第4課までの「〜へ行きます」(動く先)に続いて、何を(を)・どこで(で)・何で(で)を足し、「食べます・飲みます・買います・見ます」のような、ものに働きかける動詞を使えるようにする課です。新しい活用形はなく、増えるのは助詞「を」と、場所・道具を表す「で」なので、板書は「[場所]で [もの]を 食べます」の枠を課の最初から最後まで残し、項目が進むたびに左へ列を足していくと整理しやすくなります。第3課の「〜ました」をここでもう一度使い、きのうや週末にしたことを言えるようにしたうえで、最後に「いっしょに〜ませんか」で友達を誘い、「〜ましょう」で受ける一往復まで進みます。教室の外ですぐ使える「誘う・誘いを受ける」で課を閉じるのが、この課の芯です。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(前の課とのつなぎ) | 10分 | 第4課の「〜へ行きます」「〜で(乗り物)」を、場所と乗り物の絵カードで2〜3問。続けて教師が「コンビニへ行きます。……水を買います」と、行った先ですることを言って見せ、この課は「行った所で何をするか」の課だと予告する。食べ物・飲み物・動詞の新出語はここで絵カードと動作で先に入れておく |
| 学習項目1 〜を…ます | 35分 | 食べ物・飲み物・本・テレビの絵カードと、教師の動作(食べる・飲む・読む・書く)で「を」を導入。「何を〜ますか」の問いと、「を」の読み(お)まで |
| 学習項目2 〜で…を―ます | 45分 | 項目1の枠の左に「[場所]で」の列を足す。場所の「で」を先に、道具の「で」(スプーンで・ボールペンで)を後に入れ、「へ」と「で」の列を並べて板書して比べる。1コマ目はここまで |
| 学習項目3 〜で…を―ました | 30分 | 教師の「きのう」を絵カードで話して過去に切り替える。時の言葉(きのう・けさ・先週の土曜日)を足して、「どこで何をしましたか」を聞き合う |
| 学習項目4 いっしょに〜ませんか/〜ましょう | 35分 | カレンダーと映画・食事の絵カードで誘いの場面を作る。「〜ませんか」→「ええ、〜ましょう」の一往復を先に固め、断り方「すみません、ちょっと…」はあとで足す |
| まとめの活動 | 25分 | 週末の予定を書いた紙を持って教室を歩き、「土曜日、いっしょに〜で〜を〜ませんか」と誘い合う。約束がまとまったら「何曜日に・どこで・何をするか」をクラスに報告させ、過去の文は次のコマの最初に「週末、何をしましたか」で回収する |
動作が向かう相手(もの)を助詞「を」で表します。「パンを食べます」「コーヒーを飲みます」「本を読みます」のように、「を」の前が食べる物・飲む物・読む物になります。「を」は書くときは「を」、読むときは「お」と同じ音です。何をするかを聞くときは「何を(なにを)〜ますか」と言い、「します」は「テニスをします」「勉強をします」のように、スポーツや勉強の言葉と組み合わせて使えます。
もの・ことの名詞+を+動詞のます形(「を」は「お」と読む)
代入練習では、食べ物・飲み物・本・テレビなどの絵カードを見せて「〜を〜ます」と動詞まで言わせ、慣れたら教師が動詞だけを言って学生に名詞を選ばせる(「飲みます」→「コーヒーを飲みます」)。やり取りの練習では、ペアで「毎朝・毎晩・週末」の三つについて「何を〜ますか」を聞き合い、聞いた答えを表に書かせる。
動作をする場所と、動作に使う道具を、どちらも助詞「で」で表します。「コンビニで水を買います」の「で」は「どこで」その動作をするか、「スプーンでカレーを食べます」の「で」は「何を使って」するかです。第4課の「電車で行きます」の「で」(乗り物)は道具の「で」の仲間です。場所を聞くときは「どこで〜ますか」、道具を聞くときは「何で(なんで)〜ますか」と言います。
場所の名詞+で+もの+を+動詞のます形/道具の名詞+で+もの+を+動詞のます形
代入練習では、場所カードと動詞カードを2枚重ねて見せ、「〜で〜を〜ます」を一文で言わせる。途中に「行きます」のカードを混ぜて「へ」に切り替えられるかを見る。やり取りの練習では、「どこで」「何で」を書いた質問カードを引いて、ペアで聞き合う。
項目2の「〜で…を〜ます」を、第3課の「〜ました」で過去にして、きのうや週末にしたことを話します。しなかったことは「〜ませんでした」です。「きのう・けさ・先週」のような時の言葉には「に」をつけず、「7時に」のような時刻には第3課と同じく「に」をつけます。曜日は「に」があってもなくてもかまいません。聞くときは「どこで何をしましたか」と、二つの疑問詞を一つの文に入れられます。
(時)+場所の名詞+で+もの+を+動詞の「〜ました/〜ませんでした」
代入練習では、時の言葉カード(きのう・けさ・土曜日・7時)を足して「〜に/〜、〜で〜を〜ました」を言わせ、「に」がつく時とつかない時を混ぜる。やり取りの練習では、ペアで相手の「きのう」を聞いて3文の日記の形で書かせ、クラスで「〜さんはきのう、〜で〜を〜ました」と報告させる。
相手を誘う言い方と、誘いを受ける言い方です。「いっしょに映画を見ませんか」は「〜ません」に「か」をつけた形ですが、ここでは否定の意味はなく、相手の気持ちをたずねながらやわらかく誘う言い方になります。誘われて応じるときは「ええ、見ましょう」と「〜ましょう」で受けます。「〜ましょう」は自分から「いっしょにしよう」と声をかけるときにも使いますが、相手がまだ決めていない場面では「〜ませんか」のほうがていねいです。断るときは「すみません、ちょっと…」のように、はっきり「〜ません」と言わないほうが自然です。
いっしょに+(場所で・ものを)+動詞のます形の「ます」を「ませんか/ましょう」に替える
代入練習では、絵カード(映画・テニス・昼ご飯・コーヒー)を見せて「いっしょに〜を〜ませんか」と言わせ、教師が「ええ」のカードを出したら学生が「〜ましょう」と受ける。やり取りの練習では、自分の予定表を持たせて誘い合い、空いている日は受け、ふさがっている日は「すみません、〜はちょっと…」と断らせる。
この課の新出語は、食べ物・飲み物・身の回りの物(はし・ボールペン・パソコンなど)・動作の動詞・する場所(スーパー・図書館・食堂など)のかたまりに分かれます。名詞は絵カードや実物、動詞は教師の動作で入れ、単語だけで覚えさせず「パンを食べます」「はしで」「スーパーで」のように助詞つきのまとまりで練習します。動詞ごとに合う名詞をカードの山で分けて貼っておくと、「水を食べます」のような組み合わせの迷いが減ります。
宿題は、きのうか週末にしたことを「いつ・どこで・何を」の三つを入れて3文書くこと(しなかったことは「〜ませんでした」でよい)と、友達を誘う文を一つ書くこと。次のコマの最初に、宿題の文を使って教師が「週末、どこで何をしましたか」と聞いて復習し、誘いの文は隣の人に読ませて「ええ、〜ましょう」と受けさせてから、第6課の形容詞に入ります。
第5課の「で」は場所と道具のどちらを先に教えればいいですか?
場所の「で」を先に入れ、安定してから道具の「で」を足すのが扱いやすい順です。場所の「で」は第4課の「へ」と比べることで違いが見え、この課でいちばん誤りが出る所だからです。道具の「で」は第4課の「電車で行きます」(乗り物)の仲間なので、はしやボールペンの実物を見せればすぐ通じます。
「へ」と「で」の違いはどう見せればいいですか?
黒板に「コンビニへ行きます」「コンビニで水を買います」を2行で書き、「へ」には矢印(向かう)、「で」には丸(その中でする)の印を付けます。助詞は名詞からではなく動詞から選ぶ、と決めておくと迷いが減ります。「行きます・来ます・帰ります」の前は「へ」、その場所の中でする動作の前は「で」です。
「〜ませんか」と「〜ましょう」の違いは何ですか?
「〜ませんか」は相手の気持ちをたずねながら誘う言い方で、まだ相手が決めていないときに使います。「〜ましょう」は誘いを受けるとき(「ええ、見ましょう」)と、二人がもうするつもりでいる場面で声をかけるとき(「じゃ、始めましょう」)に使います。初めて誘うときに「〜ましょう」から入ると決めつけたように聞こえることがあるので、この課ではまず「〜ませんか」→「ええ、〜ましょう」の一往復を固めます。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は導入と「を」、場所と道具の「で」まで、2コマ目は過去の「〜ました」と「いっしょに〜ませんか」、まとめの誘い合いです。過去の文はまとめの活動のあと、次のコマの最初に「週末、何をしましたか」で回収できます。
第5課の板書はどう組めばいいですか?
「[もの]を Vます」の枠を課の最初に書き、項目が進むたびに左へ「[場所]で」、さらに左へ「(時)」の列を足していきます。枠を消さずに広げるので、文の語順と助詞の位置がずっと目に見えます。「を」の横に小さく読み「お」を、「へ」と「で」には矢印と丸の印を付けておくと、誤りを直すときに板書を指さすだけで戻せます。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。