日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 初級Ⅰ 第13課「ここに座ってもいいです」の教案

『学ぼう!にほんご 初級Ⅰ』

第11課のて形と第12課のない形を受けて、許可(〜てもいいです)・禁止(〜てはいけません)・不要(〜なくてもいいです)を言い分ける課です。新しい活用形はなく、すでに覚えたて形・ない形に「も」「は」と後ろの言葉を足すだけなので、板書は「て形+もいいです」「て形+はいけません」「ない形→なくて+もいいです」の3段を並べ、形の違いがひと目で分かるようにします。教室・図書館・寮・アルバイト先など、学習者が毎日ぶつかる「ここで〜してもいいか」という場面がそのまま練習の場になり、許可を求める・断るやり取りの丁寧さもここで身につけます。第12課の「〜なければなりません」と合わせると、「しなければならない/しなくてもいい/してもいい/してはいけない」の4つで、規則や指示がひととおり言えるようになります。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目3時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 「〜てもいいですか」と許可を求め、「ええ、どうぞ」「すみません、ちょっと…」で受けたり断ったりできる
  • 規則やきまりを「〜てはいけません」で言い、相手に頼むときの「〜ないでください」との違いが分かる
  • ない形から「〜なくてもいいです」を作り、しなくてよいことを言える。「〜なければなりません」と反対の意味だと分かる
  • 「〜てもかまいません」を「〜てもいいです」の少していねいな言い方として聞いて分かり、使える

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)10分第11課の「〜てください」、第12課の「〜ないでください」「〜なければなりません」を絵カードで2〜3問。教師が「窓を開けてください」と頼んだあと、今度は学生の側から「〜してもいいか」を聞く言い方がこの課だと予告する。て形・ない形の作り方は動詞カードで一巡させて確かめておく
学習項目1 〜てもいいです/〜なくてもいいです45分教師が先に学生へ「〜てもいいですか」と許可を求めて見せ、答え方「ええ、どうぞ」「すみません、ちょっと…」まで。次にない形→なくての作り方を板書して「〜なくてもいいです」へ進み、「〜なければなりません」と上下に並べる
学習項目2 〜てはいけません35分×のついた注意書きの絵記号で場所のきまりの場面を作る。第12課の「〜ないでください」と並べ、相手に頼むのか、きまりを言うのかを比べる。1コマ目はここまで
復習(1コマ目の確かめ)15分2コマ目の頭に、許可・不要・禁止の3つを絵カードで混ぜて5問ずつ。「〜てもいいですか」と聞かれて「ええ、どうぞ」「すみません、ちょっと…」「いいえ、〜てはいけません」のどれで答えるかを、カードの○・×・-の印で決めさせる
学習項目3 〜てもかまいません/〜なくてもかまいません30分学習項目1の「いいです」を「かまいません」に入れ替えるだけだと見せ、「ません」で終わっても許可だと強調する。受付の職員の言い方として、聞き取りから入る
まとめの活動45分寮・図書館・アルバイト先のきまりの表をグループで作り、「〜なければなりません/〜なくてもいいです/〜てもいいです/〜てはいけません」の4つを使って説明し合う。最後に、聞いた側が「〜てもいいですか」と質問して確かめる

学習項目 1 〜てもいいです/〜なくてもいいです

意味・はたらき学習項目 1

「〜てもいいです」は、ある行為が許されていることを表します。自分がしたいことの許可を求めるときは「〜てもいいですか」と聞き、答えは「ええ、いいですよ」「どうぞ」が自然です。「〜なくてもいいです」は、しなくても問題がない(その必要がない)ことを表し、第12課の「〜なければなりません」と反対の意味になります。形容詞や名詞にもつき、「安くてもいいです」「あしたでもいいです」のように、条件をゆるめて「それでも問題ない」と言うときにも使います。

接続

動詞のて形+もいいです/ない形の「ない」を「なくて」に変えて+もいいです(書かない→書かなくてもいいです)

形
VてもいいですVてもいいですか——ええ、どうぞ/すみません、ちょっと…Vない→Vなくてもいいです(来ない→来なくても・しない→しなくても)Aくても/Nでもいいです(安くてもいいです・あしたでもいいです)

導入

  • 教師が学生に許可を求める教師が学生の机の上の辞書を指して「この辞書を使ってもいいですか」と聞き、「どうぞ」と答えさせてから借りる。同じことをペン・いす・窓で2〜3回くり返したあと、板書を「[て形]もいいですか」の枠にし、動詞カードを差し替えて学生から教師へ聞かせる。断る答えは、教師が困った顔で「すみません、ちょっと…」と言って見せ、理由を最後まで言わなくても通じることを確かめる。
  • 1週間の予定表で「なくても」を出す黒板に1週間の予定表を描き、「月曜日はテストがあります。教科書を持って来なければなりません」「金曜日は休みです。学校へ来なくてもいいです」と教師が言う。ない形の「ない」の「い」を消して「くて」を書き足す手順を色を変えて見せ、「来ない→来なくて」「しない→しなくて」も同じだと確かめる。最後に「なければなりません」と「なくてもいいです」を上下に並べて板書し、反対の意味だと見せる。

板書案

Vて + もいいです(か)
この 辞書を 使っても いいですか。——ええ、どうぞ。
Vない → Vなくて + もいいです
あしたは 学校へ 来なくても いいです。
〔赤〕て形と「なくて」 〔青〕「ない」の「い」に×をつけて「くて」
〔上〕〜なければなりません ⇔ 〔下〕〜なくてもいいです(反対の意味の矢印)

場面と発話(自作)

  • 図書館の自習室で、空いている席を見つけた留学生が、隣の人に席を使ってもいいかを聞く。すみません、この机、使ってもいいですか。——ええ、どうぞ。
  • 朝、熱が出た留学生が学校の受付に電話をかけて、きょう休めるかどうかを聞く。熱がありますから、きょうは休んでもいいですか。——はい、いいですよ。ゆっくり休んでください。
  • アルバイト先で、店長が新しく入った留学生に、あしたの持ち物について話す。あしたは制服を持って来なくてもいいです。店にあります。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、動詞の絵カード(座る・写真を撮る・窓を開ける・電話をかける・先に帰る)を見せて「〜てもいいですか」を言わせ、カードを裏返してない形を見せたら「〜なくてもいいです」に変えさせる。場面のやり取りでは、片方が先生役、片方が学生役になり、許可を求める→「ええ、どうぞ」か「すみません、ちょっと…」で答える、をカードを替えながら回す。

  1. 口頭教師が動詞の絵カードを見せ、全員→列→個人の順で「〜てもいいですか」を言わせる。キューは「辞書を使います」→「辞書を使ってもいいですか」、「窓を開けます」→「窓を開けてもいいですか」、「先に帰ります」→「先に帰ってもいいですか」のように、て形の型が違う動詞を混ぜる。カードを裏返してない形を見せたら「〜なくてもいいです」に変えさせ(来ない→来なくてもいいです、書かない→書かなくてもいいです)、最後に教師が「あしたも来なければなりませんか」と聞いて「いいえ、来なくてもいいです」と返させる。
  2. ペアAにだけ「あしたの授業のきまり表」(○=してもいい・-=しなくてもいい・◎=しなければならない の印つき)を渡し、Bは表を見ずに「教科書を持って来なければなりませんか」「辞書を使ってもいいですか」と5つ聞く。Aは表を見て「ええ、使ってもいいです」「いいえ、持って来なくてもいいです」と答え(きまりを説明する答えなので、ここは文型を使って答える)、Bは白紙の表に印を書き込む。終わったら二人の表を突き合わせ、表を替えて役を交替する。
  3. 産出「ちょっといいですか ロールプレイ」。図書館で席を探す・友達の部屋で写真を見つける・熱がある朝に学校へ電話する、などの場面カードを引き、許可を求める側と答える側を演じる。答える側は半分の場面で断り、「すみません、ちょっと…。〜ですから」と理由を添える。教師が見るのは、て形・「なくて」の形の誤り、「はい、〜てもいいです」と文型をそのまま返していないか、断るときに「いいえ、だめです」のような強すぎる言い方になっていないかの3点。

つまずきと手当て

  • て形の誤りがそのまま出て「*行いてもいいです」「*待ちてもいいです」となる。この課の練習に入る前に、第11課のて形の作り方を動詞カードで一巡させておく
  • 「*書かないてもいいです」「*食べないくてもいいです」のように、「ない」の形を残したままつなぐ。「ない」の「い」を消して「くて」をつける、と板書の色分けで手順を見せる
  • 「来なくて」を「*きなくて」と読む。「来ない(こない)」から作るので「こなくて」になると、ない形に戻って確かめる
  • 「〜てもいいですか」と聞かれて「はい、使ってもいいです」と文型をそのまま返す。誤りではないが、許可を与える側の言い方に聞こえて硬いので、ふだんの頼みには「ええ、どうぞ」「いいですよ」で答える習慣をつける(きまりの表や規則を説明するときは、文型で答えてよい)。また「〜なくてもいいですか」に「いいえ」で答える形(「いいえ、〜なければなりません」)が出てこないことが多いので、第12課の文型と組にして練習する

既習の文型との違い

  • 〜てください(第11課)「〜てください」は相手に動作をしてもらう頼みで、動作をするのは聞き手です。「〜てもいいですか」は動作をするのが話し手で、相手にはそれを許してもらうだけです。自分が窓を開けたいのに「窓を開けてください」と言うと、相手に開けさせる頼みになるので、「だれが開けますか」と聞いて言い直させます。
  • 〜なければなりません(第12課)「〜なければなりません」はしなければならないこと、「〜なくてもいいです」はしなくても問題がないことで、意味は反対です。形はどちらもない形から作るので混ざりやすく、「*書かなくてもなりません」のように二つの後ろの部分を取り違える誤りが出ます。「なければ+なりません」「なくて+もいいです」と、ない形のあとの部分を色で分けて上下に板書すると整理できます。
関連する文型

学習項目 2 〜てはいけません

意味・はたらき学習項目 2

ある行為が許されていない(禁止されている)ことを表します。規則・きまり・注意書きのように、話し手の気持ちよりも「そういうきまりになっている」と伝える言い方で、先生が学生に、親が子どもに、のように立場が上の人から下の人へ言うときや、場所のきまりを説明するときに使います。目上の人に向かって直接「〜てはいけません」と言うと強すぎて失礼になります。第12課の「〜ないでください」は相手に頼む言い方で、「〜てはいけません」はきまりとして言う言い方です。「ては」の「は」は「わ」と読みます。

接続

動詞のて形+はいけません(「は」は「わ」と読む)

形
Vてはいけません〈場所〉でVてはいけません(ここでたばこを吸ってはいけません)Vてもいいですか——いいえ、いけません(きまりとして答えるとき)Vないでください(頼む)/Vてはいけません(きまり)

導入

  • 注意書きの絵記号できまりを作るたばこ・カメラ・飲み物・携帯電話に赤い×をつけた絵記号を用意し、「ここは美術館です」と場面を決めてから、教師が記号を指して「ここで写真を撮ってはいけません」と言う。板書は「[場所]で [て形]はいけません」の枠にし、記号カードを替えて全員でくり返す。図書館・病院・電車の中と場所のカードを替えると、同じ行為でも場所によってきまりが変わることも見せられる。
  • 「〜ないでください」と並べて比べる教師が学生の一人に「すみません、ここで電話をかけないでください」と頼む場面と、壁の注意書きを指して「ここで電話をかけてはいけません」と言う場面を続けて見せる。前者は「わたしからあなたへのお願い」、後者は「この場所のきまり」と板書で並べ、だれがだれに言うかで使い分けることを確かめる。

板書案

Vて + は いけません (は=わ)
〈場所〉で Vて は いけません
電車の 中で 電話を かけては いけません。
〔赤〕×をつけた絵記号 〔青〕「は」の上に小さく「わ」
きまり:〜てはいけません / お願い:〜ないでください

場面と発話(自作)

  • 美術館の入口で、職員がカメラを持った観光客に、館内のきまりを伝える。すみません、中で写真を撮ってはいけません。
  • 寮の説明会で、管理人が新しく入った留学生に、部屋のきまりを話す。部屋でたばこを吸ってはいけません。たばこは外で吸ってください。
  • テストを始める前に、先生が教室の学生に注意する。テストでは、辞書を使ってはいけません。かばんの中に入れてください。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、絵記号カードと場所カード(図書館・美術館・病院・電車)を重ねて見せ、「〜で〜てはいけません」と一文で言わせる。場面のやり取りでは、片方が「〜てもいいですか」と聞き、もう片方が施設の職員役になって、カードに×があれば「すみません、〜てはいけません」、なければ「ええ、どうぞ」と答える。

  1. 口頭絵記号カード(×つき)と場所カードを重ねて見せ、全員→個人の順で一文を言わせる。キューは「美術館+写真」→「美術館で写真を撮ってはいけません」、「図書館+食べ物」→「図書館で物を食べてはいけません」、「電車+電話」→「電車の中で電話をかけてはいけません」、「教室+たばこ」→「教室でたばこを吸ってはいけません」。慣れたら教師が「ここで写真を撮ってもいいですか」と聞き、×のカードなら「いいえ、撮ってはいけません」、×のないカードなら「ええ、どうぞ」と答えさせる。
  2. ペア「きまりさがし」。公園や駅の見取り図を2種類用意し、Aの図には場所ごとに○と×の印があり、Bの図には印がない。Bが場所を指して「ここで自転車に乗ってもいいですか」と聞き、Aは図のきまりを説明する役なので、「いいえ、乗ってはいけません」「ええ、乗ってもいいです」と文型を使って答える。Bは自分の図に○×を書き込み、6か所聞いたら図を替えて交替する。最後に二人の図を重ねて答え合わせをする。
  3. 産出「わたしの国のきまり紹介」。学習者が自分の国や町で、日本と違うきまりを一つ選び、「わたしの国では、〜で〜てはいけません。〜てもいいです。」の2文で紹介し、聞いた人が「〜で〜てもいいですか」と一つ質問する。教師が見るのは、て形の誤り、「ては」を「てわ」と読めているか、場所の助詞「で」が落ちていないか。目上の人に直接「〜てはいけません」と言う場面になっていたら、「〜ないでください」との違いに戻す。

つまずきと手当て

  • 友達の頼みを断るときや、先生に向かって「窓を開けてはいけません」と言ってしまう。誤りではないが、きまりを言い渡すように聞こえて強いので、相手に頼むときは「〜ないでください」、断るときは「すみません、ちょっと…」に戻す
  • 「ては」の「は」を「ha」と読む。板書の「は」の上に「わ」と小さく書き、最初の数回は教師が大げさに「てわ」と読んで聞かせる
  • 「*撮りてはいけません」のように、ます形から「ます」を取った形につないでしまう。「はいけません」の前は必ずて形、と枠の色で示し、学習項目1と同じ動詞カードで形を作り直させる
  • 「〜なくてはいけません」を禁止の意味だと思って使う。これは「しなければならない」という意味の正しい文なので、学生が言ったら言いたいことを確かめ、禁止なら「〜てはいけません」だと言い直させる

既習の文型との違い

  • 〜ないでください(第12課)「〜ないでください」は話し手から聞き手へのお願いで、「〜てはいけません」はその場所や立場のきまりとして言う言い方です。友達に「ここでたばこを吸ってはいけません」と言うと、誤りではありませんが、きまりを言い渡すようで強く聞こえます。相手に頼むときは「〜ないでください」、注意書きや規則を説明するときは「〜てはいけません」と、言う人と聞く人の関係で選ばせます。
  • 〜なければなりません(第12課)「〜てはいけません」はしてはいけないこと(禁止)、「〜なければなりません」はしなければならないこと(義務)です。二つを混ぜて「〜なくてはいけません」を作ると、これは義務の意味の正しい文なので、学習者が禁止のつもりで使っていないかを確かめます。規則の表を作るときは「×=〜てはいけません」「◎=〜なければなりません」と印を決めておくと混ざりにくくなります。
関連する文型

学習項目 3 〜てもかまいません/〜なくてもかまいません

意味・はたらき学習項目 3

「〜てもいいです」「〜なくてもいいです」と同じ意味で、「いいです」を「かまいません」に替えた言い方です。少し改まった、ていねいな響きがあり、店や役所・病院の受付、職員や先生の説明でよく聞きます。「かまいません」は「問題ありません」という意味で、「ません」で終わっていても許可の意味だということが大事です。許可を求めるときに「〜てもかまいませんか」と聞くこともでき、答えは「ええ、かまいませんよ」です。

接続

動詞のて形+もかまいません/ない形の「ない」を「なくて」に変えて+もかまいません

形
VてもかまいませんVなくてもかまいませんVてもかまいませんか——ええ、かまいませんよNでもかまいません(鉛筆でもかまいません)

導入

  • 「いいです」を「かまいません」に入れ替える学習項目1の板書「[て形]もいいです」の「いいです」の上に「かまいません」のカードを重ねて貼り、意味は同じだと見せる。そのうえで教師がうなずきながら「どうぞ、かまいません」と言い、否定の形でも許可だということを表情と動作で印象づける。
  • 受付の書類で聞き取る役所や病院の受付の絵と、記入欄のある書類の絵を貼り、教師が職員役になって「名前は鉛筆で書いてもかまいません」「ここは書かなくてもかまいません」と言う。学生は書類の絵の該当する欄に○(書いてよい)や-(書かなくてよい)をつけ、聞いて分かることを先に確かめてから、言う練習に移る。

板書案

Vて + も かまいません = Vて + も いいです
Vなくて + も かまいません = Vなくて + も いいです
この 紙は 鉛筆で 書いても かまいません。
〔赤〕かまいません = 問題ありません(○の意味)
〔青〕「いいです」と「かまいません」を線で結んだ対応表

場面と発話(自作)

  • 病院の受付で、初めて来た留学生が、書類を英語で書いてもいいかを聞く。すみません、ここは英語で書いてもかまいませんか。——ええ、かまいませんよ。
  • 会社で、夕方まで仕事をしている留学生に、同じ部署の人が声をかける。その仕事はあしたでもかまいません。きょうは早く帰ってください。
  • 日本語学校の受付で、職員が入学の書類を出しに来た学生に説明する。写真は来週持って来てもかまいません。きょうは名前と住所を書いてください。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、学習項目1と同じ動詞カードで「〜てもいいです」を言わせ、教師が「かまいません」のカードを出したら言い換えさせる。場面のやり取りでは、受付の職員役と客の役に分かれ、書類の欄を指しながら「〜てもかまいませんか」「ええ、かまいませんよ」「〜なくてもかまいません」を言い合う。

  1. 口頭教師が「〜てもいいです」の文を言い、学習者が「かまいません」に言い換える。キューは「荷物はここに置いてもいいです」→「荷物はここに置いてもかまいません」、「あした来なくてもいいです」→「あした来なくてもかまいません」、「ボールペンで書いてもいいです」→「ボールペンで書いてもかまいません」。次に聞き取りの確かめとして、教師が「〜てもかまいません」と「〜てはいけません」の文を混ぜて言い、学習者は○か×の札を挙げる。「ません」で終わる文に×を挙げた学生がいたら、その文をもう一度ゆっくり言って確かめる。
  2. ペアAは記入欄のある書類の絵(名前・住所・電話番号・写真・メールアドレスなど)、Bは受付の職員役で「書かなくてもいい欄・あとで出してもいい物」の書いてあるメモを持つ。Aが欄を指して「ここは書かなくてもかまいませんか」「写真は来週でもかまいませんか」と聞き、Bは「ええ、かまいませんよ」「いいえ、書いてください」と答える。Aは書類の絵に○や-を書き込み、メモを替えて交替する。
  3. 産出「受付カウンター ロールプレイ」。学習者が自分で場面(日本語学校の受付・病院・市役所・アルバイトの面接)を決め、職員役は「〜てもかまいません」「〜なくてもかまいません」を一つずつ入れて説明し、客の役は「〜てもかまいませんか」で一つ確かめる。教師が見るのは、「*かまいます」のような肯定の形が出ていないか、客の役が「かまいません」を断りと受け取っていないか、職員役が「かまいません」と「いいです」を混ぜても意味が変わらずに伝わっているか。

つまずきと手当て

  • 「かまいません」を「ません」だから禁止だと聞き取る。受付の聞き取りで答えを○×で書かせて確かめ、×にした学生には「かまいません=問題ありません」と言い換えて見せる
  • 許可を与えるつもりで「*〜てもかまいます」と肯定の形にする。この言い方は「かまいません」の形で決まっていると、「いいです」との対応表で見せる
  • 目上の人に許可を求めるとき、「〜てもいいですか」と「〜てもかまいませんか」のどちらを使えばよいかで迷って止まる。どちらも失礼ではないので、まず「〜てもいいですか」を言えるようにし、「かまいませんか」は少していねいな言い方として足す
  • 「〜てもかまいませんか」と聞かれて、許可するつもりで「*はい、かまいます」と答える。許可するときは「ええ、かまいませんよ」「どうぞ」、断るときは「すみません、ちょっと…」になると、答え方の3つを板書で並べておく

既習の文型との違い

  • 〜てもいいです/〜なくてもいいです(第13課 学習項目1)意味は同じで、「かまいません」のほうが少し改まった言い方です。受付や先生の説明のように、相手に分かりやすく許可を伝える場面でよく聞きます。学習者が自分で言うときはまず「〜てもいいです」が使えれば十分で、「かまいません」は聞いて分かることを先に目標にします。
  • 〜てはいけません(第13課 学習項目2)「〜てもかまいません」と「〜てはいけません」はどちらも「ません」で終わりますが、意味は許可と禁止で反対です。聞き取りでは文の最後だけを聞いて「ません=だめ」と判断する学習者が多いので、「も+かまいません」か「は+いけません」か、「ません」の前の部分を聞くように練習させます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の新出語は、許可や禁止が問題になる行為(座る・吸う・撮る・使う・入る・休む・持って来るなど)と、それが起こる場所(図書館・美術館・寮・病院・受付など)の二つのかたまりに分けると練習に乗せやすくなります。行為の動詞は裏にて形とない形を書いた絵カードにしておくと、「〜てもいいです」「〜なくてもいいです」「〜てはいけません」の三つを一枚のカードで回せます。×のついた注意書きの絵記号は教室の外でもよく目にするので、駅や店で見かける実物の写真を見せると定着します。

この課の練習で使う語(10語・意味・連語・例文)

  • 座ります(すわります) いすや床に腰を下ろします。 いすに〜・席に〜・ここに〜
    長い時間歩いて、足が痛くなった。公園のベンチの前で友達に言う。
    「疲れましたから、少し座ってもいいですか。」
  • 使います(つかいます) 道具や物で、何かをします。 辞書を〜・パソコンを〜・電話を〜
    教室で、テストの前に学生が先生に聞く。
    「テストで辞書を使ってもいいですか。」「いいえ、使ってはいけません。」
  • 撮ります(とります) カメラや電話で写真にします。 写真を〜・ここで〜
    お寺の中で、観光客が係の人に聞く。
    「ここで写真を撮ってもいいですか。」「すみません、中では撮ってはいけません。」
  • 吸います(すいます) たばこの煙を口から体に入れます。 たばこを〜・外で〜
    寮の管理人が、新しい留学生にきまりを話す。
    「部屋でたばこを吸ってはいけません。」
  • 入ります(はいります) 外から、部屋や建物の中へ行きます。 部屋に〜・中に〜・教室に〜
    会社で、会議をしている部屋の前。同僚が止める。
    「今、会議をしています。入ってはいけません。」
  • 休みます(やすみます) 仕事や学校に行かないで、体を楽にします。 学校を〜・少し〜・仕事を〜
    アルバイトの途中で、頭が痛くなった。
    「頭が痛いですから、少し休んでもいいですか。」
  • 持って来ます(もってきます) 物を手に持って、ここへ来ます。 弁当を〜・辞書を〜・あした〜
    先生が、あしたの遠足について話す。
    「あしたは弁当を持って来なくてもいいです。」
  • 置きます(おきます) 物を、ある場所に動かないようにします。 かばんを〜・机の上に〜・ここに〜
    店の入口で、客が大きい荷物を持っている。
    「荷物をここに置いてもかまいませんか。」「ええ、かまいませんよ。」
  • 出します(だします) 書類や宿題を、先生や受付の人に渡します。 宿題を〜・書類を〜・受付に〜
    日本語学校の受付で、職員が入学の書類を見る。
    「写真はあした出してもかまいません。」
  • かけます(かけます) 電話を使って、ほかの人と話します。 電話を〜・友達に〜
    電車の中で、留学生の電話が鳴った。
    「電車の中で電話をかけてはいけません。」

宿題と次のコマ

宿題は、自分の寮・アパート・アルバイト先のきまりを、「〜てもいいです」「〜てはいけません」「〜なくてもいいです」「〜なければなりません」を一つずつ使って4文書くこと。次のコマの最初に、宿題の文を読み合って「〜さんの寮では〜てもいいですか」と教師が聞いて復習し、許可を求めて物を貸し借りするやり取りから、第14課の「あげます・もらいます」に入ります。

よくある質問

  • 第13課の「〜てもいいです」「〜てはいけません」「〜なくてもいいです」はどの順で教えればいいですか?

    許可の「〜てもいいです」を先に出し、同じ項目の中で「〜なくてもいいです」まで進めてから、禁止の「〜てはいけません」に入る順がこの教案の組み方です。「〜てもいいですか——いいえ、〜てはいけません」のやり取りで禁止を導入すると、前の項目の質問の形がそのまま使えます。「〜てもかまいません」は新しい形がないので最後に置き、入れ替えと聞き取りで短く扱います。

  • 「〜てはいけません」と「〜ないでください」の違いは何ですか?

    「〜ないでください」は話し手が相手に頼む言い方、「〜てはいけません」はその場所や立場のきまりとして言う言い方です。注意書きや規則の説明、先生から学生へ、のように立場が上の人から言うときは「〜てはいけません」が合いますが、友達や目上の人に直接言うと強く聞こえます。導入では同じ行為で二つの場面を続けて見せ、だれがだれに言っているかで選ばせます。

  • 「〜てもいいですか」と聞かれたとき、学習者にはどう答えさせればいいですか?

    許可するときは「ええ、どうぞ」「いいですよ」、断るときは「すみません、ちょっと…」が自然で、文型をそのまま返す「はい、〜てもいいです」は硬く聞こえます。断るときは理由を「〜ですから」で一つ添えると、やわらかくなります。きまりを説明するとき(できないことの「いいえ、〜てはいけません」、できることの「ええ、〜てもいいです」)だけ文型で答える、と場面で分けておきます。

  • 「〜なくてもいいです」の作り方でつまずく学習者には、どう見せればいいですか?

    ない形を黒板に書き、最後の「い」に×をつけて「くて」を足す手順を、色を変えて毎回同じ順で見せます。「書かない→書かなくて」「食べない→食べなくて」「しない→しなくて」「来ない→来なくて」とグループごとに1語ずつ並べると、どのグループも同じ作り方だと分かります。「*書かないてもいいです」が出たら、ない形のあとに直接「ても」をつけていないかを板書の手順に戻して確かめます。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は導入と「〜てもいいです/〜なくてもいいです」「〜てはいけません」まで、2コマ目は復習と「〜てもかまいません」、きまりの表を作るまとめの活動です。て形・ない形の定着が弱いクラスでは、1コマ目の最初に活用の確かめを10分ほど足すと、あとの練習が止まりません。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。