日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 初中級 第19課「国籍と学習者のニーズに応じてクラス分けをします」の教案

『学ぼう!にほんご 初中級』

「何を基準にして決めるのか」を読み取ったり、人に説明したりすることが目標の課です。六つの学習項目は、基準を説明する文の部品として、何をもとに(材料・根拠)・何を中心に(主な部分)・何に応じて(合わせて変える)・何は問わず(条件にしない)の四つと、その中で比べる(〜の中で)・その中から選ぶ(〜の中から)の二つに分けると整理しやすくなります。募集のお知らせや学校の案内のように、学習者が日本で実際に読む文章の中で使わせることが芯です。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目6時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 募集のお知らせや学校・会社の案内を読んで、何をもとに・何に応じて決めるのか、何が条件で何が条件でないのか(〜は問わず)を読み取れる
  • 「〜をもとに」(材料・根拠)と「〜を中心に」(主な部分)と「〜に応じて」(条件に合わせて変える)を使い分けて、決め方を説明できる
  • 「〜の中で(一番)」で範囲を決めて比べることと、「〜の中から」で選び出すことを、混ぜずに言える
  • 学んだ形を組み合わせて、自分の学校のクラスの決め方やイベントの参加の条件を、短い段落で説明できる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(目標の場面)10分「この学校に入ったとき、クラスはどうやって決まりましたか」と学生に聞き、テスト・面接・勉強の目的など出た答えを黒板に集める。「決める材料になったもの」と「関係なかったもの(年齢・国など)」を2列に分けて見せ、この課は決め方(基準)を説明する課だと予告する
学習項目1・2 〜をもとに…/〜を中心に…35分導入で集めた材料から「〜をもとに決める」へ。続けて時間割の円グラフで「〜を中心に」を入れ、同じ授業づくりの場面で二つの文を並べて、「材料・根拠」と「主な部分」の違いを図で見せる
学習項目3 〜に応じて…25分料金表で「前が変われば後ろも変わる」関係を見せ、クラス分け・アルバイトの時給の説明に当てはめる。第18課の「〜につれて」(時間とともに変わる)との違いも一言
学習項目4 〜は問わず…20分自作の募集のお知らせを読み、条件になっている欄と「問いません」の欄を色で分ける。文の終わりの「問いません」から、文の途中の「問わず」へつなぐ
学習項目5・6 〜の中で…/〜の中から…30分絵カードを丸で囲んで「この中で一番」と比べ、次に同じ丸から「この中から選ぶ」と取り出す。丸の中で考える矢印と、丸の外へ出る矢印で描き分ける
目標の活動(読み取りと説明)50分自作の「日本語クラスの案内」(クラスの決め方・授業の中心・参加の条件・選べる授業の一覧)を配り、ペアで質問に答える読み取りをする。次に、新しく入る学生の役に、案内の内容を口で説明するロールプレイ。説明する側は六つの形のうち三つ以上を使う
まとめ10分六つの形を「決める材料・主な部分・合わせて変える・条件にしない・比べる・選ぶ」の表にして確かめる。「もとに/中心に」「中で/中から」をどちらか選ぶ問題を2〜3問出して終わる

学習項目 1 〜をもとに…

意味・はたらき学習項目 1

前の名詞を材料・根拠・土台にして、何かを作ったり、決めたり、判断したりすることを表します。後ろには「作る・書く・決める・判断する・計算する・考える」のような、何かを生み出したり決めたりする動詞が来ます。材料は形を変えて結果の中に生きている、という感じで、「実際にあった話をもとにした映画」「アンケートの結果をもとにした計画」のように使います。似た「〜に基づいて」はやや硬く、規則・法律・データなど、外れてはいけない根拠に使うことが多いです。

接続

N+をもとに(して)、〜/N+をもとにした+N(文の終わりでは「〜は、Nをもとにしています」)

形
Nをもとに(して)、〜を決める/作る(去年の売り上げをもとに、来年の計画を立てます)Nをもとにした N(実際にあった話をもとにしたドラマ)〜は、Nをもとにしています/Nをもとに作られています

導入

  • 決め方の話から「材料」を取り出す教師が「この学校では、入学のときに書いてもらう希望の紙を見て、授業の時間割を作ります」と話し、「時間割を作る材料は何ですか」と聞く。「希望の紙」と出たら、黒板に「[材料]をもとに、[作る・決める]」の枠を書き、「希望の紙をもとに、時間割を作ります」と言い直して全員でくり返す。
  • 材料と、それから作ったものを並べる「小説と映画」「アンケートと新しいメニュー」「地図と旅行の計画」のように、材料とそれから作ったものの組み合わせのカードを並べ、「〜をもとに、〜を作りました」「〜をもとにした〜」でつながせる。名詞の前では「もとにした」になる形を板書の二段目に書く。

板書案

N + を もとに(して)、〜を 作る/決める
〔材料〕アンケートの答え ──→〔できたもの〕新しいメニュー
アンケートの 答えを もとに、新しい メニューを 作ります。
本当に あった話を もとに した 映画
〔赤〕「を もとに」を一つの枠で囲む 〔青〕後ろの動詞(作る・決める・書く)に下線

場面と発話(自作)

  • 会社の会議で、来年の計画を説明する社員が、計画の根拠を聞かれて答える。去年の売り上げをもとに、来年の目標を決めました。
  • 日本語学校の説明会で、職員が入学を考えている人に時間割の決め方を説明する。面接で聞いた希望をもとに、一人ひとりの時間割を作ります。
  • 週末に見る映画を探している友達に、自分が見てよかった映画をすすめる。これ、本当にあった話をもとにした映画なんだよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が材料のカード(客の数・アンケート・自分の経験・昔の写真)と、作ったもの・決めたことのカード(店の開く時間・新しいメニュー・作文・町の模型)を出し、「〜をもとに、〜」「〜をもとにした〜」の両方で一文にさせる。最後に、自分の学校やアルバイト先で、何をもとに何が決まっているかを一つずつ言わせる。

  1. 口頭教師が材料とできたもののカードを2枚一組で見せ(アンケートと新しいメニュー、地図と旅行の計画、面接と時間割、去年の売り上げと今年の目標)、全体→列→個人の順で「〜をもとに、〜を作りました/決めました」と言わせる。2周目は「〜をもとにしたN」(アンケートをもとにしたメニュー)に言い換えさせる。つまった学生には「材料は何ですか」「何ができましたか」の二つだけを聞く。
  2. ペアAにはできたもののカード(時間割・料理・作文・ドラマ)、Bには材料のカードを配る。Aが「この時間割は何をもとに決めましたか」と聞き、Bが手持ちの材料から合うものを選んで答える。AはBの材料を知らないので、聞かないと分からない形にする。5枚で役を交替する。
  3. 産出「わたしの決め方」発表。自分が最近決めたこと(アルバイト先・住む部屋・この学校)を一つ選び、「〜をもとに決めました」と理由の1文の2文で言う。教師が見るのは、「を」が落ちていないか、後ろが「決める・選ぶ・作る」になっているか(感情の文になっていないか)、伝聞の「〜によると」と混ざっていないかの3点。

つまずきと手当て

  • 助詞を取り違える(*アンケートにもとに、メニューを決めます)。「を+もとに」で一つの形として板書で囲む。「先生のもとで研究する」(指導を受けて)の「のもとで」は別の形なので、混ぜる学生には分けて示す
  • 後ろに、材料を使って何かを作ったり決めたりする動詞が来ない(例:旅行の写真をもとに、楽しかったです)。気持ちや状態の文は「写真を見て、楽しかった」に直し、枠の右側に「作る・決める・判断する」と書いておく
  • 「〜を中心に」と混ぜて、主な部分を言いたいのに「もとに」を使う。学習項目2で二つを並べて整理する

既習の文型との違い

  • 〜によると…(第7課)「〜によると」は話の出どころを示し、後ろは「〜そうです」「〜ということです」の伝聞になります。「〜をもとに」は材料を使って何かを作ったり決めたりしたことを言い、後ろは動作の動詞です。「天気予報によると雨だそうです」と「天気予報をもとに旅行の日を決めました」を並べて、後ろの形で見分けさせます。
  • 〜を中心に…(第19課)「〜をもとに」の名詞は材料・根拠で、何を材料にしたかを言います。ほかの材料も使ったかどうかは言っていないので、「アンケートをもとに、店長の考えも入れてメニューを決める」も自然です。「〜を中心に」の名詞は全体の中のいちばん大きい部分で、ほかの部分もあることを含みます。何を材料にしたかを言うなら「もとに」、いくつかある中の主な部分を言うなら「中心に」と図で分けます。
関連する文型

学習項目 2 〜を中心に…

意味・はたらき学習項目 2

前の名詞がいちばん大事な部分・真ん中で、そのまわりにほかのものも含まれることを表します。「九州地方を中心に(雨が降る)」のような場所の範囲、「会話を中心に(授業をする)」のような内容の主な部分、「20代を中心に(人気がある)」のような人の範囲を言います。「〜をもとに」が何を材料・根拠にしたかを言うのに対して、「〜を中心に」は中身のどこがいちばん大きいかを言います。ほかのものも含まれる、という含みがあるのがこの形の特徴です。

接続

N+を中心に(して)、〜/N+を中心とした(を中心にした)+N(文の終わりでは「〜はNが中心です」。話し言葉では「会話中心のクラス」のようにも言う)

形
Nを中心に、〜(会話を中心に、授業をします)Nを中心に、〜が広がる(九州地方を中心に、雨が降るでしょう)Nを中心としたN/Nを中心にしたN(留学生を中心としたグループ)〜はNが中心です(このクラスの授業は会話が中心です)

導入

  • 時間割の円グラフで「いちばん大きい部分」を見せるあるクラスの1週間の授業を円グラフにして黒板に描く(会話が半分、残りが文法・漢字・聞き取り)。「このクラスでいちばん多いのは何ですか」と聞き、「このクラスは、会話を中心に、文法や漢字も勉強します」と言う。中心のほかにも少しずつ別のものがある絵にしておくのがこつ。
  • 「もとに」と「中心に」を同じ場面で比べる「留学生の声をもとに、新しい授業を作りました」と「会話を中心に、読み書きも少し入れて、新しい授業を作りました」の二文を並べる。前の文は何を材料(根拠)にしたかを言い、後ろの文はいくつかある中で会話がいちばん大きい部分だと言っている、と「材料→できたもの」と「中心と周り」の二つの図で示す。

板書案

N + を 中心に、〜
〔円グラフ〕会話(いちばん大きい)|文法|漢字|作文
この クラスは、会話を 中心に 勉強します。
九州地方を 中心に、雨が 降るでしょう。
〔赤〕を中心に した N/を中心と した N 〔青〕ほかの部分も ある → 点線の外側に書く

場面と発話(自作)

  • テレビの天気予報で、アナウンサーが、あした強い雨が降る地域を伝える。あすは九州地方を中心に、強い雨が降るでしょう。
  • 日本語学校の説明会で、職員が、話す力を伸ばしたい人に合うクラスを紹介する。このクラスは、会話を中心に勉強します。
  • 会社で、新しいアプリの企画を出した社員が、上司にどんな人が使っているかを説明する。このアプリは、20代を中心に人気があります。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

地図(雨の範囲を色で塗ったもの)・授業の割合の円グラフ・客の年齢のグラフを見せ、「〜を中心に、〜」で言わせる。次に、「もとに」と「中心に」のどちらが合うかを選ぶ問題を口頭で5問ほど出し、選んだ理由(材料か、主な部分か)も言わせる。

  1. 口頭色を塗った地図(雨や雪の範囲)、授業時間の円グラフ、客の年代の棒グラフの3種を見せ、全体→個人で「〜を中心に、〜」と言わせる。キューは「関東地方・雪」「会話・授業」「20代・人気」「駅の近く・店が多い」など。2周目は「〜を中心にしたクラス」「〜を中心としたグループ」と名詞の前の形に言い換えさせる。
  2. ペアAに円グラフ入りのクラスの表(会話クラス・文法クラス・試験クラス)、Bに空欄の表を配る。Bが「会話クラスは何を中心に勉強しますか」「ほかには何をしますか」と聞き、Aが答えてBが表を埋める。終わったら別の表で役を替える。「ほかには」の質問を毎回入れて、中心のほかにも部分があることを確かめさせる。
  3. 産出「わたしの町紹介」。自分の国の町や地方を一つ選び、「〜を中心に」を入れて3文で紹介する(店・観光・仕事など何が多いか)。教師が見るのは、「を」の落ち、名詞の前の形(「を中心に」のまま名詞につないでいないか)、場所の「中心で」(まん中で)と混ざっていないかの3点。

つまずきと手当て

  • 「を中心に」の助詞を取り違える(*九州を中心で、雨が降ります)。決まった形は「を中心に」。「九州の中心で」は「九州の真ん中で」という別の意味になると板書で分ける
  • 名詞の前で形が崩れる(*会話を中心にのクラス)。「会話を中心にしたクラス」「会話を中心としたクラス」、話し言葉なら「会話中心のクラス」と三つ並べて言い直させる
  • 「会話を中心に勉強します」と聞いて、会話しかしないと受け取る。円グラフに戻り、中心のほかにも少しはある、という含みを確かめる

既習の文型との違い

  • 〜をもとに…(第19課)「〜をもとに」は材料・根拠を言い、「〜を中心に」は全体の中の主な部分を言います。「アンケートをもとにメニューを作る」はアンケートが材料で、「野菜を中心にメニューを作る」は野菜が主でほかの材料も入っています。学生が「もとに」と「中心に」を入れ替えたら、ほかの部分があるかどうかを聞き返します。
  • 〜をはじめ…(第9課)「〜をはじめ」は代表的なものを一つ挙げてから、ほかのものを並べる言い方で、後ろに「〜など」「いろいろな〜」が来やすくなります。「〜を中心に」は量や広がりのいちばん大きい部分を言います。「すしをはじめ、日本の料理はどれも好きです」(代表を挙げる)と「アジアを中心に輸出しています」(主な範囲)を並べ、代表か、いちばん多い部分かを答えさせます。
関連する文型

学習項目 3 〜に応じて…

意味・はたらき学習項目 3

前の名詞(ニーズ・レベル・年齢・希望・量など)が人や場合によって違うとき、それに合わせて後ろのことを変える・決めることを表します。「人数に応じて部屋を決める」「働いた時間に応じて給料が決まる」のように、前が変われば後ろも変わる、という対応の関係です。動詞「応じる」はもともと「相手の求めや問いかけにこたえる」という意味です(取材に応じる)。似た「〜によって」は違いがあることを言うだけでも使えますが(国によって習慣が違う)、「〜に応じて」は違いに合わせて何かを変えるときに使い、規則・料金・サービスの説明によく出ます。

接続

N+に応じて、〜/N+に応じた+N(「〜か〜かに応じて」「〜かどうかに応じて」の形もある)

形
Nに応じて、〜を変える/決める(レベルに応じて、教材を変えます)Nに応じたN(目的に応じた練習)〜に応じて、〜が決まります(距離に応じて、料金が決まります)〜か〜かに応じて、〜(進学か就職かに応じて、授業が変わります)

導入

  • 料金表で「前が変われば後ろも変わる」を見せる宅配便の料金表(荷物が重いほど料金が上がる)を黒板に描き、「重いと、料金は?」「軽いと?」と聞く。「荷物の重さに応じて、料金が変わります」と言い、左の列(重さ)と右の列(料金)を矢印でつないで、左が変われば右も変わる関係を見せる。
  • 学校のクラス分けに当てはめる学生に「みなさんが日本語を勉強する目的は同じですか」と聞き、進学・就職・生活などの答えを集める。「目的が違うので、学校は目的に応じてクラスを分けます」と言い、課の目標の場面(決め方の説明)に戻す。

板書案

N + に 応じて、〜を 変える/決める
〔左〕荷物の重さ ──→〔右〕料金(重いほど 高い)
人数に 応じて、部屋を 決めます。
目的に 応じた 練習
〔赤〕前が 変わる → 後ろも 合わせて 変える 〔青〕時間の矢印は ない(につれて と ちがう)

場面と発話(自作)

  • コンビニのアルバイトの面接で、店長が応募した人に時給の決め方を説明する。時給は、経験に応じて決めます。
  • スポーツジムの受付で、スタッフが初めて来た客に、運動のメニューについて説明する。体力に応じてメニューを作りますので、安心してください。
  • 日本語学校の職員が、入学の相談に来た人に、午後の授業の内容を説明する。進学したいか就職したいかに応じて、午後の授業が変わります。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

左に条件(レベル・年齢・人数・天気)、右に変えるもの(教材・料金・部屋の大きさ・予定)のカードを並べ、線で結ばせてから「〜に応じて、〜」の一文にさせる。そのあと「〜によって〜が違う」(違いを言うだけ)の文を混ぜて出し、「に応じて」に替えると意味が通るかどうかを考えさせる。

  1. 口頭左に条件(レベル・年齢・人数・天気・予算)、右に変えるもの(教材・料金・部屋・予定・メニュー)のカードを並べ、教師が線で結ぶたびに全体→個人で「〜に応じて、〜を変えます/決めます」と言わせる。2周目は「〜に応じたN」(レベルに応じた教材)に言い換え。最後に教師が「天気によって予定が違います」と「天気に応じて予定を変えます」を言い、どちらが合わせて変える文かを手を挙げて答えさせる。
  2. ペア「料金表の情報差」。Aは時間と人数で料金が変わる自作の料金表、Bは空欄の表を持つ。Bが「2時間で4人だと、いくらですか」と聞き、Aが答える。全部埋まったらBが「この店は何に応じて料金が変わりますか」とまとめて聞き、Aが「時間と人数に応じて変わります」と答える。アルバイトの時給の表に替えて交替する。
  3. 産出「わたしの学校のしくみ説明」。自分の学校かアルバイト先で、条件に合わせて変わるもの(クラス・時給・シフト・宿題の量)を一つ選び、「〜に応じて」を入れて2〜3文で説明する。教師が見るのは、違いがあるだけの文に使っていないか、名詞の前の「応じた」、「応える」と混ざっていないかの3点。

つまずきと手当て

  • 違いがあることを言うだけの文に使う(例:国に応じて、あいさつのし方が違います)。だれかが合わせて変えているわけではないので「国によって」が自然、と説明し、「に応じて」の後ろは「変える・決める・分ける」と枠に書いておく
  • 「〜に応える」と混ぜる。「ニーズに応える」(求めを満たす)も正しいが、意味が違う。「応じて」は違いに合わせて変える、「応えて」は期待や求めを満たす、と二つの文を並べて示す
  • 第18課の「〜につれて」と混ぜる(例:レベルが上がるにつれて、クラスを分けます)。「につれて」は時間とともに少しずつ変わっていく変化、「に応じて」は条件ごとに合わせる対応、と時間の矢印があるかどうかで区別させる。名詞の前の形も落としやすいので(*レベルに応じて教材)、「レベルに応じた教材」と言い直させる

既習の文型との違い

  • 〜につれて…(第18課)「〜につれて」は時間とともに一方が変わると、もう一方も少しずつ変わっていく変化を言います(日本の生活に慣れるにつれて、友達が増えました)。「〜に応じて」は場合ごとの違いに合わせて、こちらが変える・決める対応を言い、時間の流れは要りません。「レベルが上がるにつれて、クラスを分けます」のように混ぜたら、時間の矢印があるかどうかで選び直させます。
  • 〜にしたがって…(第18課)第18課の「〜にしたがって」も、片方が進むともう片方も進む変化を言う形です。「〜に応じて」とちがって、だれかが合わせて変えるという意味は前に出ません。「人数にしたがって部屋を決めます」のように使ったら、「人数に応じて部屋を決めます」と言い直させ、「決める人がいる説明は応じて」と目安を渡します。
関連する文型

学習項目 4 〜は問わず…

意味・はたらき学習項目 4

前の名詞(年齢・性別・国籍・経験など)を条件にしない・区別しない、どれでもかまわない、という意味です。「問う」はここでは「問題にする・条件にする」という意味で、「問わず」は「問わないで」に当たる書き言葉の形です。募集のお知らせ・案内・規則など書かれた説明によく出て、会話なら「〜は関係ありません」「〜でも大丈夫です」に当たります。「〜を問わず」とも言い、「は」にするとほかに条件はあるが、これは条件にしないという対比が出やすくなります(年齢は問わず、日本語で会話ができる方)。前に来るのは、いろいろな場合がある名詞(年齢・季節)や、反対の組の語(男女・昼夜・経験の有無)です。

接続

N+は問わず、〜/N+を問わず、〜(文の終わりでは「Nは問いません」。募集のお知らせでは「年齢不問」のように書くこともある)

形
Nは問わず、〜(経験は問わず、だれでも応募できます)Nを問わず、〜(男女を問わず、人気があります)Nは問いません(国籍・経験は問いません)Nの有無は問わず(経験の有無は問わず)

導入

  • アルバイト募集のお知らせを読む黒板に自作の短い募集のお知らせ(時給・時間・条件)を書く。条件の欄に「年齢は問いません」「経験は問いません」「日本語で会話ができる方」と並べ、「20歳でもいいですか」「60歳は?」「初めてでもいいですか」「日本語が話せなくてもいいですか」と聞いていく。全部「いい」になる欄と、条件になっている欄を色で分け、「問わない=条件にしない」とまとめる。
  • 「問いません」から「問わず」へ文の終わりの「経験は問いません」を、文の途中の「経験は問わず、初めての方も応募できます」につなぐ。「問わず」は「問わないで」と同じで、書いた説明に出る形だと添える。会話で言うなら「年齢は関係ありません」だと、言い換えも一緒に板書する。

板書案

〔お知らせ〕年齢:問いません 経験:問いません 日本語:会話ができる人
N は 問わず、〜
経験は 問わず、だれでも 応募できます。
〔赤〕問う = 条件に する 問わず = 問わないで(書き言葉)
〔青〕前に 来る語:年齢・性別・国籍・経験・男女・季節

場面と発話(自作)

  • 地域の国際交流センターが、町の掲示板に日本語ボランティアの募集を出す。経験は問わず、日本語を教えてみたい方を募集しています。
  • 日本語学校の説明会で、職員が「何歳でも入学できますか」と聞かれて答える。年齢は問いません。ただ、高校を卒業していることが条件です。
  • 旅行会社の社員が、客に人気の温泉の町を紹介する。この町は、季節を問わず、たくさんの人が訪れます。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

自作の募集のお知らせを3種類(アルバイト・ボランティア・スポーツ教室)配り、ペアで「〜でも応募できますか」「はい、〜は問いません」「いいえ、〜が条件です」とやり取りさせる。最後に、クラスのイベントの参加者を募集するお知らせを書かせ、「〜は問わず」を一回使わせる。

  1. 口頭自作の募集のお知らせを3枚(アルバイト・ボランティア・スポーツ教室)貼り、教師が欄を指して「年齢は?」「経験は?」「国籍は?」と聞くたびに、全体→個人で「年齢は問いません」から「年齢は問わず、20歳でも60歳でも応募できます」へと、文の終わりの形から途中の形へ言い換えさせる。条件になっている欄(日本語の会話・週3日)を指したら「〜が必要です」で答えさせ、問わない欄と言い分ける。
  2. ペア「募集の電話」ロールプレイ。Aは応募したい人(自分の年齢・経験・国籍を書いたカードを持つ)、Bは店の人(お知らせを持つ)。Aが「経験がなくても大丈夫ですか」「40歳でも応募できますか」と聞き、Bが「はい、経験は問いません」などと答える。条件に合わない質問が一つ入るようにカードを作り、Bがていねいに断る場面も入れる。交替する。
  3. 産出「イベント参加者募集のお知らせ」作り。クラスで開くイベント(料理の会・スポーツ大会・日本語の発表会)の募集のお知らせを班で書く。「〜は問わず」を1回以上、「〜は問いません」と「〜が必要です」も入れ、条件と条件でないものを両方書く。教師が見るのは、前に幅のある語(年齢・経験)が来ているか、会話の部分に硬い形を使っていないか、「問う」を「質問する」と読み違えていないかの3点。

つまずきと手当て

  • 一つに決まった値の名詞に使う(例:20歳は問わず)。「問わず」の前は、いろいろな場合がある名詞(年齢)か、組の語(男女・経験の有無)だと示し、「20歳以上なら、年齢は問いません」のように言い直させる
  • 「問う」を「質問する」の意味だけで覚えていて、お知らせの「問いません」を「質問しません」と読み違える。読み取りの前に「問う=問題にする・条件にする」と板書し、例を二つ見せる
  • 会話で「問わず」を使って硬く聞こえる(友達に「国籍は問わず、だれでも来ていいよ」)。誤りではないが、書いた説明の形だと伝え、会話は「国は関係ないよ」「どこの国の人でも大丈夫だよ」に言い換えさせる

既習の文型との違い

  • 〜ても…(初級Ⅰ 第13課)初級の「〜てもいいです」「〜でも大丈夫です」は、話し言葉で一つずつの場合を許す言い方です(経験がなくてもいいです)。「〜は問わず」は書き言葉で、年齢・経験のような項目そのものを条件から外す言い方です。会話の質問「経験がなくてもいいですか」に、お知らせの「経験は問いません」が答えになっている、と対にして見せます。
  • たとえ〜ても…(第12課)第12課の「たとえ〜ても」は、ある場合を仮に考えて、それでも結果は変わらないと言う逆接です(たとえ雨が降っても行きます)。「〜は問わず」は仮定ではなく、募集や決まりの条件として最初から決まっていることを言います。どちらも「関係ない」と訳されやすいので、仮の話か、決まりの説明かで分けさせます。
関連する文型

学習項目 5 〜の中で…

意味・はたらき学習項目 5

「Nの中で」で比べる範囲を決め、その範囲の中で「一番〜」を言ったり聞いたりします。初級で習った「〜と〜とどちらが〜ですか」は二つを比べる形でしたが、三つ以上を比べて一番を言うときはこの形を使います。聞くときは「Nの中で、何/どれ/だれ/どこが一番〜ですか」、答えは「〜が一番〜です」で、疑問詞とそれに答える名詞には「が」がつきます。範囲が集団や場所なら「クラスで一番」「日本で一番」のように「で」だけでも言えます。説明や報告の文章では、「応募者の中で最も経験が長い人」のように、基準を決めて順位をつけるときにも使います。

接続

N+の中で、〜が一番〜(Nは三つ以上のものや、人の集まり。「Nのうちで」もほぼ同じ意味で、やや硬い)

形
Nの中で、何/どれ/だれ/どこが一番〜ですかNの中で、〜が一番〜ですNの中で最も〜N(書き言葉:参加者の中で最も若い人)Nで一番〜(クラスで一番背が高い)

導入

  • 三つ以上の物を丸で囲んで「一番」を聞く飲み物の絵カードを4〜5枚黒板に貼り、まず二つだけ指して「コーヒーと紅茶とどちらが好きですか」と初級の形で聞く。次に全部を大きな丸で囲んで「この中で、何が一番好きですか」と聞き、丸が比べる範囲だと示す。答えは「〜が一番好きです」で、「が」を赤で書く。
  • 評価の表で順位をつける三人の応募者の表(日本語の点数・経験の年数・家から店までの時間)を見せ、「三人の中で、だれが一番経験が長いですか」「点数が一番高いのはだれですか」と聞く。どの基準で比べるかによって一番が変わることに気づかせ、この課の目標(何を基準に判断するか)につなぐ。

板書案

〔丸で囲む〕コーヒー 紅茶 ジュース 水
この 中で、何が 一番 好きですか。
―― コーヒーが 一番 好きです。
〔赤〕何が ↔ コーヒーが(が を 上下で 線で つなぐ)
〔青〕二つ = どちらが 三つ以上 = 〜の中で 一番

場面と発話(自作)

  • 歓迎会で、先輩が日本に来たばかりの留学生に、日本の食べ物について聞く。日本の料理の中で、何が一番好きですか。——すしが一番好きです。
  • 会社で、出張のホテルを予約する担当者が、上司に候補を説明する。この三つのホテルの中で、駅から一番近いのはここです。
  • アルバイトの面接を担当した社員が、店長に面接の結果を報告する。応募した人の中で、田中さんが最も経験が長いです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

絵カードや表を見せて「〜の中で、〜が一番〜ですか」「〜が一番〜です」を全員で回す。次にペアで、範囲(国の料理・季節・スポーツ・町の店)を自分で決めて聞き合わせ、答えに理由を一つ添えさせる。

  1. 口頭絵カード(飲み物・季節・スポーツ・町)を4〜5枚ずつ丸で囲み、教師が「この中で、何が一番好きですか」と聞いて、全体→個人で「〜が一番好きです」と答えさせる。2周目は質問も学生に言わせ、疑問詞を入れ替える(季節ならいつ、町ならどこ、クラスの人ならだれ)。途中で二つだけのカードを出し、「どちらが」に戻る場面を混ぜる。
  2. ペア「応募者えらびの表」。三人の応募者の表(日本語の点数・経験の年数・家からの時間・働ける曜日)を、Aは上半分、Bは下半分だけ持つ。「三人の中で、だれが一番経験が長いですか」と聞き合って表を完成させ、最後に二人で「〜をもとに、〜さんにします」と決める。どの基準で比べるかで一番が変わることに気づかせる。
  3. 産出「クラスで一番」アンケート。学生が一人一つ質問を作り(国の料理・季節・行きたい町など)、クラスの3〜4人に聞いて回る。結果を「〜人の中で、〜が一番多かったです」と1〜2文で報告させる。教師が見るのは、「の中に」と混ぜていないか、答えに「は」を使っていないか、二つしかないもので「一番」を使っていないかの3点。

つまずきと手当て

  • 範囲を示す助詞を取り違える(*この中に、何が一番好きですか)。比べる範囲は「の中で」と枠で囲み、「に」はものがある場所(箱の中にある)だと分ける
  • 疑問詞「何が」に答えるところで「は」を使う(例:すしは一番好きです)。問いの「何が」の位置に答えが入るので「すしが」になる、と問いと答えを上下に並べて見せる
  • 二つしかないのに使う(例:コーヒーと紅茶の中で、どちらが一番好きですか)。二つなら初級の「どちらが〜ですか」、三つ以上なら「の中で〜一番」と、比べる数で形を選ばせる

既習の文型との違い

  • AよりBのほうが〜(第5課)「AよりBのほうが〜」は二つを比べる形で、聞くときは「AとBとどちらが〜ですか」になります。「〜の中で、〜が一番〜」は三つ以上の中から一番を言う形です。二つで「一番」を使ったり、三つ以上で「どちら」を使ったりしたら、比べる数を数えさせて形を選び直させます。
  • 〜に比べて…(第5課)「〜に比べて」は基準になるものを一つ決めて、それと比べてどうかを言います(去年に比べて、学生が増えました)。「〜の中で」は範囲を決めて、その中の順位を言います。比べる相手が一つか、範囲の中の一番かで分けます。
関連する文型

学習項目 6 〜の中から…

意味・はたらき学習項目 6

「から」は起点を表し、たくさんあるものの中から一つ(いくつか)を取り出す・選び出すことを表します。後ろには「選ぶ・選び出す・決める・探す・取り出す」などの動詞が来ます。「〜の中で」が範囲の中で比べて一番を言うのに対して、「〜の中から」は選ぶ動作のほうに焦点があります。選ぶときの基準(〜をもとに・〜に応じて)と一緒に、選考や決め方の説明によく出てきます。また、「かばんの中から財布を出す」のように、物が出てくるところにも使います。

接続

N+の中から+選ぶ/決める/探す など(「この中から」「三つの中から」のように、指示語や数ともよく使う)

形
Nの中から、〜を選ぶ(パンフレットの中から、行きたい所を二つ選んでください)Nの中から選ばれたN(たくさんの作品の中から選ばれた絵)Nの中から〜が出てくる(箱の中から古い写真が出てきた)

導入

  • 「選んでください」で動作を見せる学習項目5で使った絵カードの丸をそのまま使い、学生に「この中から、好きなものを二つ選んでください」と言ってカードを取らせる。取ったら「〜さんは、この中から〜と〜を選びました」と言い、丸の中から外へ矢印を引いて、「から」は取り出すことだと板書する。
  • 「中で」と「中から」を並べる同じ丸の絵の下に「この中で、何が一番好きですか(比べる)」「この中から、二つ選んでください(取り出す)」を書き、丸の中で回る矢印と、丸の外へ出る矢印を描き分ける。そのあと教師が文を言い、学生に「で」か「から」かを答えさせる。

板書案

〔丸〕授業 A B C D E ──→〔丸の外へ 矢印〕B・D
この 中から、二つ 選んで ください。
N の 中から + 選ぶ/決める/探す
〔赤〕範囲 = の中から 選ぶもの = を
〔青〕中で(丸の中で 回る 矢印)/中から(丸の外へ 出る 矢印)

場面と発話(自作)

  • 大学の留学生センターで、職員が新入生に、授業の選び方を説明する。この20の授業の中から、自分で五つ選んでください。
  • スピーチ大会の係が、予選の結果を参加者に知らせる。応募した30人の中から、本選に出る10人を選びました。
  • 引っ越しの準備で押し入れを片付けていた人が、家族に話しかける。古い箱の中から、子どものころの写真が出てきたよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

店のメニュー・アルバイトの求人・授業の一覧などを配り、「この一覧の中から選ぶなら、どれを選びますか」「〜を選びます。〜からです」と聞き合わせる。慣れたら「〜の中で一番〜のは何ですか」と「〜の中から〜を選んでください」を混ぜて出し、「で」と「から」を言い分けさせる。

  1. 口頭教師が絵カードの丸を指して「この中から、飲みたいものを選んでください」と言い、学生にカードを取らせたあと、「〜さんは、この中から〜を選びました」と全体で言わせる。キューは「この中から・二つ」「三つの店の中から・一つ」「20の授業の中から・五つ」「応募した人の中から・3人」。2周目は教師が「一番」の文と「選ぶ」の文を混ぜて言いかけ、学生に「で」か「から」かを答えさせる。
  2. ペア「メニューから注文」。Aは店員、Bは客。Bは自作のメニューを見て「この中で、何が一番人気ですか」と聞き、Aが答え、Bが「じゃ、この中から二つ選びます。〜と〜をお願いします」と注文する。次に授業の一覧やアルバイトの求人の一覧に替えて交替する。「中で(一番)」と「中から(選ぶ)」が一つのやり取りに両方出るように組む。
  3. 産出「選考のしかた説明」。「クラスのリーダーを決める」か「スピーチ大会の出場者を決める」を班で一つ選び、何人の中から、何をもとに、何人を選ぶかを3〜4文で説明する(「〜の中から」「〜をもとに」「〜は問わず」を入れる)。教師が見るのは、「を」と「から」の取り違え、一番の文に「から」を使っていないか、選ぶ数の言い方の3点。

つまずきと手当て

  • 「から」のかわりに「を」を使う(*メニューの中を二つ選んでください)。選ぶものは「〜を」、選ぶ範囲は「〜の中から」と、二つの助詞を一文の中で板書して見せる(メニューの中から二つを選ぶ)
  • 比べて一番を言う文に「から」を使う(例:この中から、何が一番好きですか)。「一番」があれば「で」、「選ぶ・決める・探す」があれば「から」と、後ろの言葉を見て決めさせる
  • 反対に、選ぶ文を全部「中で」で言う。話し言葉では「この中で選んで」も聞かれるが、選び出す動作をはっきり言うのは「中から」で、選考の説明や案内の文章では「中から」が使われる、と伝える

既習の文型との違い

  • 〜の中で…(第19課)「〜の中で」は範囲の中で比べて一番を言い、後ろに「一番」「最も」が来ます。「〜の中から」は範囲から外へ取り出す動作を言い、後ろに「選ぶ・決める・探す・出す」が来ます。後ろの言葉を見て助詞を決める、という見方を板書の矢印と一緒に示します。
  • Nにします(初級Ⅰ 第12課)初級の「Nにします」は、自分が何を選んだかを言う形です(コーヒーにします)。「〜の中から選ぶ」は選ぶ範囲を示して、選ぶ動作そのものを説明する形で、案内や選考の説明によく出ます。店の会話では「この中から選んでください」「じゃ、これにします」と二つが続くことを見せます。
関連する文型

語彙の扱い

基準を説明する文章には、クラス分けや募集の場面の語(基準・条件・募集・応募・面接・結果・希望・ニーズ・レベル・国籍・性別・年齢・経験 など)がまとまって要ります。単語だけで覚えさせず、「〜を基準にする」「〜に応募する」「条件を満たす」「経験の有無」のように助詞つきの形で、案内や募集のお知らせの文の中に入れて練習します。「ニーズ」「レベル」「目的」のような語は「〜に応じて」の前によく来る語として、「年齢」「性別」「国籍」「経験」は「〜は問わず」の前によく来る語として、文型と組にして扱うと定着しやすくなります。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 基準(きじゅん) 比べたり決めたりするときに、もとにする考えや数字です。 〜を決める・〜に合う・合格の〜
    クラス分けの説明会で、職員が新しい学生に話す。
    テストの点数が、クラス分けの基準です。
  • 条件(じょうけん) 何かをするときに、そうでなければならないことです。 〜に合う・〜を満たす・応募の〜
    アルバイトのお知らせを見ながら、友達に聞く。
    この仕事の条件は何ですか。
  • 募集します(ぼしゅうします) 人や作品などを、広く呼びかけて集めます。 アルバイトを〜・参加者を〜・〜のお知らせ
    国際交流センターの掲示板のお知らせ。
    日本語で話す相手を募集しています。
  • 応募します(おうぼします) 募集を見て、自分から申し込みます。 〜に応募する・スピーチ大会に〜
    留学生が、先生に相談する。
    スピーチ大会に応募したいんですが、だれでもできますか。
  • 面接(めんせつ) 会って話を聞き、その人のことを知るための試験です。 〜を受ける・〜の日・〜で聞かれる
    アルバイトの面接の前の日、友達と話す。
    あしたは面接だから、少し緊張しています。
  • 結果(けっか) したことのあとに出てきたことです。 テストの〜・〜が出る・〜をもとに
    旅行の係が、クラスに旅行の行き先の決め方を伝える。
    去年のアンケートの結果をもとに、旅行の行き先を決めます。
  • 希望(きぼう) こうなってほしい、こうしたいと思うことです。 〜を聞く・〜に合わせる・進学の〜
    面談で、先生が学生に聞く。
    あなたの希望は進学ですか、就職ですか。
  • レベル(れべる) どのくらいできるかの高さです。 〜が高い・〜に応じて・〜を上げる
    教材を選ぶ先生どうしの相談。
    学生のレベルに応じて、教材を変えましょう。
  • 国籍(こくせき) その人がどの国の人か、ということです。 〜は問わず・〜が違う・〜を書く
    国際交流イベントのお知らせ。
    国籍は問わず、日本の料理に興味がある方を募集します。
  • 経験(けいけん) 前に実際にしたこと、そこから知ったことです。 〜がある・〜が長い・〜は問いません
    店長が、応募した人に電話で話す。
    経験は問いませんから、安心してください。
  • 選びます(えらびます) たくさんある中から、いいと思うものを取ります。 〜の中から〜・一つ〜・自分で〜
    留学生センターで、職員が授業の登録を説明する。
    この中から、取りたい授業を三つ選んでください。
  • 中心(ちゅうしん) まん中、または全体の中でいちばん大事な部分です。 〜を中心に・町の〜・話の〜
    テレビの天気予報。
    あしたは関東地方を中心に、雪が降るでしょう。

宿題と次のコマ

宿題は、自分の国の学校やアルバイト先で「何をもとに・何に応じて決めるか」「何は問わないか」を説明する短い文章(5〜6文)を書くこと。六つの形のうち四つ以上を使う。次のコマの最初に何人かに読んでもらい、聞いた学生が「その中で一番大事な条件は何ですか」と質問して復習してから、第20課の「〜きる」「〜ぬく」(動作を最後までやりとげることを強く言う)に入ります。

よくある質問

  • 第19課の「〜をもとに」と「〜を中心に」はどう教え分ければいいですか?

    同じ場面に両方を入れて比べると分かりやすくなります。「留学生の声をもとに授業を作る」は留学生の声が材料・根拠だと言い、「会話を中心に授業を作る」は授業の中にいくつかある部分のうち会話がいちばん大きいと言っています。「もとに」はほかの材料を使ったかどうかまでは言わない点も添えます。図で「材料→できたもの」と「中心と周り」を描き分け、後ろの動詞(作る・決める)も一緒に見せます。

  • 「〜に応じて」と「〜によって」の違いは何ですか?

    「〜によって」は、場合によって違いがあることを言うだけでも使えます(国によって習慣が違います)。「〜に応じて」は、その違いに合わせてだれかが何かを変える・決めるときに使い、料金・サービス・クラス分けの説明によく出ます。後ろに「変える・決める・分ける」があるかどうかを目安にさせます。

  • 「〜は問わず」と「〜を問わず」は同じ意味ですか?

    どちらも「〜を条件にしない」という意味の書き言葉です。「〜を問わず」が基本の形で、「〜は問わず」は、ほかに条件はあるがこれは条件にしない、という対比が出やすくなります。募集のお知らせでは文の終わりの「〜は問いません」もよく使われるので、三つを並べて読めるようにしておきます。会話では「〜は関係ありません」で十分です。

  • 「この中で」と「この中から」の使い分けはどう説明しますか?

    後ろの言葉で決めさせるのがいちばん簡単です。「一番」「最も」があれば範囲の中で比べるので「中で」、「選ぶ・決める・探す」があれば範囲から取り出すので「中から」です。板書で丸の中で回る矢印と、丸の外へ出る矢印を描き分けると、学生が自分で確かめられます。

  • 第19課は何コマで終わりますか?板書はどう組みますか?

    六つの学習項目と目標の活動で、90分×2コマが目安です。1コマ目で「もとに・中心に・応じて・問わず」の基準を説明する形を、2コマ目で「中で・中から」と読み取り・説明の活動をすると、まとまりよく進みます。板書は最初に「決める材料・主な部分・合わせて変える・条件にしない・比べる・選ぶ」の六つの枠を黒板の左に作り、項目が終わるたびに例文を一つずつ足すと、まとめの表がそのまま残ります。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。