テ形のあとに動詞をつけて、話し手の目的や気持ちを足す課です。第26課の「〜てきます/〜ていきます」に続いて、ためしにする「〜てみます」、全部終える・残念だという「〜てしまいます」、あとのために前もってする「〜ておきます」の三つを学びます。新しい活用形はなく、テ形が正しく作れれば形はやさしいので、授業の芯は「みます」がグループⅡ、「しまいます」「おきます」がグループⅠの動詞として活用することと、三つの意味の違いを場面で見せることです。「〜ておきます」は初級Ⅰ第20課の「〜てあります」(準備のあとに残った様子)と対になるので、カレンダーの前と後で言い分けさせると整理できます。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(前の課とのつなぎ) | 15分 | 第26課の「〜てきます」で、教師が教室を出るふりをして「ちょっとコンビニへ行ってきます」と言う短いやり取りを2〜3問。テ形に別の動詞をつけると意味が足されることを確かめ、この課は「みます・しまいます・おきます」をつける課だと予告する。テ形の作り方をグループⅠ・Ⅱ・Ⅲの表で一度声に出して復習しておく |
| 学習項目1 〜てみます | 35分 | 服や食べ物の実物で、ためしてから結果を言う流れを見せる。「〜てみたいです」「〜てみてください」へ広げ、第24課の「〜ようにします」(心がけ)とは意味が違うことを一言だけ添える |
| 学習項目2 〜てしまいます/〜てしまいました | 40分 | 教師の失敗の話で残念な気持ちの「〜てしまいました」を先に入れ、そのあと「全部」「もう」といっしょに、残さず終える意味を見せる。板書は二つの意味を2段に分ける。話し言葉の「〜ちゃった」は聞いて分かるところまで。1コマ目はここまで |
| 学習項目3 〜ておきます | 40分 | パーティーや旅行の準備を黒板のカレンダーで考え、第18課の「〜まえに」、第21課の「〜ので」と組み合わせる。「〜ておいてください」で人に頼む形と、「そのまま〜ておきます」まで |
| 「〜ておきます」と「〜てあります」 | 20分 | 第20課の「〜てあります」と並べ、準備をする前の予定(〜ておきます)と、済んだあとの様子(〜てあります)を同じカレンダーの矢印の前後で言い分ける |
| まとめの活動 | 30分 | グループで週末の小旅行の計画を立て、「行く前に〜ておきます」「そこで〜てみたいです」を言う。続けて旅行から帰った設定で「〜てしまいました」の失敗談を一つずつ話させ、三つの形を一つの話の中で使わせる |
動詞のテ形に「みます」をつけると、結果やようすを知るために、ためしにその動作をすることを表します。「このズボンをはいてみます」は、大きさや似合うかどうかを知るためにはいてみる、ということです。「みます」はもともと「見ます」ですが、この使い方では目で見る意味はなく、ふつうひらがなで書きます。「〜てみたいです」(まだしたことのないことをためしたい)、「〜てみてください」(相手にすすめる)、「〜てみませんか」(さそう)の形でよく使います。
動詞のテ形+みます(「みる」はグループⅡ: みます・みました・みて・みたい。「見る」にもついて「見てみます」と言える)
口頭の代入練習では、物や場所の絵カード(くつ・ケーキ・新しい店・温泉)を見せて「〜てみたいです」と言わせ、次に教師が「この〜はどうですか」とすすめたら「じゃ、〜てみます」と答えさせる。場面のやり取りでは、店の人と客の役で「〜てみてもいいですか」「どうぞ、〜てみてください」から始め、ためした結果(ちょっと小さいです・ちょうどいいです)を言って、買うかどうかを決めるところまで続けさせる。
動詞のテ形に「しまいます」をつける形で、使い方が二つあります。一つは動作を最後まで残さず終えることで、「この仕事はきょう全部やってしまいます」のように「全部」「もう」といっしょによく使います。もう一つはしたくなかったこと・してはいけないことをして、残念だ・困ったという気持ちを表す使い方で、「駅で財布をなくしてしまいました」のように「〜てしまいました」の形で、自分の失敗やうっかりしたことを話すときに多く出ます。この教案では、本の目次の例に合わせて残念な気持ちの使い方を中心にし、終える意味をあとから足します。話し言葉では「〜ちゃう/〜じゃう」(忘れちゃった・飲んじゃった)と短くなります。
動詞のテ形+しまいます(「しまう」はグループⅠ: しまいます・しまいました・しまって)。話し言葉では 〜てしまう→〜ちゃう、〜でしまう→〜じゃう
口頭の代入練習では、困った場面の絵カード(かぎをなくした・コップを割った・バスに遅れた)を見せて「〜てしまいました」と言わせ、慣れたら第19課の形で「〜てしまって、困りました」と理由につなげさせる。終える意味は「宿題・洗濯・掃除」のカードで「週末までに全部〜てしまいます」と言わせる。場面のやり取りでは、「どうしましたか」「〜てしまいました」「それは大変でしたね」の型で、友達に小さな失敗を話すやり取りをさせる。
動詞のテ形に「おきます」をつけると、あとのことを考えて、前もってその動作をしておくこと(準備)を表します。「来週試験があるので、単語を覚えておきます」は、試験のときに困らないように今のうちに覚える、ということです。ほかに、次の人のために元の様子にすること(使ったら元の所に戻しておいてください)や、今の様子を変えずにそのままにすること(窓はそのまま開けておいてください)にも使います。初級Ⅰ第20課の「〜てあります」は準備をしたあとに残った結果の様子を言い、この課の「〜ておきます」は準備をする人の動作を言う、という対になっています。話し言葉では「〜とく/〜どく」(買っとく・読んどく)になります。
動詞のテ形+おきます(主に他動詞につく。「おく」はグループⅠ: おきます・おきました・おいて)。話し言葉では 〜ておく→〜とく、〜でおく→〜どく
口頭の代入練習では、予定の絵カード(旅行・試験・お客さん・引っ越し)と準備のカード(切符を買う・ホテルを予約する・単語を覚える・部屋を掃除する)を組み合わせ、第21課の形で「〜ので、〜ておきます」と言わせる。次に同じカードで「〜ておいてください」と人に頼む形、「〜てあります」と準備が済んだことを言う形に替えさせる。場面のやり取りでは、旅行の前の日に二人で「〜はもう〜ましたか」「はい、〜ておきました」「じゃ、〜も〜ておきましょう」と準備を確かめ合わせる。
この課は新しい活用形がないので、語彙は「ためす」「失敗する」「準備する」の三つの場面の動詞を中心に入れます。身につける動詞(着る・はく・かぶる)は「〜てみます」に、なくす・忘れる・割る・まちがえる・遅れる のような失敗の動詞は「〜てしまいました」に、予約する・調べる・コピーする・片づける のような準備の動詞は「〜ておきます」に、それぞれ絵カードで場面ごとにまとめて入れると、形と意味がいっしょに残ります。
宿題は、来週の予定を一つ決めて、その前に「〜ておきます」で準備することを3文、そこで「〜てみたいです」ことを1文書くことと、最近あった小さな失敗を「〜てしまいました」で2文書くこと。次のコマの最初に失敗の文を読ませ、ほかの学生が「それは大変でしたね」と返し、準備の文には「もう〜ましたか」と聞いて「はい、〜ておきました」で答える練習にして復習します。次の第28課では条件形(ば形)が初めて出るので、グループⅠ・Ⅱ・Ⅲの辞書形を確かめておくよう伝えます。
第27課の「〜てみます」「〜てしまいます」「〜ておきます」はどの順で教えればいいですか?
この教案では本の目次の順に「〜てみます」→「〜てしまいます」→「〜ておきます」で進めます。三つとも新しい活用形はなく、テ形に動詞をつけるだけなので、最初にテ形の作り方を復習しておけば順番で困ることは少ないです。「〜ておきます」は第20課の「〜てあります」と比べる時間が要るので、2コマ目の前半にまとめて置くと落ち着いて扱えます。
「〜てしまいます」の二つの意味(全部終える・残念だ)はどちらから教えますか?
この教案では、学生が場面をすぐ思い浮かべられる「残念だ・困った」の「〜てしまいました」から入り、そのあと「全部」「もう」といっしょに終える意味を足します。板書は二つの意味を2段に分け、前に「全部」があるか、困った出来事かで見分けさせます。終える意味から入る教え方もあるので、使っている本の練習に合わせて入れ替えてかまいません。
「〜ておきます」と「〜てあります」の違いはどう説明すればいいですか?
「〜ておきます」は準備をする人の動作で物に「を」、「〜てあります」は準備が済んだあとの様子で、この課では物に「が」をつけて練習する、と助詞といっしょに見せます(「〜を〜てあります」も使われますが、初級ではまず「が」で)。黒板のカレンダーで、準備をする日に「〜ておきます」、それが役に立つ日に「〜てあります」を書き、矢印でつなげると前と後の関係が分かります。「先生が書いておいたので、今書いてあります」のように一文でつなげる例も効きます。
「〜ちゃう」「〜とく」のような話し言葉の形はこの課で練習させますか?
この教案では、聞いて分かるところまでにして、言う練習は必ずしもさせません。ただ、日本で暮らす学習者は友達との会話やドラマでよく耳にするので、「忘れちゃった=忘れてしまった」「買っとく=買っておく」のように元の形と並べて聞かせます。使う学生がいたら、テ形が「で」になる動詞は「〜じゃう」「〜どく」になることだけ確かめます。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は復習と「〜てみます」「〜てしまいます」まで、2コマ目は「〜ておきます」と「〜てあります」の比べ、まとめの旅行の計画の活動です。テ形の定着が弱いクラスでは、導入でテ形の復習を長めにとり、まとめの活動を次のコマの最初に回してもかまいません。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。