第6課でい形容詞・な形容詞の「〜です」と、名詞の前に置く形、「〜は…より―です」の比べ方を習ったあとを受けて、好き嫌い・二つのものの比べ方・ものや人の特徴を言えるようにする課です。三つの項目をつなぐ芯は助詞の「が」で、好きなものにつく「が」、「どちらが」の「が」、話題を「は」で出したあとに特徴の部分を示す「が」が続けて出てきます。第5課で「を」を習ったばかりなので「*肉を好きです」が出やすく、板書の枠は「[人]は [もの]が 好きです」から始めて、「が」の列だけ色を変えて課の最後まで残すと、三つの項目が同じ形の上にあることが見えます。理由の「から」もこの課で初めて出るので、好きなものとその日の予定を一文につなぐところまで行けると、自分のことを話せる量がぐっと増えます。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(前の課とのつなぎ) | 10分 | 第6課の形容詞を絵カードで2〜3問(「この部屋は暑いです」「京都は古い町です」の型)。続けて「〜は…より―です」の文を一つ板書し、この課は「好き」と「比べる」と「特徴を言う」課だと予告する。果物・スポーツ・季節・飲み物などの絵カードはここで名前を確かめておく |
| 学習項目1 〜が好きです/〜が好きですから、… | 45分 | 教師の好き嫌いを絵カードと○×の顔で見せて導入。「を」ではなく「が」と赤で板書し、否定は「あまり好きじゃありません」まで。後半は好きなものと予定のカードを矢印でつないで「〜が好きですから、…ます」 |
| 学習項目2 〜と…とどちらが―ですか | 35分 | 実物を二つ持って比べて見せる。第6課の「AはBより―です」の板書の横に、それを聞く形として質問文を書く。答えの「〜のほうが」「どちらも」まで。1コマ目はここまで |
| 学習項目3 〜は…が―ます/です | 55分 | 町の絵・人の絵で特徴を言って見せる。板書は「[話題]は [部分]が ―です」の枠。最後に「〜がわかります」を足して、「が」をとる動詞があることを見せる。2コマ目の最初の5分で、1コマ目の「が好きです」「どちらが」を絵カードで2〜3問ずつ言わせてから入る |
| まとめの活動 | 35分 | 「わたしの国・わたしの町」を3〜4文で紹介する活動。好きなもの(項目1)・日本と比べて(項目2)・町の特徴(項目3)を一つずつ入れ、ペアで聞き合ってから何人かに発表させる |
「好き」「嫌い」はな形容詞で、好きなもの・嫌いなものには「が」をつけます。英語の like のような動詞ではないので「を」は使いません。強さは「とても好きです」「好きです」「あまり好きじゃありません」「嫌いです」の順で、「嫌いです」ははっきりした言い方です。後半の「から」は理由を表し、「〜が好きですから」のあとに、そのためにすること(予定・習慣・選んだこと)を続けます。第3課の「〜から…まで」の「から」は時間の始まりで、名詞のすぐあとにつきますが、理由の「から」は「です」「ます」の文のあとにつきます。
好き・嫌いなもの(名詞)+が+好きです/嫌いです。理由は「〜です/〜ます」の文+から、+その結果の文
代入練習では、絵カードと○×のマークを見せて「〜が好きです/あまり好きじゃありません」を言わせ、次に予定のカード(場所・乗り物・食べ物)を足して「〜が好きですから、〜ます」の一文にさせる。場面のやり取りでは、ペアで好きなものを3つ聞き合い、そのうち一つについて「どうしてですか」の代わりに教師が予定のカードを渡して「〜が好きですから、〜へ行きます」と言わせる。
二つのものを比べて、どちらの程度が上かを聞く言い方です。第6課の「AはBより―です」は比べた結果を言う文で、この課はそれを聞く側の文です。答えは「Aのほうが―です」で、「より」を足して「AのほうがBより―です」とも言えます。同じぐらいのときは「どちらも―です」と答えます。「―」には形容詞が入り、項目1の「好き」も入る(「どちらが好きですか」)ので、好みを比べて聞くこともできます。「どちら」は二つから選ぶときの言葉で、くだけた会話では「どっち」になります。
名詞A+と+名詞B+と+どちらが+形容詞(好き なども)+ですか。答えは「A+のほうが+形容詞+です」
代入練習では、二枚の絵カードと形容詞カード(大きい・高い・安い・寒い・好き)を並べて質問文を作らせ、別の学生に「〜のほうが〜です」で答えさせる。慣れたら答えに「より」を足させる。場面のやり取りでは、「自分の国と日本」を比べる質問を3つずつ作ってペアで聞き合い、聞いた答えをクラスに報告させる。
まず「は」で話題(町・店・人など)を出し、そのどの部分について言うのかを「が」で示して、最後に形容詞や動詞でその特徴を言う形です。「この町は冬が長いです」は、冬の長さについて「この町」の特徴を言っています。人なら「田中さんは背が高いです」、店なら「この店はラーメンがおいしいです」のように使い、話題全体の特徴を部分で説明するのがこの形のはたらきです。「ます」の文では、「わかります」のように「を」ではなく「が」をとる動詞が入り、「わたしは日本語が少しわかります」となります。
話題の名詞+は+部分・中身の名詞+が+形容詞+です/(わかります などの)動詞+ます
代入練習では、話題のカード(町・店・人・動物)、部分のカード、形容詞のカードを一枚ずつ出して「〜は〜が〜です」を言わせ、途中で「何語」「わかります」のカードを混ぜる。場面のやり取りでは、ペアで「〜さんの町は何が有名ですか」「〜は何がおいしいですか」と聞き合い、聞いた内容を「〜さんの町は〜が〜です」と第三者として報告させる。
この課の新出語は、好き嫌いの対象になる語(食べ物・飲み物・スポーツ・音楽・季節・動物)と、特徴を言うための体の部分や町の部分の語、それに「好き・嫌い・上手」「わかります」のように「が」をとる語の三つのかたまりに分かれます。単語だけで覚えさせず、「魚が好きです」「背が高いです」「英語がわかります」のように「が」つきの形で絵カードと一緒に入れると、助詞の取り違えが減ります。比べる語(速い・安い・大きいなど)は第6課の形容詞の復習を兼ねて、二つの絵を並べて出します。
宿題は「わたしの国とわたしの町」を4文で書くこと(好きなもの1文を「〜が好きですから、…」で、日本と比べる1文を「〜のほうが〜です」で、町の特徴2文を「〜は〜が〜です」で)。次のコマの最初に、宿題の文を使って教師が「〜さんの町は何が多いですか」「〜と日本とどちらが寒いですか」と聞いて復習し、クラスで好きなものの多い順を一言確かめてから、第8課の「〜います/〜あります」(どこに何があるか)に入ります。
第7課で「肉を好きです」の取り違えを防ぐにはどうすればいいですか?
第5課の「〜を…ます」の直後なので、取り違えはほぼ必ず出ると考えて準備します。「好き」をな形容詞の列(にぎやか・きれい)に並べて動詞ではないと見せ、「が」だけ赤で板書して、課の最後までその枠を消さずに残します。学習項目3の「わかります」も同じ「が」の列に加えると、「が」をとる語のまとまりとして覚えやすくなります。
「泳ぐことが好きです」のような言い方はこの課で教えますか?
この本で辞書形が出るのは第15課なので、この課では扱いません。動作の好き嫌いは「水泳が好きです」「テニスが好きです」「料理が好きです」のように名詞で言わせます。学生から動詞を使った形が出たら、言いたいことを名詞に置き換えて言い直させ、動詞で言う形はあとの課で習うと伝えておきます。
「〜と…とどちらが―ですか」の答えはどこまで教えますか?
「Aのほうが―です」「AのほうがBより―です」「どちらも―です」の三つまでです。三つ以上から選ぶ言い方はこの課では扱わないので、カードはいつも二枚にします。二つ目の「と」を落とした「AとBどちらが」は話し言葉でよく使われるので、直さずに板書の形で言い直して見せる程度にします。
「象は鼻が長いです」の形は学習者にどう説明しますか?
文法用語は使わず、「は」で話題を出し、「が」でその中のどこについて言うかを示す、と絵で見せます。象の絵の全体を指して「象は」、鼻を指して「鼻が」と言い、最後に「長いです」と続けます。「田中さんは高いです」だけでは何が高いのか分からないことを先に聞いてから、部分の名詞を入れる必要に気づかせると納得しやすくなります。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は前の課の復習から学習項目1「〜が好きです/〜が好きですから」と学習項目2「どちらが」まで、2コマ目は学習項目3「〜は…が―です」と、三つを使う「わたしの国・わたしの町」の紹介活動です。理由の「から」に時間がかかるクラスでは、学習項目2を2コマ目の頭に回してかまいません。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。