日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 初級Ⅱ 第24課「あの人は人間ではないようです」の教案

『学ぼう!にほんご 初級Ⅱ』

第22課で可能形、第23課で意向形を習ったあとに、「よう」を使う三つの表現をまとめて学ぶ課です。一つ目の「〜ようです」は、見たこと・聞いたことを手がかりに様子から判断して言う形で、第17課の「〜でしょう」(手がかりがなくても言える予想)と並べると違いがはっきりします。二つ目と三つ目の「〜ようにします」「〜ようになります」は一語違いの形なので、「する」は自分の心がけ、「なる」は時間がたって変わった結果と一組にして教えると、学習者が混同しにくくなります。「〜ようになります」は可能形と組み合わせて使うことが多く、第22課の可能形をもう一度使い込む機会にもなります。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目3時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 見たこと・聞いたこと・感じたことを手がかりに「〜ようです」で判断を言い、名詞・な形容詞の形(雨のようです・ひまなようです)を間違えずに作れる
  • 手がかりのある判断(〜ようです)と、手がかりがなくても言える予想(〜でしょう)を、場面に合わせて使い分けられる
  • ふだん気をつけていることを「〜ようにしています」、これからの心がけを「〜ようにします」で言える
  • 日本に来てからできるようになったこと・するようになったことを「〜ようになりました」で、しなくなったことを「〜なくなりました」で話せる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)10分第17課の普通形を、動詞・い形容詞・な形容詞・名詞の順にカードで速く言いかえる(「〜ようです」の前に来る形の準備)。続けて第22課の可能形を「〜さんは何ができますか」で2〜3問聞き、「〜ようになります」で使うことを予告する
学習項目1 〜ようです50分手がかりの絵(ぬれたかさ・電気の消えた教室・せきをしている人)を見せて判断を言わせる。天気予報の「でしょう」と窓の外の様子の「ようです」を並べ、名詞の「の」・な形容詞の「な」を表で色分けする
学習項目2 〜ようにします30分教師の生活の絵(階段を使う・夜はコーヒーを飲まない)で「〜ようにしています」を導入し、遅刻を注意される場面で「遅れないようにします」まで。一度だけの予定(〜ます・〜つもりです)と心がけを比べる
学習項目3 〜ようになります40分2コマ目の最初に「〜ようです」「〜ようにしています」を絵カードで1問ずつ言わせて復習してから入る。「日本に来たとき」と「今」の2枚の絵を並べ、可能形+ようになりました(能力の変化)、辞書形+ようになりました(習慣の変化)、〜なくなりました(しなくなった変化)の3列の表を作る
「ようにします」と「ようになります」の比べ20分同じ動詞で対の文を作る(毎日歩くようにしています/毎日歩くようになりました)。「する」は自分の努力、「なる」は変わった結果、と板書の矢印で見せ、どちらの文かを聞き分けるクイズをする
まとめの活動30分「日本に来てから」の短いスピーチ(できるようになったこと・するようになったこと・気をつけていること)。そのあと教師が持ってきたかばんの中身を一つずつ見せ、学生が「この人は〜ようです」と持ち主の生活を推量するクイズで締める

学習項目 1 〜ようです

意味・はたらき学習項目 1

見たこと・聞いたこと・感じたことなど、目の前の様子や手がかりから「たぶんそうだ」と判断して言う形です。ポイントは、話し手が自分で手がかりを持っていることで、第17課の「〜でしょう」は手がかりがなくても予想として言えるのに対して、「〜ようです」は「何かを見て・聞いて」そう判断した感じが出ます。言い切りを避けてやわらかく伝えるときにもよく使い、店の人が「きょうはもうないようです」と答えるような場面が典型です。似たものにたとえる使い方(まるで〜のようです)もありますが、この教案では様子からの判断を中心に扱います。

接続

動詞・い形容詞の普通形+ようです。な形容詞は「〜な」、名詞は「〜の」につく(過去・否定は普通形のまま: 雨だったようです・休みではないようです)

形
V普通形+ようです(雨が降っているようです・森さんはもう帰ったようです)イAい+ようです(このカレーは辛いようです)ナAな+ようです(あの店はきょうはひまなようです)Nの+ようです/Nではない(じゃない)+ようです(外は雨のようです・きょうは休みではないようです)

導入

  • 手がかりを一つずつ足して判断する教師が「毎朝駅で会う人」の話をする。絵を1枚ずつ貼りながら「毎朝7時半に駅にいます」「制服を着ています」「かばんに教科書がたくさん入っています」と言い、最後に「この人は高校生のようです」と言う。板書は「[手がかり]→[普通形]ようです」の枠にし、手がかりの絵を矢印の左に残しておく。そのあと別の手がかり(ぬれたかさを持った人が入ってくる絵)を見せ、学生に「外は雨が降っているようです」と言わせる。
  • 「でしょう」と並べて、形の表を作る黒板の左に天気予報の地図(手がかりはテレビの予想だけ)、右に窓の外の絵(かさをさして歩く人)を貼り、左は「あしたは雨でしょう」、右は「今、雨が降っているようです」と言い分ける。「自分で見て・聞いて判断したのはどちらですか」と聞いて右を選ばせる。最後に、動詞・い形容詞・な形容詞・名詞の4行の表を作り、な形容詞の「な」と名詞の「の」を色を変えて書く。

板書案

[手がかり] → 普通形 + ようです
(ぬれたかさの絵) → 外は 雨が 降っている ようです。
V・イA 普通形 / ナA〔赤〕な / N〔赤〕の + ようです
あしたは 雨でしょう。(予報) | 雨が 降っている ようです。(自分で見た)
〔青〕手がかりの絵 → 矢印 → 文 の順に左から右へ

場面と発話(自作)

  • 朝、留学生が教室に入ると、電気が消えていて、だれもいない。あとから来た友達に言う。きょうは授業がないようです。掲示板を見に行きませんか。
  • 会社で、同僚が朝から何度もせきをしている。となりの席の人が声をかける。原さん、風邪をひいたようですね。きょうは早く帰ったほうがいいですよ。
  • レストランで魚の料理を注文した客に、店の人が台所を見てきてから答える。すみません、魚はきょうはもうないようです。肉の料理なら、ありますが。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、手がかりの絵カード(においのする台所・人がたくさん並んでいる店・赤い顔の人・閉まっている店のドア)を見せて「〜ようです」で判断を言わせ、な形容詞・名詞になる絵(客がだれもいない店・制服を着た人)を必ず混ぜる。場面のやり取りでは、ある人の部屋の絵をペアに配り、「この人は〜ようです」と部屋の持ち主の仕事や趣味を言い合わせて、クラスで答え合わせをする。

  1. 口頭手がかりの絵カード(ぬれたかさ・店の前の長い列・赤い顔でせきをしている人・シャッターの閉まった店・だれもいない店・制服を着た人)を見せ、教師が「雨・降っている」のように語をキューにする → 全員で「雨が降っているようです」。次にキューを絵だけにして個人に当てる。名詞(先生のようです)とな形容詞(ひまなようです)になる絵を3枚に1枚は混ぜ、の・な の取り違えをその場で表に戻して直す。
  2. ペア情報差の練習。Aには部屋の絵(本が多い・ギターがある・冷蔵庫がからっぽ など)を渡し、Bには何も渡さない。Aは見えることだけを「机の上に本がたくさんあります」と言い、Bは聞いた手がかりから「この人は学生のようです」「料理をしないようです」と判断を言う。Aは絵を見せて答え合わせをし、別の絵で役を交替する。Aが判断まで言ってしまわないように、Aの役は「見えること」だけと先に決めておく。
  3. 産出「持ち主当てクイズ」。学生が自分のかばんや財布から3つ(または家族・友達の物の写真3枚)を出し、ほかの学生が「この人は〜ようです」と持ち主の生活や好きなことを言い当てる。持ち主は「はい、そうです」「いいえ、ちがいます。じつは〜」と答える。教師が見るのは、な・の の形、「ます・です」が残っていないか、手がかりを言ってから判断を言っているか(「辞書があるので、日本語を勉強しているようです」)。

つまずきと手当て

  • 「*雨なようです」「*静かのようです」と、名詞とな形容詞の形を取り違える。名詞は「の」、な形容詞は「な」と、表の色分けに戻って確かめる。名詞につなぐときの「雨の日」「静かな町」と同じ形だと一言添えると覚えやすい
  • 「*降りますようです」「*寒いですようです」と「ます・です」を残す。「ようです」の前は普通形だと、導入の普通形の言いかえに戻す
  • 自分の気持ちや予定に「わたしは国へ帰りたいようです」と使う。自分の気持ちは手がかりがなくても分かるので不自然になる。自分のことは「帰りたいです」「帰るつもりです」と言い、自分の体の調子(風邪をひいたようです)のように、自分のことでも手がかりから判断するときだけ使えると確かめる
  • 目の前ではっきり見ていることにまで「ようです」をつけて、回りくどく聞こえる。雨を見ながら言うなら「雨が降っています」と言い切ってよく、「ようです」は音や様子から判断したときに使うと、窓の外の絵に戻って比べる

既習の文型との違い

  • 〜でしょう/だろう(第17課)「でしょう」は手がかりがなくても予想として言え、天気予報やまだ起きていない先のことによく使います。「ようです」は話し手が自分で見た・聞いた・感じた手がかりから判断した感じが出るので、窓の外の様子やにおいの話に合います。学習者は窓の外を見ながら「雨が降るでしょう」と言ったり、あしたのことに何でも「ようです」を付けたりするので、「何を見て・聞いて、そう言いますか」と手がかりを聞いて選ばせます。
  • 〜と思います/思う(第17課)「〜と思います」は話し手の考え・意見を出す言い方で、手がかりがなくても言えます。「ようです」は手がかりから判断した結果を、少し距離をおいてやわらかく伝える言い方です。店の人が「もうないと思います」と言うと店の人の考えに聞こえ、「もうないようです」と言うと台所を見てきた結果に聞こえる、と同じ場面で並べて違いを見せます。
関連する文型

学習項目 2 〜ようにします

意味・はたらき学習項目 2

「なるべく〜する」「〜しないように気をつける」という、ふだんの行動の心がけを言う形です。一度だけの行動ではなく、努力して続けることや気をつけることに使うのが中心です。「〜ようにしています」は今続けている心がけ(毎朝野菜を食べるようにしています)、「〜ようにします」はこれからの心がけ(あしたから遅れないようにします)です。相手に心がけを頼むときは「〜ようにしてください」と言い、学校や会社の注意・お願いでよく使います。

接続

動詞の辞書形/ナイ形+ようにします(ようにしています・ようにしてください)

形
V辞書形+ようにします(毎日30分歩くようにします)Vない+ようにします(もう遅れないようにします)〜ようにしています(ふだんの習慣としての心がけ)〜ようにしてください(相手に頼む)

導入

  • 教師の健康の心がけを話す教師の生活の絵(エレベーターではなく階段を使う・野菜を食べる・夜はコーヒーを飲まない)を貼り、「わたしは、なるべく階段を使うようにしています」「夜はコーヒーを飲まないようにしています」と自分のこととして話す。板書は「[辞書形/ナイ形]ようにしています」の枠にし、「なるべく」を枠の上に添える。学生にも「健康のことで、何か気をつけていますか」と聞いて一人ずつ言わせる。
  • 注意される場面から「〜ようにします」へ教師が先生の役、学生が遅刻した学生の役になり、教師が「あしたから遅れないようにしてください」と言う。学生に「はい、遅れないようにします」と答えさせ、頼む形と答える形を並べて板書する。続けて「あした6時に起きます」(一度の予定)と「毎朝6時に起きるようにします」(続ける心がけ)を並べ、どちらが「がんばって続ける」感じかを学生に選ばせる。

板書案

V辞書形 / Vない + ように します(しています・してください)
なるべく 階段を 使う ように しています。
もう 遅れない ように します。
あした 6時に 起きます。(一度) | 毎朝 6時に 起きる ように します。(続ける)
〔赤〕ように 〔青〕「なるべく」を枠の上に

場面と発話(自作)

  • 授業に3回続けて遅れた留学生が、先生に注意されて謝る。すみません。あしたから遅れないようにします。
  • 会社の昼休みに、同僚に「最近、お昼が少ないですね」と言われる。最近太ったので、なるべく甘い物を食べないようにしています。
  • 日本語学校の先生が、授業の最後にクラスの学生に言う。うちでも、なるべく日本語で話すようにしてください。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、生活の困りごとのカード(よく忘れ物をする・夜遅くまで起きている・日本語を話す時間が少ない・お金をたくさん使う)を見せ、学生が心がけを「〜ようにします」「〜ないようにします」で言う。慣れたら「〜ようにしています」に替えて、今していることとして言わせる。場面のやり取りでは、ペアで「日本語の勉強で、どんなことに気をつけていますか」と聞き合い、答えをクラスに報告させる。

  1. 口頭困りごとのカード(よく忘れ物をする・夜遅くまで起きている・甘い物をたくさん食べる・日本語を話す時間が少ない・お金をたくさん使う)を見せ、教師が「忘れ物」とキューを出す → 全員で「忘れ物をしないようにします」。続けて「早く寝る」「日本語で話す」のように肯定になるキューを混ぜ、辞書形とナイ形の切り替えを速くする。最後に同じカードで「〜ようにしています」に替え、「今、続けていること」として個人に言わせる。
  2. ペア「先生と学生」の役で注意と答えを1往復ずつ。先生役が場面カード(遅刻・宿題を忘れた・授業中に寝た・教室で国の言葉で話した)を引いて「〜ようにしてください」と注意し、学生役は「すみません。〜ようにします」と答える。4枚で役を交替。次に役を外し、「健康のことで、何か気をつけていますか」「日本語の勉強で、どんなことに気をつけていますか」と聞き合い、「〜ようにしています」で答える。
  3. 産出「わたしの3つのルール」。学生が健康・勉強・お金のどれか一つを選び、ふだん気をつけていることを「〜ようにしています」「〜ないようにしています」で3つ書いて、クラスで発表する。聞いた学生は一つ選んで「わたしも〜ようにします」とこれからの心がけを言う。教師が見るのは、前が辞書形かナイ形か、一度だけの予定(あした〜)に使っていないか、心がけのつもりで「〜ようになります」と言っていないか。

つまずきと手当て

  • 「*起きますようにします」と「ます」を残す。前は辞書形かナイ形だと枠に戻す
  • 「*部屋をきれいなようにします」のように、形容詞をそのままつなげる。形容詞は第20課の「〜くします/〜にします」を使って「部屋をきれいにするようにします」と動詞にしてからつなげる、と板書で見せる
  • 決まった一度だけの予定に「あしたは9時に駅へ行くようにします」と使う。誤りではないが「がんばってそうする」感じになるので、決まった予定は「行きます」「行くつもりです」と言うほうが自然だと、導入の2つの文に戻って比べる
  • 心がけのつもりで「毎日運動するようになります」と言い、変化の話に聞こえる。自分で努力するのは「する」、時間がたって変わった結果は「なる」と、学習項目3と並べて確かめる

既習の文型との違い

  • 〜つもりです/〜予定です(第23課)「〜つもりです」は話し手が決めている考え、「〜予定です」は決まっている日程で、どちらも一度の行動に使えます。「〜ようにします」は一度ではなく、努力して続けることや気をつけることに使います。「あした6時に起きるつもりです」と「毎朝6時に起きるようにします」を並べ、「何回しますか」と聞いて、続ける話かどうかで選ばせます。
  • 〜にします(第12課)・〜くします/〜にします(第20課)第12課の「コーヒーにします」は名詞を選んで決める言い方、第20課の「部屋をきれいにします」は物の様子を変える言い方で、どちらも前に名詞・形容詞が来ます。「〜ようにします」は前に動詞が来て、行動の心がけを言います。学習者は「*早く起きるにします」と「よう」を落とすことがあるので、「名詞・形容詞+にします」「動詞+ようにします」の2行に分けて板書します。
関連する文型

学習項目 3 〜ようになります

意味・はたらき学習項目 3

前はできなかったこと・しなかったことが、時間がたって、できるように・するように変わったことを言う形です。能力の変化は可能形につけ(漢字が読めるようになりました)、習慣の変化は辞書形につけます(毎朝走るようになりました)。「分かる」「見える」のように、もともとできる・できないを表す動詞はそのまま辞書形につけます。反対に、していたことをしなくなった・できなくなったときは「〜ないようになりました」より「〜なくなりました」を使うのが普通です。名詞や形容詞の変化は、第15課の「〜になります/〜くなります」で言います。

接続

動詞の辞書形・可能形+ようになります(しなくなった変化は、ナイ形の「ない」を「なく」にして+なります)

形
V可能形+ようになりました(ひらがなが書けるようになりました)V辞書形+ようになりました(毎日自分で料理をするようになりました・ニュースが分かるようになりました)Vない→〜なくなりました(コーヒーを飲まなくなりました・前の歌が歌えなくなりました)〜ようになりましたか(変化を聞く)

導入

  • 「来たとき」と「今」の2枚の絵ある学生が日本に来たときの絵(はしが使えない・ひらがなが読めない)と今の絵(はしで食べている・漢字の本を読んでいる)を左右に貼る。教師が「来たとき、はしが使えませんでした。今は使えます」と言ってから、矢印を引いて「はしが使えるようになりました」とまとめる。板書は「前[〜ない]→ 今[可能形]ようになりました」の枠にし、学生の実際の変化(自転車・料理・漢字)に差し替えて言わせる。
  • 習慣の変化と「〜なくなりました」教師が自分の話として「日本に来てから、毎朝ご飯を食べるようになりました」「国ではよくタクシーに乗りましたが、日本では乗らなくなりました」と言う。黒板に「できるようになった」「するようになった」「しなくなった」の3列の表を作り、学生から出た変化を振り分けさせる。「しなくなった」の列だけ形が「〜なくなりました」になることを赤で書く。

板書案

前[〜ない] → 今[可能形 / 辞書形] + ように なりました
はしが 使える ように なりました。(できるようになった)
毎朝 ご飯を 食べる ように なりました。(するようになった)
タクシーに 乗らなく なりました。(しなくなった)〔赤〕なく
〔青〕前→今 の矢印 3列の表:できる/する/しなくなった

場面と発話(自作)

  • 入学して半年たった留学生に、先生が日本の生活のことを聞く。日本の生活はどうですか。——テレビのニュースが少し分かるようになりました。
  • 日本の会社で働き始めて1年の社員が、上司に最近のことを話す。最近、仕事の電話がひとりでかけられるようになりました。
  • 駅の近くに引っ越した友達に、通学のことを聞かれる。駅の近くに引っ越したので、毎日歩いて学校へ来るようになりました。バスには乗らなくなりました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、「前×→今○」のカード(自転車に乗る・漢字を書く・納豆を食べる)を見せて可能形+ようになりましたと言わせ、「前○→今×」のカードを混ぜて「〜なくなりました」に切り替えさせる。場面のやり取りでは、ペアで「日本に来てから、どんなことができるようになりましたか」「何をするようになりましたか」とインタビューし、聞いたことを「〜さんは〜ようになりました」とクラスに報告させる。

  1. 口頭「前×→今○」のカード(自転車に乗る・漢字を書く・納豆を食べる・電話で話す)を見せ、教師が「漢字・書く」とキューを出す → 全員で「漢字が書けるようになりました」。次に「毎朝走る」「自分で料理をする」のような習慣のカードで辞書形+ようになりました、「前○→今×」のカード(タクシーに乗る・コーヒーを飲む)で「〜なくなりました」と、3種類をばらばらに混ぜて個人に当てる。可能形が出てこない学生には第22課の作り方の表を見せる。
  2. ペアインタビュー。Aが「日本に来てから、どんなことができるようになりましたか」「何をするようになりましたか」「何をしなくなりましたか」の3つを聞き、Bが答える。Aは聞いたことをメモの3列(できる/する/しなくなった)に書き分ける。交替したあと、メモを見て「〜さんは〜ようになりました」とほかのペアに報告させ、答えた本人が正しく伝わったかを「はい/いいえ」で確かめる。
  3. 産出「日本に来てから」1分スピーチ。できるようになったこと・するようになったこと・しなくなったことを一つずつ入れ、最後に「これから〜ようにします」と心がけを一つ言って終わる(学習項目2との組み合わせ)。教師が見るのは、能力の変化に可能形を使っているか、「よう」が落ちていないか(「話せるになりました」と言っていないか)、しなくなったことを「〜なくなりました」で言えているか。

つまずきと手当て

  • 「*漢字が読めるになりました」と、第15課の「〜になります」と混ぜて「よう」を落とす。動詞のあとは「ようになります」、名詞・な形容詞のあとは「になります」と、2行に分けて板書する
  • 「*上手なようになりました」「*暑いようになりました」と形容詞につける。形容詞の変化は「上手になりました」「暑くなりました」と第15課の形に戻す
  • 能力の変化のつもりで「泳ぐようになりました」と言い、「泳ぐ習慣ができた」と聞こえる。誤りではないが意味が変わるので、できることの変化は可能形(泳げる)だと、3列の表のどの列の話かを確かめる
  • しなくなったことを「話せないようになりました」と言う。使わないわけではないが「話せなくなりました」のほうが普通なので、表の3列目の形で言い直させる

既習の文型との違い

  • 〜になります/〜くなります(第15課)第15課の形は名詞・形容詞の変化(上手になりました・暑くなりました)で、「〜ようになります」は動詞で言う行動・能力の変化です。学習者は「*話せるになりました」「*上手なようになりました」と、2つの形を混ぜます。「名詞・ナA+になります/イA+くなります」と「動詞+ようになります」を上下2段に分け、前に来る語の種類で選ばせます。
  • 可能表現(1)(第22課)第22課の「漢字が書けます」は今の能力をそのまま言う形で、前のことは言いません。「書けるようになりました」は、前は書けなかったのが今は書ける、という変化まで入ります。「日本に来てから」「半年たって」のような時の言葉があるときは「ようになりました」が自然だと、2枚の絵(前と今)で比べます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の練習の中心は新しい語よりも、手がかりを表す言葉(音・におい・顔色・人が並んでいる)と、生活の習慣・心がけの言葉(運動する・階段・野菜・早く寝る・忘れ物)です。「なるべく」「最近」「だんだん」のような副詞は単語だけで覚えさせず、「なるべく〜ようにしています」「だんだん〜ようになりました」の形で文型と一緒に練習すると定着します。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • なるべく(なるべく) 全部はむずかしくても、できるだけそうする、という気持ちを表します。 〜早く・〜歩く
    健康診断のあと、医者が患者に言う。
    「なるべく野菜を食べるようにしてください。」
  • 気をつけます(きをつけます) 悪いことが起きないように、よく注意します。 体に〜・車に〜
    寒い日、帰る友達に言う。
    「寒いですから、体に気をつけてください。」
  • 遅れます(おくれます) 決まった時間に間に合いません。 授業に〜・約束の時間に〜・電車が〜
    遅刻した留学生が先生に謝る。
    「すみません。あしたから授業に遅れないようにします。」
  • 忘れ物(わすれもの) 持ってくる物を持ってこないこと。また、どこかに置いたまま忘れた物。 〜をする・〜が多い
    同僚に「最近、忘れ物がありませんね」と言われる。
    「前は忘れ物が多かったので、前の日にかばんの中を見るようにしています。」
  • 階段(かいだん) 上の階や下の階へ歩いて行くための、段のある所です。 〜を上る・〜を使う
    会社で、同僚とエレベーターの前にいる。
    「わたしは、なるべく階段を使うようにしています。」
  • 最近(さいきん) 少し前から今までのことです。 〜忙しい・〜の天気
    友達に「元気ですか」と聞かれる。
    「はい。最近、朝早く起きるようになりました。」
  • だんだん(だんだん) 少しずつ変わっていく様子を表します。 〜寒くなる・〜分かるようになる
    日本に来て3か月の留学生が先生に話す。
    「授業がだんだん分かるようになりました。」
  • 並びます(ならびます) 人や物が一つずつ横や前後に続いています。 店の前に〜・一列に〜
    ラーメンの店の前を友達と通る。
    「人がたくさん並んでいますね。おいしい店のようです。」
  • におい(におい) 鼻で感じるものです。いいにおいも、いやなにおいもあります。 〜がする・いい〜
    うちに帰ると、台所からカレーのにおいがする。
    「いいにおいがしますね。母がカレーを作っているようです。」
  • 顔色(かおいろ) 顔の色。体の調子が顔に出たものです。 〜が悪い・〜がいい
    朝、会社で同僚の顔を見て声をかける。
    「原さん、顔色が悪いですね。熱があるようですよ。」
  • 聞こえます(きこえます) 音や声が、自然に耳に入ります(第22課)。 音が〜・声が〜
    夜、となりの部屋から音楽の音がする。
    「となりの部屋から音楽が聞こえます。だれか帰ったようです。」

宿題と次のコマ

宿題は、日本に来てから「できるようになったこと」「するようになったこと」「しなくなったこと」を1文ずつ、ふだん気をつけていることを「〜ようにしています」で2文、うちの窓から見えることや聞こえることを「〜ようです」で2文書くこと。次のコマの最初に、ペアで宿題の文を読み合い、教師が「〜さんは何ができるようになりましたか」と聞いて復習してから、第25課の命令表現と禁止表現に入ります。

よくある質問

  • 「〜ようです」と「〜でしょう」の違いはどう教えればいいですか?

    「でしょう」は手がかりがなくても言える予想、「ようです」は自分で見た・聞いた・感じた手がかりからの判断、と分けます。黒板の左に天気予報、右に窓の外の絵を貼り、同じ「雨」でも言い方が変わることを見せます。練習では「何を見て、そう言いますか」と手がかりを先に言わせると、使い分けが安定します。

  • 「〜ようにします」と「〜ようになります」をどう区別させればいいですか?

    「する」は自分の努力・心がけ、「なる」は時間がたって変わった結果、と一組で教えます。同じ動詞で「毎日歩くようにしています」「毎日歩くようになりました」と対の文を作り、「がんばっていますか」「前とちがいますか」と聞いてどちらの文かを選ばせます。まとめのスピーチで「〜ようになりました」のあとに「これから〜ようにします」を言わせると、二つを続けて使う練習になります。

  • 第24課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は普通形と可能形の復習、「〜ようです」、「〜ようにします」まで。2コマ目は「〜ようになります」、二つの形の比べ、まとめのスピーチと持ち主当てのクイズです。可能形が弱いクラスは、2コマ目の最初に可能形の作り方を5分入れてから「〜ようになります」に入ります。

  • 「〜ようです」の前の名詞・な形容詞の形(の・な)はどう定着させますか?

    導入で動詞・い形容詞・な形容詞・名詞の4行の表を作り、「な」と「の」だけ色を変えて書きます。名詞を修飾するときの「静かな町」「雨の日」と同じ形だと添えると、新しく覚える形が減ります。口頭練習では3枚に1枚、な形容詞か名詞になる絵を混ぜ、間違えたらその場で表を指して直します。

  • 「〜ないようになりました」と「〜なくなりました」はどちらを教えますか?

    しなくなった変化は「〜なくなりました」を教えます(コーヒーを飲まなくなりました)。「〜ないようになりました」も使われますが、初級では「なくなりました」のほうが普通で形も短いので、表の3列目はこちらにそろえます。学習者から「ないようになりました」が出ても誤りとはせず、「なくなりました」と言い直させる程度にします。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。