日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 初中級 第7課「男性より女性のほうがたくさん買いに来たということです」の教案

『学ぼう!にほんご 初中級』

ニュース・天気予報・お知らせ・人からの伝言など、自分が直接見たのではなく、聞いたり読んだりした話を、出どころを示してほかの人に正確に伝える課です。初級で習った伝聞の「〜そうです」を土台に、出どころを先に示す「〜によると」と、伝言や報道で多い少し硬い文末「〜ということだ」を足し、「どこで聞いたか(〜によると)+何を聞いたか(普通体)+聞いた話だという印(〜そうだ・〜ということだ・〜らしい)」の三つを一つの枠として教えます。いちばんのつまずきは、聞いたときの丁寧体の「です・ます」を残したまま「〜ですそうです」と言ってしまうことなので、伝える前に普通体に直す手順を毎回声に出して確かめます。最後は、学校や職場で聞いたお知らせを、その場にいなかった人に落とさず伝え直す活動で締めます。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目3時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 「〜によると」で情報の出どころを先に示し、文末を「〜そうだ」「〜ということだ」「〜らしい」で結んで、聞いた話だとわかるように言える
  • 聞いた丁寧体の文(〜ます・〜ません・〜です・〜でした)を普通体に直してから、伝聞の文末につなげられる
  • 友達との会話では「〜そうだ」「〜って」、職場の伝言やニュースの紹介では「〜ということだ」と、場面に合わせて文末を選べる
  • 電話の伝言や学校のお知らせを聞いて、時間・場所・頼まれたことを落とさずにほかの人へ伝え直せる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(目標の場面)15分教師が「さっき事務室で聞いたんですが……」と、休講や行事の変更のお知らせを話し始め、「聞いた話をほかの人に伝えるとき、何に気をつけますか」と学生に聞く。出てきた答えを「どこで聞いたか・何を聞いたか・聞いた話だという印」の3つにまとめて板書の枠にする。初級の伝聞「〜そうです」を学校のお知らせの絵で2〜3問復習しておく
学習項目1 〜によると…30分天気予報・ニュース・掲示・人の話の絵カードで、枠の左に「[出どころ]によると」の列を作る。文末は必ず聞いた話の印で閉じること、自分の意見には使わないことを、言い切りの文と比べて見せる
学習項目2 〜ということだ35分電話の伝言メモとニュース原稿ふうの短い文で導入し、「〜そうだ」とほぼ同じ意味だが少し硬く、伝言・報道で多いことを確かめる。頼まれたこと(〜てください)をそのまま入れて伝えられる点を、「そうだ」と並べて板書する
学習項目3 〜そうだ30分初級の復習として、丁寧体の吹き出しを普通体に直してから「そうだ」を付ける2段の練習に絞る。様態の「〜そうだ」との形の違い、過去・否定の形にならないことも確かめる
文末の選び分け20分場面カード(友達との雑談・上司への伝言・ニュースの紹介・うわさ話)を引かせ、「〜そうだ」「〜ということだ」「〜らしい」「〜って」のどれで伝えるかを選ばせる。どれも誤りではない場面と、硬すぎ・くだけすぎになる場面を分けて話し合う
目標の活動40分伝言リレー。教師が列の先頭の学生だけにお知らせ(日時・場所・持ち物・頼みごとを含む)を読み、メモを取らせて次の人へ「〜によると」「〜ということです」で伝えさせる。最後の人が黒板に書いた内容と元のお知らせを比べ、どこで何が落ちたかを確かめる
まとめ10分伝えるときの手順「出どころを言う→普通体に直す→文末を選ぶ」をもう一度板書で振り返り、宿題を説明する

学習項目 1 〜によると…

意味・はたらき学習項目 1

情報をどこから得たか(出どころ)を文の最初に示す言い方です。ニュース・天気予報・新聞・調査・人の話など、話し手が自分で見たり確かめたりしたのではない情報に使い、文末は「〜そうだ」「〜ということだ」「〜らしい」のような、聞いた話だとわかる形で結ぶのが基本です。出どころを先に言うので、聞く人は「これは話し手の意見ではなく、聞いた話だ」と最初からわかります。文末の「〜らしい」は聞いた話をもとにした推量で、出どころがはっきりしないうわさや、話し手が内容に自信を持てないときに多く、名詞には「だ」を付けずに「休みらしい」と言います。少し硬い「〜によれば」、ニュースで使う丁寧な「〜によりますと」もあります。

接続

名詞(情報の出どころ)+によると、…普通体+そうだ/ということだ/らしい(人が出どころのときは「Nさんの話によると」がより自然)

形
Nによると、〜そうだNによると、〜ということだNによると、〜らしいNによれば、〜(やや硬い)/Nによりますと、〜ということです(ニュース)

導入

  • 出どころのカードで枠を作る駅の放送・新聞・スマホのニュース・掲示板・人の顔の5枚の絵カードを黒板に貼る。教師が駅の放送のカードを指して「駅の放送によると、事故で電車が20分ぐらい遅れるそうです」と言い、板書は「[出どころ]によると、[聞いた内容(普通体)]+そうです」の枠にする。カードを替えて内容だけを学生に考えさせ、文末は必ず「そうです」で閉じさせる。
  • 自分の意見との違いを見せる同じ内容を教師が「電車が遅れると思います」と言い、「これはだれの考えですか」と聞く。「によると」のある文は話し手の考えではなく聞いた話であることを確かめ、自分の考えや自分で見たことには使わないと、枠の外に一行書いておく。

板書案

[出どころ]によると、[聞いた内容(普通体)]+そうです/ということです/らしいです
駅の放送によると、電車が20分ぐらい遅れるそうです。
先生の話によると、来週の授業は2階の教室だそうです。
〔赤〕によると 〔青〕文末(聞いた話の印)を丸で囲む
自分の考え → わたしは〜と思います(「によると」は使わない)

場面と発話(自作)

  • 朝、寮の玄関で、シャワーを浴びずに出かけようとしているルームメイトに声をかける。大家さんの話によると、きょうは昼から水道の工事で水が止まるそうだよ。シャワー、今のうちに浴びておいたら?
  • アルバイト先の休憩室で、ニュースアプリを見た店員が店長に話す。ニュースによると、駅前の道路が工事で来週から通れなくなるそうです。
  • 授業の前、先生から聞いた話を、遅れて来たクラスメートに伝える。先生の話によると、あしたの小テストは来週になったらしいよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

出どころのカード(天気予報・ニュース・掲示・先生の話・友達の話)と内容のカード(道路工事・電車の遅れ・休講・新しい店)を1枚ずつ引かせ、「〜によると、〜そうです」の一文にする。慣れたら文末を「ということです」「らしいです」に替えて言わせ、どれでも文が閉じることを体で覚えさせる。

  1. 口頭教師が出どころのカード(駅の放送・ニュース・新聞・掲示板・先生の話)と内容のキュー(「電車・遅れる」「図書館・休み」「スーパー・安い」)を出し、全体で「駅の放送によると、電車が遅れるそうです」と言わせる。次に出どころだけ、内容だけを替え、慣れたら文末を「ということです」「らしいです」に替える。最後はキューの語を消して絵だけで個人に言わせる。
  2. ペア情報差の練習。Aには「ニュースアプリの画面」、Bには「学校の掲示板」のカード(それぞれ情報が3つ)を渡し、相手に見せずに「〜によると、〜そうです」で伝え合う。聞いた側はメモを取り、3つ聞いたら交替。最後にカードとメモを並べて、落ちた情報がないか確かめる。
  3. 産出「きょうのニュース紹介」。学生が家で見たり読んだりしたニュースやお知らせから1つ選び、出どころ→内容→文末の順で30秒で紹介し、そのあと「わたしは〜と思います」で自分の意見を1文足す。教師が見るのは、文末が言い切りになっていないか、聞いた話と自分の意見を分けて言えているか、人が出どころのときに「〜さんの話によると」と言えているか。

つまずきと手当て

  • 「ニュースによると、駅前に新しい図書館ができます」のように文末を言い切りにする。出どころを示したのに話し手が断定しているように聞こえて落ち着かないので、「によると」と言ったら文末に「そうです」などを置く、と枠に戻して言い直させる
  • 「*わたしによると、この店がいちばんおいしいです」と自分の意見に使う。自分の考えは「わたしは〜と思います」で言い、「によると」は人や情報源から得た話だけに使うと区別させる
  • 「*ニュースによって、あの店は来月閉まるそうです」と「によって」と混同する。「によって」には「国によって習慣が違う」(違いのもと)や「この寺は〜によって建てられた」(受身の動作主)の使い方があり、出どころを示すのは「によると」だと例を並べて見せる

既習の文型との違い

  • 〜そうです 伝聞(初級Ⅱ 第32課)初級の「〜そうです」は文末だけで聞いた話だと示す形で、「〜によると」はそれに出どころを前から添える形です。「によると」だけでは文が終わらないので、学習者が「ニュースによると、駅前に新しい図書館ができます」と文末を言い切りにしたときは、「によると」と文末の印がセットだと枠に戻して確かめます。
  • 〜について…(第1課)「〜について」は話の題目や内容を示し(ニュースについて話す)、「〜によると」は情報の出どころを示します。学習者は両方を「〜のことで」くらいに覚えていて、「ニュースについて、駅前に新しい図書館ができるそうです」と言ってしまうことがあり、これでは出どころが言えていません。「何の話か」なら「について」、「どこで聞いたか」なら「によると」と、問いの形で分けます。
関連する文型

学習項目 2 〜ということだ

意味・はたらき学習項目 2

聞いた話や読んだ内容を、ほかの人に伝える文末です。意味は伝聞の「〜そうだ」とほぼ同じですが、少し硬く、職場や学校での伝言、ニュースや公的なお知らせの紹介でよく使います。テレビのニュースの「警察によりますと、〜ということです」がその典型です。「〜そうだ」と違って、頼まれたこと(〜てください・〜ないでください)をほぼそのまま中に入れて伝えられ、聞いた時点の話として「〜ということでした」と過去の形にもできます。なお「つまり、来られないということですね」のように相手の話をまとめて確かめる使い方もありますが、この課では伝聞を中心に扱います。

接続

普通体+ということだ(名詞・な形容詞は「Nだということだ」「Nということだ」のどちらも使う。「〜てください」などの頼む形もそのまま入る)

形
〜(普通体)ということですNだということです/Nということです〜てくださいということです(頼まれたことの伝言)〜ということでした(聞いた時点の話として)

導入

  • 電話の伝言メモを読み上げる黒板に電話の伝言メモの絵を描く(だれから・用件・時間)。教師が上司役の学生に向かって、メモを見ながら「山本さんから電話がありました。会議は3時からということです。資料を持ってきてくださいということでした」と伝える。同じことを「そうです」で言い直すとどうなるかを学生に聞き、意味は同じでも「ということです」のほうがきちんとした伝え方に聞こえることを確かめる。
  • ニュースの言い方に気づかせる教師が自作したニュース原稿ふうの短い文を2〜3本読み上げ、文末に「ということです」がくり返し出ることに気づかせる。プリントの「によりますと」と「ということです」に線を引かせ、報道ではこの組み合わせが決まった言い方になっていると説明する。

板書案

〜(普通体)+ということです
山本さんから電話がありました。会議は3時からだということです。
資料を持ってきてくださいということでした。
〔赤〕ということです 〔緑〕頼みごと(〜てください)を四角で囲む
友達には → 〜だって/〜だそうだよ  職場・ニュース → 〜ということです

場面と発話(自作)

  • 会社で、席を外していた先輩に、取引先からの電話の内容を伝える。佐藤さんの会社から電話があって、打ち合わせをあしたの10時に変えてほしいということです。
  • 日本語学校で、担任の先生の代わりに受付の職員が学生に連絡する。石井先生は熱があって、きょうはお休みだということです。授業の時間は自習をしてくださいということでした。
  • 夜のテレビのニュースで、アナウンサーが交通事故について伝える。警察によりますと、けがをした人はいないということです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

伝言メモ(だれから・何を・いつまでに)を配り、ペアの一人がメモを見ながら「〜から電話があって、〜ということです」と伝え、もう一人が聞いた内容をメモに書き取る。慣れたらメモに「〜てください」「〜ないでください」の頼みごとを入れ、「〜てくださいということです」の形まで使わせる。

  1. 口頭伝言メモの絵(「山本さん・会議は3時から」「受付・荷物が届いた」「先生・あした辞書を持ってくる」)を見せ、全体で「〜から電話があって、〜ということです」と言わせる。次に頼みごとの入ったメモで「〜てくださいということです」の形を言わせる。同じメモを「そうです」でも言い直させ、頼みごとは「〜てほしいそうです」になることを口で確かめる。
  2. ペア「電話を受けた人」と「席にいなかった人」。Aが伝言メモ(だれから・用件・時間・頼みごと)を見ながら伝え、Bはメモを見ずに聞いて書き取り、最後に時間と頼みごとを「3時からですね」「資料ですね」と言って確かめる。メモを替えて交替し、2回目は相手を上司にして文末を丁寧に保たせる。
  3. 産出「留守番の伝言ロールプレイ」。学生が場面カード(会社・学校の事務室・アパート)を引き、受けた電話の内容を、上司・先生・同じ部屋の友達に伝える。教師が見るのは、聞いた文を普通体に直せているか(「*3時からですということです」になっていないか)、相手に合った文末を選べているか(上司には「ということです」、友達には「だって」)、日時・数字・頼みごとが落ちていないか。

つまずきと手当て

  • 親しい友達との会話で「あしたは休講ということです」と言い、かたく聞こえる。誤りではないので印は付けず、友達には「休講だって」「休講だそうだよ」が自然だと、場面カードで言い分けさせる
  • 「*会議は3時からですということです」と、聞いたときの「です」を残す。伝える中身は普通体に直す(「3時からだ」→「3時からだということです/3時からということです」)と板書で示し、丁寧さは文末の「です」だけが受け持つと確かめる
  • 頼まれたことを「*資料を持ってきてくださいそうです」と「そうです」で伝える。「そうだ」の前には頼む形や命令の形は入らないので、頼まれたことは「〜てくださいということです」か「〜てほしいそうです」で伝える、と2つの形を並べて見せる

既習の文型との違い

  • 〜そうです 伝聞(初級Ⅱ 第32課)意味はほぼ同じですが、「ということだ」は硬く、伝言や報道に多い形です。形の上では、頼みごとをそのまま中に入れられる(〜てくださいということです)点と、「〜ということでした」と過去にできる点が「そうだ」と違います。学習者は伝言で「*持ってきてくださいそうです」と言いがちなので、頼みごとが入るときは「ということです」か「〜てほしいそうです」と2つの言い方を見せます。
  • 〜と言っていました(初級の引用)「〜と言っていました」は言った人を主語に立て、その人の言葉に近い形で伝えます。「〜ということです」は中身を伝えることが中心で、言った人を毎回言わなくても文が立ちます。学習者は「と言っていました」では普通体に直せるのに、「ということです」に替えると丁寧体を残すことがあるので、同じメモを両方で言わせて比べます。
関連する文型

学習項目 3 〜そうだ

意味・はたらき学習項目 3

初級で習った伝聞の「〜そうです」の復習です。聞いた話や読んだ情報を伝えるとき、普通体のあとに「そうだ」を付けます。この課では、「〜によると」と組み合わせて出どころをはっきりさせることと、伝える前に聞いた文を普通体に直すことの2つに絞って練習します。伝聞の「そうだ」は形が変わらない文末で、「〜そうだった」「〜そうではない」のような過去・否定の形にはならず、過去や否定は中身のほう(降らない・降った)で表します。見た目から判断する様態の「〜そうだ」(降りそうだ・おいしそうだ)とは前に来る形が違うので、並べて確かめます。

接続

普通体+そうだ(い形容詞は「寒いそうだ」と「だ」なし、名詞・な形容詞は「休みだそうだ」「便利だそうだ」と「だ」が要る)

形
Vる/Vない/Vた+そうだ(降るそうだ・降らないそうだ・降ったそうだ)いAい+そうだ(寒いそうだ・寒かったそうだ)Nだ/なAだ+そうだ(休みだそうだ・便利だったそうだ)〜って(親しい人との話し言葉。「休みだって」)

導入

  • 丁寧体を普通体に直してから伝える教師が「先生がこう言いました」と吹き出しに丁寧体の文(「あしたは授業がありません」「先週の試験は簡単でした」)を書き、その横に空の矢印を描く。学生に矢印の先へ普通体(「授業がない」「簡単だった」)を書かせてから「そうです」を付けさせる。「直す→付ける」の2段を、毎回声に出させる。
  • 様態と伝聞を並べる混んだ道路の写真とバス会社のお知らせの絵を左右に貼る。写真を見て「バスが遅れそうです」、お知らせを聞いて「バスが遅れるそうです」と言い、どちらが見た話でどちらが聞いた話かを学生に答えさせる。形の違い(遅れ/遅れる、おいしそう/おいしいそう、元気そう/元気だそう)を2列で板書する。

板書案

聞いた文(丁寧体)→ 普通体に直す → +そうです
「休みです」→ 休みだ → 休みだそうです。
「行きません」→ 行かない → 行かないそうです。
いA:寒いそうです(だ なし) N・なA:休みだそうです・便利だそうです(だ あり)
〔青〕伝聞:バスが遅れるそうです 〔緑〕様態:バスが遅れそうです(2列で並べる)

場面と発話(自作)

  • 昼休み、新しくできた店に行った同僚の話を、別の同僚に伝える。高橋さんの話では、駅前の新しいラーメン屋、スープがすごくおいしいそうですよ。
  • ホームステイ先の家族に、学校で聞いたことを話す。来週の金曜日は学校の創立記念日で、授業がないそうです。
  • 寮の食堂で、友達に聞いたばかりの話をする。となりの部屋の人、来月国に帰るそうだよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

丁寧体の文カード(〜ます・〜ません・〜ました・〜です・〜でした)を1枚ずつ見せ、学生は「普通体に直す→そうです」を一息で言う。ときどき写真のカードを混ぜて、様態の「〜そうです」と言い分けさせる。最後に、ペアで聞いた相手の週末の予定を、別のペアに「〜さんは〜そうです」と伝えさせる。

  1. 口頭丁寧体の文カード(「あした来ます」「試験は簡単でした」「駅は遠くないです」「あさっては休みです」)を見せ、学生は「普通体に直す→そうです」を一息で言う。品詞を混ぜ、い形容詞と名詞の「だ」の有無で止まった語は全体で2〜3回くり返す。ときどき写真のカード(混んだ道路・ケーキ・重そうな荷物)を混ぜ、様態の形で言わせて切り替えを確かめる。
  2. ペア「週末インタビュー」。AがBに週末の予定と先週末にしたことを1つずつ聞いてメモを取り、次に隣のペアに「〜さんは、〜そうです」で伝える。聞いた答えが丁寧体なので、伝える前に必ず普通体に直す手順が入る。役を交替して同じことをする。
  3. 産出「クラスの最新情報」。3〜4人の班で、互いに聞いた話(国の今の天気・家族のこと・近所の店)を集め、班の代表が「〜さんの話によると、〜そうです」で全体に3つ発表する。教師が見るのは、丁寧体が残っていないか、い形容詞に「だ」を付けていないか、名詞の「だ」が落ちて様態の形になっていないか。友達どうしの発表なので「〜って」で言ってもよいことにする。

つまずきと手当て

  • 「*あしたは休みですそうです」「*行きませんそうです」と丁寧体のまま付ける。丁寧さは文末の「そうです」が受け持つので、中身は普通体に、と「直す→付ける」の2段に戻す
  • 「*おいしいだそうです」と、い形容詞に「だ」を付ける。反対に、名詞の「休みだそうです」の「だ」を落として「休みそうです」と言うと、「休む様子だ」という様態の別の意味になる。品詞ごとに色を分けて板書し、「だ」が要るのは名詞・な形容詞だけと確かめる
  • 「*バスが遅れるそうでした」と、聞いた時点の話を過去にしようとする。伝聞の「そうだ」は過去の形にならないので、聞いた内容が過去なら中身を「遅れたそうです」に変える。聞いたのが前のことだと言いたいときは「〜ということでした」「〜と言っていました」を使うと、学習項目2につなげる

既習の文型との違い

  • 〜そうです 様態(初級Ⅱ 第29課)様態は見た様子から判断する形で、動詞はます形から「ます」を取った形、い形容詞は「い」を取った形に付きます(降りそう・おいしそう)。伝聞は普通体にそのまま付きます(降るそう・おいしいそう)。様態は「おいしそうなケーキ」と名詞を修飾できますが、伝聞はできないので「*おいしいそうなケーキ」は誤りです。
  • 〜らしいです(初級Ⅱ 第33課)「らしい」は聞いた話や状況をもとにした推量で、話し手の判断が少し入り、出どころがはっきりしないうわさにも使えます。「そうだ」は聞いた中身をそのまま伝えるだけです。接続も違い、名詞には「休みらしい」と「だ」を付けず、「休みだそうだ」とは逆になるので、学習者の「*休みだらしい」が出たら2つを並べて直します。
関連する文型

語彙の扱い

この課の場面で要るのは、情報の出どころになる言葉(天気予報・ニュース・新聞・調査・お知らせ・うわさ)と、伝言で使う言葉(用件・変更・中止・延期・連絡)です。出どころの語は「〜によると」と、変更・中止の語は「〜になったそうです」「〜ということです」とセットで練習すると、そのまま伝言に使えます。語の一覧で意味を確かめたら、教室では一語ずつではなく伝言の一文の中で使わせます。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • 天気予報(てんきよほう) これからの天気がどうなるかを、テレビやスマホで知らせるものです。 〜によると・〜を見る・〜が当たる
    朝、出かける前に家族に話す。
    「天気予報を見てから、着ていく服を決めます。」
  • ニュース(にゅーす) 世の中で新しく起きたことを、テレビや新聞、インターネットで知らせるものです。 〜によると・〜で見る・〜を読む
    アルバイト先で、店長に交通のことを伝える。
    「ニュースによると、駅前の道が来週から通れなくなるそうです。」
  • お知らせ(おしらせ) みんなに知ってほしいことを、紙に書いたり話したりして伝えるものです。 学校の〜・〜を読む・〜が出る
    休んでいた友達に、掲示板のことを教える。
    「学校のお知らせによると、来週の水曜日は午前だけだって。」
  • 伝言(でんごん) その場にいない人に、ほかの人を通して伝えてもらう話です。 〜を頼む・〜を伝える・〜を残す
    席を外していた先輩が戻ってきた。
    「部長から伝言です。3時までに電話してほしいということです。」
  • 連絡します(れんらくします) 必要なことを、電話やメールなどでほかの人に知らせます。 先生に〜・あとで〜・メールで〜
    教室で、事務室から来た話をクラスに伝える。
    「事務室から連絡があって、あしたの授業は2階の教室だということです。」
  • うわさ(うわさ) 本当かどうかわからないまま、人から人へ伝わる話です。 〜を聞く・〜が広がる・〜によると
    寮の食堂で、友達と近所の店の話をする。
    「うわさによると、あのパン屋、来月閉まるらしいよ。」
  • 中止(ちゅうし) 予定していたことを、やらないことにすることです。 〜になる・試合が〜になる・〜のお知らせ
    雨の朝、ホームステイ先の家族に話す。
    「先生の話では、きょうの遠足は中止になったそうです。」
  • 延期(えんき) 予定していた日を、もっと後の日にずらすことです。 〜になる・来週に〜する
    テストの前の日、遅れて来たクラスメートに伝える。
    「あしたの小テスト、来週に延期になったんだって。」
  • 変更(へんこう) 一度決まっていた時間や場所などを、変えることです。 時間の〜・場所が〜になる・予定を〜する
    会社で、同僚に会議のことを伝える。
    「会議の場所が3階の部屋に変更になったそうです。」
  • 休講(きゅうこう) 先生の都合などで、決まっていた授業がなくなることです。 〜になる・〜のお知らせ
    大学の掲示板を見た学生が、友達にメッセージを送る。
    「掲示板によると、3時間目の経済は休講らしいよ。」
  • 調査(ちょうさ) 大勢の人に聞いたり調べたりして、本当のことを集めることです。 〜によると・〜をする・市の〜
    授業で、読んだ記事の内容を紹介する。
    「市の調査によると、自転車で通勤する人が増えているということです。」

宿題と次のコマ

宿題は、家族や友達、ニュースから聞いた話を3つ選び、「〜によると、〜そうです」「〜ということです」で書くこと(1つは、丁寧体で聞いた話を普通体に直して書く)。次のコマの最初に何人かに読ませ、普通体への直しと文末の選び方を確かめてから、第8課の「〜くらい…」「〜ほど…」に入る。

よくある質問

  • 「〜そうだ」「〜ということだ」「〜らしい」はどう使い分けさせればいいですか?

    3つとも聞いた話を伝える文末ですが、「そうだ」は中立でいちばん広く使え、「ということだ」は硬めで職場の伝言やニュースに多く、「らしい」は聞いた話をもとにした推量で、うわさや確かでない話に向きます。教室では、雑談・上司への伝言・ニュースの紹介・うわさ話の場面カードを引かせ、どれが自然かを選ばせると違いが体に入ります。どれも誤りではない場面があることも先に伝えておきます。

  • 「〜によると」のあとの文末は、必ず「そうだ」などにしなければいけませんか?

    出どころを示したら、文末も聞いた話の印(そうだ・ということだ・らしい)で結ぶのが基本です。言い切りにしても文法の誤りとまでは言えない場合がありますが、出どころを言いながら話し手が断定しているように聞こえて落ち着きません。初中級の段階では「によると」と文末の印をセットにして練習させるほうが、伝言で迷わなくなります。

  • 第7課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目で「〜によると」と「〜ということだ」まで、2コマ目で「〜そうだ」の復習と文末の選び分け、伝言リレーまでを扱います。初級の伝聞「〜そうです」が定着していないクラスでは、1コマ目の最初に普通体への直しの練習を15分ほど足してください。

  • 伝聞の「そうだ」と様態の「そうだ」を混ぜる学生にはどう教えますか?

    前に来る形で分けさせます。伝聞は普通体のまま(遅れるそう・おいしいそう・休みだそう)、様態はます形の「ます」や形容詞の「い」を取った形(遅れそう・おいしそう)です。混んだ道路の写真とバス会社のお知らせのように「見た話」と「聞いた話」の絵を左右に貼り、同じ動詞で両方を言わせると区別しやすくなります。

  • この課の板書はどう組めばいいですか?

    黒板の上に「どこで聞いたか(〜によると)+何を聞いたか(普通体)+聞いた話の印(そうだ・ということだ・らしい)」の3つの枠を最初に書き、課の終わりまで消さずに残します。学習項目ごとに、その枠のどこに入る形かを色で示し、丁寧体を普通体に直す矢印は「そうだ」の項目の横にまとめて書きます。最後の伝言リレーの答え合わせも、この枠に当てはめて行います。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。