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学ぼう!にほんご 初級Ⅱ 第33課「彼はあした来るはずです」の教案

『学ぼう!にほんご 初級Ⅱ』

第24課の「〜ようです」、第29課の様態「〜そうです」、第32課の伝聞「〜そうです」に続いて、話し手がどれくらい確かだと思っているかを文の終わりで言い分ける課です。4項目はどれも普通形のあとにつくので、課の最初に「前は普通形、名詞とな形容詞のつなぎ方だけ形ごとに違う」と板書で決めておくと、形の練習は短く済みます。芯は意味の選び分けで、はずがありません(ありえない)→ かもしれません(そうかもしれない)→ はずです(理由があって、きっとそうだ)を確かさの線の上に並べ、らしいですは確かさではなく「聞いた話・手がかりから」という根拠の種類を示す形なので、線の外に「聞いた話」の枠を作ってそこに置きます。学習者は「かもしれない」を何にでも使いがちなので、どの項目も「なぜそう思うのか」という根拠を一言添えて言わせ、根拠の種類で形を選ぶ練習にします。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目4時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 人から聞いた話や読んだ情報をもとに、「〜らしいです」で、自分が直接確かめていないことを伝えられる
  • はっきりわからないことを「〜かもしれません」で言い、予定や約束に余裕を持たせた言い方ができる
  • 予定や事実を理由にして、「〜はずです」「〜ないはずです」で、きっとそうだという判断を言える
  • 人の話や思い込みに対して、理由を添えて「〜はずがありません」と強く打ち消せる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)15分第32課の伝聞「〜そうです」と第24課の「〜ようです」を、ニュースの紙と窓の外の絵で1問ずつ復習する。そのうえで黒板に横長の「確かさの線」(左に「ありえない」、右に「きっとそうだ」)を引き、この課の形をこの線の上に置いていき、「らしい」だけは線の外の「聞いた話」の枠に置くと予告する
学習項目1 〜らしいです40分掲示板の紙・友達のうわさなど「人から入ってきた情報」のカードで導入。名詞とな形容詞は「だ」をつけずに「らしい」をつけると、「ようです」の「の・な」と並べて板書する
学習項目2 〜かもしれません35分空の絵・時計の絵で、わからないことを言う場面を作る。名詞とな形容詞は「だ」なしで直接つくこと、「でしょう」より確かさが低いことを線の上で見せる。1コマ目はここまでで、最後の5分に「らしい・かもしれない」の名詞・な形容詞のつなぎ方を板書で確かめて終える
学習項目3 〜はずです/〜ないはずです35分(2コマ目)最初に1コマ目の2つの形を、確かさの線と「聞いた話」の枠で短く復習してから入る。予定表と時刻表を使い、「〜から、〜はずです」と理由から判断を引き出す。自分の予定には使わず「つもりです」になることを、第23課の形と並べて確かめる
学習項目4 〜はずがありません25分うそのうわさのカードに、理由を添えて強く打ち消す。「〜ないはずです」との強さの違いを確かさの線の左端に置いて見せる
まとめの活動30分「クラスのうわさ」のカード(教師が作る)を1枚ずつ引き、聞いた人が根拠を考えて、らしい・かもしれない・はずだ・はずがない のどれかで答える。答えた形を確かさの線(らしいは線の外の「聞いた話」の枠)に貼っていき、根拠の種類と形の対応をクラスで確かめる

学習項目 1 〜らしいです

意味・はたらき学習項目 1

人から聞いた話・読んだもの・まわりの様子などの外から入ってきた情報をもとに、「どうもそうだ」と判断して伝える言い方です。自分で直接見て確かめたことではないので、話し手は少し距離を置いて言っていて、本当かどうかの責任は持たない響きがあります。第32課の伝聞「〜そうです」は聞いた話をそのまま伝える言い方で、「らしい」はそこに話し手の判断が少し入り、情報の出どころがはっきりしないうわさにもよく使います。第24課の「〜ようです」は自分の目や耳で感じたことからの推量で、「らしい」はそれより人から聞いた情報によりかかった言い方です。なお「男らしい」「子どもらしい」のように名詞について「〜にふさわしい」を表す「らしい」は別の用法なので、この課では扱いません。

接続

普通形+らしいです(名詞とな形容詞の今の肯定は「だ」をつけずに直接つく。学生らしい・静からしい)

形
V普通形らしいです(来るらしい・来ないらしい・来たらしい)Aい普通形らしいです(安いらしい・安くないらしい)Aな/N+らしいです(静からしい・休みらしい/休みだったらしい)〜らしいですよ(人に教えるとき)

導入

  • 掲示板の紙を読んだ人から話を聞く教師が「寮の掲示板」と書いた紙をクラスの一人にだけ見せ、その学生に「何と書いてありますか」と小声で聞く。学生の答えを聞いた教師が、ほかの学生に向かって「あした、寮の水が止まるらしいです」と言う。板書は「[聞いた話・読んだもの]→ 普通形+らしいです」の枠にし、矢印の左に「外から入ってきた情報」と書いて、教師自身は紙を見ていないことを強調する。
  • 「ようです」「そうです」と並べる同じ「山田さんは風邪を引いた」という内容を、3枚の絵で言い分ける。せきをしている山田さんを教師が見た絵には「〜ようです」、山田さんから電話で聞いた絵には「〜そうです」、友達から「山田さんはきょう休みですよ」と聞いた絵には「〜らしいです」を書く。そのあと名詞とな形容詞の行を作り、「休みのようです」「休みだそうです」「休みらしいです」と、つなぎ方が3つとも違うことを色分けして見せる。

板書案

〔聞いた話・読んだもの〕 → 普通形 + らしいです
あした、図書館は休みらしいです。
新しい先生は、とても厳しいらしいです。
〔赤〕N・Aな は「だ」なしで直接つく:休みらしい・静からしい
〔青〕ようです(自分で見た)/そうです(聞いたまま)/らしいです(聞いた話から判断)の3列

場面と発話(自作)

  • 寮で、掲示板の紙を読んだ友達から話を聞いた留学生が、同じ寮の別の友達に伝える。あしたの朝、寮の水が止まるらしいです。
  • 会社の休み時間に、同僚が駅の前に新しくできた店のうわさを話す。駅の前の新しい店、安くておいしいらしいですよ。
  • 教室で、いつも来る学生がいない。その学生の友達から少し話を聞いた留学生が、先生に聞かれて答える。田中さんは、きのうから熱があるらしいです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、「聞いた話」のカード(あしたは授業が休み・先生が来月結婚する・あの店は高い・新しい先生は静かな人)を見せて「〜らしいです」の文にさせ、名詞とな形容詞のカードでは「だ」を消す作業をさせる。場面のやり取りでは、ペアの一人にだけ短いお知らせの紙を読ませ、読んだ人が相手に内容を伝え、聞いた人がそれを第三の人に「〜らしいですよ」と伝えるリレーにする。

  1. 口頭教師が「お知らせの紙」のカード(あした停電がある・図書館が休み・駅前の店が閉まる・新しい先生は厳しい)を1枚ずつ見せ、「何と書いてありましたか」と聞く。学習者は全体で「あした、停電があるらしいです」と言い、次に個人で言う。動詞→い形容詞→名詞の順にカードを出し、名詞とな形容詞のカードは赤い枠で囲んで「だ」を消してから言わせる。最後は紙を見せずに語だけ(休み・高い・結婚した・静か)をキューにする。
  2. ペアAは「寮のお知らせ」、Bは「学校のお知らせ」のカードを持ち、相手には見せない。Aが自分のカードの中身を「〜らしいですよ」と伝え、Bが「そうですか。じゃ、〜」と自分のすること(傘を持っていきます・早く行きます)で受ける。3枚ずつ伝えたら役を替える。最後に相手から聞いた話を、別のペアに「〜さんによると、〜そうです」と伝え直させ、伝聞の「そうです」との形の違いも口で確かめる。
  3. 産出「うわさリレー」。3〜4人で1列になり、先頭の人だけが短いお知らせの紙を読んで次の人に伝える。2人目からは「〜らしいですよ」で後ろの人に伝え、最後の人が黒板に書いて、先頭の紙と比べる。教師が見るのは、名詞・な形容詞に「だ」や「の」を入れていないか、文の前が普通形になっているか、伝える途中で内容が変わったところをどう言い直したか。

つまずきと手当て

  • 「*あしたは休みだらしいです」「*あの人は学生のらしいです」「*静かならしいです」と、名詞・な形容詞のつなぎ方を誤る。「ようです」は の・な、伝聞の「そうです」は だ、「らしいです」は何もつけない、と3つの形を並べた板書に戻って言い比べる
  • 自分の目で今見ていることに「(窓の外を見ながら)雨が降っているらしいです」と言う。文法の誤りではないが、自分で見ていることを人から聞いたように言うことになるので、「見ている・感じている」なら「〜ようです」、と絵の違いに戻って確かめる
  • 伝聞の「〜そうです」と同じものだと思い、出どころをはっきり言える情報でも、正式に伝えるべき場面(受付で職員に、先生からの連絡を伝えるなど)で「らしいです」を使う。誤りではないが、うわさのように聞こえて頼りなく思われることがあるので、出どころがはっきりしている連絡は「〜によると、〜そうです」で伝える、と場面を替えて言い比べる

既習の文型との違い

  • 〜ようです(第24課)「ようです」は自分の目や耳で感じた様子からの推量で、「らしいです」は人から聞いた話や読んだものによりかかった判断です。形も違い、名詞は「休みのようです」、「らしい」は「休みらしいです」と何もつけません。学習者は「*休みのらしいです」と2つを混ぜるので、絵(自分で見た/人から聞いた)と形を一緒に並べて見せます。
  • 〜そうです 伝聞(第32課)伝聞の「そうです」は聞いたことをそのまま伝え、「〜によると」で出どころを言えます。「らしいです」はそこに話し手の判断が入り、出どころのはっきりしないうわさにも使えます。名詞は「休みだそうです」と「休みらしいです」で「だ」の有無が違い、「*休みだらしいです」という混ざった形がよく出ます。
  • 〜そうです 様態(第29課)様態の「そうです」は目の前の見た目からの判断で、ます形の語幹につきます(降りそうです)。「らしいです」は見ていないことを、普通形につけて言います(降るらしいです)。空を見て言うのか、予報を聞いて言うのかで分け、「*降りらしいです」のような語幹への付け間違いを直します。
関連する文型

学習項目 2 〜かもしれません

意味・はたらき学習項目 2

そうなる可能性がある、そうでない可能性もある、と話し手がはっきりわからないことを言う言い方です。この課の形の中ではいちばん確かさが低く、根拠が弱くても使えます。第17課の「〜でしょう」は「たぶんそうだ」とかなり確かだと思うときの言い方なので、同じ内容でも「でしょう」より「かもしれません」のほうが、そうならない場合を残した言い方になります。そのため、遅れる・行けないなど相手に迷惑がかかるかもしれないことを前もって伝えて、約束に余裕を持たせるときにもよく使います。友達との会話では「かもしれない」、さらに短く「かも」とも言います。

接続

普通形+かもしれません(名詞とな形容詞の今の肯定は「だ」をつけずに直接つく。雨かもしれません・ひまかもしれません)

形
V普通形かもしれません(降るかもしれません・行けないかもしれません)V普通形(過去)かもしれません(忘れたかもしれません)Aいかもしれません/Aな・N+かもしれません(寒いかもしれません・ひまかもしれません・休みかもしれません)〜かもしれない/〜かも(友達との会話)

導入

  • 空の絵で「わからない」を言う晴れた空の絵、少し雲がある空の絵、真っ黒な雲の空の絵を順に貼る。教師が1枚目で「きょうは雨が降りません」、3枚目で「雨が降るでしょう」と言ったあと、2枚目を指さして首をかしげながら「午後、雨が降るかもしれません」と言う。黒板の確かさの線の上に、「でしょう」より左に「かもしれません」を置き、そうならない場合もあることを線の幅で見せる。
  • 約束に余裕を持たせる教師が時計の絵を見せて、「授業のあと、病院へ行きます。病院はいつも込んでいます」と状況を言い、「ですから、あしたの会議に少し遅れるかもしれません」と続ける。学生に「あした、ほかの予定がありますか」と聞き、「〜ので、〜かもしれません」の形で、行けない・遅れる・早く帰る可能性を言わせる。理由の「ので」(第21課)を前に添えると、相手に伝わりやすくなることを板書で示す。

板書案

確かさの線:ありえない ←――――――→ きっとそうだ
普通形 + かもしれません
午後、雪が降るかもしれません。
〔赤〕N・Aな は「だ」なし:休みかもしれません・ひまかもしれません
〔青〕でしょう(たぶん)より左に かもしれません を貼る
〜ので、〜かもしれません(約束に余裕を持たせる)

場面と発話(自作)

  • 朝、うちを出る前に、空が少し暗いのを見た留学生が、家族に言う。午後は雨が降るかもしれませんから、傘を持っていきます。
  • 友達と駅で会う約束をしている留学生が、電車の中から電話をかける。電車が遅れているので、10分ぐらい遅れるかもしれません。
  • 財布が見つからないと困っている友達に、教室で一緒に考えながら言う。さっきの教室にあるかもしれません。もう一度見てみましょう。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、わからないことの絵カード(雲の多い空・込んでいる道・疲れた顔の友達・鍵のない机)と語のキュー(雨が降る・遅れる・病気・忘れた)を出して「〜かもしれません」の文にさせ、名詞とな形容詞のときは「だ」を入れないことを確かめる。場面のやり取りでは、ペアで週末の約束をし、一人が「〜ので、〜かもしれません」と行けない可能性を伝え、相手が「わかりました。じゃ、〜たら、電話してください」と受ける。

  1. 口頭教師が絵カードを見せて「どうなりますか」「どうしてですか」と聞き、学習者が「〜かもしれません」で答える。キューの例は、雲の多い空(雨が降る)・込んでいる道(遅れる)・赤い顔の友達(熱がある)・シャッターの閉まった店(休み)・机の上にない鍵(家に忘れた)。全体→個人で言わせたあと、「〜ないかもしれません」(来ない・間に合わない)も混ぜ、名詞のカードでは「だ」を入れていないかを全員で確かめる。
  2. ペア「週末の約束」。Aが「土曜日、一緒に買い物に行きませんか」と誘い、Bは手元の予定カード(アルバイトが長くなる・国から家族が来る・レポートが終わらない)を見て「〜ので、〜かもしれません」と答える。Aは「わかりました。じゃ、行けたら、電話してください」と受ける。カードを3枚使ったら役を替える。
  3. 産出「来週の見通しスピーチ」。学習者が自分の来週の予定から、変わるかもしれないことを理由と一緒に3文で話す(来週はテストがあるので、忙しいかもしれません、など)。聞いた人は1つ質問をする。教師が見るのは、前が普通形になっているか、名詞・な形容詞に「だ」を入れていないか、「もしかしたら」と組み合わせて自然に言えているか、理由のはっきりした予定まで何でも「かもしれません」で弱めていないか。

つまずきと手当て

  • 「*雨だかもしれません」「*ひまなかもしれません」と、だ・な を入れる。名詞とな形容詞は直接つく、と「らしいです」と同じ列に並べて板書し、つなぎ方を2つまとめて覚えさせる
  • 「*行きますかもしれません」「*雨ですかもしれません」と、前を丁寧な形にする。前は普通形、丁寧にするのは最後の「しれません」だけ、と枠の中と外で色を変えて見せる。なお「行くかもしれないです」は話し言葉で聞く形で誤りではないが、初級では「かもしれません」に統一して練習する
  • かなり確かな理由があるときにも「かもしれません」ばかり使う。誤りではないが、自信がなさそうに聞こえる。理由がはっきりしているときは「〜はずです」(学習項目3)、聞いた話なら「〜らしいです」と、確かさの線と「聞いた話」の枠で選び直させる

既習の文型との違い

  • 〜でしょう/だろう(第17課)「でしょう」は「たぶんそうだ」とかなり確かだと思う言い方で、「かもしれません」はそうならない場合も残した言い方です。形はどちらも名詞・な形容詞に直接つく(雨でしょう・雨かもしれません)ので、形より確かさの違いで選ばせます。天気予報の文で「雨が降るでしょう」と「降るかもしれません」を線の上に並べると、位置の違いが見えます。
  • 〜と思います/思う(第17課)「と思います」は話し手の考えを言う形で、確かさはそれだけでは決まりません。名詞・な形容詞では「雨だと思います」と「だ」が要り、「かもしれません」は「だ」が要らないので、学習者は「*雨だかもしれません」と混ぜます。断りの場面では「行けないと思います」より「行けないかもしれません」のほうが、まだ余地のある言い方になります。
関連する文型

学習項目 3 〜はずです/〜ないはずです

意味・はたらき学習項目 3

予定・決まり・知っている事実など、はっきりした理由から考えて「きっとそうだ」と判断する言い方です。気持ちや感じではなく理由から筋道を立てて出した結論なので、「〜から、〜はずです」と理由を添えて言うことが多いです。打ち消しは「〜ないはずです」で、理由から考えてそうではないと判断していることを表します。自分がこれからすることには使わず、自分の予定や考えは「〜つもりです」(第23課)で言います。これまでの形も合わせた5つをまとめると、聞いた話・情報から「らしい」、自分で見た・感じたことから「ようだ」、聞いた話をそのまま伝える「そうだ(伝聞)」、理由から確かだと思う「はずだ」、確かではない「かもしれない」です。

接続

普通形+はずです(な形容詞は「な」、名詞は「の」をつける。元気なはず・休みのはず)

形
V普通形はずです(着くはずです・送ったはずです)Vないはずです(来ないはずです・知らないはずです)Aいはずです/Aなはずです/Nのはずです(寒いはずです・上手なはずです・休みのはずです)〜から、〜はずです(理由を添える)

導入

  • 予定表から「きっとそうだ」を引き出す黒板に会社の予定表(「荷物 9時に送った」「会議 3時から」など)を貼り、教師が「荷物はきのう9時に送りました。いつも1日で着きます」と言う。学生に「荷物はいつ着きますか」と聞き、「きょう」という答えが出たら、教師が「きのう送りましたから、きょう着くはずです」と文にする。板書は「[理由]から、普通形+はずです」の枠にし、確かさの線のいちばん右(きっとそうだ)に「はずです」を置く。
  • 「ないはずです」と「つもりです」予定表の「日曜日 事務所 休み」を指さして、「日曜日に事務所へ行きます」と言う学生役に、教師が「日曜日は事務所は開いていないはずですよ」と言う。次に教師が自分の予定として「来週、京都へ行くつもりです」と言い、自分がすることには「はずです」ではなく「つもりです」を使うことを、第23課の板書と並べて確かめる。

板書案

〔理由〕から、普通形 + はずです
荷物はおととい送りましたから、きょう着くはずです。
〔赤〕N の はず/Aな な はず(名詞と同じつなぎ方)
〔青〕ない はずです:日曜日は銀行は開いていないはずです。
わたしのこと → つもりです/予定です(はずです は使わない)

場面と発話(自作)

  • 会社で、取引先から荷物がいつ届くか上司に聞かれた社員が、相手の会社から来た連絡をもとに答える。きのう送ったと電話がありましたから、きょうの夕方には着くはずです。
  • クラスの友達に、日本に長く住んでいた人の日本語について聞かれた留学生が答える。あの人は5年も日本に住んでいたので、日本語が上手なはずです。
  • 日曜日に学校の事務所へ書類を出しに行こうとする友達に、寮の先輩が声をかける。日曜日は事務所は開いていないはずですよ。月曜日に行ったほうがいいです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、予定表・時刻表・お知らせの紙のカードを見せ、理由の語(毎日開いている・3時に出た・もう連絡した)と結論の語(開いている・着く・知っている)を組み合わせて「〜から、〜はずです」と言わせ、慣れたら打ち消しの「〜ないはずです」も混ぜる。場面のやり取りでは、ペアの一人が困りごと(友達が来ない・荷物が届かない)を言い、相手が予定表を見ながら「〜から、〜はずです」と見通しを言い、言われた人が「じゃ、もう少し待ってみます」と受ける。

  1. 口頭予定表・時刻表・お知らせのカード(店は毎日9時に開く・バスは10分ごとに来る・会議は2時に終わる・田中さんは3年中国にいた)を見せ、教師が「今9時半です。店は?」のように聞く。学習者は「毎日9時に開きますから、開いているはずです」と理由から結論まで言う。全体→個人のあと、教師が理由だけ言って結論を言わせる、結論だけ言って理由を言わせる、の2通りで回す。慣れたら「〜ないはずです」(閉まっている時間・知らない人)を混ぜる。
  2. ペアインフォメーション・ギャップ。Aは困りごとのカード(友達がまだ来ない・荷物が届かない・先生が教室にいない)、Bはそれに合う予定表を持つ。Aが「〜。どうしましょう」と聞き、Bは表を見て「〜から、〜はずです」と見通しを言う。Aは「じゃ、もう少し待ってみます」「じゃ、あした聞いてみます」と受ける。3つ終えたらカードを交換する。
  3. 産出「名探偵カード」。教師が部屋の絵のカード(玄関に傘がない・机の上に飛行機の切符・冷蔵庫が空・テレビがついたまま)をグループに配り、部屋の人が今どこで何をしているかを「〜から、〜はずです」「〜ないはずです」で推理して発表させる。ほかのグループは「なぜですか」と1回聞く。教師が見るのは、理由が添えてあるか、名詞・な形容詞のつなぎ方、自分の予定に「はず」を使っていないか。

つまずきと手当て

  • 「*あの人は学生はずです」「*あそこは静かのはずです」と、名詞とな形容詞のつなぎ方を誤る。「はず」は名詞と同じつなぎ方(休みのはず・静かなはず)で、「らしい・かもしれない」の「何もつけない」とは違う、と2列に分けて板書する
  • 自分のこれからの予定を「わたしは来週国へ帰るはずです」と言う。文法の形としては作れるが、自分で決めたことを人ごとのように言うことになり、意味がずれる。自分の考えは「〜つもりです」、決まった予定は「〜予定です」(第23課)で言うと確かめる
  • 理由がないのに「たぶん」の意味で「はずです」を使い、相手に強く言い切ってしまう。「はずです」は理由があっての判断なので、理由が言えないときは「〜と思います」や「〜かもしれません」にする、と「なぜですか」と聞き返して理由を言わせる

既習の文型との違い

  • 〜つもりです/〜予定です(第23課)「つもりです」は自分の意志、「予定です」は決まっている予定を言う形で、「はずです」は理由から人や物事について判断する形です。学習者は自分の予定を「わたしは来週国へ帰るはずです」と言いがちですが、人ごとのように聞こえます。主語が「わたし」で自分が決めたことなら「つもり・予定」、と主語を見て選ばせます。
  • 〜でしょう/だろう(第17課)「でしょう」は感じや見通しからの推量でも使え、天気予報のように根拠を言わない文にも合います。「はずです」は予定・決まり・事実という理由から筋道を立てた判断で、「〜から」と理由を言える場面で使います。形も違い、名詞は「雨でしょう」と「雨のはずです」で、「*雨はずです」の付け間違いが出ます。
関連する文型

学習項目 4 〜はずがありません

意味・はたらき学習項目 4

理由から考えて、そんなことはありえないと強く打ち消す言い方です。人のうわさや思い込み、聞いた話に対して「そんなことはない」と返すときによく使い、確かさの線のいちばん左(ありえない)に置かれます。学習項目3の「〜ないはずです」は「理由から考えて、そうではないと思う」という落ち着いた判断で、「〜はずがありません」はそうである可能性そのものを強く否定する点が違います。「〜はずはありません」とも言い、友達との会話では「〜はずがない」になります。「来ないはずがありません」のように打ち消しの形につけると、「きっと来る」という強い肯定になります。

接続

普通形+はずがありません(な形容詞は「な」、名詞は「の」をつける。学習項目3の「はず」と同じつなぎ方)

形
V普通形はずがありません(できるはずがありません・言ったはずがありません)Aいはずがありません/Aなはずがありません(安いはずがありません・簡単なはずがありません)Nのはずがありません(本物のはずがありません)〜はずはありません/〜はずがない(友達との会話)

導入

  • うそのうわさを強く打ち消す「1万円の時計」と値札をつけた有名なブランドの時計の絵を見せ、教師が友達役になって「この時計、本物らしいですよ」と言う。もう一人の役になった教師が「こんなに安い時計が本物のはずがありません」と首を強く横に振る。板書は「[理由]から/のに → 普通形+はずがありません」の枠にし、確かさの線のいちばん左(ありえない)に貼る。
  • 「ないはずです」と強さを比べる「山田さんはきのうから国へ帰っています」という事実のカードを貼り、「山田さんはきょうのパーティーに来ますか」と聞く。教師が「来ないはずです」と落ち着いて言ったあと、学生役が「きょう、山田さんを見ましたよ」と言うと、「えっ、山田さんが来るはずがありません」と強く打ち消して見せる。2つの文を線の上の違う位置に置き、相手の話を打ち消すときは「はずがありません」になることを確かめる。

板書案

〔理由〕から、普通形 + はずがありません
日本へ来て1週間ですから、漢字が全部読めるはずがありません。
〔赤〕つなぎ方は はず と同じ:本物のはず・簡単なはず
線の左端:はずがありません(ありえない) 少し右:ないはずです(そうではないと思う)
〔青〕来ないはずがありません = きっと来る

場面と発話(自作)

  • 友達が、有名な店の時計がネットで1万円で売られていたと話す。値段を聞いた留学生が言う。そんなに安い時計が本物のはずがありませんよ。
  • 漢字の小テストの前の日に、全然練習しなかった留学生が、友達に「あしたのテスト、大丈夫?」と聞かれて答える。1回も練習しなかったので、満点が取れるはずがありません。
  • 会社で、同僚が「部長がきょう会議に来ていた」と言う。部長はきのうから出張でアメリカに行っている。部長は今アメリカにいますから、きょう会議に来たはずがありません。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、うわさのカード(あの店は1杯100円・新しい先生は日本語が話せない・弟が一人で全部食べた)と、それを打ち消す理由のカードを組み合わせて「〜から、〜はずがありません」と言わせる。場面のやり取りでは、ペアの一人がうわさを「〜らしいですよ」と言い、相手が理由を考えて、ありえないなら「〜はずがありません」、わからないなら「〜かもしれません」、聞いた話と違う理由があるなら「〜ないはずです」と、確かさの線から形を選んで返す。

  1. 口頭教師がうわさを「〜らしいですよ」と言い、同時に事実のカードを見せる。学習者は事実を理由にして「〜から、〜はずがありません」と全体→個人で打ち消す。キューの例は、「山田さんがきのう駅にいたらしい」+「山田さんは今アメリカにいる」、「あの店のステーキは1枚100円らしい」+「駅前のいちばん高い店」、「5歳の子どもが車を運転したらしい」。名詞・な形容詞のうわさ(本物・簡単)も入れ、つなぎ方を確かめる。
  2. ペア「うわさ返し」。Aがうわさのカードを読み上げて「〜らしいですよ」と言い、Bは自分だけが見られる事実のカードを見て、ありえないなら「〜はずがありません」、そうではないと思うなら「〜ないはずです」、わからないなら「〜かもしれません」で返す。返したあとにBは理由を1つ言う。5枚で交替。
  3. 産出「うそ・ほんとうゲーム」。学習者が自分について3つの文を言い、そのうち1つはうそにする(子どものとき、毎日5時に起きていました、など)。聞いた人たちは理由を添えて「〜から、〜はずがありません」「〜かもしれません」で判断し、最後に本人が答えを言う。教師が見るのは、つなぎ方、理由があるか、強さに合った形を選んでいるか。先生役の人に言う場面を1回入れ、目上には「〜ないはずですが…」とやわらげる言い方も試させる。

つまずきと手当て

  • 「*本物はずがありません」「*簡単のはずがありません」と、つなぎ方を誤る。学習項目3の「はず」と同じ(Nの・Aな)なので、同じ枠の表に戻って言い直させる
  • 「〜ないはずです」と「〜はずがありません」を同じ強さだと思い、相手の話を強く否定したい場面で「来ないはずです」と言う、または自分の落ち着いた見通しを言うだけの場面で「はずがありません」と言って、相手を強く否定してしまう。どちらも誤りではないが、強さが違う。確かさの線の位置に戻り、相手の話を打ち消すときに「はずがありません」と確かめる
  • 「来ないはずがありません」を「来ない」の意味だと取り違える。打ち消しが2つ重なると「きっと来る」になることを、線の右端(きっとそうだ)に置いて見せる
  • 目上の人の話に「それは本当のはずがありません」と言う。強い打ち消しなので失礼に聞こえることがある。目上の人には「そうですか。でも、〜ないはずですが…」と、学習項目3の落ち着いた形で言うほうが安全だと、場面を替えて言い比べる

既習の文型との違い

  • 〜はずです/〜ないはずです(第33課)「〜ないはずです」は理由から考えて「そうではないと思う」という落ち着いた判断で、「〜はずがありません」は可能性そのものを強く打ち消します。相手の話に強く反対したいのに「来ないはずです」、自分の見通しを言うだけなのに「はずがありません」と言うと、強さがずれます。形は同じ「はず」なので、線の上の位置と場面(相手の話に返すか、自分の見通しか)で分けます。
  • 〜でしょう/だろう(第17課)「〜ないでしょう」は「たぶんそうではない」という推量で、確かさはそれほど強くありません。「〜はずがありません」は理由があって、ありえないと言い切る形です。名詞では「本物ではないでしょう」と「本物のはずがありません」で形が大きく違い、2つを混ぜて「本物ではないはずがありません」と言うと、意味が逆(きっと本物だ)になってしまうことも見せます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の語彙は、うわさや知らせを話題にするための語(うわさ・お知らせ・連絡・本物・出張 など)と、確かさをやわらげたり強めたりする副詞(たぶん・きっと・もしかしたら)にまとめると練習が回ります。副詞は形とセットで、「もしかしたら〜かもしれません」「きっと〜はずです」「たぶん〜でしょう」と組み合わせたまま入れると、確かさの線の上での位置が覚えやすくなります。どの語がこの課の新出語かは、本の巻末のワードリストで確かめてから入れてください。

この課の練習で使う語(10語・意味・連語・例文)

  • うわさ(うわさ) 本当かどうかわからないまま、人から人へ伝わっていく話です。 〜を聞く・クラスの〜
    休み時間に、友達が先生についての話を聞いてきた。
    「先生が来月結婚するらしいですよ。クラスのうわさです。」
  • お知らせ(おしらせ) 学校や会社などが、みんなに知ってほしいことを書いた紙や話です。 〜を読む・寮の〜
    寮の掲示板の前で、友達に何が書いてあるか聞かれる。
    「お知らせによると、あしたは停電があるらしいです。」
  • 本物(ほんもの) まねして作ったものではない、本当のものです。 〜の時計・〜ではない・〜のはずがない
    とても安い値段のブランドのかばんを見た。
    「こんなに安いかばんが本物のはずがありません。」
  • 出張します(しゅっちょうします) 仕事のために、ほかの町や国へ行きます。 大阪へ〜・あしたから〜
    会社で、部長がいない理由を同僚に聞かれる。
    「部長はきのうから出張していますから、きょうは来ないはずです。」
  • 遅れます(おくれます) 決まった時間よりあとになります。 電車が〜・約束に〜・10分〜
    駅で電車が止まっている。待ち合わせの友達に電話する。
    「電車が止まっているので、少し遅れるかもしれません。」
  • 届きます(とどきます) 送った荷物や手紙が、相手のところに着きます。 荷物が〜・手紙が〜
    国の家族から、荷物を送ったと連絡があった。
    「おととい送ったそうですから、きょう届くはずです。」
  • 込みます(こみます) 人や車がたくさんいて、いっぱいになります。 道が〜・電車が〜・店が〜
    金曜日の夕方、車で出かける前に。
    「金曜日の夕方は道が込むかもしれませんから、早く出ましょう。」
  • 止まります(とまります) 動いていたものや、出ていた水・電気などが動かなくなります。 水が〜・電車が〜・電気が〜
    寮の友達に、掲示板に書いてあったことを伝える。
    「あしたの朝、水が止まるらしいですよ。」
  • きっと(きっと) 理由があって、強くそうだと思うときに言います。「はずです」とよく一緒に使います。 〜来るはずです・〜わかるはずです
    約束を忘れたことのない友達が、まだ来ない。
    「田中さんは約束を忘れませんから、きっと来るはずです。」
  • もしかしたら(もしかしたら) 確かではないが、そうなる場合もあると思うときに言います。「かもしれません」とよく一緒に使います。 〜雨かもしれません・〜来ないかもしれません
    財布が見つからない友達と一緒に探す。
    「もしかしたら、かばんの中にあるかもしれませんよ。」

宿題と次のコマ

宿題は、最近聞いた話を1つ選んで「〜らしいです」で書き、それについての自分の判断を「〜はずです」「〜かもしれません」「〜はずがありません」のどれかで、理由を添えて1文書くこと(あわせて2文)。次のコマの最初に、その2文を読み合い、聞いた人が「どうしてそう思いますか」と1つ質問してから第34課に入ります。第34課の「〜ことにします」は自分で決めること、この課の「はずです」は理由からの判断なので、「来週国へ帰ることにしました」「来週国へ帰るはずです」を並べて違いを確かめると、学習項目3のつまずきの復習にもなります。

よくある質問

  • 第33課の4つの形は、どの順で教えればいいですか?

    本の順(らしい→かもしれない→はず→はずがない)のまま進め、課の最初に黒板に「確かさの線」を引いておいて、1つ習うたびに線の上に貼っていき(「らしい」は確かさではなく根拠の種類なので、線の外の「聞いた話」の枠に)、全体の地図を作ります。つなぎ方は「らしい・かもしれない」(名詞・な形容詞に直接)と「はず・はずがない」(Nの・Aな)の2組に分かれるので、1コマ目に前の2つ、2コマ目に後ろの2つを置くと形の混乱が少なくなります。

  • 「〜らしいです」と「〜ようです」「〜そうです(伝聞)」はどう教え分けますか?

    同じ内容を3枚の絵で言い分けるのが早いです。自分で見た・感じたなら「ようです」、聞いたことをそのまま伝えるなら「そうです」、聞いた話や読んだものから自分でも判断して伝えるなら「らしいです」です。名詞のつなぎ方も3つとも違う(休みのようです・休みだそうです・休みらしいです)ので、絵と形を3列の表にして板書に残します。

  • 「〜ないはずです」と「〜はずがありません」の違いはどう説明しますか?

    どちらも理由からの打ち消しですが、「ないはずです」は「そうではないと思う」という落ち着いた判断、「はずがありません」は「ありえない」と可能性を強く打ち消す言い方です。確かさの線では「はずがありません」をいちばん左に、「ないはずです」をその少し右に置きます。練習では、相手のうわさに返す場面と、自分の見通しを言う場面を分けて言い比べさせます。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目で導入と「らしい」「かもしれない」、2コマ目で「はず」「はずがない」とまとめの活動をします。名詞・な形容詞のつなぎ方でつまずくクラスでは、2コマ目の最初に4つの形を並べた5分の小テストを入れると、まとめの活動で形が止まりません。

  • 「はずです」を自分の予定に使う学習者には、どう直しますか?

    「わたしは来週国へ帰るはずです」は形は作れますが、自分で決めたことを人ごとのように言うことになります。主語が「わたし」で自分が決めたことなら「つもりです」「予定です」(第23課)、人や物事について理由から判断するなら「はずです」、と主語を見て選ばせます。「なぜそう思いますか」と聞き返し、理由が言えるかどうかを確かめるのも有効です。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。