グラフやアンケートの結果を見ながら、数字がいつから・どのくらい・どちらの向きに変わったかを説明する課です。初級で習った「〜くなります」「〜になります」は一つの変化を言う形ですが、この課では二つの変化をつなぐ「〜につれて」「〜にしたがって」(Aが変わると、それに合わせてBも変わる)と、止まらずに一方向へ進む変化を言う「〜一方だ」が加わります。前の第16課の「〜とともに」「〜に伴って」「〜てきました」と合わせると、時間の流れの中の変化をかなり細かく言い分けられるようになります。課の最後には、学生が自分たちで取ったアンケートをグラフにし、「〜につれて」「〜一方だ」と数字を使って、変化を1分ほどで説明できるところまで持っていきます。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(目標の場面) | 10分 | 教師が作った簡単な折れ線グラフ(例: ある町の自転車の利用者数の10年間の変化)を黒板に貼り、「このグラフから何が分かりますか」と聞く。学生の「多くなりました」「増えました」を受けて、初級の「〜くなります/〜になります」が使えることを確かめ、この課はグラフの変化を説明する課だと予告する |
| 学習項目1 〜につれて… | 30分 | 横軸と縦軸のある二つの変化(年齢と睡眠時間、気温とアイスの売上)を矢印2本で板書し、「Aが進むにつれて、Bが変わる」の形を見せる。前も後ろも変化の言葉になることを色で示す |
| 学習項目2 〜にしたがって… | 25分 | 学習項目1の板書の「につれて」を「にしたがって」に置き換えても同じ意味になることを見せたあと、案内板や係の人の指示の絵で「指示にしたがって進む」の使い方を別の枠で板書する |
| 学習項目3 〜一方だ | 25分 | 下がり続ける折れ線と、上がってまた下がる折れ線を並べ、「一方だ」が使えるのは止まらずに同じ向きに進むほうだけだと確かめる。困った・心配だという気持ちを一言添える形まで。1コマ目はここまで |
| 学習項目4・5 〜くなります/〜になります | 30分 | 初級の復習として、グラフの説明に要る形だけに絞る。「〜から〜に長くなった」「2倍になった」「半分になった」のように数字と組み合わせ、「〜てきました」(第16課)でここまでの変化を言う練習へ。2コマ目はここから |
| 目標の活動(アンケートとグラフの説明) | 45分 | クラスで「一日にスマートフォンを何時間使うか」「日本に来てからの長さ」などを聞き合うアンケートを取り、グループでグラフにする。グループごとに、数字・〜につれて・〜一方だ を入れて1分ほどで発表し、聞く側は「いつから」「どのくらい」を質問する |
| まとめ | 15分 | 変化の向きと速さで言い方を整理した表(〜くなる/〜てきた/〜につれて・〜にしたがって/〜一方だ)を板書して振り返り、宿題のグラフの題材を決めさせる |
一つのことが変わっていくと、それに合わせてもう一つのことも少しずつ変わる、という関係を表します。「Aにつれて、B」のAにもBにも、変化を表す言葉(増える・減る・上がる・〜くなる・〜になる・近づく・慣れる・年をとる など)が来るのが大事な点です。一回で終わる出来事や、変わらない状態には使いません。話し言葉でも書き言葉でも使い、レポートやニュースでは「〜につれ」という少し硬い形も見られます。
V辞書形+につれて/N(変化を表す名詞: 成長・時間の経過・高齢化 など)+につれて
「年齢」「気温」「日本に住む時間」などの変化のカードと、「睡眠時間」「アイスの売上」「友達の数」などのカードを出し、二つを選んで「Aが〜につれて、Bが〜」と一文で言わせる。慣れたら、グラフを1枚見せてどの二つの変化がつながっているかを学生に見つけさせ、同じ形で説明させる。
使い方が二つあります。一つ目は「〜につれて」とほぼ同じで、一つのことが変わるのに合わせて、もう一つのことも変わることを表します。このときは前も後ろも変化を表す言葉で、多くの場合「につれて」と入れ替えても意味は変わりません。二つ目は、指示・規則・案内・説明などに合わせて、そのとおりに行動することを表す使い方で(係の人の指示にしたがって避難する)、こちらは前が変化でなくてもよく、後ろに「〜てください」のような働きかけも来ます。この二つ目の使い方は「につれて」にはありません。「したがって」は「従う」から来ていて、「につれて」より少し硬く聞こえることが多い表現です。
V辞書形+にしたがって/N+にしたがって(変化の名詞、または 指示・規則・案内・説明 などの名詞)
学習項目1で作った「〜につれて」の文を「〜にしたがって」に言い換えさせたあと、案内・規則・説明書の絵カード(駅の案内板・図書館の決まり・薬の説明書)を出して「〜にしたがって〜てください」と指示する文を作らせる。最後に二つの使い方の文を混ぜて読み、「につれて」に置き換えられるかどうかを学生に判断させる。
ある変化が止まらず、同じ方向にどんどん進んでいることを表します。「Vる一方だ」の形で、前には変化を表す動詞(増える・減る・悪くなる・高くなる・広がる など)が来ます。よい方向の変化に使うこともありますが、悪い方向や、話し手が困っている・心配している変化に使われることが多く、そのあとに「このままでは〜」「何とかしなければならない」のような意見が続きやすい表現です。途中で上がったり下がったりしている変化には使いません。
V辞書形(変化を表す動詞)+一方だ(〜一方です/〜一方なので/〜一方の+N)
上がり続ける・下がり続ける・上がって下がる、の3種類のグラフのカードを混ぜて出し、「一方だ」が使えるカードだけを選んで説明させる。慣れたら「〜一方なので、〜」の形で、その変化についての心配や提案を一文続けさせる。
初級で習った、い形容詞の変化の言い方(高い→高くなります)の復習です。この課では、グラフやアンケートの変化を説明する場面で、数字と組み合わせて正確に言うことに絞ります。「〜から〜に長くなりました」の「に」は変わったあとの値、「1時間長くなりました」のように助詞をつけない数字は変わった差を表します。「多くなる」「少なくなる」は「増える」「減る」とほぼ同じ意味で、レポートやグラフの説明では「増える・減る」もよく使われます。「いい」は「よくなります」です。
い形容詞(〜い)→〜く+なります(いい→よくなります)。数字と使うときは「〜から〜に」(結果の値)/数字だけ(差)
棒グラフや折れ線グラフのカードを出し、「〜から〜にVくなりました」と「〜Vくなりました」(差)の二通りで言わせる。い形容詞のカード(多い・少ない・高い・低い・長い・短い・いい)を混ぜ、「いい」のときに「よく」と言えるかを必ず確かめる。
初級で習った、な形容詞と名詞の変化の言い方(便利になります・大学生になります)の復習です。この課では、グラフの説明で特に役に立つ「数量の名詞+になる」(2倍になる・半分になる・30%になる・1万人になる)と、順位や割合が変わったことを言う形に絞ります。「〜倍になる」「半分になる」は変わったあとの量を表します。動詞の変化(話せるようになる・使うようになる)は「〜ようになります」で、「になります」を直接動詞に付けることはできません。
な形容詞・名詞+に+なります(数量: 〜倍・半分・〜%・〜人 +になります。動詞は「Vようになります」)
円グラフ・棒グラフのカードを出し、同じ変化を「〜%になりました」「〜倍になりました/半分になりました」の二通りで言わせる。そのあと、グラフの中の動詞の変化(使う・見る・買う)を「〜ようになりました」で言わせ、形容詞・名詞の「になる」と混ぜて出して、前の言葉で形を選ばせる。
この課では、グラフやアンケートを説明するための言葉(増える・減る・上がる・下がる・変わらない・平均・割合・〜%・〜倍・半分・〜代・回答・調査 など)を、単語として一つずつ覚えさせるより、黒板のグラフを指しながら「〜から〜に増えました」「〜代の人の割合」のように、数字と助詞のついた形で入れていきます。「増える/増やす」「上がる/上げる」のような自動詞と他動詞の組は、グラフの説明では自動詞(増える・上がる)を使うことが多いので、組で示したうえで自動詞を中心に練習します。
宿題は、自分で見つけたグラフ(自分の国の統計・新聞やウェブのグラフ・自分の1週間のスマートフォンの利用時間 など)を1つ選び、数字を2つ以上入れ、「〜につれて」か「〜にしたがって」と「〜一方だ」のどちらかを使って、変化を説明する文章を200字ほど書くこと。グラフも写すか描いてくる。次のコマの最初にグラフを見せながら何人かに読み上げてもらい、聞く側に「いつから・どのくらい・どちらの向き」が分かったかを聞いて、足りない数字を足させます。そのあと第19課に進みます。
「〜につれて」と「〜にしたがって」の違いは何ですか?
一つの変化に合わせてもう一つが変わるという使い方では、ほとんど同じ意味で入れ替えられます。違いは「にしたがって」にだけ、案内・指示・決まりのとおりに行動するという使い方がある点です。「係の人の指示にしたがって」を「につれて」にすると誤りになるので、板書では二つの使い方を別の枠に分けて見せます。
「〜一方だ」と「〜てきました」はどう使い分けますか?
「〜てきました」は今まで少しずつ変わってきた事実を言うだけで、「〜一方だ」は止まらずに同じ向きに進み続けていることを言います。「一方だ」には困った・心配だという話し手の気持ちが入りやすく、あとに意見が続くことが多いです。途中で上がったり下がったりしたグラフには「一方だ」を使わないと、2本の折れ線を比べて確かめます。
第18課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は導入から学習項目3「〜一方だ」まで、2コマ目は「〜くなります」「〜になります」の復習と、アンケートをグラフにして説明する目標の活動、まとめです。「〜くなります」「〜になります」は初級の復習なので、数字と組み合わせる言い方に絞れば30分ほどで済みます。
グラフの変化を説明する板書はどう組めばいいですか?
中央に折れ線か棒グラフを一つ描き、その横に「〜から〜に〜くなりました」「〜一方です」などの枠を書いて、グラフの部分と枠を線で結びます。結果の数字は棒の上、差は棒の間の矢印で示し、変化の向きは矢印の太さで表します。最後に、変化の向きと速さで「〜くなる/〜てきた/〜につれて/〜一方だ」を整理した表を下に足すと、課のまとめになります。
第16課の「〜とともに」「〜に伴って」とこの課の「〜につれて」はどう教え分けますか?
変化と変化をつなぐ使い方では三つともほぼ同じ意味だと先に認めてしまいます。そのうえで、「とともに」は「いっしょに」や「同時に」、「に伴って」は一回の出来事に付いて起こること(引っ越しに伴って)も言えるのに対し、「につれて」は少しずつ進む変化どうしにしか使えないと示します。話すときは「につれて」、レポートやニュースでは「とともに」「に伴って」も多い、と場面でも分けます。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。