Total Physical Response の略。アッシャー(Asher)が提唱した、教師の命令文を聞いて身体を動かして反応することで理解を育てる教授法。「立ってください」「窓を開けてください」のような指示から始める。
幼児が母語を身につける過程をモデルにし、理解が産出に先行するという考えに立つ。学習者は話す準備ができるまで話さなくてよく、沈黙期が認められる。発話を強いられないため不安が低く、動作を伴うので記憶に残りやすい。
動作で示せる語彙・表現に偏り、抽象的な内容や複雑なやり取りには向かないのが弱点。初級の導入や指示表現の練習として部分的に取り入れられることが多い。インプット重視という点でナチュラル・アプローチと発想が近い。
教師が「立ってください」と言いながら自分が立ち、学習者もまねて立つ。次に教師が言葉だけで「座ってください」「ドアを開けてください」と指示し、学習者は体で反応する。慣れてきたら「ペンを取って、机の上に置いてください」のように指示をつなげる。学習者は声を出さなくてよく、動作で理解を示す。
何回かの授業のあと、学習者が自分から教師やクラスメートに「窓を閉めてください」と指示を出す役に回る。理解が十分に育ってから発話に移るという順序が、TPRの考え方に沿った進め方である。言葉と動作が結びついているため、話す段階に入っても、学習者は意味を思い浮かべながら言葉を口にできる。
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