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学ぼう!にほんご 初級Ⅰ 第8課「あそこにワンさんがいます」の教案

『学ぼう!にほんご 初級Ⅰ』

第7課の「〜が好きです」「〜は…が―です」で「が」を使ったあとを受けて、ものや人がどこに・いくつ・どのぐらいあるか・いるかを言う課です。芯は三つで、①人と動物は「います」、ものと植物は「あります」の使い分け、②数(ひとつ・2人・3枚など)を助詞をつけずに動詞のすぐ前に置く形、③期間や時間(1年・1週間に3回・2時間)を同じ位置に置く形です。②と③は「数の言葉は動詞の前、助詞なし」という同じ骨組みなので、板書の「[場所]に [もの]が [数] あります」の枠を課の最初から最後まで残し、右から順に列を足していくと学習者の頭の中でもつながります。第2課の「ここ/そこ/あそこ」と第4課の日の読みがそのまま生きる課でもあり、教室の中の実物と学習者自身の家族・通学時間を材料にすれば、その日のうちに使える文になります。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目3時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 人と動物には「います」、ものと植物には「あります」を選び、「〜に〜があります/います」「〜は〜にあります/います」で、ものや人がどこにあるか・いるかを言ったり聞いたりできる
  • 上・下・中・前・後ろ・となりなどの位置の言葉を「Nの上に」の形で使い、部屋や駅のまわりの様子を説明できる
  • 人数やものの数を助数詞(〜人・〜つ・〜枚・〜台など)をつけて動詞の前に置き、家族や持ち物の数を言える
  • 日本にいる期間、1週間の授業の回数、仕事や移動にかかる時間を「どのぐらい」で聞き、答えられる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)10分第2課の「受付はあそこです」を教室の中で2〜3問聞き、場所を言えることを確かめる。そこから教師が「窓の近くに時計があります」と言い換えて、この課は「何がどこにあるか」を言う課だと予告する。位置の言葉(上・下・中・前・後ろ・となり・近く)はここで実物と箱を使って先に入れておく
学習項目1 〜います/〜あります45分実物を机の上・中・下に置いて「〜に〜があります」、教室の人を指して「〜に〜がいます」。人・動物とものの絵カードを2列に分けて動詞を選ばせ、最後に「かぎはどこにありますか」から「〜は〜にあります」の形へ
学習項目2 〜が…います/…あります35分実物を数えて「りんごが3つあります」、教室の人数、教師の家族の写真で「姉が1人、弟が2人います」。助数詞はこの課では つ・人・枚・台・本・冊 くらいに絞り、音が変わる数だけ赤で板書する(ここまでで1コマ目)
学習項目3 〜に…います/…あります/…かかります50分第3・4課の「時の言葉+に」と、この課の「期間+助詞なし」を2列に分けて板書。滞在の長さ(来月、大阪に2週間います)→ 回数(1週間に3回あります)→ かかる時間とお金(この仕事に3日かかります)の順に
まとめの活動40分部屋の絵を2種類(少しずつ違う)ペアに配り、「机の上に何がありますか」「本が何冊ありますか」で違いを5つ探す。そのあと「うちから学校までどのぐらいかかりますか」「日本にどのぐらいいますか」をクラスで聞き合い、表にまとめる

学習項目 1 〜います/〜あります

意味・はたらき学習項目 1

ものや人がある場所に存在することを言う文です。人と動物(自分で動く生き物)には「います」、ものと植物には「あります」を使い、場所には「に」をつけます。言い方は二つあり、「机の上に本があります」は〈その場所に何があるか〉を伝える文、「本は机の上にあります」は〈話題のものがどこにあるか〉を伝える文です。何があるかを聞くときは「何がありますか/だれがいますか」、どこにあるかを聞くときは「〜はどこにありますか/いますか」で、何もないときは「何もありません」「だれもいません」と答えます。文法の用語では、場所を先に言う「〜に〜があります」を存在文、話題のものの場所を言う「〜は〜にあります」を所在文と呼んで分けることがあり、「は」と「が」の使い分けを考える入口になります。

接続

〈場所〉に+〈もの〉が+あります/〈場所〉に+〈人・動物〉が+います(話題のものの場所を言うときは〈もの・人〉は+〈場所〉に+あります/います)

形
〈場所〉にNがあります/いますNは〈場所〉にあります/いますNの上/下/中/前/後ろ/となりに何がありますか/だれがいますか——何もありません/だれもいません

導入

  • 実物を置いて見せる教卓の上に本、箱の中にペン、机の下にかばんを置き、指さしながら「机の上に本があります」「箱の中にペンがあります」と言う。板書は「[場所]に [もの]が あります」の枠と、「机の上/中/下」の絵だけにする。実物を動かして位置を変え、学生に言わせる。次に学生を指して「ドアの近くに〜さんがいます」と言い、動詞が変わることを枠の下に「人→います」と赤で足す。
  • 「どこにありますか」で文の向きを変える教師がポケットを探すふりをして「わたしのかぎはどこにありますか」と聞き、学生に探させる。見つけた学生の答えを受けて「かぎはかばんの中にあります」と板書し、最初の文(〜に〜があります)と並べる。「何がありますか」と聞かれたら「〜に〜があります」、「〜はどこですか」と聞かれたら「〜は〜にあります」と、質問によって答え方が変わることを2枚の板書で見せる。

板書案

[場所]に [もの]が あります / [場所]に [人・動物]が います
机の 上に 本が あります。 ドアの 近くに 先生が います。
[もの・人]は [場所]に あります/います
かぎは かばんの 中に あります。
〔赤〕人・動物 → います 〔青〕もの・植物 → あります(2列に分けて残す)
〔緑〕上・下・中・前・後ろ・となり・近く を箱の絵のまわりに

場面と発話(自作)

  • 寮に入った日に、留学生が管理人に洗濯機の場所を聞く。すみません、洗濯機はどこにありますか。——1階にあります。
  • 会社で、課長を探している人に、同じ部署の社員が答える。課長は今、会議室にいます。
  • 初めて会う友達と駅の前で待ち合わせをする前に、電話で目印を言う。駅の前に大きい本屋があります。本屋のとなりに銀行があります。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、位置の絵カード(上・下・中・前・後ろ・となり)とものの絵カードを組み合わせて「〜の〜に〜があります」と言わせ、途中に人と動物のカードを混ぜて「います」を選ばせる。場面のやり取りでは、教室の絵を見せて「〜はどこにありますか」「〜に何がありますか」の両方の質問をペアで出し合わせる。

  1. 口頭教師が実物と絵カードでキューを出し、全体→列ごと→個人の順に言わせる。キューの例: 本を箱の中に入れて「箱・中・本」→「箱の中に本があります」/猫の絵を机の下に貼って「机・下・猫」→「机の下に猫がいます」/木の絵を窓の外に貼って「庭・木」→「庭に木があります」/教室の学生を指して「窓の近く・〜さん」→「窓の近くに〜さんがいます」。最後に教師が「本は?」と聞き、「本は箱の中にあります」と向きを変えた形でも答えさせる。
  2. ペア情報差のある2枚の部屋の絵を使う。Aの絵には家具とものが描いてあり、Bの絵には家具だけが描いてある。Bはものの名前のリストを見て「かばんはどこにありますか」と聞き、Aの答えを聞いて自分の絵に描き込む。終わったら2枚を並べて合っているか確かめ、役を替えて別の絵でもう一度。Bが「机の上に何がありますか」と聞く番も作り、二つの文の形を両方使わせる。
  3. 産出活動名「わたしの部屋紹介」。学習者が自分の部屋(寮・アパート)にあるものを4〜5文で話し、聞く人はそれを紙に描く。最後に話した人が絵を見て「はい、そうです」「いいえ、いすは窓の近くにあります」と直す。教師が見るのは、あります/いますの選び方、「で」と「に」、「机の上」の語順、「何が」と聞かれて「は」で答えていないか。

つまずきと手当て

  • 「*犬があります」「*木がいます」のように動詞を取り違える。人・動物の列とものの列を板書に残し、木や花は生きていても「あります」の列だと確かめる
  • 第5課の「〜で…を―ます」の「で」につられて「*教室で机があります」と言う。「で」は何かをする場所、「に」はある・いる場所と、動詞の種類で分けて枠の列を指さす
  • 英語などの on the desk の順につられて「上の机に本があります」と言う。これは「上にある机」の意味になってしまうので、「机の上」と、ものが先・位置の言葉があとだと実物で確かめる
  • 「机の上に何がありますか」と聞かれて「本はあります」と答える。誤りではないが「ほかの物はない」ように聞こえるので、「何が」と聞かれたら「が」で答える、と質問と答えの助詞をそろえて練習する

既習の文型との違い

  • ここ/そこ/あそこは〜です(第2課)第2課の「受付はあそこです」は場所を「です」で言う文で、この課の「受付はあそこにあります」と意味はほぼ同じです。違うのは、「入口のとなりに受付があります」のように場所を先に言って何があるかを伝える文は「です」では作れないことです。「*入口のとなりに受付です」と混ぜる学習者がいるので、場所に「に」がついたら動詞は「あります/います」と枠で見せます。
  • 〜で…を―ます(第5課)第5課の「スーパーで野菜を買います」の「で」は何かをする場所、この課の「に」はある・いる場所です。動詞が「あります/います」なら「に」と決めておくと迷いが減ります。「*公園で子どもがいます」のような誤りには、動詞の列を指さして直します。
関連する文型

学習項目 2 〜が…います/…あります

意味・はたらき学習項目 2

人やものの数を言う形です。数に助数詞(数えるものの種類によって変わる言葉)をつけ、助詞をつけずに動詞のすぐ前に置きます。人は「ひとり・ふたり・3人(さんにん)・4人(よにん)」、決まった数え方(助数詞)がないものは「ひとつ〜とお」、紙のように薄いものは「〜枚」、車や機械は「〜台」、ペンのように細長いものは「〜本」、本やノートは「〜冊」です。第7課の「〜は…が―です」の形を使って「田中さんは子どもが3人います」と言えば、家族や持ち物の数も言えます。数を聞くときは「何人/何枚/何台いますか・ありますか」、ひとつ・ふたつで数えるものは「いくつありますか」です。「3つ」「2人」のような数と助数詞の組み合わせは数量詞と呼ばれ、「りんごが3つあります」のように名詞から離れて動詞の前に置く形は数量詞遊離(遊離数量詞)として扱われます。

接続

Nが+数(助数詞つき)+います/あります(数のあとには助詞をつけない。持ち主を言うときは「わたしはNが〜」)

形
Nが 数+助数詞 あります/いますNは(家族など)が 数 います(田中さんは子どもが3人います)何人いますか/いくつありますか/何枚ありますかひとつ〜とお/ひとり・ふたり・〜人/〜枚・〜台・〜本・〜冊

導入

  • 実物と教室の人を数えるりんご(またはみかん)を3つ、紙を5枚、ペンを2本、教卓に出して、一つずつ指を折りながら「りんごが3つあります」と言う。板書の学習項目1の枠「[場所]に [もの]が あります」の「あります」の前に「[数]」の列を足し、数の列には助詞がないことを空白で見せる。続けて教室を見回して「この教室に学生が何人いますか」と聞き、全員で数えて「12人います」と答えさせる。
  • 教師の家族の写真教師の家族の写真(または絵)を見せ、「わたしの家族です。姉が1人、弟が2人います」と指さしながら言う。第7課の「〜は…が―です」の板書を思い出させて、この文の頭に話題の「わたしは」を補えることを確かめる。そのあと学生一人ひとりに「兄弟が何人いますか」と聞き、答えを黒板に書いてクラスの表にする。

板書案

[場所]に [もの]が [数] あります
教室に 学生が 12人 います。
田中さんは 子どもが 3人 います。
〔赤〕[数]のあとは助詞なし(空いたところを□で囲む)
〔青〕つ・人・枚・台・本・冊 の表(絵を1つずつ)
〔赤〕よにん・いっぽん・さんぼん・ろっぽん(音が変わるものだけ)

場面と発話(自作)

  • 新しいクラスの自己紹介のあと、クラスメートに家族のことを聞かれる。兄弟は何人いますか。——姉が1人と弟が1人います。
  • 会社で、会議の前に、資料が足りるかどうかを同僚に確かめる。会議室に人が8人います。資料は何枚ありますか。——10枚あります。
  • アパートを探している留学生が、不動産屋で駐車場のことを聞く。駐車場に車が何台ありますか。——3台あります。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、教師が実物や絵カード(りんご3つ・紙5枚・車2台・人4人など)を見せて「〜が〜あります/います」と言わせ、助数詞と動詞の両方を選ばせる。場面のやり取りでは、「兄弟が何人いますか」「かばんの中に何がありますか。いくつありますか」をペアで聞き合い、聞いた内容を「〜さんはお姉さんが1人います」と第三者として報告させる。

  1. 口頭実物と絵カードを見せて、数と助数詞と動詞を一度に選ばせる。キューの例: みかんを3つ並べて「みかん・3」→「みかんが3つあります」/紙を5枚持って「紙・5」→「紙が5枚あります」/車の絵4台で「駐車場・車・4」→「駐車場に車が4台あります」/学生6人の絵で「教室・学生・6」→「教室に学生が6人います」。全体で言ったあと、教師が「何枚ありますか」「何人いますか」と聞いて個人に答えさせる。音の変わる数(4人・1本・3本・6本)は全体で2回くり返す。
  2. ペア「かばんの中しらべ」。AとBが、かばんの中身と数が書いてあるカード(中身が少しずつ違う)を1枚ずつ持つ。「かばんの中に何がありますか」「ペンは何本ありますか」と聞き合って、相手のカードの表を埋める。終わったらカードを見せ合って答えを確かめ、別のカードで役を替える。
  3. 産出活動名「クラスの数しらべ」。学習者が3人に「兄弟が何人いますか」「自転車が何台ありますか」など自分で決めた質問を2つして、聞いた答えを「〜さんはお兄さんが1人います」とクラスに報告する。教師が見るのは、数のあとに助詞をつけていないか、人に「つ」を使っていないか、4人・3本などの読み。相手の家族は「お兄さん」、自分の家族は「兄」と言い分けているかは、意味が通じていればこの課では強く直さなくてよい。

つまずきと手当て

  • 「*弟が2人がいます」「*りんごが3つをあります」のように、数のあとに助詞をつける。板書の数の列が空白で、助詞が入らないことを毎回指さして確かめる
  • 「*学生が3ついます」のように、人に「つ」を使う。人は「人」と最初に決め、ものの助数詞と色を分けて板書する
  • 4人を「よんにん」、1本・3本・6本を「いちほん・さんほん・ろくほん」と読む(正しくは よにん・いっぽん・さんぼん・ろっぽん)。音の変わる数だけを赤で書き、ほかは規則どおりでよいと負担を減らす
  • 「3つのりんごがあります」と言う。誤りではないが、日本語では「りんごが3つあります」がふつうの言い方なので、この課では数を動詞の前に置く形をくり返す

既習の文型との違い

  • 〜は…が―ます/です(第7課)第7課の「〜は…が―です」は、話題について一つの点を形容詞で言う文でした。この課の「田中さんは子どもが3人います」も同じ「は…が」の骨組みで、「が」のあとに数と「います」が入ります。「わたしの家族は4人です」のように数を「です」で言う文もあるので、「*家族が4人あります」と動詞を取り違えないよう、人なら「います」と確かめます。
  • この/その/あの〜は…円です(第2課)第2課の「このペンは100円です」は値段を「です」で言う文で、数字に「円」がつきます。この課の「ペンが2本あります」は数を言う文で、数字に助数詞がつき、動詞は「あります」です。「いくつありますか」と聞かれて「3つです」と短く答えるのは自然なので、文で言わせるときだけ「あります」までそろえます。
関連する文型

学習項目 3 〜に…います/…あります/…かかります

意味・はたらき学習項目 3

時間の長さや回数を言う形です。学習項目2の数と同じように、期間(1年・3か月・2週間・5日・2時間など)は助詞をつけずに動詞の前に置きます。「来月、大阪に2週間います」は、その場所にいる長さを言う文で、ます形ならこれからの予定、「去年、名古屋に半年いました」なら過去の長さです。「1週間に3回授業があります」の「に」は、どの期間の中で何回あるかを言う使い方です。「この仕事に3日かかります」は、何かのために必要な時間やお金を言う文で、「うちから学校まで電車で30分かかります」のように、移動の時間にも使います。長さを聞くときは「どのぐらい」、だいたいの数には「〜ぐらい」をつけます。文法の用語で言えば、「3時に」のように時点を表す語は「に」をとり、「3時間」のように期間を表す語は助詞をつけずに述語にかかる、という時点と期間の区別がこの項目の芯で、期間や回数を表す語も数量詞の仲間として扱われます。

接続

〈場所〉に+期間+います/期間に+回数+Nがあります/Nに(〜から〜まで)+時間・お金+かかります(期間・回数・時間のあとには助詞をつけない)

形
〈場所〉に 期間 います(来月、大阪に2週間います)期間に 〜回 Nがあります(1週間に3回)Nに/〜から〜まで 時間・お金 かかりますどのぐらいいますか/どのぐらいかかりますか——〜ぐらいです

導入

  • 「に」がつく時とつかない時を2列に黒板の左に「3時・4月・10日」(第3・4課の時の言葉)、右に「3時間・4か月・10日間」を書き、左は「〜に行きます」、右は助詞なしで「〜います」とつなげて見せる。教師が「わたしは去年、ソウルに1か月いました」「来月、北海道に5日います」と自分のことを話し、右の列の言葉は数の列(学習項目2)と同じ場所に入ることを枠で見せる。1日は「ついたち」ではなく「いちにち」と読むこともここで添える。
  • 時間割と通学の時間で聞き合うこの学校の時間割を黒板に描き、「1週間に何回日本語の授業がありますか」と聞いて数えさせる。続けて教師が「わたしはうちから学校まで電車で40分かかります」と言い、学生一人ひとりに「〜さんはどのぐらいかかりますか」と聞く。答えを黒板に並べると、「〜ぐらい」「〜時間」「〜分」がクラスの実際の数字で練習できる。最後に「きのうの宿題にどのぐらいかかりましたか」と聞き、「Nに+かかります」の形も出す。

板書案

左〔青〕時の言葉+に:3時に・4月に | 右〔赤〕長さ(助詞なし):3時間・4か月
来月、大阪に 2週間 います。
1週間に 3回 授業が あります。
うちから 学校まで 電車で 40分 かかります。
〔赤〕どのぐらい → 〜ぐらい の矢印 〔赤〕1日=いちにち を丸で囲む

場面と発話(自作)

  • 新しい職場で、同僚に日本にどのぐらいいる予定かを聞かれる。日本にどのぐらいいますか。——3年ぐらいいます。
  • 入学したばかりの学生が、受付で授業の回数を確かめる。1週間に何回漢字の授業がありますか。——2回あります。
  • 会社で、上司に新しい仕事を頼まれた社員が、終わるまでの日数を答える。この仕事にどのぐらいかかりますか。——3日ぐらいかかります。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、時の言葉のカード(3時・4月など)と期間のカード(3時間・4か月など)を混ぜて出し、「に」をつけるかどうかを判断させながら文を言わせる。場面のやり取りでは、「うちから学校までどのぐらいかかりますか」「日本にどのぐらいいますか」「1週間に何回〜がありますか」の3つを聞くインタビュー表をペアで埋めさせる。

  1. 口頭語のカードを2〜4枚並べてキューにし、全体→個人で文にさせる。キューの例: 「来月・大阪・2週間」→「来月、大阪に2週間います」/「1週間・3回・授業」→「1週間に3回授業があります」/「うち・学校・電車・40分」→「うちから学校まで電車で40分かかります」/「この仕事・3日」→「この仕事に3日かかります」。慣れたら時の言葉のカード(3時・4月)と長さのカード(3時間・4か月)を混ぜて出し、「に」をつけるかどうかを先に言わせてから文にする。
  2. ペアインタビュー表を使う。表の行は「日本にどのぐらいいますか」「1週間に何回日本語の授業がありますか」「うちから学校までどのぐらいかかりますか」「きのうの宿題にどのぐらいかかりましたか」。Aが聞いてBの答えを書き、4つ終わったら交替する。答えは「〜ぐらいです」の短い形でも、「〜ぐらいかかります」の文でもよいとし、教師が回って両方を聞く。
  3. 産出活動名「通学時間マップ」。学習者が一人ずつ「わたしはうちから学校まで〜で〜かかります」と言い、教師が黒板の地図(学校を真ん中に)に名前と時間を書き込んでいく。全員が言ったら、いちばん時間がかかる人・いちばん近い人をクラスで探し、「〜さんは1時間ぐらいかかります」と言わせる。最後に自分のことを3文(日本にいる期間・1週間の回数・かかる時間)書かせる。教師が見るのは、期間に「に」をつけていないか、時と時間・月とか月の取り違え、「ぐらい」を数のあとに置いているか。

つまずきと手当て

  • 第3・4課の「〜に」につられて「*大阪に2週間にいます」「*1時間にかかります」と期間に「に」をつける。2列の板書の右の列には「に」がないことを指さして戻す
  • 「時」と「時間」、「月」と「か月」を取り違えて、4か月のつもりで「4月いました」と言う。左右の列を読み比べ、「間」「か」があると長さになると確かめる
  • 「*1時間がかかります」と、数のあとに「が」をつける。「時間がかかります」(数のない言い方)は正しいので、数が入ったら助詞が消える、と学習項目2と同じ規則にまとめる
  • 1日を「ついたち」と読む。日付(第4課の何月何日)と長さで読みが違うのは1日だけなので、この語だけ赤で囲んでおく

既習の文型との違い

  • 〜に…ます(第3課)第3課の「毎晩11時に寝ます」は時点に「に」をつける形で、この課の「来月、大阪に2週間います」の「2週間」は長さなので助詞がつきません。学習者は第3課の形につられて「*2時間に勉強しました」のように長さにも「に」をつけます。左右2列の板書で、時計の一点か、二つの時刻の間の長さかを指で示して分けます。
  • 〜で…へ(移動表現)(第4課)第4課の「電車で学校へ行きます」は乗り物と行き先を言う文で、この課の「うちから学校まで電車で30分かかります」は移動にかかる時間を言う文です。時間を「行きます」の文に入れて「電車で学校へ30分行きます」と言う学習者がいますが、ふつうの言い方ではないので、時間を言うときは動詞を「かかります」に替えると決めて練習します。
関連する文型

語彙の扱い

この課の新出語は、位置の言葉(上・下・中・前・後ろ・となり・近く)・助数詞と数え方・期間の言葉(〜時間・〜日・〜週間・〜か月・〜年)・家族の言葉の四つのかたまりに分かれます。位置の言葉は実物と箱、助数詞は実物を数える動作、期間は「時の言葉」との2列の表で入れ、どれも「机の上に」「3枚」「1年」のように文型の枠の中の形で練習します。家族の言葉は自分の家族を言う形(兄・姉・弟・妹)から入れ、相手の家族の言い方は聞いて分かる程度にとどめると負担が軽くなります。

この課の練習で使う語(10語・意味・連語・例文)

  • 上(うえ) あるものより高いところです。 机の〜に・箱の〜に
    教室で、先生が辞書をさがしている。
    辞書は机の上にあります。
  • 中(なか) 箱やかばん、部屋などの内側です。 かばんの〜に・箱の〜に・部屋の〜に
    友達が、かぎがないと困っている。
    かぎはかばんの中にありますか。——いいえ、ありません。
  • となり(となり) すぐ横にある、またはいることです。 駅の〜に・わたしの〜に
    電話で、待ち合わせの場所を説明する。
    銀行のとなりに花屋があります。
  • 近く(ちかく) あまり遠くないところです。 駅の〜に・うちの〜に
    新しいアパートのことを友達に聞かれる。
    うちの近くにスーパーがあります。便利です。
  • 兄弟(きょうだい) 兄・姉・弟・妹のことです。 〜が何人いますか・〜は何人ですか
    クラスの自己紹介のあとで、家族のことを聞く。
    兄弟が何人いますか。——弟が1人と妹が2人います。
  • 〜枚(まい) 紙や切手、シャツのような薄いものを数える言葉です。 紙が3〜・切手が5〜
    会議の前に、資料が足りるか確かめる。
    資料は何枚ありますか。——20枚あります。
  • 〜台(だい) 車や自転車、パソコンのような機械を数える言葉です。 車が2〜・パソコンが10〜
    学校の受付で、パソコンの部屋のことを聞く。
    この部屋にパソコンが15台あります。
  • 〜回(かい) 何かをすることや、何かがあることの数です。 1週間に3〜・1か月に1〜
    アルバイトの日の数を聞かれる。
    1週間に何回アルバイトがありますか。——3回あります。
  • かかります(かかります) 何かをするために、時間やお金が要ります。 時間が〜・バスで20分〜
    新しいクラスメートに、うちから学校までの時間を聞かれる。
    うちから学校までバスで20分かかります。
  • どのぐらい(どのぐらい) 時間の長さや数の大きさを聞く言葉です。 〜いますか・〜かかりますか
    新しい職場で、同僚と話す。
    日本にどのぐらいいますか。——2年ぐらいです。

宿題と次のコマ

宿題は、自分の部屋の絵をかいて「〜に〜があります」を5文、家族と持ち物の数を「〜が〜います/あります」で3文、うちから学校までの時間と日本にいる期間を1文ずつ書くこと。次のコマの最初に、学生の部屋の絵を見せ合って「〜さんの部屋に何がありますか」と聞き合ってから、第9課の「〜ほしいです」(部屋にないもの・ほしいもの)へつなぎます。

よくある質問

  • 第8課の「あります」と「います」はどう区別させればいいですか?

    まず「自分で動く生き物は います、ほかは あります」という一つの基準で2列を作ります。迷いやすいのは、生きていても動かない木・花(あります)と、小さい魚・虫(います)なので、この二つは例として板書に残します。乗り物は「あります」にそろえ、会話でタクシーやバスを「います」と言う人もいることは、聞いたときに説明する程度で足ります。

  • 「机の上に本があります」と「本は机の上にあります」の違いは何ですか?

    前者は場所を先に言って、そこに何があるかを伝える文、後者は話題のもの(本)がどこにあるかを伝える文です。質問で分けると教えやすく、「机の上に何がありますか」には前者、「本はどこにありますか」には後者で答えます。「何が」と聞かれて「は」で答える誤りが多いので、質問と答えの助詞をそろえて練習します。

  • 助数詞はこの課でどこまで教えればいいですか?

    つ・人・枚・台・本・冊の6つで十分です。音が変わるのは「4人(よにん)」と「〜本」の1・3・6などで、変わるものだけを赤で板書し、表を教室に貼っておきます。ほかの助数詞は、その語が出てきた課で足していけば負担になりません。

  • 「1週間に3回」の「に」と「大阪に2週間います」の「に」は同じですか?

    違います。「大阪に」の「に」は場所につく「に」で、そのあとの「2週間」には助詞がつきません。「1週間に3回」の「に」は、どの長さの中で何回かを言う「に」です。「〔長さ〕に〔回数〕」をひとまとまりの枠で見せ、「1日に」「1か月に」と言い換えて練習させると混ざりにくくなります。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目で導入と学習項目1・2、2コマ目で学習項目3とまとめの活動をします。数の読みでつまずくクラスでは、2コマ目の最初に助数詞の読みの確認を10分入れ、まとめの活動を短くします。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。