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学ぼう!にほんご 初級Ⅱ 第32課「夕方から雨が降るそうです」の教案

『学ぼう!にほんご 初級Ⅱ』

第29課の様態「〜そうです」(見て、そう感じる)に続いて、人から聞いたこと・ニュースや天気予報で知ったことを伝える「〜そうです」(伝聞)を学ぶ課です。形は同じ「そうです」でも、伝聞は前が普通体(降るそうです)、様態はマス形の語幹(降りそうです)で、意味も「聞いた」と「見える」で違うので、課の最初に二つを左右に並べた板書を作り、課の終わりまで消さずに使います。2番目の項目は第30・31課の受身を普通体にして伝聞をつける形で、建物の由来やニュースの出来事を伝えるときの決まった言い方になります。最後の「〜か/〜かどうか」は、質問の文をそのまま大きな文の中に入れる形で、分からないことを「〜かわかりません」「〜かどうか聞いてみます」と言えるようになり、伝聞と組み合わせると「〜そうですが、本当かどうかわかりません」まで言えます。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目3時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 天気予報・ニュース・人の話で知ったことを、「〜によると、〜そうです」の形で、自分の情報ではないと分かるように伝えられる
  • 伝聞の「降るそうです」と様態の「降りそうです」を、形と意味の両方で区別して使い分けられる
  • 建物の由来や人に起きた出来事を、受身の普通体に「そうです」をつけて(建てられたそうです・盗まれたそうです)伝えられる
  • 答えが分からないことを「何時に始まるかわかりません」「行けるかどうか聞いてみます」のように、質問を文の中に入れて言える

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)10分第29課の様態「〜そうです」を、ケーキや空の写真で2〜3問確かめる(おいしそうです・雨が降りそうです)。そのあと教師がスマホの天気予報を見るふりをして「夕方から雨が降るそうです」と言い、写真を見て言うのと、予報を聞いて言うのとで形が違うことに気づかせる
学習項目1 〜そうです 伝聞40分天気予報と伝言で導入し、「[情報のもと]によると、[普通体]そうです」の枠で、動詞・形容詞・名詞、否定・過去を一つずつ足す。名詞・な形容詞の「だ」は色を変えて板書
様態と伝聞の見分け15分黒板の左に様態(降りそう・おいしそう・元気そう)、右に伝聞(降るそう・おいしいそう・元気だそう)を並べ、絵(見ている目)とスマホ(聞いた耳)のマークをつけて、教師の出す場面カードでどちらを使うか選ばせる
学習項目2 〜れる/られる+そうです35分橋や公園の写真と案内板の絵で、受身の「作られました」→普通体「作られた」→「作られたそうです」の3段で導入。人に起きた出来事(盗まれた・ほめられた)に広げる
学習項目3 〜か/〜かどうか…45分中の見えない箱で導入。疑問詞のある質問は「〜か」、ない質問は「〜かどうか」と2列に分け、「わかりません・知っていますか・調べます・聞いてみます」につなげる
まとめの活動35分ニュース番組ごっこ。グループごとに教師が渡す「ニュースのメモ」を読み、リポーター役が「〜によると、〜そうです」でクラスに伝える。聞く側は分からなかった点を「〜か教えてください」「〜かどうかわかりますか」で質問する

学習項目 1 〜そうです 伝聞

意味・はたらき学習項目 1

人から聞いたこと、ニュースや天気予報・本で知ったことを、「自分が見たり決めたりしたことではなく、聞いた情報だ」と示して相手に伝える形です。前は普通体で、な形容詞と名詞は「だ」を入れます(静かだそうです・休みだそうです)。「そうです」の部分は形が変わらず、過去や否定は前の普通体で表します(降ったそうです・降らないそうです)。情報のもとを言うときは、文の初めに「〜によると」「〜の話では」をつけます。第29課の様態「〜そうです」は、マス形の語幹や形容詞の語幹について「見て、そう感じる」ことを言う別の形です。文法の用語では、話し手が情報をどこから得たかを示すモダリティ(証拠性の表現)の一つで、自分の判断を言う「〜と思います」とは役割が違います。

接続

普通体+そうです(な形容詞・名詞は「だ」を入れる。「そうです」は過去・否定にしない)

形
〜(普通体)そうです(降るそうです・おいしいそうです)〜ないそうです/〜たそうです静かだそうです/休みだそうですNによると、〜そうです/Nの話では、〜そうです

導入

  • 天気予報を見て伝える教師がスマホ(または黒板に描いた天気予報の画面)を見るふりをして、学生に「天気予報によると、夕方から雨が降るそうです」と言う。続けて「あしたは寒いそうです」「あさっては晴れだそうです」と、動詞・い形容詞・名詞の文を一つずつ足す。板書は「[情報のもと]によると、[普通体]そうです」の枠にし、名詞・な形容詞のときだけ「だ」を色を変えて書く。
  • 伝言で「聞いた情報」を体験させる教師が学生一人にだけ紙を見せる(「あしたのテストは中止です」)。その学生が、紙を見ていないクラスに「あしたのテストは中止だそうです」と伝える。自分が決めたことではなく、聞いたことだから「そうです」をつける、と確かめ、紙の内容を否定・過去(「先生はきのう来ませんでした」)に替えて何回か回す。

板書案

[情報のもと]によると、[普通体]そうです
天気予報によると、夕方から雨が降るそうです。
あしたは寒いそうです。/あさっては休みだそうです。
〔赤〕名詞・な形容詞の「だ」 〔青〕過去・否定は前だけ(降った・降らない)+そうです
左:降りそう・おいしそう・元気そう(目のマーク)|右:降るそう・おいしいそう・元気だそう(耳のマーク)

場面と発話(自作)

  • 朝、寮の玄関で、傘を持たずに出かけようとしている友達に声をかける。天気予報によると、夕方から雨が降るそうですよ。傘を持っていったほうがいいですよ。
  • 会社で、きょう休んでいる同僚のことを上司に聞かれ、朝の電話で聞いたことを伝える。田中さんはきょう、熱があるそうです。あしたは来るそうです。
  • 新学期の前に、先輩から聞いた先生の話をクラスの友達にする。先輩の話では、山本先生のテストはとても難しいそうです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、テレビ・新聞・友達の顔のカードに短い情報を書いたものを見せ、学生が「〜によると、〜そうです」と言いかえる。動詞・い形容詞・な形容詞・名詞、否定・過去を混ぜ、慣れたら様態の場面カード(ケーキの写真など)も混ぜてどちらの「そうです」かを選ばせる。場面のやり取りでは、ペアの一人が週末に聞いたうわさやニュースを一つ話し、もう一人がそれを別の人に「〜さんの話では、〜そうです」と伝える。

  1. 口頭教師が情報カードを見せ、学習者が「〜によると、〜そうです」と言いかえる。キューは、天気予報の画面の絵(あした・雪)、新聞の絵(きのう・電車が止まった)、友達の顔と吹き出し(テスト・やさしくない)、店の張り紙(あした・休み)など。全体で2回、列ごと、個人の順に回し、動詞・い形容詞・な形容詞・名詞、否定・過去を一つずつ混ぜる。最後に様態の写真カード(雲・ケーキ)を混ぜ、どちらの「そうです」かを選ばせる。
  2. ペアAには天気予報のカード、Bには先輩の話のカードを渡す(それぞれ情報が3つ。相手には見せない)。Aが「天気予報によると、〜そうです」と3つ伝え、Bはメモを取る。終わったら交替し、Bが「先輩の話では、〜そうです」と伝える。最後にメモをカードと見比べて、伝わったかを二人で確かめる。
  3. 産出「伝言リレー」。5〜6人の列を作り、先頭の人だけが教師のメモ(例: あしたの授業は午後からだ・先生は大阪へ行った)を読み、次の人に「先生の話では、〜そうです」と小声で伝えていく。最後の人が黒板に書き、メモと比べる。2回目からは学習者が自分で聞いた話(週末の予定・町のニュース)をメモにする。教師は、「ます」が残っていないか、名詞・な形容詞の「だ」が落ちて様態の意味になっていないか、「そうでした」と後ろを変えていないかを聞いて直す。

つまずきと手当て

  • 「*雨が降りますそうです」のように、前に「ます」を残す。前は普通体だと枠を指さして戻し、第17課の普通体の表を見せて言いかえさせる
  • 名詞・な形容詞の「だ」を落として「田中さんは元気そうです」と言い、「聞いた」つもりが「見て元気に見える」の意味(様態)になる。誤りの文ではないが意味が変わるので、左右の板書で「元気そう(見た)」「元気だそう(聞いた)」を見比べさせる
  • 過去の話のつもりで「*雨が降るそうでした」、否定のつもりで「*降るそうではありません」と、「そうです」の部分を変える。過去は「降ったそうです」、否定は「降らないそうです」と、変えるのは前だけだと確かめる
  • 様態と取り違え、形を混ぜて「*降るそうな雲」「*おいしいそうなケーキ」と言う。名詞の前に置けるのは様態(降りそうな・おいしそうな)で、伝聞は文の終わりで使う形だと見せる

既習の文型との違い

  • 〜そうです 様態(第29課)様態は「降りそう・おいしそう・元気そう」とマス形の語幹や形容詞の語幹につき、目の前の様子を見て感じたことを言います。伝聞は「降るそう・おいしいそう・元気だそう」と普通体につき、聞いた情報を伝えます。混ぜると「*おいしいそうなケーキ」のように伝聞の形を名詞の前に置いたり、聞いた話なのに「元気そうです」と言って見た印象の意味になったりするので、左右の板書の目と耳のマークを指して確かめます。
  • 〜と言います/言う(第17課)「田中さんはあした来ると言いました」は、だれが言ったかを出して、その人のことばを伝える言い方です。「〜そうです」は言った人を出さなくてもよく、天気予報やニュースのように人ではない情報のもとにも使えます。「天気予報は雨が降ると言いました」と言う学習者には、文としては通じても不自然に聞こえるので、情報のもとは「〜によると」で文の初めに置く形を示します。
関連する文型

学習項目 2 〜れる/られる+そうです

意味・はたらき学習項目 2

第30・31課の受身形を普通体にして、伝聞の「そうです」をつけた形です。お寺・お城・作品などがいつ、だれによって作られたかや、事件・出来事のように、自分で見たのではなく案内板・本・ニュースで知ったことを伝えるときによく使います(この橋は町の人たちによって作られたそうです)。人が主語の受身(先生にほめられた・財布を盗まれた)にも使え、友達から聞いた出来事を別の人に伝えるときに便利です。受身形は最後が「る」なので、普通体はグループⅡの動詞と同じように「〜られる・〜られた・〜られない・〜られなかった」となります。述語の中では「建て(動詞)+られ(受身)+た(過去)+そうです(伝聞)」の順に並び、ヴォイス・テンス・モダリティの順に後ろへつく形の典型なので、受身を先に作ってから伝聞をつける、という手順で練習させます。

接続

受身形の普通体(〜れる・〜れた・〜れない・〜れなかった/〜られる・〜られた…)+そうです

形
建てられたそうです/Nによって建てられたそうです盗まれたそうです/財布を盗まれたそうです先生にほめられたそうですたくさんの人に使われているそうです

導入

  • 案内板を読んで友達に伝える橋や公園の写真と、その横に「〜年 〜が作りました」と書いた案内板の絵を黒板に貼る。まず第31課の形で「この橋は町の人たちによって作られました」と言わせ、次にそれを普通体「作られた」にして、最後に「そうです」をつける、と3段に分けて板書する。そのうえで教師が観光客役、学生がガイド役になり、案内板を見ながら「この橋は町の人たちによって作られたそうです」と説明させる。
  • ニュースの出来事を伝える美術館の絵がなくなった新聞の絵や、駅で財布がなくなった人の絵を見せ、教師が「きのう、美術館の絵が盗まれたそうです」「田中さんは電車の中で財布を盗まれたそうです」と言う。物が主語の受身(第31課)と人が主語の受身(第30課)の両方に「そうです」がつくことを、二つの文を並べて見せる。

板書案

作られました → 作られた → 作られたそうです
この橋は 町の人たちによって 作られたそうです。
田中さんは電車の中で財布を盗まれたそうです。
〔赤〕真ん中の普通体「作られた」を丸で囲む
〔青〕〜によって=作った人・建てた人|〜によると=情報のもと(上下に並べる)

場面と発話(自作)

  • 日本に来た家族を近くの公園に案内している留学生が、ガイドブックで読んだことを話す。この公園の桜は、昔、近くの小学生によって植えられたそうです。
  • 会社の休み時間に、同僚が朝の話を聞いていなかった人に伝える。田中さん、きのう電車の中で財布を盗まれたそうですよ。
  • 学校で、作文のコンテストのことを聞いた学生が、休んでいた友達に話す。山田さんは作文を先生にとてもほめられたそうです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、「〜年・〜が建てました/書きました/作りました」の案内カードを見せて「〜によって〜られたそうです」と言わせ、次に人の出来事カード(足を踏んだ・手紙を読んだ・ほめた)を見せて「〜は〜に〜られたそうです」と言わせる。場面のやり取りでは、学習者が自分の国や町の有名な建物・料理を一つ選び、いつ・だれによって作られたかを「〜そうです」でクラスに紹介する(分からない部分は「〜かどうかわかりません」でよい)。

  1. 口頭教師がカードを見せ、学習者が「受身の丁寧な形→普通体→そうです」の3段で言う。キューは、橋の案内板(町の人たち・作った)、本の表紙(有名な作家・書いた)、美術館の事件の絵(絵・盗んだ)、人の出来事の絵(先生が学生をほめた・犬が子どもをかんだ)など。はじめは3段を全部言わせ、慣れたら最後の形だけを全体、個人の順に言わせる。グループⅠとグループⅡの動詞を交互に出す。
  2. ペアAはガイド、Bは観光客。Aにだけ建物や作品のカード(いつ・だれが作ったか)を渡し、Bが「これはいつ作られましたか」と聞く。Aはカードを見て「〜年に、〜によって作られたそうです」と答える。カードに書いていないことを聞かれたら「いつ作られたかわかりません」と答えてよい(項目3の予告)。3枚終わったら役を交替する。
  3. 産出「わたしの町の名所ガイド」。学習者が自分の国や町の有名な建物・橋・お祭り・料理を一つ選び、いつ・だれによって作られたか、どんなことで知られているかを、受身+「そうです」を使って3文で紹介する(本やインターネットで知ったこととして話す)。聞く側は一つ質問する。教師は「*作られましたそうです」「*盗まられた」のような形の誤りと、「〜によって」と「〜によると」の取り違えを聞いて、終わってから板書で直す。

つまずきと手当て

  • 「*作られましたそうです」と、受身の丁寧な形に「そうです」をつける。3段の板書(作られました→作られた→作られたそうです)に戻って、真ん中の普通体を必ず通すようにする
  • グループⅠの受身を「*盗まられた」「*踏まられた」と作る。グループⅠは「ない」の前の形に「れる」(盗まれる・踏まれる)、グループⅡは「られる」と、第30課の作り方の表で確かめてから「そうです」をつける
  • 様態と混ぜて、聞いた話のつもりで「先生にしかられそうです」と言い、「これからしかられる様子だ」の意味になる。文としては正しいので、「しかられそう(これから・見て思う)」と「しかられたそう(もう起きた・聞いた)」を並べて意味の違いを見せる
  • 情報のもとを言うつもりで「ニュースによって、〜そうです」と言う。第31課の「〜によって」は作った人・建てた人を示す言い方で、情報のもとは「〜によると」だと、二つを並べて板書する

既習の文型との違い

  • 〜れます/られます 受身(5)(第31課)第31課の「この橋は〜によって作られました」は、話し手が事実として知っていることを言う形です。「作られたそうです」は、案内板・本・人の話で知ったことだと示して伝えます。ガイドが自分の知識として説明するなら第31課の形、読んだ・聞いたことを友達に伝えるなら「そうです」と、場面で選ばせます。
  • 〜そうです 様態(第29課)受身に様態をつけると「しかられそう・盗まれそう」(これからそうなる様子だ)になり、伝聞をつけると「しかられたそう・盗まれたそう」(そうなったと聞いた)になります。形の違いは「た」が入るかどうかだけなので、時の線を描いて「これから」と「もう起きた」に分けて見せます。
関連する文型

学習項目 3 〜か/〜かどうか…

意味・はたらき学習項目 3

質問の文を、そのまま大きな文の中に入れる形です。「何・だれ・いつ・どこ・どう・いくら」などの疑問詞がある質問は「〜か」、「はい・いいえ」で答える質問は「〜かどうか」をつけて、「わかりません・知っていますか・覚えていません・調べます・聞いてみます・教えてください」などにつなげます。中の文は普通体ですが、名詞とな形容詞は「だ」をつけません(静かかどうか・休みかどうか・いつが休みか)。答えが分からないことを言ったり、人に何かを確かめてもらったりするときに使います。文法の用語では「間接疑問(埋め込み疑問)」と呼ばれる形で、疑問詞のある質問が「〜か」、「はい・いいえ」で答える質問が「〜かどうか」になる、と押さえておくと説明がぶれません。

接続

疑問詞+普通体+か/普通体+かどうか+わかります・知っています・調べます など(名詞・な形容詞は「だ」をつけない)

形
何時に始まるかわかりませんだれが窓を開けたか知っていますかおいしいかどうかわかりません行けるかどうか聞いてみます

導入

  • 中の見えない箱教師がふたを閉めた箱を持ってきて振り、「この中に何がありますか」と聞く。学生が答えられないところで、教師が「何があるかわかりませんね」と言い、質問の「何がありますか」と、文の中に入れた「何があるか」を上下に並べて板書する。「ます」が普通体に変わり、最後に「か」が残ることを、矢印で見せる。
  • 開けてみないと分からない箱同じ箱を見せ、「この中の物は高いですか」と聞く。「はい・いいえ」で答える質問なので、文の中に入れるときは「高いかどうかわかりません」になる、と箱の文の横に2列目として書く。疑問詞のある列(何が・だれが・いつ)とない列(〜かどうか)を分け、学生に質問カードを振り分けさせる。

板書案

何がありますか → 何があるか + わかりません
高いですか → 高いかどうか + わかりません
左の列:疑問詞あり=〜か|右の列:疑問詞なし=〜かどうか
〔赤〕名詞・な形容詞は「だ」を取る(休みか・元気かどうか)
後ろ:わかりません・知っていますか・調べます・聞いてみます・教えてください

場面と発話(自作)

  • 駅で、電車が遅れていると放送があり、留学生が駅員に聞く。すみません、次の電車が何時に来るか教えてください。
  • 友達に土曜日のパーティーに誘われたが、アルバイトの予定がまだ決まっていない。土曜日、行けるかどうかまだわかりません。店長に聞いてみます。
  • 会社で、上司にあしたの会議の部屋のことを聞かれる。会議室があしたあいているかどうか、調べておきます。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入練習では、質問カード(「会議は何時に始まりますか」「田中さんはあした来ますか」)を見せ、学生が「〜かわかりません」「〜かどうかわかりません」に言いかえる。疑問詞のあるカードとないカード、名詞文のカードを混ぜ、慣れたら後ろを「知っていますか」「調べます」「聞いてみます」に替える。場面のやり取りでは、クラス旅行の計画表を配り、分からないこと(いくらかかるか・ホテルがあいているかどうか・雨が降るかどうか)を書き出して、「〜か調べます」「〜かどうか聞いてみます」で担当を決めさせる。

  1. 口頭教師が質問カードを読み、学習者が「〜かわかりません」「〜かどうかわかりません」に言いかえる。キューは「パーティーは何時からですか」「田中さんは来ますか」「駅は遠いですか」「あしたは休みですか」「だれが作りましたか」など、疑問詞のある質問とない質問、名詞文を混ぜる。全体、個人の順で回し、慣れたら教師が後ろの語のカード(知っていますか・調べます・聞いてみます)を替えて、同じ質問から別の文を作らせる。
  2. ペアイベントのお知らせの紙を2種類作り、Aの紙とBの紙で空いている所を変えておく(日にち・場所・料金・雨のときにあるかどうか など)。Aが「〜か知っていますか」「〜かどうか知っていますか」と聞き、Bは自分の紙に書いてあれば答え、なければ「〜かわかりません」と答える。全部聞いたら交替し、最後に二人の紙を合わせて空いている所が残っていないか確かめる。
  3. 産出「クラス旅行の調べ物会議」。3〜4人のグループで行き先を一つ決め、まだ分からないこと(いくらかかるか・何時間かかるか・ホテルがあいているかどうか・雨が降るかどうか)を紙に書き出して、「〜か調べます」「〜かどうか先生に聞いてみます」で担当を決め、グループの代表がクラスに発表する。教師は、質問の「ます」が残っていないか、疑問詞があるのに「どうか」をつけていないか、名詞・な形容詞の「だ」が残っていないかを紙と発表で確かめる。

つまずきと手当て

  • 「*会議は何時に始まりますかわかりません」と、質問の形のまま「ます」を残す。箱の板書の矢印に戻り、文の中に入れるときは普通体になると確かめる
  • 疑問詞があるのに「*だれが来るかどうかわかりません」と「どうか」をつける。疑問詞の列とない列の表に戻り、疑問詞があれば「か」だけだと見せる
  • 名詞・な形容詞で「*元気だかどうかわかりません」「*静かだかどうか」と「だ」を残す。普通体の中でも、この形では名詞・な形容詞の「だ」を取ると、表に赤で書いておく
  • 「〜か知っていますか」と聞かれて、知らないときに「知りません」とだけ答え、冷たく聞こえることがある。誤りではないが、「すみません、ちょっとわかりません」のように答えると柔らかいと添える

既習の文型との違い

  • 〜と思います/思う(第17課)「〜と思います」は自分の考えを言う形で、普通体のあとに「と」が入ります。「〜か/〜かどうか」は答えが分からないことを言う形で、「と」は入りません。「*何時に始まるとわかりません」「*来るかどうかと思います」と混ぜる学習者には、考えは「と」、分からないことは「か」と、二つの文を上下に並べて見せます。
  • 〜と言います/言う(第17課)質問をそのまま伝えるときは「田中さんは『会議は何時に始まりますか』と言いました」のように、かぎかっこと「と」で引用できます。文の中に入れるときは「田中さんは会議が何時に始まるか聞きました」と、普通体+「か」にして「と」を取ります。かぎかっこの中の「ます」と「ですか」が消える流れを矢印で見せると、引用との違いが分かりやすくなります。
関連する文型

語彙の扱い

この課の練習で中心になる語は、情報のもとを言う言葉(天気予報・ニュース・新聞・〜によると・〜の話では)と、天気・出来事の言葉(夕方・晴れ・盗む・建てる)が中心です。情報のもとの言葉は「天気予報によると」「先輩の話では」のように、文の初めの決まった形のまま入れ、第31課の「〜によって」と並べて違いを見せます。「わかります・知っています・調べます・聞いてみます」は単語ではなく「〜かどうか調べます」の形で、場面ごとにどれを使うかと一緒に練習します。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • 天気予報(てんきよほう) これからの天気が晴れか雨か、暑いか寒いかを、テレビやスマホで知らせるものです。 〜を見る・〜によると・あしたの〜
    朝、出かける前にスマホで天気を見た。
    天気予報によると、あしたは雪が降るそうです。
  • ニュース(ニュース) 世界や町で起きた新しい出来事を、テレビや新聞・インターネットで知らせるものです。 〜を見る・〜で聞く・けさの〜
    昼休みに、同僚がけさのテレビの話をする。
    けさのニュースによると、駅の近くで火事があったそうです。
  • 〜によると(〜によると) 情報をどこから知ったかを言うときに、文の初めで使う言い方です。 天気予報〜・新聞〜・先生の話〜
    新聞で読んだことを友達に伝える。
    新聞によると、来月から電車が高くなるそうです。
  • 夕方(ゆうがた) 昼が終わって、暗くなる前の時間です。 〜から・〜まで・きょうの〜
    寮の玄関で、出かける友達に声をかける。
    夕方から雨が降るそうですから、早く帰ったほうがいいですよ。
  • 晴れ(はれ) 雲が少なくて、空が青い天気のことです。 あしたは〜・〜の日
    週末に友達とピクニックに行く予定がある。
    土曜日は晴れだそうです。よかったですね。
  • 台風(たいふう) 夏から秋に来る、とても強い雨と風のことです。 〜が来る・〜のとき・大きい〜
    学校の事務室で聞いたことをクラスに伝える。
    あした台風が来るそうです。授業があるかどうか、まだわかりません。
  • 中止(ちゅうし) 予定していたことを、やらないことにすることです。 〜になる・試合が〜・授業は〜
    雨の日に、先生から聞いたことを友達に伝える。
    先生の話では、きょうのサッカーの試合は中止だそうです。
  • 盗みます(ぬすみます) ほかの人の物を、その人に言わないで取って、自分の物にします。 財布を〜・自転車を〜
    会社で、同僚に起きたことを聞いた。
    田中さんは駅で自転車を盗まれたそうです。
  • 建てます(たてます) 家やビルなどを作ります。 家を〜・ビルを〜・ホテルを〜
    駅の前の工事を見ながら、友達と話す。
    駅の前に、来年大きいホテルが建てられるそうです。
  • 調べます(しらべます) 分からないことを、本やインターネット、人の話で確かめて知ります。 インターネットで〜・時間を〜・〜ておく
    旅行の計画で、分からないことがある。
    ホテルがいくらか、あした調べておきます。
  • 決まります(きまります) どうするかが一つになって、もう変わらなくなります。 予定が〜・日にちが〜・場所が〜
    友達に、パーティーに来られるか聞かれた。
    アルバイトの日がまだ決まっていないので、行けるかどうかわかりません。

宿題と次のコマ

宿題は、きょう聞いたり読んだりした天気予報・ニュース・人の話を「〜によると、〜そうです」の形で3文書くこと(うち1文は受身の「〜られたそうです」を使う)と、来週の予定で分からないことを「〜かどうかわかりません」「〜か調べます」で2文書くこと。次のコマの最初に、宿題の文を隣の人に伝え、聞いた人がそれをクラスに「〜さんの話では、〜そうです」と伝え直して復習してから、第33課の「〜らしいです」「〜はずです」(聞いたことや根拠から考える言い方)に入ります。

よくある質問

  • 伝聞の「〜そうです」と様態の「〜そうです」は、どう区別させればいいですか?

    形と意味を同時に見せます。黒板の左に様態(降りそう・おいしそう・元気そう)、右に伝聞(降るそう・おいしいそう・元気だそう)を並べ、左に目、右に耳のマークをつけて、課の終わりまで消さずに使います。練習では写真カード(見て言う)と天気予報や新聞のカード(聞いて言う)を混ぜて出し、どちらの形かを選ばせると、形だけで覚える学習者が減ります。

  • 「〜そうです」と「〜と言っていました」の違いは何ですか?

    「〜と言っていました」は言った人を出して、その人のことばを伝えます。「〜そうです」は言った人を出さなくてもよく、天気予報・ニュース・本など人ではない情報のもとにも使え、「〜によると」とよく一緒に使います。初級では「人から聞いたことは両方使える、ニュースや予報は『〜によると、〜そうです』が自然」と分けて教えると十分です。

  • 「〜か」と「〜かどうか」の使い分けはどう教えますか?

    もとの質問に疑問詞(何・だれ・いつ・どこ・いくら など)があるかどうかで分けます。疑問詞のある質問は「何があるかわかりません」のように「か」だけ、「はい・いいえ」で答える質問は「高いかどうかわかりません」のように「かどうか」です。板書を2列にして質問カードを振り分けさせ、名詞・な形容詞では「だ」を取る点を赤で書いておきます。

  • 第32課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目で様態とのつなぎ、伝聞の「〜そうです」と見分けの練習、受身+「そうです」の導入まで進め、2コマ目で受身+「そうです」の練習の続き、「〜か/〜かどうか」、ニュース番組ごっこを行います。第30・31課の受身形がまだ不安なクラスでは、2コマ目の初めに受身形の作り方を5分ほど復習してから入ります。

  • 「〜によると」と「〜によって」を混ぜる学習者にはどうすればいいですか?

    第31課の「〜によって」は、建物や作品を作った人・建てた人を示す言い方で、受身の文の中で使います。「〜によると」は、情報のもと(天気予報・ニュース・人の話)を示して文の初めに置き、文の終わりの「そうです」と組みになります。「この橋は〜によって作られました」と「案内板によると、この橋は〜によって作られたそうです」を上下に並べて板書し、一つの文の中で両方を使う例を見せると区別がつきます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。