第15課で「辞書形+ことができます」を習ったあとを受けて、この課で可能形が初めて出ます。可能形は「話すことができます」を一語にした形(話せます)で、学習項目1ではこの形を使って、人が持っている力(泳げます)と、その場所や条件でできること(この店ではカードが使えます)の両方を言います。学習項目2の「見えます・聞こえます」は可能形ではなく、見よう・聞こうとしなくても自然に目や耳に入ることを表す別の動詞で、可能形の「見られます・聞けます」との使い分けがこの課の山場です。できた可能形はどれもグループⅡの動詞として形が変わるので、課の最初に作り方とない形・た形への言い換えを十分練習しておくと、文型の練習で止まらずに進めます。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(前の課とのつなぎ) | 10分 | 第15課の「〜ことができます」を、学生の得意なこと(料理・スポーツ・楽器)で2〜3問聞く。そのあと教師が「ピアノを弾くことができます」と「ピアノが弾けます」を並べて言い、同じ意味の短い形があることを予告する |
| 可能形の作り方 | 35分 | グループⅠ(う段→え段+る。ます形なら い段→え段+ます)→グループⅡ(る→られる)→グループⅢ(できる・来られる)の順に、動詞カードで速く言い換える。できた形をグループⅡの列に貼り、ない形・て形・た形まで言わせる |
| 学習項目1 可能表現(1)人の力 | 35分 | 教師と学生の「できること・できないこと」の○×表で導入。「Nを Vことができます」と「Nが 可能形」を上下に並べ、「を」が「が」になるところに色を付ける |
| 学習項目1 可能表現(1)場所と条件 | 30分 | 図書館・コンビニ・寮の絵に「できること」の札を付け、場所や時間の条件でできることにも同じ形を使うと見せる。誘いを断る言い方(土曜日は行けません)まで広げる |
| 学習項目2 可能表現(2) | 40分 | 窓の外の景色と小さく流す音で「見えます・聞こえます」を導入。黒板を二列に分けて「見られます・聞けます」と比べ、場面のカードでどちらかを選ばせる |
| まとめの活動 | 30分 | 「わたしの町・わたしの部屋の紹介」を4〜5文で書いて発表する。町でできること(〜が食べられます・〜が買えます)と、見えるもの・聞こえるもの(〜が見えます・〜が聞こえます)を必ず1つずつ入れ、聞く人は「〜は〜ますか」と一つ質問する |
「〜することができる」という意味を一語で表す「可能形」を作ります。第15課の辞書形から作るのが基本ですが、ます形からも作れます。グループⅠは最後の「う段」の音を「え段」に変えて「る」を付けます(書く→書ける。ます形なら 書きます→書けます)。グループⅡは「る」を取って「られる」を付け(食べる→食べられる)、グループⅢは「する→できる」「来る→来られる(こられる)」です。できた可能形はどれも「る」で終わるグループⅡの動詞になるので、ない形は「書けない」、て形は「書けて」、た形は「書けた」と、グループⅡと同じように変わります。
辞書形から作る。Ⅰ: う段→え段+る(ます形なら い段+ます→え段+ます)/Ⅱ: 〜る→〜られる/Ⅲ: する→できる、来る→来られる(こられる)
代入練習では、動詞カード(辞書形)をグループを混ぜて1枚ずつ見せ、可能形をすぐ言わせる。次に同じカードで「〜ます」「〜ません」まで続けて言わせ、慣れたら教師が可能形を言って学生がもとの辞書形に戻す逆方向も入れる。最後はペアでカードをめくり合い、「書ける・書けない・書けた」のように三つの形を続けて言う。
可能形を使って、その人がある力を持っていること(泳げます・漢字が読めます)と、その場所・時間・条件でできること(この店ではカードが使えます・土曜日は行けません)を言います。意味は第15課の「〜ことができます」とほとんど同じですが、可能形のほうが短く、話すときによく使います。「〜を」の目的語は、可能形の文では「が」で言うのが基本です(ギターが弾けます)。「を」を使った文(ギターを弾けます)も耳にしますが、この課では「が」で統一して練習します。「に・へ・で」など、ほかの助詞はそのまま変わりません(あしたも学校へ来られます)。
Nが+可能形(漢字が読めます・刺身が食べられます)。否定は可能形のない形(読めません)、名詞の前では普通形(ギターが弾ける人)
代入練習では、絵カード(泳ぐ・自転車に乗る・漢字を読む・刺身を食べる・ギターを弾く)に学生が自分で○×を付け、「〜が〜ます/〜ません」を言わせる。本当のことを言う形にすると声が大きくなる。慣れたら「〜が〜人はだれですか」と教師が聞き、「〜が話せる人」のように名詞の前の形でも答えさせる。場面のやり取りでは、「この町の〜で何ができますか」を聞き合うペア練習と、「〜ませんか」の誘いを可能形で断るロールプレイ(すみません、〜は行けません。〜から)をさせる。
「見えます」「聞こえます」は、見よう・聞こうとしなくても、物や音が自然に目や耳に入ってくることを表す動詞です。見えるもの・聞こえるものは「が」で言います(窓から海が見えます・隣の部屋の声が聞こえます)。これに対して「見られます」「聞けます」は「見る・聞く」の可能形で、見たい・聞きたいと思ったときに、機会や道具・条件があってできることを言います(インターネットで日本のドラマが見られます)。目や耳の力のことも「見えます・聞こえます」で言います(眼鏡をかけないと、黒板の字がよく見えません)。
Nが+見えます/聞こえます(「見る」「聞く」の可能形ではない別の動詞。どちらもグループⅡで、見えない・聞こえない、見えて・聞こえて と変わる)
代入練習では、窓から見える景色の絵カード(山・海・公園・駅・タワー)と音のカード(鳥の声・電車・雨・子どもの声)を見せて「〜が見えます/聞こえます」を言わせ、次に「見えます/見られます」「聞こえます/聞けます」のどちらかを選ぶ文を混ぜる。場面のやり取りでは、ペアで「〜さんの部屋から何が見えますか」「夜、何か聞こえますか」と聞き合い、電話で相手の声が聞こえないときのやり取り(よく聞こえません・もう一度お願いします)もロールプレイさせる。
この課の練習には、可能形を作るための動詞(泳ぐ・弾く・乗る・借りる など)と、「見えます・聞こえます」の場面で使う景色や音の言葉(山・海・声・音 など)を使います。動詞は辞書形のカードで入れ、裏に可能形を書いておくと、作り方の練習と語彙の確認が一度にできます。景色と音の言葉は、絵カードや実際の音といっしょに「〜が見えます」「〜が聞こえます」の枠に入れた形で練習します。
宿題は、①動詞20個(グループを混ぜる)の可能形を辞書形とます形の両方で書くこと、②自分のできること・できないことを可能形で3文ずつ書くこと(できない理由を「〜から」で一つ付ける)、③自分の部屋や家の窓から何が見えるか、夜何が聞こえるかを2文で書くこと。次のコマの最初に、宿題の「できること・できないこと」をクラスで読み合い、教師が「夏休みに何をしますか」と聞いて予定の話にしてから、第23課の「意向表現」と「〜つもりです/〜予定です」に入ります。
第22課の可能形はどの順で教えればいいですか?
まずグループⅠを、五十音図の う段→え段 の動きで見せます(書く→書ける)。次にグループⅡの「〜られる」、最後にグループⅢの「できる・来られる」を丸ごと覚えさせます。できた可能形はグループⅡの動詞として「書けない・書けて・書けた」と変わることまで練習してから文型に入ると、学習項目1・2の練習で止まりません。
「見えます」と「見られます」の違いはどう説明すればいいですか?
「見えます」は見ようとしなくても自然に目に入ること、「見られます」は見たいと思ったときに機会や道具があって見ることができること、と説明します。黒板を二列に分け、「窓から山が見えます」と「この映画館で古い映画が見られます」を並べると、右の文には「どこで・何で」が付くことが多いと気づかせられます。「聞こえます/聞けます」も同じ二列で整理します。
「食べれる」「見れる」と言う学習者は直すべきですか?
話し言葉ではよく聞く形なので、強く否定する必要はありません。ただし、この課では「食べられる・見られる・来られる」で練習し、書くときや試験ではこちらを使うと伝えます。グループⅠの「*書けれる」のような形は文法の誤りなので、こちらははっきり直します。
「ギターを弾けます」と「ギターが弾けます」はどちらで教えますか?
可能形の文では目的語を「が」で言うのが基本なので、この課では「ギターが弾けます」のように「が」で統一して練習します。「を」を使った文も実際には耳にするので、学習者が言っても誤りとはしません。まず「が」で形を固めておくと、「見えます・聞こえます」の「が」とも同じ枠で整理できます。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は導入・可能形の作り方・学習項目1の「人の力」まで、2コマ目は学習項目1の「場所と条件」・学習項目2・まとめの活動です。可能形の作り方が定着しないクラスでは、2コマ目の最初に10分ほど動詞カードで形の確認を入れてから進みます。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。