第18課で連体修飾と「〜とき、…」を習ったあとを受けて、この課では文と文をつなぐ言い方を四つ学びます。原因の「〜て」・条件の「〜たら」・思ったとおりにならない「〜ても」・理由を並べる「〜し」で、どれも新しい活用形はなく、第11課のテ形・第16課のタ形・第17課の普通の形をそのまま使い回します。「〜たら」と「〜ても」は、同じ前の文(あした寒かったら/あした寒くても)から後ろの結果が逆になる組なので、黒板に上下に並べて書いておくと二つの違いが一目で分かります。形の作り方よりも、後ろにどんな文が来られるか(頼む・誘う文を置けるかどうか)が教えどころです。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(前の課とのつなぎ) | 10分 | 第18課の「〜とき」で「日本へ来たとき、何が大変でしたか」と2〜3人に聞き、続けて「どうして大変でしたか」と聞いて、理由を言いたくなる場面を作る。この課は文と文をつなぐ課だと予告し、テ形(第11課)とタ形(第16課)を動詞カードで速く確かめておく |
| 学習項目1 〜て、…ました | 35分 | 原因の絵と結果の絵の2枚組カードで導入。第11課の「順番のて」の文と並べて板書し、こちらは「どうして」に答える「て」だと見せる。後ろに頼む・誘う文は来ないことまで |
| 学習項目2 〜たら、… | 45分 | 晴れと雨の分かれ道の絵で「もし」の使い方、時計の絵で「そのあとで」の使い方を導入。タ形に「ら」をつける形を先に口でそろえてから、文の練習へ。1コマ目はここまでで終え、2コマ目の頭で分かれ道の絵を貼り直してから項目3に入る |
| 学習項目3 〜ても、… | 35分 | 項目2の板書の下に「ても」の行を足し、同じ前の文から結果が逆になることを見せる。本当にあったこと(薬を飲んでも治らない)にも使えると広げる |
| 学習項目4 〜し、…し、―/〜し、…から、― | 30分 | 部屋さがしの2枚の絵で特徴を並べて導入。ナ形容詞と名詞の「だし」を赤で板書し、最後の理由を「から」にする形まで |
| まとめの活動 | 25分 | 「週末の予定」インタビュー。「もし雨が降ったら、何をしますか」「雨が降っても、しますか」「どうしてそれがいいですか(〜し、…し)」の3問をペアで聞き合い、最後に相手の予定を一人ずつ発表する |
第11課の「〜て、…て、―ます」では動作を順番に並べましたが、ここでのテ形は「前のことが原因で、後ろのことが起きた」ことを表します。後ろには、気持ち(びっくりしました・困りました・うれしかったです)や、その結果どうなったか(遅れました・休みました)が来ることが多く、すでに起きたことを話すので「〜ました」の形でよく使います。形容詞のテ形(高くて・大変で)も同じように原因を表せます。後ろに「〜てください」「〜ましょう」「〜たいです」のような頼む・誘う・希望の文は来ないので、そのときは第7課の「から」を使います。文法の用語で言うと、テ形が原因・理由を表す用法で、後ろに頼む・誘う・希望・意志の表明(〜てください・〜ましょう・〜たいです)は来ない、という点がよく問われます。「熱があって、休みました」のように、すでにした過去の事実なら、自分でしたことでも言えます。
Vて/いAくて/なAで +、…ました(後ろは気持ちや結果の文。頼む・誘う・希望の文は来ない)
代入練習では、原因と結果の2枚組カードを見せて「〜て、〜ました」で一文にさせ、慣れたら結果のカードを気持ちの絵(びっくり・困る・うれしい・悲しい)に替える。場面のやり取りでは、「どうして〜ましたか」「〜て、〜ました」の形で、先週あった困ったこと・うれしかったことをペアで聞き合う。
「〜たら」は、前のことが起きた場合に、または起きたあとで、後ろのことをする・後ろのことになる、と言う言い方です。使い方は大きく二つで、一つは「雨が降ったら、行きません」のように、起きるかどうか分からないことを仮に考える使い方で、前に「もし」をつけることもできます。もう一つは「授業が終わったら、電話します」のように、必ず起きることについて「それが済んだあとで」と言う使い方で、このときは「もし」をつけません。第15課の「〜と、…」と違い、後ろに「〜てください」「〜ましょう」「〜たいです」のような頼む・誘う・希望の文が来てもかまいません。文法の用語では条件表現の一つで、仮定の条件(もし〜たら)と、確かに起きることのあとを言う使い方の両方を持ち、「と」に比べて後ろの文の制限が少ない形として扱われます。
Vた/いAかった/なAだった/Nだった +ら(タ形に「ら」をつける。否定は Vなかったら・いAくなかったら)
代入練習では、動詞のタ形カードを見せて「〜たら」に変えさせ、次に形容詞・名詞のカード(安い・暇・雨)を混ぜる。場面のやり取りでは、「もし休みが1週間あったら、何をしますか」「もしあした雨が降ったら、どうしますか」のような問いをペアで聞き合い、続けて「〜が終わったら、〜ます」で自分の一日の予定を順に言わせる。
「〜ても」は、前のことがあっても、ふつう考えられる結果にはならない、と言う言い方です。項目2の「たら」の文「あした寒かったら、うちにいます」と並べて「あした寒くても、ジョギングをします」と言うと、同じ前の文から逆の結果になることがよく分かります。これから起きるかもしれないこと(あした雨が降っても)にも、本当にあったこと(薬を飲んでも、治りませんでした)にも使えます。形はテ形に「も」をつけるだけで、第13課の「〜てもいいです」の前半と同じ形です。文法の用語では逆接の条件と呼ばれ、仮定の場合(これから雨が降っても)と、実際に起きた場合(薬を飲んでも治らなかった)の両方に使えることがよく問われます。
Vて/いAくて/なAで/Nで +も(否定は Vなくても・いAくなくても)
代入練習では、「寒いです/ジョギングをします」のような前の文と後ろの文のカードを見せ、教師が◯の札を出したら「たら」、×の札を出したら「ても」で言わせて、二つを言い分ける。場面のやり取りでは、「〜ても、〜ますか」の形で、自分のこと(熱があっても学校へ来ますか・高くても買いたい物は何ですか)をペアで聞き合う。
理由や特徴をいくつか並べて、だから―だ、と言う言い方です。「この図書館は静かだし、広いし、よく来ます」のように、理由を二つ三つ重ねて言います。並べるのはふつう同じ向きのこと(どちらもいいこと、どちらも困ること)です。「し」の前は第17課の普通の形で、ナ形容詞と名詞は「静かだし」「雨だし」と「だ」が要ります。最後の理由に「から」をつけて「〜し、…から、―」と言うこともでき、理由が一つだけでも「し」を使うと、ほかにも理由がある感じが出ます。文法の用語では理由を並べる接続で、「から」と比べて理由を一つに決めず、ほかにも理由があることをにおわせる言い方だと説明されます。
普通形(V・いA・なAだ・Nだ。過去の形も可)+し、…し、―(最後の理由に「から」をつけてもよい)
代入練習では、物(部屋・店・町)の絵カードと特徴のカードを2〜3枚見せて「〜し、〜し、―」で一文にさせ、ナ形容詞と名詞のカードでは「だし」を必ず入れさせる。場面のやり取りでは、「どうして〜がいいですか」に二つ以上の理由で答える練習をしたあと、ペアで自分の町や国のいいところを「〜し、…し」で紹介し合う。
この課の文型は、天気(晴れる・雨が降る)、体の調子(熱がある・頭が痛い・治る)、気持ち(びっくりする・困る・うれしい)の言葉と組み合わせるとよく働きます。新しい語は単語だけで覚えさせず、「雨が降ったら」「熱があって」「高くても」のように、この課の形をつけた言い方で絵カードと一緒に入れます。「もし」と「何回」は、項目2・3の導入の中で文の一部として出すと、意味の説明をしなくても使い方が伝わります。
宿題は、同じ前の文で「もし〜たら、…」と「〜ても、…」を1組ずつ作る文を2組(あした雨が降ったら/降っても、など)と、自分の住んでいる町を「〜し、…し、―」で紹介する文を1つ書くこと。次のコマの最初に、宿題の文を読み合って教師が「〜さんは、雨が降っても、どこへ行きますか」と聞いて復習し、項目1の「〜て、…ました」で先週困ったことを一人一言ずつ言ってから、第20課の自動詞・他動詞に入ります。
第19課の「〜たら」と第15課の「〜と」の違いは何ですか?
「と」は前のことがあればいつも後ろのことになる、という言い方で、後ろに頼む・誘う・希望の文が来られません。「たら」は後ろの制限が少なく、「駅に着いたら、電話してください」のように頼む文も置けます。教室では「後ろが頼みか誘いなら、たら」と決めて練習させると混乱が減ります。
「〜たら」と「〜ても」の板書はどう組めばいいですか?
同じ前の文を使い、上に「あした寒かったら、うちにいます」、下に「あした寒くても、ジョギングをします」を書いて、「かったら」と「くても」、「うちにいます」と「ジョギングをします」を同じ色で囲みます。そのうえで「たら」はタ形に「ら」、「ても」はテ形に「も」と、作り方を端に1行ずつ添えます。動詞の組(雨が降ったら/降っても)も1組足し、天気の絵を横に貼っておくと、2コマ目にもそのまま使い回せます。
原因の「〜て」と「〜から」はどう違いますか?
どちらも理由を言えますが、原因の「て」は後ろが気持ちや起きた結果に限られ、「〜てください」「〜ましょう」は置けません。「から」は後ろに頼む・誘う文も置けます。学習者には、すでに起きたことを話すならどちらでもよく、頼む・誘うときは「から」、と二つに分けて伝えます。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は導入と学習項目1「〜て、…ました」、学習項目2「〜たら」まで、2コマ目は学習項目3「〜ても」と学習項目4「〜し」、まとめの「週末の予定」インタビューです。テ形とタ形が崩れているクラスでは、1コマ目の頭の確認に10分足し、まとめの活動を短くします。
「〜し」の前は普通の形だけですか?「広いですし」は誤りですか?
「広いですし、静かですし」は丁寧な会話でふつうに使われ、誤りではありません。この課では第17課の普通の形の練習も兼ねて、まず「広いし」「静かだし」の形で言えるようにし、丁寧な形は学生から出たら認める程度にします。ナ形容詞と名詞で「だ」を落とす誤りのほうを優先して直します。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。