第24課の「〜ようです」、第29課の様態「〜そうです」、第32課の伝聞「〜そうです」に続いて、話し手がどれくらい確かだと思っているかを文の終わりで言い分ける課です。4項目はどれも普通形のあとにつくので、課の最初に「前は普通形、名詞とな形容詞のつなぎ方だけ形ごとに違う」と板書で決めておくと、形の練習は短く済みます。芯は意味の選び分けで、はずがありません(ありえない)→ かもしれません(そうかもしれない)→ はずです(理由があって、きっとそうだ)を確かさの線の上に並べ、らしいですは確かさではなく「聞いた話・手がかりから」という根拠の種類を示す形なので、線の外に「聞いた話」の枠を作ってそこに置きます。学習者は「かもしれない」を何にでも使いがちなので、どの項目も「なぜそう思うのか」という根拠を一言添えて言わせ、根拠の種類で形を選ぶ練習にします。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(前の課とのつなぎ) | 15分 | 第32課の伝聞「〜そうです」と第24課の「〜ようです」を、ニュースの紙と窓の外の絵で1問ずつ復習する。そのうえで黒板に横長の「確かさの線」(左に「ありえない」、右に「きっとそうだ」)を引き、この課の形をこの線の上に置いていき、「らしい」だけは線の外の「聞いた話」の枠に置くと予告する |
| 学習項目1 〜らしいです | 40分 | 掲示板の紙・友達のうわさなど「人から入ってきた情報」のカードで導入。名詞とな形容詞は「だ」をつけずに「らしい」をつけると、「ようです」の「の・な」と並べて板書する |
| 学習項目2 〜かもしれません | 35分 | 空の絵・時計の絵で、わからないことを言う場面を作る。名詞とな形容詞は「だ」なしで直接つくこと、「でしょう」より確かさが低いことを線の上で見せる。1コマ目はここまでで、最後の5分に「らしい・かもしれない」の名詞・な形容詞のつなぎ方を板書で確かめて終える |
| 学習項目3 〜はずです/〜ないはずです | 35分 | (2コマ目)最初に1コマ目の2つの形を、確かさの線と「聞いた話」の枠で短く復習してから入る。予定表と時刻表を使い、「〜から、〜はずです」と理由から判断を引き出す。自分の予定には使わず「つもりです」になることを、第23課の形と並べて確かめる |
| 学習項目4 〜はずがありません | 25分 | うそのうわさのカードに、理由を添えて強く打ち消す。「〜ないはずです」との強さの違いを確かさの線の左端に置いて見せる |
| まとめの活動 | 30分 | 「クラスのうわさ」のカード(教師が作る)を1枚ずつ引き、聞いた人が根拠を考えて、らしい・かもしれない・はずだ・はずがない のどれかで答える。答えた形を確かさの線(らしいは線の外の「聞いた話」の枠)に貼っていき、根拠の種類と形の対応をクラスで確かめる |
人から聞いた話・読んだもの・まわりの様子などの外から入ってきた情報をもとに、「どうもそうだ」と判断して伝える言い方です。自分で直接見て確かめたことではないので、話し手は少し距離を置いて言っていて、本当かどうかの責任は持たない響きがあります。第32課の伝聞「〜そうです」は聞いた話をそのまま伝える言い方で、「らしい」はそこに話し手の判断が少し入り、情報の出どころがはっきりしないうわさにもよく使います。第24課の「〜ようです」は自分の目や耳で感じたことからの推量で、「らしい」はそれより人から聞いた情報によりかかった言い方です。なお「男らしい」「子どもらしい」のように名詞について「〜にふさわしい」を表す「らしい」は別の用法なので、この課では扱いません。
普通形+らしいです(名詞とな形容詞の今の肯定は「だ」をつけずに直接つく。学生らしい・静からしい)
口頭の代入練習では、「聞いた話」のカード(あしたは授業が休み・先生が来月結婚する・あの店は高い・新しい先生は静かな人)を見せて「〜らしいです」の文にさせ、名詞とな形容詞のカードでは「だ」を消す作業をさせる。場面のやり取りでは、ペアの一人にだけ短いお知らせの紙を読ませ、読んだ人が相手に内容を伝え、聞いた人がそれを第三の人に「〜らしいですよ」と伝えるリレーにする。
そうなる可能性がある、そうでない可能性もある、と話し手がはっきりわからないことを言う言い方です。この課の形の中ではいちばん確かさが低く、根拠が弱くても使えます。第17課の「〜でしょう」は「たぶんそうだ」とかなり確かだと思うときの言い方なので、同じ内容でも「でしょう」より「かもしれません」のほうが、そうならない場合を残した言い方になります。そのため、遅れる・行けないなど相手に迷惑がかかるかもしれないことを前もって伝えて、約束に余裕を持たせるときにもよく使います。友達との会話では「かもしれない」、さらに短く「かも」とも言います。
普通形+かもしれません(名詞とな形容詞の今の肯定は「だ」をつけずに直接つく。雨かもしれません・ひまかもしれません)
口頭の代入練習では、わからないことの絵カード(雲の多い空・込んでいる道・疲れた顔の友達・鍵のない机)と語のキュー(雨が降る・遅れる・病気・忘れた)を出して「〜かもしれません」の文にさせ、名詞とな形容詞のときは「だ」を入れないことを確かめる。場面のやり取りでは、ペアで週末の約束をし、一人が「〜ので、〜かもしれません」と行けない可能性を伝え、相手が「わかりました。じゃ、〜たら、電話してください」と受ける。
予定・決まり・知っている事実など、はっきりした理由から考えて「きっとそうだ」と判断する言い方です。気持ちや感じではなく理由から筋道を立てて出した結論なので、「〜から、〜はずです」と理由を添えて言うことが多いです。打ち消しは「〜ないはずです」で、理由から考えてそうではないと判断していることを表します。自分がこれからすることには使わず、自分の予定や考えは「〜つもりです」(第23課)で言います。これまでの形も合わせた5つをまとめると、聞いた話・情報から「らしい」、自分で見た・感じたことから「ようだ」、聞いた話をそのまま伝える「そうだ(伝聞)」、理由から確かだと思う「はずだ」、確かではない「かもしれない」です。
普通形+はずです(な形容詞は「な」、名詞は「の」をつける。元気なはず・休みのはず)
口頭の代入練習では、予定表・時刻表・お知らせの紙のカードを見せ、理由の語(毎日開いている・3時に出た・もう連絡した)と結論の語(開いている・着く・知っている)を組み合わせて「〜から、〜はずです」と言わせ、慣れたら打ち消しの「〜ないはずです」も混ぜる。場面のやり取りでは、ペアの一人が困りごと(友達が来ない・荷物が届かない)を言い、相手が予定表を見ながら「〜から、〜はずです」と見通しを言い、言われた人が「じゃ、もう少し待ってみます」と受ける。
理由から考えて、そんなことはありえないと強く打ち消す言い方です。人のうわさや思い込み、聞いた話に対して「そんなことはない」と返すときによく使い、確かさの線のいちばん左(ありえない)に置かれます。学習項目3の「〜ないはずです」は「理由から考えて、そうではないと思う」という落ち着いた判断で、「〜はずがありません」はそうである可能性そのものを強く否定する点が違います。「〜はずはありません」とも言い、友達との会話では「〜はずがない」になります。「来ないはずがありません」のように打ち消しの形につけると、「きっと来る」という強い肯定になります。
普通形+はずがありません(な形容詞は「な」、名詞は「の」をつける。学習項目3の「はず」と同じつなぎ方)
口頭の代入練習では、うわさのカード(あの店は1杯100円・新しい先生は日本語が話せない・弟が一人で全部食べた)と、それを打ち消す理由のカードを組み合わせて「〜から、〜はずがありません」と言わせる。場面のやり取りでは、ペアの一人がうわさを「〜らしいですよ」と言い、相手が理由を考えて、ありえないなら「〜はずがありません」、わからないなら「〜かもしれません」、聞いた話と違う理由があるなら「〜ないはずです」と、確かさの線から形を選んで返す。
この課の語彙は、うわさや知らせを話題にするための語(うわさ・お知らせ・連絡・本物・出張 など)と、確かさをやわらげたり強めたりする副詞(たぶん・きっと・もしかしたら)にまとめると練習が回ります。副詞は形とセットで、「もしかしたら〜かもしれません」「きっと〜はずです」「たぶん〜でしょう」と組み合わせたまま入れると、確かさの線の上での位置が覚えやすくなります。どの語がこの課の新出語かは、本の巻末のワードリストで確かめてから入れてください。
宿題は、最近聞いた話を1つ選んで「〜らしいです」で書き、それについての自分の判断を「〜はずです」「〜かもしれません」「〜はずがありません」のどれかで、理由を添えて1文書くこと(あわせて2文)。次のコマの最初に、その2文を読み合い、聞いた人が「どうしてそう思いますか」と1つ質問してから第34課に入ります。第34課の「〜ことにします」は自分で決めること、この課の「はずです」は理由からの判断なので、「来週国へ帰ることにしました」「来週国へ帰るはずです」を並べて違いを確かめると、学習項目3のつまずきの復習にもなります。
第33課の4つの形は、どの順で教えればいいですか?
本の順(らしい→かもしれない→はず→はずがない)のまま進め、課の最初に黒板に「確かさの線」を引いておいて、1つ習うたびに線の上に貼っていき(「らしい」は確かさではなく根拠の種類なので、線の外の「聞いた話」の枠に)、全体の地図を作ります。つなぎ方は「らしい・かもしれない」(名詞・な形容詞に直接)と「はず・はずがない」(Nの・Aな)の2組に分かれるので、1コマ目に前の2つ、2コマ目に後ろの2つを置くと形の混乱が少なくなります。
「〜らしいです」と「〜ようです」「〜そうです(伝聞)」はどう教え分けますか?
同じ内容を3枚の絵で言い分けるのが早いです。自分で見た・感じたなら「ようです」、聞いたことをそのまま伝えるなら「そうです」、聞いた話や読んだものから自分でも判断して伝えるなら「らしいです」です。名詞のつなぎ方も3つとも違う(休みのようです・休みだそうです・休みらしいです)ので、絵と形を3列の表にして板書に残します。
「〜ないはずです」と「〜はずがありません」の違いはどう説明しますか?
どちらも理由からの打ち消しですが、「ないはずです」は「そうではないと思う」という落ち着いた判断、「はずがありません」は「ありえない」と可能性を強く打ち消す言い方です。確かさの線では「はずがありません」をいちばん左に、「ないはずです」をその少し右に置きます。練習では、相手のうわさに返す場面と、自分の見通しを言う場面を分けて言い比べさせます。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目で導入と「らしい」「かもしれない」、2コマ目で「はず」「はずがない」とまとめの活動をします。名詞・な形容詞のつなぎ方でつまずくクラスでは、2コマ目の最初に4つの形を並べた5分の小テストを入れると、まとめの活動で形が止まりません。
「はずです」を自分の予定に使う学習者には、どう直しますか?
「わたしは来週国へ帰るはずです」は形は作れますが、自分で決めたことを人ごとのように言うことになります。主語が「わたし」で自分が決めたことなら「つもりです」「予定です」(第23課)、人や物事について理由から判断するなら「はずです」、と主語を見て選ばせます。「なぜそう思いますか」と聞き返し、理由が言えるかどうかを確かめるのも有効です。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。