第22課で可能形、第23課で意向形を習ったあとに、「よう」を使う三つの表現をまとめて学ぶ課です。一つ目の「〜ようです」は、見たこと・聞いたことを手がかりに様子から判断して言う形で、第17課の「〜でしょう」(手がかりがなくても言える予想)と並べると違いがはっきりします。二つ目と三つ目の「〜ようにします」「〜ようになります」は一語違いの形なので、「する」は自分の心がけ、「なる」は時間がたって変わった結果と一組にして教えると、学習者が混同しにくくなります。「〜ようになります」は可能形と組み合わせて使うことが多く、第22課の可能形をもう一度使い込む機会にもなります。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(前の課とのつなぎ) | 10分 | 第17課の普通形を、動詞・い形容詞・な形容詞・名詞の順にカードで速く言いかえる(「〜ようです」の前に来る形の準備)。続けて第22課の可能形を「〜さんは何ができますか」で2〜3問聞き、「〜ようになります」で使うことを予告する |
| 学習項目1 〜ようです | 50分 | 手がかりの絵(ぬれたかさ・電気の消えた教室・せきをしている人)を見せて判断を言わせる。天気予報の「でしょう」と窓の外の様子の「ようです」を並べ、名詞の「の」・な形容詞の「な」を表で色分けする |
| 学習項目2 〜ようにします | 30分 | 教師の生活の絵(階段を使う・夜はコーヒーを飲まない)で「〜ようにしています」を導入し、遅刻を注意される場面で「遅れないようにします」まで。一度だけの予定(〜ます・〜つもりです)と心がけを比べる |
| 学習項目3 〜ようになります | 40分 | 2コマ目の最初に「〜ようです」「〜ようにしています」を絵カードで1問ずつ言わせて復習してから入る。「日本に来たとき」と「今」の2枚の絵を並べ、可能形+ようになりました(能力の変化)、辞書形+ようになりました(習慣の変化)、〜なくなりました(しなくなった変化)の3列の表を作る |
| 「ようにします」と「ようになります」の比べ | 20分 | 同じ動詞で対の文を作る(毎日歩くようにしています/毎日歩くようになりました)。「する」は自分の努力、「なる」は変わった結果、と板書の矢印で見せ、どちらの文かを聞き分けるクイズをする |
| まとめの活動 | 30分 | 「日本に来てから」の短いスピーチ(できるようになったこと・するようになったこと・気をつけていること)。そのあと教師が持ってきたかばんの中身を一つずつ見せ、学生が「この人は〜ようです」と持ち主の生活を推量するクイズで締める |
見たこと・聞いたこと・感じたことなど、目の前の様子や手がかりから「たぶんそうだ」と判断して言う形です。ポイントは、話し手が自分で手がかりを持っていることで、第17課の「〜でしょう」は手がかりがなくても予想として言えるのに対して、「〜ようです」は「何かを見て・聞いて」そう判断した感じが出ます。言い切りを避けてやわらかく伝えるときにもよく使い、店の人が「きょうはもうないようです」と答えるような場面が典型です。似たものにたとえる使い方(まるで〜のようです)もありますが、この教案では様子からの判断を中心に扱います。
動詞・い形容詞の普通形+ようです。な形容詞は「〜な」、名詞は「〜の」につく(過去・否定は普通形のまま: 雨だったようです・休みではないようです)
口頭の代入練習では、手がかりの絵カード(においのする台所・人がたくさん並んでいる店・赤い顔の人・閉まっている店のドア)を見せて「〜ようです」で判断を言わせ、な形容詞・名詞になる絵(客がだれもいない店・制服を着た人)を必ず混ぜる。場面のやり取りでは、ある人の部屋の絵をペアに配り、「この人は〜ようです」と部屋の持ち主の仕事や趣味を言い合わせて、クラスで答え合わせをする。
「なるべく〜する」「〜しないように気をつける」という、ふだんの行動の心がけを言う形です。一度だけの行動ではなく、努力して続けることや気をつけることに使うのが中心です。「〜ようにしています」は今続けている心がけ(毎朝野菜を食べるようにしています)、「〜ようにします」はこれからの心がけ(あしたから遅れないようにします)です。相手に心がけを頼むときは「〜ようにしてください」と言い、学校や会社の注意・お願いでよく使います。
動詞の辞書形/ナイ形+ようにします(ようにしています・ようにしてください)
口頭の代入練習では、生活の困りごとのカード(よく忘れ物をする・夜遅くまで起きている・日本語を話す時間が少ない・お金をたくさん使う)を見せ、学生が心がけを「〜ようにします」「〜ないようにします」で言う。慣れたら「〜ようにしています」に替えて、今していることとして言わせる。場面のやり取りでは、ペアで「日本語の勉強で、どんなことに気をつけていますか」と聞き合い、答えをクラスに報告させる。
前はできなかったこと・しなかったことが、時間がたって、できるように・するように変わったことを言う形です。能力の変化は可能形につけ(漢字が読めるようになりました)、習慣の変化は辞書形につけます(毎朝走るようになりました)。「分かる」「見える」のように、もともとできる・できないを表す動詞はそのまま辞書形につけます。反対に、していたことをしなくなった・できなくなったときは「〜ないようになりました」より「〜なくなりました」を使うのが普通です。名詞や形容詞の変化は、第15課の「〜になります/〜くなります」で言います。
動詞の辞書形・可能形+ようになります(しなくなった変化は、ナイ形の「ない」を「なく」にして+なります)
口頭の代入練習では、「前×→今○」のカード(自転車に乗る・漢字を書く・納豆を食べる)を見せて可能形+ようになりましたと言わせ、「前○→今×」のカードを混ぜて「〜なくなりました」に切り替えさせる。場面のやり取りでは、ペアで「日本に来てから、どんなことができるようになりましたか」「何をするようになりましたか」とインタビューし、聞いたことを「〜さんは〜ようになりました」とクラスに報告させる。
この課の練習の中心は新しい語よりも、手がかりを表す言葉(音・におい・顔色・人が並んでいる)と、生活の習慣・心がけの言葉(運動する・階段・野菜・早く寝る・忘れ物)です。「なるべく」「最近」「だんだん」のような副詞は単語だけで覚えさせず、「なるべく〜ようにしています」「だんだん〜ようになりました」の形で文型と一緒に練習すると定着します。
宿題は、日本に来てから「できるようになったこと」「するようになったこと」「しなくなったこと」を1文ずつ、ふだん気をつけていることを「〜ようにしています」で2文、うちの窓から見えることや聞こえることを「〜ようです」で2文書くこと。次のコマの最初に、ペアで宿題の文を読み合い、教師が「〜さんは何ができるようになりましたか」と聞いて復習してから、第25課の命令表現と禁止表現に入ります。
「〜ようです」と「〜でしょう」の違いはどう教えればいいですか?
「でしょう」は手がかりがなくても言える予想、「ようです」は自分で見た・聞いた・感じた手がかりからの判断、と分けます。黒板の左に天気予報、右に窓の外の絵を貼り、同じ「雨」でも言い方が変わることを見せます。練習では「何を見て、そう言いますか」と手がかりを先に言わせると、使い分けが安定します。
「〜ようにします」と「〜ようになります」をどう区別させればいいですか?
「する」は自分の努力・心がけ、「なる」は時間がたって変わった結果、と一組で教えます。同じ動詞で「毎日歩くようにしています」「毎日歩くようになりました」と対の文を作り、「がんばっていますか」「前とちがいますか」と聞いてどちらの文かを選ばせます。まとめのスピーチで「〜ようになりました」のあとに「これから〜ようにします」を言わせると、二つを続けて使う練習になります。
第24課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は普通形と可能形の復習、「〜ようです」、「〜ようにします」まで。2コマ目は「〜ようになります」、二つの形の比べ、まとめのスピーチと持ち主当てのクイズです。可能形が弱いクラスは、2コマ目の最初に可能形の作り方を5分入れてから「〜ようになります」に入ります。
「〜ようです」の前の名詞・な形容詞の形(の・な)はどう定着させますか?
導入で動詞・い形容詞・な形容詞・名詞の4行の表を作り、「な」と「の」だけ色を変えて書きます。名詞を修飾するときの「静かな町」「雨の日」と同じ形だと添えると、新しく覚える形が減ります。口頭練習では3枚に1枚、な形容詞か名詞になる絵を混ぜ、間違えたらその場で表を指して直します。
「〜ないようになりました」と「〜なくなりました」はどちらを教えますか?
しなくなった変化は「〜なくなりました」を教えます(コーヒーを飲まなくなりました)。「〜ないようになりました」も使われますが、初級では「なくなりました」のほうが普通で形も短いので、表の3列目はこちらにそろえます。学習者から「ないようになりました」が出ても誤りとはせず、「なくなりました」と言い直させる程度にします。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。