日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 初級Ⅱ 第26課「学校へ行ってきます」の教案

『学ぼう!にほんご 初級Ⅱ』

動詞のて形に「きます」「いきます」をつけて、話し手のいる所を基準にした動きの向きを言い分ける課です。「〜てきます」はどこかへ行って用事をすませ、また今いる所へ戻ること(「ちょっと買ってきます」)や、物や人をこちらへ持ってくることを表し、「〜ていきます」は何かをしてから向こうへ行くこと(「くだものを買っていきます」)や、行き方・持っていく物を表します。新しい活用形はなく、山場は「買ってきます」と「買っていきます」の向きの取り違えなので、板書には課の最初に「ここ」を真ん中に置いた矢印の図を描き、最後まで消さずに残します。課の終わりには、出かけるときのあいさつ「行ってきます」を使い、職場や寮で「ちょっと〜てきます」と一言ことわったり、人のうちへ何を持っていくかを話したりできるようになります。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目2時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 出かけるときに「行ってきます」と言い、「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」とのやり取りができる
  • 「ちょっと〜てきます」で、用事をすませてすぐ戻ることを職場や寮の人に伝えられる
  • 「〜ていきます」で、出かける前や途中ですることや、歩いて行くか乗り物に乗って行くかを言える
  • 「持ってきます/持っていきます」「連れてきます/連れていきます」を、話し手のいる所を基準に選べる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)10分第11課の「〜てから、…」と第9課の「〜に行きます」を絵カードで2〜3問(「昼ご飯を食べに行きます」「宿題をしてから寝ます」)。そのあと教師がドアのところで「ちょっとコピーしてきます」と言って教室を出て、すぐ戻ってくる。「今、先生は何をしましたか」と聞き、行って戻ったことをこの課の言い方で言うと予告する
学習項目1 〜てきます(行って戻る)40分黒板に「ここ(教室)」と店・図書館の絵を描き、行きと帰りの往復の矢印を引く。「買ってきます」「借りてきます」を言わせ、あいさつの「行ってきます」と、それに答える「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」まで入れる
学習項目1 〜てきます(こちらへ持ってくる)40分教師がかばんから物を出しながら「きのう、辞書を持ってきました」。「持ってきます」「連れてきます」を、物や人が「ここ」へ向かう矢印で板書し、「あした〜を持ってきてください」の指示へ。1コマ目はここまでで、最後の5分で「〜てきます」の小テスト(て形+きます/くる・こない・きた)をする
学習項目2 〜ていきます40分「ここ」から友達のうちへ向かう片道の矢印を引き、途中に店の絵を置いて「ケーキを買っていきます」。出かける前にすること(「朝ご飯を食べていきます」)と、行き方(「歩いていきます」「バスに乗っていきます」)、「持っていきます/連れていきます」まで。2コマ目はここから始め、最初に往復の矢印の図をもう一度描いて前のコマを思い出させる
二つを並べて向きを確かめる25分同じ「買います」「持ちます」で、往復の矢印(〜てきます)と片道の矢印(〜ていきます)を並べ、教師が場面を言って学生がどちらかを選ぶ。話し手がいま「どこにいるか」で決まることを、立つ位置を変えて体で確かめる
まとめの活動25分「職場の昼休み」と「友達のうちのパーティー」の二つの場面カードでロールプレイ。前者では上司や同僚に「ちょっと〜てきます」とことわり、後者では電話で「何を持っていきましょうか」「〜を持ってきてください」とやり取りする

学習項目 1 〜てきます

意味・はたらき学習項目 1

動詞のて形に「きます(来ます)」をつけた形で、この課では二つの使い方を扱います。一つは、どこかへ行ってその動作をし、また今いる所へ戻ってくることです(「コンビニで飲み物を買ってきます」=行って、買って、ここへ戻る)。出かけるときのあいさつ「行ってきます」もこの使い方で、「行くけれど、また帰ってくる」という気持ちが入っています。もう一つは、物や人をこちらへ(話し手のいる所へ)動かすことで、「持ってきます」「連れてきます」のように言います。「〜てきます」には、時間とともに変わってくることを表す使い方(「寒くなってきました」など)もありますが、この教案では課の題と目次の例に合わせて、場所の移動の使い方に絞ります。文法の用語では、ここでの「きます」「いきます」はもとの「来る・行く」の意味を残しながら前の動詞につく補助動詞で、話し手のいる所を基準に向きを決める点から、直示(ダイクシス)にかかわる表現として説明されます。

接続

Vて形+きます(普通体は「〜てくる/〜てきた/〜てこない」。「きます」は「来ます」と同じ活用をし、ふつうはひらがなで書く)

形
Vてきます(買ってきます・借りてきます・コピーしてきます)ちょっと〜てきます/行ってきますNを持ってきます/Nを連れてきます〜てきてください(あした、写真を持ってきてください)

導入

  • 教師が出て行って戻ってくる教師が「ちょっと、紙をコピーしてきます」と言って教室を出て、コピーした紙を持ってすぐ戻る。「先生はどこへ行きましたか」「何をしましたか」「今どこにいますか」と順に聞き、「行って、コピーして、帰ってきました」を学生の答えから引き出す。そのあと黒板の真ん中に「ここ」と書き、コピー室の絵との間に往復の矢印を引いて、「Vて+きます」の枠を書く。
  • あいさつの「行ってきます」と、物を持ってくる「〜てきます」寮の玄関の絵を貼り、教師が学生役、学生が寮の管理人役になって「行ってきます」「行ってらっしゃい」、帰ってきたときの「ただいま」「お帰りなさい」を言い合う。次に教師がかばんから辞書やお菓子を出して「きょうは、お菓子を持ってきました」と言い、物が「ここ」へ向かう矢印を板書に足す。人の場合は「弟を連れてきました」と人の絵カードで見せ、物は「持って」、人は「連れて」と2列に分けて書く。

板書案

Vて + きます(行って、して、ここへ戻る)
ここ ⇄ コンビニ ちょっと 飲み物を 買ってきます。
物:辞書を 持ってきます  人:弟を 連れてきます
〔赤〕て形 〔青〕「ここ」へ向かう矢印・往復の矢印 ⇄
くる・こない・きた(「来ます」と同じ)
行ってきます ― 行ってらっしゃい/ただいま ― お帰りなさい

場面と発話(自作)

  • 会社の昼休み、席を立つ社員が、となりの席の同僚に一言ことわる。ちょっとコンビニでお弁当を買ってきます。——行ってらっしゃい。
  • 授業の前、辞書を忘れた学生に、先生が図書館で借りるように言う。図書館で辞書を借りてきてください。
  • 日本語学校の受付で、職員が新しい学生に、次に来るときに持ってくる物を伝える。あした、写真を2枚とパスポートを持ってきてください。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、場所の絵カードと物の絵カードを組み合わせて見せ(郵便局+切手、図書館+本)、「ちょっと郵便局で切手を買ってきます」のように一文で言わせ、慣れたら「持ってきます/連れてきます」のカードを混ぜる。場面のやり取りでは、職場・寮・教室の場面カードを引かせ、一人が「ちょっと〜てきます」とことわり、相手が「行ってらっしゃい」「何時ごろ帰りますか」と応じ、戻ってきたら「お帰りなさい」まで続けさせる。

  1. 口頭教師が場所と物の絵カードを2枚組で見せ(郵便局+切手、図書館+本、コンビニ+お弁当、事務所+コピー)、「郵便局・切手」とキューを出す。全体で「ちょっと郵便局で切手を買ってきます」と言わせ、列ごと、個人と進める。慣れたら語のキューを外して絵だけで出す。次に「あした・辞書」「あした・弟」のカードで「あした、辞書を持ってきます」「あした、弟を連れてきます」に切り替え、物と人のカードを混ぜて速く出す。最後に教師が「行ってきます」と言ってドアへ向かい、全体に「行ってらっしゃい」、戻って「ただいま」と言ったら「お帰りなさい」を返させる。
  2. ペア「出かける人」と「残る人」に分ける。出かける人だけが行き先と用事のカード(郵便局・手紙を出す/本屋・雑誌を買う など)を見て「ちょっと〜てきます」と言う。残る人はカードを見ていないので「どこへ行きますか」「何時ごろ帰りますか」と聞き、最後に「じゃ、わたしの〜も買ってきてください」と一つ頼む。出かける人は教室の後ろまで歩いて戻り、「ただいま」「お帰りなさい」で終える。3回ごとにカードを替えて役を交替する。
  3. 産出活動名「席を外すひとことロールプレイ」。学生が自分の毎日(職場・アルバイト先・寮・学校)から、少し出かけてまた戻る場面を一つ選び、だれに何と言って出るか、戻って何と言うかを決めて、ペアで演じてクラスに見せる。続けて一人2つ、「あした学校に持ってくる物」を「〜を持ってきます」で言う。教師が見て直すのは、て形が正しいか、物は「持って」、人は「連れて」と分けているか、先生や上司に言うときに「すみません、ちょっと〜てきます」と前置きをつけているか、戻ったときのあいさつまで言えるか。

つまずきと手当て

  • 「来ます」の普通体を作り直せず、「*買ってくない」「*買ってきない」「*持ってきる」と言う。「〜てきます」の「きます」は「来ます」と同じなので、「くる・こない・きた」の表を板書の横に書き、第17課の普通表現の練習で使った「来ます」の活用に戻って確かめる
  • 第9課の「〜に行きます」(目的)との違いがあいまいになる。「パンを買いに行きます」は行く目的を言うだけで、戻るかどうかは言っていない。「パンを買ってきます」は買って戻ってくるまでを言うので、今いる所にまた来ることが分かる。職場で席を外すときは「〜てきます」が自然だと、往復の矢印を指さして確かめる
  • 家や寮を出るときに「行きます」や「さようなら」と言う。文法の誤りではないが、帰ってくる所を出るときは「行ってきます」と言うのが日本の習慣だと伝え、答える側の「行ってらっしゃい」とセットで練習する
  • て形の作り方を誤って「*借りってきます」「*買いてきます」と言う。第11課のて形の表に戻り、グループⅡの「借ります→借りて」、グループⅠの「買います→買って」を確かめてから「きます」をつける

既習の文型との違い

  • 〜に行きます/来ます/帰ります(第9課)第9課の「パンを買いに行きます」はます形の語幹に「に」をつけて行く目的を言う形で、戻ってくるかどうかは言いません。「パンを買ってきます」はて形に「きます」をつけ、買ってここへ戻るまでを一つの動きとして言います。二つを混ぜて「*パンを買ってに行きます」と言う学習者がいるので、「語幹+に+行きます」と「て形+きます」を板書で上下に並べて見せます。
  • 〜てから、…(第11課)「コピーしてから、教室へ戻ります」は二つの動作の順番を言う文で、伝えたいのは順番です。「コピーしてきます」は、行って、して、戻るという一回の往復をまとめて言うので、席を外すときの一言として短く自然です。「〜てから戻ります」も誤りではありませんが、職場で毎回この形で言うと長く聞こえるので、「ちょっと〜てきます」をひとまとまりで覚えさせます。
関連する文型

学習項目 2 〜ていきます

意味・はたらき学習項目 2

動詞のて形に「いきます(行きます)」をつけた形で、今いる所から向こうへ行く動きに、その前やその途中でする動作をつなげて言います。「くだものを買っていきます」は、くだものを買って、それから(くだものを持って)行き先へ向かうことで、行き先に戻ってくる意味はありません。出かける前にすること(「朝ご飯を食べていきます」)や、どうやって行くか(「歩いていきます」「タクシーに乗っていきます」)もこの形で言えます。物や人を向こうへ動かすときは「持っていきます」「連れていきます」と言い、「持ってきます」「連れてきます」とは向きが反対になります。「〜ていきます」にも、これから先の変化を表す使い方(「人が増えていきます」など)がありますが、この教案では場所の移動の使い方に絞ります。文法の用語で言えば、移動の向きを表す「〜ていく」と、時間の中で変化が続く「〜ていく」は別の用法として区別されるので、上の課で変化の使い方に入るときは、この課の矢印の図とは別の図で見せます。

接続

Vて形+いきます(普通体は「〜ていく/〜ていった/〜ていかない」。「いきます」は「行きます」と同じ活用をし、ふつうはひらがなで書く)

形
Vていきます(買っていきます・食べていきます)歩いていきます/Nに乗っていきますNを持っていきます/Nを連れていきます〜ていきません(時間がないので、朝ご飯は食べていきません)

導入

  • 片道の矢印に途中の店を置く黒板の「ここ(うち)」から友達のうちの絵へ片道の矢印を引き、その途中にケーキの店の絵を置く。教師が「あした友達のうちでパーティーがあります。駅の前の店でケーキを買っていきます」と言いながら、店のところで矢印にケーキの絵を足し、そのまま友達のうちへ進める。「先生はケーキを買って、うちへ帰りますか」と聞いて「いいえ、友達のうちへ行きます」を引き出し、往復の「〜てきます」との違いを矢印の形で見せる。
  • 出かける前のこと・行き方・持っていく物時計の絵を見せて「朝7時です。朝ご飯を食べていきますか」と学生に聞き、「はい、食べていきます」「いいえ、時間がないので、食べていきません」の答えを集める。次に駅と学校の絵の間を指して「歩いていきますか、バスに乗っていきますか」と聞く。最後に「あしたの遠足に何を持っていきますか」と聞き、学生から出た物(お弁当・水・かさ)を、片道の矢印の上に「持っていきます」として書き足す。

板書案

Vて + いきます(して、それから向こうへ行く)
ここ ── 店 ──→ 友達のうち ケーキを 買っていきます。
朝ご飯を 食べていきます/食べていきません
歩いていきます/バスに 乗っていきます
物:持っていきます  人:連れていきます
〔赤〕て形 〔青〕片道の矢印 → いく・いかない・いった

場面と発話(自作)

  • あした同僚のうちへ遊びに行く社員が、別の同僚と、手みやげをどうするか話す。駅の前の店で、くだものを買っていきましょう。
  • 朝、寝坊した学生が、寮の食堂で友達に声をかけられて答える。時間がないので、朝ご飯は食べていきません。
  • 雨の朝、うちを出る前に、家族が窓の外を見て言う。雨が降っているので、かさを持っていきます。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、行き先の絵カード(友達のうち・病院・会社)と、途中や前にすることの絵カード(くだものを買う・薬を飲む・朝ご飯を食べる)を組み合わせて「〜ていきます」で一文にさせ、途中で「持っていきます/連れていきます」と「歩いていきます/〜に乗っていきます」のカードを混ぜる。場面のやり取りでは、パーティーや遠足の招待カードを渡し、ペアで「何を持っていきましょうか」「〜を持ってきてください」「何で行きますか」「〜に乗っていきます」とやり取りさせる。

  1. 口頭教師が行き先のカード(友達のうち・会社・海・山)と、その前や途中ですることのカード(くだものを買う・朝ご飯を食べる・お弁当を持つ・写真を撮る)を組にして出し、「友達のうち・くだもの」とキューを出す。全体で「くだものを買っていきます」、列ごと、個人と進める。次に駅と学校の絵を指して「歩く」「バス」「タクシー」のキューで「歩いていきます」「バスに乗っていきます」と言わせる。最後に教師が一人ずつ「朝ご飯を食べていきますか」「かさを持っていきますか」と聞き、「はい、〜ていきます」「いいえ、〜ので、〜ていきません」で答えさせる。
  2. ペア「パーティーを開く人」と「客」の電話のやり取り。開く人のカードには足りない物(飲み物・紙のお皿・氷)と、駅からうちまでの行き方(歩いて10分/バスで5分)が書いてあり、客のカードには何も書いていない。客は「何を持っていきましょうか」「駅から歩いていきますか、バスに乗っていきますか」と聞いてメモを取り、開く人は「〜を持ってきてください」「バスで来てください」と答える。最後に客がメモを見て「じゃ、飲み物を買っていきます。バスに乗っていきます」と確かめる。カードを替えて役を交替し、同じ物が相手の側から言うと「持ってきてください」、自分の側から言うと「持っていきます」になることに気づかせる。
  3. 産出活動名「週末おでかけ4文スピーチ」。学生が週末に出かける予定(友達のうち・海・山・買い物など)を一つ決め、①出かける前にすること ②途中ですること ③持っていく物か連れていく人 ④行き方 を「〜ていきます」で4文にして、クラスで話す。聞く人は一人一つ質問する(「何時に出かけますか」「だれと行きますか」など)。教師が見て直すのは、行き先へ向かう話で「〜てきます」を使っていないか、物と人で「持って/連れて」を分けているか、乗り物の前の助詞が「に」になっているか、「いく・いかない・いった」の形が正しいか。

つまずきと手当て

  • 人のうちへ行く途中で買うのに「ケーキを買ってきます」と言う。「〜てきます」だと買ってまた今いる所へ戻る意味になるので、行き先へ向かうなら「〜ていきます」だと、往復と片道の矢印を並べて確かめる
  • 向きの基準を相手の所に置いてしまい、パーティーの主人に「あした、お菓子を持ってきます」と言う(日本語の標準では「持っていきます」)。母語の come/go の使い方の影響が出やすいので、「話し手がいま、どこにいるか」で決まることを、教師が立つ位置を変えて見せる
  • 「行きます」の普通体の過去を作り直せず、「*買っていきた」「*持っていきない」と言う。「いきます」は「行きます」と同じなので、た形は「〜ていった」、ない形は「〜ていかない」になると板書の表で確かめる
  • 物と人の取り違えで「*友達を持っていきます」と言う。人や動物は「連れていきます」、物は「持っていきます」と、絵カードを2列に分けて代入練習をくり返す

既習の文型との違い

  • 〜てきます(第26課)どちらも「て形+移動の動詞」ですが、「〜てきます」は動作のあとでここへ戻る往復、「〜ていきます」は動作のあとで向こうへ行く片道です。「持ってきます/持っていきます」では、物がこちらへ来るか、向こうへ行くかで決まります。友達のうちへ向かう途中で「ケーキを買ってきます」と言うと、買って今いる所へ帰る意味に聞こえるので、往復と片道の矢印を並べて確かめます。
  • 〜て、…て、―ます(第11課)「くだものを買って、友達のうちへ行きます」は動作を順に並べた文で、誤りではありません。「くだものを買っていきます」は、買う動作と行く動きを一つにまとめ、くだものを持って向かうところまで伝えます。学習者は第11課の形で言いがちなので、両方を板書し、行き先がもう分かっている会話では「〜ていきます」が短くて自然だと示します。
  • 〜で…へ(移動表現)(第4課)「バスで学校へ行きます」は乗り物を「で」で言う形で、「バスに乗っていきます」は乗る動作をて形でつなぐ形です。意味は近いですが、歩く場合は「で」の形にしにくく、「足で行きます」と言う学習者がいるので、「歩いていきます」を使わせます。また「*バスを乗っていきます」のように助詞を誤りやすいので、「〜に乗ります」を確かめてから練習します。
関連する文型

語彙の扱い

この課では、出かけるときと帰ったときのあいさつ(行ってきます・行ってらっしゃい・ただいま・お帰りなさい)と、「持つ」「連れる」のような物や人を動かす動詞が要ります。「持って」と「連れて」は単語で覚えさせず、物の絵カードと人の絵カードを2列に分けて、はじめから「〜を持ってきます/持っていきます」「〜を連れてきます/連れていきます」の形で入れます。手みやげ・遠足・お弁当のように、何かを持っていく場面の語は、まとめの活動の場面カードと一緒に出すと定着します。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 持ちます(もちます) 物を手に取ったり、かばんに入れたりして、自分といっしょにします。 かばんを〜・荷物を〜・かさを〜
    雨の朝、うちを出る前。
    雨なので、かさを持っていきます。
  • 連れます(つれます) 人や動物が、自分といっしょに来たり行ったりするようにします。「連れてきます」「連れていきます」の形でよく使います。 子どもを〜・犬を〜・友達を〜
    学校のお祭りの前、先生が学生に話す。
    お祭りの日は、家族や友達を連れてきてもいいです。
  • 借ります(かります) 人や図書館の物を、あとで返す約束で使います。 本を〜・図書館で〜・友達に〜
    授業の前、辞書を忘れたことに気がついた。
    すみません、図書館で辞書を借りてきます。
  • 戻ります(もどります) 前にいた所へ、また行きます。 席に〜・教室に〜・会社に〜
    会議の途中で、資料を取りに行く。
    資料を取ってきます。5分で戻ります。
  • コピーします(コピーします) 紙に書いてあることを、機械で同じように写します。 資料を〜・20枚〜
    授業の前、先生が事務所へ行く。
    ちょっと、この紙を20枚コピーしてきます。
  • 乗ります(のります) 電車やバス、タクシーなどの中に入って、移動します。 バスに〜・電車に〜・タクシーに〜
    雨の強い日、駅から会社まで。
    雨が強いので、きょうはタクシーに乗っていきます。
  • 歩きます(あるきます) 乗り物に乗らないで、足を使って行きます。 駅まで〜・ゆっくり〜
    天気のいい朝、うちを出る。
    いい天気なので、駅まで歩いていきます。
  • おみやげ(おみやげ) 旅行した所で買ってくる物や、人のうちへ行くときに持っていく物です。 〜を買います・〜を持っていきます・国の〜
    同僚のうちへ初めて行く日。
    駅の前の店で、おみやげを買っていきます。
  • お弁当(おべんとう) 箱に入れて、外や職場で食べるご飯です。 〜を作ります・〜を持っていきます・コンビニの〜
    昼休み、会社の席を立つ。
    ちょっとコンビニでお弁当を買ってきます。
  • 遠足(えんそく) 学校のクラスで、いっしょに公園や山などへ出かける日です。 〜に行きます・あしたの〜
    遠足の前の日、先生がクラスに話す。
    あしたの遠足に、水とかさを持ってきてください。
  • 行ってきます(いってきます) うちや学校などを出るときのあいさつです。また帰ってくる所を出るときに言います。 出かけるとき「〜」と言います
    朝、寮の玄関で管理人に。
    行ってきます。——行ってらっしゃい。
  • ただいま(ただいま) 外から帰ってきたときのあいさつです。言われた人は「お帰りなさい」と答えます。 帰ったら「〜」と言います
    夕方、寮に帰った。
    ただいま。——お帰りなさい。

宿題と次のコマ

宿題は、①あした出かける前や途中ですることを「〜ていきます」で2文、②職場や学校で席を外すときの一言を「ちょっと〜てきます」で2文、③週末に友達のうちへ行くとき何を持っていくかを1文、書くこと。次のコマの最初に、教師が「〜さんはあした何を持っていきますか」と聞いて宿題を使って復習し、往復と片道の矢印の図をもう一度描いて向きを確かめてから、第27課の「〜てみます」に入ります。第27課の「〜てしまいます」「〜ておきます」も「て形+動詞」の形なので、この課で「〜て+きます/いきます」の活用(くる・こない/いく・いかない)が言えるようにしておくと、同じ組み立てとして入りやすくなります。

よくある質問

  • 「〜てきます」と「〜ていきます」の違いは、どう見せればいいですか?

    黒板の真ん中に「ここ」を書き、「〜てきます」は行き先との往復の矢印、「〜ていきます」は向こうへ伸びる片道の矢印で見せます。決め手は話し手がいまどこにいるかなので、教師が教室の前と後ろに立つ位置を変えて、同じ「持ちます」がどちらになるかを言わせます。図は課の最後まで消さずに残し、迷ったら学生が自分で図を指して確かめられるようにします。

  • 「買いに行きます」と「買ってきます」の違いは何ですか?

    「買いに行きます」は第9課の目的の言い方で、行く目的だけを言い、戻るかどうかは言いません。「買ってきます」は買ってここへ戻るまでを言うので、職場や寮で席を外すときの一言に向いています。形も「ます形の語幹+に」と「て形+きます」で違うので、二つを上下に並べて板書し、混ぜた形が出ないようにします。

  • あいさつの「行ってきます」は、文型として教えますか?

    この課では導入の入口に使います。「行って、また帰ってくる」という意味が「〜てきます」の往復と同じなので、あいさつから文型の意味に入ると学生に分かりやすくなります。答える側の「行ってらっしゃい」と、帰ったときの「ただいま」「お帰りなさい」も、セットで言い合う練習にします。

  • 「寒くなってきました」のような変化の使い方も、この課で教えますか?

    この教案では扱わず、場所の移動の使い方に絞ります。学習者から出てきたら、意味が違う使い方なので後で勉強すると言って止めておきます。移動の矢印の図と変化の使い方を同じ課で混ぜると、向きの区別があいまいになりやすいためです。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は導入と「〜てきます」(行って戻る使い方と、持ってくる・連れてくる)まで、2コマ目は「〜ていきます」、二つを並べる練習、まとめのロールプレイです。て形が定着していないクラスでは、1コマ目の最初にて形の確認を10分ほど足すと、あとの練習が止まりません。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。