日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 初中級 第15課「今日午後3時現在、中部地方を通過中です」の教案

『学ぼう!にほんご 初中級』

天気予報や台風・大雨のニュースを聞いて、いつ・どこで・何が起きそうかをつかむことが目標の課です。課の題にある「午後3時現在」の「現在」は「その時刻の時点で」、「通過中」の「中(ちゅう)」は「その動きが続いている途中」を表し、どちらも報道で決まって使う言い方です。予報を聞き取る鍵は二つあり、一つは時間帯や地域の幅を言う「〜から〜にかけて」、もう一つは起きそうなことの言い方で、悪いことの可能性を硬く言う「〜おそれがある」、よくそうなる傾向を言う「〜がちだ」、根拠から当然そうなると判断する「〜はずです」(初級の復習)を聞き分け、自分でも使い分けられるようにします。授業は自作の短い予報・ニュース原稿を聞くことを中心に進め、最後は聞いた情報をもとに予定を立てて人に伝えるところまでつなげます。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目4時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 天気予報やニュースの「〜から〜にかけて」を聞いて、雨や風が強まる時間帯・地域の幅をメモに取れる。「〜から〜まで」(始まりと終わりがはっきりしている)との違いが分かる
  • 「〜おそれがあります」を聞いて、注意が必要な悪いことの可能性を言っていると分かり、自分でもお知らせや注意の文で使える。よいことには使わないと分かる
  • 「〜がちだ」で、よくそうなる(好ましくない)傾向を言い、季節の体調や生活の注意を話せる
  • 聞いた予報を根拠に「〜はずです」で予測を言い、それをもとに予定を立てたり、人に伝えたりできる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(目標の場面)10分「あしたの天気を、どうやって知りますか」と聞く。アプリの絵なら分かるが、ラジオ・駅や学校の放送・地域の防災無線は耳で聞き取るしかないと話し、この課は予報を聞く課だと予告する。自作の30秒ほどの予報を一度だけ聞かせて「いつ雨が降りますか」とだけ聞き、答えがばらばらになることを確かめてから、課の題の「現在」「〜中(ちゅう)」を板書する
学習項目1 〜から〜にかけて…30分黒板に一日を表す横長の帯(明け方・朝・昼前・昼過ぎ・夕方・夜)と簡単な地図を描き、聞こえた範囲に色を塗らせる。時間割の「〜から〜まで」のはっきりした矢印と並べて、境目がぼんやりしているかどうかで言い分ける
学習項目2 〜おそれがある25分大雨・台風のニュース原稿から「〜おそれがあります」を拾い、何が心配されているかを言わせる。「〜かもしれない」との文体の違いと、よいことには使わないことを確かめる
学習項目3 〜がちだ25分季節の健康情報の短い原稿から「〜がち」を拾い、自分の「ついそうなってしまうこと」を話す。第2課の「〜気味」と並べて違いを見せる
学習項目4 〜はずです20分学習項目1の帯の図に戻り、聞いた予報を根拠に「予報では〜から、〜はずです」と予測を言う。予報する人の「〜でしょう」と、聞いた人の「〜はずです」の役割を分ける
目標の活動(聞き取り)30分自作の天気予報と台風のニュースの原稿を2本聞き、「いつ・どこで・何が・どうなるおそれ」のメモ表を埋める。1回目は通して聞き、2回目は文ごとに止めて答え合わせをする
目標の活動(伝える)30分メモをもとに、週末に予定のある友達や、あした出張する同僚に予報を伝え、「〜から〜にかけて雨が強くなるそうなので、〜はずです」と予定を相談するロールプレイ。時間があれば、ペアで短い予報原稿を書いてアナウンサーのように読み、ほかのペアが聞き取る
まとめ10分四つの形の役割(範囲の幅・悪いことの可能性・よくある傾向・根拠のある予測)を一枚の表にまとめ、予報の文を2〜3文聞いてどの役割の表現かを言わせて終わる

学習項目 1 〜から〜にかけて…

意味・はたらき学習項目 1

時間や場所のおおよその範囲を言う表現です。「AからBにかけて」で、Aのあたりで始まりBのあたりまでの幅の中で、あることが続いたり、あちこちで起きたりすることを表します。「〜から〜まで」が始まりと終わりをはっきり区切るのに対して、「〜にかけて」は境目がぼんやりしていて、その範囲にわたって、またはその範囲のどこかで起きることを言います。そのため、天気予報の時間帯(夕方から夜にかけて)や地域の広がり(関東から東北にかけて)、季節の傾向(6月から7月にかけて)によく使われ、営業時間や授業の時間のように時刻が決まっているものには使いません。

接続

N(時・場所)+から+N(時・場所)+にかけて(名詞を説明するときは「〜にかけての+N」。「〜から」を言わずに「夜にかけて」とだけ言うこともある)

形
N1からN2にかけて、〜(今夜からあしたの朝にかけて、雨が強く降るでしょう)N1からN2にかけての+N(関東から東北にかけての太平洋側)Nにかけて、〜(夕方にかけて、風がだんだん強まります)対比:N1からN2まで(この店は10時から8時まで開いています=始まりと終わりがはっきり)

導入

  • 時間の帯に色を塗る黒板に一日を横長の帯で描き、「明け方・朝・昼前・昼過ぎ・夕方・夜」の目盛りを入れる。教師が予報の調子で「あしたは、昼過ぎから夕方にかけて雨が降るでしょう」と読み、学生に帯のどこからどこまでを塗るか聞く。始まりと終わりが目盛りの線ぴったりではなく「だいたいこのへん」になることに気づかせ、帯の両端をぼかして塗る。
  • 「まで」と並べてから地図へ同じ帯の下に、時間割の「9時から12時まで授業」を両端に縦線のある矢印で書き、上のぼかした帯と並べる。「授業は9時から12時にかけて、と言いますか」と聞いて、時刻の決まったものには「まで」を使うことを確かめる。最後に地図に替えて「九州から四国にかけて」の範囲を丸で囲ませ、場所にも使えることを見せる。

板書案

N1 から N2 にかけて + 〜(範囲の幅)
〔帯〕明け方|朝|昼前|昼過ぎ|夕方|夜 → 聞こえた範囲を〔青〕で、両端をぼかして塗る
あしたは 昼過ぎから 夕方にかけて 雨が 降るでしょう。
〔赤〕9時 ├──┤ 12時「まで」(両端に縦線) / 〔青〕「にかけて」(両端ぼかし)
名詞の前:関東から 東北にかけて〔赤〕の 太平洋側

場面と発話(自作)

  • 朝のニュースの天気予報で、気象キャスターが、きょう雨が降りやすい時間帯を伝える。きょうは昼過ぎから夜にかけて、にわか雨の降るところが多いでしょう。
  • 雪の多い地方の支社に転勤してきた社員に、地元の同僚が冬の道の注意を話す。この辺りは、毎年12月から2月にかけて、雪で道が通れなくなることがあるんですよ。
  • 会社で、課長が部下に出張の予定を伝える。日にちはまだ決まっていない。来月の中ごろから終わりにかけて、一度大阪へ出張してもらうことになると思います。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

まず、教師が帯(時間)と地図(場所)のカードを出し、「〜から〜にかけて」で範囲を言わせる。次に、営業時間・授業・会議のような時刻の決まったカードを混ぜ、「まで」と「にかけて」のどちらが合うかを選ばせる。最後に、自作の予報を1文ずつ聞かせ、聞こえた範囲を帯と地図に書き込ませる。この項目は言う練習より聞いてつかむ練習に時間をかける。

  1. 口頭教師が帯と地図のカードを指してキューを出し、全体→列→個人の順に「〜から〜にかけて」で言わせる。キューは「明け方→朝(雨)」「夕方→夜(風)」「東海→関東(大雨)」「6月→7月(雨の季節)」「今夜→あしたの朝(雪)」など。慣れたら「授業 9時→12時」「銀行 9時→3時」のような時刻の決まったカードを混ぜ、学習者に「まで」か「にかけて」かを即答させる。
  2. ペア情報差の練習。Aは地域ごとの自作の予報表(地域・時間帯・天気)を、Bは白地図と一日の帯だけを持つ。Bが「東北はいつごろ雪が降りますか」と聞き、Aが「あしたの朝から昼前にかけてです」と答え、Bが地図と帯に書き込む。3地域で交替し、最後に表と見比べて範囲がずれていないか二人で確かめる。
  3. 産出活動名「わたしの町の季節カレンダー」。自分の国や町で、雨が多い・特に寒い・花が咲く・観光客が多い時期を「〜から〜にかけて」で3文書き、カレンダーの絵を見せながら発表する。教師が見るのは「に」と名詞の前の「の」の落ち、行事の日や営業時間のような両端の決まったものに使っていないか、の2点。

つまずきと手当て

  • 始まりと終わりが決まっているものに使う(例:この店は10時から8時にかけて開いています)。文の形は正しいが、営業時間のように両端がはっきりしているものには合わないので「まで」に直す。帯の図の両端に縦線があるか、ぼかしてあるかで選ばせると判断しやすい
  • 「に」を落としたり、名詞の前の「の」を落としたりする(*夕方から夜かけて、*関東から東北にかけて地域)。AからBへ橋をかけるように範囲をまたぐ、と絵で見せて「にかけて」をひとかたまりで言わせ、名詞の前では「にかけての」になることを板書の下段に書く
  • 聞き取りで、予報の「一時(いちじ)」を時刻の「1時」と聞き違えたり、「明け方」「夜のはじめごろ」のような時間の言葉が分からず範囲がつかめなかったりする。予報で使う時間の言葉は帯の目盛りに書いて授業の最後まで残し、「曇り一時雨」の「一時」は「しばらくの間だけ」の意味だと先に教えておく

既習の文型との違い

  • 〜は…時から…時までです(初級Ⅰ 第3課)初級の「〜から〜まで」は始まりと終わりの点をはっきり言う形で、時刻表や営業時間のように決まった範囲に使います。「〜にかけて」は境目がぼんやりした幅で、その間ずっと、またはその間のどこかで起きることを言います。学習者は覚えたての「にかけて」を営業時間にまで使いがちなので、両端の縦線があるかないかの図で選ばせます。
関連する文型

学習項目 2 〜おそれがある

意味・はたらき学習項目 2

好ましくないことが起きる可能性があることを表します。「〜かもしれない」と近い意味ですが、「おそれ」は「心配」「危険」の意味の名詞なので、後ろに来る内容は災害・事故・病気・遅れなどの悪いことだけです。また、ニュース・天気予報・役所や会社のお知らせ・注意書きなどで使う硬い言い方で、友達との会話では「〜かもしれない」「〜そう」を使うのが普通です。予報で「〜おそれがあります」と聞こえたら、「注意してください」という呼びかけだと受け取らせます。

接続

V辞書形/Vない形+おそれがある、N+の+おそれがある(漢字では「恐れ」とも書く。「〜おそれもある」「〜おそれは少ない」の形でも使う)

形
V辞書形おそれがあります(川の水があふれるおそれがあります)Vないおそれがあります(電車が時間どおりに動かないおそれがあります)Nのおそれがあります(土砂災害のおそれがあります)〜おそれは少ないでしょう(この雨で川があふれるおそれは少ないでしょう)

導入

  • ニュースの文から「心配なこと」を拾う自作の大雨のニュース原稿(3文ほど。「〜では、あすの朝にかけて非常に激しい雨が降り、川の水があふれるおそれがあります」のような文)を聞かせ、「何が心配されていますか」と聞く。学生が答えた「川の水があふれる」「道が通れなくなる」を黒板に並べ、それぞれの後ろに「おそれがあります」を付けて板書し、どれも悪いことだと確かめる。
  • 「かもしれない」と言い換えて、わざと間違える板書した文を、友達に話すつもりで「〜かもしれないって」に言い換えさせ、ニュースの言葉と会話の言葉の違いを感じさせる。次に教師が「あしたは晴れるおそれがあります」とわざと言い、学生がおかしいと気づいたところで、よいことには使わないこと、「おそれ」は「心配」の意味であることをまとめる。

板書案

V辞書形/Vない + おそれが ある  N〔赤〕の + おそれが ある
川の水が あふれる おそれが あります。
大雨のため、土砂災害〔赤〕の おそれが あります。
〔赤〕晴れる おそれ → よいことには使わない(おそれ=心配)
〔青〕ニュース・お知らせ:〜おそれがあります | 友達:〜かもしれないって

場面と発話(自作)

  • 夜のニュースで、アナウンサーが台風の進み方と海岸での注意を伝える。台風は今夜からあしたの朝にかけて関東に最も近づく見込みで、海岸では高波のおそれがあります。
  • 大学の国際交流の係が、台風の前の日に留学生へ注意のメールを送る。あすは交通機関が止まるおそれがありますので、授業があるかどうかは朝7時に大学のホームページで確認してください。
  • 工場で、班長が新しく入った社員に、機械にはってある注意書きの意味を説明する。カバーを開けたまま動かすと、手をけがするおそれがあります。必ず閉めてからスイッチを入れてください。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

まず、天気・交通・健康の絵カード(川・電車・凍った道路・夏の食べ物)を出し、そこで起きそうな悪いことを「〜おそれがあります」で言わせる(辞書形・ない形・Nの を混ぜる)。次に、同じ内容を友達に話す形(〜かもしれない)とお知らせの形(〜おそれがあります)に言い分けさせる。最後に、学校や寮の掲示板にはるつもりで、台風や大雪の日の注意のお知らせを2〜3文で書かせる。

  1. 口頭絵カードをキューに、心配される悪いことを「〜おそれがあります」で言わせる。キューは「川(あふれる)」「凍った道路(すべる)」「台風の日の電車(止まる)」「夏の食べ物(傷む)」「台風の海(高波)」など。辞書形・ない形・「Nの」を混ぜて全体→個人で回す。次に教師が友達の口調で「電車、止まるかもしれないよ」と言い、学習者がニュースの形に言い換える逆向きの練習もする。
  2. ペア「アナウンサーと家族」の役割練習。Aは自作のニュース原稿カード(「〜おそれがあります」を含む1〜2文)を読み、Bはそれを家族や友達に伝える形(「〜かもしれないって」)に言い換えて話す。カードを3枚使ったら役を交替する。言い換えたとき、内容(いつ・どこで・何が)が落ちていないかをAが確かめる。
  3. 産出活動名「寮の掲示板お知らせづくり」。台風か大雪の前の日に寮や学校の掲示板にはるお知らせを、「〜おそれがありますので、〜てください」を使って2〜3文で書き、ほかのペアと交換して読む。教師が見るのは、前の形(ます形を付けていないか・名詞に「の」があるか)、よいことに使っていないか、丁寧体でそろっているか、の3点。

つまずきと手当て

  • よいことに使う(例:あしたは晴れるおそれがあります)。文の形は正しくても意味が合わないので、「〜でしょう」「〜見込みです」に直す。「おそれ」は「心配」の意味の名詞だと押さえておくと、学習者が自分で判断できる
  • 名詞のあとの「の」を落としたり、動詞をます形で付けたりする(*大雨おそれがあります、*遅れますおそれがあります)。「おそれ」は名詞なので、前は名詞を説明する形(辞書形・ない形・Nの)になると、「心配があります」と同じ並べ方で確かめる
  • 友達との会話や自分のことに使って硬く聞こえる(例:あしたの試験、落ちるおそれがあるんだ)。誤りではないが、ニュースのように他人ごとに聞こえるので、会話では「落ちるかもしれない」「落ちそう」に替えさせる。また「恐れる(怖がる)」と結びつけて「自分が怖いと思っている」意味だと受け取る学生がいるので、「心配される可能性がある」という意味だと確かめる

既習の文型との違い

  • 〜かもしれません(初級Ⅱ 第33課)「〜かもしれません」はよいことにも悪いことにも使える可能性の言い方で、会話でも普通に使います。「〜おそれがある」は悪いことだけに使い、ニュースやお知らせの硬い言い方です。学習者が「かもしれない」と同じ感覚で「あしたは晴れるおそれがあります」と言ったら、意味が合わないと直します。
  • 〜そうです 様態(初級Ⅱ 第29課)「雨が降りそうです」は、空の様子を見て話し手が今感じている予想です。「雨が強まるおそれがあります」は、予報やデータをもとに、注意が必要な可能性を聞き手に知らせる言い方です。目の前の様子を言うときは「〜そう」、お知らせとして注意を呼びかけるときは「〜おそれ」と、言う場面で分けます。
関連する文型

学習項目 3 〜がちだ

意味・はたらき学習項目 3

「そうなることが多い」「そうなりやすい」という傾向を表します。多くは忘れる・遅れる・休む・病気になるなど好ましくないことに使い、話し手が意志でしているのではなく、つい・自然にそうなってしまう、という気持ちが入ります。天気(曇りがち)や季節の体調(冬は体を動かさなくなりがち)の話によく出て、「〜ので、気をつけましょう」と注意の文につながることが多いです。第2課の「〜気味」は「今、少しその様子がある」、「〜がち」は「何度もそうなる・そうなりやすい」で、見ている時間の長さが違います。

接続

Vます形の語幹+がち(忘れがち・休みがち)、一部の名詞+がち(病気がち・曇りがち・留守がち)。な形容詞と同じように「〜がちだ/〜がちな+N(〜がちの+N とも言う)/〜がちに」と使う。い形容詞にはつかない

形
Vがちです(冬は空気が乾燥しがちです)Nがちです(このところ、曇りがちの天気が続いています)〜がちな+N(忘れがちなこと/休みがちな学生)〜がちになります(暑い日は、冷たい物ばかり食べがちになります)

導入

  • 季節の健康情報から拾う天気予報のあとの健康コーナーのような自作原稿(「梅雨の時期は気温の差が大きく、体調を崩しがちです。食べ物も傷みがちなので…」のような3文)を聞かせ、「この季節、どんなことが多いですか」と聞く。出てきた「体調を崩す」「食べ物が傷む」を板書し、ます形の語幹に「がち」を付けた形を並べて、どれも「よくそうなる」「よくないこと」だと確かめる。
  • 「つい、そうなってしまうこと」を話す教師が「わたしは、寒い朝は寝坊しがちです」と自分のことを話し、学生にも「〜とき、〜がちです」で一つずつ言わせる。そのあと、第2課の「風邪気味です」と「風邪をひきがちです」を並べ、カレンダーに印を一つだけ(今、少し)と、たくさん(よく起きる)で描き分けて違いを見せる。

板書案

Vます + がち  N + がち(病気・留守・曇り など決まった語)
忘れます → 忘れ〔赤〕がち です
冬は 空気が 乾燥しがちです。
〔カレンダー〕風邪気味=今・少し(印1つ) / 風邪をひきがち=よくそうなる(印たくさん)
〔赤〕✕ 寒いがち・忘れるがち

場面と発話(自作)

  • 梅雨入りした日の夕方のニュースで、気象予報士が健康についての注意を伝える。これからの季節は、蒸し暑さで食欲が落ちがちです。こまめに水分をとるようにしましょう。
  • 日本語学校の面談で、担任の先生が、最近遅刻が増えてきた学生に話をする。最近、朝の授業に遅れがちですね。アルバイトが忙しいんですか。
  • 会社で、同僚が新しく来た外国人社員に、定例会議で気をつけることを教える。この会議は話が長くなりがちなので、言いたいことは先にメモしておくといいですよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

まず、教師が季節や場面のカード(冬・梅雨・試験の前・一人暮らし)を出し、そのとき起きやすいことを「〜がちです」で言わせる。次に、い形容詞(寒い・忙しい)や好ましいこと(よく勉強する)のカードを混ぜ、「がち」が合わないものを選ばせる。最後に、聞いた季節の健康情報をもとに「〜がちなので、〜ましょう」の注意を一言ずつ作らせ、予報のあとの一言コーナーのように読ませる。

  1. 口頭季節や場面のカードをキューに、起きやすいよくないことを「〜がちです」で言わせる。キューは「冬(乾燥します)」「梅雨(体調を崩します)」「試験の前(寝不足になります)」「一人暮らし(野菜が足りなくなります)」「雨の日(電車が遅れます)」など。最初に「ます」を手で隠して「がち」に替える変換を全体で速く回し、次に文の形で個人に言わせる。
  2. ペア「生活インタビュー」。Aが質問カード(「寒い朝は、どうなりがちですか」「忙しいとき、何を忘れがちですか」など)を読み、Bが自分のことで答え、Aがメモを取る。3問ずつで交替し、最後に相手のことを「〜さんは、〜がちだそうです」とクラスに一つ紹介する。
  3. 産出活動名「予報のあとの一言コーナー」。季節を一つ選び、「〜は〜がちなので、〜ましょう」の注意を2文作って、天気予報のあとの健康コーナーのつもりで読む。教師が見るのは、ます形の語幹に付いているか、よいことに使っていないか、「気味」と混ぜていないか、の3点。

つまずきと手当て

  • い形容詞や辞書形に付ける(*寒いがちです、*忘れるがちです)。「がち」はます形の語幹か名詞に付くと、「忘れます→忘れ+がち」と「ます」を消す板書で確かめる。どんな名詞にも付けて「*学生がち」のように言う学生もいるので、名詞に付くのは病気・留守・曇りなどの決まった語だと押さえる
  • 好ましいことに使う(例:彼はよく勉強しがちです)。形は正しいが、「つい・自然にそうなる」よくない傾向を言う形なので不自然になる。よいことは「よく〜します」「〜ことが多いです」で言わせる
  • 「〜気味」「〜っぽい」と混ぜる。「疲れ気味」は今の少しの様子、「疲れがち」はよく疲れる傾向、「忘れっぽい」はその人の性質や見た感じ、と三つを並べ、同じ人について「きょうは〜」「最近〜」「もともと〜」の場面を出して選ばせる

既習の文型との違い

  • 〜気味(第2課)「〜気味」は今少しその様子がある、という一時の状態で、「風邪気味です」はきょう少し風邪っぽいことです。「〜がち」は何度もそうなる・そうなりやすいという傾向で、「風邪をひきがちです」はよく風邪をひくことです。学習者がきょう一回のことに「がち」を使ったら、印一つのカレンダーと比べて「気味」に直します。
  • 〜っぽい…(第10課)「〜っぽい」は「忘れっぽい」「子どもっぽい」のように、その人や物の性質や見た感じを言います。「忘れがち」は、ある状況でよく忘れるという傾向で、性質としてではなく出来事の回数を見ています。「彼は忘れっぽい」はその人の性格(「熱っぽい」のように今の状態を言うものもある)、「忙しいと忘れがちだ」は条件つきの傾向と並べて示します。
  • 〜やすいです/〜にくいです(初級Ⅰ 第9課)「〜やすい」は「この道はすべりやすい」のように、物や状況がそうなる性質を中立に言い、よいことにも使えます(「読みやすい」)。「〜がち」は実際によくそうなってしまう、好ましくない傾向に使います。「この本は読みがちです」のような言い方は不自然なので、よいことは「〜やすい」と組み合わせて区別させます。
関連する文型

学習項目 4 〜はずです

意味・はたらき学習項目 4

初級で習った形の復習です。根拠(聞いた予報・決まっている予定・知っている事実)から考えて、当然そうなると話し手が判断していることを表します。この課では、予報やニュースで聞いた情報を根拠にして「だから〜はずだ」と予測を言い、予定を立てる場面に絞って使います。予報の文では「〜でしょう」「〜見込みです」が普通で、それを聞いた人が「予報では〜から、〜はずです」と自分の判断として言う、という役割の違いを押さえると、この課の四つの項目が一つの流れでつながります。予測が外れたときの「〜はずだったのに」にも少し触れます。

接続

普通形+はずです(な形容詞は「〜なはず」、名詞は「〜のはず」。否定は「〜ないはずです」、可能性を強く打ち消すときは「〜はずがありません」)

形
Vはずです(台風は夜には通り過ぎるはずです)Vないはずです(予報では夕方からだから、昼までは降らないはずです)な形なはず/Nのはずです(あしたは一日晴れのはずです)〜はずだったのに(晴れるはずだったのに、雨になってしまいました)

導入

  • 予報を根拠に「だから」で言う学習項目1の帯の図をもう一度出し、「雨は昼過ぎから夕方にかけて」と塗った部分を指す。「では、朝9時は雨が降っていますか」と聞き、「予報では昼過ぎからだから、朝は降らないはずです」と答えの形を板書する。「予報では〜から、/〜はずです」の二段の枠にし、根拠と判断を色分けする。
  • 予報する人と聞いた人で言い分ける黒板の左に気象キャスター、右に予報を聞いた人の絵を描き、左の吹き出しに「〜でしょう」、右の吹き出しに「〜はずです」を置く。同じ内容を両方の口で言わせ、予報する側は予報そのものを伝え、聞いた側はそれを根拠に判断していることを確かめる。最後に「でも、朝から雨でした」と状況を足して「降らないはずだったのに」まで言わせる。

板書案

〔青〕根拠:予報では 〜から、 〔赤〕判断:〜はずです
予報では 昼過ぎからだから、朝は 降らないはずです。
普通形 + はず  な形〔赤〕な + はず  N〔赤〕の + はず
キャスター:〜でしょう → 聞いた人:〜はずです
〜はずだったのに(予測が外れた)

場面と発話(自作)

  • 土曜日に公園でバーベキューを予定している留学生が、予報を見た友達に、予定どおりできるか聞く。予報では、雨は夜からだって。だから、昼のうちは大丈夫なはずだよ。
  • 台風の日の朝、会社員が、午後に会う予定の取引先に電話で確かめる。台風は昼前には通り過ぎるはずですので、午後のお約束はそのままでよろしいでしょうか。
  • 台風が来ている沖縄へあした出発する留学生に、日本人の同僚が飛行機のことを聞く。台風はあしたの朝には沖縄を離れるはずだから、午後の便なら飛ぶと思うよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

まず、教師が自作の予報を1文聞かせ、続けて「では、〜時はどうですか」「〜できますか」と質問し、学生に「予報では〜から、〜はずです」で答えさせる。次に、予報が外れた絵(傘を持たずにぬれている人)を見せて「〜はずだったのに」で言わせる。最後に、ペアで予定のカード(遠足・引っ越し・洗濯)と予報のカードを引き、相手に予定どおりできるかどうかを根拠つきで伝えさせる。

  1. 口頭教師が自作の予報を1文読み、続けて質問のキューを出す。キューは「朝9時の天気は?」「午後のサッカーの試合は?」「夜の電車は?」「あしたの洗濯は?」など。学習者は「予報では〜から、〜はずです」で答え、根拠と判断を必ず両方言う。最後に、予報が外れた絵(傘がなくてぬれている人)を見せて「〜はずだったのに」を全体で言わせる。
  2. ペア「予定相談カード」。予定カード(遠足・引っ越し・洗濯・花火大会)と予報カードを1枚ずつ引き、Aが「土曜日、〜できるかな」と聞き、Bが予報を根拠に「予報では〜から、〜はずだよ」と答える。2組ごとに役を交替し、Aは「どうしてそう思うの」と一度は聞き返して、根拠を言わせる。
  3. 産出活動名「週末プラン会議」。グループで自作の週末の予報を聞き、メモをもとに週末の予定を決めて、「予報では〜から〜にかけて〜そうなので、〜はずです。だから、〜日に〜ます」とクラスに発表する。教師が見るのは、根拠を言っているか、自分の意志や予定に「はず」を使っていないか、名詞・な形容詞の接続、の3点。

つまずきと手当て

  • 接続の誤り(*晴れはずです、*大丈夫はずです)。名詞は「の」、な形容詞は「な」が要ると、「晴れのはず」「大丈夫なはず」を板書の下段に並べて確かめる
  • 自分の予定や意志に使う(例:あしたは早く起きるはずです)。自分で決められることは「〜つもりです」「〜予定です」で言い、「はず」は根拠から判断することだと確かめる。「なぜそう思いますか」と聞き返して、根拠を言えるかどうかで選ばせる
  • 「〜ないはずです」と「〜はずがありません」を同じだと思う。「ないはず」は根拠から考えて起きないと落ち着いて判断する言い方、「はずがない」は可能性を強く打ち消す言い方なので、予報を人に伝える場面では「ないはず」を使うと押さえる

既習の文型との違い

  • 〜はずです/〜ないはずです(初級Ⅱ 第33課)初級では、決まっている予定や知っている事実を根拠に「〜はずです」を使いました。この課では、根拠が予報やニュースで聞いた情報に変わるだけで、形と意味は同じです。根拠を言わずに「はず」だけ言うと、聞き手にはなぜそう言えるのかが伝わらないので、「予報では〜から」を必ず前に付けさせます。
  • 〜でしょう/だろう(初級Ⅰ 第17課)「〜でしょう」は予報する人が自分の推量として未来を言う形で、天気予報の文末の決まった言い方です。「〜はずです」は、その予報を聞いた人が、それを根拠に当然そうなると判断する形です。学習者が予報原稿を書くときに「〜はずです」を並べると、アナウンサーらしくなくなるので、予報の文末は「でしょう」に直します。
  • 〜つもりです/〜予定です(初級Ⅱ 第23課)「〜つもりです」は自分の意志、「〜予定です」は決まっている計画です。「あしたは早く起きるはずです」のように自分で決められることに「はず」を使うと、他人ごとのように聞こえて不自然です。根拠から考える判断か、自分が決めることかで選ばせます。
関連する文型

語彙の扱い

予報・ニュースの語は、時間の言葉(未明・明け方・昼前・昼過ぎ・夕方・夜のはじめごろ・夜遅く)、天気と災害の言葉(一時・時々・ところにより・大雨・暴風・高波・土砂災害)、動きの言葉(近づく・通過する・進む・強まる・弱まる)の三つのかたまりに分けて扱います。予報の時間の言葉は気象庁がおおよその目安を決めているので、学習項目1の帯の目盛りに書き込んで残しておくと、聞き取りの手がかりになります。課の題の「〜現在」(午後3時現在=午後3時の時点で)と「〜中(ちゅう)」(通過中・工事中=その途中)は報道の決まった言い方で、「一日中」「世界中」の「中(じゅう)」とは読みも意味も違うことを並べて確かめます。「一時(いちじ)」は時刻の「1時」と同じ音なので、予報では「しばらくの間」の意味だと先に教えておきます。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • 近づきます(ちかづきます) だんだん近い所へ来ます。 台風が〜・駅に〜・試験が〜
    台風のニュースを聞いた同僚と話す。
    台風があしたの朝、東北に近づくそうですよ。
  • 通過します(つうかします) ある所を止まらないで通り過ぎます。 〜を通過する・台風が〜・通過中
    夜のニュースで台風の位置を伝える。
    台風は今、紀伊半島の近くを通過しています。
  • 強まります(つよまります) 雨や風などの力がだんだん強くなります。 雨が〜・風が〜
    夕方の天気予報で風の変化を伝える。
    夜にかけて、北風が強まるでしょう。
  • 弱まります(よわまります) 雨や風などの力がだんだん弱くなります。 雨が〜・勢いが〜
    台風が過ぎたあと、家族に外のようすを伝える。
    雨はだいぶ弱まってきたよ。
  • あふれます(あふれます) 水などが入れ物や川からいっぱいになって外に出ます。 川が〜・水が〜
    大雨の日に、市の放送が川の近くの人に注意を呼びかける。
    川の水があふれるおそれがありますので、川に近づかないでください。
  • 明け方(あけがた) 夜が終わって、空が少し明るくなるころです。 〜に・〜から朝にかけて
    朝早いアルバイトがある留学生に、友達が予報を教える。
    明け方は雨が強いらしいから、気をつけてね。
  • 一時(いちじ) 天気予報で「少しの間だけ」という意味です。時刻の「1時」とは違います。 曇り〜雨・〜強く降る
    天気予報のことばを、日本人の同僚が留学生に説明する。
    「曇り一時雨」は、ほとんど曇りで、少しの間だけ雨という意味ですよ。
  • 乾燥します(かんそうします) 空気や物に水分が少なくなって、かわきます。 空気が〜・肌が〜
    冬の健康コーナーで予報士が注意する。
    冬は部屋の空気が乾燥しがちです。
  • 崩します(くずします) (体調を)悪くします。 体調を〜・体を〜
    梅雨のころ、担任の先生がクラスで話す。
    この季節は体調を崩しがちなので、よく寝てください。
  • 傷みます(いたみます) 食べ物が古くなって、食べられなくなります。 食べ物が〜・魚が〜
    夏に、寮の係が冷蔵庫の使い方を留学生に話す。
    暑い日は、外に出しておくと食べ物がすぐ傷みますよ。
  • 見込み(みこみ) これからたぶんそうなる、という予想です。ニュースでよく使います。 〜です・〜がある
    朝のニュースで、電車が動き始める時間を伝える。
    電車は昼ごろから動き始める見込みです。

宿題と次のコマ

宿題は、その日の夜か次の朝の天気予報を一つ(テレビ・ラジオ・ネットの動画のどれでもよい)聞いて、「いつ・どこで・何が・どうなるおそれ」をメモ表に書いてくること。メモをもとに「予報では〜から〜にかけて〜そうなので、〜はずです」の文を2つ書く。次のコマの最初に何人かのメモを比べ、同じ予報を聞いた人どうしで時間帯がずれていないかを確かめて復習してから、第16課の「時間と変化」に入ります。「〜とともに」は、「台風が近づくとともに、雨や風が強まります」のような予報の文から導入すると、この課とつながって自然です。

よくある質問

  • 「〜から〜にかけて」と「〜から〜まで」の違いは、どう教えればいいですか?

    「まで」は始まりと終わりの点がはっきりしているとき、「にかけて」は境目がぼんやりした幅のときに使う、と図で見せるのが分かりやすいです。黒板に両端に縦線のある矢印(まで)と、両端をぼかした帯(にかけて)を並べ、営業時間・授業の時間は「まで」、予報の時間帯や雨の多い季節は「にかけて」と仕分けさせます。そのあと予報を聞いて帯を塗る練習に入ると、聞き取りにもそのままつながります。

  • 「〜おそれがある」と「〜かもしれない」の違いは何ですか?

    「〜かもしれない」はよいことにも悪いことにも使える可能性の言い方で、会話でも使います。「〜おそれがある」は悪いことだけに使い、ニュース・お知らせ・注意書きの硬い言い方です。「おそれ」は「心配」の意味の名詞だと押さえると、「晴れるおそれ」がおかしいことを学習者が自分で判断できます。

  • 「〜がち」と「〜気味」「〜っぽい」はどう区別させますか?

    「〜気味」は今少しその様子があること、「〜がち」はよくそうなる傾向、「〜っぽい」はその人や物の性質や見た感じです。同じ人について「きょうは疲れ気味」「最近疲れがち」「もともと忘れっぽい」のように、時間の見方が違う場面を三つ並べて選ばせると混同が減ります。「がち」はよくないことに使うことも合わせて確かめます。

  • 第15課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマを目安にしています。1コマ目で導入と「〜から〜にかけて」「〜おそれがある」を、2コマ目で「〜がちだ」「〜はずです」と聞き取り・伝える活動を行います。聞き取りの原稿は教師が自作した短い予報やニュースを使い、1本30秒ほどにすると2回聞いても時間内に収まります。

  • 「〜はずです」は初級で習っているのに、この課でどう扱えばいいですか?

    意味の説明は短くし、聞いた予報を根拠に予測を言う場面に絞って使わせます。予報する人の「〜でしょう」と、それを聞いた人の「〜はずです」の役割を分けると、課の四つの項目が「聞く→判断する→伝える」の流れでつながります。根拠を前に付けた「予報では〜から、〜はずです」の形で言わせるのがこつです。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。