日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 初級Ⅱ 第25課「早く行け!」の教案

『学ぼう!にほんご 初級Ⅱ』

第24課までに辞書形・普通体・可能形・意向形がそろったあとを受けて、この課で動詞の命令形(行け)と禁止形(行くな)が初めて出ます。どちらも相手に直接「しろ」「するな」と言う強い形で、使われる場面はスポーツの応援・標識や注意書き・緊急のとき・親しい男性どうしなどに限られるため、この課の芯は、学習者が自分から人に言う形としてではなく、聞いて・見てわかり、人の言ったことを伝えるための形として教えることです。「〜という意味です」は標識やマークの意味を説明する言い方で、命令形・禁止形を覚えたその場で使い道ができます。最後の「〜なさい」は親や先生が下の立場の人に言う命令でテストの指示文にもよく出るので、命令形・〜なさい・〜てください を「だれがだれに言うか」の一つの表に並べてまとめます。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目4時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 動詞の辞書形から命令形と禁止形を作れる(グループごとの規則と、する・来る の形)
  • 命令形・禁止形が使われる場面(応援・標識・緊急・親しい男性どうし)がわかり、聞いたり見たりしたときに意味がとれる。自分が人に頼むときは「〜てください/〜ないでください」を選べる
  • 「〜という意味です」で、標識・マーク・ことばの意味を聞いたり説明したりできる
  • 「〜なさい」がだれからだれへの言い方かわかり、テストや教科書の指示文を読んで何をすればいいかわかる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)10分第12課の「〜ないでください」と第13課の「〜てはいけません」を、図書館や病院の注意の絵で2〜3問言わせる。そのあと道路の「止まれ」の標識の写真を見せて「何と書いてありますか」と聞き、同じことをもっと短く強く言う形があること、それがこの課の形だと予告する
命令形と禁止形の作り方40分辞書形の動詞カードをグループⅠ・Ⅱ・Ⅲの3列に貼り、命令形(Ⅰ う段→え段/Ⅱ る→ろ/Ⅲ しろ・こい)→禁止形(辞書形+な)の順に速く言い換える。最後に、命令形にしない動詞(わかる・できる・可能形)を確かめる
学習項目1 命令表現と禁止表現40分応援・標識・緊急・父と子の4枚の場面の絵で「だれがだれに言うか」を確かめ、教室では自分から使わない約束をする。人の言ったことを「〜と言いました」で伝える練習まで。1コマ目はここまで
学習項目2 〜という意味です35分標識・マーク・注意書きの絵で「どういう意味ですか」「〜という意味です」を練習する。第17課の「何と言いますか」と上下に並べて板書し、聞く向きの違いを見せる
学習項目3 〜なさい35分朝の家の絵(母親と子ども)とテストの指示文で導入。命令形・〜なさい・〜てください を「だれがだれに言うか」の表にまとめる
まとめの活動20分学習者が町や学校で見つけた標識・注意書きの写真を持ち寄り、「これは〜という意味です」と説明し合う。最後に、その写真の場所で自分が人に頼むならどう言うかを「〜てください/〜ないでください」で言う

学習項目 1 命令形と禁止形の作り方

意味・はたらき活用

動詞の命令形(行け・食べろ)と禁止形(行くな)を作ります。どちらも第15課の辞書形から作ると規則が見えやすくなります。グループⅠは辞書形の最後の音を「う段」から「え段」に変えます(行く→行け・飲む→飲め・帰る→帰れ・買う→買え)。ます形から見れば「ます」の前の「い段」を「え段」に変えるのと同じです。グループⅡは「る」を「ろ」に変え(食べる→食べろ・見る→見ろ)、グループⅢは「する→しろ」「来る→こい」です。禁止形はどのグループも辞書形に「な」を付けるだけです(行くな・食べるな・するな・来る(くる)な)。「わかる」「できる」「見える」「聞こえる」や可能形(話せる)のように、自分の意志でするのではないことを表す動詞は、ふつう命令形・禁止形にしません。

接続

命令形: Ⅰ 辞書形のう段→え段/Ⅱ 〜る→〜ろ/Ⅲ する→しろ、来る→こい。禁止形: 辞書形+な(どのグループも同じ)

形
Ⅰ 行く→行け/書く→書け/飲む→飲め/待つ→待て/帰る→帰れⅠ 買う→買え/話す→話せ/急ぐ→急げ/遊ぶ→遊べⅡ 食べる→食べろ/見る→見ろ/起きる→起きろ Ⅲ する→しろ/来る→こい禁止形 行くな/食べるな/するな/来る(くる)な

導入

  • 五十音図の段を下へたどる黒板に五十音図の「う段」と「え段」の2行だけを書き、教師が辞書形「行く」の「く」を指してから一つ下の「け」へ指を動かし、「け、行け」と言う。「飲む→飲め」「待つ→待て」「帰る→帰れ」と続け、第12課のない形は「上へ(あ段)」、命令形は「下へ(え段)」と方向で対にして見せる。グループⅡは「る」の上に手を置いて「ろ」と言うだけ、グループⅢの「しろ・こい」は丸ごと覚えると伝える。
  • 禁止形は「な」のカード1枚辞書形のカードを3列から1枚ずつ取り、右に「な」と書いたカードを貼って「行くな」「食べるな」「するな」と言わせる。どのグループも同じなので、命令形より先に言えるようになる学生が多い。最後に「来る」のカードで「こい」と「くるな」を並べ、同じ動詞でも読みが変わることを赤で書く。

板書案

辞書形 → 命令形/禁止形
Ⅰ 行く → 行け 飲む → 飲め 帰る → 帰れ (う段 → 〔赤〕え段)
Ⅱ 食べる → 食べろ 見る → 見ろ (る → 〔赤〕ろ)
Ⅲ する → しろ 来る → こい/くるな
禁止形 辞書形 + 〔青〕な (行くな・食べるな・するな)
〔黄〕五十音図の横に ↑ない形(あ段)/↓命令形(え段)の矢印

場面と発話(自作)

  • 教師がカードの「急ぐ」を見せ、学生が命令形にして答える(形の練習)。急ぐ——急げ。
  • 学生が「来る」の命令形を「きろ」と言ったので、教師がもう一度カードを見せる。来る——こい。
  • 教師が「する」のカードを見せ、今度は禁止形を言わせる。する——するな。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

代入練習では、教師が辞書形のカードをグループを混ぜて1枚ずつ見せ、まず命令形だけ、次に禁止形だけ、最後に教師の「命令」「禁止」の合図に合わせてどちらかを言わせる。慣れたらます形のカードも混ぜ、ます形からでも作れるようにする。最後はペアで、相手がめくったカードの命令形と禁止形を続けて言い合う。

  1. 口頭教師が辞書形のカードを見せる → 全体 → 列ごと → 個人で命令形を返させる。キューは「書く」「待つ」「帰る」「話す」「遊ぶ」のようにグループⅠを型ごとにまとめ、次に「食べる」「起きる」「見る」のグループⅡ、最後に「する」「来る」を3回ずつ。慣れたら教師が「命令」「禁止」の札を上げ、同じ動詞をどちらかで言わせる。止まる学生には、て形やない形を先に言わせてグループを思い出させる。
  2. ペアグループを混ぜた動詞カード20枚を1組に配る。Aがカードをめくって辞書形を言い、Bが命令形と禁止形を続けて言う(帰る——帰れ、帰るな)。10枚で交替。終わったら、2人で「る」で終わるグループⅠの動詞(帰る・走る・入る・切る)だけを集め直し、もう一度命令形を言い合う。
  3. 産出活動「命令形ビンゴ」。3×3のマスに、学習者が自分で選んだ動詞の命令形だけを書く(辞書形は書かない)。教師が辞書形を読み上げ、その命令形があれば消す。教師が見て直すのは、マスの中の「帰ろ」「きろ」のような作り方の誤りと、可能形(行ける)と命令形(行け)の書き分け。ビンゴのあと、消えなかったマスの命令形を全員で読み、禁止形にも言い換える。

つまずきと手当て

  • 命令のつもりで「*帰ろ」「*走ろ」と、帰る・走る(グループⅠ)をグループⅡのように作る。この音は第23課の意向形「帰ろう」「走ろう」をくだけて言った形と同じなので、「いっしょに帰ろう」の意味に聞こえてしまう。て形やない形のとき(帰って・帰らない)を思い出させ、「〜る」で終わってもグループⅠの動詞があることをカードの列で確かめる。逆にグループⅡを「食べれ」「起きれ」とする学生もいる(一部の地方の言い方にはあるが、共通語では「食べろ」)
  • 来るの命令形を「*きろ」「*くれ」と作る。「くれ」は「くれる」の命令形で別の語になると伝え、「来る」は「こい(命令)/くるな(禁止)」を毎回の練習の最後に必ず1回ずつ入れる
  • 禁止形を「*行かないな」「*行きますな」と、ない形やます形に付ける。禁止形は辞書形+な、と決める。また「行きな」(ます形の形+な)は禁止ではなく「行きなさい」をくだけて言う命令になり、意味が逆になるので、聞いたときにも注意させる
  • 第22課の可能形(行ける・書ける)とグループⅠの命令形(行け・書け)は「る」があるかないかだけの違いなので混ぜてしまう。2列に並べ、可能形は「〜ことができる」、命令形は「しろ」と意味を言わせてから形を言わせる。可能形そのもの(話せる)や「わかる」「できる」は「*話せろ」「*できろ」のように命令形にしないことも、ここで一度だけ確かめる

既習の文型との違い

  • 〜ないでください(第12課のない形)第12課のない形は、グループⅠで辞書形のう段を「あ段」に変えました(行く→行かない)。命令形は同じ行の「え段」に変えるので、五十音図の上と下という向きで対にすると覚えやすくなります。混ぜてしまう学生には、ない形と命令形を続けて言わせ(行かない——行け)、指が上へ行くか下へ行くかを確かめさせます。
  • 可能表現(1)(第22課)グループⅠの可能形(行ける・書ける)も え段を使いますが、後ろに「る」が付いて「〜ことができる」の意味になります。命令形は「る」のない行け・書けで、意味は「しろ」です。「書けますか」と聞かれて「書け」と答えるような混同が出るので、2列に並べて意味を言わせてから形を言わせます。
  • 意向表現(第23課)意向形はグループⅠで お段+う(帰ろう・行こう)、グループⅡで よう(食べよう)です。グループⅠの「帰る」を間違ってグループⅡのように作った「*帰ろ」は、意向形「帰ろう」のくだけた言い方と同じ音になります。見分けるときは、形(グループⅠの命令形は え段の「帰れ」、意向形は お段+う の「帰ろう」)と、使う場面(意向形は話し手もいっしょにする誘いや自分の決心、命令形は相手だけに強くさせる言い方)の二つを並べて確かめさせます。
関連する文型

学習項目 2 命令表現と禁止表現

意味・はたらき学習項目 1

命令形は相手に強く「しろ」と言う形、禁止形は強く「するな」と言う形です。普通体の中でも特に直接的で、丁寧さを表す部分がないので、使う場面が限られます。おもな場面は、①スポーツの応援や試合中(がんばれ・走れ)、②道路の標識や注意書き(止まれ・さわるな)、③主に男性が、親しい友達や年下の家族に言うとき(こっちへ来い・心配するな)、④火事や事故など緊急のとき(逃げろ・危ない、止まれ)です。教室で学習者が先生や友達に使うと、怒っている・乱暴だと受け取られるので、自分が人に頼むときは「〜てください」「〜ないでください」を使い、命令形・禁止形は聞いたり見たりしてわかるための形、人の言ったことを伝えるための形として練習します。人の言葉を伝えるときは、第17課の「〜と言いました」の中に入れて「父は宿題をしろと言いました」と言えます。

接続

命令形/禁止形で文を終える(普通体の文)。人の言葉を伝えるときは 命令形・禁止形+と言いました

形
がんばれ!/走れ!(応援)止まれ/ここで遊ぶな(標識・注意書き)こっちへ来い/心配するな(親しい男性どうし・年下の家族へ)父は宿題をしろと言いました(人の言葉を伝える)

導入

  • 4枚の場面の絵で「だれが言うか」サッカーの応援席、道路の「止まれ」の標識、火事の家、夕方にテレビを見ている息子と父親の4枚の絵を黒板に貼り、教師がそれぞれの場面のことば(がんばれ・止まれ・逃げろ・宿題をしろ)を言う。学生に「だれがだれに言いますか」と聞き、絵の下に答えを書いて、命令形・禁止形が出る場面は決まっていることを見せる。板書は「[V命令形]!」「[V辞書形]な!」の枠と、4つの場面の名前。
  • 同じことを丁寧に言い直す教師がわざと強い声で「座れ」と言ったあと、笑って「座ってください」と言い直し、聞いた感じの違いを学生に言わせる。そのうえで板書に「書いてください(丁寧な頼み)/書いて(親しい人へ)/書け(強い命令)」を上から下へ並べ、教室で自分が使うのは上の段だと約束する。アニメやゲームで命令形を覚えている学生には、ここで理由までていねいに説明しておく。

板書案

[V命令形]!  [V辞書形]な!
がんばれ!(応援) 止まれ(標識) 逃げろ!(緊急) 宿題をしろ(父→子)
〔赤〕だれが → だれに を4枚の絵の下に
書いてください > 書いて > 書け (〔青〕上の段が自分で言う形)
父は 宿題をしろ と 言いました。(〔黄〕人の言葉を伝える)

場面と発話(自作)

  • 大学のサッカーの試合で、留学生が応援席から友達のチームを応援する。がんばれ!走れ!
  • 寮で火事のベルが鳴ったとき、男子学生が部屋の中の友達に大きい声で言う。火事だ!外へ逃げろ!
  • 夕方、父親が、テレビを見ている中学生の息子に言う。テレビを消せ。先に宿題をしろ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

代入練習では、場面カード(応援・標識・緊急・父と子)と動詞カードを組み合わせて、その場面の一言を命令形・禁止形で言わせる。次に同じ内容を「〜てください/〜ないでください」に言い直させ、聞く形と自分が言う形を両方向で行き来させる。場面のやり取りでは、「子どものとき、お父さんはよく何と言いましたか」と聞き合い、「野菜も食べろと言いました」「ゲームをするなと言いました」のように「〜と言いました」で答える。

  1. 口頭4枚の場面の絵(応援席・道路の標識・火事・夕方の家)を貼り、教師が場面を指して動詞のキューを出す(「走る」→「走れ!」、「止まる」→「止まれ」、「逃げる」→「逃げろ!」、「する」→「宿題をしろ」)。全体で言ったあと、同じ絵で「〜てください/〜ないでください」に言い直させる(走ってください・宿題をしてください)。最後に教師が命令形を言い、学生がそれを「〜と言いました」で伝える(先生は走れと言いました)。
  2. ペア情報差のある伝言練習。Aにだけ「父と子」「コーチと選手」などの場面と命令の一言を書いたカードを渡す(野菜も食べろ・もっと走れ・遅れるな)。Bが「お父さんは何と言いましたか」と聞き、Aはカードを見せずに答える。Bは聞いた一言を「お父さんは野菜も食べろと言いました」と伝え直し、さらに自分が人に頼む形(野菜も食べてください)に言い換える。3枚で交替。
  3. 産出活動「うちのことば伝言リレー」。学習者が子どものころ家族や先生によく言われたことを2つ思い出し、「父はよく〜と言いました」の形でクラスに話す(命令形か禁止形を必ず1つ入れる)。聞いた人は一つ選んで、それを今自分が友達に言うなら何と言うかを「〜て」「〜てください」で言う。教師が見るのは、命令形・禁止形の形、「と言いました」の前が普通体になっているか、自分が言う形と伝える形を混ぜていないか。

つまずきと手当て

  • 教室で先生や友達に「先生、こっちへ来い」「それ、見ろ」と言ってしまう。アニメやゲームで命令形を覚えた学習者に多い。文法は正しいので、誤りとしてではなく「強すぎる」として扱い、4枚の場面の絵に戻って、自分が言うときは「〜てください」と言い直させる
  • 聞いたときに、文の終わりの「な」を全部禁止だと思う(「この店、いいな」「わたしも行きたいな」)。禁止の「な」は動詞の辞書形にすぐ付き、短く強く言うことを、二つの文を続けて聞かせて比べる
  • 女性の学習者が、男性の話し方の命令形をそのまま使う。女性が親しい人に言うときは「〜て」「〜ないで」を使うことが多く、命令形は強く聞こえやすいと伝える。ただし応援や緊急のときはだれでも命令形を使う

既習の文型との違い

  • 〜ないでください(第12課)/〜てはいけません(第13課)第12課の「さわらないでください」は丁寧に頼む禁止、第13課の「さわってはいけません」はきまりとして言う禁止で、どちらも学習者が自分で言える形です。禁止形「さわるな」は同じ内容をいちばん短く強く言う形で、標識・緊急・親しい男性どうしにほぼ限られます。教室で友達に「それにさわるな」と言った学生には、文法は正しいので、場面の絵に戻って「さわらないでください」と言い直させます。
  • 〜と言います/言う(第17課)第17課では「〜と言いました」の前に普通体の文を入れました。命令形・禁止形も普通体なので、そのまま入ります(先生は静かにしろと言いました)。ただし、元の言葉が「宿題をしなさい」なら、伝えるときもそのまま「なさい」で入れると伝え、聞いた形を勝手に命令形に変えないようにさせます。
関連する文型

学習項目 3 〜という意味です

意味・はたらき学習項目 2

標識・マーク・漢字・ことばの意味を説明するときの言い方です。「XはYという意味です」の形で、Yに意味の中身を普通体で入れます。命令形や禁止形もそのまま入るので、「門の前の『駐車禁止』は、ここに車を止めるなという意味です」のように、標識や注意書きの意味を説明するのにちょうどよい形です。意味を聞くときは「Xはどういう意味ですか」「Xは何という意味ですか」と聞きます。第17課の「日本語で何と言いますか」がことばを聞く質問なのに対して、こちらはことばの意味を聞く質問で、向きが反対です。

接続

Xは+普通体の文(命令形・禁止形も入る)/名詞+という意味です(聞くとき: Xはどういう意味ですか)

形
「止まれ」は、ここで一度止まれという意味ですこの絵は、ここで写真をとるなという意味ですXはどういう意味ですか/何という意味ですか「立入禁止」は、中に入ってはいけないという意味です

導入

  • 標識とマークの絵で意味を聞く教師が「止まれ」の標識(赤い逆三角)、禁煙のマーク、「さわるな」と書いた注意書きの絵を黒板に貼り、学生に「これはどういう意味ですか」と聞く。学生の答えを受けて、教師が「ここで一度止まれという意味です」と言い直し、「[X]は [普通体]という意味です」の枠で板書する。命令形・禁止形が「という」の前にそのまま入ることを、色を変えて見せる。
  • 「何と言いますか」と並べる黒板の上の段に第17課の「『たばこを吸ってはいけません』は、日本語で何と言いますか——『禁煙』と言います」、下の段に「『禁煙』はどういう意味ですか——たばこを吸ってはいけないという意味です」を書き、矢印で向きが反対だと見せる。そのあと学生が知らない漢字のことば(立入禁止・駐車禁止など)を書いて、学生に意味を聞かせ、教師が答える。

板書案

[X]は [普通体の文]という意味です。
「止まれ」は、ここで一度〔赤〕止まれ という意味です。
この絵は、ここで写真を〔赤〕とるな という意味です。
〔青〕「と+いう」を丸で囲んで一つのかたまりに
上の段『禁煙』と言います(ことばを聞く)⇅ 下の段 どういう意味ですか(意味を聞く)

場面と発話(自作)

  • 日本に来たばかりの留学生が、自転車で通る道の赤い標識を指して、日本人の友達に聞く。あの「止まれ」はどういう意味ですか。——自転車も車も、ここで一度止まれという意味です。
  • 工場で、先輩の社員が、新しく入った社員に機械にはってある赤いマークの意味を説明する。この赤いマークは、機械にさわるなという意味です。
  • 授業中、学生が教科書に出てきた新しいことばの意味を先生に聞く。先生、「立入禁止」は何という意味ですか。——ここに入ってはいけないという意味です。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

代入練習では、標識・マーク・注意書きのカードを見せて「〜は…という意味です」と言わせる。はじめは命令形・禁止形で、次に同じカードを「〜てはいけない」「〜なければならない」(第12・13課)で言い直させる。場面のやり取りでは、学習者がスマートフォンで撮ってきた町の標識やマークの写真をペアで見せ合い、「これはどういう意味ですか」「〜という意味です」と聞き合う。

  1. 口頭標識・マーク・注意書きのカード(止まれ・禁煙・駐車禁止・さわるな・非常口)を見せ、教師が「これはどういう意味ですか」と聞く → 全体で「ここで一度止まれという意味です」→ 個人。1周目は命令形・禁止形で答えさせ、2周目は同じカードを「〜てはいけない」「〜なければならない」で言わせる(駐車禁止→ここに車を止めてはいけないという意味です)。「という」を落とした学生には、教師が両手で「と」と「いう」を一つに合わせる動きを見せる。
  2. ペア情報差のある「マークの意味当て」。Aには標識の絵だけのカード、Bにはその意味を書いたカードを別々に配る。Aが絵を見せて「これはどういう意味ですか」と聞き、Bは手元のカードから合うものを探して「〜という意味です」と答える。違っていたらAが「いいえ、違うと思います」と言い、Bがもう一度選ぶ。5枚で役を交替する。
  3. 産出活動「町のマーク図鑑」。学習者が通学の道や駅で見つけた標識・マーク・注意書きを写真に撮るか絵に描いて持ってきて、1枚ずつ「これは〜という意味です」とクラスに説明する。聞いた人は、そこで自分が人に頼むならどう言うかを「〜てください/〜ないでください」で言い足す。教師が見るのは、「という」の有無、「という」の前が普通体か、「何と言いますか」と「どういう意味ですか」の取り違え。説明の文はカードに書いて壁に貼り、クラスの図鑑にする。

つまずきと手当て

  • 「*さわるなの意味です」「*さわるなと意味です」と「という」を落としたり、半分だけ言ったりする。「と+いう」で一つのかたまりだと板書で囲み、「という意味です」を一息で言う練習をくり返す
  • 意味を聞きたいのに「これは日本語で何と言いますか」と聞いてしまう(ことばを聞く質問になる)。文法は正しいので直すのではなく、黒板の上下の矢印に戻って、知りたいのがことばか意味かを確かめる
  • 意味の中身を丁寧形で「ここで写真をとってはいけませんという意味です」と言う。誤りではないが説明らしく聞こえないので、「という」の前は普通体(命令形・禁止形・〜てはいけない)で言うと自然だと伝える

既習の文型との違い

  • 〜と言います/言う(第17課)第17課の「〜と言いました」は人が言った言葉を伝える形で、主語は人です。「〜という意味です」は言葉そのものではなく意味の中身を入れる形で、主語は標識やことば(Xは)になります。学習者が「このマークはさわるなと言いました」とマークが話したように言うことがあるので、主語が人なら「と言いました」、物やことばなら「という意味です」と分けさせます。
  • 〜は…ことです(第15課)第15課の「趣味はサッカーをすることです」は、Xの中身を「こと」でまとめて言う形でした。「〜という意味です」も「XはYです」の形ですが、Yに入るのは標識やことばの意味を説明する文で、「という意味」でまとめます。マークの説明で「この絵は、写真をとらないことです」と言う学生には、二つの枠を上下に並べ、意味を言うときは「という意味です」だと見せます。
関連する文型

学習項目 4 〜なさい

意味・はたらき学習項目 3

ます形の「ます」を取って「なさい」を付ける命令の言い方です。親が子どもに、先生が生徒に言うなど、上の立場の人が下の立場の人に言うときに使い、男性も女性も使います。命令形より少しやわらかく聞こえますが、命令であることは同じなので、友達や目上の人には使いません。テストや教科書の指示(「正しいものを選びなさい」「次の文を読みなさい」)にもよく出るので、学習者にとっては読んでわかることが大切です(試験問題では「選べ」「答えよ」のような命令形で書かれることもあります)。あいさつの「おやすみなさい」「ごめんなさい」も同じ「なさい」です。「〜なさい」には決まった否定の形がないので、しないように言うときは「〜てはいけません」「〜ないようにしなさい」(第24課)などを使います。

接続

ます形(「ます」を取った形)+なさい(書きなさい・食べなさい・しなさい・来(き)なさい)

形
Vなさい(書きなさい・食べなさい)しなさい/来(き)なさい〜て、〜なさい(顔を洗って、ご飯を食べなさい)〜ないようにしなさい

導入

  • 朝の家の絵で母親の役をする朝の家の絵(寝ている子ども・時計・朝ご飯)を貼り、教師が母親の役で「起きなさい」「顔を洗いなさい」「ご飯を食べなさい」と言いながら絵を指していく。学生に「国で、お母さんは朝よく何と言いましたか」と聞き、母語で出た答えを教師が「〜なさい」に直して板書する。板書は「[Vます]なさい」の枠で、「ます」を消して「なさい」を書く動きを見せる。
  • 指示文を読み、表にまとめる日本語のテストのような短いプリントを配り、「( )に書きなさい」「正しいものを選びなさい」の指示を読ませて、何をすればいいかを動作で答えさせる。最後に板書の表を「起きてください(丁寧な頼み)/起きなさい(親→子・先生→生徒)/起きろ(強い命令・主に男性)」の3段にし、だれがだれに言うかを横に書いてこの課のまとめにする。

板書案

[Vます]なさい
起きます → 起き〔赤〕なさい  食べます → 食べなさい
します → しなさい  来(き)ます → 来(き)なさい
起きてください(丁寧な頼み)|起きなさい(親→子・先生→生徒)|起きろ(強い命令)
〔青〕表の右に「だれが → だれに」

場面と発話(自作)

  • 朝7時半、母親がまだ寝ている小学生の子どもを起こす。7時半ですよ。起きて、顔を洗いなさい。
  • 小学校の先生が、教室でさわいでいる子どもたちに言う。静かにしなさい。席に座りなさい。
  • 日本語のテストの用紙の、最初の問題の指示。次の文を読んで、正しいものを一つ選びなさい。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

代入練習では、朝の家の絵カード(起きる・顔を洗う・歯をみがく・ご飯を食べる・学校へ行く)を見せ、母親の役で「〜なさい」と言わせる。次に同じカードで子どもの役になり、「母は顔を洗いなさいと言いました」と人の言葉として伝えさせる。場面のやり取りでは、親と子・先生と生徒のロールプレイのあと、テストの指示文のカードを引いて読み、指示どおりの動作をする。

  1. 口頭朝の家の絵カード(起きる・顔を洗う・歯をみがく・ご飯を食べる・学校へ行く)を見せ、教師がます形でキューを出す(「起きます」)→ 全体で「起きなさい」→ 個人。慣れたらキューを辞書形に変え(「洗う」)、ます形に直してから「洗いなさい」と言わせる。「します」「来ます」は最後に3回ずつ。次にテストの指示のカード(書く・選ぶ・読む・答える)で「次の文を読みなさい」の形にする。
  2. ペア「親と子」の役割練習。Aが母親か父親、Bが子どもで、時計の絵(朝7時・8時・夜10時)を1枚ずつ引く。Aは時間に合わせて「〜なさい」を2つ言い、Bは「はい、今起きます」「あとでします」と答える。続けてBは先生にその話をする役になり、「母は顔を洗いなさいと言いました」と伝える。3枚で交替する。
  3. 産出活動「指示文どおりに動こう」。教師がテストのような指示のカード(名前を書きなさい・正しいものを選びなさい・声に出して読みなさい・立ちなさい)を用意し、学習者が引いて読み、何も言わずにそのとおりに動く。後半は学習者がクラスメートのために指示のカードを3枚書き、交換して動いてみる。教師が見るのは、ます形からの作り方、「来なさい」の読み、指示を読んで動けるか。最後に、同じことを友達に頼むなら「〜てください」になることを確かめる。

つまずきと手当て

  • 「*書くなさい」「*食べるなさい」と辞書形に付ける。板書の「ます」を消して「なさい」を書く動きに戻り、ます形のカードからだけ作らせる
  • 「来なさい」を「*こなさい」と読む。ます形が「来(き)ます」なので「きなさい」になると、ます形を言わせてから付けさせる
  • しないように言おうとして「*行くなさい」「*行かないなさい」と作る。「〜なさい」には否定の形がないので、「行ってはいけません」「行かないようにしなさい」と言うと伝える
  • 先生や先輩に「先生、ここに座りなさい」と言ってしまう。文法は正しいが失礼になるので、3段の表に戻って「座ってください」と言い直させる

既習の文型との違い

  • 命令表現と禁止表現(第25課)命令形「起きろ」はいちばん強く、主に男性が親しい相手に使い、応援や緊急の場面でも出ます。「起きなさい」は親や先生が下の立場の人に言う命令で、男性も女性も使い、命令形より少しやわらかく聞こえます。母親のせりふを「起きろ」で書く学生には、だれがだれに言うかの表に戻して「起きなさい」を選ばせます。
  • 〜てください(第11課)「〜てください」は話し手が相手に丁寧に頼む形で、「すみませんが」を付ければ目上にも使えます。「〜なさい」は上の立場から下へ言う形なので、学生が先生に「ここに書きなさい」と言うと失礼になります。どちらも相手にさせる言い方なので、形ではなく相手との関係で選ぶ、と表で確かめます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の練習には、命令形・禁止形を作るための動詞(逃げる・止まる・急ぐ・さわる など)と、標識・マーク・注意書きのことば(禁煙・立入禁止・危険 など)を使います。動詞は辞書形のカードで入れ、裏に命令形と禁止形を書いておくと、作り方の練習と語彙の確認が一度にできます。標識のことばは漢字が多いので、読みと意味を「〜という意味です」の枠で説明させ、書けることまでは求めなくてよいでしょう。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • 止まります(とまります) 動いている人や車が、動かなくなります。 ここで〜・車が〜・赤で〜
    自転車で走っていて、道に赤い標識がある。友達に意味を聞かれた。
    「あれは、ここで一度止まれという意味です。」
  • 逃げます(にげます) 危ないところから、急いで別の場所へ行きます。 外へ〜・火事から〜
    寮で火事のベルが鳴った。部屋の中の友達に言う。
    「火事だ!外へ逃げろ!」
  • 急ぎます(いそぎます) 時間がないので、早くします。 駅まで〜・仕事を〜
    電車が出るまであと3分。いっしょに走っている友達に言う。
    「あと3分だ。急げ!」
  • がんばります(がんばります) 力を出して、一生懸命にします。 練習を〜・最後まで〜
    マラソン大会で、友達が走っている。道のそばから応援する。
    「がんばれ!もう少しだ!」
  • さわります(さわります) 手で物に軽くつけます。 機械に〜・手で〜
    工場で、新しい社員が動いている機械に手をのばした。
    「危ない!さわるな!」
  • 選びます(えらびます) いくつかの中から、一つや二つを決めて取ります。 一つ〜・正しいものを〜
    日本語のテストの問題の指示。
    「正しいものを一つ選びなさい。」
  • 標識(ひょうしき) 道路などにあって、絵や字で、してはいけないことやしなければならないことを知らせる板です。 道路の〜・〜を見る
    日本に来たばかりの留学生が、道で赤い板を見て友達に聞く。
    「あの標識はどういう意味ですか。」
  • マーク(まーく) 形や絵だけで意味を表すしるしです。 赤い〜・〜の意味
    駅のトイレの前で、留学生が友達にマークの意味を説明する。
    「このマークは、車いすの人も使えるという意味です。」
  • 禁煙(きんえん) たばこを吸ってはいけないことです。 〜の席・〜の店
    レストランに入って、店の人に聞く。
    「すみません、この席は禁煙ですか。」
  • 立入禁止(たちいりきんし) その場所に入ってはいけないことです。 〜の場所・〜の紙
    工事をしている場所の前に紙がはってある。友達に説明する。
    「『立入禁止』は、ここから先へ行ってはいけないという意味です。」
  • 危険(きけん) 危ないことです。注意書きや標識によく書いてあります。 〜な場所・〜です
    川のそばの注意書きを見て、友達に説明する。
    「『危険』は、危ないから近くへ行くなという意味です。」

宿題と次のコマ

宿題は、①動詞15個(グループを混ぜる)の命令形と禁止形を書くこと、②学校・寮・駅・町で見た標識や注意書きを2つ写真に撮るか写して、「〜は…という意味です」で説明を書くこと、③子どものころ家の人がよく言ったことを「母は(よく)〜なさいと言いました」の形で2文書くこと。次のコマの最初に、宿題の写真をクラスで見せ合って意味を説明し、家を出るときのあいさつ「行ってきます」を話題にしてから、第26課の「〜てきます」に入ります。

よくある質問

  • 第25課の命令形は学習者に使わせてもいいのですか?

    この課では、命令形・禁止形を自分から人に言う形としては使わせず、聞いて・見てわかる形、人の言ったことを「〜と言いました」で伝える形として練習します。教室で先生や友達に使うと乱暴に聞こえるからです。ただし応援(がんばれ)や緊急(逃げろ)は使う場面がはっきりしているので、その場面の中でなら言わせてかまいません。

  • 命令形は辞書形から作らせますか、ます形から作らせますか?

    この教案では第15課の辞書形から作ります。グループⅠは最後の音を う段→え段 と五十音図の下へ一つ動かすだけなので、第12課のない形(上へ一つ)と向きで対にできるからです。ます形から作る説明(い段→え段)も同じ結果になるので、ます形のほうが強い学生にはそちらを見せてもかまいません。する・来るの「しろ・こい」は規則で作らず、丸ごと覚えさせます。

  • 命令形と「〜なさい」と「〜てください」の違いはどう教えればいいですか?

    形の違いより「だれがだれに言うか」で分けます。「〜てください」は自分が人に頼む形で目上にも使え、「〜なさい」は親や先生が下の立場の人に言う形、命令形はいちばん強く、応援・標識・緊急・親しい男性どうしで出る形です。板書では 起きてください/起きなさい/起きろ の3段の表にし、学習者が自分で言うのは上の段だと約束します。

  • 禁止の「な」と「いいな」の「な」は、どう聞き分けさせますか?

    禁止の「な」は動詞の辞書形にすぐ付き、短く強く言います(行くな)。「この店、いいな」「わたしも行きたいな」の「な」は形容詞や「たい」のあとに付いて気持ちを表すもので、やわらかく言います。二つの文を続けて聞かせ、前に来る語が動詞の辞書形かどうかで分けさせると混ざりにくくなります。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は導入と命令形・禁止形の作り方、学習項目1の命令表現と禁止表現まで。2コマ目は「〜という意味です」と「〜なさい」、標識の写真を使ったまとめの活動です。作り方が定着しないクラスでは、2コマ目の最初に命令形のカード練習を10分入れます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。