第1課・第2課の名詞文(「〜は…です」「この〜は…円です」)だけで話してきた学習者が、時刻を言い、動詞の「ます」の形で毎日の生活を話し始める課です。最初の項目は「〜は…時から…時までです」で、形はまだ名詞文なので、新しく増えるのは時刻の読みと「から」「まで」だけです。次の「〜に…ます」で初めて動詞が出て、時刻に「に」をつけて「11時に寝ます」と言えるようになり、最後の「〜ました」で、きのうやけさのことを言えるようになります。板書は黒板の端に時計の絵を描いて課の最後まで残し、時刻を指さすだけでどの項目の練習にも戻れるようにしておくと、短い時間でも回数が稼げます。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(前の課とのつなぎ) | 25分 | 第2課の「この〜は…円です」を値札の絵で2〜3問言わせ、「数字が言えれば値段が言える」ことを確かめてから、時計の絵を見せて「今、何時ですか」と聞く。1時〜12時、-分、半、午前・午後の読みをここで入れ、4時・7時・9時と-分(ふん/ぷん)の読みは赤で板書する |
| 学習項目1 〜は…時から…時までです | 25分 | 店や銀行の入口の札(営業時間)の絵で導入。「から」「まで」を矢印の両端に書き、「何時から何時までですか」「何時までですか」まで聞き合う |
| 学習項目2 〜に…ます | 40分 | 教師の一日を時計の絵と動作で見せて、初めての動詞「起きます・寝ます・勉強します・働きます」を入れる。「[時刻]に [動詞]ます」の枠を板書し、「毎朝・毎晩」には「に」がつかないことを別の列で見せる。1コマ目はここまで |
| 2コマ目の頭(時刻と「に」の復習) | 10分 | 時計の絵の針を教師が動かして時刻を速く読ませ、時刻カードと動詞の絵カードで「-時に〜ます」を全員で数回言わせる。4時・7時・9時の読みと、「毎朝」に「に」がつかないことをここで確かめ直す |
| 学習項目3 〜ました | 45分 | 黒板に「きのう|きょう|あした」の時間の線を引き、きのうの側を指して「ました」に言い換える。けさ・ゆうべの出来事を聞き合う |
| まとめの活動 | 35分 | ペアで相手のきのうの一日を「何時に起きましたか」「何時に寝ましたか」と聞いて、時計の絵に書き込む。最後に「〜さんは7時半に起きました」と一人ずつクラスに報告する |
店・銀行・授業・休み時間などが、何時に始まって何時に終わるかを言う形です。「から」は始まりの時、「まで」は終わりの時を表します。文の形は第1課の「〜は…です」と同じ名詞文なので、新しく覚えるのは時刻の読みと「から」「まで」の二つです。始まりだけ、終わりだけを言うときは「10時からです」「8時までです」と片方だけでも言えます。文法の用語で言うと「から」「まで」は格助詞で、時の始まり(起点)と終わり(終点)を示します。
名詞+は+時刻+から+時刻+まで+です(片方だけの「〜からです」「〜までです」も可)
口頭の代入練習では、時計の針を教師が動かして「今、何時ですか」と速く聞き、慣れたら営業時間の札を差し替えて「〜は…時から…時までです」を一文で言わせる。やり取りの練習では、ペアの一人に町の店の札の絵、もう一人に白紙の表を渡し、「〜は何時から何時までですか」と聞いて表を埋めさせる。
この本で初めて動詞が出る項目です。「起きます」「寝ます」のような動詞の「ます」の形で、毎日のこと(習慣)や、これからすることを言います。動作をする時刻には「に」をつけて「11時に寝ます」と言います。ただし「毎朝」「毎晩」「毎日」のように数字のない時の言葉には「に」をつけません。何時にするかを聞くときは「何時に〜ますか」です。文法の用語で言うと、時刻の「に」は動作の時を示す格助詞で、「ます」の形は過去ではない時(非過去)を表します。
時刻+に+動詞(ます形)(毎朝・毎晩・毎日・今・きょう などには「に」をつけない)
口頭の代入練習では、時計の時刻カードと動詞の絵カード(起きる・寝る・勉強する・働く・休む)を重ねて見せ、「-時に〜ます」を一文で言わせる。途中に「毎朝」「毎晩」のカードを混ぜ、「に」をつけるかどうかを判断させる。やり取りの練習では、「何時に起きますか」「何時に寝ますか」をペアで聞き合い、相手の答えを時計の絵に書き込ませる。
「起きます」を「起きました」にすると、もう終わったこと(過去)を表します。作り方は「ます」を「ました」に替えるだけで、どの動詞でも同じです。きのう・けさ・ゆうべのような過去の時の言葉といっしょに使うことが多く、聞くときは「何時に〜ましたか」です。「ます」は毎日のことやこれからのこと、「ました」は終わったこと、と時間の線の上で分けて考えさせます。文法の用語で言うと、「ます」と「ました」の違いはテンス(非過去と過去)の違いです。
動詞のます形の「ます」→「ました」(起きます→起きました・勉強します→勉強しました)
口頭の代入練習では、時間の線の「きのう」「あした」のどちらかを教師が指し、学生が同じ動詞を「ます」か「ました」で言い分ける。やり取りの練習では、ペアで相手のきのうの一日(起きた・勉強した・働いた・寝た)を「何時に〜ましたか」で聞き、時計の絵に書き込んでから「〜さんはきのう…時に寝ました」と報告させる。
この課の新出語は、時刻の言葉(-時・-分・半・午前・午後・今)、時の言葉(毎朝・毎晩・きのう・けさ・ゆうべ)、そして初めての動詞(起きます・寝ます・勉強します・働きます・休みます など)の三つのかたまりに分かれます。時刻は時計の絵、時の言葉は時間の線、動詞は教師の動作と絵カードで入れ、どれも単語だけで覚えさせず「6時に」「毎朝」「起きました」のように助詞や形のついたまま文の中で練習します。4時・7時・9時と-分の読みは課の最後まで毎回確かめます。
宿題は、自分のきのうの一日を「何時に起きました」「何時から何時まで〜ました」の形で3〜4文書くこと(時刻には読みをひらがなで添える)と、近くの店やよく行く所の時間を一つ調べて「〜は…時から…時までです」で書いてくること。次のコマの最初に、時計の絵で時刻の読みを速く復習し、宿題の店の時間をクラスで聞き合ってから、第4課の月日の言い方と「〜へ行きます」に入ります。
第3課の時刻の読み(4時・7時・9時、ふん/ぷん)はどう教えればいいですか?
1時から12時までは全員で読み、4時(よじ)・7時(しちじ)・9時(くじ)の三つだけを赤で板書して、毎回そこで止まって確かめます。-分は5分きざみで読み、「ふん」と「ぷん」の分かれ目を表にしておき、一度に覚えさせずに表を見ながら言わせます。黒板の端に時計の絵を課の最後まで残しておくと、どの学習項目の途中でも時刻の練習に戻れます。
「毎朝に起きます」という誤りはどう直しますか?
板書で「[時刻]に + Vます」の枠とは別に、「毎朝・毎晩・毎日・今」の列を作り、この列の言葉には「に」がつかないと見せます。誤りが出たら、その言葉がどちらの列かだけを聞いて自分で直させます。「毎晩11時に寝ます」のように両方が入る文では、「に」は数字の時刻にだけつくと確かめます。
動詞が初めて出る課ですが、動詞のグループやて形もここで教えますか?
この課では教えません。この本ではて形の作り方は第11課で扱うので、第3課は「ます」の形と、「ます」を「ました」に替える作り方だけを扱います。どの動詞も「ます→ました」で同じなので、グループの区別はまだ要りません。
第3課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は時刻の読みの導入、学習項目1「〜は…時から…時までです」、学習項目2「〜に…ます」まで、2コマ目は時刻と「に」の短い復習のあと、学習項目3「〜ました」と、きのうの一日を聞き合うまとめの活動です。時刻の読みに時間がかかるクラスでは、1コマ目の導入を長めに取り、学習項目2の残りを2コマ目に回します。
第3課の板書はどう組めばいいですか?
黒板の左端に時計の絵を描いて課の最後まで残し、真ん中に学習項目の枠(「Nは[時刻]から[時刻]までです」「[時刻]に+Vます」)を書きます。学習項目2では「毎朝・毎晩」の列を枠の外に分けて書き、学習項目3では右側に「きのう・きょう・あした」の時間の線を引きます。時計と枠と線が並んでいれば、指さすだけで三つの項目の練習を行き来できます。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。