コ・ソ・ア・ド系の指示詞(これ/それ/あれ/どれ、ここ/そこ/あそこ/どこ、この/その/あの/どの)。用法は大きく現場指示と文脈指示に分かれる。
現場指示は目の前の対象を指す用法で、話し手の領域=コ、聞き手の領域=ソ、どちらからも遠い=ア、という縄張りで使い分ける。文脈指示は談話に現れた事柄を指す用法で、直前に述べられた事柄や聞き手が知らない事柄はソ系(それは大変でしたね)、話し手と聞き手が共有する記憶を指すときはア系(あの店、おいしかったね)が基本になる。
「ア系は文脈指示では使えない」は誤りで、ひっかけになりやすい。学習者は現場指示は比較的早く習得できても、文脈指示のソとアの使い分けでつまずきやすい。文章では、指示詞が何を指すかをたどらせる作業が読解指導の中心になる。
教室で学習者が手に持った辞書を指して「これはだれのですか」と聞けば、先生は「それは山田さんのです」と答える。話し手の手元はコ、聞き手の手元はソで、同じ物が立場によって「これ」にも「それ」にもなる。二人から離れた窓の外の建物は「あれ」で指す。教室の中で物を持ち替えたり、位置を変えたりしながら練習させると、領域の考え方が体でつかめる。
「きのう駅前で新しいラーメン屋を見つけたんだけど、その店、知ってる?」は、聞き手がまだ知らない店なのでソ系になる。二人で一緒に行ったことがある店なら「あの店、また行こうよ」とア系を使う。文脈指示のソとアは、話し手と聞き手が記憶を共有しているかどうかで使い分ける。学習者が初対面の相手に「あの店」と言うと、相手は何の店か分からず戸惑うことになる。
読んだ用語を1冊で引き直す・体系で押さえ直すなら。