天気予報や台風・大雨のニュースを聞いて、いつ・どこで・何が起きそうかをつかむことが目標の課です。課の題にある「午後3時現在」の「現在」は「その時刻の時点で」、「通過中」の「中(ちゅう)」は「その動きが続いている途中」を表し、どちらも報道で決まって使う言い方です。予報を聞き取る鍵は二つあり、一つは時間帯や地域の幅を言う「〜から〜にかけて」、もう一つは起きそうなことの言い方で、悪いことの可能性を硬く言う「〜おそれがある」、よくそうなる傾向を言う「〜がちだ」、根拠から当然そうなると判断する「〜はずです」(初級の復習)を聞き分け、自分でも使い分けられるようにします。授業は自作の短い予報・ニュース原稿を聞くことを中心に進め、最後は聞いた情報をもとに予定を立てて人に伝えるところまでつなげます。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(目標の場面) | 10分 | 「あしたの天気を、どうやって知りますか」と聞く。アプリの絵なら分かるが、ラジオ・駅や学校の放送・地域の防災無線は耳で聞き取るしかないと話し、この課は予報を聞く課だと予告する。自作の30秒ほどの予報を一度だけ聞かせて「いつ雨が降りますか」とだけ聞き、答えがばらばらになることを確かめてから、課の題の「現在」「〜中(ちゅう)」を板書する |
| 学習項目1 〜から〜にかけて… | 30分 | 黒板に一日を表す横長の帯(明け方・朝・昼前・昼過ぎ・夕方・夜)と簡単な地図を描き、聞こえた範囲に色を塗らせる。時間割の「〜から〜まで」のはっきりした矢印と並べて、境目がぼんやりしているかどうかで言い分ける |
| 学習項目2 〜おそれがある | 25分 | 大雨・台風のニュース原稿から「〜おそれがあります」を拾い、何が心配されているかを言わせる。「〜かもしれない」との文体の違いと、よいことには使わないことを確かめる |
| 学習項目3 〜がちだ | 25分 | 季節の健康情報の短い原稿から「〜がち」を拾い、自分の「ついそうなってしまうこと」を話す。第2課の「〜気味」と並べて違いを見せる |
| 学習項目4 〜はずです | 20分 | 学習項目1の帯の図に戻り、聞いた予報を根拠に「予報では〜から、〜はずです」と予測を言う。予報する人の「〜でしょう」と、聞いた人の「〜はずです」の役割を分ける |
| 目標の活動(聞き取り) | 30分 | 自作の天気予報と台風のニュースの原稿を2本聞き、「いつ・どこで・何が・どうなるおそれ」のメモ表を埋める。1回目は通して聞き、2回目は文ごとに止めて答え合わせをする |
| 目標の活動(伝える) | 30分 | メモをもとに、週末に予定のある友達や、あした出張する同僚に予報を伝え、「〜から〜にかけて雨が強くなるそうなので、〜はずです」と予定を相談するロールプレイ。時間があれば、ペアで短い予報原稿を書いてアナウンサーのように読み、ほかのペアが聞き取る |
| まとめ | 10分 | 四つの形の役割(範囲の幅・悪いことの可能性・よくある傾向・根拠のある予測)を一枚の表にまとめ、予報の文を2〜3文聞いてどの役割の表現かを言わせて終わる |
時間や場所のおおよその範囲を言う表現です。「AからBにかけて」で、Aのあたりで始まりBのあたりまでの幅の中で、あることが続いたり、あちこちで起きたりすることを表します。「〜から〜まで」が始まりと終わりをはっきり区切るのに対して、「〜にかけて」は境目がぼんやりしていて、その範囲にわたって、またはその範囲のどこかで起きることを言います。そのため、天気予報の時間帯(夕方から夜にかけて)や地域の広がり(関東から東北にかけて)、季節の傾向(6月から7月にかけて)によく使われ、営業時間や授業の時間のように時刻が決まっているものには使いません。
N(時・場所)+から+N(時・場所)+にかけて(名詞を説明するときは「〜にかけての+N」。「〜から」を言わずに「夜にかけて」とだけ言うこともある)
まず、教師が帯(時間)と地図(場所)のカードを出し、「〜から〜にかけて」で範囲を言わせる。次に、営業時間・授業・会議のような時刻の決まったカードを混ぜ、「まで」と「にかけて」のどちらが合うかを選ばせる。最後に、自作の予報を1文ずつ聞かせ、聞こえた範囲を帯と地図に書き込ませる。この項目は言う練習より聞いてつかむ練習に時間をかける。
好ましくないことが起きる可能性があることを表します。「〜かもしれない」と近い意味ですが、「おそれ」は「心配」「危険」の意味の名詞なので、後ろに来る内容は災害・事故・病気・遅れなどの悪いことだけです。また、ニュース・天気予報・役所や会社のお知らせ・注意書きなどで使う硬い言い方で、友達との会話では「〜かもしれない」「〜そう」を使うのが普通です。予報で「〜おそれがあります」と聞こえたら、「注意してください」という呼びかけだと受け取らせます。
V辞書形/Vない形+おそれがある、N+の+おそれがある(漢字では「恐れ」とも書く。「〜おそれもある」「〜おそれは少ない」の形でも使う)
まず、天気・交通・健康の絵カード(川・電車・凍った道路・夏の食べ物)を出し、そこで起きそうな悪いことを「〜おそれがあります」で言わせる(辞書形・ない形・Nの を混ぜる)。次に、同じ内容を友達に話す形(〜かもしれない)とお知らせの形(〜おそれがあります)に言い分けさせる。最後に、学校や寮の掲示板にはるつもりで、台風や大雪の日の注意のお知らせを2〜3文で書かせる。
「そうなることが多い」「そうなりやすい」という傾向を表します。多くは忘れる・遅れる・休む・病気になるなど好ましくないことに使い、話し手が意志でしているのではなく、つい・自然にそうなってしまう、という気持ちが入ります。天気(曇りがち)や季節の体調(冬は体を動かさなくなりがち)の話によく出て、「〜ので、気をつけましょう」と注意の文につながることが多いです。第2課の「〜気味」は「今、少しその様子がある」、「〜がち」は「何度もそうなる・そうなりやすい」で、見ている時間の長さが違います。
Vます形の語幹+がち(忘れがち・休みがち)、一部の名詞+がち(病気がち・曇りがち・留守がち)。な形容詞と同じように「〜がちだ/〜がちな+N(〜がちの+N とも言う)/〜がちに」と使う。い形容詞にはつかない
まず、教師が季節や場面のカード(冬・梅雨・試験の前・一人暮らし)を出し、そのとき起きやすいことを「〜がちです」で言わせる。次に、い形容詞(寒い・忙しい)や好ましいこと(よく勉強する)のカードを混ぜ、「がち」が合わないものを選ばせる。最後に、聞いた季節の健康情報をもとに「〜がちなので、〜ましょう」の注意を一言ずつ作らせ、予報のあとの一言コーナーのように読ませる。
初級で習った形の復習です。根拠(聞いた予報・決まっている予定・知っている事実)から考えて、当然そうなると話し手が判断していることを表します。この課では、予報やニュースで聞いた情報を根拠にして「だから〜はずだ」と予測を言い、予定を立てる場面に絞って使います。予報の文では「〜でしょう」「〜見込みです」が普通で、それを聞いた人が「予報では〜から、〜はずです」と自分の判断として言う、という役割の違いを押さえると、この課の四つの項目が一つの流れでつながります。予測が外れたときの「〜はずだったのに」にも少し触れます。
普通形+はずです(な形容詞は「〜なはず」、名詞は「〜のはず」。否定は「〜ないはずです」、可能性を強く打ち消すときは「〜はずがありません」)
まず、教師が自作の予報を1文聞かせ、続けて「では、〜時はどうですか」「〜できますか」と質問し、学生に「予報では〜から、〜はずです」で答えさせる。次に、予報が外れた絵(傘を持たずにぬれている人)を見せて「〜はずだったのに」で言わせる。最後に、ペアで予定のカード(遠足・引っ越し・洗濯)と予報のカードを引き、相手に予定どおりできるかどうかを根拠つきで伝えさせる。
予報・ニュースの語は、時間の言葉(未明・明け方・昼前・昼過ぎ・夕方・夜のはじめごろ・夜遅く)、天気と災害の言葉(一時・時々・ところにより・大雨・暴風・高波・土砂災害)、動きの言葉(近づく・通過する・進む・強まる・弱まる)の三つのかたまりに分けて扱います。予報の時間の言葉は気象庁がおおよその目安を決めているので、学習項目1の帯の目盛りに書き込んで残しておくと、聞き取りの手がかりになります。課の題の「〜現在」(午後3時現在=午後3時の時点で)と「〜中(ちゅう)」(通過中・工事中=その途中)は報道の決まった言い方で、「一日中」「世界中」の「中(じゅう)」とは読みも意味も違うことを並べて確かめます。「一時(いちじ)」は時刻の「1時」と同じ音なので、予報では「しばらくの間」の意味だと先に教えておきます。
宿題は、その日の夜か次の朝の天気予報を一つ(テレビ・ラジオ・ネットの動画のどれでもよい)聞いて、「いつ・どこで・何が・どうなるおそれ」をメモ表に書いてくること。メモをもとに「予報では〜から〜にかけて〜そうなので、〜はずです」の文を2つ書く。次のコマの最初に何人かのメモを比べ、同じ予報を聞いた人どうしで時間帯がずれていないかを確かめて復習してから、第16課の「時間と変化」に入ります。「〜とともに」は、「台風が近づくとともに、雨や風が強まります」のような予報の文から導入すると、この課とつながって自然です。
「〜から〜にかけて」と「〜から〜まで」の違いは、どう教えればいいですか?
「まで」は始まりと終わりの点がはっきりしているとき、「にかけて」は境目がぼんやりした幅のときに使う、と図で見せるのが分かりやすいです。黒板に両端に縦線のある矢印(まで)と、両端をぼかした帯(にかけて)を並べ、営業時間・授業の時間は「まで」、予報の時間帯や雨の多い季節は「にかけて」と仕分けさせます。そのあと予報を聞いて帯を塗る練習に入ると、聞き取りにもそのままつながります。
「〜おそれがある」と「〜かもしれない」の違いは何ですか?
「〜かもしれない」はよいことにも悪いことにも使える可能性の言い方で、会話でも使います。「〜おそれがある」は悪いことだけに使い、ニュース・お知らせ・注意書きの硬い言い方です。「おそれ」は「心配」の意味の名詞だと押さえると、「晴れるおそれ」がおかしいことを学習者が自分で判断できます。
「〜がち」と「〜気味」「〜っぽい」はどう区別させますか?
「〜気味」は今少しその様子があること、「〜がち」はよくそうなる傾向、「〜っぽい」はその人や物の性質や見た感じです。同じ人について「きょうは疲れ気味」「最近疲れがち」「もともと忘れっぽい」のように、時間の見方が違う場面を三つ並べて選ばせると混同が減ります。「がち」はよくないことに使うことも合わせて確かめます。
第15課は何コマで終わりますか?
90分×2コマを目安にしています。1コマ目で導入と「〜から〜にかけて」「〜おそれがある」を、2コマ目で「〜がちだ」「〜はずです」と聞き取り・伝える活動を行います。聞き取りの原稿は教師が自作した短い予報やニュースを使い、1本30秒ほどにすると2回聞いても時間内に収まります。
「〜はずです」は初級で習っているのに、この課でどう扱えばいいですか?
意味の説明は短くし、聞いた予報を根拠に予測を言う場面に絞って使わせます。予報する人の「〜でしょう」と、それを聞いた人の「〜はずです」の役割を分けると、課の四つの項目が「聞く→判断する→伝える」の流れでつながります。根拠を前に付けた「予報では〜から、〜はずです」の形で言わせるのがこつです。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。