動詞のて形の作り方を整理し、一日の動作を順につなぐ「〜て、…て、―ます」、人に頼む「〜てください」、順番をはっきりさせる「〜てから」へと広げる課です。形容詞をつなぐ「〜くて/〜で」と、二つの動作を同時にする「〜ながら」も入るので、似た「つなぐ形」が三通り(動詞のて形・形容詞のくて/で・ます形から作るながら)出てきて混ざりやすいのが山場です。板書では、課の最初に動詞のて形の作り方の表を作って最後まで消さずに残し、形容詞の列をその横に足し、「ながら」だけは表の外に置くと取り違えが減ります。課の終わりには、自分の朝や週末を順番どおりに話せ、教室や窓口で「〜てください」と頼めるようになります。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(前の課とのつなぎ) | 10分 | 第10課の「〜ています」を絵カードで2〜3問(「今、何をしていますか」)。「食べて|います」と板書で区切り、この「て」の形を作り方から学ぶ課だと予告する。日課の動詞(起きます・顔を洗います・歯をみがきます・シャワーを浴びます・うちを出ます)はここで絵カードで先に入れておく |
| て形の作り方 | 35分 | 既習の動詞カードをⅠ・Ⅱ・Ⅲの3列に分け、グループⅠの4つの型を唱えてから口頭変換。この作り方の表は課の最後まで残す |
| 学習項目1 〜て、…て、―ます | 25分 | 教師の朝の流れを絵カードで並べ、2枚→3枚とつなぐ。「きのう」のカードで最後だけ「ました」にし、順番を入れ替えて意味が変わることを見せる |
| 学習項目2 〜てください | 20分 | 教師の指示に学生が体で答える練習から入り、学生が指示を出す番へ。タクシー・店・窓口の場面で頼む。1コマ目はここまで(導入・て形の作り方・学習項目1・2) |
| 学習項目3 〜は…て、―です | 20分 | て形の表の横にイ形容詞(くて)・ナ形容詞(で)の列を足す。同じ向きの評価は「て」、反対の向きは第6課の「が」 |
| 学習項目4 〜てから、… | 20分 | 手を洗う→食べるの動作と矢印の板書で「先にすませてから」。理由の「から」と並べて、前の形で見分ける |
| 学習項目5 〜ながら、… | 20分 | 教師が二つの動作を同時にして導入。ます形から作ることを表の外に書いて区別し、後ろが主な動作だと確かめる |
| まとめの活動 | 30分 | 「わたしの朝」「わたしの日曜日」を「〜て」「〜てから」「〜ながら」を入れて3〜4文で話し、聞いた人がその話について「〜てください」で一つ頼みごとをする(「写真を見せてください」など) |
「て形」は、動詞の「ます」の前の形(ます形)から作る活用形です。第10課の「〜ています」で、この形にはもう触れていますが、この課でグループごとの作り方を整理し、「〜て、…て、―ます」「〜てください」「〜てから」の三つの文型に乗せます。グループⅡ・Ⅲは「ます」を「て」に替えるだけで、グループⅠはます形の最後の音(い・ち・り/み・び・に/き・ぎ/し)で4つの型に分かれます。動詞のグループ分けがまだ入っていないクラスでは、ここで先に入れます。第13課の「〜てもいいです」や第14課の「〜てあげました」もこの形に乗るので、口から自然に出るまで練習しておきます。
ます形の最後の音で決まる。Ⅱ・Ⅲは「ます→て」、Ⅰは最後の音によって「って/んで/いて・いで/して」
ます形→て形の口頭変換をカードで、グループⅠの型ごと → Ⅰの4型を混ぜて → Ⅱ・Ⅲも混ぜて既習の動詞全部、の順に進め、1周ごとに速くする。文型に乗せる前に、教師が10語言って学生がて形を書く1分間の小テストをし、落ちた語はその場で作り方の表に戻って直す。
動作を起こる順に二つ、三つとつなげて一文で言う形です。前の動詞をて形にして、最後の動詞だけを「ます/ました」にします。いつのことか(これからか、過去か)と丁寧さは最後の動詞が決めるので、きのうのことなら最後だけ「〜ました」にします。並べた順番がそのまま動作の順番なので、順番を入れ替えると話の中身が変わります。
V1て形、V2て形、V3ます/ました(時と丁寧さは最後の動詞で表す)
口頭の代入練習では、教師が日課の絵カードを2枚、3枚と並べて見せ、学生が順に「〜て、〜ます」でつなぐ。慣れたら「きのう」のカードを前に置いて最後を「ました」にし、カードの順を学生に決めさせる。場面のやり取りでは、ペアで「日曜日、何をしましたか」と聞き合い、聞いた答えを三つの動作で「〜さんは〜て、〜て、〜ました」とクラスに報告させる。
相手に何かをするよう頼んだり、してほしいことを伝えたりする形です。動詞のて形に「ください」をつけます。教室で先生が出す指示(「読んでください」「書いてください」)、店・駅・窓口で人に頼むこと、タクシーで行き先を言うことなど、生活の中ですぐに使えます。丁寧な言い方ですが、相手に行動を求める言い方なので、目上の人に頼むときは「すみませんが、」を前に添えると柔らかくなります。
Vて形+ください
口頭の代入練習では、動詞カードを見せて学生が「〜てください」と言い、言われた学生がその動作をする(言う人と動く人を順に替える)。場面のやり取りでは、タクシー・店・教室の場面カードを引かせ、その場で一つ頼みごとをし、相手役が「はい、わかりました」と応じるまでをペアで行う。
人や物、町などの様子を、形容詞を二つつなげて一文で言う形です。前の形容詞を「て」の形にします。イ形容詞は最後の「い」を「くて」に、ナ形容詞は「で」にしてつなぎ、「いい」だけは「よくて」になります。つなぐ二つは、どちらもよいこと、どちらもよくないことのように同じ向きの評価にするのが自然で、よいこととよくないことを言うときは第6課の「〜ですが、…です」を使います。名詞も「で」でつなげます(「田中さんは先生で、…」)。
イ形容詞(〜い→〜くて)/ナ形容詞・名詞(〜で)+形容詞+です(いい→よくて)
口頭の代入練習では、形容詞カードを2枚ずつ組にして見せ、「〜は〜くて/〜で、〜です」と言わせる。イとナを混ぜ、ときどき「いい」と「きれい」を入れて形を判断させる。場面のやり取りでは、自分の国の町・家族の一人・好きな店を、二つの形容詞を使って紹介し合い、聞いた人が「そうですか。いいですね」などと応じる。
「AてからB」で、Aが終わったあとでBをする、という順番をはっきり言う形です。学習項目1の「〜て、…て」も順番を表しますが、「〜てから」は「先にAをすませて、それからB」と、前の動作が終わることに重みがあります。人に順番を守ってほしいときの「〜てから、〜てください」や、ふだん決まっている順番を言うときによく使います。いつのことかと丁寧さは、学習項目1と同じく後ろの動詞で表します。
Vて形+から、…(時と丁寧さは後ろの動詞で表す)
口頭の代入練習では、先にする方に①、あとにする方に②の印をつけた絵カードを2枚見せ、「①てから、②ます」と言わせる。次に同じカードで「①てから、②てください」と頼みの文に替えさせる。場面のやり取りでは、「うちへ帰ってから、何をしますか」「日曜日、起きてから、何をしますか」とペアで聞き合い、答えを一つずつ報告させる。
一人の人が二つの動作を同じ時にするときに使う形です。動詞のます形から「ます」を取って「ながら」をつけ、そのあとに主な動作を言います。主な動作は後ろのほうで、「ながら」の前の動作はそれに添えるものです。この課のほかの項目と違い、て形ではなくます形から作ります。二つの動作は同じ人がするもので、別々の人の動作には使いません。
Vます形(「ます」を取った形)+ながら、V2ます(主な動作は後ろ)
口頭の代入練習では、教師が二つの動作を同時にジェスチャーで見せ、学生が「〜ながら、〜ます」と言う。て形のカードを混ぜて出し、学生が「て」と「ながら」を作り分けられるかを確かめる。場面のやり取りでは、「何をしながら、〜しますか」とペアで聞き合い、クラスで「ながら」の習慣の多い人を探す。
この課では、朝から夜までの日課の動詞(起きます・顔を洗います・歯をみがきます・シャワーを浴びます・うちを出ます)と、教室や窓口で頼むときの動詞(立ちます・座ります・開けます・閉めます・待ちます・見せます)が多く要ります。どれも単語だけで覚えさせず、絵カードの裏にて形を書いておき、「歯をみがいて」「待ってください」のように、て形と助詞つきの形で文型の中に入れて練習します。形容詞は第6課の既習の語で足りるので、新しい語を増やすより「くて/で」の形を作る回数を多くします。
宿題は、既習の動詞20語ほどのます形→て形の書き取り(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの記号も書く)と、自分の朝を「〜て、…て」「〜てから」「〜ながら」を一つずつ使って3文で書くこと。次のコマの最初に、宿題の文を使って教師が「〜さんは朝、何をしますか」と聞いて復習し、て形のカードを5分やってから、第12課の「〜ないでください」に入ります。ない形は第12課で初めて出るので、て形がここで定着しているかを小テストで確かめておくと、次の課の「〜てください」と「〜ないでください」の対比がしやすくなります。
第11課のて形はどの順で教えればいいですか?
先に既習の動詞をⅠ・Ⅱ・Ⅲの3つの列に分け、Ⅱ・Ⅲは「ます→て」だけと短く片づけます。Ⅰグループはます形の最後の音で4つの型(い・ち・り→って/み・び・に→んで/き→いて・ぎ→いで/し→して)に分け、リズムで唱えさせます。「行きます→行って」は最後に別枠で1語だけ出します。第10課の「〜ています」を区切って見せる導入から入ると、前の課とのつながりがはっきりします。
「〜て、…て」と「〜てから」の違いは何ですか?
どちらも動作の順番を言えますが、「〜てから」は前の動作が終わることに重みがあり、「先にAをすませて、B」と言いたいときに使います。「〜て」は動作を3つ、4つと続けて並べるのに向いています。一日の流れを話すときは「〜て」、先にすませてほしいことを頼むときは「〜てから、〜てください」と、場面で分けて練習させると迷いが減ります。
「〜ながら」をて形に付けてしまう学生にはどうすればいいですか?
「〜ながら」はて形ではなくます形から作るので、板書でて形の表の外に「Vます→Vながら」と別に書き、色を変えておきます。口頭練習では動詞カードを出して教師が「て」「ながら」のどちらかを言い、作り分けさせます。誤りが出たら、表の外の板書を指さして「ます」を取った形に戻させます。
形容詞の「くて/で」で、よいこととよくないことをつないでもいいですか?
「〜くて/で」は同じ向きの評価をつなぐのが自然で、反対の向きのときは第6課の「〜ですが、…です」を使います。「安くて、まずいです」は文法の誤りではありませんが、聞いた人には落ち着かない言い方に聞こえます。形容詞カードに○×の印をつけて、向きで「て」と「が」を選ばせる練習が効きます。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は導入・て形の作り方・学習項目1「〜て、…て、―ます」・学習項目2「〜てください」まで、2コマ目は形容詞の「くて/で」・「〜てから」・「〜ながら」とまとめの活動です。て形の定着が弱いクラスでは、2コマ目の最初にて形のカードを5分入れてから進めます。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。