第5課の「〜を…ます」と第8課の「います」までを受けて、動詞に「ています」がつく形を三つの使い方で学ぶ課です。いま動作が進んでいること・住む/働くのように続いている状態・服やめがねを身につけている状態を、教師の動作と絵で一つずつ見せていきます。この本ではテ形の作り方が第11課なので、この課では「食べます→食べています」「読みます→読んでいます」のようにます形と組にして形を丸ごと覚えさせ、作り方の規則は説明しません。使う動詞を15語ほどにしぼっておくと、第11課でその組を材料にテ形の作り方をまとめるとき、学習者が自分で分かれ方に気づけます。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(前の課とのつなぎ) | 15分 | 第5課の「〜で…を―ます」で教師の毎日を2〜3文(毎日、図書館で本を読みます)言わせて復習し、その場で教師が本を開いて読むふりをしながら「今、本を読んでいます」と言って新しい形を耳に入れる。この課で使う動詞は、表にます形・裏に「ています」の形を書いたカードで先に見せ、形は組で丸ごと覚えるものだと伝える |
| 学習項目1 〜ています(1) | 45分 | 教師の動作と人の絵カードで、いま進んでいる動作を見せる。「今、何をしていますか」に答え、否定の「〜ていません」まで。黒板には「毎日 〜ます」と「今 〜ています」の2列を並べて書く |
| 学習項目2 〜ています(2) | 30分 | 教師の自己紹介(住んでいる所・働いている所・家族)で、ずっと続いている状態を見せる。「〜に住んでいます」と「〜で働いています」の助詞の違いを赤で板書する。1コマ目はここまで。インタビュー表の残りは宿題に回してよい |
| 学習項目3 〜ています(3) | 50分 | 教師の服装と実物のぼうし・めがねで、身につけている状態を見せる。人の形を描いて、体の場所ごとに動詞が変わる(着ます・はきます・かぶります・かけます・します)ことを板書する。2コマ目の頭に、ます形と「ています」のカードを表だけ見せて言わせる確認を5分入れる |
| まとめの活動 | 40分 | 人がたくさんいる公園や駅の絵(自作)を見て、三つの使い方を混ぜて「だれが何をしているか・どんな服を着ているか」を言い合う。最後は絵の中の人を一人選び、様子だけを言ってほかの人に当てさせるクイズにする |
動詞に「ています」をつけて、話しているいま、動作が進んでいることを表します。この教案では(1)を動作の進行(いまテレビを見ている・いま雨が降っている)として扱います。「毎日図書館で本を読みます」はいつもすること、「今、図書館で本を読んでいます」は話しているときに続いている動作で、時の言葉「今」と組にすると違いが見えます。聞くときは「今、何をしていますか」、していないときは「〜ていません」です。
ます形と組で覚えた「〜ています」の形(食べます→食べています、読みます→読んでいます、書きます→書いています)。作り方の規則は第11課で扱う
口頭の代入練習では、人の絵カードを1枚ずつ見せて「〜さんは今、〜ています」と言わせ、慣れたらカードの表(ます形)だけを見せて「ています」の形を言わせる。場面のやり取りでは、ペアの一人が動作をして見せ、もう一人が「今、何をしていますか」と聞いて、動作をしている人が「〜ています」と答える。
一度始まったことが、そのあともずっと続いている状態を「ています」で表します。この教案では(2)を続いている状態として、住む・働く・結婚する・持つの4つの動詞で扱います。「駅の近くのアパートに住んでいます」は、いま住んでいて、しばらく続く状態です。「結婚しています」は結婚したあとの状態なので、「結婚していますか」と聞かれて、していない人は「いいえ、結婚していません」と答えます。
〈場所〉に住んでいます/〈場所〉で働いています/結婚しています/〈物〉を持っています(形はます形と組で覚える)
口頭の代入練習では、地図の町の名前・会社や店の絵・物の絵を見せて「〜に住んでいます」「〜で働いています」「〜を持っています」と言わせ、助詞を取り違えないように町の絵と店の絵を交互に出す。場面のやり取りでは、「どこに住んでいますか」「どこで働いていますか(勉強していますか)」「〜を持っていますか」を聞き合うインタビュー表をペアで埋め、聞いたことを「〜さんは〜に住んでいます」とクラスに報告させる。
服・くつ・ぼうし・めがねなどを身につけたあと、それがいまも体にある状態を「ています」で表します。この教案では(3)を身につけている状態として扱います。日本語では体のどこにつけるかで動詞が変わり、上の服は「着ます」、ズボン・スカート・くつは「はきます」、ぼうしは「かぶります」、めがねは「かけます」、ネクタイや時計は「します」です。「毎朝スーツを着ます」は身につける動作、「きょうは黒いスーツを着ています」はつけたあとの様子です。
〈身につける物〉を+着ています/はいています/かぶっています/かけています/しています(形はます形と組で覚える)
口頭の代入練習では、服やくつの絵カードを見せて動詞を選ばせ(ぼうしの絵→「かぶっています」)、慣れたら色のカードを足して「赤いぼうしをかぶっています」まで言わせる。場面のやり取りでは、人がたくさん描いてある絵をペアで1枚ずつ持ち、一人が絵の中の人の服装を言って、もう一人がだれかを指さす。
この課で使う動詞は、ます形と「ています」の形を一組にしたカードで覚えさせ、数は15語ほどにしぼります(進行に使う動作の動詞、住む・働く・結婚する・持つ、身につける5つの動詞)。服・くつ・ぼうし・めがね・ネクタイ・時計などの物の名前は、教師の服装や実物と一緒に出し、色の形容詞と組にして「赤いぼうし」の形で練習します。カードの組は第11課のテ形の導入でそのまま使うので、授業のあとも捨てずに取っておきます。
宿題は、家族の写真を1枚選び、写真の人について「どこに住んでいるか・どこで働いているか(勉強しているか)・写真で何を着ているか」を入れた紹介を3〜4文書くことと、ます形と「ています」の組をカードを見ずに言えるようにすること。次のコマの最初に、カードの表だけを見せて「ています」の形を言わせて確かめ、その組を黒板に残したまま第11課の「〜て、…て、―ます」に入ると、学習者が「て・んで・いて」の分かれ方に自分で気づくきっかけになります。
第10課の「〜ています(1)(2)(3)」はどの順で教えればいいですか?
この教案では、目で見せられる動作の進行(1)から始め、住む・働く・結婚するのような続いている状態(2)、服などを身につけている状態(3)の順にしています。(1)は教師の動作で見せられるので形を入れやすく、(2)は見えないので矢印の線と自己紹介で、(3)は実物と教師の服装で見せます。最後のまとめの活動で三つを混ぜて使わせます。
テ形をまだ習っていないのに、「〜ています」はどう教えればいいですか?
この本ではテ形の作り方が第11課なので、この課では「食べます→食べています」のように、ます形と組にしたカードで形を丸ごと覚えさせます。「て」「んで」「いて」の分かれ方は説明しません。使う動詞を15語ほどにしぼり、そのカードを第11課の導入で材料にすると、学習者が分かれ方に自分で気づけます。
「住んでいます」は「に」で、「働いています」は「で」なのはなぜですか?
「働く」は動作をする所なので、第5課の「スーパーで買い物をします」と同じ「で」です。「住む」は動作をする所ではなく、いる所・暮らしている所なので、第8課の「大阪に2週間います」と同じ「に」になります。板書で2つの文を上下に並べて助詞だけを赤で示しておくと、学習者が「大阪で住んでいます」と言ったときにすぐ戻れます。
「結婚しています」「住んでいます」の「ています」は、文法の用語では何と言いますか?
「結婚する」は一度で変化が終わる動詞(瞬間動詞)で、「結婚しています」は変化のあとの結果が続いている状態(結果の状態)です。「住んでいます」は続いている状態、「〜で働いています」は毎日くり返していること(習慣)とも見られます。学習者にはこうした用語は出さず、「続いている状態」としてまとめて扱えば十分です。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は導入と「〜ています(1)」、「〜ています(2)」のインタビューまで、2コマ目はカードの確認のあと「〜ています(3)」とまとめの活動です。身につける動詞の言い分けに時間がかかるクラスでは、まとめのクイズを短くして、着る・はく・かぶる・かける・するの練習に回します。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。