日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 初中級 第11課「定員になり次第しめ切らせていただきます」の教案

『学ぼう!にほんご 初中級』

掲示・メール・学校や役所のお知らせを読んで、自分に必要な情報(いつ・どこで・だれが・何をすればいいか・何が変わったか)を落とさずに取り出す課です。お知らせの文には、決まりを表す「〜ことになっている」、決まりを外から紹介する「〜ということになっている」、「〜したらすぐ」を硬く言う「〜次第」、行事の場所を示す書き言葉の「〜において」、新しく決まったことを伝える「〜ことになった」、予定が変わったことを伝える「〜になった」が集まっています。この課では一つ一つの形を、その形が出てきたら何の情報か(守る決まり・すぐ起きること・場所・新しい決定・変更)という読み取りの手がかりとして教えます。最後は自作のお知らせを読んで情報の表を埋め、読んだ内容を人に伝え直す活動で締めます。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目6時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • お知らせの「〜ことになっている」「〜ということになっている」から、守るべき決まりや前から決まっている予定を読み取り、「〜なければなりません」「〜てはいけません」などの自分の言葉で言い換えられる
  • 「〜次第」「〜において」のある文から、何が起きたらすぐに何がされるのか、どこで何が行われるのかを取り出せる
  • 「〜ことになった」と「〜になった」を見分け、新しく決まったことと、前の予定から変わったこと(何が・何から・何に)を区別して読める
  • 説明会・図書館・ごみの出し方などのお知らせを読んで、日時・場所・対象・持ち物・締め切り・変更点を表にまとめ、ほかの人に伝えられる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(目標の場面)15分教師が自作した短いお知らせ(奨学金の説明会の案内)を配り、30秒だけ見せて伏せさせる。「いつ・どこで・申し込みはどうする?」と聞き、答えられなかった情報を確かめる。お知らせは全部読まなくても、決まった形を手がかりに必要な情報を探せることを予告し、黒板に「決まり/すぐ/場所/新しい決定/変更」の5つの欄を作る
学習項目1・2 〜ことになっている/〜ということになっている35分寮の規則の掲示を読み、「だれが決めましたか」と聞いて、話し手ではなく規則が決めていることを確かめる。次に、先輩が規則を新入生に紹介する会話で「〜ということになっている」を出し、名詞をそのままつなげられること、決まりを少し距離を置いて紹介する響きや「表向きは」の含みがあることを並べて見せる
学習項目3 〜次第…25分「記念品がなくなり次第、終了します」の一文から「31人目はもらえるか」を考えさせ、「〜したら、すぐに」と言い換える。ます形の語幹につなぐこと、後ろには話し手のこれからの行動や依頼が来て、過去にあったことには使わないことを、正しい文と誤りの文を並べて確かめる
学習項目4 〜において…20分友達へのメッセージ(「講堂でスピーチ大会があるよ」)と掲示の文(「スピーチ大会は講堂において開催します」)を並べ、話し言葉と書き言葉の対応を表にする。行事・活動の場所には使えるが、物がある場所や住む場所には使えないことを、「で」と「に」の区別に結びつけて確かめる
学習項目5・6 〜ことになった/〜になった35分同じお知らせの「新しく決まったこと」と「前の予定から変わったこと」に色を分けて線を引かせる。動詞+「ことになった」は新しい決定、名詞+「になった」は予定の中身の変更と整理し、変更の文からは「何が・何から・何に」の3つを取り出させる
目標の活動35分図書館の休館・ごみの収集日の変更・説明会の案内の3種類の自作のお知らせをグループごとに配り、日時・場所・対象・持ち物・締め切り・変更点の表を埋めさせる。終わったらほかのグループの人に、お知らせを見せずに口で伝え、聞いた人は表を埋めてから元のお知らせと比べる
まとめ15分5つの欄に、その日に出てきた形を貼り直して振り返る。「〜ことになっています」の文を「〜なければなりません」に、「〜になりました」の文を「前は〜でしたが、今は〜です」に言い換えさせて理解を確かめ、宿題を説明する

学習項目 1 〜ことになっている

意味・はたらき学習項目 1

学校・会社・寮・社会などの決まりや習慣、前から決まっている予定を表します。決めたのは話し手ではなく、規則や組織、まわりとの取り決めで、「〜するように決まっていて、今もそれが続いている」という状態を述べる言い方です。お知らせ・規則・手続きの説明でよく出てきます。「〜なければならない」が義務を直接言うのに比べて、決まりとして客観的に述べるので、言い方がやわらかくなります。否定の「〜ないことになっている」は「してはいけない」という決まりを表すことが多く、話し言葉では「〜ことになってる」と縮まります。

接続

V辞書形/Vない形+ことになっている(名詞や文をそのまま前に置くときは学習項目2の「〜ということになっている」を使う)

形
Vることになっている(決まり・予定)Vないことになっている(禁止の決まり)Vることになっています(お知らせ・説明の丁寧な形)〜ことになってる(親しい人との話し言葉)

導入

  • 寮の規則の掲示を読む教師が自作した寮の規則の掲示(門限・ごみ・来客について3行ほど)を黒板に貼り、管理人の役で「この寮では、夜11時までに帰ることになっています」と説明する。「これはだれが決めましたか。わたしですか」と学生に聞き、決めたのは寮の規則で、話し手はそれを説明しているだけだと確かめる。板書は「[場所・組織]では、[V辞書形/Vない形]ことになっています=決まり」の枠にする。
  • 「なければならない」と言い換える同じ規則を「11時までに帰らなければなりません」「部屋で料理をしてはいけません」と言い換え、意味はほぼ同じでも、「ことになっています」のほうが決まりを紹介する言い方で、命令のように聞こえないことを確かめる。逆に、掲示の「〜ないことになっています」の文を学生に「〜てはいけません」に言い換えさせ、読み取りの確認に使えることを見せる。

板書案

[場所・組織]では V辞書形/Vない形 + ことになっています
〔青〕決めた人=規則・学校・寮  〔赤〕話し手は説明するだけ
この寮では、夜11時までに帰ることになっています。
図書館の中では、物を食べないことになっています。
〔矢印〕= 11時までに帰らなければなりません/食べてはいけません

場面と発話(自作)

  • 寮に入ったばかりの留学生に、同じ階の先輩が台所の使い方を説明する。この寮では、夜10時からは台所を使わないことになってるよ。お湯がほしいときは、部屋のポットを使ってね。
  • アルバイトの初日、店長が新人に店の決まりを伝える。お客様の前では、携帯電話を使わないことになっています。休憩のときに使ってください。
  • 日本語学校の事務室で、職員が学生に欠席の手続きを説明する。授業を休むときは、9時までに学校に電話することになっています。メールでもいいですよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

場所のカード(図書館・寮・会社・病院・学校)と決まりの絵のカード(飲食禁止・靴をぬぐ・名札をつける・9時までに連絡)を1枚ずつ引かせ、「〜では、〜ことになっています」の一文にする。ペアの相手は聞いた文を「じゃあ、〜なければなりませんね/〜てはいけませんね」と言い換えて返す。

  1. 口頭教師が場所と決まりの絵を組み合わせたカードを見せ、全体で、次に一人ずつ「〜では、〜ことになっています」と言わせる。キューの例は「図書館・飲食禁止の絵」「病院・携帯電話の電源を切る絵」「この学校・9時までに電話する絵」「日本の家・玄関で靴をぬぐ絵」「会社・名札をつける絵」。禁止の絵のときは「〜ないことになっています」になることを、2枚目から混ぜて確かめる。
  2. ペアAとBに、別々の寮の規則の表(門限・ごみの日・来客・台所の時間・洗濯の時間)を配る。Aの表とBの表は中身が違い、相手の欄は空いている。Aが「Bさんの寮では、何時までに帰ることになっていますか」と聞き、Bが答えて、Aは空いている欄を埋める。全部埋まったら役を交替し、最後に二つの寮のどちらに住みたいかを理由とともに言わせる。
  3. 産出「わたしの国のルール紹介」: 学生が、自分の国の学校・会社・家で決まっていることを3つ選び、「〜では、〜ことになっています」で1分ほど紹介する。聞く人は一つずつ「じゃあ、〜なければなりませんね」と言い換えて返す。教師は、辞書形とない形のつなぎ方、名詞を直接つないでいないか、自分の習慣を言う「ことにしている」と混ざっていないかの3点を聞き、終わってからまとめて直す。

つまずきと手当て

  • 「たばこを吸わないことになっています」(吸ってはいけない決まりがある)と「たばこを吸うことになっていません」(吸う予定・決まりはない)を同じ意味だと思う。決まりの中身が「吸わない」なのか、「吸う」という決まりが無いのかで意味が違うと、2つの文を並べて「吸ってもいいですか」と聞き比べて確かめる
  • 前からの約束も取り決めもない、自分の思いつきの予定に「あしたは映画を見ることになっています」と使い、だれかに決められたように聞こえる。誤りではないので印は付けず、自分で決めた予定は「見るつもりです」「見ます」、人と約束してあるなら「ことになっています」も言える、と場面で言い分けさせる
  • 決まりを説明するつもりで「この寮では、11時までに帰ることにしています」と言い、話し手個人の習慣の意味になってしまう。「ことにしている」は自分で決めて続けていること、「ことになっている」は規則で決まっていること、と主語(わたし/寮)を板書で比べて直す

既習の文型との違い

  • 〜なければなりません(初級Ⅰ第12課)「〜なければなりません」は話し手が義務を直接言う形で、相手に向けると指示に聞こえます。「〜ことになっています」は同じ中身を、規則で決まっている事実として紹介する形なので、新しく来た人に決まりを説明するときに角が立ちません。読むときは、お知らせの「〜ことになっています」を「〜なければなりません」に言い換えられれば、決まりを読み取れたことになります。
  • 〜ことにします/〜ということ(初級Ⅱ第34課)「ことにする」は自分で決めること、「ことにしている」は自分で決めて続けている習慣です。「ことになっている」は決めたのが自分以外で、規則として今も続いている状態です。寮の決まりを説明するつもりで「この寮では11時までに帰ることにしています」と言うと話し手個人の習慣に聞こえるので、主語に「わたし」と「寮」のどちらが立つかで選ばせます。
関連する文型

学習項目 2 〜ということになっている

意味・はたらき学習項目 2

「ことになっている」に「という」が入った形で、前に普通体の文や名詞をそのまま置けます(「会費は無料ということになっている」)。意味の芯は同じく決まりや取り決めですが、「という」が入ることで、決まりを話し手が外から紹介する響きが出ます。人から聞いた決まりや、規則にそう書かれている決まりを伝えるときによく使います。もう一つ、「表向きは〜ということになっている(が、実際は違う)」のように、公式にはそう扱われているが本当は違うことがあるという建前の含みで使われることも多く、続く文で「でも、実際は〜」と言うときの手がかりになります。どちらの響きかは文脈で決まるので、読むときは後ろに「でも」「実は」が来るかに注意させます。

接続

普通体+ということになっている(名詞・な形容詞は「だ」を付けずに「無料ということになっている」と言うことが多い)

形
Nということになっている(会費は無料ということになっている)Vる/Vないということになっている表向きは〜ということになっている(建前)〜ってことになってる(親しい人との話し言葉)

導入

  • 名詞をそのままつなぐサークルの案内の紙(会費・集合場所・参加の条件)を自作して見せ、「会費は年3,000円ということになっています」「参加は自由ということになっています」と読み上げる。学習項目1の「ことになっている」の枠に「会費は3,000円」を入れるとどうなるかを学生に試させ、名詞や文をそのまま入れるときは「という」が要ることを、2つの枠を上下に並べて板書する。
  • 「でも、実際は……」を続けて建前に気づかせる教師が先輩の役で「会社の決まりでは、残業は月20時間までということになっています。でも、実際はもっと多い人もいるんですよ」と話す。「決まりと本当のことは同じですか」と聞き、「ということになっている」のあとに「でも」が続くと、表向きの決まりと実際が違うという話になりやすいことを確かめる。お知らせの文ではこの含みは少なく、決まりの紹介として読めばよいことも添える。

板書案

普通体/N + ということになっています
会費は 3,000円 ということになっています。 〔×〕*3,000円ことになっています
〔上下に並べる〕Vる + ことになっている / N + という + ことになっている
表向きは〜ということになっていますが、実際は……
〔丸〕「という」の前は普通体(「です」は入れない)

場面と発話(自作)

  • 大学のサークルの説明会で、上級生が新入生に会費について話す。会費は1年で3,000円ということになっています。くわしいことは、あとで会計の人に聞いてください。
  • 会社の受付で、先輩社員が新人に、担当者が席にいないときの答え方を教える。担当者がいないときは、お客様には「ただいま会議中」ということになっているので、そう答えてね。
  • 寮の談話室で、留学生どうしが門限について話している。門限は11時ってことになってるけど、管理人さんに言えば、少しぐらい遅くなってもだいじょうぶらしいよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

名詞のカード(無料・自由参加・10時集合・飲食禁止・予約制)を引かせ、「〜は〜ということになっています」の一文にする。次に教師が「でも、実際は?」とキューを出し、学生に「でも、実際は〜」と続けさせて、建前の言い方を体験させる。最後に、同じ決まりを学習項目1の「〜ことになっています」で言える場合と言えない場合(名詞のとき)を分けさせる。

  1. 口頭教師が決まりの名詞カードを見せ、全体で、次に一人ずつ「〜は〜ということになっています」と言わせる。キューの例は「会費・無料」「集合・10時」「参加・自由」「見学・予約制」「教室の中・飲食禁止」。何枚か言ったところで教師が「でも、実際は?」と続けて聞き、学生に「でも、実際は〜」と後ろを一文足させて、建前を紹介する言い方も口に慣れさせる。
  2. ペアAは新しく入る学生、Bは上級生の役。Bにだけサークルの案内カード(会費・練習の日・集合場所・参加の条件)を渡す。Aが「会費はいくらですか」「練習は毎週ありますか」と聞き、Bはカードを見ながら「〜ということになっています」で答える。カードの一部に「実際」のメモ(「本当はもっと遅く始まる」など)があり、Bはそこで「でも、実際は〜」と添える。終わったら別のカードで役を交替する。
  3. 産出「決まりと実際の紹介」: 学生が学校・寮・アルバイト先から決まりを一つ選び、「〜ということになっています。でも、実際は〜」の2文と、新しく来た人へのひと言を加えて発表する。教師は、名詞の後ろに「という」が入っているか、「という」の前に丁寧体を入れていないか、決まりの紹介と実際の話が「でも」で正しくつながっているかを見る。人を悪く言う話にならないよう、題材は時間や手続きの決まりに絞らせる。

つまずきと手当て

  • 「*会費は無料ことになっています」「*10時集合ことになっています」と、名詞に「ことになっている」を直接つなげる。名詞の決まりは「無料ということになっています」か、変化として「無料になっています」と言う、と2つの枠に戻して言い直させる
  • 「*会費は無料ですということになっています」と、「という」の前に丁寧体を入れる。「という」の前は普通体、丁寧さは文末の「なっています」が受け持つ、と第7課の「〜ということだ」と同じ手順で直す
  • 寮の管理人が掲示に「門限は11時ということになっています」と書くと、決まりを外から紹介しているように読め、「本当は守らなくてもいいのかな」と思う人がいる傾向がある。誤りではないので印は付けず、決まりを決めた側が書くお知らせでは「門限は11時です」「11時までに帰ることになっています」のほうがはっきりする、と書き手の立場で選ばせる

既習の文型との違い

  • 〜ということだ(初中級第7課)第7課の「〜ということだ」は、聞いた話をそのまま伝える形で、中身は話し手の外から来た情報です。「〜ということになっている」も「という」で中身を外から示しますが、伝えるのは一回きりの話ではなく、続いている決まりです。どちらも「という」の前は普通体で、「*無料ですということです」「*無料ですということになっています」は同じ手順で直せます。
  • 〜ことになっている(第11課 学習項目1)動詞なら「帰ることになっている」とそのままつなげますが、名詞や文の形の決まりは「という」を入れて「無料ということになっている」にします。動詞でも「という」を入れると、決まりを人から聞いた、または距離を置いて紹介している響きが加わります。お知らせを書く側が自分の決まりを出すときは、「という」のない形のほうがはっきりします。
関連する文型

学習項目 3 〜次第…

意味・はたらき学習項目 3

「〜したら、すぐに」という意味の、少し硬い言い方です。前のことが終わったら(ある状態になったら)時間をおかずに後ろのことをする、と伝えます。お知らせやビジネスの連絡でよく使われ、後ろには話し手や組織がこれからする意志的な行動(お知らせします・締め切ります・出発します)や、相手への依頼(ご連絡ください)が来るのがふつうです。まだ起きていないこれからのことに使う形なので、過去にあったことを述べる文には使えません。前の部分は「品物がなくなる」「準備ができる」のように話し手の意志でないことでもかまいません。なお、名詞のあとの「天気次第」「あなた次第」は「〜によって決まる」という別の意味です。

接続

Vます形の語幹+次第(なり次第・決まり次第・でき次第)。「到着・決定・確認」のように「する」が付く名詞は、名詞にそのままつなげて「到着次第」とも言う

形
Vます形の語幹+次第、〜ます(決まり次第、お知らせします)N(する動詞の名詞)+次第(到着次第・確認次第)〜次第、〜てください/ご〜ください(依頼)〜がなくなり次第、終了します(お知らせの決まった言い方)

導入

  • 「31人目はどうなる?」で意味をつかませる自作の店の催しの案内(「先着30名様に記念品を差し上げます。記念品がなくなり次第、終了します」)を見せ、「30人来ました。31人目の人はもらえますか」と聞く。答えから「記念品がなくなったら、すぐに終わる」と言い換え、板書で「なくなり/次第」に切って、「なくなる」のます形の語幹に付いていることを確かめる。ほかに「決まり次第」「でき次第」を同じ手順で作らせる。
  • 後ろに来るもの・来ないものを分ける黒板に「駅に着き次第、[  ]」と書き、学生に後ろを考えさせる。「電話します」「教えてください」は○、「雨が降り出しました」「お腹がすきました」は×として2列に分け、後ろはこれからする行動や頼むことで、過去の出来事や自然に起きることは来ないと確かめる。過去のことは「着いたとたん」「着くとすぐ」で言う、と添える。

板書案

Vます形の語幹 + 次第、〜ます/〜てください
なくなります → なくなり + 次第  決まります → 決まり + 次第
記念品がなくなり次第、終了します。(=なくなったら、すぐに)
〔○〕駅に着き次第、電話します。 〔×〕*駅に着き次第、雨が降り出しました。
〔赤〕後ろ=これからする行動・頼むこと 〔青〕過去の出来事は来ない

場面と発話(自作)

  • 期末試験のあと、担任の先生がクラスで成績の知らせ方を説明する。試験の結果が出次第、一人ずつメールで知らせます。
  • ホテルのフロントで、早く着いた客に係の人が言う。お部屋の準備ができ次第、お呼びします。ロビーでお待ちください。
  • 取引先との電話で、会社員が日程について答える。会議の日にちが決まり次第、こちらからご連絡いたします。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

動詞のカード(着く・決まる・終わる・できる・届く)を見せ、ます形の語幹+「次第」を一息で言わせる(着き次第・決まり次第…)。次に後ろのカード(お知らせします・ご連絡ください・出発します)と組み合わせて一文にし、ときどき過去の出来事のカードを混ぜて「これは次第で言えるか」を判断させる。

  1. 口頭教師が動詞のカードをます形で読み、学生は全体で「〜次第」の形をすぐ返す。キューの例は「着きます→着き次第」「決まります→決まり次第」「終わります→終わり次第」「できます→でき次第」「届きます→届き次第」「確認します→確認し次第」。慣れたら後ろのカード(お知らせします・ご連絡ください・出発します)と組み合わせて一文にし、個人で言わせる。ときどき過去の出来事のカードを出し、「言えない」と答えさせる。
  2. ペアAは学生、Bは学校の事務室の職員の役。Aは状況カード(奨学金の結果はいつわかるか・届いた荷物はいつもらえるか・面接の日はいつ決まるか)を見て「いつ教えてもらえますか」と聞き、Bは「〜次第、お知らせします」「〜次第、ご連絡しますので、お待ちください」と答える。Bの答えを聞いたAは「わかりました。じゃあ、待っています」と受ける。3枚終わったら役を交替する。
  3. 産出「申し込み案内づくり」: グループで、クラスの小さな行事(料理の会・見学・スポーツ大会)の案内を書き、締め切りと連絡の文に「〜次第」を2つ入れる(「なくなり次第」「決まり次第」など)。書いた案内はほかのグループと交換して、「何が起きたら、すぐに何をするか」を口で言い直してもらう。教師は、ます形の語幹につないでいるか、後ろが過去の出来事になっていないか、案内として硬さがそろっているかを見る。

つまずきと手当て

  • 「*駅に着く次第、電話します」「*着いた次第、電話します」と、辞書形やた形につなげる。「次第」はます形の語幹(着き)に付く、と「着きます→着き+次第」と板書で示す。た形の「〜た次第です」は「こういう事情で〜したのです」と経緯を説明する別の言い方なので、ここでは混ぜないと伝える
  • 「*家に着き次第、雨が降り出しました」と、過去に起きたことに使う。「次第」はこれからの行動や依頼を言う形なので、過去の出来事は「家に着いたとたん、雨が降り出しました」「着くとすぐ、〜」で言う、と導入の板書の×の列に戻す
  • 親しい友達とのメッセージで「着き次第、連絡する」と書き、かたく聞こえる。誤りではないので印は付けず、友達には「着いたらすぐ連絡するね」、仕事やお知らせでは「着き次第ご連絡します」と、相手によって言い分けさせる

既習の文型との違い

  • 〜たら、…(初級Ⅰ第19課)「〜たら」は「着いたら電話します」「雨が降ったら中止です」のように、条件の後に何が来てもよい広い形です。「〜次第」は「たらすぐに」の意味に絞られ、後ろはこれからする行動や依頼に限られ、硬い場面で使います。友達どうしの話では「着いたら、すぐ電話するね」が自然で、「次第」はお知らせや仕事の連絡で読めればよい、と場面で分けます。
  • 〜てから、…(初級Ⅰ第11課)「〜てから」は前と後の順番を言うだけで、間に時間があいてもかまいません(「授業が終わってから、図書館に行きます」)。「〜次第」は前が終わったら時間をおかずに後ろをする、と速さまで伝えます。お知らせの「結果が出次第」を「出てから」と読むと、すぐに連絡が来るという大事な情報が落ちることを確かめます。
関連する文型

学習項目 4 〜において…

意味・はたらき学習項目 4

行事や活動が行われる場所・場面を示す書き言葉で、意味はほぼ「で」と同じです。お知らせ・案内・式のあいさつ・ニュース・論文など改まった文章で使い、「卒業式は本校の講堂において行われます」のように、「行う・開く・開催する」などの出来事を表す動詞といっしょに出ることが多いです。場所だけでなく、時(「江戸時代において」)や分野・場面(「日本語教育において大切なこと」)も表します。名詞を説明するときは「〜における+名詞」(「大学における研究」)になります。物や人がある・いる場所(「に」で表す場所)には使えません。会話で使うと、かたすぎて聞こえます。

接続

N(場所・時・分野)+において、…/N+における+N(ふつうひらがなで書く)

形
N(場所)において〜を行います(行事の場所)N(分野・場面)において(日本語教育において)Nにおける+N(館内における注意)Nにおいては/Nにおいても(「では」「でも」の硬い言い方)

導入

  • メッセージと掲示を並べる黒板の左に友達へのメッセージ「あした3時から講堂でスピーチ大会があるよ」、右に掲示の文「スピーチ大会は、明日15時より講堂において開催します」を書く。対応するところに線を引かせ、「で→において」「から→より」「ある→開催する」のように、お知らせでは同じ意味でも硬い言い方になることを表にまとめる。読むときは「において」の前が場所だとわかればよい、と目的をはっきりさせる。
  • 「で」の場所と「に」の場所を分ける「教室で面接を行う」「教室に机がある」「東京に住む」の3文を見せ、「において」に替えられるのはどれかを学生に考えさせる。出来事が行われる「で」の場所だけが替えられ、物がある場所や住む場所の「に」は替えられないことを確かめる。

板書案

N(場所・時・分野)+ において、〜を行います
〔左〕話し言葉 講堂で スピーチ大会が あるよ。 〔右〕書き言葉 講堂において スピーチ大会を 開催します。
〔線で結ぶ〕で → において  から → より  ある → 開催する
〔○〕講堂において式典が開かれる 〔×〕*机の上において本がある
N + における + N(館内における注意)

場面と発話(自作)

  • 市立図書館の入り口に、館内での注意の掲示が貼ってある。館内においては、携帯電話での通話はご遠慮ください。
  • 日本語学校から新入生に、入学式の案内のメールが届く。入学式は、4月8日(水)10時より、本校3階の講堂において行います。
  • 市役所のホームページに、大きなごみの出し方のお知らせが載っている。粗大ごみの申し込みは、市役所2階の環境課の窓口において受け付けています。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

話し言葉の連絡(「あした10時から体育館で健康診断があります」など)を5つ配り、掲示の文に書き換えさせる(において・より・行います)。反対に、掲示の文を友達へのメッセージに戻す練習もして、読んだ内容を口で伝える力につなげる。

  1. 口頭教師が話し言葉の連絡を一文ずつ言い、学生は全体で掲示の言い方に言い換える。キューの例は「体育館で健康診断があります」「講堂で卒業式があります」「2階の会議室で面接があります」「図書館で読書の会があります」「駅前の広場でお祭りがあります」。途中に「教室に机があります」「大阪に住んでいます」を混ぜ、学生が「において」に替えられないと気づいたら、その理由を「で」と「に」で一言言わせる。
  2. ペアAには掲示の文のカード(において・より・行います)、Bには空いた連絡メモ(いつ・どこで・何が)を渡す。Aが掲示を読み上げ、Bは聞いた内容を友達に送るメッセージの言葉(「〜で〜があるよ」)でメモに書く。Aはカードと見比べて、場所と時間が合っているかを確かめる。3枚終わったら役を交替する。
  3. 産出「掲示板の書き換え」: 学生が、クラスや寮のこれからの行事を一つ選び、友達へのメッセージと、掲示板に貼る文の2通りで書く。掲示の文には「において」と「より」と「行います」を入れる。教師は、物がある場所や住む場所に「において」を使っていないか、「行う・開く」などの出来事の動詞と組み合わせているか、メッセージの文に硬い言い方が混ざっていないかを見る。

つまずきと手当て

  • 「*机の上において本があります」「*東京において住んでいます」と、物がある場所や住む場所に使う。「において」は出来事が行われる「で」の場所だけ、と導入の3文に戻して「に」の場所では使えないことを確かめる
  • お知らせの「会場において」を、動詞の「置いて(置く)」と読み違えて「会場に何かを置くのか」と迷う。場所の「において」はふつうひらがなで書き、前に場所の名詞、後ろに「行います」などが来ると、文の形で見分けさせる
  • 友達との会話で「あした、駅前のカフェにおいて会おう」と言い、かたすぎて冗談のように聞こえる。誤りではないので印は付けず、会話では「で」を使い、「において」は読むときにわかればよい形だと位置づけを伝える

既習の文型との違い

  • 〜で…を―ます(初級Ⅰ第5課)初級の「教室で勉強します」の「で」は、動作や出来事が行われる場所でした。「において」はこの「で」の書き言葉で、場所の働きは同じです。そのため、物や人がある・いる場所の「に」(「教室に机があります」)の代わりには使えず、「*教室において机があります」は誤りになります。
  • 〜について…(初中級第1課)「について」は話す・調べる中身(話題)を示し、「において」は出来事が行われる場所や場面を示します。形が似ているので、「*日本の文化において話します」のように取り違える学生がいます。「何について話すか」「どこにおいて行うか」と、後ろの動詞と組み合わせて区別させます。
関連する文型

学習項目 5 〜ことになった

意味・はたらき学習項目 5

話し手が一人で決めたのではなく、組織の決定・まわりとの相談・事情によって、あることをするように新しく決まったと伝える言い方です。初級で習った「〜ことになりました」の復習で、この課ではお知らせの決定事項を読む場面で使います。お知らせでは「〜ことになりましたので、お知らせします」が決まった言い方で、この文が出てきたら前と違う新しいことが決まったという合図として読ませます。自分で決めたことでも、まわりと相談して決まったことや、控えめに伝えたいこと(「来月、国に帰ることになりました」)に使われます。自分の意志で決めたことをはっきり言う「〜ことにした」とは、だれが決めたかで使い分けます。

接続

V辞書形/Vない形+ことになった(丁寧な形は「ことになりました」)

形
Vることになりました(新しい決定)Vないことになりました〜ことになりましたので、お知らせします(お知らせの決まった言い方)〜ことになった(話し言葉・ふつうの文)

導入

  • お知らせの「決定」を探す自作の学校のお知らせ(「来月から、金曜日の授業は午後も行うことになりました」など3文)を配り、「新しく決まったことはどれですか」と聞いて線を引かせる。「ことになりました」が出てきたら、前とは違う新しい決まりの合図だと確かめ、学習項目1の「ことになっています」(前からある決まり)と並べて、「新しく決まった」と「もう決まっている」の違いを板書する。
  • 「ことにした」と比べる教師が「わたしは来年、国に帰ることにしました」「会社の都合で、来年、国に帰ることになりました」と2つ言い、「どちらがわたしが決めましたか」と聞く。決めた人が自分なら「ことにした」、自分以外や話し合いの結果なら「ことになった」と整理し、自分の決定でも控えめに言いたいときは「ことになった」が使われると添える。

板書案

V辞書形/Vない形 + ことになりました
〔赤〕新しく決まった(ニュース) 〔青〕〜ことになっています=前からの決まり(状態)
来月から、土曜日も授業を行うことになりました。
台風のため、あしたの遠足は行わないことになりました。
〔比べる〕わたしが決めた → ことにしました  ほかの人・話し合いで決まった → ことになりました

場面と発話(自作)

  • 会社で、部長が社員全員に送ったメールの最初の文。来月から、毎週金曜日は家で仕事をしてもいいことになりました。
  • 卒業を前にした留学生が、職員室で担任の先生に報告する。先生、4月から大阪の会社で働くことになりました。いろいろありがとうございました。
  • 台風が近づいている日の夕方、日本語学校が学生に送ったお知らせ。台風のため、あしたの遠足は行わないことになりました。授業はふつうどおりです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「決定のカード」(来月から〜・あしたから〜・今年は〜)と動詞のカードを組み合わせ、「〜ことになりました」でお知らせの一文を作らせる。ペアの相手は「えっ、そうなんですか。じゃあ、〜ですね」と反応し、決定によって自分が何をすればいいかを言う。最後に、同じ内容を自分の決定として「ことにしました」でも言わせて違いを確かめる。

  1. 口頭教師が決定のカードを見せ、全体で、次に一人ずつ「〜ことになりました」で言わせる。キューの例は「来月から・土曜日も授業がある」「台風・遠足は行わない」「4月から・大阪の会社で働く」「あしたから・図書館は9時に開く」「今年は・パーティーを体育館で開く」。何枚かごとに教師が「だれが決めましたか」と聞き、学校や会社が決めたことを確かめてから次に進む。
  2. ペアAは学校からのお知らせのカード、Bは自分のことのカード(国に帰る・引っ越す・アルバイトを始める)を持つ。Aがお知らせを「〜ことになりました」で伝え、Bは「えっ、そうなんですか。じゃあ、〜なければなりませんね」と反応する。次にBが自分の話をするとき、自分で決めたなら「ことにしました」、相談や事情で決まったなら「ことになりました」を選んで言い、Aがどちらだったかを当てる。
  3. 産出「お知らせメールを書こう」: 学生が学校の事務の役になり、クラス全員に送る新しい決定のお知らせを3〜4文で書く。「〜ことになりましたので、お知らせします」で始め、何をすればいいかを最後に一文加える。書いたメールはとなりの人が読んで、新しく決まったことに線を引く。教師は、名詞を直接つないでいないか、会社や学校の決定を「ことにしました」で書いていないか、受け取った人の行動が書かれているかを見る。

つまずきと手当て

  • 「*遠足は中止ことになりました」と、名詞に「ことになった」を直接つなげる。名詞なら学習項目6の「中止になりました」、動詞なら「中止することになりました」と、前が名詞か動詞かで2つの形を並べて直す
  • 会社や学校が決めたことを「来月から在宅勤務をすることにしました」と言い、話し手個人が決めたように聞こえる。誤りではないので印は付けず、会社の決定を社員として伝えるときは「ことになりました」のほうが事実に合う、と決めた人を確かめさせる
  • お知らせの「〜ことになりました」と「〜ことになっています」を同じに読み、新しい変更を見落とす。「なりました」は新しく決まった(ニュース)、「なっています」は前からの決まり(状態)と、時間の線の上に置いて見せる

既習の文型との違い

  • 〜ことになります/〜ことになりました(初級Ⅱ第34課)形と意味は初級Ⅱで習ったものと同じで、この課では新しい文型として教え直すのではなく、お知らせの中の決定を見つける手がかりとして使います。初級では自分の予定を報告する会話が中心でしたが、ここではお知らせの書き手が組織で、読む人は自分に関係する決定を探す立場です。復習として、学生に初級の形で一文言わせてから、お知らせの文に移るとつながります。
  • 〜ことになっている(第11課 学習項目1)「ことになった」は新しく決まったという出来事、「ことになっている」は決まって今も続いている状態です。お知らせで「なりました」を「なっています」と同じに読むと、前と変わった点を見落とします。時間の線の上に「決まった(点)」と「決まっている(線)」を書き分けて見せます。
関連する文型

学習項目 6 〜になった

意味・はたらき学習項目 6

名詞やな形容詞+「になった」で変化の結果を表す、初級の「〜になります」の復習です。この課では、お知らせで予定の日時・場所・内容が前と変わったことを伝える使い方に絞ります(「説明会は水曜日から金曜日になりました」「会場は301教室になりました」)。「中止・延期・休講になりました」のように、予定がどうなったかを一語で伝える形もよく使います。「N1からN2になりました」では前(N1)と後(N2)の両方がわかるので、読むときは何が・何から・何に変わったかの3つを取り出させます。学習項目5の「ことになった」は動詞の前に付いて「新しく〜すると決まった」、「になった」は名詞に付いて「予定の中身が別のものに変わった」と、前に来る形で見分けられます。

接続

N/なA+になった(変わる前は「Nから」で示す。丁寧な形は「になりました」)

形
N1からN2になりました(水曜日から金曜日になりました)中止/延期/休講になりました〜時からになりました(始まる時間の変更)〜は、〜ではなく〜になりました

導入

  • 変更のお知らせから3つを取り出す自作の掲示「工事のため、避難訓練は5月15日(金)から22日(金)になりました」を見せ、「何が・何から・何に」の3つの欄を黒板に作って学生に埋めさせる。答えを確かめたら、「前は15日でしたが、今は22日です」と自分の言葉で言い換えさせ、読み取れたかどうかを口で確かめる習慣をつける。
  • 「ことになった」と並べて色分けする同じお知らせの中に「来月から土曜日も図書館を開けることになりました」「休館日は水曜日から金曜日になりました」の2文を入れ、新しい決定は赤、変更は青で線を引かせる。前が動詞+ことか、名詞かを確かめ、「ことになった」は新しく何かをすること、「になった」は前と中身が変わったことだと板書にまとめる。

板書案

N1 から N2 に なりました (何が・何から・何に)
説明会は 水曜日 → 金曜日に なりました。
〔表〕何が=説明会 何から=水曜日 何に=金曜日
中止/延期/休講 に なりました
〔赤〕Vる+ことになりました(新しい決定) 〔青〕N+になりました(予定の変更)

場面と発話(自作)

  • 朝の授業の始めに、先生がクラスに連絡する。あしたの授業は2時間目から3時間目になりました。教室も201から305になりましたから、気をつけてください。
  • 市役所から届いた、年末年始のごみの収集日のお知らせ。12月31日(木)の燃えるごみの収集は、1月2日(土)になりました。
  • 雨の日の朝、サークルの代表がメンバーにメッセージを送る。雨なので、きょうの練習は中止になりました。次は土曜日です。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

予定表(変更前)と変更のお知らせを配り、ペアで「〜は〜から〜になりました」と伝え合って、予定表を書き直させる。慣れたら「中止・延期・休講」のカードを混ぜ、最後に「ことになりました」の文と「になりました」の文が混ざったお知らせを読んで、新しい決定と変更を分けさせる。

  1. 口頭教師が変更の前と後を矢印で書いたカードを見せ、全体で、次に一人ずつ「〜は〜から〜になりました」と言わせる。キューの例は「説明会・水曜日→金曜日」「会場・201教室→305教室」「試験・10時→1時」「サッカーの練習→中止」「遠足→来週に延期」。言えたら同じカードを「前は〜でしたが、今は〜です」でも言わせ、意味を取り違えていないかを確かめる。
  2. ペアAには変更前の1週間の予定表、Bには変更のお知らせ(3つの変更が入っている)を渡す。BがAにお知らせの中身を「〜になりました」で伝え、Aは予定表を書き直す。終わったらAが書き直した予定を「前は〜でしたが、今は〜です」で読み上げ、Bがお知らせと見比べて確かめる。次の組では役と予定表を替える。
  3. 産出「変更お知らせリレー」: 4人のグループで、1人目だけが変更のお知らせを読み、2人目に口で伝える。2人目は3人目へ、3人目は4人目へと伝え、4人目が「何が・何から・何に」の表を埋める。最後にお知らせと比べ、どこで情報が落ちたかをグループで話す。教師は、「何が」が抜けていないか、「〜から〜になりました」を期間の「〜から〜まで」と取り違えていないか、動詞に「になった」を直接つないでいないかを見る。

つまずきと手当て

  • 「*説明会は金曜日に行うになりました」と、動詞に「になった」を直接つなげる。動詞なら「金曜日に行うことになりました」、名詞なら「説明会は金曜日になりました」と、学習項目5と並べて前の形で選ばせる
  • 「説明会は水曜日から金曜日になりました」を「水曜日から金曜日まで(3日間)ある」と読み違える。期間の「〜から〜まで」と違い、「〜から〜になりました」は前と後の入れ替わりだと、矢印(水曜日→金曜日)を書いて確かめる
  • 変更のお知らせを読んで「金曜日になりました」だけを覚え、何が変わったのか(説明会か、締め切りか)を落とす。必ず「何が」の欄から先に埋めさせ、文の主語(「〜は」)を丸で囲む習慣をつける

既習の文型との違い

  • 〜になります/〜くなります(初級Ⅰ第15課)初級の「〜になります」は「医者になります」「静かになりました」のように、人や物の状態が変わることでした。この課の「〜になった」は同じ形を、予定の中身(日にち・場所・時間)が入れ替わったことを伝えるのに使います。新しく覚える形ではないので、「何が」が人ではなく予定である点だけを、初級の例と並べて見せます。
  • 〜ことになった(第11課 学習項目5)前に動詞と「こと」があれば新しく何かをすると決まったこと、前が名詞なら予定の中身が変わったことです。「*金曜日に行うになりました」のように動詞に直接つなげる誤りが出たら、「行うことになりました」か「金曜日になりました」のどちらを言いたいのかを聞いて選ばせます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の場面で要るのは、お知らせによく出る言葉(定員・先着・締め切り・申し込み・対象・持ち物・会場・受付・休館・収集)と、変更を伝える言葉(中止・延期・休講・変更・決定)です。語の一覧で意味を確かめたら、一語ずつ覚えさせるより、お知らせの中で「どの欄の情報か」(日時・場所・対象・持ち物・締め切り・変更点)に分けさせると、読み取りにそのまま使えます。「先着〜名」「〜がなくなり次第」「〜において行います」のような決まった言い方は、ひとかたまりで読めるようにします。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • 定員(ていいん) 会や講座に参加できる人の数の上限です。 〜になる・〜は30名・〜を超える
    料理の会の案内を作っている。
    「この講座の定員は20名です。申し込みが多いときは、抽選になります。」
  • 先着(せんちゃく) 早く申し込んだ人や早く来た人から順番に、という意味です。 〜順・〜30名・〜で受け付ける
    学校の掲示で、無料の見学の申し込みを知らせる。
    「見学は先着15名です。お早めにお申し込みください。」
  • 締め切り(しめきり) 申し込みや提出ができる最後の日や時間です。 〜は〜日・〜を過ぎる・〜に間に合う
    事務室で、奨学金の書類について聞いている。
    「書類の締め切りは来週の金曜日ということになっています。」
  • 申し込み(もうしこみ) 会や講座に参加したいと、決まった方法で伝えることです。 〜をする・〜の方法・〜を受け付ける
    講座の案内で、申し込みのしかたを説明する。
    「申し込みは、事務室の窓口において受け付けます。」
  • 対象(たいしょう) そのお知らせや行事が、どんな人のためのものかということです。 〜は留学生・〜者・〜外
    説明会の案内を読んで、自分が参加できるか確かめる。
    「この説明会は、1年生の留学生が対象です。」
  • 会場(かいじょう) 会や式などが行われる場所です。 〜は〜・〜に入る・〜が変わる
    入学式の前の日に、先生が連絡する。
    「あしたの会場は、3階のホールになりました。」
  • 受付(うけつけ) 来た人の名前を確かめたり、申し込みを受けたりする所や仕事です。 〜で名前を言う・〜は9時から・〜を済ませる
    説明会の日の朝、入り口の係の人が案内する。
    「受付は9時からです。名前を書いてから、中にお入りください。」
  • 休館(きゅうかん) 図書館や博物館などが、その日は開かないことです。 〜日・〜する・臨時〜
    市立図書館の入り口のお知らせを読む。
    「工事のため、来週の月曜日から水曜日まで休館することになりました。」
  • 延期(えんき) 決まっていた日を、あとの日に変えることです。 〜になる・〜する・〜のお知らせ
    雨の日、スポーツ大会の係がクラスに伝える。
    「雨のため、スポーツ大会は来週の土曜日に延期になりました。」
  • 変更(へんこう) 決まっていた日時・場所・中身を変えることです。 〜になる・時間の〜・〜点
    授業の前に、先生が連絡する。
    「時間の変更があります。あしたの試験は1時からになりました。」
  • 収集(しゅうしゅう) 町のごみなどを集めて持って行くことです。 ごみの〜・〜日・〜車
    市役所から、年末のごみのお知らせが届く。
    「燃えるごみの収集日は、火曜日と金曜日ということになっています。」

宿題と次のコマ

宿題は、学校・寮・町の掲示やホームページから日本語のお知らせを1つ選び(自分で作ってもよい)、日時・場所・対象・持ち物・締め切り・変更点の表を埋めて、内容を「〜ことになっています」「〜になりました」などを使って3文で人に伝える形に書くこと。次のコマの最初に何人かに口で伝えさせ、表の読み取りを確かめてから、第12課の「〜としては/も」に入る。

よくある質問

  • 「〜ことになっている」と「〜ことになった」の違いはどう教えればいいですか?

    「ことになった」は新しく決まったという出来事、「ことになっている」は決まって今も続いている状態です。黒板に時間の線を引き、決まった時点を点、そのあと続く決まりを線で示すと区別しやすくなります。お知らせでは「なりました」が前と変わった点の合図になるので、読むときに必ず線を引かせます。

  • 「〜次第」と「〜たら、すぐに」はどう違いますか?

    意味はほぼ同じですが、「次第」は硬い言い方で、お知らせや仕事の連絡で使います。後ろには話し手がこれからする行動か相手への依頼が来て、過去の出来事は来ません。ます形の語幹につなぐ点(着き次第・決まり次第)も、「たら」とは違うので板書で示します。

  • 「〜ことになった」と「〜になった」を学生が混ぜないようにするには?

    前に来る形で見分けさせます。動詞+「こと」なら新しい決定、名詞なら予定の中身の変更です。同じお知らせに両方を入れ、決定は赤、変更は青で線を引かせる練習を一度入れると、「*行うになりました」のような誤りが減ります。

  • 「〜において」は会話でも練習させたほうがいいですか?

    この課の目標はお知らせを読むことなので、「において」は読んでわかれば十分です。会話では「で」を使い、「において」は掲示やメールを書く練習の中だけで使わせます。物がある場所や住む場所の「に」には使えないことだけは、誤りになるので必ず確かめます。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目で導入と「〜ことになっている」「〜ということになっている」「〜次第」まで、2コマ目で「〜において」「〜ことになった」「〜になった」と、お知らせの表を埋める目標の活動を行います。「ことになった」と「になった」は初級の復習なので、短く確かめて活動に時間を回します。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。