第22課の可能形に続いて、この課では意向形(行こう・食べよう)が初めて出ます。意向形は第5課の「〜ましょう」の普通体の形でもあり、この課ではおもに「〜(よ)うと思います/思っています」の形で、話し手がこれからしようと考えていることを言うのに使います。後半の「〜つもりです」「〜予定です」は、もう決めている計画を言う形で、「つもり」は自分で決めた意志、「予定」は日程として決まっていることを言う、と3つを並べて使い分けさせます。卒業後や夏休み、週末の計画など、学習者自身のこれからを話題にすると、どの形も自分のこととして何度も言わせられます。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(前の課とのつなぎ) | 10分 | 第22課の可能形で「日本語で何ができますか」を2〜3人に聞いて復習し、続けて「夏休み、何をしたいですか」(第9課)と聞く。答えが出たところで教師が「わたしは北海道へ行こうと思います」と言い、この課は「これからすること」を言う課だと予告する |
| 意向形の作り方 | 35分 | 辞書形・可能形と同じグループ分けの表を黒板に戻し、グループⅠはますの前の音をお段に変えて「う」、グループⅡは「ます→よう」、グループⅢは「しよう・来よう」と板書。絵カードで速いテンポの口頭練習をし、第17課の普通体で友達を誘う「行こう」まで言わせる |
| 学習項目1 意向表現 | 45分 | 教師の週末の計画をカレンダーで見せて「〜(よ)うと思います」を導入。「〜たいです」と並べて気持ちと考えの違いを示し、前から考えていることは「思っています」と2行で板書する。1コマ目はここまで |
| 学習項目2 〜つもりです | 35分 | (2コマ目)来年の計画の3つの絵(専門学校・アルバイト・スポーツジム)で導入。辞書形とない形の2列で板書し、「〜つもりでしたが、…」で、できなかったことまで言わせる |
| 学習項目2 〜予定です | 25分 | 学校の行事表や教師の手帳で導入。自分で決めた意志(つもり)と、日程として決まっていること(予定)を左右に分けて板書し、人の意志が関係ないことには「予定」だけが使えると確かめる |
| まとめの活動 | 30分 | ペアで「来年」「夏休みに」「週末に」の計画をインタビューし合い、3つの形を使い分けて答える。聞いた内容は「〜さんは〜つもりだと言っていました」の形でクラスに報告させる |
話し手の「しよう」という気持ちを表す形なので「意向形」と呼びます。この課では「〜(よ)うと思います」の中で使いますが、意向形だけで文を終えると第5課の「〜ましょう」の普通体の形になり、友達や家族を誘ったり(いっしょに帰ろう)、自分に言い聞かせたり(よし、がんばろう)するときに使います。作り方は辞書形・可能形と同じグループ分けで決まります。グループⅠはます形の「ます」の前の音を、い段からお段に変えて「う」をつけます(書きます→書こう)。グループⅡは「ます」を「よう」に替え(食べます→食べよう)、グループⅢは「します→しよう」「来ます→来よう(こよう)」の2つを覚えます。
ます形 → 意向形(グループⅠ: ますの前の音をい段→お段にして+う/グループⅡ: ます→よう/グループⅢ: しよう・来よう(こよう))。「こう」「ろう」の「う」は前の音を長く伸ばして読む
絵カード20枚前後で「ます形→意向形」を速いテンポで回し、グループⅠ・Ⅱ・Ⅲを混ぜて出す。間違えたカードだけ手元に戻してもう一周。慣れたら1枚のカードで「辞書形→可能形→意向形」を続けて言わせ、形の行き先(う段・え段・お段)を口で確かめさせる。最後にペアで、一人が絵カードを見せて「〜ましょう」と言い、もう一人が「うん、〜(よ)う」と普通体で返す練習をする。
意向形に「と思います」をつけると、話し手がこれからしようと考えていることを言えます(夏休みに北海道を旅行しようと思います)。「〜たいです」が「したい」という気持ちを言うのに対して、「〜(よ)うと思います」は、しようと考えている・決めかけている、という話し手の考えを言う形です。その場で考えて言うときは「思います」、前から考えていて今もそう考えているときは「思っています」を使うことが多く、相手の計画を聞くときも「何をしようと思っていますか」の形が自然です。「思っています」は、ほかの人の考えを言うときにも使えます(兄は日本で働こうと思っています)。
V意向形+と思います/と思っています(初級では打ち消しの意向形(〜まい)は使わないので、しないことは学習項目2の「〜ないつもりです」で言う)
代入練習では、時の言葉と行動のカードを組にして見せ(夏休み・海で泳ぐ/週末・部屋を掃除する/来年・運転免許を取る)、「〜に、〜(よ)うと思います」と言わせる。途中で「前から」「去年から」のカードを出したら「思っています」に変えさせる。やり取りの練習では、ペアで「〜は何をしようと思っていますか」「〜(よ)うと思っています」「いいですね」と聞き合い、「雨が降ったら、〜(よ)うと思います」と2つ目の計画も言わせる。
どちらも、これからすることがもう決まっていることを言います。「〜つもりです」は話し手が自分で決めた意志を表し、「〜(よ)うと思います」より決まっている感じが強く聞こえることが多い形です(来年から、毎朝走るつもりです)。しないと決めていることは「〜ないつもりです」と言います。「〜予定です」は、日程や計画として決まっていることを、決まった事実として伝える言い方です(来月、引っ越す予定です/会議は3時に始まる予定です)。そのため、電車や会議のように人の意志が関係ないことには「予定」は使えますが、「つもり」は使えません。「〜つもりでしたが、…」「〜予定でしたが、…」と続けると、そうするはずだったのに、そうならなかったことを言えます。
V辞書形/Vない形+つもりです、V辞書形/Vない形+予定です、Nの予定です(「つもり」「予定」は名詞なので、前は名詞を修飾する普通形。ます形は入らない)
代入練習では、「何をするか」のカード(専門学校に入る・毎朝走る・自転車を買う・車を買わない)を見せて「〜つもりです/〜ないつもりです」と言わせ、次に日程のカード(7月20日・引っ越す/3時・会議が始まる)で「〜予定です」と言わせる。途中に人の意志が関係ないカード(電車が着く・試験が終わる)を混ぜて「予定」を選ばせる。やり取りの練習では、ペアで「来年は何をするつもりですか」と聞き合い、答えに「いつ」「どこで」を足させたあと、相手の計画を「〜さんは〜つもりだと言っていました」とクラスに報告させる。
この課の練習には、卒業後の進路や休みの計画の話題に合わせて、進学・就職・帰国のような進路の言葉、引っ越す・結婚する・免許を取るのような生活の計画の言葉、出張・行事・日程のような予定の言葉を使います。動詞は「銀行に勤める」「専門学校に入る」のように助詞つきで、しかも意向形と辞書形の両方で言わせて覚えさせると(勤めよう/勤めるつもり)、学習項目の練習にそのまま入れられます。
宿題は、「来年」「夏休みに」「今週の週末に」の3つについて、自分の計画を「〜(よ)うと思います」「〜つもりです」「〜予定です」のどれかを使って1文ずつ書くことと、ます形20語を意向形に直す表。次のコマの最初に、宿題の文を使って「〜さんは夏休みに何をするつもりですか」と教師が聞いて復習し、意向形の表を5語だけ口頭で確かめてから、第24課の「〜ようです」に入ります。第24課の「〜ようにします」「〜ようになります」は意向形の「〜よう」とは別のものなので、形が似ていることに先に一言触れておくと混乱が少なくなります。
第23課の意向形はどの順で教えればいいですか?
まず辞書形・可能形で使ったグループ分けの表を黒板に戻し、Ⅰ(お段+う)→Ⅱ(ます→よう)→Ⅲ(しよう・来よう)の順で作ります。グループⅠは五十音表の上で、辞書形はう段、可能形はえ段、意向形はお段、と行き先を並べると混ざりにくくなります。形ができたらすぐ「と思います」に入らず、友達を誘う「行こう」で一度口に慣らしてから学習項目1へ進みます。
「〜(よ)うと思います」と「〜つもりです」の違いは?
どちらも話し手のこれからの計画ですが、「〜(よ)うと思います」は考えている段階、「〜つもりです」はもう決めている感じが強く聞こえます。また初級では打ち消しの意向形(〜まい)を使わないので、しないことは「〜ないつもりです」で言います。教室では「まだ考えている→思います」「もう決めた→つもりです」と、同じ計画の決まり方の差として見せるとわかりやすくなります。
「〜つもりです」と「〜予定です」はどう使い分けますか?
「つもり」は人が自分で決めた意志、「予定」は日程や計画として決まっていることです。電車が着く、会議が始まるのように人の意志が関係ないことには「予定」だけが使えます。自分の計画でも日にちまで決まっていれば「予定」で言え、目上の人の計画を聞くときも「〜予定ですか」のほうがやわらかく聞こえます。
可能形や「わかる」を意向形にする学習者には、どう説明しますか?
意向形は、自分で「する」と決められる動作に使う形です。見える・聞こえる(第22課)、わかる、可能形のように、自分の意志で決められないことには使わない(*話せようと思います)と伝えます。言いたいことが「話せるようになりたい」なら、この課では「毎日日本語で話そうと思います」のように、自分で決められる動作に言い換えさせます。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は導入、意向形の作り方、学習項目1の「〜(よ)うと思います」まで、2コマ目は「〜つもりです」「〜予定です」とまとめのインタビューです。意向形の形が定着していないクラスでは、2コマ目の頭に意向形の小テストを5分入れると、あとの練習が止まりません。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。