掲示・メール・学校や役所のお知らせを読んで、自分に必要な情報(いつ・どこで・だれが・何をすればいいか・何が変わったか)を落とさずに取り出す課です。お知らせの文には、決まりを表す「〜ことになっている」、決まりを外から紹介する「〜ということになっている」、「〜したらすぐ」を硬く言う「〜次第」、行事の場所を示す書き言葉の「〜において」、新しく決まったことを伝える「〜ことになった」、予定が変わったことを伝える「〜になった」が集まっています。この課では一つ一つの形を、その形が出てきたら何の情報か(守る決まり・すぐ起きること・場所・新しい決定・変更)という読み取りの手がかりとして教えます。最後は自作のお知らせを読んで情報の表を埋め、読んだ内容を人に伝え直す活動で締めます。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(目標の場面) | 15分 | 教師が自作した短いお知らせ(奨学金の説明会の案内)を配り、30秒だけ見せて伏せさせる。「いつ・どこで・申し込みはどうする?」と聞き、答えられなかった情報を確かめる。お知らせは全部読まなくても、決まった形を手がかりに必要な情報を探せることを予告し、黒板に「決まり/すぐ/場所/新しい決定/変更」の5つの欄を作る |
| 学習項目1・2 〜ことになっている/〜ということになっている | 35分 | 寮の規則の掲示を読み、「だれが決めましたか」と聞いて、話し手ではなく規則が決めていることを確かめる。次に、先輩が規則を新入生に紹介する会話で「〜ということになっている」を出し、名詞をそのままつなげられること、決まりを少し距離を置いて紹介する響きや「表向きは」の含みがあることを並べて見せる |
| 学習項目3 〜次第… | 25分 | 「記念品がなくなり次第、終了します」の一文から「31人目はもらえるか」を考えさせ、「〜したら、すぐに」と言い換える。ます形の語幹につなぐこと、後ろには話し手のこれからの行動や依頼が来て、過去にあったことには使わないことを、正しい文と誤りの文を並べて確かめる |
| 学習項目4 〜において… | 20分 | 友達へのメッセージ(「講堂でスピーチ大会があるよ」)と掲示の文(「スピーチ大会は講堂において開催します」)を並べ、話し言葉と書き言葉の対応を表にする。行事・活動の場所には使えるが、物がある場所や住む場所には使えないことを、「で」と「に」の区別に結びつけて確かめる |
| 学習項目5・6 〜ことになった/〜になった | 35分 | 同じお知らせの「新しく決まったこと」と「前の予定から変わったこと」に色を分けて線を引かせる。動詞+「ことになった」は新しい決定、名詞+「になった」は予定の中身の変更と整理し、変更の文からは「何が・何から・何に」の3つを取り出させる |
| 目標の活動 | 35分 | 図書館の休館・ごみの収集日の変更・説明会の案内の3種類の自作のお知らせをグループごとに配り、日時・場所・対象・持ち物・締め切り・変更点の表を埋めさせる。終わったらほかのグループの人に、お知らせを見せずに口で伝え、聞いた人は表を埋めてから元のお知らせと比べる |
| まとめ | 15分 | 5つの欄に、その日に出てきた形を貼り直して振り返る。「〜ことになっています」の文を「〜なければなりません」に、「〜になりました」の文を「前は〜でしたが、今は〜です」に言い換えさせて理解を確かめ、宿題を説明する |
学校・会社・寮・社会などの決まりや習慣、前から決まっている予定を表します。決めたのは話し手ではなく、規則や組織、まわりとの取り決めで、「〜するように決まっていて、今もそれが続いている」という状態を述べる言い方です。お知らせ・規則・手続きの説明でよく出てきます。「〜なければならない」が義務を直接言うのに比べて、決まりとして客観的に述べるので、言い方がやわらかくなります。否定の「〜ないことになっている」は「してはいけない」という決まりを表すことが多く、話し言葉では「〜ことになってる」と縮まります。
V辞書形/Vない形+ことになっている(名詞や文をそのまま前に置くときは学習項目2の「〜ということになっている」を使う)
場所のカード(図書館・寮・会社・病院・学校)と決まりの絵のカード(飲食禁止・靴をぬぐ・名札をつける・9時までに連絡)を1枚ずつ引かせ、「〜では、〜ことになっています」の一文にする。ペアの相手は聞いた文を「じゃあ、〜なければなりませんね/〜てはいけませんね」と言い換えて返す。
「ことになっている」に「という」が入った形で、前に普通体の文や名詞をそのまま置けます(「会費は無料ということになっている」)。意味の芯は同じく決まりや取り決めですが、「という」が入ることで、決まりを話し手が外から紹介する響きが出ます。人から聞いた決まりや、規則にそう書かれている決まりを伝えるときによく使います。もう一つ、「表向きは〜ということになっている(が、実際は違う)」のように、公式にはそう扱われているが本当は違うことがあるという建前の含みで使われることも多く、続く文で「でも、実際は〜」と言うときの手がかりになります。どちらの響きかは文脈で決まるので、読むときは後ろに「でも」「実は」が来るかに注意させます。
普通体+ということになっている(名詞・な形容詞は「だ」を付けずに「無料ということになっている」と言うことが多い)
名詞のカード(無料・自由参加・10時集合・飲食禁止・予約制)を引かせ、「〜は〜ということになっています」の一文にする。次に教師が「でも、実際は?」とキューを出し、学生に「でも、実際は〜」と続けさせて、建前の言い方を体験させる。最後に、同じ決まりを学習項目1の「〜ことになっています」で言える場合と言えない場合(名詞のとき)を分けさせる。
「〜したら、すぐに」という意味の、少し硬い言い方です。前のことが終わったら(ある状態になったら)時間をおかずに後ろのことをする、と伝えます。お知らせやビジネスの連絡でよく使われ、後ろには話し手や組織がこれからする意志的な行動(お知らせします・締め切ります・出発します)や、相手への依頼(ご連絡ください)が来るのがふつうです。まだ起きていないこれからのことに使う形なので、過去にあったことを述べる文には使えません。前の部分は「品物がなくなる」「準備ができる」のように話し手の意志でないことでもかまいません。なお、名詞のあとの「天気次第」「あなた次第」は「〜によって決まる」という別の意味です。
Vます形の語幹+次第(なり次第・決まり次第・でき次第)。「到着・決定・確認」のように「する」が付く名詞は、名詞にそのままつなげて「到着次第」とも言う
動詞のカード(着く・決まる・終わる・できる・届く)を見せ、ます形の語幹+「次第」を一息で言わせる(着き次第・決まり次第…)。次に後ろのカード(お知らせします・ご連絡ください・出発します)と組み合わせて一文にし、ときどき過去の出来事のカードを混ぜて「これは次第で言えるか」を判断させる。
行事や活動が行われる場所・場面を示す書き言葉で、意味はほぼ「で」と同じです。お知らせ・案内・式のあいさつ・ニュース・論文など改まった文章で使い、「卒業式は本校の講堂において行われます」のように、「行う・開く・開催する」などの出来事を表す動詞といっしょに出ることが多いです。場所だけでなく、時(「江戸時代において」)や分野・場面(「日本語教育において大切なこと」)も表します。名詞を説明するときは「〜における+名詞」(「大学における研究」)になります。物や人がある・いる場所(「に」で表す場所)には使えません。会話で使うと、かたすぎて聞こえます。
N(場所・時・分野)+において、…/N+における+N(ふつうひらがなで書く)
話し言葉の連絡(「あした10時から体育館で健康診断があります」など)を5つ配り、掲示の文に書き換えさせる(において・より・行います)。反対に、掲示の文を友達へのメッセージに戻す練習もして、読んだ内容を口で伝える力につなげる。
話し手が一人で決めたのではなく、組織の決定・まわりとの相談・事情によって、あることをするように新しく決まったと伝える言い方です。初級で習った「〜ことになりました」の復習で、この課ではお知らせの決定事項を読む場面で使います。お知らせでは「〜ことになりましたので、お知らせします」が決まった言い方で、この文が出てきたら前と違う新しいことが決まったという合図として読ませます。自分で決めたことでも、まわりと相談して決まったことや、控えめに伝えたいこと(「来月、国に帰ることになりました」)に使われます。自分の意志で決めたことをはっきり言う「〜ことにした」とは、だれが決めたかで使い分けます。
V辞書形/Vない形+ことになった(丁寧な形は「ことになりました」)
「決定のカード」(来月から〜・あしたから〜・今年は〜)と動詞のカードを組み合わせ、「〜ことになりました」でお知らせの一文を作らせる。ペアの相手は「えっ、そうなんですか。じゃあ、〜ですね」と反応し、決定によって自分が何をすればいいかを言う。最後に、同じ内容を自分の決定として「ことにしました」でも言わせて違いを確かめる。
名詞やな形容詞+「になった」で変化の結果を表す、初級の「〜になります」の復習です。この課では、お知らせで予定の日時・場所・内容が前と変わったことを伝える使い方に絞ります(「説明会は水曜日から金曜日になりました」「会場は301教室になりました」)。「中止・延期・休講になりました」のように、予定がどうなったかを一語で伝える形もよく使います。「N1からN2になりました」では前(N1)と後(N2)の両方がわかるので、読むときは何が・何から・何に変わったかの3つを取り出させます。学習項目5の「ことになった」は動詞の前に付いて「新しく〜すると決まった」、「になった」は名詞に付いて「予定の中身が別のものに変わった」と、前に来る形で見分けられます。
N/なA+になった(変わる前は「Nから」で示す。丁寧な形は「になりました」)
予定表(変更前)と変更のお知らせを配り、ペアで「〜は〜から〜になりました」と伝え合って、予定表を書き直させる。慣れたら「中止・延期・休講」のカードを混ぜ、最後に「ことになりました」の文と「になりました」の文が混ざったお知らせを読んで、新しい決定と変更を分けさせる。
この課の場面で要るのは、お知らせによく出る言葉(定員・先着・締め切り・申し込み・対象・持ち物・会場・受付・休館・収集)と、変更を伝える言葉(中止・延期・休講・変更・決定)です。語の一覧で意味を確かめたら、一語ずつ覚えさせるより、お知らせの中で「どの欄の情報か」(日時・場所・対象・持ち物・締め切り・変更点)に分けさせると、読み取りにそのまま使えます。「先着〜名」「〜がなくなり次第」「〜において行います」のような決まった言い方は、ひとかたまりで読めるようにします。
宿題は、学校・寮・町の掲示やホームページから日本語のお知らせを1つ選び(自分で作ってもよい)、日時・場所・対象・持ち物・締め切り・変更点の表を埋めて、内容を「〜ことになっています」「〜になりました」などを使って3文で人に伝える形に書くこと。次のコマの最初に何人かに口で伝えさせ、表の読み取りを確かめてから、第12課の「〜としては/も」に入る。
「〜ことになっている」と「〜ことになった」の違いはどう教えればいいですか?
「ことになった」は新しく決まったという出来事、「ことになっている」は決まって今も続いている状態です。黒板に時間の線を引き、決まった時点を点、そのあと続く決まりを線で示すと区別しやすくなります。お知らせでは「なりました」が前と変わった点の合図になるので、読むときに必ず線を引かせます。
「〜次第」と「〜たら、すぐに」はどう違いますか?
意味はほぼ同じですが、「次第」は硬い言い方で、お知らせや仕事の連絡で使います。後ろには話し手がこれからする行動か相手への依頼が来て、過去の出来事は来ません。ます形の語幹につなぐ点(着き次第・決まり次第)も、「たら」とは違うので板書で示します。
「〜ことになった」と「〜になった」を学生が混ぜないようにするには?
前に来る形で見分けさせます。動詞+「こと」なら新しい決定、名詞なら予定の中身の変更です。同じお知らせに両方を入れ、決定は赤、変更は青で線を引かせる練習を一度入れると、「*行うになりました」のような誤りが減ります。
「〜において」は会話でも練習させたほうがいいですか?
この課の目標はお知らせを読むことなので、「において」は読んでわかれば十分です。会話では「で」を使い、「において」は掲示やメールを書く練習の中だけで使わせます。物がある場所や住む場所の「に」には使えないことだけは、誤りになるので必ず確かめます。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目で導入と「〜ことになっている」「〜ということになっている」「〜次第」まで、2コマ目で「〜において」「〜ことになった」「〜になった」と、お知らせの表を埋める目標の活動を行います。「ことになった」と「になった」は初級の復習なので、短く確かめて活動に時間を回します。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。