初級Ⅰの第17課で普通の形を、第19課で「〜たら」「〜ても」「〜し」を習ったあとを受けて、初級Ⅱの最初のこの課では文をつなぐ言い方を三つ足します。事情をやわらかく説明する「ので」・思ったとおりにならなかった不満や驚きを言う「のに」・相手の話に出た話題を受ける「なら」です。「ので」と「のに」は前の形がまったく同じ(普通の形で、ナ形容詞と名詞は「な」)なので、接続の表を黒板に一つ書いて二つの項目で使い回せます。新しい活用形はなく、教えどころは形よりも、後ろにどんな文が来られるか(「ので」は頼む文も来る、「のに」は事実だけ)と、「なら」の前には相手の話があること、の二点です。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(前の課とのつなぎ) | 10分 | 初級Ⅰの第7課の「から」で「どうしてきのう学校を休みましたか」と2〜3人に聞き、答えを黒板に書いておく。続けて第17課の普通の形(ある・高い・静かだ・休みだ)を動詞・形容詞・名詞のカードで速く確かめ、この課は普通の形のあとに「ので」「のに」をつける課だと予告する |
| 学習項目1 〜ので、… | 40分 | 導入で書いた「から」の文を「ので」に書き替えて、事情を説明するやわらかい言い方だと見せる。ナ形容詞と名詞の「な」を赤で板書し、先生に早く帰りたいと伝える場面のやり取りまで |
| 学習項目2 〜のに、… | 35分 | 天気予報の晴れの絵と雨にぬれた人の絵で、思ったとおりにならなかった事実を導入。項目1と同じ接続の表を使い、第19課の「〜ても」と並べて、こちらはもう起きたことだけだと確かめる |
| 学習項目3 〜なら、… | 35分 | 教師と学生の会話の板書で、相手の「〜たいです」「〜はどこですか」の名詞を矢印で引いてきて「Nなら」にする形を導入。探し物の場面と「それなら」まで |
| 三つの言い分け | 20分 | 同じ「雨」を使って「雨なので、…」「雨なのに、…」「雨なら、…」の三つの文を黒板に縦に並べ、後ろに来る文の違い(事情の説明・不満や驚き・相手の話を受けた案)を学生に言わせる |
| まとめの活動 | 40分 | 「週末の相談」ロールプレイ。Aが行きたい所を言い、Bが「〜なら、…がいいですよ」とすすめ、Aが行けない日を「〜ので、…」で説明し、最後に前に行って残念だったことを「〜のに、…」で一言話す。役を替えて2回 |
「〜ので」は、前の文が理由や原因で、後ろの文がその結果や、それを受けてすることだ、と言う言い方です。初級Ⅰの第7課の「から」と同じく理由を表しますが、「ので」は自分の事情をそのまま説明する感じになり、言い方がやわらかく聞こえます。そのため、先生や会社の人にお願いする・謝る・休みたいと伝える場面でよく使われ、文を「〜ので……。」と途中で止めて、断る気持ちをやわらかく伝えることもできます。前は第17課の普通の形で、ナ形容詞と名詞は「静かなので」「雨なので」と「な」になります。
V・いAの普通形/なAな/Nな +ので(過去は なAだった・Nだった。とても丁寧に話すときは「雨ですので」「ありますので」と前を丁寧な形にすることもある)
代入練習では、理由のカード(熱がある・試験がある・休みだ・寒い)とお願いや結果のカードを組み合わせて「〜ので、〜」で一文にさせ、名詞とナ形容詞のカードでは必ず「な」を入れさせる。場面のやり取りでは、先生に早く帰りたい・会社の人に休みたいと伝えるロールプレイを、「〜ので、〜てもいいですか」「はい、いいですよ/じゃあ、〜てください」の形でペアで行う。
「〜のに」は、前のことから考えるとふつうはこうなると思っていたのに、本当はそうならなかった、と言う言い方で、話し手の不満・残念な気持ち・驚きがこもります。「たくさん勉強したのに、テストはよくありませんでした」のような残念なことにも、「この店は安いのに、おいしいです」のような思ったよりよかったことにも使えます。後ろは本当に起きたことや今の様子で、第19課の「〜ても」が「あした雨が降っても」のようにまだ分からないことにも使えるのに対して、「のに」はもう分かっている事実にしか使いません。そのため、後ろに「〜てください」「〜ましょう」「〜たいです」のような頼む・誘う・希望の文は来ません。
V・いAの普通形/なAな/Nな +のに(「ので」と同じ接続。過去は なAだった・Nだった。後ろは事実の文)
代入練習では、「そうなると思ったこと」と「本当のこと」の2枚組カード(勉強した/テストがよくなかった、日曜日だ/会社へ行った、安い/おいしい)を見せて「〜のに、〜」で一文にさせ、名詞とナ形容詞のカードでは「なのに」を入れさせる。場面のやり取りでは、最近あった残念なことを「〜のに、〜ました」でペアで話し、聞いた人は「それは残念でしたね」と返す。
この課の「なら」は、相手が言ったことや話に出たことを受けて、「それについて言うと…」と、情報・勧め・自分の考えを続ける言い方です。「京都へ行きたいです」と言われて「京都なら、秋がいいですよ」と返すように、前の名詞は相手の話から取ってくるのが基本で、後ろには「〜がいいですよ」「…ほうがいいです」「〜にありますよ」のような文がよく来ます。「それなら」の形で文の頭に置くと「その話だったら」という意味になり、相手の話を受けて別の案を出すときに便利です。相手の話を受ける感じがあるので、何の話もないところで自分から話題を出すときには「は」を使います。この教案では名詞につく形と「それなら」を扱い、動詞や形容詞につく「なら」は第28課の「〜なら、…」で広げます。
N+なら(「だ」は入れない。文の頭では「それなら」)
代入練習では、教師が「〜を買いたいです」「〜が食べたいです」「〜はどこですか」と言い、学生がその名詞を受けて「〜なら、…」で答える。慣れたら教師が「日曜日は雨でしょう」のような文を言い、学生に「それなら、…」で案を出させる。場面のやり取りでは、ペアでAが行きたい所やほしい物を言い、Bが「〜なら、…がいいですよ」とすすめ、最後に「それなら、〜ましょう」で予定を決める。
この課の文型は、予定や事情(用事・病院・アルバイト・試験)、天気予報、店や物をすすめる言葉と組み合わせるとよく働きます。新しい語は単語だけで覚えさせず、「用事があるので」「休みなのに」「すしなら」のように、この課の形をつけた言い方で絵カードと一緒に入れます。「それなら」は項目3の導入で、相手の話を受ける一語として会話の中で出すと、意味の説明をしなくても使い方が伝わります。
宿題は、①先生に早く帰りたい・休みたいと伝える文を「〜ので、…てもいいですか」で1つ、②最近あった残念なことや驚いたことを「〜のに、…」で2つ、③友達に自分の国の町や料理をすすめる短い会話を「Nなら、…」で1つ書くこと。次のコマの最初に宿題の文を読み合い、教師が「〜さんは、どうして早く帰りたいですか」「その町なら、何がいいですか」と聞いて復習してから、第22課の可能表現に入ります。
「〜ので」と「〜から」の違いは、初級の学習者にどう説明すればいいですか?
どちらも理由を言えますが、「から」は話し手が自分の判断として理由を示す感じ、「ので」は事情をそのまま説明する感じがある、と場面で見せるのが分かりやすいです。先生や会社の人にお願いする・休みを伝える場面では「ので」のほうがやわらかく聞こえるので、この課の練習の場面はそちらに寄せます。形の違いは、名詞・ナ形容詞が「雨だから」と「雨なので」になる点と、「〜からです」は言えても「〜のでです」は言えない点の二つを板書で並べます。友達との会話で「から」を使うのは誤りではないので、直しすぎないようにします。
「〜のに」と「〜ても」の違いはどう見せればいいですか?
上に「もし〜ても」、下に「〜のに」の文を同じ動詞で並べ、「どちらがもう起きたことですか」と聞くのが早いです。「ても」はまだ分からないことや仮のことにも使えますが、「のに」は前も後ろも分かっている事実で、話し手の残念な気持ちや驚きが入ります。そのため「のに」の後ろには頼む・誘う・希望の文が来ないことも、同じ板書の中で確かめます。
第21課の「なら」と第28課の「〜なら、…」はどう分けて教えますか?
この課では名詞につく「Nなら」と「それなら」だけを、相手の話を受けて情報や勧めを続ける言い方として扱います。会話の板書で、相手の言葉から矢印を引いてくる見せ方にすると、条件の説明をしなくても使い方が伝わります。動詞や形容詞につく「なら」と、条件としての使い方は第28課の「〜ば」と並べて広げます。この課で「もし〜なら」の訳を出すと、「たら」との区別で混乱しやすくなります。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は導入と「〜ので」「〜のに」まで、2コマ目は「〜なら」と三つの言い分け、まとめの「週末の相談」ロールプレイです。普通の形(第17課)があやしいクラスでは、1コマ目の最初に普通の形の確認を10分ほど足すと、「ので」「のに」の接続で止まりません。
「ので」「のに」の板書はどう組みますか?
黒板の左に接続の表を一つ書き、動詞・イ形容詞は普通の形のまま、ナ形容詞と名詞は「な」を赤で書きます。この表を「ので」と「のに」の両方で指して使い回し、右側にそれぞれの文型の枠([理由]ので、[結果・お願い]/[そうなると思ったこと]のに、[ちがった事実])を書きます。後ろに来られる文の違いは、枠の右の欄に「お願いも来る」「事実だけ」と短く書き足します。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。