日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 初級Ⅱ 第22課「船が見えますか」の教案

『学ぼう!にほんご 初級Ⅱ』

第15課で「辞書形+ことができます」を習ったあとを受けて、この課で可能形が初めて出ます。可能形は「話すことができます」を一語にした形(話せます)で、学習項目1ではこの形を使って、人が持っている力(泳げます)と、その場所や条件でできること(この店ではカードが使えます)の両方を言います。学習項目2の「見えます・聞こえます」は可能形ではなく、見よう・聞こうとしなくても自然に目や耳に入ることを表す別の動詞で、可能形の「見られます・聞けます」との使い分けがこの課の山場です。できた可能形はどれもグループⅡの動詞として形が変わるので、課の最初に作り方とない形・た形への言い換えを十分練習しておくと、文型の練習で止まらずに進めます。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目3時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 動詞の辞書形・ます形から可能形を作り、ない形・た形にも言い換えられる
  • 「Nが+可能形」で自分ができること・できないことを言い、相手に「〜が…ますか」と聞ける
  • 場所・時間・条件によってできること・できないことを伝えられる(この店ではカードが使えます/土曜日は行けません)
  • 「見えます・聞こえます」と「見られます・聞けます」を場面に合わせて使い分けられる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)10分第15課の「〜ことができます」を、学生の得意なこと(料理・スポーツ・楽器)で2〜3問聞く。そのあと教師が「ピアノを弾くことができます」と「ピアノが弾けます」を並べて言い、同じ意味の短い形があることを予告する
可能形の作り方35分グループⅠ(う段→え段+る。ます形なら い段→え段+ます)→グループⅡ(る→られる)→グループⅢ(できる・来られる)の順に、動詞カードで速く言い換える。できた形をグループⅡの列に貼り、ない形・て形・た形まで言わせる
学習項目1 可能表現(1)人の力35分教師と学生の「できること・できないこと」の○×表で導入。「Nを Vことができます」と「Nが 可能形」を上下に並べ、「を」が「が」になるところに色を付ける
学習項目1 可能表現(1)場所と条件30分図書館・コンビニ・寮の絵に「できること」の札を付け、場所や時間の条件でできることにも同じ形を使うと見せる。誘いを断る言い方(土曜日は行けません)まで広げる
学習項目2 可能表現(2)40分窓の外の景色と小さく流す音で「見えます・聞こえます」を導入。黒板を二列に分けて「見られます・聞けます」と比べ、場面のカードでどちらかを選ばせる
まとめの活動30分「わたしの町・わたしの部屋の紹介」を4〜5文で書いて発表する。町でできること(〜が食べられます・〜が買えます)と、見えるもの・聞こえるもの(〜が見えます・〜が聞こえます)を必ず1つずつ入れ、聞く人は「〜は〜ますか」と一つ質問する

学習項目 1 可能形の作り方

意味・はたらき活用

「〜することができる」という意味を一語で表す「可能形」を作ります。第15課の辞書形から作るのが基本ですが、ます形からも作れます。グループⅠは最後の「う段」の音を「え段」に変えて「る」を付けます(書く→書ける。ます形なら 書きます→書けます)。グループⅡは「る」を取って「られる」を付け(食べる→食べられる)、グループⅢは「する→できる」「来る→来られる(こられる)」です。できた可能形はどれも「る」で終わるグループⅡの動詞になるので、ない形は「書けない」、て形は「書けて」、た形は「書けた」と、グループⅡと同じように変わります。

接続

辞書形から作る。Ⅰ: う段→え段+る(ます形なら い段+ます→え段+ます)/Ⅱ: 〜る→〜られる/Ⅲ: する→できる、来る→来られる(こられる)

形
Ⅰ 書く→書ける/話す→話せる/待つ→待てる/帰る→帰れるⅠ 買う→買える/泳ぐ→泳げる/飲む→飲める(ます形: 飲みます→飲めます)Ⅱ 食べる→食べられる/見る→見られる/起きる→起きられるⅢ する→できる/来る→来られる(こられる)

導入

  • 五十音図の段を下へたどる黒板に五十音図の「い段・う段・え段」の3行を書き、「書く」の「く」を指してから一つ下の「け」へ指を動かし、「け・る、書ける」と言う。「話す→話せる」「待つ→待てる」「買う→買える」と続け、第12課のない形では「い段→あ段」と上へ動いたので、今度は下の「え段」へ動く、と向きを対にして見せる。ます形で考える学生には「書きます→書けます」と、「き」から「け」へ動かすだけでよいことも見せる。
  • できた形をグループⅡとして動かすて形・ない形のときに使った動詞カードを使い、「書ける」のカードを新しく作ってグループⅡの列に貼る。「書けます・書けない・書けて・書けた」と全員で言い換えて、可能形はグループⅡの動詞になることを体で覚えさせる。グループⅡの「食べる→食べられる」は「られ」を足すだけ、グループⅢの「できる・来られる」は形が大きく変わるので丸ごと覚える、と色を分けて板書する。

板書案

〔五十音図の い段・う段・え段 の3行〕 く→け す→せ つ→て(う段から え段 へ下向きの矢印)
Ⅰ 書く → 書ける/話す → 話せる 〔赤〕え段+る
Ⅱ 食べる → 食べられる/見る → 見られる 〔青〕+られる
Ⅲ する → できる/来る → 来られる(こられる) 〔緑〕丸ごと覚える
書ける → 書けます・書けない・書けて・書けた(グループⅡの列へ貼る)

場面と発話(自作)

  • 教師がカードの「話す」を見せ、学生が可能形とます形で答える(形の練習)。話す——話せる。話せます。
  • 学生が「来る」の可能形を「きられる」と言ったので、教師がない形のカードと並べてもう一度見せる。来る——こない——来られる(こられる)。
  • 教師が「する」と「勉強する」のカードを続けて出して、グループⅢの形を確かめる。する——できる。勉強する——勉強できる。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

代入練習では、動詞カード(辞書形)をグループを混ぜて1枚ずつ見せ、可能形をすぐ言わせる。次に同じカードで「〜ます」「〜ません」まで続けて言わせ、慣れたら教師が可能形を言って学生がもとの辞書形に戻す逆方向も入れる。最後はペアでカードをめくり合い、「書ける・書けない・書けた」のように三つの形を続けて言う。

  1. 口頭教師が動詞カード(辞書形)を1枚ずつ見せ、全体で可能形を言わせてから個人を指名する。キューの例は「話す」「待つ」「飲む」「起きる」「来る」「勉強する」のようにグループを混ぜる。慣れたら教師がます形で「飲みます」と言って学生が「飲めます」と返す形に変え、最後は教師が「帰れる」と言って学生がもとの「帰る」に戻す逆方向も入れる。
  2. ペア動詞カードの束を2人で使う。Aがカードをめくって辞書形を言い、Bは可能形の「〜ます」「〜ません」「〜た」の三つを続けて言う。答えはカードの裏にだけ書いてあり、Aが裏を見て合っているか確かめる。5枚で役を交替し、間違えたカードは別の山に分けて最後にもう一度回す。
  3. 産出「可能形すごろく」。マスに動詞を書いたすごろくを班で回し、止まったマスの動詞を可能形にして、自分のことを1文言う(わたしは〜が〜ます/〜ません)。言えたら進み、言えなければ一つ戻る。教師は班を回り、グループⅠの「る」動詞(帰る・走る)を「られる」にしていないか、「書けれる」のように二つの作り方を重ねていないかを聞き取って、その場で板書の列を指して直す。

つまずきと手当て

  • 「*書けれる」「*飲められる」と、グループⅠの動詞に「られる」まで付ける。グループⅠは「え段+る」だけ、「られる」はグループⅡだけ、と二つの列を並べた板書に戻り、グループⅠの動詞だけを集めて続けて言わせる
  • 「帰る」「入る」「走る」をグループⅡと思って「帰られる」とする。「〜る」で終わってもグループⅠの動詞があることを、て形(帰って・入って)を思い出させて確かめ、可能形は「帰れる・入れる・走れる」と言い直させる。「帰られる」は後の課で別の意味(尊敬・受身)に使う形なので、ここでは可能形として使わせない
  • グループⅡの動詞で「食べれる」「見れる」、「来る」で「これる」と言う。話し言葉ではよく聞く形で、町で耳にするので強くは直さないが、この課では「食べられる・見られる・来られる」で練習し、書くときや試験ではこちらを使うと伝える
  • 「わかる」「できる」「ある」に可能形を作ろうとして、「わかれる」「*できられる」とする。この三つはもともと「できる・そうなる」の意味を持っているので、そのまま「日本語がわかります」と言う。「わかれる」は「道が二つにわかれる」のような別の動詞になってしまう、と例を一つ見せる

既習の文型との違い

  • 〜ないでください(第12課)第12課のない形は い段→あ段 と五十音図を上へ動きましたが、可能形は う段→え段 と下へ動きます。二つを同じ時期に練習すると、可能形の否定「書けない」と、ない形「書かない」を取り違える学習者が出ます。「書けない」はその力や条件が無いこと、「書かない」は自分が書くつもりが無いことなので、二つの文を並べて意味の違いを言わせます。
  • 〜て、…て、―ます(第11課)て形のときに使ったグループ分けが、可能形でもそのまま役に立ちます。「帰る」「入る」がグループⅠだと分からないと「帰られる」と作ってしまうので、迷ったらて形(帰って・入って)を言わせてグループを確かめる、という手順を学生に持たせます。
関連する文型

学習項目 2 可能表現(1)

意味・はたらき学習項目 1

可能形を使って、その人がある力を持っていること(泳げます・漢字が読めます)と、その場所・時間・条件でできること(この店ではカードが使えます・土曜日は行けません)を言います。意味は第15課の「〜ことができます」とほとんど同じですが、可能形のほうが短く、話すときによく使います。「〜を」の目的語は、可能形の文では「が」で言うのが基本です(ギターが弾けます)。「を」を使った文(ギターを弾けます)も耳にしますが、この課では「が」で統一して練習します。「に・へ・で」など、ほかの助詞はそのまま変わりません(あしたも学校へ来られます)。

接続

Nが+可能形(漢字が読めます・刺身が食べられます)。否定は可能形のない形(読めません)、名詞の前では普通形(ギターが弾ける人)

形
Nが Vえます/Vられます(漢字が読めます・刺身が食べられます)Nが Vえません(まだ漢字があまり書けません)〈場所〉で Nが Vえます(この店でカードが使えます)Vえる N(ギターが弾ける人)

導入

  • 教師と学生の「できること」の表教師が「わたしは泳げます。でも、ピアノは弾けません」と自分のことを言い、泳ぐ人とピアノの絵カードに○と×を付ける。次に学生一人ひとりに「〜さんは料理ができますか」「自転車に乗れますか」と聞き、答えを○×の表にして黒板に残す。板書は第15課の「Nを Vことができます」を上に、「Nが 可能形ます」を下に並べ、「を」が「が」に変わるところと、動詞が短くなるところに色を付ける。
  • 場所の決まりで「できる・できない」図書館・コンビニ・寮の絵を貼り、それぞれに「本が借りられます」「コピーができます」「夜11時からはおふろが使えません」のような札を付けて読む。そのあと「この教室で何ができますか」と学生に聞き、人の力の文(泳げます)と並べて、同じ形がその場所の決まりや条件にも使えることを確かめる。

板書案

(第15課)Nを Vことができます
(第22課)Nが Vえます/Vられます 〔赤〕を→が 〔青〕動詞が短くなる
わたしは ひらがなが 読めます。でも、漢字は まだ 読めません。
〈場所〉で Nが Vえます  この店で カードが 使えます。
〈誘いを断る〉すみません、土曜日は 行けません。仕事が ありますから。

場面と発話(自作)

  • 新しいアルバイト先で、店長に何ができるかを聞かれた留学生が答える。英語と中国語が話せます。でも、漢字はまだあまり書けません。
  • 会社で、同僚に土曜日の食事に誘われたが、その日は仕事がある。すみません、土曜日は仕事がありますから、行けません。
  • 駅の近くの店で、客がレジの人に払い方を聞く。この店でカードが使えますか。——はい、使えます。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

代入練習では、絵カード(泳ぐ・自転車に乗る・漢字を読む・刺身を食べる・ギターを弾く)に学生が自分で○×を付け、「〜が〜ます/〜ません」を言わせる。本当のことを言う形にすると声が大きくなる。慣れたら「〜が〜人はだれですか」と教師が聞き、「〜が話せる人」のように名詞の前の形でも答えさせる。場面のやり取りでは、「この町の〜で何ができますか」を聞き合うペア練習と、「〜ませんか」の誘いを可能形で断るロールプレイ(すみません、〜は行けません。〜から)をさせる。

  1. 口頭絵カード(泳ぐ・自転車に乗る・ギターを弾く・漢字を読む・納豆を食べる)をキューに、全体で「〜が〜ます」を言わせ、次に個人を指名して自分のことを○か×で答えさせる。慣れたらキューを語だけ(「漢字・読む」「自転車・乗る」)にして助詞の「が」まで自分で付けさせる。場所の絵(図書館・コンビニ・寮)では「図書館・本・借りる」のように三つの語をキューにして「図書館で本が借りられます」と言わせる。
  2. ペア情報差のある表を使う。Aは4人分の「できること・できないこと」の○×が入った表、Bは名前だけで空欄の表を持ち、Bが「森さんはピアノが弾けますか」と聞いて表を埋める。全部埋まったら表を見せ合って確かめ、別の表で役を交替する。2回目は「ピアノが弾ける人はだれですか」と、名詞の前の形で聞かせる。
  3. 産出「アルバイト面接ロールプレイ」。店長役と応募する学生役に分かれ、学生役は自分のできること・できないことを可能形で三つ以上言い、店長役は「〜が〜ますか」「土曜日も来られますか」と聞く。来られない日は「すみません、〜は来られません。〜から」と理由を付けて答えさせる。教師は目的語の「が」、「話せることができます」のような二つの形の重ね方、断るときに理由を添えているかを見て、終わったあとに一つずつ全体で直す。

つまずきと手当て

  • 「*漢字が読みますか」と、目的語を「が」にしたのに動詞を可能形にしない。「が」にするのは後ろが可能形のときだけ、と板書の枠の「が」と動詞をいっしょに指して戻す
  • 「*話せることができます」「*泳げることができます」と、第15課の形と可能形を重ねてしまう。どちらも一つで「できる」の意味になるので、板書の上下二つの文を指して「長い形か、短い形か、どちらか一つ」と言い、同じ内容を両方の形で言い換えさせる
  • 授業中に先生に「トイレに行けますか」と、許可を求めるつもりで可能形を使う。文の形は正しいが、可能形は「できるかどうか」を聞く形なので、許可を求めるときは第13課の「〜てもいいですか」を使うと、二つの場面を並べて言い分けさせる

既習の文型との違い

  • 〜ことができます(第15課)意味はほとんど同じで、可能形のほうが短く、話すときによく使います。「〜ことができます」は少し改まった言い方で、お知らせや説明の文によく出ます。二つを重ねた「*泳げることができます」という誤りが出やすいので、長い形か短い形のどちらか一つだと、同じ内容を両方の形で言い換えさせて確かめます。
  • 〜てもいいです/〜なくてもいいです(第13課)「〜てもいいですか」は、相手(先生・店の人)に許可を求める言い方です。可能形の「〜が〜ますか」は、その人の力や、場所の決まり・条件でできるかどうかを聞く言い方です。教室で「トイレに行けますか」と許可を求めようとする学習者がいるので、相手に決めてもらうときは「〜てもいいですか」と場面を分けて練習します。
  • 〜が好きです/〜が好きですから、…(第7課)「好きです」と同じように、可能形も対象を「が」で言う仲間です。「わかります」「上手です」も同じ形なので、第7課の板書を思い出させて「が」の列にまとめて見せます。学習者が「*日本語を上手です」と言うのと同じ迷いが可能形でも出るので、まとめて整理すると混ざりにくくなります。
関連する文型

学習項目 3 可能表現(2)

意味・はたらき学習項目 2

「見えます」「聞こえます」は、見よう・聞こうとしなくても、物や音が自然に目や耳に入ってくることを表す動詞です。見えるもの・聞こえるものは「が」で言います(窓から海が見えます・隣の部屋の声が聞こえます)。これに対して「見られます」「聞けます」は「見る・聞く」の可能形で、見たい・聞きたいと思ったときに、機会や道具・条件があってできることを言います(インターネットで日本のドラマが見られます)。目や耳の力のことも「見えます・聞こえます」で言います(眼鏡をかけないと、黒板の字がよく見えません)。

接続

Nが+見えます/聞こえます(「見る」「聞く」の可能形ではない別の動詞。どちらもグループⅡで、見えない・聞こえない、見えて・聞こえて と変わる)

形
〈場所〉から Nが 見えますNが 聞こえます/よく聞こえませんNが 見られます/聞けます(機会・道具・条件があってできる)

導入

  • 窓の外と小さな音で「自然に入る」を見せる教室の窓の外(窓が無ければ景色の絵)を指して「窓から山が見えますね」と言い、学生に「ほかに何が見えますか」と聞く。次に教師が目を閉じて耳をすますしぐさをし、スマートフォンで鳥の声や電車の音を小さく流して「電車の音が聞こえます」と言う。見よう・聞こうとしていないのに入ってくることを、目や耳に向かって来る矢印を板書して見せる。
  • 「見えます」と「見られます」を二列で比べる黒板を左右に分け、左に「見えます・聞こえます(自然に目や耳に入る)」、右に「見られます・聞けます(見たい・聞きたいとき、できる)」と書く。左に「部屋から海が見えます」「隣の部屋の声が聞こえます」、右に「この映画館で古い映画が見られます」「このラジオで日本の音楽が聞けます」と例を足し、右の文には「どこで・何で」が付くことが多いと学生に気づかせる。

板書案

左〔見えます・聞こえます〕自然に目・耳に入る | 右〔見られます・聞けます〕見たい・聞きたい→できる
(左)物・音 →〔矢印〕→ 目・耳
(左)窓から 山が 見えます。 隣の部屋の 声が 聞こえます。
(右)この映画館で 古い映画が 見られます。 このラジオで 日本の音楽が 聞けます。
〔赤〕が に丸 〔青〕右の文の「どこで・何で」に下線
眼鏡がないと → 黒板の字が よく見えません(「見られません」ではない)

場面と発話(自作)

  • 高い建物の上の展望台で、友達同士が遠くを見ている。あの高い山が見えますか。——ええ、見えます。上が白いですね。
  • 電話で相手の声が小さく、留学生が困って言う。すみません、よく聞こえません。もう少し大きい声でお願いします。
  • 寮の部屋を見に来た留学生に、管理人が部屋のいいところを説明する。この部屋の窓から公園が見えます。夜は静かで、車の音もあまり聞こえません。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

代入練習では、窓から見える景色の絵カード(山・海・公園・駅・タワー)と音のカード(鳥の声・電車・雨・子どもの声)を見せて「〜が見えます/聞こえます」を言わせ、次に「見えます/見られます」「聞こえます/聞けます」のどちらかを選ぶ文を混ぜる。場面のやり取りでは、ペアで「〜さんの部屋から何が見えますか」「夜、何か聞こえますか」と聞き合い、電話で相手の声が聞こえないときのやり取り(よく聞こえません・もう一度お願いします)もロールプレイさせる。

  1. 口頭キューは三つの種類を使う。景色の絵(窓から見える海・駅・タワー)では「〜が見えます」、スマートフォンで小さく流す音(雨・電車・鳥の声)では「〜が聞こえます」、眼鏡を外した人の絵では「黒板の字がよく見えません」を全体と個人で言わせる。慣れたら教師が「インターネット・日本のドラマ」「窓・富士山」のように語を二つ言い、学生が「見られます」か「見えます」かを選んで文にする。
  2. ペア「窓の外を伝える」情報差の活動。Aは窓から見た景色の絵(何が見えるか・どんな音がするかを書き込んだもの)を持ち、Bは絵を見ないで「何が見えますか」「何か聞こえますか」と聞く。Bは聞いた内容を紙に簡単に描き、最後に二つの絵を並べて比べる。役を替えて別の絵でもう一度行う。
  3. 産出「部屋さがしロールプレイ」。不動産屋の役は部屋の紹介カードを見ながら「窓から〜が見えます」「夜は車の音があまり聞こえません」「近くの店で〜が買えます」と説明し、客の役は「〜が見えますか」「駅まで歩いて行けますか」と質問して、借りるかどうかを決める。教師は「海を見えます」のような助詞の誤りと、「聞こえません/聞けません」「見えません/見られません」を場面に合わせて選べているかを見る。

つまずきと手当て

  • 「*窓から海を見えます」「*鳥の声を聞こえます」と「を」を使う。見えるもの・聞こえるものは「が」と、板書の左の列の「が」に色を付け、代入練習で助詞まで言わせる
  • 先生の声が小さいときに「先生の声が聞けません」と言う。文の形は正しいが、この場面は音が自然に耳に入らないことを言うので「聞こえません」になる。「聞けません」は、聞く機会や道具が無いとき(ラジオがこわれて、ニュースが聞けません)に使うと、二列の板書で確かめる
  • 眼鏡を忘れて黒板の字が分からないときに「黒板の字が見られません」と言う。目の力のことは「よく見えません」、字を読む力のことなら可能形で「読めません」と言うと、二つの言い方を並べて見せる

既習の文型との違い

  • 可能表現(1)(第22課)「見られます・聞けます」は学習項目1と同じ可能形で、見たい・聞きたいと思ったときに、機会や道具があってできることを言います。「見えます・聞こえます」は可能形ではなく、見よう・聞こうとしなくても目や耳に入ることを言います。先生の声が小さいときの「先生の声が聞けません」は、形は正しくても場面に合わないので「聞こえません」に言い直させます。
  • 〜を…ます(第5課)「テレビを見ます」「音楽を聞きます」は、自分でしようと思ってする動作で、「を」を使います。「見えます・聞こえます」は自然に入ってくることなので、物や音を「が」で言い、「*見えてください」のように人に頼む形にもできません。学習者が「毎晩テレビが見えます」と言ったら、自分で見るなら「見ます」だと、二つの文を並べて言い直させます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の練習には、可能形を作るための動詞(泳ぐ・弾く・乗る・借りる など)と、「見えます・聞こえます」の場面で使う景色や音の言葉(山・海・声・音 など)を使います。動詞は辞書形のカードで入れ、裏に可能形を書いておくと、作り方の練習と語彙の確認が一度にできます。景色と音の言葉は、絵カードや実際の音といっしょに「〜が見えます」「〜が聞こえます」の枠に入れた形で練習します。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 泳ぎます(およぎます) 水の中で手や足を動かして進みます。可能形は「泳げます」です。 海で〜・プールで〜
    友達と夏休みの話をしている。
    わたしは海で泳げます。でも、あまり速くありません。
  • 弾きます(ひきます) ピアノやギターなどの楽器を、指で鳴らします。可能形は「弾けます」です。 ピアノを〜・ギターを〜
    クラスのパーティーで何ができるか、聞かれる。
    ギターが少し弾けます。ピアノは弾けません。
  • 乗ります(のります) 自転車や電車などに体をのせて移動します。可能形は「乗れます」です。 自転車に〜・電車に〜・馬に〜
    寮の人に、自転車で買い物に行こうと誘われる。
    すみません、わたしは自転車に乗れません。
  • 運転します(うんてんします) 車やバスなどを動かします。可能形は「運転できます」です。 車を〜・バスを〜
    アルバイトの面接で、店長に聞かれる。
    車が運転できますか。——はい、できます。
  • 借ります(かります) ほかの人や店の物を、あとで返す約束で使います。可能形は「借りられます」です。 本を〜・傘を〜・図書館で〜
    図書館の人が、新しい学生に説明する。
    この図書館で、本が一度に5冊借りられます。
  • 使います(つかいます) 物や道具を、何かをするために役立てます。可能形は「使えます」です。 カードを〜・パソコンを〜・台所を〜
    寮の管理人が、新しい学生に部屋の決まりを話す。
    台所は夜10時まで使えます。
  • 見えます(みえます) 見ようとしなくても、物が自然に目に入ります。 山が〜・窓から〜・よく〜ない
    電車の窓から外を見ている。
    あ、海が見えますよ。
  • 聞こえます(きこえます) 聞こうとしなくても、音や声が自然に耳に入ります。 音が〜・声が〜・よく〜ない
    電話の相手の声が小さい。
    すみません、よく聞こえません。
  • 景色(けしき) 山・海・町など、目の前に広がって見えるものです。 〜がきれいだ・窓からの〜・〜が見える
    高い建物の上から外を見る。
    ここからの景色はきれいですね。
  • 音(おと) 耳で聞くもののうち、人の声ではないものです。 電車の〜・雨の〜・〜が聞こえる
    夜、部屋で勉強している。
    雨の音が聞こえますね。
  • 声(こえ) 人や動物が口から出す音です。 大きい〜・子どもの〜・〜が聞こえる
    教室の後ろの学生が、先生に言う。
    先生、もう少し大きい声でお願いします。
  • 遠く(とおく) 自分のいる所から離れた所です。 〜に見える・〜の山
    展望台で、友達と遠くを指さす。
    遠くに大きい橋が見えますね。

宿題と次のコマ

宿題は、①動詞20個(グループを混ぜる)の可能形を辞書形とます形の両方で書くこと、②自分のできること・できないことを可能形で3文ずつ書くこと(できない理由を「〜から」で一つ付ける)、③自分の部屋や家の窓から何が見えるか、夜何が聞こえるかを2文で書くこと。次のコマの最初に、宿題の「できること・できないこと」をクラスで読み合い、教師が「夏休みに何をしますか」と聞いて予定の話にしてから、第23課の「意向表現」と「〜つもりです/〜予定です」に入ります。

よくある質問

  • 第22課の可能形はどの順で教えればいいですか?

    まずグループⅠを、五十音図の う段→え段 の動きで見せます(書く→書ける)。次にグループⅡの「〜られる」、最後にグループⅢの「できる・来られる」を丸ごと覚えさせます。できた可能形はグループⅡの動詞として「書けない・書けて・書けた」と変わることまで練習してから文型に入ると、学習項目1・2の練習で止まりません。

  • 「見えます」と「見られます」の違いはどう説明すればいいですか?

    「見えます」は見ようとしなくても自然に目に入ること、「見られます」は見たいと思ったときに機会や道具があって見ることができること、と説明します。黒板を二列に分け、「窓から山が見えます」と「この映画館で古い映画が見られます」を並べると、右の文には「どこで・何で」が付くことが多いと気づかせられます。「聞こえます/聞けます」も同じ二列で整理します。

  • 「食べれる」「見れる」と言う学習者は直すべきですか?

    話し言葉ではよく聞く形なので、強く否定する必要はありません。ただし、この課では「食べられる・見られる・来られる」で練習し、書くときや試験ではこちらを使うと伝えます。グループⅠの「*書けれる」のような形は文法の誤りなので、こちらははっきり直します。

  • 「ギターを弾けます」と「ギターが弾けます」はどちらで教えますか?

    可能形の文では目的語を「が」で言うのが基本なので、この課では「ギターが弾けます」のように「が」で統一して練習します。「を」を使った文も実際には耳にするので、学習者が言っても誤りとはしません。まず「が」で形を固めておくと、「見えます・聞こえます」の「が」とも同じ枠で整理できます。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は導入・可能形の作り方・学習項目1の「人の力」まで、2コマ目は学習項目1の「場所と条件」・学習項目2・まとめの活動です。可能形の作り方が定着しないクラスでは、2コマ目の最初に10分ほど動詞カードで形の確認を入れてから進みます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。