日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 初級Ⅱ 第27課「このズボンをはいてみてください」の教案

『学ぼう!にほんご 初級Ⅱ』

テ形のあとに動詞をつけて、話し手の目的や気持ちを足す課です。第26課の「〜てきます/〜ていきます」に続いて、ためしにする「〜てみます」、全部終える・残念だという「〜てしまいます」、あとのために前もってする「〜ておきます」の三つを学びます。新しい活用形はなく、テ形が正しく作れれば形はやさしいので、授業の芯は「みます」がグループⅡ、「しまいます」「おきます」がグループⅠの動詞として活用することと、三つの意味の違いを場面で見せることです。「〜ておきます」は初級Ⅰ第20課の「〜てあります」(準備のあとに残った様子)と対になるので、カレンダーの前と後で言い分けさせると整理できます。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目3時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 結果を知るためにためしにすることを「〜てみます」で言い、「〜てみたいです」「〜てみてください」で希望を言ったり相手にすすめたりできる
  • 自分の失敗やうっかりしたことを「〜てしまいました」で残念な気持ちを込めて話し、あやまったり理由を言ったりできる
  • 仕事や宿題を残さず終えることを「全部〜てしまいます」で言える
  • 予定の前の準備を「〜ておきます」で言い、「〜ておいてください」で頼み、済んだ準備は「〜てあります」で報告できる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)15分第26課の「〜てきます」で、教師が教室を出るふりをして「ちょっとコンビニへ行ってきます」と言う短いやり取りを2〜3問。テ形に別の動詞をつけると意味が足されることを確かめ、この課は「みます・しまいます・おきます」をつける課だと予告する。テ形の作り方をグループⅠ・Ⅱ・Ⅲの表で一度声に出して復習しておく
学習項目1 〜てみます35分服や食べ物の実物で、ためしてから結果を言う流れを見せる。「〜てみたいです」「〜てみてください」へ広げ、第24課の「〜ようにします」(心がけ)とは意味が違うことを一言だけ添える
学習項目2 〜てしまいます/〜てしまいました40分教師の失敗の話で残念な気持ちの「〜てしまいました」を先に入れ、そのあと「全部」「もう」といっしょに、残さず終える意味を見せる。板書は二つの意味を2段に分ける。話し言葉の「〜ちゃった」は聞いて分かるところまで。1コマ目はここまで
学習項目3 〜ておきます40分パーティーや旅行の準備を黒板のカレンダーで考え、第18課の「〜まえに」、第21課の「〜ので」と組み合わせる。「〜ておいてください」で人に頼む形と、「そのまま〜ておきます」まで
「〜ておきます」と「〜てあります」20分第20課の「〜てあります」と並べ、準備をする前の予定(〜ておきます)と、済んだあとの様子(〜てあります)を同じカレンダーの矢印の前後で言い分ける
まとめの活動30分グループで週末の小旅行の計画を立て、「行く前に〜ておきます」「そこで〜てみたいです」を言う。続けて旅行から帰った設定で「〜てしまいました」の失敗談を一つずつ話させ、三つの形を一つの話の中で使わせる

学習項目 1 〜てみます

意味・はたらき学習項目 1

動詞のテ形に「みます」をつけると、結果やようすを知るために、ためしにその動作をすることを表します。「このズボンをはいてみます」は、大きさや似合うかどうかを知るためにはいてみる、ということです。「みます」はもともと「見ます」ですが、この使い方では目で見る意味はなく、ふつうひらがなで書きます。「〜てみたいです」(まだしたことのないことをためしたい)、「〜てみてください」(相手にすすめる)、「〜てみませんか」(さそう)の形でよく使います。

接続

動詞のテ形+みます(「みる」はグループⅡ: みます・みました・みて・みたい。「見る」にもついて「見てみます」と言える)

形
〜てみます/〜てみました〜てみたいです〜てみてください〜てみませんか

導入

  • 服をためして結果を言う教師がジャケットや帽子を教室に持ってきて、「大きいですか、小さいですか。わかりません」と首をかしげてから「着てみます」と言って着て見せる。着たあとで「ちょっと大きいですね」と結果を言い、板書は「〜て みます」の右に「→ 分かったこと」の欄を作って、ためす動作のあとに結果が来る形を見せる。
  • 食べ物で「〜てみたいです」日本のめずらしいお菓子や学生の国の料理の写真を見せ、第16課の「食べたことがありますか」で聞く。食べたことがない学生に「食べてみたいですか」と聞いて「食べてみたいです」を引き出し、実物があれば一つ渡して「食べてみてください」とすすめる。食べた学生には「どうでしたか」と聞いて、味を一言言わせる。

板書案

Vて + みます(ためす → 結果が分かる)
はきます → はいて → このズボンを はいて みます。
→(分かったこと)ちょっと 大きいです。
〜てみたいです(希望)/〜てみてください(すすめる)/〜てみてもいいですか(許可を求める)
〔赤〕て形 〔青〕みます(グループⅡ:みて・みない・みた)

場面と発話(自作)

  • 服の店で、ズボンを手に取った留学生が、店の人に聞く。すみません、これ、はいてみてもいいですか。
  • 会社で新しいコピー機の使い方が分からない同僚に、となりの席の社員が言う。この緑のボタンを押してみてください。
  • 日本に来て半年の留学生が、休み時間に友達と夏休みの話をする。夏休みに、富士山に登ってみたいです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、物や場所の絵カード(くつ・ケーキ・新しい店・温泉)を見せて「〜てみたいです」と言わせ、次に教師が「この〜はどうですか」とすすめたら「じゃ、〜てみます」と答えさせる。場面のやり取りでは、店の人と客の役で「〜てみてもいいですか」「どうぞ、〜てみてください」から始め、ためした結果(ちょっと小さいです・ちょうどいいです)を言って、買うかどうかを決めるところまで続けさせる。

  1. 口頭教師が絵カードと語をキューに出し、全体→個人の順で「〜てみたいです」と言わせる。キューの例は「着物・着ます」「納豆・食べます」「富士山・登ります」「温泉・入ります」「新しいゲーム・します」。次に教師が「このケーキはおいしいですよ」「この本はおもしろいですよ」とすすめ、学生は「じゃ、食べてみます」「じゃ、読んでみます」と返す。最後は教師が実物(帽子・ペン・お菓子)を渡して「〜てみてください」と言い、学生がためしてから結果を一言言う。
  2. ペア店員と客の役で「試着ロールプレイ」。客のカードには買いたい物(くつ・ジャケット・帽子)だけ、店員のカードにはその店にある色と大きさが書いてあり、客は「〜てみてもいいですか」で頼み、店員は「どうぞ、〜てみてください」と答える。客はためした結果(小さい・ちょうどいい・似合わない)を言い、別の色や大きさを頼むか、買うかを決める。2往復したら役を替える。
  3. 産出「日本でためしてみたいことベスト3」。学生が日本でまだしたことのないことを3つ選び、「〜ので、〜てみたいです」と理由をつけてノートに書いてから、グループで発表する。聞く人は「〜たことがありますか」「どうしてですか」と一つ質問する。教師が見るのは、「みます」の活用(みて・みたい)、「〜たいです」だけで終わらず「〜てみたいです」になっているか、続けて心がけることを「〜てみます」と言っていないか(第24課の「〜ようにします」に言い直させる)の3点。

つまずきと手当て

  • 「*はいてみるください」「*食べてみってください」のように、「みます」の活用をまちがえる。「みる」はグループⅡの動詞なので「みて・みない・みた」になると、「見る」の活用表を横に置いて確かめる
  • 英語の try の感覚で、がんばって続ける意味に使い、毎朝早く起きるように努力していることを「毎朝早く起きてみます」と言う。この文は一度ためしに早く起きてみる意味になるので、続けて心がけることは第24課の「〜ようにします」で言うと、二つを並べて板書する
  • 目で見る意味だと思い、「着て見ます」と漢字で書いたり、見ない動作には使えないと考えたりする。この「みます」は「ためす」の意味なので、聞く・食べる・はくなど、どの動作にもつくことを例で見せ、「見てみます」(ためしに見る)も言えると添える

既習の文型との違い

  • 〜たいです(第9課)「〜たいです」はしたい気持ちだけを言い、「〜てみたいです」は、まだしたことがないので一度ためしてどうなるか知りたい、という気持ちを足します。「日本の映画が見たいです」は見たい作品が決まっていてもよく、「日本の映画を見てみたいです」は初めての経験としてためしたいことに聞こえます。形では「*食べたいてみます」のように順番を逆にする学習者がいるので、「〜て+みたいです」と、「たい」がいちばん後ろに来ることを板書で見せます。
  • 〜ようにします(第24課)「〜ようにします」は、これから続けて気をつけること(毎日日本語で日記を書くようにします)で、「〜てみます」は、一度ためして結果を見ること(日本語で日記を書いてみます)です。英語の try に引かれて、努力を続けることを「〜てみます」と言う誤りが出やすいので、「一回だけですか、毎日ですか」と聞き返して選ばせます。
  • 〜ことがあります(第16課)「〜たことがあります」は経験があるかどうかを言い、「〜てみます」はこれからためす動作を言います。二つを組み合わせた「納豆を食べてみたことがありますか」も自然な文なので、導入で「食べたことがありますか」→「いいえ」→「じゃ、食べてみてください」の流れを作ると、違いが場面で分かります。
関連する文型

学習項目 2 〜てしまいます/〜てしまいました

意味・はたらき学習項目 2

動詞のテ形に「しまいます」をつける形で、使い方が二つあります。一つは動作を最後まで残さず終えることで、「この仕事はきょう全部やってしまいます」のように「全部」「もう」といっしょによく使います。もう一つはしたくなかったこと・してはいけないことをして、残念だ・困ったという気持ちを表す使い方で、「駅で財布をなくしてしまいました」のように「〜てしまいました」の形で、自分の失敗やうっかりしたことを話すときに多く出ます。この教案では、本の目次の例に合わせて残念な気持ちの使い方を中心にし、終える意味をあとから足します。話し言葉では「〜ちゃう/〜じゃう」(忘れちゃった・飲んじゃった)と短くなります。

接続

動詞のテ形+しまいます(「しまう」はグループⅠ: しまいます・しまいました・しまって)。話し言葉では 〜てしまう→〜ちゃう、〜でしまう→〜じゃう

形
(全部・もう)〜てしまいます〜てしまいました(残念だ・困った)〜てしまって、…(理由)(話し言葉)〜ちゃった/〜じゃった

導入

  • 教師の失敗の話教師が財布の絵カードを見せ、困った顔で「きのう、駅で財布をなくしてしまいました。切符が買えなかったので、困りました」と話す。続けて同じ出来事を「財布をなくしました」とだけ言い比べ、「しまいました」には「残念」「困った」という気持ちが入ることを、板書の横に困った顔の絵をかいて見せる。学生にも「コップを割ってしまいました」など、絵カードで言わせる。
  • 残さず終える意味を足す教師がプリントの束を見せ、「この仕事を、きょう全部やってしまいます」と言い、プリントをめくり終えて「もう全部やってしまいました」と言う。板書を「(全部・もう)〜てしまいます=終える」と「〜てしまいました=残念」の2段に分け、同じ形でも前に「全部」があるか、困った出来事かで意味が分かれることを確かめる。

板書案

Vて + しまいます
①(全部・もう)Vてしまいます = 残さず終える:宿題を 全部 やって しまいます。
②Vてしまいました = 残念・困った:駅で 財布を なくして しまいました。(困った顔の絵)
〔赤〕て形 〔青〕しまいます(グループⅠ:しまって・しまった)
話すとき:〜てしまった → 〜ちゃった 〜でしまった → 〜じゃった

場面と発話(自作)

  • 授業に遅れて教室に入った留学生が、先生に理由を言う。すみません、電車をまちがえてしまいました。
  • 友達に借りた本を汚してしまった留学生が、本を返すときにあやまる。ごめんなさい、本にコーヒーをこぼしてしまいました。
  • 金曜日の夕方、早く帰らないのかと同僚に聞かれた社員が答える。この仕事は、きょう全部やってしまいます。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、困った場面の絵カード(かぎをなくした・コップを割った・バスに遅れた)を見せて「〜てしまいました」と言わせ、慣れたら第19課の形で「〜てしまって、困りました」と理由につなげさせる。終える意味は「宿題・洗濯・掃除」のカードで「週末までに全部〜てしまいます」と言わせる。場面のやり取りでは、「どうしましたか」「〜てしまいました」「それは大変でしたね」の型で、友達に小さな失敗を話すやり取りをさせる。

  1. 口頭困った場面の絵カードを見せ、全体→個人で「〜てしまいました」と言わせる。キューの例は「財布・なくします」「コップ・割ります」「宿題・忘れます」「コーヒー・こぼします」「バス・遅れます」。言えたら教師が「どうしましたか」と聞き、学生は「〜てしまって、困りました」と理由の形でつなげる。終える意味は「宿題」「洗濯」「レポート」のカードで「週末までに全部〜てしまいます」と言わせ、板書の①②のどちらの意味か指でささせる。
  2. ペア情報差のある「どうしましたか」練習。Aは失敗の絵カードを3枚持ち、Bには見せない。Bが「どうしましたか」と聞き、Aは「〜てしまいました」と答え、Bは「それは大変でしたね」「だいじょうぶですか」と返して、第18課の「〜ほうがいいですよ」で一言アドバイスする。3枚終わったら役を替える。
  3. 産出「わたしの失敗トーク」。学生が最近あった小さな失敗を一つ選び、何が起きたか(〜てしまいました)、そのあとどうなったか(〜て、困りました)、次はどうするか(〜ようにします)の3文で、1分ぐらい話す。聞く人は一つ質問する。教師が見るのは、「しまう」の活用(しまいました・しまって)、うれしいことに使っていないか、「ちゃった」を使う学生はテ形が「で」になる動詞が「じゃった」になっているか。

つまずきと手当て

  • 「*忘れてしまました」「*なくしてしまうました」のように「しまう」の活用をまちがえる。「しまう」はグループⅠの動詞で、「買う」と同じく「しまいます・しまいました・しまって」になると並べて確かめる
  • 残念な気持ちがあることを知らずに、うれしい報告に使い、試験に合格したことを「合格してしまいました」と言う。この言い方だと「思っていなかった」「困った」という気持ちに聞こえることがあるので、ふつうに報告したいときは「合格しました」でよいと言い比べて聞かせる
  • 話し言葉の「〜ちゃった/〜じゃった」が聞き取れない、また「*飲んちゃった」のように作り方をまちがえる。テ形が「で」になる動詞(飲んで・読んで・遊んで)は「〜じゃう」になると、テ形の「て/で」から作らせる

既習の文型との違い

  • 〜ました(第3課)「財布をなくしました」は出来事をそのまま言い、「財布をなくしてしまいました」は、それが残念だ・困ったという話し手の気持ちを足します。どちらも文法は正しいので、あやまる場面や困った場面では「〜てしまいました」のほうが気持ちが伝わる、と場面で選ばせます。逆に、うれしい知らせ(合格した・結婚した)に「〜てしまいました」を使うと、思っていなかった・困ったという響きになることがあると添えます。
  • 〜て、…ました(第19課)第19課ではテ形で理由をつなぐ「電車が遅れて、困りました」を学んでいます。この課ではその前の部分に「〜てしまって」を入れ、「電車をまちがえてしまって、遅れました」のように、残念な出来事を理由にして話せます。「*まちがえてしまいましたて」のように、ます形のあとにテ形をつなごうとする誤りが出るので、「しまいます→しまって」と動詞の部分だけをテ形にすることを確かめます。
関連する文型

学習項目 3 〜ておきます

意味・はたらき学習項目 3

動詞のテ形に「おきます」をつけると、あとのことを考えて、前もってその動作をしておくこと(準備)を表します。「来週試験があるので、単語を覚えておきます」は、試験のときに困らないように今のうちに覚える、ということです。ほかに、次の人のために元の様子にすること(使ったら元の所に戻しておいてください)や、今の様子を変えずにそのままにすること(窓はそのまま開けておいてください)にも使います。初級Ⅰ第20課の「〜てあります」は準備をしたあとに残った結果の様子を言い、この課の「〜ておきます」は準備をする人の動作を言う、という対になっています。話し言葉では「〜とく/〜どく」(買っとく・読んどく)になります。

接続

動詞のテ形+おきます(主に他動詞につく。「おく」はグループⅠ: おきます・おきました・おいて)。話し言葉では 〜ておく→〜とく、〜でおく→〜どく

形
〜ておきます/〜ておきました(準備)〜ておいてください元の所に〜ておきます/そのまま〜ておきます(比べる)Nが 〜てあります

導入

  • パーティーの準備をカレンダーで黒板にカレンダーをかき、土曜日に「パーティー」と書く。「土曜日にパーティーをします。金曜日に何をしますか」と問いかけて、学生から「いすを並べます」「部屋を掃除します」を集め、教師が「パーティーのまえに、いすを並べておきます」と言い直す。金曜日から土曜日へ矢印を引き、動作をする日と、それが役に立つ日がずれていることを見せる。
  • 「ておきます」と「てあります」を並べる同じカレンダーの金曜日の欄に「いすを並べておきます(する人の動作)」、土曜日の欄に「いすが並べてあります(結果の様子)」と書く。第20課の、授業の前に黒板に日付が書いてあった場面を思い出させ、「先生が書いておいたので、今書いてあります」と一文でつなげて、二つの形が前と後の関係にあることを確かめる。

板書案

Vて + おきます(前もって・準備)
〔カレンダー〕金:いすを 並べて おきます。 → 土:パーティー
〔矢印〕する日(金)→ 役に立つ日(土)
(そのあと)いすが 並べて あります。 〔赤〕「を」と「が」を丸で囲む
〜ておいてください(頼む)/元の所に・そのまま 〜ておきます
〔青〕おきます(グループⅠ:おいて・おいた)

場面と発話(自作)

  • 来週、日本人の友達の家に初めて行く留学生が、クラスメートに話す。行くまえに、あいさつの言葉を調べておきます。
  • 会議の前の日の夕方、上司が部下に頼む。あしたの会議の資料を、10枚コピーしておいてください。
  • 授業のあと、教室を出る学生たちに先生が言う。次のクラスが使いますから、エアコンはそのままつけておいてください。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、予定の絵カード(旅行・試験・お客さん・引っ越し)と準備のカード(切符を買う・ホテルを予約する・単語を覚える・部屋を掃除する)を組み合わせ、第21課の形で「〜ので、〜ておきます」と言わせる。次に同じカードで「〜ておいてください」と人に頼む形、「〜てあります」と準備が済んだことを言う形に替えさせる。場面のやり取りでは、旅行の前の日に二人で「〜はもう〜ましたか」「はい、〜ておきました」「じゃ、〜も〜ておきましょう」と準備を確かめ合わせる。

  1. 口頭予定のカードを見せて「〜まえに、何をしておきますか」と聞き、全体→個人で準備の文を言わせる。キューの例は「旅行・ホテルを予約します」「試験・単語を覚えます」「お客さん・部屋を片づけます」「引っ越し・荷物を箱に入れます」「会議・資料をコピーします」。慣れたら第21課の形で「〜ので、〜ておきます」と理由をつけさせ、次に同じカードで「〜ておいてください」(人に頼む)と「〜が〜てあります」(済んだ様子)に替えさせる。
  2. ペア「旅行の準備チェック」。Aのカードには準備の一覧があり、済んだものに印が付いている。Bは印のない一覧だけを持ち、「〜はもう〜ましたか」と聞く。Aは印があれば「はい、〜ておきました」(または「はい、〜てあります」)、なければ「いいえ、これから〜ておきます」と答える。Bは答えを聞いて一覧に印をつけ、最後に二人でカードを見比べて合っているか確かめてから、役を替える。
  3. 産出「パーティー準備会議」。3〜4人のグループでクラスのパーティーの日と場所を決め、準備を分ける。リーダー役が「〜さん、〜ておいてください」と頼み、頼まれた人は「はい、〜ておきます」と受ける。次の時間の最初に、パーティーの前の日という設定で、それぞれが「〜はもう〜てあります」「〜はまだ〜ていません」と報告する。教師が見るのは、物につく助詞(〜ておきます は「を」、〜てあります は「が」)、これからのこととすでに済んだことの言い分け、「おく」の活用(おいて・おきました)。

つまずきと手当て

  • 「*いすが並べておきます」と、「〜ておきます」の文で物に「が」をつける。「〜ておきます」は人がする動作なので物は「を」、「〜てあります」は結果の様子なのでこの課では「が」で練習する(「〜を〜てあります」の言い方もあるが、ここでは扱わない)と、第20課の自動詞・他動詞の2列の板書に戻って確かめる
  • これからする準備を「あした、いすを並べてあります」と言うように、「〜てあります」と時が混ざる。これからすること・頼むことは「〜ておきます/〜ておいてください」、もう済んでいて今その様子があることは「〜てあります」と、カレンダーの矢印の前と後で分ける
  • 「*開けておきてください」「*買っておくました」のように「おく」の活用をまちがえる。「おく」はグループⅠの動詞で、「書く」と同じく「おきます・おいて」になると並べて確かめる

既習の文型との違い

  • 〜てあります(第20課)「〜ておきます」は準備をする人の動作で、物には「を」がつきます(ビールを冷やしておきます)。「〜てあります」は準備が済んだあとに残った様子で、この課では物に「が」をつけて練習します(ビールが冷やしてあります)。「*ビールが冷やしておきます」のように助詞が混ざる誤りが多いので、カレンダーの矢印の前(する)と後(様子)に分けて板書し、「先生が書いておいたので、今書いてあります」のような一文でつなげて見せます。
  • 〜まえに、…(第18課)「〜まえに、…」は二つの動作の順番だけを言い、「〜ておきます」は、あとのことに役立つように今するという準備の気持ちを足します。「出かけるまえに、天気を調べます」と「出かけるまえに、天気を調べておきます」はどちらも正しく、後の文のほうが準備だと分かります。名詞につくときに「*パーティーまえに」と「の」を落とす誤りがあるので、「Nのまえに/Vるまえに」を並べて書きます。
  • 〜ています(4)(第20課)「窓が開いています」は自動詞の結果が続いている様子で、だれが開けたかは言いません。「窓を開けておきます」は人が目的があってそうする動作で、「そのまま開けておいてください」と言えば、今の様子を変えないように頼むことになります。自動詞と他動詞の2列の板書を出して、「開く→開いています」「開ける→開けておきます/開けてあります」と三つを並べると整理できます。
関連する文型

語彙の扱い

この課は新しい活用形がないので、語彙は「ためす」「失敗する」「準備する」の三つの場面の動詞を中心に入れます。身につける動詞(着る・はく・かぶる)は「〜てみます」に、なくす・忘れる・割る・まちがえる・遅れる のような失敗の動詞は「〜てしまいました」に、予約する・調べる・コピーする・片づける のような準備の動詞は「〜ておきます」に、それぞれ絵カードで場面ごとにまとめて入れると、形と意味がいっしょに残ります。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • はきます(はきます) ズボンやくつ、くつしたを、足のほうから身につけます。 ズボンを〜・くつを〜
    店で、気に入ったくつを見つけた。
    「すみません、このくつをはいてみてもいいですか。」
  • かぶります(かぶります) ぼうしなどを、頭の上につけます。 ぼうしを〜
    ぼうしの店で、友達にすすめる。
    「この青いぼうし、かぶってみてください。」
  • 似合います(にあいます) 服や色がその人によく合って、きれいに見えます。 よく〜・赤が〜
    新しいシャツを着てみた友達に言う。
    「そのシャツ、よく似合いますね。」
  • なくします(なくします) 持っていた物が、どこにあるか分からなくなります。 財布を〜・かぎを〜
    駅で、困った顔をしている友達に聞かれた。
    「電車の切符をなくしてしまいました。」
  • 忘れます(わすれます) 持っていく物を、持っていかないで、そこに置いたままにします。 宿題を〜・本を教室に〜
    教室で、宿題を出す時間。
    「すみません、宿題をうちに忘れてしまいました。」
  • 割ります(わります) コップや皿などを落としたりして、こわします。 コップを〜・皿を〜
    友達の家で、皿を洗っているとき。
    「ごめんなさい、お皿を割ってしまいました。」
  • こぼします(こぼします) コップなどの中の水やコーヒーを、うっかり外に出します。 コーヒーを〜・水を〜
    レストランで、店の人を呼ぶ。
    「すみません、水をこぼしてしまいました。」
  • まちがえます(まちがえます) 正しくないほうを選んだり、正しくない答えを書いたりします。 道を〜・電車を〜・答えを〜
    約束の時間に遅れそうで、友達に電話する。
    「ごめんなさい、電車をまちがえてしまったので、10分ぐらい遅れます。」
  • 予約します(よやくします) 店やホテルに、前もって「この日に行きます」と言って、席や部屋をとります。 ホテルを〜・レストランを〜
    週末に友達と食事に行く相談をしている。
    「土曜日は人が多いので、お店を予約しておきます。」
  • 調べます(しらべます) 分からないことを、本やインターネットで見て、分かるようにします。 行き方を〜・意味を〜・辞書で〜
    初めての町へ行く前の日。
    「あした迷わないように、行き方を調べておきます。」
  • 片づけます(かたづけます) 使った物を元の所に入れて、部屋や机をきれいにします。 部屋を〜・机の上を〜
    会議の前の日、同僚と話す。
    「あしたの会議のまえに、机の上を片づけておきます。」
  • 戻します(もどします) 使った物や動かした物を、元の所や元の様子にします。 元の所に〜・いすを〜
    図書室で、先生が学生に言う。
    「読んだ本は、元のたなに戻しておいてください。」

宿題と次のコマ

宿題は、来週の予定を一つ決めて、その前に「〜ておきます」で準備することを3文、そこで「〜てみたいです」ことを1文書くことと、最近あった小さな失敗を「〜てしまいました」で2文書くこと。次のコマの最初に失敗の文を読ませ、ほかの学生が「それは大変でしたね」と返し、準備の文には「もう〜ましたか」と聞いて「はい、〜ておきました」で答える練習にして復習します。次の第28課では条件形(ば形)が初めて出るので、グループⅠ・Ⅱ・Ⅲの辞書形を確かめておくよう伝えます。

よくある質問

  • 第27課の「〜てみます」「〜てしまいます」「〜ておきます」はどの順で教えればいいですか?

    この教案では本の目次の順に「〜てみます」→「〜てしまいます」→「〜ておきます」で進めます。三つとも新しい活用形はなく、テ形に動詞をつけるだけなので、最初にテ形の作り方を復習しておけば順番で困ることは少ないです。「〜ておきます」は第20課の「〜てあります」と比べる時間が要るので、2コマ目の前半にまとめて置くと落ち着いて扱えます。

  • 「〜てしまいます」の二つの意味(全部終える・残念だ)はどちらから教えますか?

    この教案では、学生が場面をすぐ思い浮かべられる「残念だ・困った」の「〜てしまいました」から入り、そのあと「全部」「もう」といっしょに終える意味を足します。板書は二つの意味を2段に分け、前に「全部」があるか、困った出来事かで見分けさせます。終える意味から入る教え方もあるので、使っている本の練習に合わせて入れ替えてかまいません。

  • 「〜ておきます」と「〜てあります」の違いはどう説明すればいいですか?

    「〜ておきます」は準備をする人の動作で物に「を」、「〜てあります」は準備が済んだあとの様子で、この課では物に「が」をつけて練習する、と助詞といっしょに見せます(「〜を〜てあります」も使われますが、初級ではまず「が」で)。黒板のカレンダーで、準備をする日に「〜ておきます」、それが役に立つ日に「〜てあります」を書き、矢印でつなげると前と後の関係が分かります。「先生が書いておいたので、今書いてあります」のように一文でつなげる例も効きます。

  • 「〜ちゃう」「〜とく」のような話し言葉の形はこの課で練習させますか?

    この教案では、聞いて分かるところまでにして、言う練習は必ずしもさせません。ただ、日本で暮らす学習者は友達との会話やドラマでよく耳にするので、「忘れちゃった=忘れてしまった」「買っとく=買っておく」のように元の形と並べて聞かせます。使う学生がいたら、テ形が「で」になる動詞は「〜じゃう」「〜どく」になることだけ確かめます。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は復習と「〜てみます」「〜てしまいます」まで、2コマ目は「〜ておきます」と「〜てあります」の比べ、まとめの旅行の計画の活動です。テ形の定着が弱いクラスでは、導入でテ形の復習を長めにとり、まとめの活動を次のコマの最初に回してもかまいません。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。