日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 初級Ⅱ 第29課「そのケーキ、おいしそうですね」の教案

『学ぼう!にほんご 初級Ⅱ』

見た目から受けた印象を言う「〜そうです」、目的を言う「〜ために、…」、程度が度を越していることを言う「〜すぎます」の3つを学ぶ課です。3つのうち2つは動詞の ます形の「ます」をとった形と、い形容詞の「い」をとった形につくので、課の最初に「食べ・おいし・元気」のような「とった形」を作る練習をしておくと、そうです と すぎます が同じ作り方で入ります。形の作り方がそろっているぶん、例外のいい→よさそう・よすぎる、ない→なさそう・なさすぎるは板書の赤で別に残します。「〜ために」だけは辞書形と「Nの」につき、第9課の「〜に行きます」の目的よりも広く、行く・来る以外の動詞にも目的をつけられるようになります。様態の「〜そうです」は第32課の伝聞の「〜そうです」と形がよく似ているので、この課では「見て思ったこと」に限って練習し、違いは第32課で並べて確かめます。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目3時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 食べ物・人・物の様子を見て、「おいしそうです」「元気そうです」のように見た目から受けた印象を言える
  • 動詞の「〜そうです」で、今にも起こりそうなこと(雨が降りそうです・落ちそうです)を言って、相手に注意できる
  • 「〜ために」で、何のためにその行動をするのかを、名詞と動詞の両方で言える
  • 「〜すぎます」で多すぎる・高すぎるなどの困った程度を言い、「〜すぎて、…」で理由と結果をつなげられる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)10分動詞カードで ます形 →「ます」をとった形(食べ・飲み・し)を、い形容詞・な形容詞のカードで「い」「な」をとった形(おいし・高・元気)を、すばやく言わせる。この形にいろいろな言葉がつく課だと予告し、いい→よ、ない→なさ だけは形が変わると板書の端に赤で書いておく
学習項目1 〜そうです 様態(形容詞)40分料理や人の写真・絵で、「食べていないけど、見て思う」状況を作る。い形容詞・な形容詞の作り方、いい→よさそう・ない→なさそう、名詞の前の「〜そうな」まで
学習項目1 〜そうです 様態(動詞)40分棚の端に置いた物・暗い空の絵で、「今にも〜そうです」を導入する。形容詞の「様子」と、動詞の「もうすぐ起こりそう」の違いを、絵を並べて確かめる。1コマ目はここまで
学習項目2 〜ために、…40分教師の行動とその目的を2枚のカードで見せ、「Nのために」「Vるために」の2列で板書する。第9課の「〜に行きます」と並べて、目的が言える動詞が広がったことを見せる
学習項目3 〜すぎます30分大きすぎる服・量の多い料理の絵で、「困る」程度を見せる。動詞・い形容詞・な形容詞の作り方をそうです と同じ表に足し、「〜すぎて、〜」で結果まで言わせる
まとめの活動20分買い物の場面のロールプレイ。店の品物の絵を見て「〜そうですね」と感想を言い、「〜すぎます」で買わない理由を言い、「〜のために買います」で買う物を決める

学習項目 1 〜そうです 様態

意味・はたらき学習項目 1

見た目や様子から「〜のように見える」と感じたことを言う形です。まだ食べていない料理を見て「おいしそうです」、友達の顔を見て「元気そうです」のように、話し手が直接見て受けた印象を言います。動詞につくと「今にも〜が起こりそうだ」という意味になり、「雨が降りそうです」「棚から落ちそうです」のように、もうすぐ起こりそうなことを言って注意するときにも使います。第24課の「〜ようです」が様子から考えて判断するのに対して、「〜そうです」は見た瞬間の印象に近い言い方です。また、第32課で学ぶ伝聞の「〜そうです」(聞いたことを伝える)とは形がよく似ていますが、前につく形が違います(様態は「おいしそうです」、伝聞は「おいしいそうです」)。

接続

Vます形の「ます」をとった形+そうです/い形容詞の「い」をとった形+そうです/な形容詞+そうです(いい→よさそう、ない→なさそう。名詞にはつかない。名詞の前では「〜そうな+N」)

形
Aいそうです(おいしそうです・高そうです)/いい→よさそうですAなそうです(元気そうです・ひまそうです)Vそうです(雨が降りそうです・落ちそうです)Aくなさそうです(おいしくなさそうです)/〜そうなN(おいしそうなパン)

導入

  • 食べる前の料理を見て言う赤いスープのラーメンの写真を見せ、教師が「このラーメン、からそうです」と言う。続けて「食べましたか」と自分に聞いて「いいえ、まだ食べていません。でも、見て、からいと思います」と言い、「見て思う」ことだと示す。板書は「から〜い → から そうです」の形で、「い」に×をつけて消して見せ、おいしそう・高そう・あまそう をカードで続ける。
  • 「今にも」を絵で見せる机の端からはみ出したコップを実際に置くか絵を貼り、「あ、落ちそうです」と言いながら手で押さえる。次に暗い雲の空の絵で「雨が降りそうです」、つぼみがふくらんだ花の絵で「花が咲きそうです」と言い、まだ起こっていないがもうすぐ起こる、と時間の線の上に「今」と「起こる」の印を書いて説明する。形容詞の「様子」と動詞の「もうすぐ」は、絵を左右に分けて貼っておく。

板書案

V(ます)/A(い)/A(な) + そうです
この カレーは からそうです。(まだ 食べていない)
あ、コップが 落ちそうです。(もうすぐ 落ちる)
〔赤〕いい → よさそう ない → なさそう
〜そうな + N(おいしそうなパン) 〜そうに + V(おいしそうに 食べます)
〔青〕×「い」「ます」を 消してから つける

場面と発話(自作)

  • 昼休み、同僚が持ってきた手作りの弁当を見て、声をかける。野菜がたくさん入っていて、体によさそうなお弁当ですね。
  • 朝、教室に入ってきた学生の顔が赤い。先生が心配して聞く。〜さん、ちょっと熱がありそうですね。大丈夫ですか。
  • 出かける前、窓の外を見た家族に、かさを持って行くように言う。空が暗いですね。雨が降りそうですから、かさを持って行ったほうがいいですよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、物や人の絵カード(ピザ・辛いカレー・重い荷物・高い時計・元気な子ども・ひまな店員)を見せて「〜そうです」と言わせ、慣れたら「〜そうな+N」で名詞の前に置く形、「いい」「ない」の絵(よさそうなかばん・つまらなさそうな顔 など)を混ぜる。動詞は「落ちる・切れる・倒れる・泣く」の絵で「〜そうです」と言わせる。場面のやり取りでは、ペアで写真を見せ合い、「〜そうですね」「ええ、〜ですよ」と、見た印象と本当のことをやり取りする。

  1. 口頭絵カードを見せて語でキューを出す(パン・おいしい/カレー・からい/荷物・重い/時計・高い/子ども・元気/店員・ひま)→ 全体で「〜そうです」→ 個人で。慣れたらキューを絵だけにし、「〜そうな+N」に言い換えさせる(おいしそうなパンですね)。いい・ない の絵(よさそうなかばん・つまらなさそうな顔)を途中に混ぜる。動詞は 空・雨が降る/コップ・落ちる/木・倒れる/ひも・切れる の絵で「今にも」の形を別に回す。
  2. ペアAは写真カード(料理・人・物)を5枚持ち、裏に「本当のこと」(とても甘い・実は軽い・本当は忙しい)が書いてある。AがBに表だけ見せ、Bが「〜そうですね」と感想を言い、Aは裏を見て「ええ、とても〜ですよ」か「いいえ、実は〜です」と答える。見た印象と本当のことが違う場合があるので、「見て思う」形だということが自然に分かる。5枚で役を交替。
  3. 産出「写真でひとこと」。学習者が自分のスマホの写真(作った料理・町の店・ペット・家族)を1枚見せ、ほかの人が「〜そうですね」「〜そうな〜ですね」で2文の感想を言い、持ち主が本当のことを1文で答える。教師が見るのは、い形容詞の「い」・動詞の「ます」を取っているか、いい→よさそう、名詞の前の「な」、目で見てすぐ分かる色や形に使っていないか。

つまずきと手当て

  • 「いい」に そうです をつけて「*いそうです」「*よそうです」と言う。いい→よさそう、ない→なさそう の2つだけは形が変わると赤で板書し、毎回確かめる。「いいそうです」と言った場合は誤りではないが、第32課の伝聞(聞いた話)の意味になるので、「見て思ったのか、聞いたのか」と聞き返して言い直させる
  • 見た目の印象のつもりで「この料理はおいしいそうです」と言う。文としては正しいが伝聞の意味になる。動詞でも「雨が降るそうです」は伝聞になる。様態は「い」を消してからつける・動詞は「ます」をとってからつける、と板書の×に戻る
  • 名詞の前で「*おいしそうのパン」と言う。「〜そう」はな形容詞と同じ形で、名詞の前は「〜そうな」、動詞の前は「〜そうに(おいしそうに食べます)」になると表で見せる
  • 見ればすぐ分かる色や形に使って「このりんごは赤そうです」と言う。文法の誤りではないが、目の前ではっきり見えているときは「赤いです」でよく、「〜そうです」は見ただけでは確かめられないこと(味・重さ・人の気持ちなど)に使う、と場面で言い比べる。名詞にはつかないので「*学生そうです」は誤り。名詞のときは第24課の「学生のようです」を使う

既習の文型との違い

  • 〜ようです(第24課)「〜ようです」は音・におい・人の様子など、いくつかの手がかりから考えて判断する言い方で、名詞にもつきます(留学生のようです)。「〜そうです」は見た瞬間の印象で、名詞にはつきません。学習者が「*学生そうです」と言ったら、名詞のときは「学生のようです」と第24課の形に戻します。
  • 〜でしょう/だろう(第17課)「あしたは雨が降るでしょう」は予報のように、目の前の様子がなくても言える推量です。「雨が降りそうです」は今見ている空の様子から、もうすぐ降ると感じたときの言い方です。窓の外を見ながら言う場面と、天気予報の場面を並べて言い比べさせます。
関連する文型

学習項目 2 〜ために、…

意味・はたらき学習項目 2

何のためにその行動をするのか、目的を言う形です。「Nのために」は「家族のために働きます」のように、目的や、だれ・何のためになるかを言います。「Vるために」は「大学に入るために、勉強しています」のように、目的を辞書形で言います。第9課の「買い物に行きます」の「に」は行く・来る・帰るのような移動の動詞にしか使えませんでしたが、「〜ために」は後ろにどんな動詞でも来られます。前と後ろの主語は同じ人で、前には自分の意志でする動詞(入る・買う・行く など)が来ます。「Vた/Nの+ために」が原因(雨のために、試合が中止になりました)を表す使い方もありますが、この課では目的に絞って練習します。

接続

Nの+ために、…/V辞書形+ために、…(前と後ろは同じ人。前は意志でする動詞)

形
Nのために、…(家族のために・試験のために)V辞書形+ために、…(家を買うために・大学に入るために)何のために〜ますか〜ためのN(会議のための資料)

導入

  • 行動と目的を2枚のカードで教師が「毎朝、走っています」と言って走る絵を貼り、その横に「マラソン大会」のポスターの絵を貼って「マラソン大会のために、走っています」とつなぐ。次に貯金箱の絵と車の絵で「車を買うために、お金をためています」とし、板書は「[目的]ために、[行動]」の枠で、目的の列を「Nの」「V辞書形」の2段に分ける。
  • 第9課の「〜に行きます」と並べる「デパートへ服を買いに行きます」を板書してから、「服を買うために、アルバイトをしています」と書き、後ろの動詞が「行きます」だけではなくなったことを見せる。学生に「何のために日本語を勉強していますか」と聞き、「日本の会社に勤めるために」「アニメを見るために」などの答えを集めて黒板に並べる。

板書案

[目的] ために、[すること]
N の + ために  試験の ために、毎晩 勉強します。
V辞書形 + ために 車を 買う ために、お金を ためています。
〔青〕前と後ろは 同じ人 〔青〕前は 自分で決めてする動詞
(第9課)服を 買いに 行きます → 後ろは 行く・来る・帰る など移動の動詞だけ

場面と発話(自作)

  • 面接の練習で、留学生が日本に来た目的を聞かれて答える。日本の大学院に入るために、日本へ来ました。
  • 会社で、毎日早く来ている新しい社員に、先輩が理由を聞く。どうして毎朝早く来ていますか。——来月の会議のために、資料を作っています。
  • 友達に、休みの日もアルバイトをしている理由を話す。国の家族のために、お金を送っています。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、目的のカード(試験・新しいパソコンを買う・旅行に行く・家族)と行動のカード(毎晩勉強する・アルバイトをする・お金をためる・働く)を組み合わせて「〜ために、〜ます」と一文で言わせ、名詞のときに「の」を入れるかを判断させる。場面のやり取りでは、「何のために〜ていますか」とペアで聞き合い、聞いた答えをクラスに「〜さんは〜ために、〜ています」と紹介させる。

  1. 口頭目的カードと行動カードを2枚組で見せる(試験・毎晩勉強します/新しいパソコンを買う・アルバイトをします/将来・貯金します/国の家族・働きます/旅行に行く・お金をためます)→ 全体で「〜ために、〜ます」→ 個人で。名詞と動詞を混ぜて出し、「の」を入れるかを毎回判断させる。最後に教師が一人ずつ「何のために日本語を勉強していますか」と聞き、短く答えさせる。
  2. ペアAは行動カード(毎朝6時に起きる・料理教室に通う・毎日新聞を読む)を引き、「わたしは毎朝6時に起きています」と言う。Bが「何のために起きていますか」と聞き、Aは目的を自分で考えて「〜ために、起きています」と答える。Bはメモを取り、あとでクラスに「Aさんは〜ために、〜ています」と紹介する。3枚で交替。
  3. 産出「わたしの目標スピーチ」。学習者が今がんばっていることとその目的を3文で話す(わたしは〜ために、〜ています。〜から、〜。来年は〜たいです)。聞き手は1つ質問する。教師が見るのは、名詞のあとの「の」、目的が辞書形になっているか、前に可能形のような自分で決められない形を置いていないか、前と後ろが同じ人か。

つまずきと手当て

  • 名詞のあとに「の」を落として「*試験ために、勉強します」と言う。名詞のときは「の」、動詞のときは辞書形に直接つく、と板書の2段に戻る
  • 目的のつもりで「大学に入ったために、勉強しました」とた形を使う。この文は文法の誤りではないが、「た形+ために」は原因の意味になり、「大学に入ったので(その結果)勉強した」と聞こえる。目的は「これからすること」なので辞書形(大学に入るために)、と時間の線で確かめる
  • 前に可能形(第22課)や自分の意志で決められない動詞を置いて「*日本語が話せるために、毎日練習します」と言う(目的の意味では誤り。「話せるので」という原因の意味に取れば文は成り立つ)。目的の「〜ために」の前は自分の意志でする動詞なので、「日本語を話すために」に直すか、「話せるようになるために」と言い直させる。可能形をそのまま使いたいときは「〜ように」を使う言い方があることは、教師が知っておく程度でよい
  • 前と後ろで人が違う文を作る(「子どもが野菜を食べるために、母は〜」)。文法として強く直す前に、「〜ために」は同じ人の目的に使うのが基本だと確かめ、この課では主語を1人にそろえた文で練習する

既習の文型との違い

  • 〜に行きます/来ます/帰ります(第9課)「服を買いに行きます」は後ろが行く・来る・帰るのような移動の動詞のときだけ使え、前はます形の「ます」を取った形です。「〜ために」は後ろにどんな動詞でも来られ、前は辞書形です。学習者は「*服を買いにアルバイトをしています」のように、第9課の形を移動以外の動詞に広げてしまうので、後ろの動詞を見て選ぶよう板書で並べます。
  • 〜ようにします(第24課)「毎日野菜を食べるようにします」は、そうなるように気をつけて続ける努力を言い、前に「ない形」も来ます(遅れないようにします)。「〜ために」は一つの行動の目的をはっきり言う形です。目的の中身が「できるようになること」のときは「話せるようになるために」と、第24課の「〜ようになります」と組み合わせます。
関連する文型

学習項目 3 〜すぎます

意味・はたらき学習項目 3

程度がふつうより大きくて、ちょうどよいところを越えていることを言う形です。「この服は大きすぎます」「ゆうべ食べすぎました」のように、多くの場合「だから困る・よくない」という気持ちがあります。そのため、困った結果を「〜すぎて、…」でつなげると自然になります(重すぎて、一人では運べません など)。「すぎます」はグループⅡの動詞と同じように「すぎて・すぎました・すぎない」と活用します。ほめるつもりで「とても」の代わりに使うと、意味が強く・困ったように聞こえることがあります。

接続

Vます形の「ます」をとった形+すぎます/い形容詞の「い」をとった形+すぎます/な形容詞+すぎます(いい→よすぎます、ない→なさすぎます。「すぎます」はグループⅡの動詞と同じ活用)

形
Vすぎます(食べすぎます・飲みすぎました)Aいすぎます(高すぎます・多すぎます)/いい→よすぎますAなすぎます(静かすぎます・まじめすぎます)〜すぎて、…(高すぎて、買えません)

導入

  • ちょうどいい・すぎる、を物で見せる大きいサイズのTシャツを実際に教師が体に当て、「大きいです。……大きすぎます。着られません」と言う。次にコップに水をいっぱいまで注ぐ絵(あふれている)を見せて「多すぎます」と言い、「ちょうどいい」の線を引いて、その線を越えたところに「すぎます」と板書する。作り方は様態の「〜そうです」と同じ表に「すぎます」の列を足し、いい→よすぎます を赤で書く。
  • 動詞の「〜すぎました」と結果お腹を押さえた人の絵の横に、料理がたくさん並んだテーブルの絵を貼り、「ゆうべ、食べすぎました。おなかが痛いです」と教師が困った顔で言う。続けて頭を押さえた人の絵で「飲みすぎました」、目をこする人の絵で「ゲームをしすぎました」とし、「〜すぎて、〜」の枠で原因と困った結果を一文につなげて板書する。

板書案

V(ます)/A(い)/A(な) + すぎます
このかばんは 重すぎます。
ゆうべ 食べすぎました。おなかが 痛いです。
〔赤〕いい → よすぎます ない → なさすぎます
〜すぎて、(困ったこと) 高すぎて、買えません。
〔線〕ちょうどいい ―― この線を 越える → すぎます

場面と発話(自作)

  • 店で靴をはいてみた客が、店員に別のサイズを頼む。すみません、これは小さすぎます。もう少し大きい靴はありますか。
  • 朝、教室で眠そうにしている学生に、友達が聞く。眠そうですね。——ゆうべ、ゲームをしすぎました。
  • 部屋を探している留学生が、不動産屋で紹介された部屋を断る。この部屋は駅から遠すぎて、毎日大変です。ほかの部屋を見てもいいですか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、物と状態のカード(スープ+からい・かばん+重い・部屋+静か・ゆうべ+飲む)を見せて「〜すぎます」と言わせ、次に結果のカード(食べられません・持てません・さびしいです・頭が痛いです)を足して「〜すぎて、〜」の一文にする。場面のやり取りでは、買い物や部屋探しの絵を見ながら、客役が「〜すぎます」と理由を言って断り、店員役が「では、こちらはどうですか」と別の物をすすめる。

  1. 口頭物と状態のキュー(スープ・からい/部屋・せまい/靴・小さい/宿題・多い/町・静か/ゆうべ・飲む/ゆうべ・ゲームをする)→ 全体で「〜すぎます」「〜すぎました」→ 個人で。次に結果カード(食べられません・持てません・眠れません・頭が痛いです)を足し、「〜すぎて、〜」の一文にする。い形容詞・な形容詞・動詞の順に1巡ずつ回し、いい→よすぎます を最後に入れる。
  2. ペア「店員と客」。Bが店員で、値段とサイズが書いてある品物カードを3枚持つ。Bが「これはいかがですか」とすすめ、Aが客として「〜すぎます。もう少し〜のはありますか」と断る。Bは次のカードを出し、Aが3枚目で「これはちょうどいいです。これにします」(第12課)と決める。役を交替し、品物(服・部屋・自転車)を変えて2回。
  3. 産出「困ったこと相談」。学習者が自分の生活で困っていること(部屋・アルバイト・宿題・通学)を「〜すぎて、〜」で2つ言い、ほかの人が「〜ほうがいいですよ」(第18課)で助言する。教師が見るのは、「い」「ます」を取っているか、過去のことを「すぎました」で言えているか、ほめたいところに「すぎます」を使っていないか。

つまずきと手当て

  • い形容詞の「い」を残して「*高いすぎます」、動詞を辞書形のまま「*食べるすぎました」と言う。様態の「〜そうです」と同じ「とった形」につく、と同じ表に戻る
  • 「いい」で「*いすぎます」と言う。いい→よすぎます を赤で確かめる。「言いすぎました」は動詞「言う」の形で、別のことばであることも一言添える
  • ほめるつもりで「日本の町はきれいすぎます」と言う。文法の誤りではないが、「困るほど」の意味が強く出るので、ほめるときは「とてもきれいです」がふつう、と言い比べる。若い人の会話では「おいしすぎる」のようにほめる使い方も聞くが、初級ではまず困った程度で練習する
  • 過去のことを「*ゆうべ、食べすぎます」と言う。「すぎます」も動詞なので「すぎました」と時制が変わることを、グループⅡの動詞の表で確かめる

既習の文型との違い

  • 形容表現(1)(第6課)「とても安いです」は程度が高いことを言うだけで、うれしいか困るかは言いません。「安すぎます」はちょうどいいところを越えていて、品質が心配だ、のように困る気持ちが出ます。学習者はほめるつもりで「きれいすぎます」と言いがちなので、ほめるときは「とても」、困るときは「すぎます」と場面で分けます。
  • 〜て、…ました(第19課)「高くて、買えませんでした」も「高すぎて、買えませんでした」も言えますが、「すぎて」のほうが、ふつうの程度を越えたことが理由だとはっきり言います。「すぎて」は「すぎる」のて形なので、作り方は第11課のて形の表(グループⅡ)に戻って確かめます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の語彙は、様子を言うための形容詞(あまい・からい・重い・軽い・眠い・ひま・まじめ など)と、目的を言うための生活の語(試験・健康・貯金・家族 など)の二つにまとめると練習が回ります。形容詞は単語だけで覚えさせず、「おいしそう」「重すぎる」のように、この課の形を作ってから文に入れます。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 重い(おもい) 持ったときに、力がたくさんいる様子です。 荷物が〜・〜かばん
    友達が大きな箱を一人で運んでいる。
    重そうですね。いっしょに持ちましょう。
  • からい(からい) とうがらしなどで、口の中が熱く感じる味です。 〜料理・カレーが〜
    レストランでメニューの写真を見る。
    このカレーはからそうですね。
  • 甘い(あまい) 砂糖のような味です。 〜お菓子・〜物が好きです
    友達にもらったケーキを半分残した。
    甘すぎて、全部は食べられませんでした。
  • 眠い(ねむい) 寝たい気持ちがする様子です。 〜顔・朝は〜
    授業中、学生があくびをしている。
    眠そうですね。ゆうべ遅くまで起きていましたか。
  • ひま(ひま) 仕事や用事がなくて、時間がある様子です。 〜な日・〜な時間
    客のいない店で、店員が外を見ている。
    今日はあの店、ひまそうですね。
  • 倒れます(たおれます) 立っている物や人が、横になって下につきます。 木が〜・自転車が〜
    風の強い日、道に自転車が並んでいる。
    風が強いですね。自転車が倒れそうです。
  • 切れます(きれます) ひもや糸が二つに分かれます。電池などがなくなるときにも使います。 ひもが〜・電池が〜
    外で地図を見ている。スマホの画面が暗くなってきた。
    あ、スマホの電池が切れそうです。
  • 将来(しょうらい) これから先の時間のことです。 〜の夢・〜のために
    同僚にどうしてお金をためているか聞かれる。
    将来のために、今は貯金しています。
  • 貯金します(ちょきんします) お金を使わないで、銀行などにためておきます。 毎月〜・〜がある
    留学生が国に帰る前の計画を話す。
    国へ帰るために、毎月少し貯金しています。
  • 準備します(じゅんびします) 何かをする前に、必要な物や事をそろえておきます。 発表の〜・旅行の〜をする
    同僚が朝から眠そうにしている。
    会議のために、ゆうべ遅くまで準備しました。
  • 多い(おおい) 数や量がたくさんある様子です。 宿題が〜・人が〜
    週末の予定を友達に聞かれる。
    宿題が多すぎて、週末も遊べません。
  • 値段(ねだん) 物を買うときに払うお金の数です。 〜が高い・〜を見る
    店で時計を手に取り、値札を見る。
    この時計は値段が高すぎます。

宿題と次のコマ

宿題は、自分のまわりの物や人を3つ選んで「〜そうです」で様子を1文ずつ書き、そのうち1つに「〜すぎて、〜」の文を、さらに「わたしは〜ために、〜ています」の文を1つ書くこと。次のコマの最初に、写真や絵を見せながら宿題の文を発表し合い、聞いた人が「何のために〜ていますか」と1つ質問してから、第30課の受身に入ります。様態の「〜そうです」は第32課の伝聞の「〜そうです」と並べて復習するので、この課で作った文は残しておくよう伝えておきます。

よくある質問

  • 「〜そうです(様態)」と第24課の「〜ようです」の違いは何ですか?

    「〜そうです」は見た瞬間の印象で、まだ確かめていない味・重さ・人の気持ちなどを言います。「〜ようです」は音やにおい、人の話し方など、いくつかの手がかりから考えた判断です。形では、名詞につくのは「〜ようです」だけ(学生のようです)なので、「*学生そうです」はここで直します。授業では、同じ絵を見て「すぐ思ったこと」と「考えて分かったこと」を言い分けさせると違いが見えます。

  • 様態の「〜そうです」と伝聞の「〜そうです」は、この課でどこまで扱いますか?

    この課では、見て思ったことの「〜そうです」だけを練習します。学習者が「おいしいそうです」と言ったら、文として誤りではないが「聞いた話」の意味になると一言伝え、「見て思ったの?」と聞き返して言い直させる程度にします。二つを並べて形の違い(おいしそう/おいしいそう)を確かめるのは第32課です。この課で作った文を残しておくと、第32課の導入にそのまま使えます。

  • 「〜ために」と「〜ように」の違いを聞かれたら、どう答えればいいですか?

    初級では、「〜ために」の前には自分で決めてする動詞の辞書形が来る、と答えれば足ります(車を買うために)。「話せる」「分かる」のような可能形や、自分で決められない動詞を前に置きたいときは、「話せるようになるために」と第24課の「〜ようになります」を組み合わせて言えば通じます。目的の「〜ように」(話せるように練習します)は教師が知識として持っておき、この課では表に出さなくてよいでしょう。

  • 第29課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は「とった形」の確認と、様態の「〜そうです」(形容詞と動詞)まで。2コマ目は「〜ために」「〜すぎます」と、買い物の場面のまとめの活動です。様態の「〜そうです」で、いい→よさそう・名詞の前の「な」が定着しない場合は、2コマ目の最初の10分で復習してから進みます。

  • 「〜すぎます」をほめ言葉として使う学生には、どう言えばいいですか?

    「おいしすぎる」「かわいすぎる」は若い人の会話でほめる意味でも聞くので、頭ごなしに誤りとは言いません。ただ、目上の人やあらたまった場面では「困るほど」の意味に取られることがあると伝え、ほめるときは「とてもおいしいです」をまず使わせます。店で値段を見て「安すぎます」と言うと品物を疑っているように聞こえる例を出すと、「すぎます」の困る気持ちが分かりやすくなります。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。