日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 初中級 第14課「おじいさんを安心させたほうがいいと思います」の教案

『学ぼう!にほんご 初中級』

友達や後輩から悩みを相談されたとき、相手の問題に合わせてアドバイスすることが目標の課です。上手なアドバイスには、心配しすぎている相手を安心させる(〜ことはない)、ほかに方法がないことを示す(〜しかない)、別の案や交換の条件を出す(〜かわりに)、本来の人に代わって役目を引き受ける(〜にかわって…が)、そしてすすめる(〜ほうがいい)という、いくつかの動きがあります。この課の芯は、同じアドバイスでも強さが違うことを見せることで、「〜てみたら?」から「〜しかない」までを一本のものさしに並べ、相手と場面で選ばせます。もう一つの山は「〜かわりに」と「〜にかわって」の区別で、物や行動を取り替える・つり合わせるのか、人が本来の人の役目を引き受けるのかを、板書の絵で分けて見せます。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目5時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 相談の内容を聞いて、心配しすぎている相手には「〜ことはない」で安心させ、ほかに道がないときは「〜しかない」で方法を一つに絞って示せる
  • 「〜かわりに」で別の案や交換の条件を出し、物や行動の取り替え・つり合いを言う「〜かわりに」と、人が本来の人の役目を引き受ける「〜にかわって…が」とを取り違えずに使える
  • 「〜たほうがいい/〜ないほうがいい/〜たらどうですか」を強さで比べ、相手(友達・先輩・先生)に合わせて言い方を選べる
  • 相談を受けるロールプレイで、相手の気持ちを受け止めてから、安心させる・案を出す・すすめるを組み合わせたアドバイスができる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(目標の場面)10分「最近、困っていることはありますか」と聞き、寝不足・アルバイト・家族への連絡などの悩みを一言ずつ黒板に集める。教師が一つ取り上げて、強い言い方とやわらかい言い方の二通りでアドバイスしてみせ、この課は相手の問題に合わせて、言い方の強さまで選んでアドバイスする課だと予告する
学習項目1 〜ことはない25分落ち込んでいる学生の絵で「そんなに〜ことはない」を導入し、相手の心配を打ち消して安心させる言い方だと見せる。「〜なくてもいい」と並べて違いを確かめ、経験の「Vたことはない」とは前の形で分ける
学習項目2 〜しかない25分終電に乗り遅れた場面で帰る方法を一つずつ消し、残った方法を「〜しかない」で言う。「〜ほうがいい」との強さの違いを比べ、量の「Nしか〜ない」とも分ける
学習項目3 〜かわりに…35分物の取り替え(ペン→鉛筆)から「Nのかわりに」「Vるかわりに」へ。天びんの絵で交換(手伝ってもらうかわりに、おごる)と代償(広いかわりに、遠い)を見せ、相談への別の案と「その代わり」の条件づけに使う
学習項目4 〜にかわって…が25分名札を付け替える教師の動作で、本来の人の役目を別の人が引き受ける形を導入する。学習項目3の板書と並べ、物・行動の取り替えか、人の代理かを分け、改まった場面の「にかわりまして」まで
学習項目5 〜ほうがいい20分初級の復習。強さのものさし(〜てみたら?/〜たらどうですか/〜たほうがいい/〜しかない)の上で、相手(友達・先輩・先生)に合わせて言い方を選ばせる
目標の活動(ロールプレイ)30分悩みのカードを持つ人と、相談を受ける人のペアを作る。相談を受ける人は、①気持ちを受け止める一言 ②「〜ことはない」で安心させる ③「〜かわりに〜たらどう?」で案を出す ④必要なら「〜しかない」 ⑤「〜ほうがいいと思う」でまとめる、の順でアドバイスする。相手のカード(友達・先輩・先生)を替えてもう一度行い、見ている学生は言い方の強さが相手に合っていたかを伝え合う
まとめ10分「〜かわりに/〜にかわって」の二択を5問ほどと、アドバイスの言い方を強さの順に並べ替える問題で確かめ、ロールプレイで出た悩みの一つに返事を書く短い作文を宿題にする

学習項目 1 〜ことはない

意味・はたらき学習項目 1

「V(辞書形)ことはない」は、そうする必要はないという話し手の判断を表します。相談の場面では、心配したり無理をしようとしたりしている相手に「そこまでしなくて大丈夫だ」と伝えて安心させるのに使います。「そんなに」「わざわざ」「何も」「一人で」とよくいっしょに使われ、「〜なくてもいい」より、相手の心配や考えを「しなくていいことだ」と打ち消す気持ちが強く出ます。過去の「〜ことはなかった(のに)」は、終わったことについて「する必要はなかった」と言う形で、言い方によっては相手をやさしく責める響きになります。

接続

V(辞書形)+ことはない(丁寧は「ことはありません」「ことはないですよ」、過去は「ことはなかった」)。経験を言う「Vたことはない」とは前の形が違う

形
そんなに〜ことはない(そんなに心配することはないよ)わざわざ〜ことはない(わざわざ買うことはないよ。私のを貸すから)一人で〜ことはない(一人で悩むことはありません。いつでも相談してください)〜ことはなかった(のに)(わざわざ迎えに来ることはなかったのに)

導入

  • 相手の心配を打ち消す黒板に、小テストの結果が悪くて落ち込んでいる学生の絵を貼り、「一回の小テストです。どう言ってあげますか」と聞く。学生の「大丈夫だよ」を受けて、教師が「そんなに気にすることはないよ」と言い、板書は「そんなに [V辞書形] ことはない(=〜する必要はない)」の枠にする。「心配する・落ち込む・あわてる」のカードで、同じ枠に入れて言わせる。
  • 「〜なくてもいい」と並べる「明日の授業は辞書を持って来なくてもいいです」と「重い辞書を毎日持って来ることはないよ」を上下に書き、どちらが相手の様子(重いのにがんばっている)を見て言っているかを聞く。上は決まりを伝える文、下は相手のしようとしていることを「しなくて大丈夫」と打ち消す文だと確かめる。許可を聞かれて答えるときは「なくてもいい」のほうが自然なことも添える。

板書案

V(辞書形)+ ことはない(=〜する必要はない)
そんなに 心配する ことはないよ。
わざわざ 買う ことはないよ。私のを 貸すから。
〔赤〕辞書形 〔青〕そんなに/わざわざ/一人で に下線
比べる:日本で 病院に 行った ことはない(経験)/病院に 行く ことはない(必要がない)

場面と発話(自作)

  • 日本語の小テストの点が悪くて落ち込んでいる留学生に、クラスメートが声をかける。一回のテストなんだから、そんなに落ち込むことはないよ。
  • 引っ越しを手伝ってもらったお礼に、高いお菓子を買おうとしている後輩に、先輩が言う。わざわざお礼を買うことはないよ。今度、昼ご飯でもいっしょに食べよう。
  • 熱があるのに、申し訳なさそうにアルバイトの休みの連絡をしてきた新人に、店長が答える。熱があるなら、無理をして来ることはありません。ゆっくり休んでください。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

まず相手の心配のカード(小テストの点が悪い・道に迷った・約束に少し遅れそうだ)を見せ、「そんなに/わざわざ/一人で〜ことはないよ」で安心させる一言を言わせる。次に同じ相談に「〜なくてもいいよ」と「〜ことはないよ」の両方で答えさせ、どちらが相手の心配を打ち消す感じが強いかを話し合う。最後に、安心させる一言のあとに理由を一文足させ(〜から、〜ことはないよ)、目標の活動の材料にする。

  1. 口頭心配している人の絵カードを見せ、「小テスト・落ち込む」とキューを出す → 全員で「そんなに落ち込むことはないよ」。キューの例は「道に迷った・あわてる」「お礼・わざわざ買う」「一人・悩む」「少し遅れる・走って来る」。次に副詞(そんなに・わざわざ・一人で)だけを替えて個人に言わせ、最後はキューを絵だけにする。
  2. ペア「相談する人」と「安心させる人」に分ける。相談する人はカードの心配ごと(明日の発表が心配だ・漢字が覚えられない)を言い、安心させる人は「〜ことはないよ。〜から」と理由を一つ足して返す。理由のヒント(先生はやさしい・まだ一か月ある)は安心させる人のカードにだけ書いておき、相談する人は聞いて安心できたかを一言で返す。3枚で交替。
  3. 産出「心配ごと相談箱」。学生が自分の小さな心配ごとを名前を書かずに紙に書いて箱に入れ、ほかの人が引いて「〜ことはないよ」に理由を添えた返事を1〜2文で書き、読み上げる。教師が見るのは、前が辞書形になっているか、経験の「たことはない」と混ざっていないか、「〜ことはなかったのに」のように相手を責める響きになっていないか。

つまずきと手当て

  • ます形につける(*心配しことはない)。「ことはない」の前は辞書形だと枠で確かめる。ない形につけた「心配しないことはない」は「心配することもある」という別の意味(中級で学ぶ「〜ないことはない」)になり、言いたいことと逆になると見せる
  • 経験の「Vたことはない」と混ぜる(「日本で病院に行ったことはない」は経験、「病院に行くことはない」は必要がない)。前が た形か辞書形かで意味が変わると、二つを並べて読ませる
  • 許可を聞かれた答えに使う(「この書類、出さなくてもいいですか」に「はい、出すことはありません」)。誤りではないが、相手の心配を打ち消す響きが強く、ふつうの答えとしては「はい、出さなくても大丈夫です」が自然だと示す。目上の人の心配には「〜なくても大丈夫だと思います」のほうがやわらかい

既習の文型との違い

  • 〜てもいいです/〜なくてもいいです(初級Ⅰ 第13課)「〜なくてもいい」は決まりや許可として「しなくてもかまわない」と伝える言い方で、質問への答えにもそのまま使えます。「〜ことはない」は、相手がしようとしていることや心配していることを見て「そこまでする必要はない」と打ち消す言い方です。許可を聞かれて「はい、出すことはありません」と答えると、相手の気持ちまで否定したように聞こえるので、答えには「出さなくても大丈夫です」を使わせます。
  • 〜ことがあります(初級Ⅰ 第16課)「Vたことがある/ない」は経験を言う形で、前は た形です。「Vることはない」は前が辞書形で、必要がないという意味になります。経験を言うつもりで「病院に行くことはないです」と言うと、「行く必要がない」という意味に変わってしまうので、二つを並べて前の形を確かめさせます。
関連する文型

学習項目 2 〜しかない

意味・はたらき学習項目 2

「V(辞書形)しかない」は、ほかに方法がないので、そうするより仕方がないという意味です。アドバイスの場面では、相手がいろいろ考えて迷っているときに「もうこの方法しかない」と道を一つに絞って示すのに使い、「〜たほうがいい」より強く、決めつける言い方になります。自分のことに使うと「やるしかない」のように覚悟や決心も表します。「Nしか〜ない(財布に千円しかない)」は「Nだけで少ない」という量・範囲の意味で、形は似ていますが、この課の「Vしかない」は方法・選択肢が一つだけだという意味だと分けて教えます。

接続

V(辞書形)+しかない(丁寧は「しかありません」。「Vるほかない」「Vるよりしかたがない」も近い意味で、やや硬い)

形
Vしかない(終電がないから、タクシーで帰るしかない)もう〜しかない(もう本人に直接聞くしかないね)〜なら、〜しかない(どうしても行けないなら、正直に断るしかないよ)Nしか〜ない(量・範囲が少ない:財布に千円しかない)

導入

  • 道を一つずつ消していく黒板に「終電に乗り遅れた」と書き、学生に帰る方法を挙げさせる(バス・友達の車・歩く・タクシー)。教師が「バスはもうない」「友達は寝ている」「歩くと3時間かかる」と一つずつ線で消し、残ったタクシーを丸で囲んで「タクシーで帰るしかない」と言う。板書は「(ほかの方法はない)→ [V辞書形]しかない」の枠にする。
  • アドバイスの強さを比べる同じ相談(スマホの画面が割れた)に「修理に出したほうがいいよ」と「もう新しいのを買うしかないよ」を並べ、どちらが強いかを聞く。「しかない」はほかの道を全部閉じる言い方なので、相手が十分に迷ったあとや、本当に方法が一つのときに使うと確かめる。

板書案

(ほかの方法は ない)→ V(辞書形)+ しかない
バス × 友達の車 × 歩く × → タクシーで 帰る しかない。
〔赤〕辞書形 〔青〕消した方法に×、残った方法を○で囲む
量:財布に 千円 しか ない(N しか〜ない) 方法:帰る しかない(V しかない)

場面と発話(自作)

  • アルバイトのシフトとゼミの発表が重なってしまった友達から、相談を受ける。発表は休めないから、店長に正直に話して、シフトを替えてもらうしかないね。
  • レポートの締め切りが明日なのに、まだ半分しか書けていないと困っている友達に言う。ここまで来たら、今夜がんばって書くしかないよ。手伝えることがあったら言って。
  • 大事な試験の前の晩、不安になった留学生が、自分に言い聞かせる。準備はもう十分した。あとはやるしかない。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

困った場面のカード(終電に乗り遅れた・部屋の鍵をなくした・在留カードの期限が近い)を見せ、ペアでほかの方法を挙げてから一つずつ消させ、残った方法を「〜しかない」で言わせる。次に同じ相談に「〜ほうがいい」と「〜しかない」で答え分けさせ、どちらの場面に合うかを確かめる。最後に、自分が「やるしかない」と思った経験を一文で話させる。

  1. 口頭困った場面のカードで、教師が場面と残った方法を言う → 全員で「〜しかないね」。キューの例は「終電がない・タクシーで帰る」「部屋の鍵をなくした・管理会社に電話する」「辞書を忘れた・友達に借りる」「バスが来ない・歩いて行く」。次に学生にほかの方法を挙げさせ、教師が「それは無理ですね」と一つずつ消してから、残った方法を個人に言わせる。
  2. ペアAは困った場面のカード、Bは「使える方法リスト」(三つのうち二つに×が付いている)を持つ。A「どうしよう。〜」、B「〜は無理だから、〜しかないね」。次にBに×のないリスト(全部使える)を渡し、そのときは「〜たほうがいい」で答えるように指示して、方法が一つか複数かで強さを言い分けさせる。役を交替してもう一度。
  3. 産出「最後の手段ゲーム」。グループで困った場面を一つ作り、方法を出し合っては「それは〜からだめ」と一つずつ消していき、最後に残った方法を「〜しかない」で発表する。教師が見るのは、前が辞書形か、まだ方法が残っているのに「しかない」で決めつけていないか、自分の決心(やるしかない)と相手へのアドバイス(〜しかないね)を言い分けられているか。

つまずきと手当て

  • 辞書形以外の形につける(*行きしかない/*行ったしかない)。「しかない」の前は辞書形だと枠で確かめる
  • 「しか」のあとに肯定の形を置く(*千円しかあります)。「しか」はいつも「ない」と組になると、量の「Nしか〜ない」と並べて見せる
  • まだ方法がいくつもある相談に使って、突き放したように聞こえる(ちょっとした悩みに「もうあきらめるしかないよ」)。誤りではないが、相手の選べる道を閉じてしまう強い言い方なので、まず「〜たらどう?」「〜ほうがいい」で提案し、本当に道が一つのときに使うと伝える

既習の文型との違い

  • 〜なければなりません(初級Ⅰ 第12課)「〜なければならない」は決まりや義務として「しなくてはいけない」と言う形で、ほかに方法があるかどうかは問題にしません。「〜しかない」は、ほかの方法を考えた結果、残ったのが一つだけだという意味です。「レポートは明日までに出さなければならない」(決まり)と「もう間に合わないから、先生に相談するしかない」(残った方法)を並べて違いを見せます。
  • 〜わけにはいかない(第4課)「〜わけにはいかない」は、事情があって「そうすることはできない」と一つの道を閉じる言い方で、「〜しかない」は道を閉じたあとに残った方法を言う言い方です。二つを続けると「発表は休むわけにはいかないから、シフトを替えてもらうしかない」のように、理由と結論のそろったアドバイスになります。学習者が「休むしかない」と「休むわけにはいかない」を取り違えると意味が正反対になるので、二つを一文の中で練習させます。
関連する文型

学習項目 3 〜かわりに…

意味・はたらき学習項目 3

「かわりに」には大きく二つの使い方があります。一つは代わりにする(取り替え)で、「Aのかわりに、B」が「Aではなく、Bを使う・Bをする」という意味になります(ペンのかわりに鉛筆で書く/電車で行くかわりに、自転車で行く)。もう一つは交換・代償(つり合い)で、「Aかわりに、B」が「Aをしてもらう(Aといういいことがある)、その分Bをする(Bという悪いこともある)」という関係を表します(宿題を手伝ってもらうかわりに、昼ご飯をおごる/この部屋は広いかわりに、駅から遠い)。取り替えではAがなくなり、つり合いではAもBも両方あるのが違いです。アドバイスの場面では、相手の案を別の案に替えて示したり、「その代わり、〜てね」と条件を付けたりするのに役立ちます。

接続

N+の+かわりに/V(辞書形・た形・ない形)+かわりに/い形(〜い)+かわりに/な形(〜な)+かわりに(文の初めでは「その代わり(に)」。漢字で書くと「代わりに」)

形
Nのかわりに、〜(取り替え:砂糖のかわりに、はちみつを入れる)Vるかわりに、〜(取り替え:毎日電話するかわりに、週末にゆっくり話す)〜てもらうかわりに、〜(交換:日本語を教えてもらうかわりに、英語を教える)Aかわりに、B(代償:この仕事は給料がいいかわりに、休みが少ない)/その代わり、〜

導入

  • 物を取り替えて見せる教師がペンで書こうとして「あ、インクがない」と困ってみせ、鉛筆を取り出して「ペンのかわりに、鉛筆で書きます」と言う。板書は「[A]のかわりに [B](Aではなく、B)」の枠にし、物(バター→油・タクシー→バス)を替えて言わせる。次に動詞(電車で行く→自転車で行く)に広げ、「Vるかわりに」の形を足す。
  • 天びんで交換・代償を見せる黒板に天びんの絵を描き、左の皿に「宿題を手伝ってもらう」、右の皿に「昼ご飯をおごる」と書いて「手伝ってもらうかわりに、昼ご飯をおごる」と言う。続けて左に「広い」、右に「駅から遠い」を載せ、いいことと悪いことがつり合う代償の文にする。最初の取り替えの板書と並べ、同じ「かわりに」でも、Aがなくなる(取り替え)か、AもBも両方ある(つり合い)かで意味が分かれると確かめる。

板書案

A の かわりに B(取り替え:A は なくなる)
ペン の かわりに 鉛筆で 書く。
A かわりに B(交換・代償:A も B も ある)
宿題を 手伝ってもらう かわりに、昼ご飯を おごる。/この部屋は 広い かわりに、駅から 遠い。
〔赤〕N + の 〔青〕天びんの絵(左の皿に A、右の皿に B)

場面と発話(自作)

  • 毎晩遅くまでアルバイトをして授業中に眠くなってしまう留学生に、先輩がアドバイスする。平日のアルバイトを減らすかわりに、週末に少し長く働いたらどう?
  • 会話の練習相手がいないと悩んでいる留学生に、クラスメートが提案する。日本人の学生に英語を教えるかわりに、日本語の会話の相手をしてもらうといいよ。
  • 家賃の安い部屋に決めようか迷っている友達に、その部屋を見に行った留学生が言う。あの部屋は家賃が安いかわりに駅から遠いから、自転車があったほうがいいよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

まず物のカード(ペン→鉛筆・砂糖→はちみつ)で「Nのかわりに」、行動のカード(タクシー→バス・エレベーター→階段)で「Vるかわりに」を言わせる。次に天びんのカードでペアに交換の約束を作らせ(〜てもらうかわりに、〜する)、部屋やアルバイトの広告を見て「〜かわりに、〜」でいい点と悪い点を一文にまとめさせる。最後に、友達の相談に別の案を出す一言(〜かわりに、〜たらどう?)と、条件を付ける一言(いいよ。その代わり、〜てね)を言わせる。

  1. 口頭物のキュー(ペン→鉛筆・砂糖→はちみつ・バター→油)で「Nのかわりに〜」、行動のキュー(タクシーに乗る→バスに乗る・エレベーターに乗る→階段を使う・電話する→メッセージを送る)で「Vるかわりに〜」を全員で言わせる。続けて天びんのカード(広い/駅から遠い・給料がいい/休みが少ない・家賃が安い/建物が古い)で、いい点と悪い点を「〜かわりに」でつなぐ文を個人に言わせる。
  2. ペア「交換の約束」。AとBに違うカードを渡す(Aは「料理が得意・日本語の会話の相手がほしい」、Bは「日本語が話せる・料理を習いたい」)。お互いのカードは見せずに話し、「〜てもらうかわりに、〜」で約束を一つまとめる。次に部屋の広告を一枚ずつ持たせ、相手に自分の広告を「〜かわりに、〜」で説明させて、どちらの部屋に住みたいかを決めさせる。役とカードを替えてもう一度。
  3. 産出「交換掲示板」。学生が自分のできることと手伝ってほしいことを「〜を教えてもらうかわりに、〜を教えます」の形でカードに書いて教室に貼り、相手を探して約束の会話をする。教師が見るのは、名詞のあとの「の」が落ちていないか、「〜のに」や中級の「〜わりに」と混ざっていないか、取り替えのつもりの文が交換の約束として伝わっていないか。

つまずきと手当て

  • 名詞のあとの「の」を落とす(*ペンかわりに鉛筆で書く)。名詞は「Nのかわりに」、動詞・形容詞はそのままつなぐと、形の表で確かめる
  • 「〜わりに」(その程度から考えると思ったより)のつもりで使う(*たくさん勉強したかわりに、点が悪かった)。「かわりに」は取り替えるか二つがつり合う関係を言う形なので、「勉強したのに」に直し、「〜わりに」は中級で学ぶ別の形だと添える
  • 取り替えと交換を取り違えて、違う約束が伝わる(「料理を作るかわりに、掃除をしてね」は、料理は私がするから掃除はあなたが、という交換の約束になる)。後ろの文が「Aをしない」ことを言っているか、「Aのお返し」を言っているかを確かめさせる

既習の文型との違い

  • 〜ないで、…(初級Ⅰ 第12課)「コーヒーを飲まないで、紅茶を飲む」は、Aをしないで別のBをするという言い方で、「コーヒーのかわりに紅茶を飲む」とほぼ同じことを言えます。ただし「かわりに」には、本来はAのはずだったという気持ちがはっきり出ます。また「〜ないで」には、交換や代償(いい点と悪い点のつり合い)の意味はありません。
  • 〜うえに…だ(第10課)「この部屋は広いうえに、駅に近い」はいい点にいい点を重ねる言い方で、「広いかわりに、駅から遠い」はいい点と悪い点がつり合う言い方です。学習者が「広いかわりに、駅に近い」と言うと、つり合いの関係がなく不自然になります。二つの部屋の広告を並べ、重なっているのか、つり合っているのかを言い分けさせます。
関連する文型

学習項目 4 〜にかわって…が

意味・はたらき学習項目 4

「N1にかわって、N2が〜する」は、本来N1がするはずのことを、N2が代わりにする(代理)という意味です。N1は、その役目を持っている人(担当者・社長・先生・司会など)で、病気や留守などでその人ができないときに使います。後ろの「が」は、だれが代わりにするのかを新しく知らせる働きをしていて、「私が」「森が」のように代わりにする人が来ます。あいさつ・案内・会議など改まった場面の言い方で、会話では「Nのかわりに」、さらにくだけると「(私が)代わりに〜する」と言うのがふつうです。学習項目3の「かわりに」が物や行動を取り替える・つり合わせるのに対して、「にかわって」は人が本来の人の役目を引き受けることに中心があります。社会の移り変わりを言う文(手紙にかわって、メールが使われるようになった)では、人以外も入ります。

接続

N1(人・役目)+にかわって、N2+が+V(改まった話し言葉は「にかわりまして」、書き言葉は「にかわり」、名詞の前は「にかわるN」:石油にかわるエネルギー。漢字で書くと「代わって」)

形
N1にかわって、N2が〜する(部長にかわって、私が乾杯のあいさつをします)N1にかわりまして、N2が〜(担当の森にかわりまして、私がご案内いたします)Nのかわりに、〜(会話:先生のかわりに、私が出席します)N1にかわって、N2が〜ようになる(人にかわって、機械が荷物を運ぶようになった)

導入

  • 役目のバトンを渡す教師が「今日は、担当の先生が病気でお休みです」と言い、胸に「担当」の名札を付け替えて「担当の先生にかわって、私が授業をします」と言う。板書は「[本来の人]にかわって、[代わりにする人]が [V]」の枠にし、「が」の前の人を赤で囲む。役目のカード(司会・店長・クラスの代表)と人のカードを組み合わせて言わせる。
  • 「かわりに」と並べて、場面で選ぶ「ペンのかわりに鉛筆で書く」「部長のかわりに私が出席します」「部長にかわって私がごあいさつします」を並べ、どれが物の取り替えで、どれが人の役目の引き受けかを聞く。人の代理は「のかわりに」でも言えるが、会議やあいさつのような改まった場面では「にかわって」になることを、場面の絵(友達との会話・会議・式)を指しながら確かめる。

板書案

[本来の人]に かわって、[代わりにする人]が V
部長 に かわって、私 が 乾杯の あいさつを します。
担当の 森 に かわりまして、私 が ご案内いたします。(改まった場面)
〔赤〕「が」の前の人を囲む 〔青〕名札を付け替える絵
物・行動の取り替え → の かわりに / 人の役目の引き受け → に かわって

場面と発話(自作)

  • 会社の会議で、出張中の課長が報告するはずだった計画を、若い社員が報告する。出張中の課長にかわって、私が新しい計画についてご報告します。
  • 大学の学園祭で、司会の学生が急に来られなくなり、別の学生がマイクを持つ。司会の佐藤にかわりまして、ここからは私が進めさせていただきます。
  • 授業の発表で、留学生が日本の工場の働き方の変化について話す。最近は、人にかわって、ロボットが重い部品を運ぶようになりました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

役目のカード(司会・担当者・店長・クラスの代表)と、その人ができない理由のカード(病気・出張・急用)を引かせ、「〜は〜ので、〜にかわって私が〜」と言わせる。次に同じ内容を、友達との会話(〜のかわりに/私が代わりに)と改まったあいさつ(〜にかわりまして)で言い分けさせる。最後に、目標の活動に向けて、友達の困りごとに「私が代わりに〜しようか」と申し出る形を練習し、友達には「にかわって」より「代わりに」が自然なことを確かめる。

  1. 口頭役目のカードと人のカードを組み合わせてキューを出す → 全員で「〜にかわって、〜が〜」。キューの例は「司会・佐藤→私・進める」「担当・森→私・案内する」「店長→副店長・説明する」「クラスの代表→私・あいさつする」。次に教師が「改まった場面」の札を上げたら「にかわりまして」に、「友達」の札を上げたら「私が代わりに〜」に言い換えさせる。
  2. ペア「代理の連絡」。Aは病気で来られない担当者の役で、Bに用件のメモ(会議で何を報告するか)を口で伝える。Bはクラスの前に立ったつもりで「〜にかわって、私が〜をご報告します」とあいさつし、Aはメモと内容が合っているかを確かめる。交替のときは場面を友達どうしに替え、「私が代わりに〜しようか」と申し出る言い方にさせる。
  3. 産出「代理あいさつリレー」。グループで式・会議・学園祭のどれかを選び、来られなくなった人の代わりに話す一言あいさつの原稿を作って、一人ずつ順に発表する。教師が見るのは「に」と「の」の取り違え、代わりにする人を「が」で言っているか、自分の側の人に「さん」を付けていないか、友達との会話で硬すぎる言い方になっていないか。

つまずきと手当て

  • 「に」と「の」を取り違える(*部長のかわって説明します/*部長にかわりに説明します)。「Nのかわりに」と「Nにかわって」はそれぞれ組になった形だと、二つを上下に書いて覚えさせる
  • 代わりにする人を言わない(会議で「課長にかわって報告します」だけで、知らない人が多い場では、だれが話すのかが伝わりにくい)。改まった場面では「私が」「森が」と、代わりにする人を「が」ではっきり言うと、枠の赤い囲みに戻って確かめる
  • 社外の人の前で、自分の側の人に「さん」や敬語を付ける(お客様に「店長の川口さんにかわって」)。誤りではないが、改まった場面では自分の側の人は「店長の川口にかわりまして」と言うことを、初級の敬語の課とつなげて示す

既習の文型との違い

  • 〜は…に―を〜てもらいました(初級Ⅰ 第14課)「部長に案内してもらいました」は部長が案内した文で、「部長にかわって私が案内します」は私が案内する文です。どちらも「部長に」と「に」が付くので、学習者はだれが動くのかを取り違えやすくなります。板書で「が」の前の人を囲み、動くのはその人だと確かめさせます。
  • お〜いたします/ご〜いたします(初級Ⅱ 第37課)「にかわりまして」は改まった場面の言い方なので、後ろも「ご説明いたします」「ご案内いたします」のような謙譲の形と組みやすくなります。「にかわりまして、私が案内するよ」のように後ろだけくだけると、前と後ろで丁寧さがそろいません。あいさつの原稿では、前と後ろの丁寧さが合っているかを一緒に見させます。
関連する文型

学習項目 5 〜ほうがいい

意味・はたらき学習項目 5

初級で習った形の復習です。この課では、相談された問題に対してどのくらいの強さでアドバイスするかを選ぶ中で使います。「Vたほうがいい」「Vないほうがいい」は、話し手が二つを比べて、こちらがいいとはっきりすすめる言い方で、言い切ると強く、目上の人には押しつけに聞こえることがあります。「〜たらどうですか」は相手に考えてもらう提案で少しやわらかく、「〜てみたら?」はさらに軽い言い方です。逆に、より強いほうには学習項目2の「〜しかない」があり、文の終わりに「〜と思います」「〜かもしれません」を付けると、どの形も一段やわらかくなります(この課の題のように「〜させたほうがいいと思います」と使役と組み合わせることもできます)。

接続

V(た形)+ほうがいい/V(ない形)+ないほうがいい(「辞書形+ほうがいい」は、一般的にどちらがいいかを言うときに使われることが多い)。提案は V(た形)+らどうですか/らいかがですか

形
Vたほうがいい(一度、病院で診てもらったほうがいいよ)Vないほうがいい(疲れているときは、無理をしないほうがいいですよ)Vたらどうですか/Vてみたら?(先生に相談してみたらどうですか)〜ほうがいいと思います/〜ほうがいいかもしれません(やわらげる)

導入

  • アドバイスの強さのものさし黒板に横線を一本引き、左から「〜てみたら?」「〜たらどうですか」「〜たほうがいいと思う」「〜たほうがいい」「〜しかない」と並べる。「最近よく眠れない」という相談のカードに、学生にそれぞれの強さで答えさせ、どの言い方がどの相手(友達・先輩・先生)に合うかを線の上に印で付けさせる。
  • 相手を替えて言い直す「病院に行ったほうがいいですよ」を、同じ悩みを持つ友達・アルバイトの先輩・先生の三人に言う場面に替えて言い直させる。友達には「行ったほうがいいよ」、先輩には「行ったほうがいいと思いますよ」、先生には「一度、病院で診てもらってはいかがですか」のように、相手が上になるほど強さを下げると板書で見せる。

板書案

弱い ←――――――――――――――→ 強い
〜てみたら?/〜たらどうですか/〜たほうがいいと思う/〜たほうがいい/〜しかない
病院に 行った ほうが いいよ。(友達に)
一度、病院で 診てもらっては いかがですか。(先生に)
〔赤〕た形・ない形 〔青〕相手(友達・先輩・先生)の印を線の上に

場面と発話(自作)

  • せきが止まらないのに、アルバイトを休もうとしない友達に、留学生が言う。顔色も悪いし、今日は休んで病院に行ったほうがいいよ。
  • 会話に自信がなくて授業中に発言できないと悩んでいる後輩に、先輩がアドバイスする。まず、授業の前に言いたいことを一つメモしてみたらどう?
  • 毎晩遅くまで国の家族と電話をして寝不足だという友達から、相談を受ける。夜中に長く話さないほうがいいと思うよ。週末の昼に話したらどうかな。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

相談のカード(眠れない・お金が足りない・ルームメイトがうるさい)を引かせ、強さのものさしの上の形を一つ選んでアドバイスさせる。次に相手のカード(友達・先輩・先生)を替えて、同じ内容を強さを変えて言い直させる。最後に、「〜ことはない」で安心させてから「〜たらどうですか」で提案し、必要なら「〜しかない」で道を示す、という三段のアドバイスを一人ずつ作らせる。

  1. 口頭相談のカード(よく眠れない・お金が足りない・ルームメイトがうるさい・日本語の会話が上手にならない)と、強さの札(弱・中・強)を使う。教師が相談を読んで札を上げると、全員がその強さの形(弱=〜てみたら?/中=〜たらどうですか・〜たほうがいいと思う/強=〜たほうがいい)で答える。次に「ないほうがいい」の札を足し、否定のアドバイスも個人に言わせる。
  2. ペアAは相談する人で、相手カード(友達・アルバイトの先輩・先生)を引いて自分の立場を伝えてから相談する。BはAの立場に合わせて強さを選んでアドバイスし、Aは「ちょっと強い」「ちょうどいい」と返す。合わなかったときは、Bが「〜と思います」を付けるか形を替えて言い直す。3枚で交替。
  3. 産出「お悩み相談室ロールプレイ」(目標の活動)。悩みのカードを持つ人と、相談を受ける人のペアで、①気持ちを受け止める一言 ②「〜ことはない」で安心させる ③「〜かわりに〜たらどう?」で案を出す ④必要なら「〜しかない」 ⑤「〜ほうがいいと思う」でまとめる、の順に話す。教師が見るのは、た形・ない形が正しいか、相手に合った強さを選んでいるか、先生への言い切りになっていないか。

つまずきと手当て

  • 「ないほうがいい」を過去の形にする(*行かなかったほうがいい)。否定は「ない形+ほうがいい」のままだと、「行ったほうがいい/行かないほうがいい」を上下に並べて確かめる
  • 目上の人に言い切りで言う(先生に「早く帰ったほうがいいですよ」)。誤りではないが、上から決めているように聞こえるので、「〜てはいかがですか」「〜と思います」でやわらげるか、「お疲れのようですね」と気づかう一言にとどめると示す
  • 「〜たらどうですか」を強い調子で言って、責めているように聞こえる(「自分で調べたらどうですか」)。言い方と場面で、提案にも非難にもなることを、同じ文を二通りの調子で読み比べて見せる

既習の文型との違い

  • …ほうがいいです(初級Ⅰ 第18課)初級では「Vたほうがいい」を一つの文型として練習しました。この課では形は同じまま、アドバイスの強さのものさしの上の一つの点として扱い、「〜と思います」「〜かもしれません」を付けて強さを下げたり、相手によって「〜たらどうですか」に取り替えたりします。新しく覚えるのは形ではなく、選び方だと伝えます。
  • 〜と思います(第12課)第12課では「〜と思います」を自分の意見を言う形として使いました。この課では「〜ほうがいいと思います」と組み合わせ、アドバイスをやわらげる働きとして使います。同じ「〜と思います」でも、意見を言うときと、すすめる強さを下げるときとで働きが違うことを、二つの文を並べて見せます。
  • 〜てみます(初級Ⅱ 第27課)「〜てみたら?」は、試しにする意味の「〜てみる」に「たら」を付けた提案で、「試しにやってみるのはどう」という軽さが出ます。「〜たらどう?」より押しつける感じが弱いので、友達の悩みに最初に返す一言として使わせます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の目標の場面で使う語は、悩みを言う語(悩む・困る・心配する・落ち込む・寝不足)、アドバイスをする語(相談する・すすめる・提案する・様子を見る・無理をする)、相手の気持ちに関わる語(安心する/安心させる・気にする・気を使う)の三つのかたまりに分けると扱いやすくなります。単語だけで覚えさせず、「そんなに気にすることはない」「無理をしないほうがいい」「家族を安心させたほうがいい」のように、この課の学習項目と組み合わせた形で練習します。「安心させる」は初級で習った使役の形で、アドバイスの中で「だれを安心させるか」を言うと、すすめる理由になることを一度取り上げます。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 安心する(あんしんする) 心配がなくなって、落ち着いた気持ちになります。 ほっと〜・家族を〜させる
    入院していた祖父が退院したと、母から電話があった。
    「よかった。それを聞いて安心したよ。」
  • 心配する(しんぱいする) 悪いことが起きないかと、気になって落ち着かない気持ちになります。 将来を〜・家族が〜
    明日の面接がうまくいくか不安だという友達に言う。
    「たくさん練習したんだから、そんなに心配することはないよ。」
  • 落ち込む(おちこむ) 悪いことがあって、元気がなくなります。 結果に〜・すっかり〜
    スピーチ大会で一回まちがえた留学生を、クラスメートがはげます。
    「一回まちがえただけで、そんなに落ち込むことはないよ。」
  • 悩む(なやむ) どうしたらいいか分からなくて、長い間考えます。 進路に〜・一人で〜
    国へ帰るか日本で働くか決められない後輩に、先輩が言う。
    「一人で悩むことはないよ。いつでも話を聞くから。」
  • 相談する(そうだんする) 困ったことについて、ほかの人に話して意見を聞きます。 先生に〜・友達と〜
    アルバイトとゼミの時間が重なって困っている友達に言う。
    「担任の先生に相談してみたらどう?」
  • 無理をする(むりをする) 体や気持ちが続かないほど、がんばりすぎます。 〜して働く・あまり〜しない
    熱があるのにアルバイトに行こうとしている友達に言う。
    「熱があるなら、無理をしないほうがいいよ。」
  • 様子を見る(ようすをみる) すぐに何かをしないで、しばらくどうなるかを見ます。 しばらく〜・二、三日〜
    少しせきが出るが、病院へ行くほどか迷っている友達に言う。
    「薬を飲んで、二、三日様子を見たらどうですか。」
  • 気にする(きにする) 小さなことが心配で、いつまでも考えてしまいます。 人の目を〜・失敗を〜
    会議で言いまちがえたことを、ずっと考えている新人に先輩が言う。
    「だれも覚えていないから、そんなに気にすることはないよ。」
  • 寝不足(ねぶそく) 寝る時間が足りないことです。 〜になる・〜が続く
    夜遅くまでアルバイトをして、授業中に眠くなる友達に言う。
    「寝不足が続いているなら、平日のアルバイトを減らしたほうがいいよ。」
  • 代わる(かわる) ある人がするはずのことを、別の人がします。 担当が〜・私が〜
    体調が悪そうな同僚が、これから受付の当番に行こうとしている。
    「顔色が悪いですよ。今日は私が代わりましょうか。」
  • 引き受ける(ひきうける) 頼まれた仕事や役目を、自分がすると言います。 仕事を〜・司会を〜
    学園祭の司会の学生が急に来られなくなり、実行委員が集まっている。
    「佐藤さんにかわって、私が司会を引き受けます。」
  • 提案する(ていあんする) 「こうしたらどうか」という考えを、ほかの人に出します。 新しい方法を〜・会議で〜
    サークルの連絡が紙でよく届かないので、会議で話し合っている。
    「紙のかわりに、メールで連絡することを提案します。」

宿題と次のコマ

宿題は、ロールプレイで出た悩みの一つを選び、相談した人に返事のメッセージ(200字程度)を書くこと。「〜ことはない」で安心させる一文、「〜かわりに」か「〜しかない」で案を出す一文、「〜ほうがいいと思う」でまとめる一文を必ず入れる。次のコマの最初に何人かに読んでもらい、アドバイスの強さが相手に合っているかをクラスで確かめてから、第15課の予報・予測の表現(〜から〜にかけて・〜おそれがある)に入ります。アドバイスの強さのものさしは、第15課の「〜おそれがある」のような注意をうながす言い方とも比べられるので、ノートに残しておかせます。

よくある質問

  • 「〜かわりに」と「〜にかわって」の違いは何ですか?

    「〜かわりに」は、物や行動を別のものに取り替える(ペンのかわりに鉛筆)か、二つのことをつり合わせる(手伝ってもらうかわりにおごる・広いかわりに遠い)ときに使います。「〜にかわって…が」は、本来その役目を持つ人ができないときに、別の人がその役目を引き受けるという意味で、会議やあいさつのような改まった場面の言い方です。人の代理は「〜のかわりに」でも言えますが、改まった場面では「〜にかわって」「〜にかわりまして」になります。板書で、取り替えの天びんの絵と、名札を付け替える絵を並べて見せると分かれます。

  • 「〜ことはない」と「〜なくてもいい」はどう違いますか?

    「〜なくてもいい」は決まりや許可として「しなくてもかまわない」と伝える形で、質問への答えにも使えます。「〜ことはない」は、相手が心配していることやしようとしていることを見て「そこまでする必要はない」と打ち消し、安心させる言い方です。許可を聞かれた答えに「〜ことはない」を使うと強く響くので、答えには「〜なくても大丈夫です」を使わせます。前が辞書形で、経験の「〜たことはない」とは別の形だということも一緒に確かめます。

  • アドバイスの強さはどう教えればいいですか?

    黒板に一本の線を引き、弱いほうから「〜てみたら?」「〜たらどうですか」「〜たほうがいいと思う」「〜たほうがいい」「〜しかない」と並べた「ものさし」を作ります。同じ相談に、相手(友達・先輩・先生)を替えて答えさせ、相手が上になるほど弱いほうを選ぶことを体験させます。「〜しかない」は、ほかの方法がないときにだけ使う一番強い言い方だと、方法を一つずつ消す導入で見せておきます。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は導入と「〜ことはない」「〜しかない」、「〜かわりに」の取り替えの意味まで。2コマ目は「〜かわりに」の交換・代償、「〜にかわって…が」、「〜ほうがいい」の強さの比べ、目標のロールプレイとまとめです。「〜かわりに」と「〜にかわって」の区別が弱いクラスでは、2コマ目の初めに二択の問題を5分入れてから先に進みます。

  • 「〜かわりに」の板書はどう組みますか?

    上の段に「Aのかわりに B(取り替え:Aはなくなる)」の枠と、物を取り替える例を書きます。下の段に天びんの絵を描き、左の皿にA、右の皿にBを書いて「Aかわりに B(交換・代償:AもBもある)」の枠にします。名詞のあとの「の」は赤で書き、動詞や形容詞にはそのまま付くことを、上下の枠を比べて見せます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。