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学ぼう!にほんご 初中級 第2課「今日は早く帰らせていただけませんか」の教案

『学ぼう!にほんご 初中級』

体調が悪い・急な用事がある、といった理由を言って、先生や上司に許可を求める力をつける課です。課の題の「〜させていただけませんか」は、使役のて形に「いただけませんか」をつけて「わたしが〜することを許してもらえませんか」と頼む形で、許可を求める言い方の中でもとくに丁寧なものの一つです。初級の「〜てもいいですか」から段を上げて使います。学習項目は、理由をやわらかく言う「〜気味」、なぜ今なのかを言う「〜うちに」「〜ないうちに」、許可を求める基本の「〜てもいいですか」で、どれも「理由 → 今でなければならないわけ → お願い」という許可の求め方の部品になります。板書は「理由(〜気味なので)」「時(〜ないうちに)」「お願い(〜させていただけませんか)」の三つの箱を課の最後まで残し、項目が進むたびに箱の中身を増やしていくと、目標の活動にそのままつながります。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目4時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 体調や様子を「〜気味」でやわらかく言い、許可を求めるときの理由として使える
  • 「〜うちに」「〜ないうちに」で、状態が変わる前に今しておきたいことを言い、なぜ今なのかを相手に伝えられる
  • 「〜てもいいですか」「〜てもよろしいでしょうか」「〜させていただけませんか」を、相手と頼むことの大きさで選び分けられる
  • 理由を言ってから許可を求め、許可されたとき・断られたときの受け答えまでできる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(目標の場面)10分熱があるのに授業中・仕事中の人の絵を見せ、「先生(課長)に何と言いますか」と学生に言わせてみる。出てきた言い方(帰ってもいいですか・帰りたいです など)を黒板の端に残し、この課の終わりには理由をつけて、もっと丁寧に言えるようにすると予告する。板書の三つの箱(理由・時・お願い)はここで描いておく
学習項目1 〜気味25分くしゃみ・眠そうな目・疲れた顔の絵カードで「風邪気味」「寝不足気味」「疲れ気味」を導入し、「少しその様子がある」という意味を「ひどい風邪」の絵と比べて確かめる。できた形を「理由」の箱へ入れる
学習項目2 〜うちに…30分熱いスープと冷めたスープ、明るい空と暗い空の絵を左右に並べ、「熱いうちに」「明るいうちに」を導入。うちにの前は、いつか変わる状態だと確かめ、「今のうちに」を「時」の箱へ
学習項目3 〜ないうちに…25分同じ絵を右側(変わったあと)から見て「冷めないうちに」「暗くならないうちに」。学習項目2の文と線で結んで言い換えさせ、「〜まえに」との気持ちの違いを比べる。1コマ目はここまで(残りの時間で「〜ないうちに〜たいので、」まで言わせておく)
学習項目4 〜てもいいですか40分初級の「〜てもいいですか」を教室の小さなお願いで思い出させてから、頼むことを大きくしていき、丁寧さの階段(〜てもいい?→〜てもいいですか→〜てもよろしいでしょうか→〜させていただけませんか)を作る。使役のて形の作り方を表で確かめ、「お願い」の箱を埋める
目標の活動(許可を求めるロールプレイ)35分相手(先生・店長・課長)と事情(風邪気味・家族の用事・台風・病院の予約)が書かれたカードを引き、三つの箱を使って許可を求める。相手役は「許可する」「条件をつけて許可する」「断る」のカードを持ち、受け答えまで続ける。役を交代して2〜3回
まとめ15分ロールプレイで言ったお願いを、先生あての短いメールに書き直す(件名・理由・お願い・お礼)。話すときとメールで、どこが同じでどこが違うかを確かめて終わる

学習項目 1 〜気味

意味・はたらき学習項目 1

「少し〜の様子がある」「〜の傾向が出ている」ことを表します。風邪気味(少し風邪をひいているような感じ)・疲れ気味・寝不足気味・遅れ気味・太り気味のように、多くはあまりよくない状態に使います。「少し」の意味がもともと入っているので、「病気です」とはっきり言わずに体調をやわらかく伝えることができ、許可を求めるときの理由に向いています。読みは「ぎみ」です(「気味が悪い」の「きみ」とは使い方が別です)。

接続

N+気味/Vます形(「ます」を取った形)+気味(「〜気味だ」「〜気味で」「〜気味なので」「〜気味のN」の形で使う)

形
N気味だ(風邪気味だ・寝不足気味だ・緊張気味だ)Vます形+気味だ(疲れ気味だ・遅れ気味だ)〜気味なので、…(理由として)〜気味のN(太り気味の人)

導入

  • 体調の絵カードで「少し」を見せるくしゃみをしている人・目が赤くて眠そうな人・肩を落としている人の絵を見せ、「この人は病気ですか」と聞く。「病気じゃないけど、少し…」という答えを受けて「風邪気味」「寝不足気味」「疲れ気味」と板書する。ベッドで寝ている「ひどい風邪」の絵と並べ、気味は「少しその感じがある」ことだと比べて見せる。
  • 「理由」の箱に入れる板書の「理由」の箱に「風邪気味なので」を書き入れ、教師が上司役に向かって「少し風邪気味なので、きょうは早めに失礼してもいいですか」と言って見せる。病名をはっきり言わなくても理由になること、言い方がやわらかくなることに学生自身で気づかせる。

板書案

N/Vます形 + 気味(ぎみ)
風邪 → 風邪気味  寝不足 → 寝不足気味  疲れます → 疲れ気味
少し 風邪気味なので、早めに 失礼しても いいですか。
〔赤〕気味 〔青〕「少し」と線で結ぶ 〔理由の箱〕に「〜気味なので」を入れる
ひどい風邪の絵とは矢印で区別(気味=少しその様子)

場面と発話(自作)

  • アルバイトの前の日、のどが痛くなった留学生が、店長に電話で体調を伝える。すみません、きのうから少し風邪気味で、のどが痛いんです。
  • 試験が続いた週の終わり、友達に食事に誘われたが、早く休みたい。ごめん、今週はちょっと寝不足気味だから、きょうは帰るね。
  • 会議で、課長が部下に作業の進み具合を聞く。予定より少し遅れ気味ですが、金曜日までには終わります。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

体調・様子の絵カードを見せて「〜気味です」で言わせ、次に「〜気味なので、〜てもいいですか」と許可の文まで一息で言わせる。ペアで相手の顔の絵カードを見て「どうしたんですか」「ちょっと〜気味で…」のやり取りを回す。

  1. 口頭教師が絵カードか語を出し、学生が「〜気味です」で返す。キューは「くしゃみの絵→風邪気味です」「あくびの絵→寝不足気味です」「肩を落とした人の絵→疲れ気味です」「進まない仕事と時計の絵→遅れ気味です」「人前で手がふるえる絵→緊張気味です」。全体→列→個人の順で、2周目からは「風邪気味なので、マスクをしてもいいですか」のように許可の文まで一息で言わせる。
  2. ペアAは顔の絵カードを持ち、その人になって答える。カードはBに見せない。Bが「どうしたんですか」と聞き、Aは「ちょっと〜気味で…」と答える。Bはそれを受けて「じゃあ、きょうは早く寝たほうがいいですよ」のように一言すすめる。カード5枚で役を交替する。
  3. 産出「今週の体調チェック」。学生が今週の自分の体調や様子を「〜気味」で2〜3文書き(今週は寝不足気味です。少し太り気味なので、毎朝歩いています など)、クラスを回って3人に聞いて表にまとめる。教師が見るのは、動詞をます形につないでいるか、よい状態に使っていないか、「とても」と組み合わせていないかの三点。最後に多かった体調を「理由」の箱に書き足して、学習項目4につなぐ。

つまずきと手当て

  • 「*疲れる気味」「*疲れた気味」と、辞書形やた形につける。動詞は「疲れます」の「ます」を取った形につくと、ます形を板書してから作らせる
  • よい状態にも使ってしまう(「元気気味です」「上手気味です」)。文法の誤りというより、ふつうは言わない不自然な言い方で、気味は望ましくない傾向に使うことが多いと伝え、よく使う語(風邪・疲れ・寝不足・緊張・遅れ・太り)を表にして残す
  • 「〜がち」「〜っぽい」と混ぜる。気味は「今、少しその様子がある」、がちは「何度もそうなりやすい」(休みがち・病気がち)、っぽいは「そう感じる・そう見える」(熱っぽい・子どもっぽい)と、ある1日の絵と1か月の絵で分けて見せる。この本ではあとの課でもう一度出てくる
  • 「とても風邪気味です」のように強い程度の語をつける。気味にはもともと「少し」の意味があるので、「少し」「ちょっと」と合わせるのが自然だと伝える

既習の文型との違い

  • 〜そうです 様態(初級Ⅱ 第29課)「疲れそうです」は、見た様子から「これからそうなりそうだ」「そう見える」と判断する言い方で、主に他の人や物について使います。「疲れ気味です」は、もう少しその状態になっていることを言い、自分の体調にも使えます。自分の今の体調を「わたしは疲れそうです」と言う学生には、「これから疲れそうだ」の意味に聞こえると伝え、「疲れ気味です」に言い直させます。
  • 〜すぎます(初級Ⅱ 第29課)「〜すぎます」は程度が大きすぎること(働きすぎて、疲れました)、「〜気味」は少しその傾向があることで、程度の向きが反対です。許可の理由として言うとき、「疲れすぎて」は強く聞こえ、「疲れ気味で」はやわらかく聞こえると、二つを並べて読み比べさせます。
関連する文型

学習項目 2 〜うちに…

意味・はたらき学習項目 2

「Aの状態が続いている間に、Aが変わってしまう前にBをする」という意味です。熱いうちに(冷める前に)食べる、明るいうちに(暗くなる前に)帰る、若いうちに(年を取る前に)いろいろな経験をする、のように、Aはいつか終わる・変わる状態で、話し手には「変わってからでは遅い、だから今」という気持ちがあります。後ろには「〜する」「〜たほうがいい」「〜ておく」のような、話し手がそうしたい・そうするべきだと考える動作が来ることが多いです。このほかに「話しているうちに眠くなった」のように「Aをしている間に、気がつくと変化が起きていた」という使い方もありますが、この課では前の使い方を中心にします。

接続

Vている/Vる(いる・ある・できる などの状態を表す動詞)・い形・な形+な・N+の +うちに

形
今のうちに/学生のうちに熱いうちに/元気なうちに日本にいるうちに電車が動いているうちに

導入

  • 熱いスープの絵で「変わる前」を見せる湯気の出ているスープの絵と冷めたスープの絵を左右に並べ、間に矢印を引く。左の絵を指して「今は熱いですね。冷めたら、おいしくないですね。だから…」と言いかけ、「熱いうちに食べてください」を引き出して板書する。同じ形で「明るい空→暗い空」「若い人→年を取った人」の絵を見せ、うちにの前の状態はいつか変わることを確かめる。
  • 「今のうちに」を許可の理由に使う板書の「時」の箱に「今のうちに」を書き、教師が「雪がひどくなりそうです。電車が動いているうちに、駅まで急ぎましょう」と言う。学生に「どうして今急ぐんですか」と聞き、うちにを使うと「なぜ今なのか」が相手に伝わり、許可がもらいやすくなることを確かめる。

板書案

〔今の状態〕 + うちに + 〔したいこと〕
熱い うちに  元気な うちに  学生の うちに  日本に いる うちに
スープが 熱い うちに 食べて ください。
〔左〕熱いスープ → 矢印 → 〔右〕冷めたスープ(左の絵に〔赤〕丸)
〔時の箱〕今のうちに

場面と発話(自作)

  • 台風が近づいている日の午後、社員が上司に早く帰りたいと伝える。電車が動いているうちに帰りたいので、きょうは少し早く失礼してもよろしいでしょうか。
  • 来年卒業する先輩が、留学生に学生生活のアドバイスをする。時間があるうちに、いろいろなところへ旅行しておいたほうがいいよ。
  • ホームステイ先で、家の人が料理を出しながら言う。どうぞ、温かいうちに食べてください。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

左に今の状態、右に変わったあとの状態を描いた絵カード(熱い/冷めた・元気/疲れた・空いている/混んでいる)を見せて「〜うちに〜」を言わせる。慣れたら「〜うちに〜たいので、〜てもいいですか」と許可を求める文につなげる。

  1. 口頭教師が状態の絵か語を出し、学生が「〜うちに〜」で文にする。キューは「熱いスープ→熱いうちに食べます」「明るい空→明るいうちに帰ります」「元気なおじいさん→元気なうちに旅行します」「すいている店→すいているうちに買います」「学生証→学生のうちに勉強します」。最初は品詞ごと(い形・な形・名詞・Vている)に分けて言わせ、2周目から混ぜる。
  2. ペアAに「今の状態」のカード(外がまだ明るい・バスがすいている・店が開いている・パンが温かい)、Bに「したいこと」のカードを配り、互いに見せない。Aが状態を言い、Bが自分のカードから合うものを選んで「じゃあ、〜うちに〜ましょう」と返す。合わないものを選んだら、Aが「それは…」と言って別のカードを探させる。5組で役を交替する。
  3. 産出「今のうちにリスト」。「日本にいるうちに」「学生のうちに」「若いうちに」から一つ選び、したいことを3つ、理由と一緒に書いてグループで発表する(学生のうちに、運転免許を取りたいです。仕事を始めたら、時間がないからです)。教師が見るのは、な形の「な」と名詞の「の」、うちにの前がいつか変わる状態になっているか、後ろが「〜たい」「〜ておく」「〜たほうがいい」のようなこれからの行動になっているか。

つまずきと手当て

  • 「*熱いのうちに」「*静かうちに」と接続を間違える。い形はそのまま、な形は「な」、名詞は「の」と、品詞ごとに板書の列を分けて見せる
  • 変わらない状態に使う(「富士山が高いうちに写真をとります」)。意味が通じにくい文になるので、うちには「いつか変わる・終わる」状態に使うと、左右の絵に戻って確かめる
  • 「〜間に」と区別できない。「間に」は期間をそのまま言う(夏休みの間に国へ帰った)のに対し、うちには「変わる前に、今のうちに」という話し手の気持ちが入ることが多いと、二つの文を並べて比べさせる

既習の文型との違い

  • 〜とき、…(初級Ⅰ 第18課)「若いとき、よく山に登りました」のように、「とき」は時を言うだけで、過去の思い出にもそのまま使えます。「若いうちに」は「年を取る前に、今」という気持ちが入り、多くは「〜たい」「〜たほうがいい」とこれからのことに使います。「若いうちによく山に登りました」のように過去にも使えますが、ただ時を言うなら「とき」が素直なので、まず「とき」を使わせます。
  • 〜まえに、…(初級Ⅰ 第18課)「暗くなるまえに帰ります」と「明るいうちに帰ります」は同じ場面を言えます。まえには動詞の辞書形か「Nの」について「その時より前」を言い、うちには状態の語について「その状態が続いている間に」を言います。「*明るいまえに」のように、い形容詞をまえにつなぐ誤りが出たら、「明るいうちに」か「暗くなるまえに」に直させます。
関連する文型

学習項目 3 〜ないうちに…

意味・はたらき学習項目 3

「Aになる前に(Aになってしまうと困るので、その前に)Bをする」という意味です。暗くならないうちに帰る、忘れないうちにメモする、料理が冷めないうちに食べる、のように、Aには話し手が止められない変化(暗くなる・冷める・忘れる・混む・売り切れる)が来ることが多いです。「暗くならないうちに」と「明るいうちに」のように、学習項目2の「〜うちに」と同じことを反対側から言える場合がよくあります。「〜まえに」とも近い意味ですが、「ないうちに」には「そうなってしまう前に、急いで」という気持ちが強く出ます。また、「知らないうちに」「気がつかないうちに」の形で「気がつかない間に変化が起きていた」という使い方もあります。

接続

Vない(ない形)+うちに

形
暗くならないうちに忘れないうちに暗くならないうちに(=明るいうちに)知らないうちに…(気がつかない間に)

導入

  • 前の項目の絵を反対側から言う学習項目2で使ったスープと空の絵をもう一度貼り、今度は右の絵(冷めたスープ・暗い空)を指して「こうなったら困りますね」と言う。「冷めないうちに」「暗くならないうちに」と板書し、左の絵の「熱いうちに」「明るいうちに」と線で結んで、同じことを二つの言い方で言えると見せる。
  • 「〜まえに」と並べて気持ちを比べる「6時まえに帰ります」と「暗くならないうちに帰ります」を並べ、どちらが急いでいるように聞こえるかを学生に聞く。まえには時の順番を言うだけ、ないうちには「暗くなったら困るから急いで」という気持ちがあると確かめ、許可を求めるときに「なぜ今」を言うならないうちにが合うことを示す。

板書案

Vない + うちに
暗く ならない うちに 帰ります。
冷めない うちに = 熱い うちに  暗くならない うちに = 明るい うちに
〔青〕時間の線:今 ── 帰る ── 暗くなる(帰るのが先)
〔赤〕ない  暗くなるまえに(時の順番)/暗くならないうちに(急ぐ気持ち)

場面と発話(自作)

  • 授業のあと、窓の外の空が暗くなってきた。留学生が先生に早めに帰りたいと言う。道が暗くならないうちに駅まで行きたいので、5時に出てもいいですか。
  • 会議中に大事なことを思いついた社員が、隣の同僚に小声で言う。忘れないうちに、メモしておきます。
  • 熱が少し出てきた社員が、上司に病院へ行く許可を求める。熱が上がらないうちに病院へ行きたいので、午後は休ませていただけませんか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

変化の絵カード(暗くなる・冷める・混む・忘れる・売り切れる)を見せて「〜ないうちに〜」を言わせ、次に学習項目2の「〜うちに」に言い換えられるものを探させる(暗くならないうちに→明るいうちに)。最後に「〜ないうちに〜たいので、〜させていただけませんか」まで言わせる。

  1. 口頭教師が変化の絵か動詞を出し、学生が「〜ないうちに〜」で文にする。キューは「閉まりかけた店→店が閉まらないうちに買います」「夕方の空→暗くならないうちに帰ります」「湯気の出たお茶→冷めないうちに飲みます」「朝の電車→混まないうちに出ます」「何かを思いついた人の絵→忘れないうちに書きます」。そのあと教師が「明るいうちに」と言い、学生が「暗くならないうちに」と言い換える逆向きの練習も全体→個人で行う。
  2. ペアAは上司役、Bは社員役。Bにだけ知らせのカード(台風が来る・雪がひどくなる・夜から電車が止まる)を配る。Bはカードを読んで「台風が来るそうです。電車が止まらないうちに帰りたいので、早く帰ってもいいですか」と言い、Aは「いいですよ。気をつけて」か「もう少し待ってください」で答える。カード3枚で役を交替する。
  3. 産出「〜ないうちに作戦会議」。3〜4人のグループに困りそうな状況のカード(あした大事な試験がある・家に食べ物がない・夜から雪が降る)を1枚ずつ渡し、「〜ないうちに、何をしておくか」を3つ決めて発表させる(雪が積もらないうちに、食べ物を買っておきます など)。教師が見るのは、ない形の作り方、行動のほうが変化より先だと分かっているか、「*降らないまえに」のような混ざった形が出ていないか。

つまずきと手当て

  • 「ないうちに」と「まえに」を混ぜて「暗くならないまえに」と言う。二つが混ざった形なので、「暗くならないうちに」か「暗くなるまえに」のどちらかに直す
  • 「ない」があるので意味を逆に取り、「暗くならないうちに帰る」を「暗くならない間は帰らない」のように読む。帰るのは暗くなるより先だと、時間の線を引いて確かめる
  • ない形を作り間違える(「*忘れらないうちに」「*混まらないうちに」)。変化を表す動詞(降る・冷める・混む・忘れる・暗くなる)をグループⅠ・Ⅱに分けて、初級のない形の表でもう一度作らせる

既習の文型との違い

  • 〜まえに、…(初級Ⅰ 第18課)「暗くなるまえに」は辞書形について時の順番だけを言い、「寝るまえに歯をみがきます」のような毎日の習慣にも使えます。「暗くならないうちに」はない形について、変わってしまうと困るので急ぐ気持ちが入ります。習慣を「寝ないうちに歯をみがきます」と言うと不自然になるので、習慣や予定はまえにで言わせ、「なぜ今か」を言いたいときにないうちにを使わせます。
  • 〜うちに…(第2課 学習項目2)「明るいうちに」は今続いている状態に目を向け、「暗くならないうちに」は来てほしくない変化に目を向けた言い方です。同じ場面を両方で言えることが多いので、「明るい⇔暗くなる」「熱い⇔冷める」「すいている⇔混む」のように状態と変化の対を表にしておき、言い換えの練習に使います。
関連する文型

学習項目 4 〜てもいいですか

意味・はたらき学習項目 4

初級で習った、許可を求める基本の形です。この課では、だれに・どのくらい大きなことを頼むかで丁寧さの段を選び分けるところまで広げます。友達や家族には「〜てもいい?」、先生や上司への小さなこと(窓を開ける・質問する)には「〜てもいいですか」、仕事を早く切り上げるなど相手に負担をかけることには「〜てもよろしいでしょうか」、さらに丁寧に頼むときは使役のて形を使った「〜させていただけませんか」を使います。「〜させていただけませんか」は「わたしが〜することを、あなたに許してもらえませんか」という意味で、使役の「させる」がここでは「許す」の意味で使われています。どの段でも、先に理由を言ってからお願いを言い、許可されたらお礼を言うのが自然な流れです。

接続

Vて+もいいですか/もよろしいでしょうか。使役のて形+いただけませんか(帰る→帰らせて、休む→休ませて、見る→見させて、する→させて、来る→来させて〔こさせて〕)

形
〜てもいい?(親しい相手)〜てもいいですか〜てもよろしいでしょうか〜させていただけませんか(さらに丁寧に〜させていただけないでしょうか)

導入

  • 初級の形を思い出してから段を上げる教室で「窓を開けてもいいですか」「質問してもいいですか」と学生に言わせ、初級の形を思い出させる。次に「あしたの授業を休みたい」「アルバイトを1時間早く終わりたい」と頼むことを大きくしていき、「てもいいですか」で足りるかを学生に考えさせる。黒板に階段を描き、下から「〜てもいい?」「〜てもいいですか」「〜てもよろしいでしょうか」「〜させていただけませんか」と書き入れる。
  • 使役のて形を作って「お願い」の箱に入れる階段のいちばん上の形のために、初級で習った使役形を表で確かめる(帰る→帰らせる→帰らせて)。「帰らせてください」から「帰らせていただけませんか」へ、相手に聞く形にするとさらに丁寧になると見せる。最後に板書の三つの箱(理由・時・お願い)をつなぎ、教師が「少し風邪気味なので、熱が上がらないうちに、午後の授業を休ませていただけませんか」と通して言う。

板書案

〔理由〕〜ので、 〔時〕〜ないうちに、 〔お願い〕〜ても いいですか
〜ても いい? < 〜ても いいですか < 〜ても よろしいでしょうか < 〜させて いただけませんか
帰る → 帰らせる → 帰らせて いただけませんか
少し 風邪気味なので、午後の 授業を 休ませて いただけませんか。
〔赤〕せて/させて 〔青〕帰る人=わたし、許す人=先生 の矢印

場面と発話(自作)

  • 授業中、急に気分が悪くなった留学生が、先生に言う。すみません、少し気分が悪いので、保健室へ行ってもいいですか。
  • 家族が入院した社員が、上司に休みを取りたいと頼む。母が入院したので、あしたとあさって、休ませていただけませんか。
  • アルバイト先で、客が少ない時間に、学生が店長に聞く。あしたは試験があるので、きょうは30分早く上がってもよろしいでしょうか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

頼むことのカード(窓を開ける・質問する・早く帰る・休む・席を外す)と相手のカード(友達・先生・店長・部長)を1枚ずつ引き、階段のどの形を使うかを選んで、理由をつけて言わせる。相手役は「ええ、どうぞ」「すみません、きょうはちょっと…」のどちらかで答え、許可されたら「ありがとうございます」、断られたら「わかりました。では〜」と続けさせる。

  1. 口頭教師が相手と頼むことを言い、学生が階段の段を選んで言う。キューは「先生・窓を開ける→窓を開けてもいいですか」「友達・ペンを借りる→ペン、借りてもいい?」「店長・30分早く帰る→30分早く帰ってもよろしいでしょうか」「部長・あした休む→あした休ませていただけませんか」。続けて使役のて形だけを取り出し、「帰る→帰らせて」「休む→休ませて」「見る→見させて」「する→させて」「来る→来させて」を全体→個人で言わせる。
  2. ペアAは相手のカード(友達・先生・店長・部長)を1枚引いてその人になる。Bは頼むことのカード(ペンを借りる・質問する・早く帰る・1日休む・席を外す)を引き、Aの相手に合う段で、理由をつけてお願いする。Aは段が合っていれば「ええ、どうぞ」、軽すぎると思えば「もう少し丁寧に言ってください」と返す。迷ったら黒板の階段を見て二人で決める。5枚で役を交替する。
  3. 産出「本当のお願いロールプレイ」。学生が今月の自分の本当の予定(病院・家族の用事・面接・引っ越し)から一つ選び、教師を上司か先生に見立てて、理由→今でなければならないわけ→お願い→お礼の順で許可を求める。教師はときどき断る役もして、学生に「では、〜はどうでしょうか」と代わりの案を出させる。教師が見るのは、使役のて形(「さ」を入れていないか・*帰りて)、自分が帰るのに「帰らせてもいいですか」と言っていないか、理由とお願いの長さの釣り合いの三点で、言い終わってから直す。

つまずきと手当て

  • て形を間違える(「*帰りてもいいですか」「*待ちてもいいですか」)。グループⅠの「帰る→帰って」「待つ→待って」を、初級のて形の表に戻して確かめる
  • グループⅠの動詞で「帰らさせていただけませんか」「休まさせていただけませんか」と「さ」を入れる。母語話者にも聞かれる言い方(さ入れ言葉)だが、標準的な形は「帰らせて」「休ませて」なので教室ではこちらで練習する。「させて」になるのはグループⅡ(見させて)とグループⅢ(させて)だと表で分ける
  • 自分が帰りたいのに「早く帰らせてもいいですか」と言う。これは「ほかの人を帰らせる(帰るように言う)ことを許してほしい」という意味になるので、自分が帰るときは「帰ってもいいですか」か「帰らせていただけませんか」だと、「帰る人」と「許す人」を図で示して確かめる
  • 理由を言わずにお願いだけ言う、または理由が長すぎてお願いがなかなか出てこない。理由は「〜ので」「〜んですが」で1文、そのあとすぐお願い、と板書の箱の順を守らせる

既習の文型との違い

  • 〜てもいいです/〜なくてもいいです(初級Ⅰ 第13課)初級では「〜てもいいです」で許可を与え、「〜てもいいですか」で許可を聞く形を覚えました。この課は同じ形を出発点にして、相手と頼むことの大きさで段を上げます。上司に「あした休んでもいいですか」と言うのは誤りではありませんが、仕事を休むような大きなお願いには軽く聞こえるので、「休ませていただけませんか」まで上げさせます。
  • 〜させてください/〜ていただけませんか(初級Ⅱ 第39課)初級Ⅱの「〜させてください」は自分がすることの許しを求める使役の形、「〜ていただけませんか」は相手に何かをしてもらう依頼でした。この課の「〜させていただけませんか」は二つを合わせた形で、自分の行為について相手の許しをもらう言い方になります。「帰っていただけませんか」と言うと「相手に帰ってほしい」という意味になるので、だれが帰るのかを図で確かめます。
  • 〜くれませんか(第1課)第1課の「〜てくれませんか」は相手が何かをする依頼で、動くのは相手です。「〜させていただけませんか」は動くのがわたしで、相手は許す人です。「教えてくれませんか」(相手が教える)と「帰らせていただけませんか」(わたしが帰る)を並べ、だれが動くかを矢印で示します。
関連する文型

語彙の扱い

この課の場面では、体調の語(熱・せき・寒気・頭痛・だるい)と、学校や仕事を休む・早く帰るときの語(早退する・欠席する・遅刻する・席を外す・失礼する)がよく要ります。単語だけで覚えさせず、「熱がある」「早退させていただく」のように助詞や許可の形とつなげて練習します。学習項目1の「〜気味」で使える語(風邪・疲れ・寝不足・緊張)は表にまとめて残しておくと、目標の活動で理由を作るときにそのまま使えます。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 早退します(そうたいします) 学校や会社を、決まった時間より早く出て帰ります。 学校を〜・仕事を〜
    授業中に熱が出た留学生が、先生に言う。
    「熱があるので、きょうは早退させていただけませんか。」
  • 欠席します(けっせきします) 授業や会議に出ません。 授業を〜・会議を〜
    病院の予約がある学生が、先生にメールで知らせる。
    「あしたは病院の予約があるので、授業を欠席してもよろしいでしょうか。」
  • 遅刻します(ちこくします) 決まった時間に遅れて着きます。 授業に〜・会社に〜
    電車が止まった朝、社員が会社に電話する。
    「電車が止まっていて、少し遅刻しそうです。」
  • 失礼します(しつれいします) 「帰ります」「部屋を出ます」を丁寧に言う言い方です。 お先に〜・きょうはこれで〜
    仕事を早く終えた社員が、まだ残っている上司に言う。
    「すみません、きょうはお先に失礼します。」
  • 席を外します(せきをはずします) 少しの間、自分の席から離れます。 少し〜・5分ほど〜
    会議中に、家族から急な電話がかかってきた。
    「すみません、5分ほど席を外してもよろしいでしょうか。」
  • 熱(ねつ) 体の温度が、いつもより高いことです。 〜がある・〜が出る・〜が上がる
    保健室で、学生が先生に体調を話す。
    「少し熱があるので、上がらないうちに帰りたいです。」
  • 寒気(さむけ) 熱が出る前などに、体がぞくぞくと寒く感じることです。 〜がする
    アルバイトの前に、学生が店長に電話する。
    「きのうの夜から寒気がするので、きょうは休ませていただけませんか。」
  • だるい(だるい) 体が重くて、何もしたくないように感じます。 体が〜・朝から〜
    昼休みに、友達に元気がない理由を話す。
    「朝から体がだるくて、ちょっと疲れ気味なんだ。」
  • 予約(よやく) 病院や店などに、前に日と時間を決めておくことです。 〜をする・〜を取る・病院の〜
    午後の授業の前に、学生が先生に頼む。
    「4時に歯医者の予約があるので、少し早く帰ってもいいですか。」
  • 冷めます(さめます) 熱かったものが、だんだん熱くなくなります。 スープが〜・お茶が〜
    家に来た客にお茶を出しながら言う。
    「どうぞ、お茶が冷めないうちに。」
  • 混みます(こみます) 人や車が多くて、いっぱいになります。 電車が〜・道が〜
    夕方、同僚と駅へ向かう前に話す。
    「電車が混まないうちに帰りましょう。」
  • 許可(きょか) 「してもいい」と認めることです。 〜をもらう・〜を求める
    留学生が、早退のしかたを先輩に聞く。
    「早退するときは、先生の許可をもらわなければなりませんか。」

宿題と次のコマ

宿題は、先生か上司に許可を求める短いメールを1通書くこと(件名・理由・今でなければならないわけ・お願い・お礼の順で、「〜気味」か「〜ないうちに」のどちらかと「〜させていただけませんか」を入れる)。次のコマの最初に何通かを読み上げ、相手の立場の学生が「許可したくなるか」「丁寧さの段が合っているか」を言います。許可をもらったあとのお礼は第3課のお礼の言い方につながるので、メールの最後のお礼の一文を次の課の導入に使えます。

よくある質問

  • 「〜させていただけませんか」と「〜てもよろしいでしょうか」はどちらが丁寧ですか?

    どちらも先生や上司に使える丁寧な言い方で、どちらが上かがいつも決まっているわけではありません。この教案では、使役と「いただく」で相手の許しをもらう形になる「〜させていただけませんか」を階段のいちばん上に置き、仕事を休む・早く帰るなど相手に負担をかけるお願いで使わせます。さらに丁寧にしたいときは「〜させていただけないでしょうか」にします。段は目安なので、相手・頼むことの大きさ・言い方の調子で選ぶと伝えます。

  • 第2課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目で「〜気味」「〜うちに」「〜ないうちに」を入れ、2コマ目で「〜てもいいですか」から丁寧さの階段と使役のて形を作り、許可を求めるロールプレイとメールまで進みます。使役形の復習に時間がかかるクラスでは、2コマ目の初めに使役形だけの短い練習を足します。

  • 「〜ないうちに」と「〜まえに」の違いはどう説明すればいいですか?

    「まえに」は辞書形について時の順番を言うだけで、「寝るまえに歯をみがく」のような習慣にも使えます。「ないうちに」はない形について、その変化が起きると困るので先にしておきたいという、急ぐ気持ちが入ります。「6時まえに帰ります」と「暗くならないうちに帰ります」を並べ、どちらが急いでいるかを学生に聞くと違いが見えます。

  • 「帰らさせていただけませんか」と言う学生はどう直せばいいですか?

    グループⅠの動詞に「さ」を入れた形で、母語話者にも聞かれる言い方ですが、標準的な形は「帰らせて」「休ませて」です。使役形の表をグループごとに板書し、「させて」になるのはグループⅡ(見させて)とグループⅢ(させて・来させて)だけだと分けて見せます。言い終わってから表を指さして言い直させると、話の流れを止めません。

  • 「〜させていただく」を使いすぎると失礼になりませんか?

    文化審議会の「敬語の指針」(2007年)は、「〜させていただく」が合うのは、相手の許しを受けて行い、そのことで恩恵を受けるという気持ちがある場合だとしています。この課の場面(上司の許しを得て早く帰る・休む)はこれに当たります。許しの要らないことにまで使うとまわりくどく聞こえることがあるので、許可を求める場面に絞って練習させます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。