。場面のやり取りでは、片方が「〜てもいいですか」と聞き、もう片方が施設の職員役になって、カードに×があれば「すみません、〜てはいけません」、なければ「ええ、どうぞ」と答える。
「〜てもいいです」「〜なくてもいいです」と同じ意味で、「いいです」を「かまいません」に替えた言い方です。少し改まった、ていねいな響きがあり、店や役所・病院の受付、職員や先生の説明でよく聞きます。「かまいません」は「問題ありません」という意味で、「ません」で終わっていても許可の意味だということが大事です。許可を求めるときに「〜てもかまいませんか」と聞くこともでき、答えは「ええ、かまいませんよ」です。
動詞のて形+もかまいません/ない形の「ない」を「なくて」に変えて+もかまいません
口頭の代入練習では、学習項目1と同じ動詞カードで「〜てもいいです」を言わせ、教師が「かまいません」のカードを出したら言い換えさせる。場面のやり取りでは、受付の職員役と客の役に分かれ、書類の欄を指しながら「〜てもかまいませんか」「ええ、かまいませんよ」「〜なくてもかまいません」を言い合う。
この課の新出語は、許可や禁止が問題になる行為(座る・吸う・撮る・使う・入る・休む・持って来るなど)と、それが起こる場所(図書館・美術館・寮・病院・受付など)の二つのかたまりに分けると練習に乗せやすくなります。行為の動詞は裏にて形とない形を書いた絵カードにしておくと、「〜てもいいです」「〜なくてもいいです」「〜てはいけません」の三つを一枚のカードで回せます。×のついた注意書きの絵記号は教室の外でもよく目にするので、駅や店で見かける実物の写真を見せると定着します。
宿題は、自分の寮・アパート・アルバイト先のきまりを、「〜てもいいです」「〜てはいけません」「〜なくてもいいです」「〜なければなりません」を一つずつ使って4文書くこと。次のコマの最初に、宿題の文を読み合って「〜さんの寮では〜てもいいですか」と教師が聞いて復習し、許可を求めて物を貸し借りするやり取りから、第14課の「あげます・もらいます」に入ります。
第13課の「〜てもいいです」「〜てはいけません」「〜なくてもいいです」はどの順で教えればいいですか?
許可の「〜てもいいです」を先に出し、同じ項目の中で「〜なくてもいいです」まで進めてから、禁止の「〜てはいけません」に入る順がこの教案の組み方です。「〜てもいいですか——いいえ、〜てはいけません」のやり取りで禁止を導入すると、前の項目の質問の形がそのまま使えます。「〜てもかまいません」は新しい形がないので最後に置き、入れ替えと聞き取りで短く扱います。
「〜てはいけません」と「〜ないでください」の違いは何ですか?
「〜ないでください」は話し手が相手に頼む言い方、「〜てはいけません」はその場所や立場のきまりとして言う言い方です。注意書きや規則の説明、先生から学生へ、のように立場が上の人から言うときは「〜てはいけません」が合いますが、友達や目上の人に直接言うと強く聞こえます。導入では同じ行為で二つの場面を続けて見せ、だれがだれに言っているかで選ばせます。
「〜てもいいですか」と聞かれたとき、学習者にはどう答えさせればいいですか?
許可するときは「ええ、どうぞ」「いいですよ」、断るときは「すみません、ちょっと…」が自然で、文型をそのまま返す「はい、〜てもいいです」は硬く聞こえます。断るときは理由を「〜ですから」で一つ添えると、やわらかくなります。きまりを説明するとき(できないことの「いいえ、〜てはいけません」、できることの「ええ、〜てもいいです」)だけ文型で答える、と場面で分けておきます。
「〜なくてもいいです」の作り方でつまずく学習者には、どう見せればいいですか?
ない形を黒板に書き、最後の「い」に×をつけて「くて」を足す手順を、色を変えて毎回同じ順で見せます。「書かない→書かなくて」「食べない→食べなくて」「しない→しなくて」「来ない→来なくて」とグループごとに1語ずつ並べると、どのグループも同じ作り方だと分かります。「*書かないてもいいです」が出たら、ない形のあとに直接「ても」をつけていないかを板書の手順に戻して確かめます。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は導入と「〜てもいいです/〜なくてもいいです」「〜てはいけません」まで、2コマ目は復習と「〜てもかまいません」、きまりの表を作るまとめの活動です。て形・ない形の定着が弱いクラスでは、1コマ目の最初に活用の確かめを10分ほど足すと、あとの練習が止まりません。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。