日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 初級Ⅱ 第34課「来週テストなので、あしたは家で勉強することにします」の教案

『学ぼう!にほんご 初級Ⅱ』

「こと」を使った三つの言い方を学ぶ課です。ときどき起きることを言う「〜ことがあります」、自分で決めたことを言う「〜ことにします」、自分以外が決めたこと・事情でそうなったことを言う「〜ことになります」で、あわせて聞いた内容や決まったことをひとまとめにして伝える「〜ということ」も入ります。三つとも新しい活用形はなく、前は辞書形かナイ形、変わるのは後ろの「ある・する・なる」だけなので、板書は「[V る/V ない]こと+(が あります/に します/に なります)」の一つの枠にして、後ろだけを差し替えていくと違いが目で見えます。教えるときの芯は二つで、一つは第16課の経験の「〜たことがあります」と前の形(タ形か辞書形か)で意味が変わること、もう一つは「する=話し手が自分で決める」「なる=話し手の外で決まる・成り行きでそうなる」という区別を、第20課の「〜くします/〜にします」と「〜くなります」の感覚につないで見せることです。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目3時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • ときどき起きること・ときどきしないことを「〜ことがあります/〜ないことがあります」で言い、経験の「〜たことがあります」と取り違えない
  • 理由を添えて、自分で決めたことを「〜ことにします/〜ことにしました」で言える
  • 会社・学校が決めたことや事情で決まったことを「〜ことになりました」で人に知らせ、「〜ことにしました」と場面によって選べる
  • 聞いた内容や決まったことを「〜ということ」でまとめて、ほかの人に伝えたり、知っているかどうかを聞いたりできる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)10分第16課の「〜たことがありますか」で2〜3人に経験を聞き、第15課の「〜ことができます」も一つ聞く。黒板に「[V た]ことが あります」「[V る]ことが できます」を並べ、「きょうは『こと』の後ろが変わる言い方を三つ」と予告する
学習項目1 〜ことがあります30分教師の生活の話で導入。「いつも・よく・ときどき・たまに・ぜんぜん」の線を引き、「〜ことがあります」がどのあたりかを示す。第16課の「〜たことがあります」と上下2段で板書し、前の形の違いを赤で示す
学習項目2 〜ことにします30分教師が迷って決めるまねで導入。第12課の「[N]に します」(物を選ぶ)の下に「[V る/V ない]ことに します」(動作を決める)を書き、理由の「〜ので」をつけて「〜ことにしました」まで言わせる
学習項目2(続き) 〜ということ25分お知らせの紙を使って、聞いた内容を「〜ということを 知っていますか/伝えてください」でまとめる。前は普通形、名詞・な形容詞は「だ」を入れると板書し、伝言ゲームで回す
学習項目3 〜ことになります/〜ことになりました45分「わたし」から出る矢印と「会社・学校」から出る矢印を黒板の左右に描き、左に「ことにしました」、右に「ことになりました」を書いて対にする。転勤・引っ越しのお知らせのあいさつで練習し、規則の「〜ことになっています」を少しだけ足す
まとめの活動40分「最近のわたしのニュース」の発表。自分で決めたこと(〜ことにしました)と決まったこと(〜ことになりました)を一つずつ言い、聞いた人は「ときどき〜ことがありますか」で一つ質問する。最後に、ペアの相手から聞いた内容を「〜さんが〜ということを聞きました」とクラスに報告する

学習項目 1 〜ことがあります

意味・はたらき学習項目 1

動詞の辞書形に「ことがあります」をつけて、いつもではないけれど、ときどきそういうことが起きる・そうすることがある、と言います。第16課の「〜たことがあります」は今までに一度でもしたかという経験で、この課の「〜ことがあります」は今の生活の中でときどき起きることです。前の形が辞書形かタ形かだけで意味が大きく変わるので、ここが課の最初の要点です。ナイ形につけた「〜ないことがあります」は、ふだんはするのに、しない日もある、という意味です。「ときどき」「たまに」とよくいっしょに使い、「いつも」「毎日」のように例外のないことには使いません。

接続

動詞の辞書形/ナイ形+ことがあります(「寒いことがあります」「暇なことがあります」のように形容詞にもつくが、この課は動詞を中心にする。辞書形とナイ形の作り方はグループⅠ・Ⅱ・Ⅲとも第15課・第12課のとおり)

形
Vる ことがありますVない ことがありますときどき/たまに Vる ことがありますVる ことがありますか——はい、ときどきあります/いいえ、ありません

導入

  • 経験の「〜たことがあります」と上下2段で並べる上の段に第16課の「[V た]ことが あります」を書き、教師が「わたしは北海道へ行ったことがあります。1回です」と言う。下の段に「[V る]ことが あります」を書き、「わたしは毎朝電車で学校へ来ます。でも、雨の日は、バスで来ることがあります」と言う。上の段の「た」と下の段の「る」を赤で囲み、「上は今までに1回、下は今もときどき」と手で示す。
  • 頻度の線に置く黒板に左から「いつも・よく・ときどき・たまに・ぜんぜん」の線を引き、教師の生活の絵カード(朝ご飯・電車・料理など)を貼りながら「朝ご飯はいつも食べます。でも、忙しい朝は、食べないことがあります」と言う。「〜ことがあります」は「ときどき・たまに」のあたりに貼るカードだと見せ、「いつも」の下には貼れないことを確かめてから、学生に自分の生活で一つずつ言わせる。

板書案

[V る/V ない] ことが あります = いつもではない・ときどき
〔上の段〕[V た]ことが あります = 今までに1回でも(第16課)
〔下の段〕雨の 日は、バスで 来る ことが あります。
忙しい 朝は、朝ご飯を 食べない ことが あります。
いつも ― よく ― ときどき ― たまに ― ぜんぜん
〔赤〕上の段の「た」と下の段の「る/ない」に丸 〔青〕線の「ときどき・たまに」に矢印

場面と発話(自作)

  • 会社で、先輩が新しく入った人に、朝の通勤のことを話す。この電車は、朝、ときどき遅れることがあります。少し早く家を出たほうがいいですよ。
  • アルバイトの面接で、店長が仕事の説明をする。週末は忙しいので、休み時間が短くなることがあります。
  • 留学生同士で、朝ご飯のことを聞き合う。朝ご飯を食べないことがありますか。——はい、遅く起きたときは、食べないことがあります。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、「ときどき」のカードと動作の絵カードを重ねて見せて「〜ことがあります」と言わせ、×のついたカードが出たら「〜ないことがあります」に替えさせる。途中に経験の絵カード(富士山・着物)を混ぜ、「1回」のカードなら「〜たことがあります」、「ときどき」のカードなら「〜ことがあります」と前の形を選ばせる。場面のやり取りでは、生活のアンケート表(料理をする・タクシーに乗る・夜遅く寝る・朝ご飯を食べない)をペアで聞き合い、「はい、ときどきあります」「いいえ、ありません」と答えさせる。

  1. 口頭教師が動作の絵カードに「ときどき」の札を重ねて見せ、全員→列→個人の順で「〜ことがあります」と返させる。キューは「タクシーに乗ります」→ときどきタクシーに乗ることがあります、「夜遅く寝ます」→夜遅く寝ることがあります、「×朝ご飯」→朝ご飯を食べないことがあります、「×宿題」→宿題をしないことがあります。2周目から「1回」の札(富士山・着物・新幹線)を混ぜ、「登ったことがあります」とタ形に切り替えさせる。つまった学生には札を指して「1回ですか、ときどきですか」とだけ聞く。
  2. ペアAに生活アンケート表(料理をする・タクシーに乗る・朝ご飯を食べない・電車で寝てしまう・日本語の夢を見る)を渡し、Bに「〜ことがありますか」と聞かせて、答えを○(ときどきある)・×(ない)で書き込ませる。Bは「はい、ときどきあります。〜とき(は)、〜ます」と、どんなときかを一つ足して答える。5問で交替し、最後に二人の表を比べて、同じ答えの項目を一つ選んで発表させる。
  3. 産出「わたしの『ときどき』紹介」。学生が自分の生活について「いつもは〜ます。でも、〜とき(は)、〜ことがあります」の2文を3組作り、ノートに書いてから一人ずつ話す。聞いた人は「どうしてですか」と一つ質問する。教師が見るのは、「こと」の前の形(辞書形・ナイ形・タ形を取り違えていないか)、マス形を「こと」につないでいないか、毎日の習慣に使っていないかの3点。経験のつもりで辞書形を使った文は、本人に「1回ですか、ときどきですか」と聞いて言い直させる。

つまずきと手当て

  • 今までの経験を言いたいのに「納豆を食べることがあります」と辞書形で言う。文は成り立つが「ときどき食べる」の意味になる。上下2段の板書の「た」と「る」を指して、言いたいのが「1回」か「ときどき」かを先に決めさせる
  • 「*ときどき遅れますことがあります」と、マス形に「こと」をつなぐ。「こと」の前は辞書形かナイ形だと、枠の[V る/V ない]を指して言い直させる
  • 「毎日ジョギングすることがあります」のように、例外なく毎日することに使う。頻度の線の「いつも」の下にはこのカードを貼らないことを見せ、毎日のことは「毎日ジョギングします」でよいと整理する

既習の文型との違い

  • 〜ことがあります(第16課・Vた+ことがあります)第16課の形は「Vた+ことがあります」で、今までに一度でもしたかという経験を言います。この課は「Vる/Vない+ことがあります」で、今の生活の中でときどき起きることを言います。後ろはまったく同じなので、学習者は前の形を取り違えやすく、去年の旅行のことを「北海道へ行くことがあります」と辞書形で言う誤りが出ます。
  • 〜ことができます(第15課)第15課の「Vる+ことができます」も前は辞書形で、後ろの動詞だけが違います。「できます」は能力・可能、「あります」は頻度なので、「漢字を書くことができます」と「漢字を書くことがあります」を並べて、後ろの一語で意味が変わることを見せます。「ときどき」が付けられるのは「あります」のほうだと確かめると区別しやすくなります。
関連する文型

学習項目 2 〜ことにします/〜ということ

意味・はたらき学習項目 2

「〜ことにします」は、話し手が自分で考えて、これからすることを決める言い方です。「〜ことにします」はその場で決めるとき、「〜ことにしました」はもう決めたことを人に伝えるときに多く使います。第12課の「Nにします」は物を選ぶ(カレーライスにします)言い方で、動作を決めるときは「こと」を入れて動詞をつなぎます。第23課の「〜つもりです」は前から持っている考えを言い、「〜ことにしました」は「決めた」という点に目が向きます。決めたのが自分ではなく会社・学校などのときは学習項目3の「〜ことになりました」になり、この区別がこの課でいちばん大切です(なお、自分で決めて続けている習慣を言う「〜ことにしています」もありますが、ここでは触れる程度にします)。「〜ということ」は、文の内容をひとまとめにして「そのこと」として扱う形で、「知っています・知らせます・伝えます・聞きました・忘れました」などの前に置いて、聞いた話や決まったことの中身を伝えるときに使います。

接続

動詞の辞書形/ナイ形+ことにします/ことにしました。「ということ」は普通形+ということ(名詞・な形容詞は「だ」を入れて「休みだということ」「静かだということ」。話し言葉では「だ」を落とすこともある。前をマス形にしない)

形
Vる/Vない ことにします〜ので、Vる/Vない ことにしました普通形+ということを 知っていますか/聞きました普通形+ということを 〜さんに伝えてください

導入

  • 教師が迷って決めるまねをする教師が「週末は山へ行く予定でした。でも、雨が降るそうです……」と困った顔をし、山の絵と映画の絵を両手に持って迷うまねをする。少し考えてから「決めました。山へ行かないことにします。うちで映画を見ることにします」と言う。板書は上の段に第12課の「[N]に します」(カレーライスにします)、下の段に「[V る/V ない]ことに します」を書き、「物を選ぶときは N、することを決めるときは こと」と「こと」を赤で書く。最後に理由をつけて「雨が降るそうなので、山へ行かないことにしました」と言わせ、決めたことを人に話すときは「しました」だと示す。
  • お知らせの紙で「〜ということ」を作る「あしたの授業は午後1時からです」と書いた紙を教室の入口に貼り、教師が一人の学生に「〜さん、あしたの授業は午後からだということを、知っていますか」と聞く。「はい、知っています」の答えのあと、別の学生に「休んでいるAさんに、授業が午後からだということを伝えてください」と頼む。板書は「[普通形]ということを 知っています/伝えます」の枠にし、「午後から だ」の「だ」を赤で書いて、「です」は入らないことを見せる。

板書案

[N]に します = 物を選ぶ(カレーライスに します・第12課)
[V る/V ない]ことに します = することを自分で決める
雨が 降るそうなので、山へ 行かない ことに しました。
[普通形]ということを 知っていますか/伝えてください
あしたの 授業は 午後から だ ということ
〔赤〕「ことに」を一かたまりで囲む・「だ」に丸 〔青〕「しました」=もう決めたことを話す

場面と発話(自作)

  • 天気予報を見た留学生が、学校へ行く前にルームメートに言う。きょうは雨らしいので、自転車で行かないで、バスで行くことにします。
  • 夏休みの予定を聞かれた留学生が、先生に答える。今年はお金がないので、国へ帰らないことにしました。アルバイトをします。
  • 寮で、管理人から聞いたことを、留学生がほかの留学生に伝える。あしたの朝9時から12時まで、水が出ないということを聞きましたか。——いいえ、知りませんでした。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、状況のカード(雨が降るそうです・来週テストがあります・お金がありません・医者にたばこをやめたほうがいいと言われました)を見せ、学生に決めた行動を選ばせて「〜ので、〜ことにしました」と一文で言わせる。「〜ということ」は、教師がお知らせのカード(あしたは休みです・バスの時間が変わりました・会議は3時からです)を一人に見せ、その学生が隣の人に「〜ということを知っていますか」と聞いて回す伝言ゲームにする。場面のやり取りでは、ペアで週末の予定を話し合い、条件(天気・お金・宿題)を聞いてから「じゃ、〜ことにします」で決めさせる。

  1. 口頭状況のカードを見せ、学生に行動を選ばせて「〜ので、〜ことにしました」と一文で言わせる。キューは「雨が降るそうです」→うちで映画を見ることにしました、「来週、友達の結婚式があります」→新しい服を買うことにしました、「お金がありません」→国へ帰らないことにしました、「体の調子が悪いです」→アルバイトを休むことにしました。全員で1回、そのあと個人で別の行動を言わせる。次にお知らせのカード(あしたは休みです・会議は3時からです・バスの時間が変わりました)を見せ、「〜ということを知っていますか」の形に変えさせる。名詞のカードでは「だ」を入れるところで一度止める。
  2. ペア週末の予定を決めるやり取り。Aは条件のカード(天気・お金・宿題の3つが書いてある)を持ち、Bには見せない。Bは「週末の天気はどうですか」「宿題はありますか」と聞いて条件を集め、「じゃ、〜ので、〜ことにします」と決める。Aは決めた理由が条件に合っているかを確かめる。1回ごとに交替し、カードを替えて3回。最後の1回は、AがBに「〜ということを知っていますか」とカードの内容を伝える形でやり取りを始めさせる。
  3. 産出「決めました宣言」と「お知らせ伝言リレー」の二つ。宣言では、学生が今学期や今年自分で決めたことを理由つきで2つ発表する(〜ので、〜ことにしました/〜ないことにしました)。伝言リレーでは、教師が列の先頭の学生にお知らせのカードを見せ、その学生が次の人に「〜ということを聞きましたか」と伝え、最後の人が黒板に内容を書く。教師が見るのは、「ことに」の落ち、マス形や「の」をはさむ誤り、「ということ」の前に「です」を入れる誤り、会社が決めたことを「ことにしました」で言っていないかの4点。

つまずきと手当て

  • 「*電車で行くにします」と「こと」を落として、第12課の「Nにします」と同じ形で動詞をつなぐ。上下2段の板書で、動詞のときは「ことに」が一かたまりだと色を分けて見せる
  • 「*国へ帰りますことにしました」「*行かないのことにしました」と、マス形や「の」をはさむ。「こと」の前は辞書形かナイ形だけだと、枠の[V る/V ない]を指して言い直させる
  • 会社に決められた転勤を「大阪の会社へ行くことにしました」と言う。文としては正しいが「自分で選んで決めた」意味になり、聞いた人に誤解される。だれが決めたかを先に聞いてから、学習項目3の「〜ことになりました」と選ばせる
  • 「*授業が午後からですということを知っていますか」と、「ということ」の前を丁寧な形にする。丁寧さは文の最後の「知っていますか」が受け持つので、前は普通形にすると板書の「だ」を指して直す

既習の文型との違い

  • 〜にします(第12課)第12課の「Nにします」は、メニューや色などの中から物を選ぶ言い方です。動作を決めるときは動詞を「こと」で名詞のかたまりにしてから「にします」をつなぐので、「*バスで行くにします」のように「こと」を落とす誤りが出ます。上下2段の板書で「N」の場所に「Vること」が入る、と見せると形がつながります。
  • 〜つもりです/〜予定です(第23課)「〜つもりです」は前から持っている考え、「〜予定です」はもう決まっている計画を言います。「〜ことにしました」は、考えたうえで決めた・決めたばかりだという点に目が向きます。迷う場面のあとで決めたことを話すときは「ことにしました」、前から考えていることを聞かれて答えるときは「つもりです」が合う、と場面で分けます。
  • 〜そうです 伝聞(第32課)「〜そうです」は聞いた話を文の終わりで伝える言い方で、「ということ」は聞いた内容をひとまとめにして「知っています・伝えます」の目的語にする言い方です。「あしたは休みだそうです」と「あしたは休みだということを聞きました」は内容が同じでも、後者は「聞きました・伝えてください」などの動詞と組めます。前の形はどちらも普通形で、名詞・な形容詞に「だ」が入る点も同じです。
関連する文型

学習項目 3 〜ことになります/〜ことになりました

意味・はたらき学習項目 3

話し手が自分で決めたのではなく、会社・学校・家族などほかの人が決めたこと、またはいろいろな事情の結果としてそう決まったことを言います。「〜ことにします」は話し手が自分で決める、「〜ことになります」は話し手以外が決める・成り行きでそうなる、という違いで、「する」と「なる」の違いがそのまま意味の違いになっています。「〜ことになりました」は決まったことを人に知らせる形で、転勤・引っ越し・予定の変更などの報告やあいさつによく使います。自分で決めたことでも、結婚・帰国などを人に知らせるときに「〜ことになりました」と言うと、自分の考えを前に出さない控えめな言い方になり、日本語ではよく使われます。「〜ことになります」は、もう決まっている予定や、ある事情からそうなる結果を説明するときに使い、規則や決まりは「〜ことになっています」と言います。

接続

動詞の辞書形/ナイ形+ことになります/ことになりました(人に知らせるときは「ことになりました」が多い。規則は「ことになっています」)

形
Vる ことになりましたVない ことになりましたVる ことになります(決まっている予定・結果の説明)Vる/Vない ことになっています(規則・決まり)

導入

  • 「わたし」の矢印と「会社・学校」の矢印黒板の左に「わたし」、右に「会社・学校」と書き、それぞれから矢印を引く。教師が左を指して「わたしは、体のために、毎朝30分歩くことにしました」、右を指して「来月から、学校の決まりで、先生は8時に学校へ来ることになりました。わたしが決めたのではありません」と言う。左の矢印の先に「ことに します」、右の矢印の先に「ことに なります」と書き、「する」と「なる」を赤で囲む。学生にいくつかの話を聞かせて「だれが決めましたか」と聞き、左右どちらかを指させてから文を言わせる。
  • お知らせのあいさつを聞かせる教師が少しあらたまって「みなさん、お知らせがあります。わたしは来月、大阪の学校で教えることになりました」と言ってみせる(あとで「練習のための話です」と言う)。学生に「先生が決めましたか」と聞き、学校が決めたことでも、自分で選んだことでも、人に知らせるときはこの形をよく使うと説明する。そのあと転勤・引っ越し・帰国のカードを配り、一人ずつ前に出てお知らせのあいさつを言わせる。

板書案

わたし → [V る/V ない]ことに します
会社・学校 → [V る/V ない]ことに なります
来月から、大阪の 会社で 働く ことに なりました。
この 寮では、ごみは 朝 出す ことに なっています。= 決まり
〔赤〕「する」「なる」を丸で囲む・「に」は両方同じ色 〔青〕左右から出る矢印

場面と発話(自作)

  • 会社で、社員がいつも仕事をしている取引先の人に、来月のことを知らせる。来月から、大阪の会社で働くことになりました。今までありがとうございました。
  • 日本語学校で、先生が台風の予報を受けて、学生に予定の変更を知らせる。台風が来るそうなので、あしたのテストは来週することになりました。
  • 寮で、先輩の留学生が、来たばかりの留学生にごみの出し方を説明する。この寮では、ごみは月曜日と木曜日の朝に出すことになっています。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、行動の絵カードに「わたし」か「会社・学校」の札をつけて見せ、「わたし」なら「〜ことにしました」、「会社・学校」なら「〜ことになりました」と後ろを選ばせる。慣れたら札を見せずに短い話(「部長が決めました」「わたしが考えて決めました」)を聞かせて選ばせる。場面のやり取りでは、転勤・引っ越し・帰国・予定の変更のカードを引いて、お知らせのあいさつ(〜ことになりました。今までありがとうございました)をし、聞いた人は「そうですか。いつですか」と聞き返す。

  1. 口頭行動の絵カードに「わたし」か「会社・学校」の札をつけて見せ、後ろを選ばせる。キューは「転勤します+会社」→転勤することになりました、「たばこをやめます+わたし」→たばこをやめることにしました、「あしたの会議はしません+部長」→あしたの会議はしないことになりました、「毎朝歩きます+わたし」→毎朝歩くことにしました、「テストは来週します+学校」→テストは来週することになりました。慣れたら札を見せずに短い話(「部長が決めました」「わたしが考えて決めました」)を聞かせて選ばせる。最後に寮の決まりの絵(ごみ・音・門限)で「〜ことになっています」を全員で3回言う。
  2. ペア「だれが決めた?」のやり取り。Aはニュースのカード(表に出来事、裏に決めた人)を持ち、表だけを見てBに「〜ことになりました」か「〜ことにしました」で知らせる。Bは「だれが決めましたか」と聞き、Aが裏を見せて、選んだ形が合っているかを二人で確かめる。5枚で交替。そのあと、Aが寮に来たばかりの学生、Bが先輩の役になり、Aが「ごみはいつ出しますか」と聞いて、Bが「〜ことになっています」で決まりを説明する。
  3. 産出「お知らせのあいさつロールプレイ」。学生が転勤・引っ越し・帰国・予定の変更のカードを引き、クラスの前で「みなさん、お知らせがあります。〜ことになりました。今までありがとうございました」と言う。聞く人は「そうですか。いつですか」「どこへ行きますか」と聞き返す。課の最後には、自分で決めたこと(〜ことにしました)と決まったこと(〜ことになりました)を一つずつ入れた「最近のわたしのニュース」を話させる。教師が見るのは、「ことに」の「に」の落ちと取り違え、決めた人と形が合っているか、能力の変化を「ことになりました」で言っていないか。

つまずきと手当て

  • 会社や学校が決めたことを「〜ことにしました」と言い、自分で決めたことのように伝わる(「来月、国の会社へ戻ることにしました」と言って、自分から辞めたと思われる)。左右の矢印の板書に戻り、「だれが決めましたか」を先に確かめてから後ろを選ばせる
  • 「*大阪へ転勤することをなりました」「*帰国することがなりました」と、助詞を取り違える。「ことに なります」「ことに します」の「に」は両方同じだと、二つの枠を並べて同じ色で書く
  • 第24課の「〜ようになります」と取り違え、日本語が上手になったことを「日本語が話せることになりました」と言う。能力や習慣の変化は「〜ようになりました」、決まったことは「〜ことになりました」と、第24課の板書と並べて見せる

既習の文型との違い

  • 〜ことにします/〜ということ(第34課 学習項目2)同じ「Vる/Vない+ことに」の後ろが「します」なら話し手が自分で決める、「なります」なら話し手の外で決まる・成り行きでそうなる、という違いです。会社が決めた転勤を「転勤することにしました」と言うと、自分から望んだように伝わります。ただし、自分で決めたことでも、人に知らせるあいさつでは「〜ことになりました」を使うと控えめに聞こえる、という使い方も合わせて見せます。
  • 〜くします/〜にします(第20課)第20課では、人が変える「〜くします・〜にします」を、第15課の自然に変わる「〜くなります・〜になります」と対にしました。「〜ことにします/〜ことになります」も同じで、「する」は人が決める、「なる」は結果としてそうなる、という感覚がそのまま使えます。二つの課の板書を横に並べると、学習者は後ろの動詞だけで区別できることに気づきます。
  • 〜ようになります(第24課)「〜ようになります」は、できなかったことができるようになる・しなかった習慣をするようになる、という変化を言います。「〜ことになります」は決まったこと・予定です。「日本語が話せるようになりました」のつもりで「日本語が話せることになりました」と言うと、文としては正しくても「(会議などで)日本語で話してもいいと決まった」という意味に聞こえ、言いたいこととずれます。この取り違えが出たら、変化か、決まったことかを聞いて分けさせます。
関連する文型

語彙の扱い

この課では、テストや予定、決めること・決まることにかかわる語(テスト・予定・決める・転勤・引っ越し・決まり・お知らせなど)と、頻度を表す語(いつも・よく・ときどき・たまに)が中心になる課だと考えられます。頻度の語は学習項目1の線の上に並べて「〜ことがあります」がどこに入るかと一緒に覚えさせ、「決める」「転勤する」のような語は「〜ことにしました」「〜ことになりました」の文の中で、だれが決めたかと結びつけて練習します。お知らせの語(変わる・伝える・知らせる)は「〜ということ」の伝言ゲームでまとめて使わせます。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 決めます(きめます) いくつかの中から一つを選んで、どうするかをはっきりさせます。 予定を〜・行く日を〜・自分で〜
    旅行の日をなかなか選べない友達に。
    「早く行く日を決めましょう。」「じゃ、来週の土曜日に行くことにします。」
  • 決まります(きまります) どうするかが、はっきりした状態になります。「決めます」の自動詞です。 予定が〜・日にちが〜・仕事が〜
    会社で、同僚に会議の日を聞く。
    「会議の日は決まりましたか。」「はい、金曜日にすることになりました。」
  • 転勤します(てんきんします) 同じ会社の中で、働く場所がほかの町や国に変わります。 大阪へ〜・来月〜
    取引先の人に、来月のことを知らせる。
    「来月、大阪の支店へ転勤することになりました。」
  • 引っ越します(ひっこします) 住む家や部屋をほかの所に変えます。 新しいアパートに〜・駅の近くに〜
    寮の友達に、来月のことを話す。
    「家賃が安いので、駅の近くのアパートに引っ越すことにしました。」
  • やめます(やめます) 続けていたことを、もうしないようにします。 たばこを〜・アルバイトを〜
    医者に注意された同僚が話す。
    「体のために、たばこをやめることにしました。」
  • 遅れます(おくれます) 決まっている時間より、あとになります。 電車が〜・授業に〜・10分〜
    新しく入った人に、通勤の注意をする。
    「この電車は、雨の日にときどき遅れることがあります。」
  • ときどき(ときどき) いつもではありません。ある日や、あるときにはそうなります。 〜あります・〜遅れます
    留学生同士で、料理のことを聞き合う。
    「料理をしますか。」「ときどき自分で作ることがあります。」
  • たまに(たまに) 「ときどき」より少ない回数のようすです。 〜会います・〜あります
    国の友達と話すかを聞かれる。
    「国の友達とは、たまに電話で話すことがあります。」
  • 予定(よてい) これからすることとして、前から決めておいたことです。 〜が変わる・旅行の〜・〜を決める
    台風の予報を聞いて、先生が学生に知らせる。
    「台風が来るので、あしたの予定が変わることになりました。」
  • 決まり(きまり) そこにいる人が守ることになっている、決められたことです。 寮の〜・〜を守る
    寮の先輩が、来たばかりの留学生に説明する。
    「寮の決まりで、夜10時から朝7時まで、洗濯はしないことになっています。」
  • 知らせます(しらせます) ほかの人が知らないことを、その人に教えます。 みんなに〜・メールで〜・結果を〜
    クラスの代表が、先生から聞いたことを休んだ友達に伝えたと話す。
    「あしたは休みだということを、メールで林さんに知らせました。」
  • 伝えます(つたえます) 聞いたことや言いたいことを、ほかの人に言って分かるようにします。 〜さんに〜・電話で〜
    会社で、上司に頼まれた伝言をしたかどうか聞かれて答える。
    「会議の場所が変わったことを、電話で田中さんに伝えました。」

宿題と次のコマ

宿題は、自分の生活で「ときどきすること」と「ときどきしないこと」を「〜ことがあります/〜ないことがあります」で1文ずつ、最近自分で決めたことを理由つきで「〜ので、〜ことにしました」で1文、学校・会社・家族が決めたことを「〜ことになりました」で1文書くこと。次のコマの最初に、宿題の文を教師が読み上げて「だれが決めましたか」と聞き、「ことにしました」と「ことになりました」が正しく選べているかをクラス全体で確かめてから、第35課の授受の敬語(くださいます・いただきます)に入ります。

よくある質問

  • 第34課の「〜ことがあります」と第16課の「〜たことがあります」の違いはどう教えればいいですか?

    黒板を上下2段にして、上に「Vた+ことがあります」(今までに1回でも)、下に「Vる/Vない+ことがあります」(今もときどき)を書き、前の形だけを赤で囲みます。教師の話で「北海道へ行ったことがあります。1回です」「雨の日は、バスで来ることがあります」を続けて聞かせ、「1回ですか、ときどきですか」と聞いてから形を選ばせます。練習では「1回」と「ときどき」の札を混ぜて、前の形を切り替えさせると定着します。

  • 「〜ことにしました」と「〜ことになりました」はどう使い分けさせますか?

    基準は「だれが決めたか」です。話し手が自分で決めたら「ことにしました」、会社・学校・家族などが決めたことや、事情でそう決まったことは「ことになりました」です。黒板の左右に「わたし」と「会社・学校」から出る矢印を描き、短い話を聞かせて「だれが決めましたか」と聞いてから後ろを選ばせると、形と意味が結びつきます。第20課の「〜くします」と第15課の「〜くなります」を並べて、「する」と「なる」の違いだと見せるのも効果があります。

  • 自分で決めた結婚や帰国を「〜ことになりました」と言うのは間違いですか?

    間違いではありません。自分で決めたことでも、人に知らせるあいさつでは「〜ことになりました」と言うと、自分の考えを前に出さない控えめな言い方になり、日本語ではよく使われます。ただ、初めに「なる=ほかの人が決める」を教えた直後にこれを出すと混乱するので、基本の区別が言えるようになってから、お知らせのあいさつの練習の中で「こういう言い方もよくします」と足すのがよいでしょう。

  • 「〜ということ」の前に「だ」は必要ですか?

    前は普通形なので、名詞とな形容詞は「休みだということ」「静かだということ」のように「だ」を入れます。話し言葉では「だ」を落とすこともありますが、教室では「だ」を入れた形で教え、「です」を入れないことを先に定着させます。「*午後からですということ」の誤りが出たら、丁寧さは文の最後の「知っていますか」が受け持つと説明します。

  • 第34課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は導入と学習項目1「〜ことがあります」、学習項目2の「〜ことにします」まで、2コマ目は「〜ということ」と学習項目3「〜ことになります/〜ことになりました」、まとめの「最近のわたしのニュース」です。「ことにしました/ことになりました」の選び分けに時間がかかるクラスでは、2コマ目の最初に宿題の文で「だれが決めましたか」の確認を10分入れます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。