日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 初級Ⅱ 第21課「あしたの朝早くでかけるので、今から準備します」の教案

『学ぼう!にほんご 初級Ⅱ』

初級Ⅰの第17課で普通の形を、第19課で「〜たら」「〜ても」「〜し」を習ったあとを受けて、初級Ⅱの最初のこの課では文をつなぐ言い方を三つ足します。事情をやわらかく説明する「ので」・思ったとおりにならなかった不満や驚きを言う「のに」・相手の話に出た話題を受ける「なら」です。「ので」と「のに」は前の形がまったく同じ(普通の形で、ナ形容詞と名詞は「な」)なので、接続の表を黒板に一つ書いて二つの項目で使い回せます。新しい活用形はなく、教えどころは形よりも、後ろにどんな文が来られるか(「ので」は頼む文も来る、「のに」は事実だけ)と、「なら」の前には相手の話があること、の二点です。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目3時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 先生や会社の人に、自分の事情を「〜ので、…」で説明して、早く帰る・休むなどのお願いができる
  • 思ったとおりにならなかったことを「〜のに、…」で、残念な気持ちや驚きといっしょに言える
  • 相手が言った話題を「Nなら、…」で受けて、店や物をすすめたり、物のある場所を教えたりできる
  • 「ので」と「から」、「のに」と「ても」の違いが分かり、場面に合わせて選べる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)10分初級Ⅰの第7課の「から」で「どうしてきのう学校を休みましたか」と2〜3人に聞き、答えを黒板に書いておく。続けて第17課の普通の形(ある・高い・静かだ・休みだ)を動詞・形容詞・名詞のカードで速く確かめ、この課は普通の形のあとに「ので」「のに」をつける課だと予告する
学習項目1 〜ので、…40分導入で書いた「から」の文を「ので」に書き替えて、事情を説明するやわらかい言い方だと見せる。ナ形容詞と名詞の「な」を赤で板書し、先生に早く帰りたいと伝える場面のやり取りまで
学習項目2 〜のに、…35分天気予報の晴れの絵と雨にぬれた人の絵で、思ったとおりにならなかった事実を導入。項目1と同じ接続の表を使い、第19課の「〜ても」と並べて、こちらはもう起きたことだけだと確かめる
学習項目3 〜なら、…35分教師と学生の会話の板書で、相手の「〜たいです」「〜はどこですか」の名詞を矢印で引いてきて「Nなら」にする形を導入。探し物の場面と「それなら」まで
三つの言い分け20分同じ「雨」を使って「雨なので、…」「雨なのに、…」「雨なら、…」の三つの文を黒板に縦に並べ、後ろに来る文の違い(事情の説明・不満や驚き・相手の話を受けた案)を学生に言わせる
まとめの活動40分「週末の相談」ロールプレイ。Aが行きたい所を言い、Bが「〜なら、…がいいですよ」とすすめ、Aが行けない日を「〜ので、…」で説明し、最後に前に行って残念だったことを「〜のに、…」で一言話す。役を替えて2回

学習項目 1 〜ので、…

意味・はたらき学習項目 1

「〜ので」は、前の文が理由や原因で、後ろの文がその結果や、それを受けてすることだ、と言う言い方です。初級Ⅰの第7課の「から」と同じく理由を表しますが、「ので」は自分の事情をそのまま説明する感じになり、言い方がやわらかく聞こえます。そのため、先生や会社の人にお願いする・謝る・休みたいと伝える場面でよく使われ、文を「〜ので……。」と途中で止めて、断る気持ちをやわらかく伝えることもできます。前は第17課の普通の形で、ナ形容詞と名詞は「静かなので」「雨なので」と「な」になります。

接続

V・いAの普通形/なAな/Nな +ので(過去は なAだった・Nだった。とても丁寧に話すときは「雨ですので」「ありますので」と前を丁寧な形にすることもある)

形
Vので、…(あした試験があるので、きょうは早く寝ます)いAので、…(この部屋は寒いので、窓を閉めてください)なAなので/Nなので、…(あしたは休みなので、友達と出かけます)〜ので……。(すみません、今晩はちょっと用事があるので……。)

導入

  • 「から」の文を「ので」に書き替える導入で黒板に書いた「から」の文(熱がありましたから、休みました)の横に、教師が「先生に話すとき、もう少しやわらかく言いたいです」と言いながら「熱があったので、休みました」と書き、「から」と「ので」を同じ色で囲む。前の形が普通の形になることを確かめ、板書は「[普通形]ので、…」の枠にする。続けて「きょうは雨なので」「この町は静かなので」と言い、ナ形容詞と名詞の「な」を赤で書き足す。
  • 先生にお願いする場面を作る病院の絵カードを持った教師が学生役になり、学生の一人に先生役をしてもらって「先生、午後病院へ行かなければならないので、きょうは早く帰ってもいいですか」と言って見せる。先生役の学生に「はい、いいですよ」と返してもらい、理由をつけてお願いすると丁寧に聞こえることを確かめる。そのあと学生に「どうして日本語を勉強していますか」「どうしてこの町に住んでいますか」と聞き、「〜ので、…」で答えさせる。

板書案

[普通形] + ので、[結果・お願い]
行く・行った/高い +ので  静か〔赤〕な/休み〔赤〕な +ので
熱があったので、休みました。
午後病院へ行かなければならないので、早く帰ってもいいですか。
〔青〕から(第7課)と並べて書き、「ので」を〔赤〕で囲む
答えの文の終わり:〇〜からです ×〜のでです

場面と発話(自作)

  • 授業の前に、午後に病院の予約がある留学生が、先生に早く帰りたいことを伝える。先生、午後病院へ行かなければならないので、きょうは12時に帰ってもいいですか。
  • 仕事のあと、上司に食事に誘われたが、国から家族が来ている社員がやわらかく断る。すみません、今晩は国から母が来ているので……。また今度お願いします。
  • アパートで、毎晩遅くまで音楽を聞いている隣の人に、朝早く仕事がある人が頼む。あしたは朝早く仕事があるので、夜は少し静かにしてください。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

代入練習では、理由のカード(熱がある・試験がある・休みだ・寒い)とお願いや結果のカードを組み合わせて「〜ので、〜」で一文にさせ、名詞とナ形容詞のカードでは必ず「な」を入れさせる。場面のやり取りでは、先生に早く帰りたい・会社の人に休みたいと伝えるロールプレイを、「〜ので、〜てもいいですか」「はい、いいですよ/じゃあ、〜てください」の形でペアで行う。

  1. 口頭教師が理由のカード(熱がある・試験がある・雨・休み・寒い・静かだ)を見せ、学生が「〜ので」をつけて言う。キューの例は「熱がある→熱があるので」「雨→雨なので」「静か→静かなので」「試験があった→試験があったので」。全体で2回言ったあと個人に当て、慣れたら教師が後ろの文(早く寝ます・窓を閉めてください)を足して一文まで言わせる。名詞とナ形容詞のカードは赤い枠にして、「な」が要ることが見て分かるようにする。
  2. ペアAは先生か会社の上司の役、Bは学生か社員の役。Bにだけ理由のカード(病院の予約・国から家族が来る・試験がある)を、Aにだけ答え方のカード(いいですよ/すみませんが、だめです)を配る。Bが「〜ので、〜てもいいですか」とお願いし、Aはカードどおりに答える。だめと言われたら、Bは「わかりました」と引く。3枚終わったら役とカードを替える。
  3. 産出「先生へのお願い」ロールプレイ。学生が自分の本当の予定や事情を一つ選び、教師を相手に、早く帰る・休むなどのお願いを「〜ので、…」で言う。誘いを断るときの「〜ので……。」の止め方も一度は使わせる。教師が見るのは、ナ形容詞と名詞の「な」、前の形が普通の形になっているか、お願いの文の形(〜てもいいですか・〜てください)の三点で、言い終わってから直す。

つまずきと手当て

  • ナ形容詞と名詞で「*静かので」「*休みので」「*休みだので」と言う。接続の表の赤の「な」を指さし、「静かなので」「休みなので」と言い直させる。過去のときだけ「休みだったので」と「だった」になることも表に足しておく
  • 「どうして遅れましたか」と聞かれて「*電車が止まったのでです」と答える。「から」は「〜からです」と文を終えられるが、「ので」は終えられないと二つを並べて見せ、答えは「電車が止まったからです」か「電車が止まったので、遅れました」にさせる
  • 「ので=丁寧」と覚えて、友達との普通の形の会話もすべて「ので」で言う(誤りではない)。友達との会話では「から」もよく使い、自分の考えを強く言うとき(おいしいから食べて、など)は「から」のほうが多い、と一言添えて、どちらも言えればよいとする

既習の文型との違い

  • 〜が好きです/〜が好きですから、…(第7課)「から」も「ので」も理由を言いますが、「から」は話し手が理由を自分の判断として示す感じがあり、「ので」は事情をそのまま説明する感じで、お願いや謝る場面ではやわらかく聞こえます。形では、名詞・ナ形容詞が「雨だから」と「雨なので」になるのが違います。また「どうしてですか」への答えは「〜からです」で終えられますが、「*〜のでです」とは言えません。
  • 〜て、…ました(第19課)第19課の原因の「〜て」も「熱があって、休みました」のように理由を言えますが、後ろは結果や気持ちの文に限られます。「*熱があって、早く帰ってもいいですか」のように、お願いや許可を求める文にはつなげません。頼む文につなぐなら「ので」を使う、と並べて見せます。
関連する文型

学習項目 2 〜のに、…

意味・はたらき学習項目 2

「〜のに」は、前のことから考えるとふつうはこうなると思っていたのに、本当はそうならなかった、と言う言い方で、話し手の不満・残念な気持ち・驚きがこもります。「たくさん勉強したのに、テストはよくありませんでした」のような残念なことにも、「この店は安いのに、おいしいです」のような思ったよりよかったことにも使えます。後ろは本当に起きたことや今の様子で、第19課の「〜ても」が「あした雨が降っても」のようにまだ分からないことにも使えるのに対して、「のに」はもう分かっている事実にしか使いません。そのため、後ろに「〜てください」「〜ましょう」「〜たいです」のような頼む・誘う・希望の文は来ません。

接続

V・いAの普通形/なAな/Nな +のに(「ので」と同じ接続。過去は なAだった・Nだった。後ろは事実の文)

形
Vのに、…(毎日練習しているのに、なかなか上手になりません)いAのに、…(この店は安いのに、とてもおいしいです)なAなのに/Nなのに、…(日曜日なのに、会社へ行かなければなりません)〜のに。(文の終わりで、残念な気持ちだけを言う。きのう、ちゃんと言ったのに。)

導入

  • 天気予報の絵と、雨にぬれた人の絵テレビの天気予報で晴れのマークが出ている絵と、雨にぬれて困っている人の絵を左右に貼る。教師が困った顔で「けさ、天気予報は晴れだと言いました。でも、雨が降りました」と二文で言い、それを「天気予報は晴れだと言ったのに、雨が降りました」と一文にまとめて見せる。板書は「[そうなると思ったこと]のに、[ちがった事実]」の枠にし、項目1の接続の表をそのまま指して「前の形は『ので』と同じ」と確かめる。
  • 第19課の「ても」と並べる黒板の上に第19課の型の文「あした雨が降っても、出かけます」、下に「きのうは雨が降っていたのに、出かけました」を書き、「どちらがもう起きたことですか」と聞く。「ても」の文には「もし」が入るが、「のに」の文には入らないことを、上の文にだけ「もし」を書き足して見せる。そのあと学生に「高かったのに、よくなかった物がありますか」「休みの日なのに、何をしなければなりませんでしたか」と聞き、「〜のに、…」で答えさせる。

板書案

[そうなると思ったこと] + のに、[ちがった事実]
天気予報は晴れだったのに、雨が降りました。
接続は「ので」と同じ(静か〔赤〕なのに/日曜日〔赤〕なのに)
〔青〕もしあした雨が降っても、出かけます。(まだ分からない)
〔赤〕きのうは雨が降っていたのに、出かけました。(もう起きた)
のにの後ろ:×〜てください ×〜ましょう ×〜たいです

場面と発話(自作)

  • 月曜日の休み時間に、週末に海へ行った留学生が、友達にそのときのことを話す。日曜日、海へ行きました。でも、天気予報は晴れだったのに、一日じゅう雨でした。
  • 昼休みに、同僚に連れて行ってもらった店で、料理を食べた社員が驚いて言う。この店は安いのに、とてもおいしいですね。
  • 授業のあと、漢字のテストの点がよくなかった留学生が、先生に相談する。毎日漢字を書いて練習しているのに、テストでよく間違えます。どうしたらいいですか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

代入練習では、「そうなると思ったこと」と「本当のこと」の2枚組カード(勉強した/テストがよくなかった、日曜日だ/会社へ行った、安い/おいしい)を見せて「〜のに、〜」で一文にさせ、名詞とナ形容詞のカードでは「なのに」を入れさせる。場面のやり取りでは、最近あった残念なことを「〜のに、〜ました」でペアで話し、聞いた人は「それは残念でしたね」と返す。

  1. 口頭教師が「そうなると思ったこと」と「本当のこと」の2枚組の絵カードを見せ、学生が「〜のに、〜」で一文にする。キューの例は「たくさん寝た/眠い→たくさん寝たのに、眠いです」「日曜日/仕事→日曜日なのに、仕事です」「高かった/おいしくなかった→高かったのに、おいしくなかったです」「予約した/席がなかった→予約したのに、席がありませんでした」。全体→個人の順で、残念な顔と驚いた顔のどちらで言うかも教師がまねて見せる。
  2. ペアAにだけ「週末にあったこと」の絵カード(思っていたことと本当のことが1枚に描いてあるもの)を配る。Bが「週末、どうでしたか」と聞き、Aが絵を見て「〜のに、〜ました」で答える。Bは結果が残念なら「それは残念でしたね」、よかったなら「よかったですね」と返す。2枚ずつ話したらカードを渡して交替する。
  3. 産出「ざんねんスピーチ」。学生が最近あった残念なことか驚いたことを一つ選び、「〜のに、〜」を入れて30秒ほどクラスの前で話す。聞いている学生は一つ質問をする。教師が見るのは、後ろが本当に起きたことになっているか(誘う・頼む文が来ていないか)、ナ形容詞と名詞の「なのに」、まだ分からないことに「のに」を使っていないか、の三点。

つまずきと手当て

  • 後ろに誘う文を置いて「*雨が降っているのに、歩いて行きましょう」と言う。「のに」の後ろは本当に起きたことだけだと板書の枠の「事実」の欄を指して確かめ、誘いたいときは「雨が降っていますが、歩いて行きましょう」と第6課の「が」でつなぐと見せる
  • まだ分からないことに使って「*もしあした雨が降るのに、行きます」と言う。「もし」が入る文は第19課の「ても」になると、上下に並べた板書に戻って「もしあした雨が降っても、行きます」と言い直させる
  • ナ形容詞と名詞で「*静かのに」「*日曜日のに」と言う。項目1と同じく赤の「な」を入れる。また、相手に向かって「教えたのに」「言ったのに」と言うと相手を責める強い言い方になる(誤りではない)ので、目上の人には使わないほうがいいと一言添える

既習の文型との違い

  • 〜ても、…(第19課)「ても」は「もしあした雨が降っても」のように、まだ起きていないことや仮のことにも使え、後ろに「行きましょう」のような誘う文も来ます。「のに」は前も後ろももう分かっている事実で、そこに残念な気持ちや驚きが入ります。「*もしあした雨が降るのに、行きます」のような誤りが出たら、「ても」の文に言い直させます。
  • 〜ですが、…です(第6課)「が」は前と後ろが反対の内容だと事実を並べる言い方で、気持ちはあまり入りません。「のに」は話し手の思っていたことが外れた気持ちが入るので、「安いですが、おいしいです」は落ち着いた説明、「安いのに、おいしいです」は驚きになります。後ろに頼む・誘う文を置きたいときは「が」でつなぎます。
関連する文型

学習項目 3 〜なら、…

意味・はたらき学習項目 3

この課の「なら」は、相手が言ったことや話に出たことを受けて、「それについて言うと…」と、情報・勧め・自分の考えを続ける言い方です。「京都へ行きたいです」と言われて「京都なら、秋がいいですよ」と返すように、前の名詞は相手の話から取ってくるのが基本で、後ろには「〜がいいですよ」「…ほうがいいです」「〜にありますよ」のような文がよく来ます。「それなら」の形で文の頭に置くと「その話だったら」という意味になり、相手の話を受けて別の案を出すときに便利です。相手の話を受ける感じがあるので、何の話もないところで自分から話題を出すときには「は」を使います。この教案では名詞につく形と「それなら」を扱い、動詞や形容詞につく「なら」は第28課の「〜なら、…」で広げます。

接続

N+なら(「だ」は入れない。文の頭では「それなら」)

形
Nなら、〜がいいですよ(すしなら、駅の前の店がいいですよ)Nなら、…ほうがいいですNなら、〜にありますよ(はさみなら、机の上にありますよ)それなら、…(それなら、土曜日に行きましょう)

導入

  • 学生の「〜たいです」を受けて答える教師が学生に「今度の休み、どこへ行きたいですか」と聞き、「京都へ行きたいです」と返ってきたら、京都の写真を見せながら「京都なら、秋がいいですよ。とてもきれいです」と答える。板書はA「京都へ行きたいです」、B「京都なら、秋がいいですよ」の会話の形にし、Aの「京都」からBの「京都なら」へ矢印を引いて、相手の話の名詞を受けていることを見せる。何人かに行きたい所・食べたい物を聞き、教師が同じ形で答えをくり返す。
  • 探し物の場面と「それなら」教師が机の上を探しながら「あれ、はさみがありません。どこですか」と困って見せ、はさみのある場所を指さして学生に「はさみなら、そこにありますよ」と言わせる。次に、学生の一人に「日曜日はアルバイトがあります」と言ってもらい、教師が「それなら、土曜日に行きましょう」と返す。「それなら」は相手の話全体を受けて、次の案を出す言葉だと板書に足す。

板書案

A:京都へ行きたいです。
B:京都〔赤〕なら、秋がいいですよ。
〔矢印〕Aの「京都」→ Bの「京都なら」
N + なら(×Nだなら)
それ〔赤〕なら、+[次の案](土曜日に行きましょう)

場面と発話(自作)

  • 休み時間に、日本の料理を食べてみたいと言う新しいクラスメートに、知っている店をすすめる。すしなら、駅の前の店が安くておいしいですよ。
  • 会社で、同僚が「ホッチキスはどこですか」と探しているので、場所を教える。ホッチキスなら、わたしの机の上にありますよ。どうぞ使ってください。
  • 友達と映画に行く日を決めていて、友達が「日曜日はアルバイトがあります」と言ったので、別の日を言う。それなら、土曜日に行きましょう。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

代入練習では、教師が「〜を買いたいです」「〜が食べたいです」「〜はどこですか」と言い、学生がその名詞を受けて「〜なら、…」で答える。慣れたら教師が「日曜日は雨でしょう」のような文を言い、学生に「それなら、…」で案を出させる。場面のやり取りでは、ペアでAが行きたい所やほしい物を言い、Bが「〜なら、…がいいですよ」とすすめ、最後に「それなら、〜ましょう」で予定を決める。

  1. 口頭教師が相手役になって話題を出し、学生がその名詞を受けて「〜なら、…」で返す。キューの例は「辞書を買いたいです→辞書なら、駅の前の本屋がいいですよ」「傘はどこですか→傘なら、入口にありますよ」「日本の料理が食べたいです→すしなら、…」「日曜日は雨でしょう→それなら、…」。最初は教師が後ろの文を絵カードで示し、慣れたら学生に考えさせる。全体→個人の順で。
  2. ペア情報差を作る。Bにだけ町の地図(本屋・ラーメンの店・公園・郵便局などを描いたもの)を、Aにだけ「ほしい物・行きたい所」のリストを配る。Aがリストの一つを「〜を買いたいです」「〜はどこですか」で言い、Bが地図を見て「〜なら、〜がいいですよ/〜にありますよ」と答える。最後にAが都合の悪いことを一つ言い、Bが「それなら、…」で案を出す。地図とリストを替えて交替する。
  3. 産出「わたしの町ガイド」。学生が自分の国か住んでいる町を一つ決め、クラスの学生が「〜へ行きたいです」「〜が食べたいです」と質問する。答える学生は「〜なら、…がいいですよ」で店・季節・場所をすすめる。教師が見るのは、名詞に「だ」を入れていないか、自分から話題を出すときに「なら」を使っていないか、後ろが勧めや情報になっているか、の三点。

つまずきと手当て

  • 「*京都だなら」「*すしだなら」と「だ」を入れる。名詞にそのまま「なら」をつけると、板書の矢印の先の「京都なら」を指して言い直させる
  • 相手の話がないのに、急に「すしなら、好きです」と話し始める(形は正しいが、話の流れに合わない)。自分から話題を出すときは「すしは好きです」と「は」を使い、「なら」は相手が出した話題を受けるときだと、会話の板書の矢印に戻って確かめる
  • 母語の「もし」に当たる言葉で訳して覚え、この課の「なら」を「もし京都だったら」の意味だと思って使いにくく感じる。この課では訳で説明せず、会話の矢印の板書で「相手の言葉を受ける」使い方として体に入れ、条件の使い方は第28課でまとめて扱う

既習の文型との違い

  • 〜たら、…(第19課)「たら」は「雨が降ったら、行きません」のように、前のことが起きたらどうするかを言う条件です。この課の「なら」は、相手が出した話題を受けて情報や勧めを続ける言い方です。「京都へ行ったら、…」は行ったあとのこと、「京都なら、…」は京都の話を受けて言うこと、と並べて見せます。
  • 〜は…です(第1課)「は」も話題を示しますが、自分から話題を出すときに使えます。「なら」は相手の話や前に出た話題を受けるときに自然で、何の話もないところで急に「すしなら好きです」と言うと流れに合いません。
関連する文型

語彙の扱い

この課の文型は、予定や事情(用事・病院・アルバイト・試験)、天気予報、店や物をすすめる言葉と組み合わせるとよく働きます。新しい語は単語だけで覚えさせず、「用事があるので」「休みなのに」「すしなら」のように、この課の形をつけた言い方で絵カードと一緒に入れます。「それなら」は項目3の導入で、相手の話を受ける一語として会話の中で出すと、意味の説明をしなくても使い方が伝わります。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • 用事(ようじ) しなければならないことです。人に会う、役所へ行くなどの予定のことです。 〜がある・ちょっと〜が
    同僚に今晩の食事に誘われたが、行けない。
    すみません、今晩はちょっと用事があるので……。
  • 予約(よやく) 病院や店などで、行く日や時間を前に決めておくことです。 病院の〜・〜がある・〜をする
    授業のあとに病院へ行く留学生が、先生に話す。
    3時に病院の予約があるので、早く帰ってもいいですか。
  • 準備します(じゅんびします) 何かをする前に、要る物や事をそろえておくことです。 旅行の〜・試験の〜
    あさってから旅行に行く人が、友達に話す。
    あさってから旅行に行くので、きょうは荷物の準備をします。
  • 天気予報(てんきよほう) テレビやインターネットで、あしたの天気がどうなるかを知らせるものです。 〜を見る・〜では晴れ
    晴れると思って出かけたが、雨が降った。
    天気予報は晴れだったのに、雨が降りました。
  • 約束します(やくそくします) 人と、いつ・どこで何をするかを決めることです。 友達と〜・会う〜
    友達に本を借りて、あした返すと約束した学生が話す。
    あした返すと約束したので、今晩この本を読みます。
  • 遅れます(おくれます) 決めた時間よりあとに着くことです。 授業に〜・電車が〜・10分〜
    電車が止まって、授業に遅れた学生が先生に言う。
    電車が止まったので、授業に遅れました。すみません。
  • 熱(ねつ) かぜなどで、体がいつもより熱くなることです。 〜がある・〜が出る・〜が高い
    朝、熱があって、会社を休みたい社員が電話で言う。
    熱があるので、きょうは休んでもいいですか。
  • 残念(ざんねん) 思ったとおりにならなくて、気持ちがよくない様子です。 〜です・それは〜でしたね
    友達が、楽しみにしていた旅行が雨でだめになった話をした。
    それは残念でしたね。
  • 間に合います(まにあいます) 決めた時間までに着いたり、終わったりすることです。 電車に〜・授業に〜
    朝早く家を出た学生が、遅れて教室に着いて言う。
    早く家を出たのに、間に合いませんでした。
  • 探します(さがします) なくした物や、ほしい物がどこにあるか見つけようとすることです。 かぎを〜・アパートを〜
    会社で、同僚がはさみを探している。
    はさみなら、わたしの机の上にありますよ。
  • 有名(ゆうめい) たくさんの人がよく知っている様子です。 〜な店・〜な町
    日本の料理を食べたいと言う友達に、店をすすめる。
    ラーメンなら、駅の近くに有名な店がありますよ。

宿題と次のコマ

宿題は、①先生に早く帰りたい・休みたいと伝える文を「〜ので、…てもいいですか」で1つ、②最近あった残念なことや驚いたことを「〜のに、…」で2つ、③友達に自分の国の町や料理をすすめる短い会話を「Nなら、…」で1つ書くこと。次のコマの最初に宿題の文を読み合い、教師が「〜さんは、どうして早く帰りたいですか」「その町なら、何がいいですか」と聞いて復習してから、第22課の可能表現に入ります。

よくある質問

  • 「〜ので」と「〜から」の違いは、初級の学習者にどう説明すればいいですか?

    どちらも理由を言えますが、「から」は話し手が自分の判断として理由を示す感じ、「ので」は事情をそのまま説明する感じがある、と場面で見せるのが分かりやすいです。先生や会社の人にお願いする・休みを伝える場面では「ので」のほうがやわらかく聞こえるので、この課の練習の場面はそちらに寄せます。形の違いは、名詞・ナ形容詞が「雨だから」と「雨なので」になる点と、「〜からです」は言えても「〜のでです」は言えない点の二つを板書で並べます。友達との会話で「から」を使うのは誤りではないので、直しすぎないようにします。

  • 「〜のに」と「〜ても」の違いはどう見せればいいですか?

    上に「もし〜ても」、下に「〜のに」の文を同じ動詞で並べ、「どちらがもう起きたことですか」と聞くのが早いです。「ても」はまだ分からないことや仮のことにも使えますが、「のに」は前も後ろも分かっている事実で、話し手の残念な気持ちや驚きが入ります。そのため「のに」の後ろには頼む・誘う・希望の文が来ないことも、同じ板書の中で確かめます。

  • 第21課の「なら」と第28課の「〜なら、…」はどう分けて教えますか?

    この課では名詞につく「Nなら」と「それなら」だけを、相手の話を受けて情報や勧めを続ける言い方として扱います。会話の板書で、相手の言葉から矢印を引いてくる見せ方にすると、条件の説明をしなくても使い方が伝わります。動詞や形容詞につく「なら」と、条件としての使い方は第28課の「〜ば」と並べて広げます。この課で「もし〜なら」の訳を出すと、「たら」との区別で混乱しやすくなります。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は導入と「〜ので」「〜のに」まで、2コマ目は「〜なら」と三つの言い分け、まとめの「週末の相談」ロールプレイです。普通の形(第17課)があやしいクラスでは、1コマ目の最初に普通の形の確認を10分ほど足すと、「ので」「のに」の接続で止まりません。

  • 「ので」「のに」の板書はどう組みますか?

    黒板の左に接続の表を一つ書き、動詞・イ形容詞は普通の形のまま、ナ形容詞と名詞は「な」を赤で書きます。この表を「ので」と「のに」の両方で指して使い回し、右側にそれぞれの文型の枠([理由]ので、[結果・お願い]/[そうなると思ったこと]のに、[ちがった事実])を書きます。後ろに来られる文の違いは、枠の右の欄に「お願いも来る」「事実だけ」と短く書き足します。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。