ニュース・天気予報・お知らせ・人からの伝言など、自分が直接見たのではなく、聞いたり読んだりした話を、出どころを示してほかの人に正確に伝える課です。初級で習った伝聞の「〜そうです」を土台に、出どころを先に示す「〜によると」と、伝言や報道で多い少し硬い文末「〜ということだ」を足し、「どこで聞いたか(〜によると)+何を聞いたか(普通体)+聞いた話だという印(〜そうだ・〜ということだ・〜らしい)」の三つを一つの枠として教えます。いちばんのつまずきは、聞いたときの丁寧体の「です・ます」を残したまま「〜ですそうです」と言ってしまうことなので、伝える前に普通体に直す手順を毎回声に出して確かめます。最後は、学校や職場で聞いたお知らせを、その場にいなかった人に落とさず伝え直す活動で締めます。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(目標の場面) | 15分 | 教師が「さっき事務室で聞いたんですが……」と、休講や行事の変更のお知らせを話し始め、「聞いた話をほかの人に伝えるとき、何に気をつけますか」と学生に聞く。出てきた答えを「どこで聞いたか・何を聞いたか・聞いた話だという印」の3つにまとめて板書の枠にする。初級の伝聞「〜そうです」を学校のお知らせの絵で2〜3問復習しておく |
| 学習項目1 〜によると… | 30分 | 天気予報・ニュース・掲示・人の話の絵カードで、枠の左に「[出どころ]によると」の列を作る。文末は必ず聞いた話の印で閉じること、自分の意見には使わないことを、言い切りの文と比べて見せる |
| 学習項目2 〜ということだ | 35分 | 電話の伝言メモとニュース原稿ふうの短い文で導入し、「〜そうだ」とほぼ同じ意味だが少し硬く、伝言・報道で多いことを確かめる。頼まれたこと(〜てください)をそのまま入れて伝えられる点を、「そうだ」と並べて板書する |
| 学習項目3 〜そうだ | 30分 | 初級の復習として、丁寧体の吹き出しを普通体に直してから「そうだ」を付ける2段の練習に絞る。様態の「〜そうだ」との形の違い、過去・否定の形にならないことも確かめる |
| 文末の選び分け | 20分 | 場面カード(友達との雑談・上司への伝言・ニュースの紹介・うわさ話)を引かせ、「〜そうだ」「〜ということだ」「〜らしい」「〜って」のどれで伝えるかを選ばせる。どれも誤りではない場面と、硬すぎ・くだけすぎになる場面を分けて話し合う |
| 目標の活動 | 40分 | 伝言リレー。教師が列の先頭の学生だけにお知らせ(日時・場所・持ち物・頼みごとを含む)を読み、メモを取らせて次の人へ「〜によると」「〜ということです」で伝えさせる。最後の人が黒板に書いた内容と元のお知らせを比べ、どこで何が落ちたかを確かめる |
| まとめ | 10分 | 伝えるときの手順「出どころを言う→普通体に直す→文末を選ぶ」をもう一度板書で振り返り、宿題を説明する |
情報をどこから得たか(出どころ)を文の最初に示す言い方です。ニュース・天気予報・新聞・調査・人の話など、話し手が自分で見たり確かめたりしたのではない情報に使い、文末は「〜そうだ」「〜ということだ」「〜らしい」のような、聞いた話だとわかる形で結ぶのが基本です。出どころを先に言うので、聞く人は「これは話し手の意見ではなく、聞いた話だ」と最初からわかります。文末の「〜らしい」は聞いた話をもとにした推量で、出どころがはっきりしないうわさや、話し手が内容に自信を持てないときに多く、名詞には「だ」を付けずに「休みらしい」と言います。少し硬い「〜によれば」、ニュースで使う丁寧な「〜によりますと」もあります。
名詞(情報の出どころ)+によると、…普通体+そうだ/ということだ/らしい(人が出どころのときは「Nさんの話によると」がより自然)
出どころのカード(天気予報・ニュース・掲示・先生の話・友達の話)と内容のカード(道路工事・電車の遅れ・休講・新しい店)を1枚ずつ引かせ、「〜によると、〜そうです」の一文にする。慣れたら文末を「ということです」「らしいです」に替えて言わせ、どれでも文が閉じることを体で覚えさせる。
聞いた話や読んだ内容を、ほかの人に伝える文末です。意味は伝聞の「〜そうだ」とほぼ同じですが、少し硬く、職場や学校での伝言、ニュースや公的なお知らせの紹介でよく使います。テレビのニュースの「警察によりますと、〜ということです」がその典型です。「〜そうだ」と違って、頼まれたこと(〜てください・〜ないでください)をほぼそのまま中に入れて伝えられ、聞いた時点の話として「〜ということでした」と過去の形にもできます。なお「つまり、来られないということですね」のように相手の話をまとめて確かめる使い方もありますが、この課では伝聞を中心に扱います。
普通体+ということだ(名詞・な形容詞は「Nだということだ」「Nということだ」のどちらも使う。「〜てください」などの頼む形もそのまま入る)
伝言メモ(だれから・何を・いつまでに)を配り、ペアの一人がメモを見ながら「〜から電話があって、〜ということです」と伝え、もう一人が聞いた内容をメモに書き取る。慣れたらメモに「〜てください」「〜ないでください」の頼みごとを入れ、「〜てくださいということです」の形まで使わせる。
初級で習った伝聞の「〜そうです」の復習です。聞いた話や読んだ情報を伝えるとき、普通体のあとに「そうだ」を付けます。この課では、「〜によると」と組み合わせて出どころをはっきりさせることと、伝える前に聞いた文を普通体に直すことの2つに絞って練習します。伝聞の「そうだ」は形が変わらない文末で、「〜そうだった」「〜そうではない」のような過去・否定の形にはならず、過去や否定は中身のほう(降らない・降った)で表します。見た目から判断する様態の「〜そうだ」(降りそうだ・おいしそうだ)とは前に来る形が違うので、並べて確かめます。
普通体+そうだ(い形容詞は「寒いそうだ」と「だ」なし、名詞・な形容詞は「休みだそうだ」「便利だそうだ」と「だ」が要る)
丁寧体の文カード(〜ます・〜ません・〜ました・〜です・〜でした)を1枚ずつ見せ、学生は「普通体に直す→そうです」を一息で言う。ときどき写真のカードを混ぜて、様態の「〜そうです」と言い分けさせる。最後に、ペアで聞いた相手の週末の予定を、別のペアに「〜さんは〜そうです」と伝えさせる。
この課の場面で要るのは、情報の出どころになる言葉(天気予報・ニュース・新聞・調査・お知らせ・うわさ)と、伝言で使う言葉(用件・変更・中止・延期・連絡)です。出どころの語は「〜によると」と、変更・中止の語は「〜になったそうです」「〜ということです」とセットで練習すると、そのまま伝言に使えます。語の一覧で意味を確かめたら、教室では一語ずつではなく伝言の一文の中で使わせます。
宿題は、家族や友達、ニュースから聞いた話を3つ選び、「〜によると、〜そうです」「〜ということです」で書くこと(1つは、丁寧体で聞いた話を普通体に直して書く)。次のコマの最初に何人かに読ませ、普通体への直しと文末の選び方を確かめてから、第8課の「〜くらい…」「〜ほど…」に入る。
「〜そうだ」「〜ということだ」「〜らしい」はどう使い分けさせればいいですか?
3つとも聞いた話を伝える文末ですが、「そうだ」は中立でいちばん広く使え、「ということだ」は硬めで職場の伝言やニュースに多く、「らしい」は聞いた話をもとにした推量で、うわさや確かでない話に向きます。教室では、雑談・上司への伝言・ニュースの紹介・うわさ話の場面カードを引かせ、どれが自然かを選ばせると違いが体に入ります。どれも誤りではない場面があることも先に伝えておきます。
「〜によると」のあとの文末は、必ず「そうだ」などにしなければいけませんか?
出どころを示したら、文末も聞いた話の印(そうだ・ということだ・らしい)で結ぶのが基本です。言い切りにしても文法の誤りとまでは言えない場合がありますが、出どころを言いながら話し手が断定しているように聞こえて落ち着きません。初中級の段階では「によると」と文末の印をセットにして練習させるほうが、伝言で迷わなくなります。
第7課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目で「〜によると」と「〜ということだ」まで、2コマ目で「〜そうだ」の復習と文末の選び分け、伝言リレーまでを扱います。初級の伝聞「〜そうです」が定着していないクラスでは、1コマ目の最初に普通体への直しの練習を15分ほど足してください。
伝聞の「そうだ」と様態の「そうだ」を混ぜる学生にはどう教えますか?
前に来る形で分けさせます。伝聞は普通体のまま(遅れるそう・おいしいそう・休みだそう)、様態はます形の「ます」や形容詞の「い」を取った形(遅れそう・おいしそう)です。混んだ道路の写真とバス会社のお知らせのように「見た話」と「聞いた話」の絵を左右に貼り、同じ動詞で両方を言わせると区別しやすくなります。
この課の板書はどう組めばいいですか?
黒板の上に「どこで聞いたか(〜によると)+何を聞いたか(普通体)+聞いた話の印(そうだ・ということだ・らしい)」の3つの枠を最初に書き、課の終わりまで消さずに残します。学習項目ごとに、その枠のどこに入る形かを色で示し、丁寧体を普通体に直す矢印は「そうだ」の項目の横にまとめて書きます。最後の伝言リレーの答え合わせも、この枠に当てはめて行います。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。