日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 初級Ⅰ 第5課「ご飯を食べます」の教案

『学ぼう!にほんご 初級Ⅰ』

第4課までの「〜へ行きます」(動く先)に続いて、何を(を)・どこで(で)・何で(で)を足し、「食べます・飲みます・買います・見ます」のような、ものに働きかける動詞を使えるようにする課です。新しい活用形はなく、増えるのは助詞「を」と、場所・道具を表す「で」なので、板書は「[場所]で [もの]を 食べます」の枠を課の最初から最後まで残し、項目が進むたびに左へ列を足していくと整理しやすくなります。第3課の「〜ました」をここでもう一度使い、きのうや週末にしたことを言えるようにしたうえで、最後に「いっしょに〜ませんか」で友達を誘い、「〜ましょう」で受ける一往復まで進みます。教室の外ですぐ使える「誘う・誘いを受ける」で課を閉じるのが、この課の芯です。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目4時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 「食べます・飲みます・読みます・買います・します」などの動詞を、「を」を使って「何を」と組み合わせて言い、「何を〜ますか」に答えられる
  • 動作をする場所と、使う道具を「で」で言い、「へ」(動く先)と「で」(する所)を取り違えない
  • きのう・週末にどこで何をしたかを「〜ました/〜ませんでした」で話し、相手にも聞ける
  • 「いっしょに〜ませんか」で相手を誘い、「ええ、〜ましょう」で受けたり、「すみません、ちょっと…」でやわらかく断ったりできる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)10分第4課の「〜へ行きます」「〜で(乗り物)」を、場所と乗り物の絵カードで2〜3問。続けて教師が「コンビニへ行きます。……水を買います」と、行った先ですることを言って見せ、この課は「行った所で何をするか」の課だと予告する。食べ物・飲み物・動詞の新出語はここで絵カードと動作で先に入れておく
学習項目1 〜を…ます35分食べ物・飲み物・本・テレビの絵カードと、教師の動作(食べる・飲む・読む・書く)で「を」を導入。「何を〜ますか」の問いと、「を」の読み(お)まで
学習項目2 〜で…を―ます45分項目1の枠の左に「[場所]で」の列を足す。場所の「で」を先に、道具の「で」(スプーンで・ボールペンで)を後に入れ、「へ」と「で」の列を並べて板書して比べる。1コマ目はここまで
学習項目3 〜で…を―ました30分教師の「きのう」を絵カードで話して過去に切り替える。時の言葉(きのう・けさ・先週の土曜日)を足して、「どこで何をしましたか」を聞き合う
学習項目4 いっしょに〜ませんか/〜ましょう35分カレンダーと映画・食事の絵カードで誘いの場面を作る。「〜ませんか」→「ええ、〜ましょう」の一往復を先に固め、断り方「すみません、ちょっと…」はあとで足す
まとめの活動25分週末の予定を書いた紙を持って教室を歩き、「土曜日、いっしょに〜で〜を〜ませんか」と誘い合う。約束がまとまったら「何曜日に・どこで・何をするか」をクラスに報告させ、過去の文は次のコマの最初に「週末、何をしましたか」で回収する

学習項目 1 〜を…ます

意味・はたらき学習項目 1

動作が向かう相手(もの)を助詞「を」で表します。「パンを食べます」「コーヒーを飲みます」「本を読みます」のように、「を」の前が食べる物・飲む物・読む物になります。「を」は書くときは「を」、読むときは「お」と同じ音です。何をするかを聞くときは「何を(なにを)〜ますか」と言い、「します」は「テニスをします」「勉強をします」のように、スポーツや勉強の言葉と組み合わせて使えます。

接続

もの・ことの名詞+を+動詞のます形(「を」は「お」と読む)

形
Nを食べます/飲みます/読みます/買いますNをします(テニスを・勉強を・宿題を)何を〜ますかNを〜ません

導入

  • 教師が動作をして見せる教師がパンの絵カード(または実物)を手に取って食べるまねをしながら「パンを食べます」、コップを持って「水を飲みます」と言う。黒板には「[もの]を 食べます」の枠だけを書き、食べ物のカードを差し替えて全員でくり返す。飲み物・本・テレビ・手紙と動詞を一つずつ増やし、動詞ごとにカードの山を分けて貼っておくと、どの動詞にどの名詞が合うかが目で分かる。
  • 「何を」で聞く学生一人ひとりに「毎朝、何を食べますか」「何を飲みますか」と聞き、答えを黒板に書き出す。最後に「土曜日、何をしますか」と聞いて「テニスをします」「勉強をします」を引き出し、「します」の前にも「を」が来ることを見せる。

板書案

[もの] を + Vます
パン を 食べます。
コーヒー を 飲みます。
〔赤〕を(読みは「お」) 〔青〕動詞ごとに名詞カードの山を分けて貼る
何を 〜ますか。——〜を 〜ます。

場面と発話(自作)

  • 朝の教室で、先生が眠そうな学生に朝ご飯のことを聞く。毎朝、何を食べますか。——パンを食べます。
  • 会社の休み時間に、同僚に飲み物をすすめられて、自分が飲む物を言う。わたしはお茶を飲みます。
  • 金曜日の帰り、クラスメートに週末の予定を聞かれて答える。土曜日の午後、テニスをします。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

代入練習では、食べ物・飲み物・本・テレビなどの絵カードを見せて「〜を〜ます」と動詞まで言わせ、慣れたら教師が動詞だけを言って学生に名詞を選ばせる(「飲みます」→「コーヒーを飲みます」)。やり取りの練習では、ペアで「毎朝・毎晩・週末」の三つについて「何を〜ますか」を聞き合い、聞いた答えを表に書かせる。

  1. 口頭教師が絵カードと動詞を組にしてキューを出す(「パン・食べます」「水・飲みます」「新聞・読みます」「テニス・します」「音楽・聞きます」)→ 全体で「パンを食べます」とくり返し、次に一人ずつ当てる。慣れたら教師は動詞だけを言い(「飲みます」)、学習者が合う名詞を選んで文にする。最後に教師が「何を飲みますか」と聞き、問いと答えの一往復まで口頭で回す。
  2. ペアAは「毎朝・毎晩・日曜日」の3行の表を持ち、Bは食べ物・飲み物・活動の絵カードを3枚伏せて持つ。Aが「毎朝、何を食べますか」と聞き、Bはカードを見て答え、Aは答えを表に書く。3問終わったらカードを配り直して役を替える。Bのカードは相手に見せないので、聞かないと表が埋まらない。
  3. 産出「朝ご飯インタビュー」。学習者が教室を歩いてクラスメート3人に「毎朝、何を食べますか。何を飲みますか」と聞き、メモを見て「〜さんは毎朝パンを食べます」とクラスに報告する。教師が見るのは、「を」が抜けていないか・「が」になっていないか、「何を」を「なにを」と読んでいるか、「水を食べます」のような動詞と名詞の組み合わせのずれ。

つまずきと手当て

  • 「*パンが食べます」「*音楽が聞きます」と「が」を使う。母語で目的語に印をつけない学習者に多い。枠の「を」を指さして「食べる物は を」と戻し、「が」はまだ使わない
  • 「を」を「wo」と強く読む・ローマ字入力で書き方に迷う。板書の「を」の横に小さく「お」と読みを書き、書くときは「を」、読むときは「お」と分けて確かめる
  • 「何を」を「なんを」と読む。「を」の前は「なにを」と決めて、第4課の「何で(なんで)」とは読みが違うことを並べて見せる
  • 話し言葉で「コーヒー、飲みます」と「を」が落ちるのを聞いて、書くときも落とす。会話では通じるので強く直さないが、この課の練習と書く文では「を」を入れる

既習の文型との違い

  • 〜へ…(移動表現)(第4課)第4課の「へ」は「行きます・来ます・帰ります」の前で行き先を示し、この課の「を」は「食べます・読みます」の前で動作が向かうものを示します。どちらも名詞のすぐあとに付くので、学習者は「*学校を行きます」(行き先の意味で)や「*パンへ食べます」と取り替えます。動詞を先に見て、動く動詞なら「へ」、ものに働きかける動詞なら「を」と、動詞から助詞を選ばせます。
  • 〜に…ます(第3課)第3課の「に」は「11時に寝ます」のように時刻に付きます。この課では「7時に朝ご飯を食べます」と一つの文に「に」と「を」が並ぶので、「*テレビに見ます」のように「に」をものに付ける誤りが出ます。「いつ」の答えには「に」、「何を」の答えには「を」と、疑問詞ごとに助詞を決めて見せます。
関連する文型

学習項目 2 〜で…を―ます

意味・はたらき学習項目 2

動作をする場所と、動作に使う道具を、どちらも助詞「で」で表します。「コンビニで水を買います」の「で」は「どこで」その動作をするか、「スプーンでカレーを食べます」の「で」は「何を使って」するかです。第4課の「電車で行きます」の「で」(乗り物)は道具の「で」の仲間です。場所を聞くときは「どこで〜ますか」、道具を聞くときは「何で(なんで)〜ますか」と言います。

接続

場所の名詞+で+もの+を+動詞のます形/道具の名詞+で+もの+を+動詞のます形

形
[場所]でNを〜ます(スーパーで・図書館で・うちで)[道具]でNを〜ます(スプーンで・ボールペンで・パソコンで)どこでNを〜ますか何で(なんで)Nを〜ますか

導入

  • 場所の絵カードで「で」の列を足すコンビニ・図書館・食堂・公園・うちの絵カードを黒板に貼り、教師が「コンビニで水を買います」「図書館で本を読みます」と、場所と動作を組み合わせて言う。項目1の板書「[もの]を 〜ます」の左に「[場所]で」の列を足し、場所カードを差し替えて全員でくり返す。そのあと「どこで本を読みますか」と学生に聞き、それぞれの答えを集める。
  • 「へ」と「で」を並べて比べる黒板の左に「コンビニへ 行きます」、右に「コンビニで 水を買います」と2行で書き、矢印(向かう)と丸(その中でする)の印をつける。学生に場所カードと動詞カードを渡して、「へ」と「で」のどちらの列に置くかを選ばせる。道具の「で」は、場所の「で」が安定してから、はし・スプーン・ボールペン・パソコンの実物を見せて「スプーンでカレーを食べます」と足し、「何で書きますか」と聞いて答えさせる。

板書案

[場所] で [もの] を Vます
図書館 で 本 を 読みます。
スプーン で カレー を 食べます。
〔赤〕へ → 行きます(矢印=向かう) 〔青〕で ○(丸=その中でする)
どこで 〜ますか/何で(なんで) 〜ますか

場面と発話(自作)

  • 放課後、留学生同士で、いつも買い物をする店を聞き合う。どこで野菜を買いますか。——駅の前のスーパーで買います。
  • 日本に来たばかりの学生が、昼休みに食堂で友達に食べ方のことを聞かれる。カレーは何で食べますか。——スプーンで食べます。
  • 会社で、同僚が手書きのメモを見て、いつもどう書くのかを聞く。山田さんは何で書きますか。——このボールペンで書きます。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

代入練習では、場所カードと動詞カードを2枚重ねて見せ、「〜で〜を〜ます」を一文で言わせる。途中に「行きます」のカードを混ぜて「へ」に切り替えられるかを見る。やり取りの練習では、「どこで」「何で」を書いた質問カードを引いて、ペアで聞き合う。

  1. 口頭場所・もの・動詞の3枚のカードを並べてキューにする(「図書館・本・読みます」「コンビニ・水・買います」「公園・テニス・します」「うち・テレビ・見ます」)→ 全体で「図書館で本を読みます」、次に個人。場所の「で」が安定したら、スプーン・ボールペン・パソコンの実物を出して「スプーン・カレー・食べます」「ボールペン・名前・書きます」と道具の「で」に移る。途中で「行きます」のカードを混ぜ、「へ」に切り替えられるかを見る。
  2. ペアAは5人分の「どこで何をするか」を書いたカード(「山田さん:図書館・本・読みます」など)、Bは名前だけの表を持つ。Bが「山田さんはどこで何をしますか」と聞き、Aの答えを表に書き込む。5人終わったら別のカードで役を替え、2回目は「何で書きますか」のように道具を聞く問いも混ぜる。
  3. 産出「わたしの町マップ」。学習者が自分の住む町の簡単な地図(スーパー・駅・公園・うちなど)を描き、それを見せながら「わたしはこの店で野菜を買います」のように3文話す。聞き手は一つ「どこで〜ますか」「何で〜ますか」と質問する。教師が見るのは、場所に「に」や「へ」を付けていないか、一つの文に「を」が二つになっていないか、「何で」の読み。

つまずきと手当て

  • 「*コンビニに水を買います」「*図書館に本を読みます」と、場所に「に」をつける。第3課の「-時に」と混ざりやすい。板書の丸の印(その中でする)に戻って「する所は で」と確かめる
  • 「*図書館へ本を読みます」と、第4課の「へ」をそのまま使う。「へ」は「行きます・来ます・帰ります」の前だけ、と「へ」と「で」の2行の板書で見せる
  • 「*スプーンをカレーを食べます」と、道具にも「を」をつける。一つの文に「を」は食べる物の一つだけ、使う物は「で」、と枠の列を指さして戻す
  • 「何で」を「なにで」と読み、「どうして」の意味の「なんで」と気にして止まる学習者がいる。この課では道具を聞く「何で(なんで)」として練習し、「どうして」の意味には触れない

既習の文型との違い

  • 〜で…へ(移動表現)(第4課)第4課の「電車で行きます」の「で」は乗り物で、この課の道具の「で」(スプーンで・ボールペンで)の仲間です。一方、場所の「で」は形が同じでも意味が違い、「電車で本を読みます」は電車の中で読むという場所の意味になります。第4課の「で」から入ると道具の「で」はすぐ通じるので、場所の「で」との違いは動詞(行きます/読みます)を指して確かめます。
  • 〜へ…(移動表現)(第4課)「へ」は動く動詞の前だけで使い、「で」はその場所の中でする動作の前で使います。学習者は「*図書館へ本を読みます」「*スーパーで行きます」(行き先の意味で)と入れ替えます。板書の矢印と丸の2行に戻り、動詞から助詞を選ばせます。
  • 〜に…ます(第3課)第3課で時刻の「に」を覚えたばかりなので、「*図書館に勉強します」と場所にも「に」を付ける学習者が多くいます。この課では「場所でする」は「で」だけに決めておきます。第8課の「〜に…います/…あります」でいる所・ある所の「に」が出ると、「に」と「で」の場所の使い分けがもう一度問題になるので、ここで「する所は で」を固めておくとあとが楽になります。
関連する文型

学習項目 3 〜で…を―ました

意味・はたらき学習項目 3

項目2の「〜で…を〜ます」を、第3課の「〜ました」で過去にして、きのうや週末にしたことを話します。しなかったことは「〜ませんでした」です。「きのう・けさ・先週」のような時の言葉には「に」をつけず、「7時に」のような時刻には第3課と同じく「に」をつけます。曜日は「に」があってもなくてもかまいません。聞くときは「どこで何をしましたか」と、二つの疑問詞を一つの文に入れられます。

接続

(時)+場所の名詞+で+もの+を+動詞の「〜ました/〜ませんでした」

形
きのう、[場所]でNを〜ましたNを〜ませんでしたどこで何をしましたか-時に/-曜日(に)[場所]でNを〜ました

導入

  • 教師の「きのう」を絵カードで話す黒板の端に「きのう」「きょう」「あした」の札を貼り、教師が「きのう」を指さしてから、場所と動作のカードを順に貼りながら「きのう、コンビニで弁当を買いました。うちで食べました。テレビを見ました」と話す。項目2の枠の動詞を「〜ました」に書き換え、時の言葉の列をいちばん左に足す。
  • 「どこで何をしましたか」を聞き合う教師が学生に「きのう、どこで何をしましたか」と聞き、答えを場所・もの・動詞の3列の表に書き込む。しなかったことを言う学生がいたら「〜ませんでした」を板書し、「勉強をしましたか」「いいえ、しませんでした」の型でも答えさせる。

板書案

(時) [場所] で [もの] を Vました
きのう、コンビニ で 弁当 を 買いました。
けさ、新聞 を 読みませんでした。
〔赤〕時の言葉 と 〜ました を同じ色で 〔青〕「に」あり:7時に/なし:きのう・けさ・先週
どこで 何を しましたか。

場面と発話(自作)

  • 月曜日の朝、先生がクラスの学生に週末のことを聞く。日曜日、どこで何をしましたか。——公園でテニスをしました。
  • 会社で、きのう休んだ同僚に、昼ご飯をどこで食べたかを聞く。きのう、どこで昼ご飯を食べましたか。——会社の食堂で食べました。
  • 朝の授業で、ニュースの話を始める前に、先生が学生に聞く。けさ、新聞を読みましたか。——いいえ、読みませんでした。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

代入練習では、時の言葉カード(きのう・けさ・土曜日・7時)を足して「〜に/〜、〜で〜を〜ました」を言わせ、「に」がつく時とつかない時を混ぜる。やり取りの練習では、ペアで相手の「きのう」を聞いて3文の日記の形で書かせ、クラスで「〜さんはきのう、〜で〜を〜ました」と報告させる。

  1. 口頭時・場所・もの・動詞の4枚のカードでキューを出す(「きのう・図書館・本・読みます」→「きのう、図書館で本を読みました」、「けさ・うち・コーヒー・飲みます」「土曜日・公園・テニス・します」「7時・うち・晩ご飯・食べます」→「7時に〜」)。×の札を足したら「〜ませんでした」に変える。「きのう」「あした」の札を混ぜて、時の言葉に合わせて「〜ます/〜ました」を切り替えさせる。
  2. ペアAは「Aさんのきのう」の4コマの絵(時刻と場所と動作)を持ち、Bには見せない。Bは「きのう、図書館で本を読みましたか」のようにはい・いいえで答えられる問いを出し、Aは「はい、読みました」「いいえ、読みませんでした」と答える。Bが4コマをできるだけ少ない問いで当てたら役を替える。最後にBが「Aさんはきのう、〜で〜を〜ました」と言ってAに確かめる。
  3. 産出「週末ニュース」。一人ずつ前に出て、週末にしたことを「いつ・どこで・何を」を入れて3文話し、聞き手は一つ「どこで食べましたか」「何を買いましたか」と質問する。そのあと同じ内容を3行の日記に書く。教師が見るのは、過去の時の言葉があるのに「〜ます」に戻っていないか、「きのうに」のような「に」の付けすぎ、過去の問いに「〜ません」で答えていないか。

つまずきと手当て

  • 「*きのう、コンビニで弁当を買います」と、過去の時の言葉があるのに「〜ます」のまま言う。時の言葉のカードと動詞の形を同じ色で板書し、「きのう」を指したら「〜ました」と結びつける
  • 「*きのうに図書館で本を読みました」と、どの時の言葉にも「に」をつける。第3課の「-時に」と並べ、「きのう・けさ・先週」には「に」がつかないことを2列に分けて見せる
  • 「勉強をしましたか」に「*いいえ、しません」と答える。過去の問いには「しませんでした」で答える、と問いと答えの形をそろえて板書する
  • 「どこで何を」の順を気にして「何をどこでしましたか」と言う。どちらも正しいので直さず、板書の順でまず慣れさせる

既習の文型との違い

  • 〜ました(第3課)第3課の「〜ました」は「7時半に起きました」「10時から4時まで働きました」のように、時の言葉と動詞だけの短い文でした。この課では場所と「を」が入って文が長くなるので、途中まで言って動詞を「*きのう、コンビニで弁当を買います」と現在に戻す誤りが増えます。形の作り方は第3課と同じなので、新しく教えるのではなく、長い文でも最後まで過去を保つ練習として扱います。
  • 〜に…ます(第3課)第3課では時刻に「に」を付けましたが、「きのう・けさ・毎朝・先週」には付けません。学習者は第3課の型を広げて「*きのうに」「*毎朝に」と言います。「に」が付く時の言葉と付かない時の言葉を2列に分けて板書し、曜日はどちらでもよいと添えます。
関連する文型

学習項目 4 いっしょに〜ませんか/〜ましょう

意味・はたらき学習項目 4

相手を誘う言い方と、誘いを受ける言い方です。「いっしょに映画を見ませんか」は「〜ません」に「か」をつけた形ですが、ここでは否定の意味はなく、相手の気持ちをたずねながらやわらかく誘う言い方になります。誘われて応じるときは「ええ、見ましょう」と「〜ましょう」で受けます。「〜ましょう」は自分から「いっしょにしよう」と声をかけるときにも使いますが、相手がまだ決めていない場面では「〜ませんか」のほうがていねいです。断るときは「すみません、ちょっと…」のように、はっきり「〜ません」と言わないほうが自然です。

接続

いっしょに+(場所で・ものを)+動詞のます形の「ます」を「ませんか/ましょう」に替える

形
いっしょに〜ませんかええ、〜ましょう〜ましょう(自分から声をかける)すみません、ちょっと…(断り)

導入

  • カレンダーと絵カードで誘う場面を作る黒板に今週のカレンダーを描き、土曜日に映画の絵カードを貼る。教師が一人の学生に近づき、カードを指さしながら「土曜日、いっしょに映画を見ませんか」と言い、学生にうなずいてもらって「ええ、見ましょう」と教師が答えを言って見せる。板書は「いっしょに 〜ませんか」「ええ、〜ましょう」を上下2行に書き、矢印で一往復であることを示す。
  • 受ける・断るを選ばせる学生にカード(映画・昼ご飯・テニス・図書館で勉強)を引かせて「いっしょに〜ませんか」と教師を誘わせ、教師は受ける答えと断る答え(「すみません、土曜日はちょっと…」)の両方を返す。断りの答えでは言い終わらずに止めるのが自然だと、教師が語尾を下げて見せる。そのあと学生同士で、受ける・断るを自分で選んで答えさせる。

板書案

いっしょに + Vませんか。
土曜日、いっしょに 映画を 見ませんか。
——ええ、見ましょう。
——すみません、土曜日は ちょっと…。
〔赤〕いっしょに + Vませんか = 誘い 〔青〕Vません。= しない(否定)

場面と発話(自作)

  • 金曜日の授業のあと、クラスメートを週末の映画に誘う。あした、いっしょに映画を見ませんか。——ええ、見ましょう。
  • 会社の昼休み、同僚が出かけようとしているのを見て、いっしょに行こうと声をかける。いっしょに食堂で昼ご飯を食べませんか。
  • 図書館で勉強する約束をしたが、相手がもう待ち合わせの場所に来ている。じゃ、始めましょう。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

代入練習では、絵カード(映画・テニス・昼ご飯・コーヒー)を見せて「いっしょに〜を〜ませんか」と言わせ、教師が「ええ」のカードを出したら学生が「〜ましょう」と受ける。やり取りの練習では、自分の予定表を持たせて誘い合い、空いている日は受け、ふさがっている日は「すみません、〜はちょっと…」と断らせる。

  1. 口頭活動の絵カードと曜日でキューを出す(「土曜日・映画・見ます」→「土曜日、いっしょに映画を見ませんか」、「あした・昼ご飯・食べます」「日曜日・テニス・します」「図書館・勉強します」→「いっしょに図書館で勉強しませんか」)。教師が○の札を上げたら全員で「ええ、〜ましょう」、×の札なら「すみません、ちょっと…」と答える。「いっしょに見ませんか」と「見ません」を交互に言わせて、問いの「か」があると文の終わりが上がり、「いっしょに」と場面があると誘いになることを確かめる。
  2. ペア二人に一週間の予定表を配る。どちらにも予定の入った日が2〜3日あり、入っている日は二人で違う。Aが曜日と活動を選んで誘い、Bは自分の表を見て空いていれば受け、ふさがっていれば断る。断られたらAは「じゃ、日曜日に見ませんか」と別の日で誘い直し、約束がまとまるまで続ける。まとまったら役を替える。
  3. 産出「週末さそい合いロールプレイ」。学習者が自分の本当の週末の予定を持って教室を歩き、3人を誘う。約束がまとまったら「わたしは土曜日に〜さんと映画を見ます」とクラスに報告する。教師が見るのは、「ませんか」に「です」や過去が入っていないか、誘いの文でも「を」「で」が保たれているか、上げ調子で言えているか、断るときに「いいえ、〜ません」と言い切っていないか。

つまずきと手当て

  • 「*いっしょに見ませんですか」と「です」を足す。また「いっしょに食べませんでしたか」と過去にすると、文としては正しいが「食べなかったのですか」とたずねる意味になり、誘いにはならない。誘いの「ませんか」は「ません+か」で、「です」も過去も入らない、と板書の形をそのまま言わせる
  • 「*いっしょに映画が見ませんか」と、誘いの文になると項目1の「を」が落ちたり「が」に変わったりする。誘いの文も「[もの]を」の枠の中にあると、板書の列を指さして戻す
  • 誘いに「いいえ、見ません」と答える。誤りではないが、断り方として強く聞こえる。「すみません、ちょっと…」の形を先に練習させ、「〜ません」と言い切らないほうが自然だと伝える
  • 「〜ましょう」で誘うと、相手がまだ決めていないのに決めつけたように聞こえることがある。初対面の人や目上の人を誘うときは「〜ませんか」から始める、と場面を分けて練習する

既習の文型との違い

  • 〜を…ます(第5課)この課では「〜ません」「〜ませんでした」の否定の形も出てくるので、「映画を見ませんか」を否定の問いと受け取る学習者がいます。誘われて「はい、見ません」と答えるのはこの取り違えで、形の誤りではありませんが話がかみ合いません。否定の問いも文の終わりは上がるので、音だけでは分けられません。「いっしょに」が付いていることと、相手を誘う場面であることで誘いだと分かると確かめ、答えは「ええ、〜ましょう」か「すみません、ちょっと…」の二つに決めて練習します。
  • 〜と…へ(移動表現)(第4課)第4課の「友達と行きます」は、いっしょに行く人を「と」で言います。誘いの文では相手がそのいっしょにする人なので、名前を言わずに「いっしょに」を使います。「あなたと映画を見ませんか」は誤りではありませんが不自然なので、誘う相手には「いっしょに」と決めておきます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の新出語は、食べ物・飲み物・身の回りの物(はし・ボールペン・パソコンなど)・動作の動詞・する場所(スーパー・図書館・食堂など)のかたまりに分かれます。名詞は絵カードや実物、動詞は教師の動作で入れ、単語だけで覚えさせず「パンを食べます」「はしで」「スーパーで」のように助詞つきのまとまりで練習します。動詞ごとに合う名詞をカードの山で分けて貼っておくと、「水を食べます」のような組み合わせの迷いが減ります。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • 食べます(たべます) ご飯やパンなどを口に入れて、かんで、おなかに入れます。 朝ご飯を〜・パンを〜・スプーンで〜
    昼休み、教室で友達に昼ご飯のことを聞かれる。
    わたしは毎晩うちでカレーを食べます。
  • 飲みます(のみます) 水やお茶などを、かまずに口から入れます。 水を〜・コーヒーを〜・お茶を〜
    朝、会社で同僚と毎朝のことを話す。
    毎朝、コーヒーを飲みます。
  • 買います(かいます) お金を払って、店の物を自分の物にします。 パンを〜・スーパーで〜・駅で〜
    授業のあと、店に寄る友達に何を買うか聞く。
    コンビニで何を買いますか。——おにぎりとお茶を買います。
  • 読みます(よみます) 書いてある字や文を、目で見て分かります。声に出すときにも使います。 本を〜・新聞を〜・図書館で〜
    金曜日、クラスメートに日曜日の予定を聞かれる。
    日曜日、図書館で本を読みます。
  • 見ます(みます) 目で物や人を見ます。テレビや映画にも使います。 テレビを〜・映画を〜・うちで〜
    月曜日の朝、先生に週末のことを聞かれる。
    きのう、うちで映画を見ました。
  • 聞きます(ききます) 音や声を耳に入れます。 音楽を〜・ラジオを〜・電車で〜
    通学の電車の中で何をするか、友達と話す。
    電車で音楽を聞きます。
  • 書きます(かきます) ペンやパソコンで字や文を作ります。 手紙を〜・名前を〜・ボールペンで〜
    会社で、同僚に報告を何で書くか聞かれる。
    パソコンで書きます。
  • します(します) スポーツや勉強などの言葉といっしょに使って、それをすることを表します。 テニスを〜・勉強を〜・宿題を〜
    週末の予定を聞かれて答える。
    土曜日、公園でテニスをします。
  • 撮ります(とります) カメラやスマホで写真を作ります。 写真を〜・スマホで〜
    旅行から帰った留学生が、先生に旅行のことを話す。
    京都で写真を撮りました。
  • はし(はし) ご飯などを食べるときに使う、2本の細い棒です。 〜で食べます・〜でそばを食べます
    食堂で、日本に来たばかりの留学生に食べ方を聞かれる。
    そばははしで食べます。
  • いっしょに(いっしょに) 二人以上の人が、同じことを同じときにします。 〜行きます・〜食べます・〜見ませんか
    授業のあと、クラスメートを昼ご飯に誘う。
    いっしょに昼ご飯を食べませんか。

宿題と次のコマ

宿題は、きのうか週末にしたことを「いつ・どこで・何を」の三つを入れて3文書くこと(しなかったことは「〜ませんでした」でよい)と、友達を誘う文を一つ書くこと。次のコマの最初に、宿題の文を使って教師が「週末、どこで何をしましたか」と聞いて復習し、誘いの文は隣の人に読ませて「ええ、〜ましょう」と受けさせてから、第6課の形容詞に入ります。

よくある質問

  • 第5課の「で」は場所と道具のどちらを先に教えればいいですか?

    場所の「で」を先に入れ、安定してから道具の「で」を足すのが扱いやすい順です。場所の「で」は第4課の「へ」と比べることで違いが見え、この課でいちばん誤りが出る所だからです。道具の「で」は第4課の「電車で行きます」(乗り物)の仲間なので、はしやボールペンの実物を見せればすぐ通じます。

  • 「へ」と「で」の違いはどう見せればいいですか?

    黒板に「コンビニへ行きます」「コンビニで水を買います」を2行で書き、「へ」には矢印(向かう)、「で」には丸(その中でする)の印を付けます。助詞は名詞からではなく動詞から選ぶ、と決めておくと迷いが減ります。「行きます・来ます・帰ります」の前は「へ」、その場所の中でする動作の前は「で」です。

  • 「〜ませんか」と「〜ましょう」の違いは何ですか?

    「〜ませんか」は相手の気持ちをたずねながら誘う言い方で、まだ相手が決めていないときに使います。「〜ましょう」は誘いを受けるとき(「ええ、見ましょう」)と、二人がもうするつもりでいる場面で声をかけるとき(「じゃ、始めましょう」)に使います。初めて誘うときに「〜ましょう」から入ると決めつけたように聞こえることがあるので、この課ではまず「〜ませんか」→「ええ、〜ましょう」の一往復を固めます。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は導入と「を」、場所と道具の「で」まで、2コマ目は過去の「〜ました」と「いっしょに〜ませんか」、まとめの誘い合いです。過去の文はまとめの活動のあと、次のコマの最初に「週末、何をしましたか」で回収できます。

  • 第5課の板書はどう組めばいいですか?

    「[もの]を Vます」の枠を課の最初に書き、項目が進むたびに左へ「[場所]で」、さらに左へ「(時)」の列を足していきます。枠を消さずに広げるので、文の語順と助詞の位置がずっと目に見えます。「を」の横に小さく読み「お」を、「へ」と「で」には矢印と丸の印を付けておくと、誤りを直すときに板書を指さすだけで戻せます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。