学習者の母語や共通語(=媒介語)を用いず、目標言語だけで目標言語を教える方法。19世紀末の言語教授改革運動の中で、文法訳読法への反動として広まった。ベルリッツの語学学校が普及に大きな役割を果たした。
母語を介さず、実物・絵・動作・場面から意味を直接つかませるため、音声とやり取りが早くから育つ。その代わり、抽象語や文法規則の説明に時間がかかり、教師には高い目標言語運用力が求められる。子どもが母語を身につける過程をモデルにしたナチュラル・メソッド(グアンの直接教授法など)も、この流れに位置づけられる。
日本語教育では、特定の教授法名としてよりも「媒介語を使わない指導」という広い意味で「直接法」と言うことが多い。オーディオリンガル・メソッドと同一視する選択肢は誤りで、こちらは指導技術ではなく媒介語を使うかどうかの区別である点がひっかけどころ。