日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 初級Ⅰ 第10課「ご飯を食べています」の教案

『学ぼう!にほんご 初級Ⅰ』

第5課の「〜を…ます」と第8課の「います」までを受けて、動詞に「ています」がつく形を三つの使い方で学ぶ課です。いま動作が進んでいること・住む/働くのように続いている状態・服やめがねを身につけている状態を、教師の動作と絵で一つずつ見せていきます。この本ではテ形の作り方が第11課なので、この課では「食べます→食べています」「読みます→読んでいます」のようにます形と組にして形を丸ごと覚えさせ、作り方の規則は説明しません。使う動詞を15語ほどにしぼっておくと、第11課でその組を材料にテ形の作り方をまとめるとき、学習者が自分で分かれ方に気づけます。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目3時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • いま何をしているかを聞かれて「〜ています」で答え、していないときは「〜ていません」と言える
  • どこに住んでいるか・どこで働いているか・結婚しているかを言い、相手にも聞ける
  • 服・くつ・ぼうし・めがねなどを身につけている様子を言い、人を見分けるときに使える
  • いつもすることの「〜ます」と、いまの様子の「〜ています」を言い分けられる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)15分第5課の「〜で…を―ます」で教師の毎日を2〜3文(毎日、図書館で本を読みます)言わせて復習し、その場で教師が本を開いて読むふりをしながら「今、本を読んでいます」と言って新しい形を耳に入れる。この課で使う動詞は、表にます形・裏に「ています」の形を書いたカードで先に見せ、形は組で丸ごと覚えるものだと伝える
学習項目1 〜ています(1)45分教師の動作と人の絵カードで、いま進んでいる動作を見せる。「今、何をしていますか」に答え、否定の「〜ていません」まで。黒板には「毎日 〜ます」と「今 〜ています」の2列を並べて書く
学習項目2 〜ています(2)30分教師の自己紹介(住んでいる所・働いている所・家族)で、ずっと続いている状態を見せる。「〜に住んでいます」と「〜で働いています」の助詞の違いを赤で板書する。1コマ目はここまで。インタビュー表の残りは宿題に回してよい
学習項目3 〜ています(3)50分教師の服装と実物のぼうし・めがねで、身につけている状態を見せる。人の形を描いて、体の場所ごとに動詞が変わる(着ます・はきます・かぶります・かけます・します)ことを板書する。2コマ目の頭に、ます形と「ています」のカードを表だけ見せて言わせる確認を5分入れる
まとめの活動40分人がたくさんいる公園や駅の絵(自作)を見て、三つの使い方を混ぜて「だれが何をしているか・どんな服を着ているか」を言い合う。最後は絵の中の人を一人選び、様子だけを言ってほかの人に当てさせるクイズにする

学習項目 1 〜ています(1)

意味・はたらき学習項目 1

動詞に「ています」をつけて、話しているいま、動作が進んでいることを表します。この教案では(1)を動作の進行(いまテレビを見ている・いま雨が降っている)として扱います。「毎日図書館で本を読みます」はいつもすること、「今、図書館で本を読んでいます」は話しているときに続いている動作で、時の言葉「今」と組にすると違いが見えます。聞くときは「今、何をしていますか」、していないときは「〜ていません」です。

接続

ます形と組で覚えた「〜ています」の形(食べます→食べています、読みます→読んでいます、書きます→書いています)。作り方の規則は第11課で扱う

形
〜ています(食べています・読んでいます・書いています・待っています)今、何をしていますか〜ていません雨が降っています

導入

  • ます形と組にしたカードで形を入れるカードの表に「食べます」、裏に「食べています」と書いたものを10枚ほど用意する(食べます・飲みます・読みます・書きます・見ます・待ちます・話します・勉強します・寝ます・降ります など)。教師が表を見せて「食べます」、裏返して「食べています」と言い、全員でくり返す。「て」「んで」「いて」などの違いは説明せず、組ごとに声に出す回数で覚えさせる。黒板には「毎日 〜ます/今 〜ています」の2列の枠を書いておく。
  • 教師が動作をしながら言う教師が水を飲むふり、本を読むふり、黒板に字を書くふりをしながら、動作を止めずに「今、水を飲んでいます」と言う。途中で「先生は今、何をしていますか」と学生に聞いて答えさせ、動作をやめてから「今、飲んでいますか」と聞いて「いいえ、飲んでいません」を引き出す。次に人の絵カード(パンを食べている・テレビを見ている・寝ている)に替えて、「〜さんは今、〜ています」と第三者のことを言わせる。

板書案

毎日 〜ます | 今 〜ています
〔青〕読みます(カードの表) → 〔赤〕読んでいます(カードの裏)
今、何を していますか。
わたしは 今、図書館で 本を 読んでいます。
いいえ、〔赤〕〜ていません(〜ません=ふだん/これから しない)

場面と発話(自作)

  • 夜、友達から電話がかかってきて、いま何をしているかを聞かれた。もしもし。今、何をしていますか。——うちでテレビを見ています。
  • 休み時間に、教室にいない学生のことを先生に聞かれて、同じクラスの学生が答える。田中さんは今、図書館で勉強しています。
  • 朝、出かける前に、窓のそばにいる寮の友達に外の様子を聞く。今、雨が降っていますか。——いいえ、降っていません。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、人の絵カードを1枚ずつ見せて「〜さんは今、〜ています」と言わせ、慣れたらカードの表(ます形)だけを見せて「ています」の形を言わせる。場面のやり取りでは、ペアの一人が動作をして見せ、もう一人が「今、何をしていますか」と聞いて、動作をしている人が「〜ています」と答える。

  1. 口頭教師の動作(水を飲む・本を読む・黒板に字を書く)、人の絵カード(パンを食べている・テレビを見ている・音楽を聞いている・寝ている)、天気の絵(雨が降っている)をキューにする。まず教師がカードの表のます形を言い、全員で裏の「〜ています」の形を言う。次に絵だけを見せて「〜さんは今、〜ています」と全体で言わせ、一人ずつ当てて言わせる。最後に教師が動作をやめて「今、飲んでいますか」と聞き、「いいえ、飲んでいません」まで言わせる。
  2. ペア同じ家の絵を2枚用意し、Aの絵には1階の人だけ、Bの絵には2階の人だけが何をしているかを描いておく(情報差)。Aは「お父さんは今、何をしていますか」とBに聞き、Bは自分の絵を見て「新聞を読んでいます」と答える。聞いたことは自分の絵に書き込む。4人分聞いたら役を替え、最後に2枚を並べて答え合わせをする。
  3. 産出活動名「国の家族の今」。黒板に日本の今の時刻を書き、学習者が自分の国の時刻を言ってから、家族が今何をしていると思うかを3文で言う(今、国は夜の9時です。母はテレビを見ています。弟は寝ています)。続けて「ジェスチャー当て」として、一人が声を出さずに動作をし、ほかの学生が「〜ていますか」と聞いて当てる。教師が見るのは、カードで覚えた形のとおりに言えているか(飲みています、になっていないか)、していないときに「〜ていません」が出るか、「今」と「〜ます」がまざっていないか。

つまずきと手当て

  • 知っているます形から作ろうとして「*飲みています」「*書きています」と言う。この課では規則は説明せず、カードの裏を見せて言い直させるだけにする。なぜ「飲んで」「書いて」になるのかは第11課でまとめると予告しておく
  • 「*食べいます」「*見います」のように「て」を落とす。「て・い・ま・す」と手をたたいて4拍を数えさせると落ちにくい。教師の話し言葉の「食べてます」(「い」が落ちる形)は誤りではないが、この課では「い」のある形で練習する
  • いまの様子を聞かれて「今、テレビを見ます」と答える。これだと「これから見る」の意味になるので、2列の枠に戻って「今」の列は「ています」だと確かめる
  • いま勉強していないことを「いいえ、勉強しません」と言う。「しません」はふだんしない・これからしないの意味になるので、いま続いていないときは「勉強していません」と枠で見せる

既習の文型との違い

  • 〜を…ます(第5課)「毎日、新聞を読みます」はいつもすることか、これからすることで、話しているときにしているかどうかは言っていません。「今、新聞を読んでいます」は話しているときに続いている動作です。いまの様子を聞かれて「今、テレビを見ます」と答えると「これから見る」の意味になるので、2列の板書で「毎日」と「今」を指し分けます。
  • 〜ました(第3課)「本を読みました」は読み終わったこと、「本を読んでいます」はまだ読み終わっていなくて続いていることです。教師が本を読むふりをしている途中は「読んでいます」、本を閉じたあとは「読みました」と言い分けて見せると、終わったか続いているかの違いが目で分かります。
関連する文型

学習項目 2 〜ています(2)

意味・はたらき学習項目 2

一度始まったことが、そのあともずっと続いている状態を「ています」で表します。この教案では(2)を続いている状態として、住む・働く・結婚する・持つの4つの動詞で扱います。「駅の近くのアパートに住んでいます」は、いま住んでいて、しばらく続く状態です。「結婚しています」は結婚したあとの状態なので、「結婚していますか」と聞かれて、していない人は「いいえ、結婚していません」と答えます。

接続

〈場所〉に住んでいます/〈場所〉で働いています/結婚しています/〈物〉を持っています(形はます形と組で覚える)

形
〈場所〉に住んでいます〈場所〉で働いています結婚しています/結婚していません〈物〉を持っています

導入

  • 教師の自己紹介で状態を見せる黒板に日本の地図と町の絵を貼り、教師が自分の住む町を指して「わたしは〜に住んでいます」、学校の絵を指して「〜で働いています」と言う。住むことは(1)のように動作で見せられないので、「5年前から」「去年から」のような長さを添え、黒板に長い矢印の線を引いて「ずっと」続いていることを見せる。第8課の「来月、大阪に2週間います」と並べると、「に」が同じだと気づかせやすい。
  • 家族の絵で「結婚しています」「持っています」結婚式の絵(「結婚しました」=一回のできごと)と、そのあと二人で暮らしている絵(「結婚しています」=続いている状態)を並べて貼り、教師が自分の家族のこととして「姉は結婚しています。子どもが2人います」「兄は結婚していません」と言う。続けて学生に「〜さんは自転車を持っていますか」「どこに住んでいますか」と聞いて、自分のことで答えさせる。

板書案

〈場所〉〔赤〕に 住んでいます / 〈場所〉〔赤〕で 働いています
わたしは 駅の 近くに 住んでいます。 5年前 ━━━━━━━→ 今(ずっと)
姉は 銀行で 働いています。
結婚しています ⇔ 結婚していません(結婚しませんでした=過去の話)
〈物〉を 持っています

場面と発話(自作)

  • アルバイトの面接で、店の人に家から店までの近さを聞かれた留学生が答える。どこに住んでいますか。——駅の近くに住んでいます。
  • 日本語学校で、新しいクラスメートに家族のことを話す。姉は東京の銀行で働いています。まだ結婚していません。
  • 週末に重い荷物を運びたい留学生が、友達に車があるかどうかを聞く。山田さんは車を持っていますか。——いいえ、持っていません。自転車は持っています。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、地図の町の名前・会社や店の絵・物の絵を見せて「〜に住んでいます」「〜で働いています」「〜を持っています」と言わせ、助詞を取り違えないように町の絵と店の絵を交互に出す。場面のやり取りでは、「どこに住んでいますか」「どこで働いていますか(勉強していますか)」「〜を持っていますか」を聞き合うインタビュー表をペアで埋め、聞いたことを「〜さんは〜に住んでいます」とクラスに報告させる。

  1. 口頭住んでいる所のカード(駅の近く・学校の近く・川のそば)、店や会社の絵(銀行・病院・レストラン・デパート)、物の絵(車・自転車・パソコン)、結婚式のあとの二人の絵をキューにする。教師が「駅の近く」と言えば全員で「駅の近くに住んでいます」、「銀行」と言えば「銀行で働いています」と言わせ、住む所と店を交互に出して「に」と「で」を取り違えないかを見る。慣れたら一人ずつ「〜さんはどこに住んでいますか」と聞き、自分のことで答えさせる。
  2. ペア人物カード(名前・住んでいる町・働いている所・結婚しているか・持っている物を書いたもの)を使った情報差。Aは人物カードを持ち、Bは空いた表を持つ。Bが「佐藤さんはどこに住んでいますか」「車を持っていますか」と聞いて表を埋める。1枚終わったら役を替え、別の人物カードで同じことをする。
  3. 産出活動名「となりの人の紹介」。ペアで「どこに住んでいますか」「どこで働いていますか(勉強していますか)」「〜を持っていますか」を聞き合い、聞いたことをもとに相手のことを3文でクラスに紹介する(鈴木さんは駅の近くに住んでいます。スーパーで働いています。自転車を持っています)。結婚のことは聞かれたくない人もいるので、自分の代わりに人物カードの人で答えてよいことにする。教師が見るのは「に住んでいます」「で働いています」の助詞と、いまの状態を「〜ていません」で答えられるか。

つまずきと手当て

  • 「*大阪で住んでいます」と言う。「働いています」の「で」や第5課の「〜で…を―ます」に引かれやすいので、「住んでいます」は第8課の「〜に…います」と同じ「に」、「働いています」は動作をする所の「で」と、2つを並べて板書する
  • 今の住所を「今、大阪に住みます」と言う。これだと「これから住む」に聞こえるので、矢印の線の板書に戻って「ずっと続いていること」は「ています」だと確かめる
  • 結婚しているかと聞かれて「いいえ、結婚しませんでした」と答える。過去に結婚しなかったという話になってしまうので、結婚式の絵と暮らしの絵に戻り、いまの状態は「結婚していません」で答えると見せる

既習の文型との違い

  • 〜に…います/…あります/…かかります(第8課)「来月、大阪に2週間います」はその場所にいること、「駅の近くに住んでいます」はそこに家があって暮らしていることです。助詞はどちらも「に」なので、第8課の板書を横に置くと「住んでいます」の「に」は覚えやすくなります。「どこに住んでいますか」に「東京にいます」と答える学習者には、いまいる所の話に聞こえると伝え、「住んでいます」で答え直させます。
  • 〜で…を―ます(第5課)「スーパーで買い物をします」の「で」は動作をする所で、「銀行で働いています」も同じ「で」です。「住んでいます」は動作をする所ではなく暮らしている所なので「に」になり、「*大阪で住んでいます」はこの2つが混ざった誤りです。「働く=動作の所=で」「住む=いる所=に」と並べて板書します。
関連する文型

学習項目 3 〜ています(3)

意味・はたらき学習項目 3

服・くつ・ぼうし・めがねなどを身につけたあと、それがいまも体にある状態を「ています」で表します。この教案では(3)を身につけている状態として扱います。日本語では体のどこにつけるかで動詞が変わり、上の服は「着ます」、ズボン・スカート・くつは「はきます」、ぼうしは「かぶります」、めがねは「かけます」、ネクタイや時計は「します」です。「毎朝スーツを着ます」は身につける動作、「きょうは黒いスーツを着ています」はつけたあとの様子です。

接続

〈身につける物〉を+着ています/はいています/かぶっています/かけています/しています(形はます形と組で覚える)

形
シャツ・セーターを着ていますズボン・くつをはいていますぼうしをかぶっています/丸いめがねをかけていますネクタイ・時計をしています

導入

  • 教師の服装と実物で見せる教師が自分のセーター・くつ・時計を指さしながら「わたしは青いセーターを着ています」「黒いくつをはいています」と言う。続けて実物のぼうしとめがねを教室で身につけて見せ、つけている途中は「かぶります」、つけ終わって手を離したら「かぶっています」と言い分ける。板書は人の形を描き、頭・目・上の服・下の服・足・手首に線を引いて、それぞれの動詞を書く。
  • クラスの人を言い当てる教師が学生を一人心の中で決めて、その人の服装だけを「白いシャツを着ています。丸いめがねをかけています」と言い、ほかの学生にだれかを当てさせる。何回かやったら出題役を学生に替わらせる。色の形容詞(赤い・黒い・白い・青い)は第6課の「形容詞+名詞」の形で一緒に使う。

板書案

(人の形を描き、体の場所から線を引く)
〔頭〕ぼうしを かぶっています 〔目〕黒い めがねを かけています
〔上〕シャツを 着ています 〔下・足〕ズボン・くつを はいています
〔手首・首〕時計・ネクタイを しています
〔赤〕を(× が)  色:赤い ぼうしを かぶっています。

場面と発話(自作)

  • デパートで子どもとはぐれた親が、案内所の人に子どもの様子を伝える。子どもは5歳です。赤いシャツを着ています。黄色いぼうしをかぶっています。
  • 駅で初めて会う人と待ち合わせをしていて、電話で自分のいる所と服装を伝える。わたしは駅の入口にいます。黒いコートを着ています。
  • 新しく来た先生の名前を知りたい学生が、友達に聞く。あの先生の名前は何ですか。——どの先生ですか。——黒いめがねをかけています。青いネクタイをしています。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、服やくつの絵カードを見せて動詞を選ばせ(ぼうしの絵→「かぶっています」)、慣れたら色のカードを足して「赤いぼうしをかぶっています」まで言わせる。場面のやり取りでは、人がたくさん描いてある絵をペアで1枚ずつ持ち、一人が絵の中の人の服装を言って、もう一人がだれかを指さす。

  1. 口頭服とくつの絵カード、実物のぼうし・めがね・ネクタイ、教師が指さす体の場所(頭・目・足・手首)をキューにする。教師が絵を見せたら全員で動詞を言い(ぼうしの絵→「かぶっています」)、次に色のカードを重ねて「赤いぼうしをかぶっています」と言わせる。最後に教師が学生一人を指して「〜さんは何を着ていますか」と聞き、一人ずつ答えさせる。
  2. ペア人が6人いる絵を2枚用意し、Aの絵にだけ名前を書いておく(情報差)。Bが「佐藤さんは何を着ていますか」と聞き、Aは絵を見て「白いシャツを着ています。サングラスをかけています」と答え、Bはその人に名前を書く。3人終わったら役を替える。服装の言い方に色と動詞の両方が入るように、答えは2文以上と決めておく。
  3. 産出活動名「待ち合わせの電話ロールプレイ」。初めて会う人と駅で待ち合わせる場面で、一人が電話で自分のいる所と、いま自分が身につけている物を言う(わたしは駅の入口にいます。黒いコートを着ています。白いくつをはいています)。もう一人は教室の中からその人を見つける。教師が見るのは、体の場所ごとの動詞の選び方、身につける物に「を」がついているか、いまの服装を「〜ます」で言っていないか。

つまずきと手当て

  • どの物にも「着ています」を使って「くつを着ています」「めがねを着ています」と言う。母語で一つの動詞ですませる学習者に多い。人の形の板書に戻り、体の場所と動詞を指でなぞりながら言い直させる
  • 「*めがねがかけています」「*ぼうしがかぶっています」と、身につける物に「が」をつける。第8課の「〜が…います」に引かれやすいので、身につける物は第5課の「〜を…ます」と同じ「を」だと枠で見せる
  • いまの服装を言うのに「きょうは青いセーターを着ます」と言う。これだと「これから着る」の意味になるので、実物のぼうしで、つける動作(〜ます)とつけたあとの様子(〜ています)をもう一度見せる

既習の文型との違い

  • 〜を…ます(第5課)「毎朝スーツを着ます」は身につける動作、「きょうは黒いスーツを着ています」は身につけたあと、いまも体にある様子です。同じ「を」を使うので、違いは「ます」か「ています」かだけです。実物のぼうしをかぶる途中と、かぶり終わって手を離したあとを見せて言い分けさせます。
  • 形容表現(2)(第6課)この課では「赤いぼうし」「きれいなセーター」のように、形容詞を名詞の前につけて服装を言います。学習者は「*赤いのぼうし」「*きれいセーター」と言いやすいので、イ形容詞はそのまま、ナ形容詞は「な」をつける第6課の形を、色と服のカードでもう一度確かめます。
  • 〜ています(1)(この課)「今、コートを着ています」は、着ている途中(進行)とも、着たあとの様子(状態)とも読めます。この項目では着たあとの様子として使うことを主にし、着る途中は教師の動作で見せるだけにします。学習者が迷ったら「いま服が体にありますか」と聞いて、状態の意味に戻します。
関連する文型

語彙の扱い

この課で使う動詞は、ます形と「ています」の形を一組にしたカードで覚えさせ、数は15語ほどにしぼります(進行に使う動作の動詞、住む・働く・結婚する・持つ、身につける5つの動詞)。服・くつ・ぼうし・めがね・ネクタイ・時計などの物の名前は、教師の服装や実物と一緒に出し、色の形容詞と組にして「赤いぼうし」の形で練習します。カードの組は第11課のテ形の導入でそのまま使うので、授業のあとも捨てずに取っておきます。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 住みます(すみます) ある所に家があって、そこで毎日の生活をします。 アパートに〜・寮に〜・駅の近くに〜
    新しいクラスで、自分のことを話す。
    「わたしは学校の近くの寮に住んでいます。」
  • 働きます(はたらきます) 会社や店などで仕事をします。 銀行で〜・レストランで〜・病院で〜
    クラスメートに家族のことを話す。
    「父は病院で働いています。母は家にいます。」
  • 結婚します(けっこんします) 二人が夫と妻になります。 友達と〜・去年〜
    友達の家族の写真を見ながら聞く。
    「お姉さんは結婚していますか。——はい、結婚しています。子どもが1人います。」
  • 持ちます(もちます) 物が自分のものとしてあります。手に物を取ることにも使います。 車を〜・パソコンを〜・かさを〜
    外は雨。いっしょに帰る友達に聞く。
    「かさを持っていますか。——いいえ、持っていません。」
  • 着ます(きます) シャツ・セーター・コートなどを体につけます。 シャツを〜・セーターを〜・コートを〜
    寒い朝、窓から外を見る。
    「外の人はみんなコートを着ています。きょうは寒いです。」
  • はきます(はきます) ズボン・スカート・くつなどを、腰から下や足につけます。 くつを〜・ズボンを〜・スカートを〜
    駅で初めて会う人に、電話で自分の服装を言う。
    「わたしは白いくつをはいています。」
  • かぶります(かぶります) ぼうしなどを頭の上につけます。 ぼうしを〜・赤いぼうしを〜
    公園で、友達といっしょに弟をさがしている。
    「弟は青いぼうしをかぶっています。」
  • かけます(かけます) めがねを目の前につけます。ほかの物にも使う動詞ですが、この課ではめがねで使います。 めがねを〜・サングラスを〜
    新しい先生がどの人か、友達に教える。
    「田中先生はあの人です。いつも大きいめがねをかけています。」
  • します(ネクタイ・時計)(します) ネクタイや時計などを首や手首につけるときにも「します」を使います。 ネクタイを〜・時計を〜
    写真の中の父のことを話す。
    「父は赤いネクタイをしています。」
  • 降ります(ふります) 雨や雪が空から落ちてきます。 雨が〜・雪が〜
    朝、出かける前に窓の外を見る。
    「今、雪が降っています。外は寒いです。」
  • 待ちます(まちます) 人やバスが来るまで、その所にいます。 友達を〜・バスを〜・駅で〜
    友達から電話があって、いまどこにいるかを聞かれた。
    「今、駅の前で友達を待っています。」
  • 寝ます(ねます) 夜などに、目を閉じて体を休めます。 10時に〜・ベッドで〜
    夜、国の家に電話をしたら、母が出た。
    「弟は今、寝ています。」

宿題と次のコマ

宿題は、家族の写真を1枚選び、写真の人について「どこに住んでいるか・どこで働いているか(勉強しているか)・写真で何を着ているか」を入れた紹介を3〜4文書くことと、ます形と「ています」の組をカードを見ずに言えるようにすること。次のコマの最初に、カードの表だけを見せて「ています」の形を言わせて確かめ、その組を黒板に残したまま第11課の「〜て、…て、―ます」に入ると、学習者が「て・んで・いて」の分かれ方に自分で気づくきっかけになります。

よくある質問

  • 第10課の「〜ています(1)(2)(3)」はどの順で教えればいいですか?

    この教案では、目で見せられる動作の進行(1)から始め、住む・働く・結婚するのような続いている状態(2)、服などを身につけている状態(3)の順にしています。(1)は教師の動作で見せられるので形を入れやすく、(2)は見えないので矢印の線と自己紹介で、(3)は実物と教師の服装で見せます。最後のまとめの活動で三つを混ぜて使わせます。

  • テ形をまだ習っていないのに、「〜ています」はどう教えればいいですか?

    この本ではテ形の作り方が第11課なので、この課では「食べます→食べています」のように、ます形と組にしたカードで形を丸ごと覚えさせます。「て」「んで」「いて」の分かれ方は説明しません。使う動詞を15語ほどにしぼり、そのカードを第11課の導入で材料にすると、学習者が分かれ方に自分で気づけます。

  • 「住んでいます」は「に」で、「働いています」は「で」なのはなぜですか?

    「働く」は動作をする所なので、第5課の「スーパーで買い物をします」と同じ「で」です。「住む」は動作をする所ではなく、いる所・暮らしている所なので、第8課の「大阪に2週間います」と同じ「に」になります。板書で2つの文を上下に並べて助詞だけを赤で示しておくと、学習者が「大阪で住んでいます」と言ったときにすぐ戻れます。

  • 「結婚しています」「住んでいます」の「ています」は、文法の用語では何と言いますか?

    「結婚する」は一度で変化が終わる動詞(瞬間動詞)で、「結婚しています」は変化のあとの結果が続いている状態(結果の状態)です。「住んでいます」は続いている状態、「〜で働いています」は毎日くり返していること(習慣)とも見られます。学習者にはこうした用語は出さず、「続いている状態」としてまとめて扱えば十分です。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は導入と「〜ています(1)」、「〜ています(2)」のインタビューまで、2コマ目はカードの確認のあと「〜ています(3)」とまとめの活動です。身につける動詞の言い分けに時間がかかるクラスでは、まとめのクイズを短くして、着る・はく・かぶる・かける・するの練習に回します。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。