日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 中級 第37課「水面から上に見えている部分は、全体のわずか10%にすぎない」の教案

『学ぼう!にほんご 中級』

意見文やスピーチで、自分の主張を根拠といっしょに言い切るための形を集めた課です。5つの形は、どれくらい強く言い切るかと何を言い切るかで整理すると教えやすくなります。「〜にほかならない」は「まさにこれだ」と一つに絞って言い切り、「〜にすぎない」は「それ以上のものではない」と小さく言い切り、「〜に違いない」は根拠から強く推し量り、「〜ほか(は)ない」は「ほかに道がない」と結論を一つに絞ります。一方で「〜と思われる/ように思われる」は、言い切りを少し弱めて、自分一人の思い込みではないと見せる書き言葉の形です。最後に、根拠→主張→反対の意見への答え、という意見文の骨組みの中で、強い形と控えめな形をどこに置くかを考えさせると、課の目標がそのまま練習になります。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目5時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 数や事実を「〜にすぎない」で小さく評価し、「見えているのは一部だけだ」という主張の根拠として使える
  • 原因や本当の姿を「〜にほかならない」「〜からにほかならない」で一つに絞って言い切り、「〜にすぎない」と対にして、相手の見方を言い直せる
  • 根拠をあげて「〜に違いない」で強く推し量り、「〜はずだ」との違い(理屈から当然か、話し手の確信か)を意識して使い分けられる
  • ほかに方法がない結論を「〜ほか(は)ない」で、控えめな主張を「〜と思われる/ように思われる」で書き、意見文やスピーチの中で強さを調整できる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(目標の場面)10分町の地図を黒板に描いて公園の部分だけを緑に塗り、「公園は町の土地のどれくらいだと思いますか」と聞く。答えが出たら、「この町は公園が少ない」という意見を言うとき、日本語ではどんな形で強く言えるかを考えさせる。黒板の右に、強く言い切る形から控えめな形まで並べる「主張の強さのものさし」を用意しておく
学習項目1 〜にすぎない20分数字(わずか3%・たった5人)と「ただの〜」を使って、「それ以上のものではない」と小さく評価する形を入れる。主張の根拠として数字を出すときに使う、と押さえる
学習項目2 〜ほかならない25分「AはBにすぎない」と「AはBにほかならない」を並べ、小さく言う形と「まさにこれだ」と言い切る形の対にする。「〜のは、〜からにほかならない」で理由を一つに絞る形も入れる
学習項目3 〜に違いない25分証拠の絵(ぬれたかさ・電気のついた窓)から推し量る遊びで導入し、初級の「〜はずです」と比べる。根拠を先に言ってから「〜に違いない」で結ぶ順を板書で固定する
学習項目4 〜ほか(は)ない20分選択肢を一つずつ消していく図で、「残る道はこれだけ」という結論を入れる。初中級の「〜しかない」を思い出させ、書き言葉ではこちらを使うことを確かめる
学習項目5 〜と思われる/ように思われる25分「私は〜と思う」「〜と思われる」「〜ように思われる」を並べ、だれの考えか・どれくらい言い切っているかを比べる。レポートや意見文の結論に使う形として、ものさしのいちばん控えめな側に置く
目標の活動(根拠のある1分スピーチ)45分「スマホは子どもに必要か」「日本の駅はなぜ時間どおりに電車が来るか」などの題から一つ選び、根拠1つ→主張→反対意見への一言、の順で1分話す。強い形(ほかならない・違いない)と控えめな形(と思われる)を一つずつ必ず入れ、聞き手は「その根拠は何ですか」と一つ質問する
まとめ10分ものさしに5つの形を置き直し、話し言葉で言いかえるとどうなるか(「〜だけだ」「〜こそ〜だ」「きっと〜」「〜しかない」「〜みたいだ」)を横に書いて、硬さと強さを一覧にして残す

学習項目 1 〜にすぎない

意味・はたらき学習項目 1

「ただ〜だけで、それ以上のものではない」と、ものごとの程度や価値を小さく評価して言い切る形です。数や割合に付けると「思ったより少ない・わずかだ」という意味になり、名詞に付けると「本当の答えや大事なものではなく、ただの〜だ」という意味になります。「わずか」「たった」「ただの」「単なる」「〜の一つ」などといっしょに使われることが多く、話し手の「大したことではない」という見方がはっきり入ります。意見文では、「反対しているのは一部の人にすぎない」「それは一つの例にすぎない」のように、相手の見方を小さくしてから自分の主張を出す根拠として使えます。

接続

N(数・割合も)+にすぎない/V普通形+にすぎない(「〜たにすぎない」が多い。な形は「〜であるにすぎない」。丁寧には「〜にすぎません」)

形
Nに すぎない(ただのうわさにすぎない・一つの意見にすぎない)わずか/たった 数字に すぎない(参加者はわずか5人にすぎなかった)Vたに すぎない(当たり前のことをしたにすぎない)AはBの一部/一例に すぎない

導入

  • 町の地図から町の地図の中で公園の部分だけを緑に塗って「3%」と書き、「この町で公園になっている土地は、全体のたった3%です」と言ってから、「公園は町の土地の3%にすぎません」と言い換えて板書する。「3%は多いですか、少ないですか」「話している人はどう思っていますか」と聞き、少ない・大したことではない、という評価が入っていることを引き出す。
  • 謙遜の場面で教師が「大会で優勝したそうですね、すごい」とほめられる役をして、「いえ、運がよかったにすぎません」と答える。自分のことを小さく言う謙遜にも使えることを見せ、動詞の場合は「〜たにすぎない」の形が多いことを板書する。

板書案

N/Vた + にすぎない(=ただ〜だけだ。それ以上ではない)
公園は、町の土地の わずか3% にすぎない。
わたしは 救急車を 呼んだ にすぎません。
〔青〕わずか・たった・ただの・一つの + 〔赤〕にすぎない(いっしょに出る語に丸)
主張のものさし: 小さく言い切る ← 〔赤〕にすぎない

場面と発話(自作)

  • ゼミの発表で、留学生が「ごみの分別はうまくいっている」という意見に反論する。市の資料では、きちんと分けて出している家は一部だけだった。分別を守っている家庭は、全体の3割にすぎません。
  • ネットで「あの店は来月閉まる」という話が広まっている。店でアルバイトをしている学生が、心配する友達に説明する。それは、だれかが書いたうわさにすぎないよ。店長は何も言っていないから。
  • 道に倒れていた人を助けた会社員が、地元の新聞にインタビューされた。わたしは救急車を呼んだにすぎません。助けたのは救急隊の方です。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

数字のカード(わずか2%・たった1日・100人中3人)と話題のカード(日本の森林以外の土地・試験の勉強時間・女性の社長)を組み合わせ、「〜は〜にすぎない」で一文を作らせる。そのあと「だから、〜と言える」を一文足させ、小さく評価した数字を主張の根拠につなげる練習にする。

  1. 口頭教師が数字のカードを見せてキューを出す(「わずか5人・参加者」「たった1日・休み」「3割・分別を守っている家」)→ 全体で「参加者はわずか5人にすぎない」→ 個人で。次に名詞のキュー(「うわさ」「一つの例」「ただの風邪」)で「それはうわさにすぎない」、動詞のキュー(「名前を書いた」「少し手伝った」)で「名前を書いたにすぎません」と、付く形を変えていく。「だ」を入れた学生には、カードの「だ」を指で隠して言い直させる。
  2. ペアAは大げさにほめる役、Bは謙遜する役。Aが「すごいですね、全部一人でやったんですか」などとほめ、Bは「いえ、少し手伝ったにすぎません」と小さく言って返す。5往復で交替。次に、Aが「〜は大きな問題だ」と言い、Bが数字のカードを使って「でも、〜はわずか〜にすぎないよ」と小さく評価し直す。Bが持っている数字はAには見せない(情報差)。
  3. 産出「数字で反論カード」: 学生が身近な話題(一日のうち勉強に使う時間・クラスで毎朝朝ごはんを食べる人 など)から数字を一つ選び、「〜は〜にすぎない。だから〜と言える」の2文をカードに書いて発表する。教師が見るのは、名詞に「だ」を付けていないか、話し手が本当に「少ない」と評価している数字か、「だから〜」の主張とつながっているか。

つまずきと手当て

  • 名詞のあとに「だ」を入れる(「*それはうわさだにすぎない」)。名詞には直接「にすぎない」を付ける。硬い文章では「うわさであるにすぎない」とも言える
  • 大きい数字・よいことを言いたいのに使ってしまう(「合格者は90%にすぎない」)。文法の誤りではないが、「90%は少ない」と言っていることになる。話し手が小さいと評価しているときに使う形だと確かめる
  • 「だけ」と重ねる(「一例だけにすぎない」)。話し言葉では聞くこともあるが、「にすぎない」の中に「だけ」の意味が入っているので、作文では「一例にすぎない」か「一例だけだ」のどちらかにする

既習の文型との違い

  • 〜しかない(初中級 第14課)「参加者は5人しかいない」と「参加者は5人にすぎない」は、どちらも少ないと言っていますが、「しかない」は会話でも使えるくだけた形で、後ろに「いない」「ない」のような否定の動詞が来ます。「にすぎない」は硬い書き言葉で、名詞や数字に直接付き、「いない」のような動詞を別に立てません(*5人いないにすぎない)。学習者は「*5人しかすぎない」と二つを混ぜることがあるので、2つの文を縦に並べて、硬さと形の違いを見せます。
  • 〜すぎます(初級Ⅱ 第29課)初級の「高すぎます」は「程度が多すぎる」で、「にすぎない」は反対に「それだけで、大したことはない」と小さく言う形です。字面が似ているので、「高すぎる」のつもりで「このかばんは高いにすぎない」と書く学習者がいます。「すぎます=多い」「にすぎない=少ない」と、2つの矢印を逆向きに板書して区別します。
関連する文型

学習項目 2 〜ほかならない

意味・はたらき学習項目 2

「AはBにほかならない」で、「Aはまさに・ほかでもないBだ」と、ほかの可能性を消して一つに言い切る形です。「ほかならない」は「ほかのものではない」ということで、「〜だ」よりもずっと強い断定になります。ものごとの本当の姿・原因・責任を「これだ」と示すときに使い、とくに「〜のは、〜からにほかならない」の形で、理由を一つに絞って強調することがよくあります。硬い言い方なので、意見文・論文・スピーチ・あいさつで使い、友達との会話ではふつう「〜こそ〜だ」「まさに〜だ」などを使います。「〜にすぎない」が小さく評価するのに対し、こちらは大事なものとして示すので、二つを並べると「AはBにすぎない、と言う人もいるが、実はCにほかならない」という主張の形が作れます。

接続

N+にほかならない/普通形+から+にほかならない(理由を言うとき)(「〜ことにほかならない」の形もある。丁寧には「〜にほかなりません」)

形
AはBに ほかならない(この失敗は準備不足の結果にほかならない)〜のは、〜からに ほかならない(合格できたのは、毎日続けたからにほかならない)〜ことは、〜ことに ほかならないAはBにすぎない ⇔ AはBに ほかならない(評価の対)

導入

  • 「すぎない」と並べる「この試合に負けたのは、運が悪かったからにすぎない」と「この試合に負けたのは、練習が足りなかったからにほかならない」を並べて板書する。「どちらの人が、負けた原因をはっきり一つに決めていますか」「どちらが大事なことを言っていますか」と聞き、小さくする形と、これこそ本当の原因だと示す形の違いを引き出す。
  • あいさつの場面で教師が卒業式のあいさつをする役で、「みなさんが今日ここに立っているのは、自分の力で努力を続けてきたからにほかなりません」と言う。どんな場面の言葉か、友達との会話で言うかを学生に聞き、改まった場で使う強い形だと確かめる。

板書案

AはBにほかならない(=まさにBだ。ほかのものではない)
今回の成功は、チーム全員の努力の結果にほかなりません。
合格できたのは、毎日続けた 〔赤〕から にほかならない。
〔青〕〜にすぎない(小さく) ⇔ 〔赤〕〜にほかならない(これだと言い切る)
話し言葉では → 「〜こそ〜だ」「まさに〜だ」

場面と発話(自作)

  • プロジェクトが失敗したあとの会議で、チームのリーダーが部長に報告する。今回の遅れの原因は、計画を確かめなかったことにほかなりません。
  • 日本語のスピーチ大会で、優勝した留学生が最後にあいさつする。ここまで来られたのは、毎週練習に付き合ってくれた友達がいたからにほかなりません。
  • 環境問題についての意見文で、留学生が自分の主張をまとめる。プラスチックを減らすことは、未来の海を守ることにほかならない。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「〜は、〜からにすぎない」と言う人に反論する形で、「いいえ、〜からにほかならない」と言い直させる(例: 「あの店がはやっているのは、安いからにすぎない」→「いいえ、店員の対応がいいからにほかならない」)。ペアで、相手の見方を小さくする側と、本当の理由を言い切る側を交代しながら練習する。

  1. 口頭教師が「原因・本当の姿」のキューを出す(「この失敗・準備不足の結果」「この成功・チームの力」「ごみを減らすこと・海を守ること」)→ 全体で「この失敗は準備不足の結果にほかならない」→ 個人で。次に「〜のは、〜から」のキュー(「合格できた・毎日続けた」「店がはやっている・店員の対応がいい」)で、理由の形を言わせる。「から」を落とした学生には、板書の「から」を指してもう一度言わせる。
  2. ペアAは「〜のは、〜からにすぎない」と小さく言う役、Bは「いいえ、〜からにほかならない」と言い直す役。話題カード(あの選手が勝った・この町に観光客が増えた・あの店が人気だ)には、Bの分にだけ「本当の理由」が書いてある(情報差)。Bは理由を言ったあと、根拠を一言足す。3枚で交替。
  3. 産出「お礼スピーチ」: 学生が、自分が何かを続けられた・できるようになったことを一つ選び、「〜できたのは、〜からにほかなりません」を入れた30秒のお礼のあいさつを作って発表する。教師が見るのは、「から」が入っているか、「ほかない」と混ざっていないか、内容があいさつの改まった場に合っているか。軽すぎる内容なら「こそ」での言いかえを示す。

つまずきと手当て

  • 「ほかない」と混ぜる(「*これは努力の結果にほかない」「*帰るにほかならない」)。名詞の言い切りは「にほかならない」、方法がない意味は「Vるほか(は)ない」。形と意味を表の2列に分けて板書する
  • 動詞をそのまま付ける(「*合格したのは、努力したにほかならない」)。理由を言うときは「努力したからにほかならない」と「から」を入れる
  • 会話で軽い内容に使って大げさになる(「このラーメンがおいしいのは、スープがいいからにほかならない」)。誤りではないが、演説のように聞こえる。会話では「スープがいいからこそだよ」のように言いかえる

既習の文型との違い

  • 〜こそ(第21課)「努力こそが大切だ」「努力したからこそ合格できた」の「こそ」も一つを取り立てて強めますが、「こそ」は名詞や「から」に付く取り立ての言葉で、会話でも使えます。「にほかならない」は文の最後に来て、AとBを「同じだ」と結ぶ硬い言い切りです。学習者が「*努力こそにほかならない」と重ねたら、どちらか一つにさせます。
関連する文型

学習項目 3 〜に違いない

意味・はたらき学習項目 3

見たこと・聞いたこと・知っていることなどの根拠から、「きっとそうだ、まちがいない」と話し手が強く確信して推し量る形です。はっきり確かめたわけではないけれど、ほとんど断定に近い気持ちで言います。初級の「〜はずだ」も強い推量ですが、「〜はずだ」は知識や理屈から考えて当然そうなる、という筋道に重点があり、「〜に違いない」は話し手が「これだ」と思う確信の強さに重点があります。そのため、「寒いはずだ。雪が降っている」のように理由が分かって納得する使い方や、「来るはずなのに、来ない」のように予想が外れた場面は「はず」だけが使えます。一方、勘や直感から「犯人はあの人に違いない」と言うのは「違いない」のほうが自然です。少し硬い言い方で、作文やスピーチ、物語に多く、会話では「きっと〜と思う」「〜に決まっている」もよく使われます。

接続

普通形+に違いない(な形とNは「だ」を付けない: 静かに違いない・学生に違いない。丁寧には「〜に違いありません」)

形
V普通形に 違いない(もう家に着いたに違いない)い形に 違いない/な形・Nに 違いない(高いに違いない・便利に違いない・本物に違いない)〜から、きっと〜に 違いない(根拠→確信の順)〜に違いないと思う/〜に違いありません

導入

  • 証拠から推し量る玄関にぬれたかさが置いてある絵を見せ、「外はどうですか」と聞く。「雨が降っている」という答えを「かさがぬれているから、雨が降っているに違いない」と板書し、見ていないのに強く言い切れるのはなぜか、と根拠の部分に下線を引く。電気のついた窓・空のお弁当箱など、もう2〜3枚の絵で同じ型を言わせる。
  • 「はず」と比べる「田中さんは10年アメリカに住んでいたから、英語が上手なはずだ」と「上手に違いない」を並べ、どちらも言えることを確かめる。次に「おかしいな。会議は3時からのはずなのに、だれもいない」を見せ、「違いない」に変えられるか聞く。予想が外れたときや「なるほど、だから寒いはずだ」の納得には「はず」しか使えないことを、表にして残す。

板書案

根拠 + から、普通形 + に違いない(=きっとそうだ)
かさが ぬれているから、雨が 降っている に違いない。
〔青〕N・な形は「だ」を取る: 医者に違いない/便利に違いない
〔赤〕はず だけ: 来るはずなのに来ない(外れた予想)/だから寒いはずだ(納得)
根拠に〔青〕下線 → 結論に〔赤〕丸

場面と発話(自作)

  • いつも元気な同僚が、今日は朝から一言も話さず、ため息ばかりついている。休み時間に別の同僚に小声で話す。何か心配なことがあるに違いないよ。あとで声をかけてみよう。
  • マラソン大会の前の日、毎朝5時から練習していた友達のことを、留学生がほかの友達に話す。あれだけ練習したんだから、いい記録が出るに違いない。
  • 古い町の歴史を調べるレポートで、留学生が見つけた古い地図をもとに考えを書く。道がこの形になっているのは、昔ここに川が流れていたからに違いない。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「証拠のカード」(駅に人があふれている・部屋から笑い声が聞こえる・テストが早く返ってきた 等)を引かせ、「〜から、〜に違いない」で推し量らせる。聞き手は「本当に? ほかの理由は考えられない?」と一つ反論し、言った人は根拠をもう一つ足して主張を守る。最後に何枚かを「〜はずだ」に言い換えられるか、全体で確かめる。

  1. 口頭証拠の絵カードを1枚ずつ見せる(ぬれたかさ・電気のついた窓・空のお弁当箱・行列のできた店)→ 教師が「かさがぬれている。外は?」とキューを出し、全体で「かさがぬれているから、雨が降っているに違いない」→ 個人で。次に名詞・な形で言う絵(白衣を着た人・駅のすぐ前のマンション)を入れ、「医者に違いない」「便利に違いない」と「だ」を取る形を言わせる。
  2. ペア「名探偵ゲーム」の練習: Aは証拠カードを3枚持ち、1枚ずつBに見せる。Bは「〜から、〜に違いない」で推し量り、Aは「本当に? ほかの理由は?」と一つ反論する。Bは次の証拠を使って主張を守る。3枚使い切ったら交替。最後に、言った文のうち「はず」に言いかえられるものを二人で選ぶ。
  3. 産出「名探偵ゲーム」本番: グループに小さな事件の絵(教室のケーキがなくなった など)と証拠のメモ4つを配り、「犯人は〜に違いない。なぜなら〜」の推理を3文で書いて発表させる。ほかのグループは一つ質問する。教師が見るのは、根拠を先に出しているか、名詞・な形に「だ」を付けていないか、予想が外れた文(「〜のに」)に「違いない」を使っていないか。

つまずきと手当て

  • 名詞・な形のあとに「だ」を入れる(「*あの人は医者だに違いない」「*便利だに違いない」)。「医者に違いない」「便利に違いない」と、「だ」を取って付ける
  • 予想が外れた場面で使う(「新幹線は9時に着くに違いないのに、まだ来ない」)。予想と違ったことを言うときは「着くはずなのに」にする。「違いない」は話し手がいま確信していることを言う形だと確かめる
  • 自分がこれからすることに使う(「明日はわたしが早く起きるに違いない」)。自分の意志で決められることは推量しないので、「早く起きるつもりだ」「起きようと思う」と言う。ただし、自分の体や気持ちのように自分で決められないことには使える(「明日はきっと筋肉痛になるに違いない」)

既習の文型との違い

  • 〜はずです/〜ないはずです(初級Ⅱ 第33課)・〜はずです(初中級 第15課)どちらも強い推量ですが、「はず」は知識や理屈から当然そうなる筋道を言い、「違いない」は話し手の確信を言います。予想が外れた「来るはずなのに来ない」と、理由が分かって納得する「だから寒いはずだ」は「はず」だけです。学習者が「来るに違いないのに、来ない」と書いたら、外れた予想は「はず」と板書の表に戻します。
  • 〜らしいです(初級Ⅱ 第33課)「らしい」は聞いた話や外から得た情報からの推量で、話し手は少し距離を置いています。「違いない」は自分で根拠を見て、自分が強く確信している形です。「ニュースによると、雪が降るらしい」を「降るに違いない」にすると、自分で決めつけているように聞こえる、と比べさせます。
  • 〜ようです(初級Ⅱ 第24課)「ようです」は様子を見た感じからの推量で、確信は「違いない」より弱い形です。同じ「ぬれたかさ」の絵で「雨が降ったようだ」「降ったに違いない」を言わせ、どちらが強く言い切っているかを、ものさしの上に置かせます。
関連する文型

学習項目 4 〜ほか(は)ない

意味・はたらき学習項目 4

ほかに方法も選ぶ道もないので、そうするしかない、という結論を表す形です。本当はそうしたくない・残念だという気持ちがあっても、事情を考えると残る道はそれだけだ、というあきらめや覚悟が入ることが多い形です。初中級で学んだ「〜しかない」と意味は同じですが、「〜ほか(は)ない」のほうが硬く、意見文・説明文・改まったあいさつで使います。「〜よりほか(は)ない」「〜ほかしかたがない」の形もあります。意見文では、いくつかの方法を比べてだめな理由を一つずつ言ってから、最後に「だから〜ほかない」で結論を一つに絞る、という使い方ができます。

接続

Vる(辞書形)+ほか(は)ない(「〜よりほか(は)ない」「〜ほかしかたがない」とも言う。丁寧には「〜ほか(は)ありません」)

形
Vる ほかない(待つほかない・あきらめるほかない)Vる ほかはない(硬さは同じ。「は」で少し強調する)Vる より ほか(は)ない〜と思う/〜と考える ほかない(運が悪かったと思うほかない)

導入

  • 選択肢を消していく「終電に乗り遅れた。どうするか」と書き、タクシー(高すぎる)・友達の家(遠い)・歩く(3時間)を一つずつ消していく。残った「駅の近くで朝まで待つ」に丸をつけ、「朝まで待つほかない」と板書する。初中級の「待つしかない」と同じ意味だと確かめ、「手紙やレポートで書くならどちら?」と聞いて硬さの違いを押さえる。
  • 残念な結果を受け入れる教師が「楽しみにしていた花火大会が、台風で中止になりました」と言い、「残念ですね。でも、どうしますか」と聞く。「あきらめるほかありません」「来年を待つほかない」を引き出し、気持ちとしては残念だけれど、受け入れるしかないときに使うことを確かめる。

板書案

Vる + ほか(は)ない(=ほかに方法がない)
タクシー × 友達の家 × 歩く × → 朝まで 待つ ほかない。
〔青〕前は辞書形だけ/過去は後ろで: 待つほかなかった
〔赤〕Vるほか(は)ない=方法がそれだけ / Nにほかならない=まさにそれ(2列の表)
話し言葉では → 「〜しかない」

場面と発話(自作)

  • 工場で機械が故障し、部品が届くのは来週になる。班長が作業員に説明する。部品が届くまでは、手で作業するほかありません。
  • 留学生が意見文で、町の駐輪場が足りない問題について、いくつかの案を比べたあと結論を書く。以上の理由から、駅前の空き地を駐輪場に使うよりほかはない。
  • 応援していたチームが大きな差で負けた。試合のあと、ファンの一人が記者に答える。これだけ差がついたら、相手が強かったと認めるほかないですね。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

困った場面のカード(パスポートをなくした・締め切りが明日・雨で試合が中止)を引かせ、だめな方法を二つ言ってから「だから、〜ほかない」で結論を言わせる。そのあと同じ内容を友達に言う形で「〜しかない」に言いかえさせ、硬い形とくだけた形を口で比べる。

  1. 口頭困った状況のキューを出す(「終電がない・タクシーは高い」「部品が来週・機械が動かない」「台風・花火大会が中止」)→ 全体で「朝まで待つほかない」「手で作業するほかない」「あきらめるほかない」→ 個人で。次に教師が「〜しかない」の文を言い、学生が「〜ほかない」に、また逆に言いかえる往復をする。過去の場面(「きのう、終電がなかった」)では「待つほかなかった」と後ろを過去にさせる。
  2. ペアAは困った人、Bは相談される人。Aが困った場面カードを読み、Bが方法を一つ出す。Aは「それは〜からだめなんです」と断る。これを2回くり返したあと、Bが「じゃあ、〜ほかないですね」と結論を言う。だめな理由のメモはAだけが持っている(情報差)。2枚で交替。
  3. 産出「消去法の結論文」: 学生が身近な問題(寮の騒音・アルバイトと勉強の時間 など)を一つ選び、考えられる方法を3つ挙げて2つを理由とともに消し、「以上の理由から、〜ほか(は)ない」で結ぶ短い文章(4〜5文)を書く。教師が見るのは、前が辞書形か、「ほかならない」と混ざっていないか、自分から喜んで選ぶ内容になっていないか。

つまずきと手当て

  • 前を過去形やない形にする(「*あきらめたほかない」)。前は必ず辞書形。過去のことは「あきらめるほかなかった」と、後ろを過去にする
  • 「ほかならない」と混ぜて意味を取り違える(「*待つほかならない」と言ったり、「ほかならない」を「方法がそれしかない」の意味に取ったりする)。「Vるほか(は)ない」=方法がそれしかない、「Nにほかならない」=まさにそれだ、と2つの文を並べて区別する
  • うれしい結論・自分から進んで選ぶことに使う(「おいしそうだから、これを食べるほかない」)。誤りではないが、仕方なく選ぶ響きになる。進んで選ぶなら「これに決めた」「食べることにした」と言う

既習の文型との違い

  • 〜しかない(初中級 第14課)意味はほぼ同じで、「しかない」は会話、「ほか(は)ない」は書き言葉・改まった場、と硬さで分けます。友達への話では「待つしかないね」、手紙やレポートでは「待つほかない」。学習者が会話で「ほかない」をくり返し使ったら、場面カードを見せて言いかえさせます。
  • 〜ざるを得ない(第25課)「ざるを得ない」も「そうするしかない」と言いますが、事情や立場から、したくないことでもしないわけにいかない、という気持ちが前に出ます。「ほか(は)ない」は、方法を消していった結果残ったのがそれだけ、という結論の言い方です。形も違い、「ざるを得ない」はない形から作る(行かざるを得ない/する→せざるを得ない)ので、「*行くざるを得ない」と混ぜないように、前の形を並べて板書します。
関連する文型

学習項目 5 〜と思われる/ように思われる

意味・はたらき学習項目 5

「思われる」は「思う」の自発の形(受身と同じ形)で、「自然にそう考えられる」という意味です。「私は〜と思う」と言うと話し手個人の考えになりますが、「〜と思われる」は「私は」を出さずに、資料や状況から見て、だれが考えてもそうなるだろうという形で、客観的に、そして少し控えめに主張する書き言葉の形です。レポート・論文・新聞・ニュースの説明でよく使われます。「〜ように思われる」は、はっきりした根拠よりも見た感じ・印象からそう感じられる、ということで、「と思われる」よりもさらにやわらかく、言い切りを避けた言い方になります。強く断定するとかえって説得力がなくなる場面(データが少ない・相手の意見に反対する)で、主張の強さを一段下げる道具として使います。

接続

普通形+と思われる/普通形+ように思われる(「ように」の前は な形な・Nの: 静かなように・問題のように。丁寧には「〜と思われます」)

形
普通形と 思われる(原因は気温の変化だと思われる)普通形ように 思われる(少し疲れているように思われる)〜から、〜と思われる(根拠→控えめな結論)わたしには〜ように思われる(自分の印象だと示す)

導入

  • 3つの文を並べる「わたしは、この町の人口は減ると思う」「この町の人口は減ると思われる」「この町の人口は減るように思われる」を板書し、「だれの考えに聞こえますか」「どれがいちばん言い切っていますか」と聞く。1つ目は話し手個人、2つ目は資料から見た考え、3つ目は印象、と下に書き、レポートに書くならどれかを選ばせる。
  • グラフを見て書くこの10年で自転車で通勤する人が増えている、という簡単なグラフを見せ、理由を「〜と思われる」で一文書かせる(例: 健康に気をつける人が増えたためと思われる)。次に、グラフからははっきり言えないことを「〜ように思われる」で書かせ、根拠の強さで二つを使い分けることを確かめる。

板書案

普通形 + と思われる/普通形 + ように思われる
わたしは〜と思う(個人)→ 〜と思われる(資料から)→ 〜ように思われる(印象)
原因は 気温の変化だ と思われる。
〔青〕ように の前: 静か〔赤〕な ように/問題〔赤〕の ように
「思われる」=自発(自然にそう考えられる)。「私は」は出さない

場面と発話(自作)

  • 留学生が、大学のアンケート結果をまとめたレポートに考察を書く。朝食を食べない学生ほど、1限の欠席が多かった。朝食をとらない生活が、欠席の増加に関係していると思われる。
  • 日本語のクラスで、先生が新しく来た学生の様子を担任に報告するメールを書く。授業中はまだ少し疲れているように思われます。
  • 市の会議で、新しいバス路線の案に、住民の代表が控えめに反対意見を述べる。この案では、お年寄りが多い地区が不便になるように思われます。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

強い主張の文(「この問題の原因はスマホだ」「この店は必ずつぶれる」)を配り、データが少ない場面を想定して「〜と思われる」「〜ように思われる」に書き直させる。次に、同じ内容をスピーチの最後で強く言う場合は「〜に違いない」「〜にほかならない」に戻させ、ものさしの上で強さを上げ下げする練習にする。

  1. 口頭教師が「私は〜と思う」の文をキューに言う(「私は、人口は減ると思う」「私は、原因は気温だと思う」「私は、あの学生は疲れていると思う」)→ 全体で「私は」を消して「人口は減ると思われる」→ 個人で。次に「印象」のカード(顔の絵・数字のない話)を出したときは「〜ように思われる」で言わせる。名詞・な形のキュー(「問題だ」「静かだ」)で「問題のように」「静かなように」とつなぎ方を練習する。
  2. ペアAはデータのカード(簡単なグラフや数字)を持ち、Bは「印象」のメモだけを持つ(情報差)。同じ話題(駅前の自転車・学食の混み方 など)について、Aは「〜から、〜と思われます」、Bは「わたしには〜ように思われます」で一文ずつ言う。二人で、どちらの文がより強く言い切っているかを決め、役を替えてもう一つの話題で。
  3. 産出「控えめな考察文」: 学生がクラスでとった小さなアンケート(朝ごはんを食べるか・通学の時間 など)の結果を見て、事実の文1つ→「〜と思われる」の考察1つ→データからははっきり言えないことを「〜ように思われる」で1つ、の3文を書く。教師が見るのは、「私は」を主語にしていないか、「ように」の前の形、根拠の強さと形の強さが合っているか。

つまずきと手当て

  • 「ように」の前の形を間違える(「*これは大きな問題だように思われる」「*町は静かだように思われる」)。「問題のように」「静かなように」と、名詞は「の」、な形は「な」でつなぐ
  • 「私は」を主語にして使う(「わたしは、原因は気温だと思われる」)。不自然に聞こえる。自分の考えなら「わたしは〜と思う」、客観的に書くなら「私は」を消して「〜と思われる」。自分の印象だと示したいときは「わたしには〜ように思われる」と「に」を使う
  • 友達との会話で使って硬すぎる(「この映画、おもしろいと思われるよ」)。会話では「おもしろいと思う」「おもしろそうだ」で十分。レポート・メール・会議など、改まった場の形だと伝える

既習の文型との違い

  • 〜と思います(初中級 第12課)「〜と思います」は話し手個人の意見で、「私は」を付けて言えます。「〜と思われる」は「私は」を出さず、資料や状況から見てそう考えられる、という客観的な書き方です。学習者が「私は〜と思われる」と書いたら、自分の意見か、資料から見た考えかを聞いて、どちらかの形に決めさせます。
  • 〜ようです(初級Ⅱ 第24課)「ようです」も「ように思われる」も見た様子からの判断ですが、「ようです」は話し言葉でも書き言葉でも使える推量で、「ように思われる」はさらに控えめな、レポートや会議の形です。「疲れているようです」と「疲れているように思われます」を並べ、先生への報告のメールならどちらか、と場面で選ばせます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の言葉は、数や割合を言う言葉(わずか・たった・割合・全体・一部)と、意見文の骨組みを作る言葉(根拠・原因・結果・以上の理由から・一方で)に分けて板書しておくと、5つの形をどこで使うかが見えやすくなります。とくに「わずか〜にすぎない」「〜からにほかならない」「以上の理由から〜ほかない」は、かたまりでカードにして覚えさせます。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • わずか(わずか) 数や量がとても少ないことを表します。「〜にすぎない」といっしょによく使います。 〜3%・〜な時間・〜に残る
    ゼミの発表で、アンケートの結果を説明する。
    「毎日運動している人は、わずか2割にすぎません。」
  • 全体(ぜんたい) ものごとのすべての部分を一つにまとめたものです。 〜の何割・クラス〜・〜を見る
    地図を見ながら、町の緑について話す。
    「公園は、町全体の5%にすぎません。」
  • 一部(いちぶ) 全体の中の、ある小さな部分です。 〜の人・〜にすぎない・全体の〜
    ニュースの意見に反論する。
    「反対しているのは、住民の一部にすぎません。」
  • 割合(わりあい) 全体の中で、ある部分がどれくらいかを表した数です。 〜が高い・〜が増える・女性の〜
    グラフを見て、レポートを書く。
    「自転車で通う人の割合が増えていると思われる。」
  • 根拠(こんきょ) 自分の考えや主張が正しいと言える理由や証拠です。 〜がある・〜を示す・〜のない話
    スピーチのあと、聞き手が質問する。
    「そう言える根拠は何ですか。」
  • 原因(げんいん) あることが起こったもとになったことです。 事故の〜・〜を調べる・〜は〜だ
    会議で、失敗の理由を報告する。
    「遅れの原因は、確認が足りなかったことにほかなりません。」
  • 責任(せきにん) しなければならない務めや、結果について引き受けなければならないことです。 〜がある・〜をとる・わたしの〜
    仕事で失敗が起き、チームのリーダーが謝る。
    「今回のことは、リーダーであるわたしが責任をとります。」
  • 証拠(しょうこ) ある事実が本当であることを示すものです。 〜がある・〜を見つける・〜になる
    推理ゲームで、犯人を考える。
    「この足あとが証拠です。犯人は外から来たに違いない。」
  • 結論(けつろん) 考えたり話し合ったりした結果、最後に決めたことです。 〜を出す・〜になる・〜から言うと
    グループで話し合い、まとめを発表する。
    「結論として、計画を変えるほかありません。」
  • 認める(みとめる) 本当だ、正しいと受け入れます。 負けを〜・間違いを〜・相手の力を〜
    試合に負けたチームの監督が記者に答える。
    「相手のほうが強かったと認めるほかありません。」
  • 以上(いじょう) 「以上の理由から」の形で、それまでに言ったことをまとめて結論に入るときに使います。 〜の理由から・〜のことから・〜です
    意見文の最後の段落を書く。
    「以上の理由から、駅前に駐輪場が必要だと思われる。」

宿題と次のコマ

宿題は、身近な問題(ごみ・スマホ・アルバイト・日本の生活 など)を一つ選び、根拠→主張→反対の意見への答え、の順で400字程度の意見文を書くこと。5つの形のうち3つ以上を使い、強い形(にほかならない・に違いない)と控えめな形(と思われる・ように思われる)を少なくとも一つずつ入れる。次のコマの最初に何人かに読ませ、聞いた学生が「いちばん強く言い切っていた文」と「控えめに言っていた文」を一つずつ挙げ、その強さが根拠に合っていたかを話し合います。

よくある質問

  • 第37課の5つの形はどの順で教えればいいですか?

    本の学習項目の順(にすぎない→ほかならない→に違いない→ほか(は)ない→と思われる)のままで教えやすく組めます。「にすぎない」と「ほかならない」は小さく言う・これだと言い切るの対なので続けて入れ、「に違いない」は既習の「はずです」と比べます。最後に「と思われる」で強さを下げ、黒板の「主張の強さのものさし」に5つを並べると、課全体が一枚の表にまとまります。

  • 「〜にすぎない」と「〜しかない」の違いは何ですか?

    どちらも少ないと評価しますが、「しかない」は会話でも使えるくだけた形で、後ろに否定が来ます(5人しかいない)。「にすぎない」は書き言葉の硬い形で、名詞や数字に直接付きます(5人にすぎない)。初級の「〜すぎます(多すぎる)」と取り違える学習者もいるので、「すぎます=多い/にすぎない=少ない」を逆向きの矢印で見せておきます。

  • 「〜に違いない」と「〜はずだ」はどう教え分けますか?

    「はず」は知識や理屈から当然そうなる筋道、「違いない」は話し手の確信、と分けます。どちらも言える文(10年住んでいたから英語が上手なはずだ/上手に違いない)を先に見せ、そのあとで「はず」だけが使える2つの場面、予想が外れた「来るはずなのに来ない」と、理由が分かった「だから寒いはずだ」を表にします。勘からの断定(犯人はあの人に違いない)は「違いない」のほうが自然です。

  • 「〜ほかならない」と「〜ほか(は)ない」を学習者が混ぜたらどうしますか?

    形と意味を2列の表に分けて板書します。左は「Nにほかならない=まさにそれだ(言い切り)」、右は「Vるほか(は)ない=方法がそれだけだ(結論)」です。前に来るのが名詞(理由なら「〜から」)か、動詞の辞書形か、で見分けさせると混同が減ります。ペア練習でも、一人が言い切りの文、もう一人が結論の文を言う役に分けると、違いが残りやすくなります。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目で「にすぎない」から「に違いない」までの3つ、2コマ目で「ほか(は)ない」「と思われる」と、目標の活動の1分スピーチを行います。意見文の宿題を出して次のコマの最初に読ませると、5つの形の強さを根拠と合わせて振り返れます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。