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学ぼう!にほんご 初級Ⅰ 第20課「窓が閉まっています」の教案

『学ぼう!にほんご 初級Ⅰ』

初級Ⅰの最後の課で、同じ出来事を「ものが主語の自動詞(〜が)」と「人が主語の他動詞(〜を)」の二つの見方で言い分けることを学びます。最初に自動詞と他動詞のペアを入れ、それを土台に、変化のあとの様子を言う「自動詞+ています」、だれかがわざとした結果を言う「他動詞+てあります」と進み、最後に形容詞を使って人が様子を変える言い方「〜くします/〜にします」を足します。どの項目も「が」と「を」、「なります」と「します」の対応で一本につながるので、板書は左に自動詞(が)、右に他動詞(を)の2列を課の最後まで消さずに残すと整理しやすくなります。教室のドア・電気・カーテン・エアコンのように、その場で動かして見せられる物が教材の中心です。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目4時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 身近な物の自動詞と他動詞のペア(開く・開ける、つく・つける など)を、「が」と「を」を取り違えずに使い分けられる
  • 部屋や物の今の様子を「〜が〜ています」で言い、人が動かしている途中の「〜を〜ています」と区別できる
  • 人が準備や目的のためにした結果を「〜が〜てあります」で言い、自然にそうなった様子と言い分けられる
  • 形容詞を使った「〜を〜くします/〜にします」で、物や様子を変えることを言ったり頼んだりできる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)10分第19課の「〜て、…ました」で遅刻の理由を2〜3問聞く(「電車が止まって、遅れました」の型)。答えに出た「止まります」を板書し、教師が自分の手で物を止める動作をしながら「(わたしが)止めます」と並べて、この課は同じ出来事を二つの言い方で言う課だと予告する
学習項目1 自動詞・他動詞45分教室の物を実際に動かして、「〜を〜ます(人がする)」と「〜が〜ました(ものが変わる)」を同じ物で続けて言う。ペアは黒板の左右2列に書き、最初は5〜6組に絞る。口頭→ペアのカード→「教室スイッチ実況」まで。2列の板書はここで作り、課の最後まで残す
学習項目2 〜ています(4)35分動かし終わったあとの教室の様子を指さして「〜が〜ています」。教師がまだ動かしている途中の「〜を〜ています」と並べて、手が動いているかどうかで違いを見せる。前とあとの絵の情報差で聞き合い、「大家さんへの電話」で使わせて1コマ目は終わり
学習項目3 〜てあります35分2コマ目の初めに、1コマ目のペアのカードで自動詞・他動詞を5分ほど言い直してから入る。授業の前に用意しておいた教室(黒板の字・机の上の物・壁にはった紙)を見せ、「だれかがした」ことを確かめてから「〜が〜てあります」。2列の板書の右(他動詞)の下に書く。最後に教室を会場に見立てた「パーティー準備チェック」
学習項目4 〜くします/〜にします30分第15課の「〜くなります/〜になります」を復習してから、音・部屋・髪のように人が変える場面で「〜くします/〜にします」。板書は「なります(自動詞のなかま)」と「します(他動詞のなかま)」の2列で。状況カードのペアのあと、「部屋の模様替え相談」で3案ずつ発表
まとめの活動25分同じ部屋の「前」と「あと」の2枚の絵を見比べて、変わった所を「〜が〜ています」「〜が〜てあります」「〜を〜くしました」で言う。最後に初級Ⅰで習った活用形を一枚の表で振り返る。活用表の振り返りを丁寧にするなら、別に45分ほど取る

学習項目 1 自動詞・他動詞

意味・はたらき学習項目 1

同じ出来事を言う動詞には、ものが主語で「が」をとる自動詞(ドアが開きます)と、人が主語で「を」をとる他動詞(ドアを開けます)のペアになっているものがたくさんあります。自動詞は「ものがどうなるか」、他動詞は「人がものをどうするか」を言います。形はよく似ていて、「閉まる・閉める」「始まる・始める」のように「〜まる・〜める」で対応するもの、「開く(あく)・開ける」「つく・つける」のように「〜く・〜ける」で対応するもの、「消える・消す」「出る・出す」のように「〜る・〜す」で対応するものなどがありますが、決まりで作れるわけではないので、ペアのまま覚えます。

接続

自動詞: Nが+自動詞(ドアが開きます)/他動詞: Nを+他動詞(ドアを開けます)。他動詞の文には、する人(わたしは・先生が)がいる

形
Nが 開きます/閉まります/つきます/消えます(人が)Nを 開けます/閉めます/つけます/消しますNが 始まります/止まります ⇔ Nを 始めます/止めますNが 入ります/出ます ⇔ Nを 入れます/出します

導入

  • 同じ物を動かして二つの言い方教師が教室のドアの前に立ち、「わたしはドアを開けます」と言いながら開ける。開いたドアを指して「ドアが開きました」と言い、文の主語が「わたし」から「ドア」に替わったことを、黒板の右に「(人が)〜を 開けます」、左に「〜が 開きます」と書いて見せる。電気・カーテン・テレビでも同じことをくり返し、ペアを左右の列に1組ずつ足していく。
  • 見ていない間に変える学生に目をつぶらせ、その間に教師が電気を消す。目を開けた学生に「電気はどうなりましたか」と聞き、「電気が消えました」を引き出す。だれがしたか見ていないときは「が」の自動詞で言えることに気づかせ、そのあと「先生が電気を消しました」と他動詞でも言わせて、同じ出来事の二つの言い方を確かめる。

板書案

〔左〕〜が + 自動詞(ものが変わる) | 〔右〕(人が)〜を + 他動詞(人がする)
ドアが 開きます | わたしは ドアを 開けます
電気が つきます/消えます | 電気を つけます/消します
授業が 始まります | 先生が 授業を 始めます
〔赤〕「が」「を」に丸 〔青〕〜まる⇔〜める・〜く⇔〜ける・〜る⇔〜す の矢印(右の列には人の手の絵)

場面と発話(自作)

  • 授業の前、教室が暑いので、留学生が窓のそばの席の友達に頼む。すみません、窓を開けてください。
  • 電車に乗っていた会社員が、駅と駅の間で急に電車が動かなくなったので、となりの同僚に言う。あれ、電車が止まりましたね。
  • 事務所でパソコンの画面が急に真っ暗になったので、社員がまわりの人に聞く。あ、画面が消えました。だれか電気を消しましたか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、物の絵カード(ドア・窓・電気・テレビ・エアコン)と「人の手」の印のカードを組み合わせ、手の印があれば「〜を〜ます」、なければ「〜が〜ます」と言わせる。慣れたら教師が自動詞を言って学生が他動詞で返す、他動詞を言って自動詞で返す、の両方向で速く回す。場面のやり取りでは、教師が教室の物を動かすのを見て、「〜が〜ました」と「先生が〜を〜ました」の二通りで報告させる。

  1. 口頭教師がドアを開けながら「ドアを開けます」、開いたドアを指して「ドアが開きました」と言い、全員でくり返す。次に物の絵カード(電気・窓・カーテン・テレビ・エアコン)に「人の手」の印カードを重ねたり外したりして、印があれば「電気を消します」、なければ「電気が消えます」と言わせる。慣れたら教師が「つきます」と言って学生が「つけます」と返す、「閉めます」と言って「閉まります」と返す、の両方向で速く回し、最後は1人ずつ当てる。
  2. ペアAは物の絵カード、Bは自動詞と他動詞が混ざった動詞カード12枚を持つ。Aが絵を出して「人がします」か「ものが変わります」と言い、Bは合う動詞を選んで「窓を閉めます」「窓が閉まります」と文で答える。助詞はカードの裏に書いておき、Aが裏を見て合っているか確かめる。6枚で役を交替する。
  3. 産出「教室スイッチ実況」。一人が前に出て教室の物を一つ動かし(窓を開ける・電気を消す・カーテンを閉める)、ほかの学生が「〇〇さんが窓を開けました」「窓が開きました」の二つの文で実況する。次に全員に目をつぶらせ、その間に教師が2〜3か所を変えて、何が変わったかを自動詞の文だけで言わせる。教師が見るのは、「が」「を」と動詞の組が合っているか、他動詞の文にする人が入っているか、自動詞の文に「〇〇さんが」を入れていないか。

つまずきと手当て

  • 「*電気が消しました」「*授業を始まります」のように、助詞と動詞のペアが食い違う。動詞だけで覚えず、「電気が消える」「電気を消す」と助詞つきの形で1枚のカードの表と裏にする
  • 「つく・つける」「消える・消す」のどちらが自動詞か分からなくなる。初めは教室にある5〜6組だけに絞り、毎回同じ物を動かして体で覚えさせる。ペアを一度に増やさない
  • 「を」があれば他動詞、とだけ覚えると、「部屋を出ます」「道を歩きます」で迷う。この「を」は出る所・通る所を表す「を」で、「出ます」「歩きます」は自動詞だと一言添え、この課では深入りしない

既習の文型との違い

  • 〜を…ます(第5課)第5課からの「〜を…ます」は、どれも人が主語で、物は「を」で表していました。この課では同じ物(ドア・電気)が「が」で主語になり、動詞も別の語(開ける→開く)に替わります。学習者は「を」を「が」に替えるだけで「*ドアが開けます」と言いやすいので、助詞と動詞を一組で替えることを2列の板書で確かめます。
  • 〜になります/〜くなります(第15課)「暑くなります」「先生になります」は、人が何かを変えるのではなく、ものや人の様子・立場が変わったことを言う言い方で、変わるものは「が」(または「は」)で表します。この課の自動詞(開きます・消えます)も同じく「ものが変わる」側の言い方です。学習項目4で「〜くします」と組にするので、ここで「なります」は左の列のなかまだと一言触れておきます。
関連する文型

学習項目 2 〜ています(4)

意味・はたらき学習項目 2

「閉まる・つく・壊れる」のような、ものの様子が変わる自動詞をテ形にして「います」をつけると、変化が起きたあと、その様子が今も続いていることを表します。「ドアが閉まっています」は、閉まるという変化はもう終わっていて、今ドアが閉まった様子だということです。第10課で習った「〜ています」のうち、動作の途中を言う使い方(食べています)とは違い、今は何も動いていません。「閉まりました」は変化が起きたことを言い、「閉まっています」は今の様子を言います。

接続

様子が変わる自動詞のテ形+います(Nが〜ています)。「降る・歩く・泳ぐ」のような動き続ける自動詞につくと、第10課と同じ動作の途中の意味になる

形
Nが 開いています/閉まっていますNが ついています/消えていますNが 壊れています/汚れていますNが 止まっています/落ちています

導入

  • 変わったあとの教室を指さす学習項目1で開けたドアや消した電気をそのままにしておき、教師が「今、ドアはどうですか」と聞いて「ドアが開いています」と言って聞かせる。板書の左の列(自動詞)の横に「〜が 〜ています」と書き足し、電気・カーテン・テレビでも今の様子を言わせる。
  • 動いている途中と比べる教師がゆっくりカーテンを閉めながら「今、カーテンを閉めています」と言い、閉め終わって手を離してから「カーテンが閉まっています」と言う。同じ「ています」でも、他動詞の「〜を〜ています」は教師が動いている途中、自動詞の「〜が〜ています」は動き終わったあとの様子だと、教師の手が動いているかどうかで見せる。

板書案

様子が変わる自動詞(て形)+ います = 変わったあとの様子
閉まります →(変化が終わる)→ ドアが 閉まっています。
(比べる)先生が ドアを 閉めています。= 今、手が動いている
〔左〕閉まる・壊れる・つく・落ちる | 〔右〕降る・歩く・泳ぐ(途中)
〔赤〕「が」と「を」に丸 〔青〕時間の矢印に「変化」の点と「今」の点

場面と発話(自作)

  • 昼休み、だれもいない会議室の前を通った社員が、同僚に伝える。会議室の電気がついていますよ。
  • 留学生が、アパートの大家さんに部屋の物の調子が悪いことを電話で伝える。すみません、エアコンが壊れています。
  • 日曜日に二人で郵便局へ行った留学生が、入口の前で友達に言う。あ、きょうは郵便局が閉まっていますね。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、同じ物の「前」と「あと」の絵カード(電気が消えている絵とついている絵など)を用意し、「あと」の絵を見せて「〜が〜ています」と言わせる。途中に人が動かしている最中の絵を混ぜ、「〜を〜ています」と言い分けさせる。場面のやり取りでは、ペアで教室や絵の中の部屋について「〜はどうですか」「〜が〜ています」と聞き合わせる。

  1. 口頭同じ物の「前」と「あと」の絵カード(窓が閉まっている/開いている、電気が消えている/ついている、時計が動いている/止まっている、かさがきれい/壊れている、財布がかばんの中/床の上)を見せる。「あと」の絵を出したら全員で「窓が開いています」、個人に当てて「時計が止まっています」。途中に人が窓を開けている最中の絵を混ぜ、「〇〇さんが窓を開けています」と言い分けさせる。最後に教師が「壊れます」「落ちます」と動詞だけをキューにして、「〜が〜ています」の形にさせる。
  2. ペアAは部屋の絵A、Bは部屋の絵B(5か所が違う)を持ち、相手の絵は見ない。Aが「窓はどうですか」と聞き、Bが「窓が開いています」と答え、Aは自分の絵と比べて「わたしの絵では閉まっています」と言う。聞く人と答える人を1か所ずつ交替し、違う所を5つ見つけたら二人で絵を見せ合って確かめる。
  3. 産出「大家さんへの電話」。学生は留学生の役、教師かもう一人の学生が大家さんの役。留学生は部屋の困ったこと(エアコンが壊れています・トイレの電気がつきません・窓が閉まりません)を一つ選び、「すみません、〇号室の〇〇です。」から始めて電話で伝える。大家さんは「いつからですか」「今、どうなっていますか」と聞き返す。教師が見るのは、今の様子を「〜が〜ています」で言えているか、「壊れました」(起きたこと)と「壊れています」(今の様子)を言い分けているか、「*エアコンが壊しています」と他動詞が入っていないか。

つまずきと手当て

  • 「*ドアが開けています」と、他動詞に「が」をつけて様子を言う。左の列(自動詞)の動詞だけが「〜が〜ています」で今の様子になると、2列の板書を指さして戻す
  • 今の様子を言いたいのに「ドアを開けています」と言う。この文は人が開けている途中の意味になるので、手が動いている絵と動いていない絵を並べて、言いたいのはどちらかを本人に選ばせる
  • 「財布が落ちました」と「財布が落ちています」の違いが分からない。「〜ました」は落ちるところを見たとき、「〜ています」はあとで見つけて今そこにある様子だと、場面の絵で分ける
  • どの自動詞でも「〜ています」は今の様子だと考え、「雨が降っています」「子どもが泳いでいます」まで変化のあとの様子だと思う。様子が変わる動詞(閉まる・壊れる・つく)と、動き続ける動詞(降る・歩く・泳ぐ)を分けて板書する

既習の文型との違い

  • 〜ています(1)(第10課)この教案では第10課の(1)を動作の進行として扱っています。「食べています」「雨が降っています」は動作がまだ続いている途中ですが、この課の「ドアが閉まっています」は閉まる変化が終わって、今は何も動いていません。どちらになるかは動詞で決まるので、様子が変わる動詞(閉まる・壊れる・つく)と動き続ける動詞(食べる・降る・歩く)を板書の左右に分けます。
  • 〜ています(2)(第10課)この教案で第10課の(2)として扱う「住んでいます」「結婚しています」は、一度始まったことがそのまま続いている状態で、この課の「〜が〜ています」と考え方は近いものです。違いは、この課の文が目の前の物の様子を言い、物が主語で「が」をとる点です。「もう結婚しました。だから今、結婚しています」と同じく、「もう壊れました。だから今、壊れています」と言い換えて見せると、つながりが分かります。
関連する文型

学習項目 3 〜てあります

意味・はたらき学習項目 3

他動詞のテ形に「あります」をつけて「Nが〜てあります」と言うと、だれかがわざと(目的があって)したことの結果が、今そこに残っていることを表します。「黒板に地図がはってあります」は、だれかが授業のために地図をはって、今もそのままになっている、ということです。だれがしたかは言わないのが普通で、話し手の関心は今の様子にあります。同じ様子は「自動詞+ています」(電気がついています)でも言えますが、「〜てあります」(電気がつけてあります)には「人がした・準備した」という意味が加わります。

接続

他動詞のテ形+あります(Nが〜てあります。場所は「Nに」)。自動詞には使わない

形
Nに Nが 書いてあります/はってありますNに Nが 置いてあります/入れてありますNが つけてあります/開けてあります(比べる)Nが ついています/開いています

導入

  • 前もって用意した教室を見せる授業の前に、黒板にきょうの日付を書き、ドアに「会議中」と書いた紙をはり、教卓の上に辞書を置いておく。学生に「だれが書きましたか」と聞いて「先生が書きました」を確かめてから、「黒板に日付が書いてあります」と言い、板書の右の列(他動詞)の下に「〜が 〜てあります」と書く。「はる」「置く」も同じ流れで言わせる。
  • 「ています」と並べる電気を二つの場面で見せる。教師が授業の前にわざとつけておいた電気には「電気がつけてあります(先生がつけました)」、だれがつけたか分からない電気には「電気がついています」と言う。どちらも今の様子だが、「てあります」は人がしたことが分かっている言い方だと、2列の板書の左右を指さして確かめる。

板書案

他動詞(て形)+ あります = 人がした結果が今も残っている
黒板に 日付が 書いてあります。(先生が書きました)
電気が つけてあります。(人がした) ⇔ 電気が ついています。(様子だけ)
〔左〕自動詞 + ています | 〔右〕他動詞 + てあります
〔赤〕場所の「に」と物の「が」に丸 〔青〕右の列に人の手の絵

場面と発話(自作)

  • 会議の前に資料を準備した社員が、上司に「資料はどうですか」と聞かれて答える。資料はもう机の上に置いてあります。
  • ホームステイ先で、出かける前のお母さんが留学生に言う。冷蔵庫にジュースが入れてありますから、飲んでください。
  • 授業の初めに、先生が黒板を指さして学生に言う。きょうの宿題は黒板に書いてありますから、ノートに書いてください。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、人が準備をした部屋の絵(花が飾ってある・机に名前が書いてある・窓が開けてある)を見せて「〜が〜てあります」と言わせ、慣れたら同じ物を自動詞で「〜が〜ています」とも言わせて形を比べる。場面のやり取りでは、パーティーの準備をした人とあとから来た人の役で「飲み物はどうしましたか」「冷蔵庫に入れてあります」のように、準備が済んでいるかを聞いて答えさせる。

  1. 口頭人が準備をした部屋の絵(ドアに紙がはってある・机に名前のカードが置いてある・花が飾ってある・窓が開けてある・冷蔵庫にジュースが入れてある)を1枚ずつ見せ、「黒板に 字」とキューを出して全員で「黒板に字が書いてあります」。次に動詞だけのキューで、他動詞「書きます」には「書いてあります」、自動詞「つきます」には「ついています」と、混ぜて言い分けさせる。最後は絵だけを見せて個人に当てる。
  2. ペア「準備した人とあとから来た人」。Aは準備の項目のメモ(飲み物・皿・名前のカード・音楽・地図)を持ち、「飲み物はどうですか」と聞く。Bは準備の済んだ所に丸がついた絵を見て、済んでいれば「冷蔵庫に入れてあります」、済んでいなければ「まだです。あとでします」と答える。5つ聞いたら交替し、2回目はBの絵の丸を変えておく。
  3. 産出「パーティー準備チェック」。グループで教室を誕生日パーティーの会場に見立て、実際に紙を壁にはる・机に皿やコップを置く・黒板に字を書く・窓を開ける。準備のあいだ廊下で待っていた学生が入ってきたら、準備した人たちが「黒板に〇〇さんの名前が書いてあります」のように3つ以上説明する。教師が見るのは、他動詞にだけ「てあります」が付いているか、場所に「に」を付けているか、風で開いた窓のようにだれもしていないことに「てあります」を使っていないか。

つまずきと手当て

  • 「*窓が開いてあります」「*電気がついてあります」と、自動詞に「あります」をつける。「てあります」は右の列(他動詞)の動詞だけ、と2列の板書で確かめる
  • 「窓を開けています」(人が開けている途中)と「窓が開けてあります」(開けたあとの様子)を混同する。「ています」は手が動いている絵、「てあります」は人がいない部屋の絵、と絵で分ける
  • だれもしていないことにも「てあります」を使う(風で開いた窓を「開けてあります」と言う)。「だれがしましたか」と聞き返し、答えられないときは「〜ています」で言うと確かめる
  • 「窓を開けてあります」と「を」で言う学生がいる。話し言葉で聞くこともある形なので強く直さず、この課では「が」の形で練習すると伝える

既習の文型との違い

  • 〜ています(4)(第20課)「窓が開いています」と「窓が開けてあります」は、どちらも今窓が開いている様子を言います。違いは、「てあります」には「だれかが目的があって開けた」という意味が入ることで、動詞も自動詞(開く)と他動詞(開ける)で替わります。学習者が「*窓が開いてあります」と混ぜたときは、2列の板書の左右どちらの動詞かに戻させます。
  • 〜ています(1)(第10課)「先生が窓を開けています」は先生が今開けている途中で、「窓が開けてあります」は開け終わって、先生がもうそこにいなくてもよい言い方です。どちらも同じ他動詞のて形を使うので、「を」と「います」なら途中、「が」と「あります」なら結果、と助詞と後ろの語のセットで見分けさせます。
関連する文型

学習項目 4 〜くします/〜にします

意味・はたらき学習項目 4

イ形容詞の「〜い」を「〜く」に、ナ形容詞と名詞には「に」をつけて「します」を続けると、人が何かの様子をわざと変えることを表します。第15課の「〜くなります/〜になります」は様子が変わること、この課の「〜くします/〜にします」は人が変えることで、「なります」と「します」は、自動詞と他動詞のペアと同じ関係です(音が小さくなります/音を小さくします)。変える物には「を」をつけます。「いい」は「よくします」になります。

接続

Nを+イ形容詞(〜い→〜く)+します/Nを+ナ形容詞・名詞+に+します(いい→よくします)

形
Nを 〜くします(小さくします・短くします)Nを 〜にします(きれいにします・静かにします)Nを Nにします(この部屋を会議室にします)(比べる)Nが 〜くなります/〜になります

導入

  • 音楽の音で「なります」と「します」教師がスマートフォンで音楽をかけ、音量を下げながら「音を小さくします」と言い、下げ終わってから学生に「音はどうなりましたか」と聞いて「音が小さくなりました」を第15課の形で言わせる。板書は「〜が 〜くなります」と「〜を 〜くします」を左右に並べ、学習項目1の自動詞・他動詞の2列と同じ並びだと見せる。
  • 教室を変える相談「教室が暑いです。どうしますか」「黒板が汚いです。どうしますか」と問いかけ、「エアコンを強くします」「黒板をきれいにします」を引き出す。イ形容詞とナ形容詞のカードを色を分けて貼り、「く」と「に」の違いを見せる。最後に「〜てください」をつけて、相手に変えてもらう頼み方まで言わせる。

板書案

〔左〕〜が 〜くなります/〜になります | 〔右〕〜を 〜くします/〜にします
音が 小さくなりました | 音を 小さくします
台所が きれいになりました | 台所を きれいにします
いい → よくします/よくなります
〔赤〕「く」と「に」 〔青〕イ形容詞とナ形容詞のカードの色を分ける

場面と発話(自作)

  • 図書館で勉強している留学生が、となりの席の友達のスマートフォンの音が気になって、小さな声で頼む。すみません、音を小さくしてください。
  • 美容院で、店の人にどう切るか聞かれた客が答える。前の髪を少し短くしてください。
  • あしたお客さんが来るので、寮で同じ部屋の友達に言う。あしたお客さんが来ますから、台所をきれいにしましょう。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、形容詞のカード(小さい・大きい・短い・明るい・いい・きれい・静か)と物のカード(音・部屋・字・髪)を組み合わせて「〜を〜くします/〜にします」と言わせ、次に「〜てください」をつけて頼む形に替えさせる。場面のやり取りでは、引っ越したばかりの部屋の絵を見ながら「どうしますか」「〜を〜くします」と、部屋をどう変えるか相談させる。

  1. 口頭形容詞のカード(小さい・大きい・短い・明るい・いい・きれい・静か)と物のカード(音・字・髪・部屋・教室)を1枚ずつ組み合わせてキューを出す。「音・小さい」→全員で「音を小さくします」、「部屋・きれい」→「部屋をきれいにします」。次に後ろのカードを「ください」「なりました」に替えて、「音を小さくしてください」「音が小さくなりました」と、助詞もいっしょに替えて言わせる。「いい」のカードは最後に混ぜる。
  2. ペア「困った人と助ける人」。Aが状況カード(部屋が暗いです・テレビの音が大きいです・黒板の字が小さいです・机の上が汚いです)を読み上げ、Bが「じゃ、字を大きくしましょう」「テレビの音を小さくしましょう」のように変える案を一つ言う。Aは「ありがとう」か「いいえ、〜くしてください」と返す。4枚で交替する。
  3. 産出「部屋の模様替え相談」。引っ越したばかりの暗くて汚い部屋の絵をグループに1枚渡し、「どうしますか」と相談させて、部屋を変える案を「〜を〜くします/〜にします」で3つ決めて発表させる。発表のあと、ほかのグループが「どうなりましたか」と聞き、発表したグループは「机の上がきれいになりました」と結果を「なります」で答える。教師が見るのは、「く」と「に」の選び方、「いい→よく」、「を・します」と「が・なります」の組が崩れていないか。

つまずきと手当て

  • 「*きれいくします」「*静かくします」と、ナ形容詞にも「く」をつける。「きれい」は「い」で終わってもナ形容詞だと第6課の分け方に戻り、カードの色で区別する
  • 「*いくします」と言う。「いい」は「よくします」「よくなります」になると、第15課の「よくなります」と並べて覚えさせる
  • 「*音を小さくなってください」「*音が小さくしました」のように、「を・します」と「が・なります」が混ざる。学習項目1の2列に戻り、「を」なら「します」、「が」なら「なります」とセットで言わせる
  • 第12課の「〜にします」(飲み物はコーヒーにします=選んで決める)と形が同じなので混乱する。この課の文は「台所をきれいにします」のように変える物が「を」で前に来ることが多いと確かめ、意味の違いは「選ぶ」と「変える」の二語で板書する

既習の文型との違い

  • 〜になります/〜くなります(第15課)「台所がきれいになりました」は台所の様子が変わったことだけを言い、「台所をきれいにしました」はだれかが変えたことを言います。形容詞の形(〜く・〜に)は同じで、違うのは助詞(が・を)と後ろの動詞(なります・します)です。学習者は「*台所をきれいになりました」と混ぜやすいので、学習項目1の自動詞・他動詞の2列と同じ並びで板書します。
  • 〜にします(第12課)第12課の「飲み物はコーヒーにします」は、いくつかの中から選んで決める言い方です。この課の「台所をきれいにします」は、物の様子を変える言い方で、前に変える物が「を」で来ます。形が同じなので、「選ぶ」か「変える」かを学習者に聞いて意味を確かめます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の新出語は、自動詞と他動詞のペアが中心です。ペアは1枚のカードの表に「〜が 開く」、裏に「〜を 開ける」と助詞つきで書き、教室にある物(ドア・窓・電気・カーテン・エアコン)に使う組から5〜6組ずつ入れます。自他の一覧は一度に全部覚えさせず、授業で使った組から印をつけていくと負担が減ります。形容詞は第6課で習った語の復習として、「〜くします」「〜にします」の形で口に出す回数を増やします。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 開きます(あきます) ドアや窓、店などが、閉まっていない様子になります。「開けます」の自動詞です。 ドアが〜・窓が〜・店が〜
    朝、駅の前のスーパーに着いた留学生が、時計を見て友達に言う。
    「まだ開いていませんね。このスーパーは9時に開きます。」
  • 閉まります(しまります) 開いていたドアや窓、店などが、閉じた様子になります。「閉めます」の自動詞です。 ドアが〜・店が〜・銀行が〜
    夕方、銀行の前に来た会社員が、同僚に言う。
    「あ、銀行はもう閉まっていますね。あしたまた来ましょう。」
  • つきます(つきます) 電気やテレビ、エアコンが動き始めます。「つけます」の自動詞です。 電気が〜・テレビが〜・エアコンが〜
    夜、だれもいない教室の前を通った学生が、先生に言う。
    「先生、教室の電気がついていますよ。」
  • 消えます(きえます) 電気や火、画面などが止まって、見えなくなります。「消します」の自動詞です。 電気が〜・火が〜・画面が〜
    会議の途中で、パソコンの画面が急に真っ暗になった。
    「すみません、画面が消えました。ちょっと待ってください。」
  • 止まります(とまります) 動いていた物が、動かなくなります。「止めます」の自動詞です。 電車が〜・車が〜・時計が〜
    雪の朝、駅で留学生が友達に電話をする。
    「雪がたくさん降って、電車が止まっています。バスで行きましょう。」
  • 壊れます(こわれます) 物が悪くなって、使えなくなります。 パソコンが〜・かさが〜・エアコンが〜
    風の強い日、寮に帰った留学生が、寮の人に言う。
    「風が強くて、かさが壊れました。」
  • 落ちます(おちます) 物が上から下へ動いて、下に着きます。 財布が〜・床に〜・葉が〜
    駅のホームで、前の人のポケットから物が出たのを見て、声をかける。
    「すみません、財布が落ちましたよ。」
  • 汚れます(よごれます) 物にごみや色がついて、きれいではなくなります。 服が〜・手が〜・くつが〜
    雨の日、外から帰った子どもに、母親が言う。
    「くつが汚れていますね。玄関でぬいでください。」
  • はります(はります) 紙などを壁やドアにつけて、離れないようにします。 壁に〜・ポスターを〜・紙を〜
    日本語学校の掲示板の前で、学生が友達に言う。
    「来週の試験の時間は、あそこにはってありますよ。」
  • 置きます(おきます) 物をある場所に動かして、そのままにします。 机の上に〜・かばんを〜・ここに〜
    旅行の前の日の夜、母親が子どもに言う。
    「切符はテーブルの上に置いてありますから、忘れないでください。」
  • 明るい(あかるい) 光がたくさんあって、よく見える様子です。「暗い」の反対です。 〜部屋・〜くします・〜くなります
    朝、カーテンを開けた同僚が、部屋の中を見て言う。
    「カーテンを開けたら、明るくなりましたね。」
  • 静か(しずか) 音や声があまりない様子です。ナ形容詞なので「静かにします」になります。 〜な所・〜にします・〜になります
    図書館で、大きな声で話している学生たちに、係の人が言う。
    「すみません、ここは図書館ですから、静かにしてください。」

宿題と次のコマ

宿題は、自分の部屋か教室の様子を「〜が〜ています」と「〜が〜てあります」でそれぞれ3文書くことと、この課の自動詞・他動詞のペアの表を助詞つきで埋めること。次のコマの最初に宿題の文を読ませ、ほかの学生が「だれがしましたか」と聞いて、人がしたことなら「てあります」、自然にそうなったことなら「ています」で言えているかを確かめます。この課で初級Ⅰは終わりなので、そのあと第11〜17課で習ったて形・ない形・辞書形・た形・普通体を一枚の活用表にまとめて振り返ります。初級Ⅱでは、これらの活用形と自動詞・他動詞の区別を土台に新しい形や表現が加わっていくので、活用の誤りが多い学生はここで個別に確かめておくと、次の本へ進みやすくなります。

よくある質問

  • 第20課の自動詞と他動詞は、いくつのペアをどの順で出せばいいですか?

    1コマ目は、教室でその場で動かせる5〜6組(開く・開ける、閉まる・閉める、つく・つける、消える・消す、始まる・始める、止まる・止める)に絞ります。「〜まる⇔〜める」「〜く⇔〜ける」「〜る⇔〜す」の対応は、ペアがいくつかそろってから気づかせる程度にし、規則として先に教えません。壊れる・落ちる・汚れる・入れる・はる・置くのような語は、「〜ています」「〜てあります」の練習で必要になったときに足していきます。

  • 「電気がついています」と「電気がつけてあります」の違いはどう説明しますか?

    どちらも今電気がついている様子を言いますが、「〜てあります」には「だれかが目的があってつけた」という意味が加わります。教室では「だれがしましたか」「どうしてですか」と聞き、答えられるときは「〜てあります」、分からないときや自然にそうなったときは「〜ています」で言わせます。動詞も自動詞(つく)と他動詞(つける)で替わるので、2列の板書の左右で確かめます。

  • 「〜ています(4)」は第10課の「〜ています」とどう分けて教えますか?

    動詞の種類で分けます。食べる・降る・歩くのように動き続ける動詞の「〜ています」は動作の途中、閉まる・壊れる・つくのように様子が変わる自動詞の「〜ています」は変わったあとの様子です。見分けるには、教師の手が動いているか、「もう〜ました」と言えるかを聞きます。他動詞に付いた「窓を開けています」は動作の途中なので、「を」があるかどうかもいっしょに見させます。

  • 「窓を開けてあります」と「を」で言う学習者は直したほうがいいですか?

    話し言葉で聞くことがある形なので、誤りとして強く直す必要はありません。ただ、この課では物の今の様子に目を向ける「〜が〜てあります」の形で練習すると伝え、板書と練習は「が」にそろえます。「を」の形は、人がしておいたことに目が向いた言い方で、準備の言い方を学ぶ段階で改めて扱うと整理しやすくなります。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は導入、自動詞・他動詞のペア、「〜ています(4)」まで、2コマ目は「〜てあります」「〜くします/〜にします」とまとめの活動です。初級Ⅰの最後の課なので、て形からた形・普通体までの活用表を振り返る時間を別に45分ほど取ると、初級Ⅱに入る前に活用の弱い学生を確かめられます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。