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学ぼう!にほんご 中級 第31課「不合格だったにしては、意外とあっさりしていることもよくある」の教案

『学ぼう!にほんご 中級』

文章を読むとき、書き手がだれの立場に立ち、何を基準にして物事を判断しているかをつかむための課です。5つの形は、だれの立場から考えるかを示す「〜からすると/からすれば」「〜にしたら」「〜にとって」と、何を「ふつう」と考えて意外だと感じているかを示す「〜わりに」「〜にしては」の2組に分けると整理しやすくなります。前の組は、後ろに来る言葉の種類で区別でき、立場からの判断なら「からすると」、その人の気持ちを推し量るなら「にしたら」、価値の評価なら「にとって」です。後ろの組は、前に程度の幅のある言葉(値段・年齢・練習の量)が来れば「わりに」、具体的な事実や身分(初めて・小学生・プロ)が来れば「にしては」が自然なことが多い、と前の言葉で見分けます。授業では、自作の短い投書や意見文に出てくるこれらの形に線を引かせ、「だれの目から見た話か」「何と比べての意外さか」を表にまとめる読み取りを、課の目標の活動の中心に置きます。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目5時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 意見文や投書を読んで、「〜からすると」「〜にとって」などの目印から、書き手がだれの立場・どんな観点で判断しているかを指し示せる
  • 「〜にしたら」が出てくる文章で、書き手がほかの人の気持ちを推し量っている部分と、書き手自身の意見の部分を分けて読める
  • 「〜わりに」「〜にしては」から、書き手が何を「ふつう」の基準にして意外だと感じているかを読み取り、前に来る言葉に合わせて二つを使い分けられる
  • 一つの出来事を二つ以上の立場から評価し、最後に自分の立場を述べる短い意見文を、この課の形を使って書ける

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(目標の場面)15分教師が作った短い投書を2本(駅前に大きなショッピングセンターができることについて、近くに住む会社員と商店街の店主が書いたもの・各4〜5文)配り、二人の意見がどうして違うのかを聞く。「住んでいる人と店をしている人では見方が違う」という答えを引き出し、「だれの目から見た話か」を読むのがこの課の読み方だと予告する。黒板に「だれの立場から」「何と比べて」の2つの箱を作っておく。1コマ目は導入から学習項目3まで、2コマ目は学習項目4・5と目標の活動にあてる
学習項目1 〜からすると/からすれば25分同じ出来事を、立場の違う二人の絵を使って一言ずつ言わせて導入する。様子や事実を手がかりにした推量(「この雲からすると、雨が降りそうだ」)は、色を変えて別の使い方として板書する
学習項目2 〜にしたら20分相手の身になって気持ちを推し量る形として入れ、「からすると」とは前に来るもの(人に限る)と結び方(〜だろう・〜かもしれない)が違うことを確かめる。文章では、書き手自身の意見と分けて読む目印になると押さえる
学習項目3 〜わりに25分値段と味の「予想」と「実際」を矢印で見せて導入し、よい意外と悪い意外の両方の文を作らせる。書き手がどんな「ふつう」を前提にしているかが表れる形だと「何と比べて」の箱に置く
学習項目4 〜にしては25分黒板に「ふつうの線」を引き、基準から上や下に外れることを矢印で見せる。「値段のわりに」と「千円にしては」を並べ、前の言葉が程度そのものか具体的な事実かで、二つの形を見分ける
学習項目5 〜にとって15分初中級で学んだ「〜にとって」を短く思い出させ、後ろには評価の言葉しか来ないことを、「からすると」(判断・意見)「にしたら」(気持ちの推し量り)と並べた3列の表で整理する
目標の活動(立場を読み取る読解)45分自作の意見文(学校の制服をなくす案について、生徒・保護者・先生がそれぞれ書いた三つの短い文章)を読み、5つの形に線を引いて、「だれの立場か」「書き手自身の意見か、ほかの人の気持ちの推し量りか」「何と比べての意外さか」を表に書き込む。最後に、自分はどの立場に近いかを一文で言う。三つの文章は一人一つずつ担当して読み、表を持ち寄って三人組で埋める(情報差)。最後に教師が、線を引いた形のうち「書き手自身の意見」を示す文がどれかを全体で確かめる
まとめ10分2つの箱に5つの形を置き直し、それぞれの後ろに来る言葉(判断・気持ちの推し量り・評価・意外さ)と前に来る言葉を一覧にして残す

学習項目 1 〜からすると/からすれば

意味・はたらき学習項目 1

「Nからすると」「Nからすれば」は、Nの立場・観点に立って判断するとという意味で、後ろにはその立場から見た判断や評価が来ます。「学生の立場からすると」「利用者からすれば」のように、人や立場を表す名詞に付くことが多く、文章では、書き手がどの立場から意見を言っているかを示す目印になります。もう一つ、「この空の色からすると、夕方には雨になりそうだ」のように、Nを手がかりにして推し量るとという使い方もあり、こちらは後ろに「〜そうだ」「〜だろう」「〜らしい」のような推量の形が来ることが多くなります。「からすると」と「からすれば」の意味の違いはほとんどなく、会話でも文章でも使えます。

接続

N+からすると/からすれば(「Nの立場からすると」「Nの目からすれば」の形も多い。丁寧さは文末で調整する)

形
Nの立場からすると、〜(判断・評価)N(人)からすれば、〜は〜だN(様子・事実)からすると、〜そうだ/だろう(手がかりからの推量)N1からすればAだが、N2からすればBだ(二つの立場の対比)

導入

  • 同じ出来事を二つの立場から「学校の近くに、夜中まで開いている大きな店ができる」と板書し、左に「近くに住むお年寄り」、右に「アルバイトを探している学生」の絵を描く。それぞれの身になって一言ずつ言わせ、「お年寄りからすると、夜うるさくなるのは困る」「学生からすれば、働く所が増えてうれしい」と板書する。同じ事実でも、立場が変わると判断が変わることを確かめる。
  • 手がかりから推し量る教師が暗い雲の写真を見せて「この雲からすると、もうすぐ雨が降りそうですね」と言い、「先生はどうして雨だと思いましたか」と聞く。立場ではなく、見たものを手がかりに考えるもう一つの使い方だと確かめ、色を変えて板書する。後ろに「〜そうだ」「〜だろう」が付きやすいことも赤で添える。

板書案

N(立場)+からすると/からすれば + 判断・評価
お年寄りからすると、夜うるさくなるのは困る。
学生からすれば、働く所が増えてうれしい。
〔青〕N(様子・事実)+からすると + 〜そうだ/だろう
この雲からすると、もうすぐ雨が降りそうだ。
〔赤〕「だれの立場から」の箱に上の2文、〔青〕の2行は箱の外に分けて置く

場面と発話(自作)

  • バスの本数が減ったことについて、車を運転しない住民が市の広報紙の投書欄に書く。車を運転しない者からすると、一時間に一本のバスでは病院に通うのも大変です。
  • 留学生が、日本の大学の学費について日本人の友達と話す。国の物価からすると、日本の学費はかなり高く感じるんだ。
  • 会議が始まる直前、息を切らして入ってきた同僚を見て、隣の席の人が小声で言う。あの汗からすると、駅から走ってきたんでしょうね。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

一つの出来事のカード(会社が毎週金曜日を在宅勤務にする/駅前の駐輪場が有料になる)と、立場のカード(社員・社長・社員の家族・通学する学生・近くの店の人)を組み合わせて、「〜からすると、〜」で一文ずつ言わせる。出た文を黒板に立場ごとに並べ、同じ出来事の評価が立場でどう分かれるかを全員で見る。

  1. 口頭教師が出来事と立場を一つずつ言い、学習者が「〜からすると、〜」で一文返す。キューは「バスが一時間に一本になる・車を運転しない人」「スーパーが夜10時に閉まる・夜遅くまで働く人」「授業が朝8時から始まる・遠くから通う学生」「駅前に公園ができる・小さい子どもがいる親」など。まず全体で、次に指名して個人で。続けて推量の使い方を、写真(ぬれた道・混んだ駅のホーム・明かりの消えた店)を見せて「〜からすると、〜だろう」で言わせる。
  2. ペアAは出来事のカードだけ、Bは立場のカードだけを持つ(情報差)。Aが出来事を読み上げ、Bが自分のカードの立場で「〜からすると、〜」と評価を言う。Aは「どうしてですか」と理由を一つ聞き、Bが答える。3枚ごとにカードを交換して役を替える。
  3. 産出「立場リレー投書」。一つの出来事について、グループの3人が別々の立場を選び、「〜からすると」「〜からすれば」で始まる2〜3文の投書を書いて回す。最後の人は、前の二人の投書を読んで「わたしの立場からすると」で自分の意見を一文足す。教師は、前が名詞になっているか(「学生が考えるからすると」のような形になっていないか)と、後ろが判断や評価で結ばれているかを見て直す。

つまずきと手当て

  • 前に文をそのまま付ける(「*学生が考えるからすると、高い」)。前は名詞なので、「学生の立場からすると」「学生から見ると」に直す
  • 読解で、「から」を起点や理由の「から」と取り違え、「学生からすると」を「学生から何かをする」と読む。「からすると/からすれば」をひとかたまりで囲み、「〜の立場で考えると」と書き添えさせる
  • 手がかりからの推量の使い方で、後ろを言い切る(「あの汗からすると、駅から走ってきた」)。誤りではないが、推し量っていることがはっきりするように「〜んだろう」「〜らしい」を付けたほうが自然なことが多い

既習の文型との違い

  • 〜からいうと(第24課)「からいうと」は「収入の面からいうと」のように、どの面・点から評価するかを選ぶときによく使います。「からすると」は面や点にも使えますが、立場を表す人の名詞にもそのまま付き、手がかりからの推量(この雲からすると)にも使えます。人にそのまま付けて「先生からいうと」と言うと、先生が言うという意味に取られやすいので、人には「先生の立場からいうと」とするか、「からすると」を選ばせます。
  • 〜によると…(初中級 第7課)「によると」は情報の出どころを示し、後ろは「〜そうだ」「〜ということだ」の伝聞になります。「からすると」の推量は、話し手が自分で見たものを手がかりに考えたもので、後ろは様子の「〜そうだ」や「〜だろう」です。「天気予報からすると、明日は雨だそうだ」のように混ぜたら、だれかが言ったことか、自分で考えたことかを聞いて分けます。
関連する文型

学習項目 2 〜にしたら

意味・はたらき学習項目 2

「N(人)にしたら」は、その人の身になって、その人の気持ちを考えてみるとという意味です。後ろには、その人が感じていそうなこと(うれしい・迷惑だ・つらい・〜と思っている)が来て、「〜だろう」「〜かもしれない」「〜のだ」で結ぶことが多い形です。「からすると」が立場からの判断にも、様子を手がかりにした推量にも広く使えるのに対し、「にしたら」は人(や、人のように気持ちを考えられる動物・会社など)に限られ、相手を思いやる響きが強くなります。文章では、書き手が自分とは別の人の気持ちを代わりに述べている目印になるので、そのあとに「しかし」「とはいえ」で書き手自身の意見に戻ることがよくあります。同じ意味で「〜にすれば」「〜にしてみれば」も使われます。

接続

N(人・人のように気持ちを考えられるもの)+にしたら(「〜にすれば」「〜にしてみれば」とも言う)

形
N(人)にしたら、〜だろう/かもしれないN(人)にしたら、〜のは〜なのだNにしてみれば、〜(同じ意味の言い方)Nにしたら〜だろうが、〜(そのあと書き手の意見へ)

導入

  • 相手の身になる夜11時に掃除機をかけている人と、下の階で赤ちゃんを寝かせている家族の絵を見せる。「掃除をしている人は、悪いことをしていると思っていませんね。でも、下の家族にしたら、どうでしょう」と聞き、「下の家族にしたら、うるさくて困るだろう」と板書する。その人の気持ちを推し量る形なので、最後に「だろう」が付きやすいことを赤で書く。
  • 「からすると」と並べる学習項目1の板書「この雲からすると、雨が降りそうだ」の横に「この雲にしたら」と書き、言えるかどうかを聞く。言えないことを確かめ、「にしたら」の前は気持ちを持つものだけ、と前に来るものを二つの箱に分ける。続けて「お年寄りからすると/お年寄りにしたら」はどちらも言えるが、後ろが「困るだろう」のように気持ちになると「にしたら」が合う、と確かめる。

板書案

N(人)+にしたら + 気持ち(〜だろう/かもしれない)
下の家族にしたら、うるさくて困るだろう。
〔赤〕前は気持ちを持つもの  *この雲にしたら
Nにしてみれば・Nにすれば も同じ意味
〔青〕「にしたら」の文 → 推し量り / 「しかし、わたしは」の文 → 書き手の意見

場面と発話(自作)

  • 子どもを毎日塾に通わせる家庭が増えていることについて、新聞の投書欄に会社員が書く。親は子どものためと思っているのだろうが、遊ぶ時間のない子どもにしたら、毎日がつらいのではないか。
  • アルバイト先の店長から、休みの日に急に出てきてほしいと頼まれた留学生が、先輩に相談する。店長にしたら、人が足りなくて困っているんでしょうけど、僕も来週が試験なんです。
  • 飼い主が一週間の旅行に出かけるので、犬をペットホテルに預ける。それを聞いた友達が言う。犬にしたら、知らない所で一週間も過ごすのは不安だろうね。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

ニュースの当事者のカード(引っ越しで転校する子ども・初めて一人暮らしをする子を送り出す親・急に値上げを知らされた客・値上げを決めた店の主人)を使う。ペアの一人が「〜にしたら、〜だろう」と言い、もう一人が「でも、〜にしたら、〜かもしれない」と別の当事者で返す。言えたら、二人の文のあとに「わたしは〜と思う」を一文足させ、推し量りと自分の意見を分けて言う練習にする。

  1. 口頭教師が場面の絵を見せて当事者を指さし、学習者が「〜にしたら、〜だろう」で気持ちを言う。キューは「急に転校が決まった子ども」「夜中に上の階で足音がする家の人」「雨の日に配達に回る人」「一人で留守番をする犬」など。最初は「だろう」で、慣れたら「〜かもしれない」「〜のではないか」に替えて言わせる。
  2. ペア一つの出来事に当事者が二人いるカード(値上げをした店の主人と客/転校する子どもと親)を使う。Aが一人目の当事者で「〜にしたら、〜だろう」、Bが「でも、〜にしたら、〜かもしれない」ともう一人の当事者で返す。言い終えたら二人とも「わたしは〜と思う」を一文足し、役を替えて次のカードへ。
  3. 産出「気持ちの代弁カード」。教師が作った短い記事(3〜4文)を読み、出てくる当事者を一人選んで、その人の気持ちを「〜にしたら」「〜にしてみれば」で2文書く。そのあとに「しかし」か「とはいえ」で始めて自分の意見を1文書き、クラスで読み上げる。教師は、前が人などになっているか、推し量りの文と自分の意見の文が分かれているかを見る。

つまずきと手当て

  • 気持ちを持たない様子や事実に付ける(「*この雲にしたら、雨が降りそうだ」)。手がかりから推し量るのは「からすると」で、「にしたら」の前は気持ちを持つ人などだ、と板書の箱に戻す
  • 読解で、「AにしたらB」(「飲み物はコーヒーにしたら?」=コーヒーを選んだら)の「にする」と取り違え、「部長にしたら」を「部長に決めたら」と読む。後ろの文がその人の気持ちになっているか、選んだ結果になっているかで見分けさせる
  • 後ろに書き手自身の主張を言い切って置く(「子どもにしたら、塾は禁止すべきだ」)。誤りではないが、「にしたら」で始めた文は、その人が感じていることで結ぶのがふつうで、主張は次の文に分けたほうが読み手に分かりやすい

既習の文型との違い

  • 〜としては/も(初中級 第12課)「わたしとしては、賛成です」のように、「としては」は自分の立場や意見をはっきり言う形で、後ろに意見や態度が来ます。「にしたら」は主にほかの人の身になってその人の気持ちを推し量る形で、後ろは「〜だろう」で結ぶことが多くなります。「子どもにしたら、その案に賛成します」と書いたら、自分の意見なら「わたしとしては」に、子どもの気持ちなら「賛成だろう」に直させます。
  • 〜にとって…(初中級 第13課)「にとって」は後ろに価値の評価(大切だ・難しい)が来る形で、「〜だろう」で結ばなくても言い切れます。「にしたら」は「その人はこう感じているだろう」と代わりに想像するところに重みがあります。「子どもにとって遊ぶ時間は大切だ」と「子どもにしたら、遊ぶ時間がなくてつらいだろう」を並べて、評価と気持ちの違いを見せます。
関連する文型

学習項目 3 〜わりに

意味・はたらき学習項目 3

「〜わりに(は)」は、〜から考えられる程度と比べると、実際はそれに合わないことを表します。「値段のわりにおいしい」は、安い値段から予想するよりおいしい、「たくさん練習したわりに上手にならない」は、練習の量から予想するほどには上手にならない、という意味で、よい意外にも悪い意外にも使えます。前には、年齢・値段・大きさ・練習の量のように程度の幅がある言葉が来ることが多く、話し手は「その程度なら、ふつうはこれくらいだ」という自分の基準と比べています。文章では、書き手がどんな「ふつう」を前提にしているかが表れるところなので、読解では「何と比べて意外なのか」を確かめさせます。

接続

Nの/Vる・Vた/い形/な形な+わりに(は)(「は」を付けた「〜わりには」もよく使う)

形
Nの わりに(は)(値段のわりに・年のわりに)Vた わりに(は)(たくさん勉強したわりに)い形 わりに(は)(安いわりに)な形な わりに(は)(便利なわりに)

導入

  • 「予想」と「実際」の矢印「ランチ 500円」と書いた店の看板の絵を見せ、「500円のランチ、どんな味だと思いますか」と予想させる。教師が「でも、食べてみたら、とてもおいしかったんです」と言い、「予想(500円なら、このくらい)→ 実際(とてもおいしい)」の矢印を書いて、「値段のわりにおいしい」と板書する。続けて高いのにおいしくない店の話をして、「高いわりに、おいしくない」で悪い意外にも使えることを見せる。
  • 量と結果を比べる教師が「毎晩3時間ずつ、一か月もギターを練習しました。でも、まだ1曲も弾けません」と困った顔で言い、「練習したわりに、上手にならない」と板書する。前に動詞が来るときは、練習・勉強のように量のある行動が多いこと、「た形」を使うことを確かめる。

板書案

〜わりに(は) = 予想 → 実際 が合わない
Nの/Vた/い形/な形な + わりに
このランチは値段のわりにおいしい。(〔青〕よい意外)
たくさん練習したわりに、上手にならない。(〔赤〕悪い意外)
〔矢印〕予想(500円なら、このくらい)→ 実際(とてもおいしい)
*値段わりに → 値段のわりに

場面と発話(自作)

  • 新しく借りたアパートについて、留学生が国の友達にメッセージを送る。駅から近いわりに家賃が安くて、本当に助かってるよ。
  • 期末試験の結果が返ってきた日、留学生が友達にこぼす。けっこう勉強したわりに、点数がよくなかったんだ。
  • ホームステイ先の家族を紹介する作文の中で、学生がおじいさんのことを書く。祖父は年のわりに足が丈夫で、毎朝五キロも歩いている。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「予想」のカード(安い・広い・たくさん寝た・有名だ・小さい)と「実際」のカード(おいしい・家賃が安い・眠い・客が少ない・よく入る)を組み合わせて「〜わりに、〜」を言わせる。聞き手は、よい意外か悪い意外かを判断して「いいですね」「残念ですね」と返す。最後に、何と比べて意外なのか(安い値段から考えると、など)を一人に言い直させる。

  1. 口頭教師が「予想」の語を言い、学習者が「実際」を自分で考えて「〜わりに、〜」で一文作る。キューは「安い」「駅から近い」「たくさん寝た」「有名だ」「年」「小さい」など、品詞を混ぜて出し、付け方(の・た形・そのまま・な)を毎回言わせる。全体で一巡したら、教師が「よい意外ですか、悪い意外ですか」と聞いて学習者に判断させる。
  2. ペアAは店や品物のカード(値段・大きさ・場所などの情報つき)、Bは「実際に行ってみた感想」のカードを持つ。Aが「この店、どうでしたか」と聞き、Bは自分のカードとAの情報を合わせて「〜わりに、〜」で答える。Aは「いいですね」か「残念ですね」で返し、何と比べての意外さかを一言で言い直す。4枚で交替。
  3. 産出「意外レビュー」。最近行った店・買った物・見た映画を一つ選び、「〜わりに」を2回使った口コミを3〜4文で書く。一つはよい意外、一つは悪い意外にする。読み合って、ほかの学生がそれぞれ「何と比べての意外さか」を当てる。教師は、名詞に「の」があるか、後ろが評価や様子になっているか、ただの逆接(のに)で済む文になっていないかを見る。

つまずきと手当て

  • 名詞に直接付ける(「*値段わりに」「*年わりに」)。名詞のあとは「の」が要る、と板書で形を固定する
  • 後ろに意志や命令を置く(「*安いわりに、たくさん買いなさい」)。後ろは、実際どうだったかの評価や様子だと確かめる
  • 程度の比べではなく、ただ予想と反対の行動を言うときに使う(「雨が降っているわりに、出かけた」)。この場合は「雨が降っているのに、出かけた」が自然。「わりに」は、前の程度から考えた度合いと、実際の度合いが合わないことを言う形だと、矢印の図に戻す

既習の文型との違い

  • 〜のに(初級の既習)「のに」は、予想と反対のことが起きたことへの不満や意外さを言う形で、程度は問いません(雨が降っているのに出かけた)。「わりに」は前の程度から考えた度合いと実際の度合いが合わないことを言う形なので、前には年齢・値段・量のように幅のある言葉が来ます。学習者が「雨が降っているわりに、出かけた」と言ったら、「程度を比べていますか」と聞いて「のに」に戻します。
  • 〜にしては(この課の学習項目4)意味は近いですが、「わりに」は値段・年・練習の量のような程度の言葉にも、「初めてのわりに」「五百円のわりに」のような事実にも付きます。「にしては」は「五百円」「小学生」「初めて」のような具体的な事実や身分に付き、「*値段にしては」「*年にしては」は不自然です。「値段のわりに」と「五百円にしては」を並べて、程度の言葉なら「わりに」だけ、と確かめます。
関連する文型

学習項目 4 〜にしては

意味・はたらき学習項目 4

「Nにしては」は、Nであることから当然考えられる基準と比べると、実際はそれから外れていることを表します。「小学生にしては字がきれいだ」は、小学生ならふつうこのくらい、という基準より上だ、という意味で、よい方にも悪い方にも使えます。「わりに」と近いですが、前には「小学生」「初めて」「プロ」「十年住んでいる」のような具体的な事実や身分が来ることが多く、「年齢」「値段」のような程度そのものを表す言葉にはあまり付きません。また、前のことは事実(または話し手が事実だと思っていること)で、「プロにしては下手だ」と言えば、その人がプロであることが前提になります。話し手の驚き・感心・不満を込めた評価になるので、後ろには評価や様子が来ます。

接続

N+にしては(「だ」は付けない)/Vの普通形(Vた・Vている など)+にしては

形
Nにしては(小学生にしては・初めてにしては)Vたにしては(一晩で書いたにしては)Vているにしては(十年住んでいるにしては)〜にしては、ずいぶん〜/よく〜

導入

  • 「ふつうの線」から外れる黒板に横線を1本引いて「小学生のふつう」と書く。教師が用意した、子どもが描いたとは思えないほど上手な絵を見せ、「これは小学三年生が描いた絵です」と言うと、学生から「上手!」と声が出る。「小学生にしては上手だ」と板書し、線の上に矢印を書く。続けて「プロの歌手にしては、音を外すことが多い」で、線の下に外れる使い方も見せる。
  • 「わりに」と前の言葉で比べる「このお弁当は、値段のわりに量が多い」と「このお弁当は、五百円にしては量が多い」を2行で並べ、「わりに」と「にしては」の前の言葉に線を引かせる。「値段」は程度そのもの、「五百円」は具体的な事実だと確かめ、「値段にしては」は不自然になることを見せる。意味はとても近く、前の言葉で選ぶことが多い、と整理する。

板書案

N(事実・身分)+にしては = 「Nならふつう〜」から外れる
小学生にしては、字がきれいだ。
プロの歌手にしては、音を外すことが多い。
〔横線〕小学生のふつう 〔青〕線の上に↑ 〔赤〕線の下に↓
*小学生のにしては/*小学生だにしては
値段のわりに ⇔ 五百円にしては(前の言葉で選ぶ)

場面と発話(自作)

  • 日本語学校の先生が、来日して三か月の学生の作文を読んで、同僚の先生に話す。来て三か月にしては、敬語がずいぶん自然に使えていますね。
  • 雑誌で有名だと紹介されていたレストランに行った会社員が、帰り道に同僚と話す。有名な店にしては、サービスがいまひとつだったね。
  • 締め切りの前の晩にレポートを仕上げた学生が、先輩に読んでもらう。一晩で書いたにしては、よくまとまっていると思うよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「事実・身分」のカード(初めて・プロの選手・子ども・日本に十年住んでいる・急いで作った)と「実際」のカードを組み合わせて「〜にしては、〜」の文を作らせる。作った文を聞いた学生に、その文の前提(その人はプロだ、など)を言わせ、「にしては」の前が事実であることを毎回確かめる。最後に、同じ内容を「わりに」で言えるかどうかを考えさせる。

  1. 口頭教師が人や物の「事実」を言い、学習者が「〜にしては、〜」で評価を言う。キューは「初めて作ったケーキ」「来日して二か月の学生」「三歳の子ども」「プロのサッカー選手」「一晩で書いたレポート」など。言えたら教師が「その人はプロですか」と聞き返し、学習者に「はい、プロです」と前提を言わせてから次へ進む。
  2. ペア「前提当てクイズ」。Aが「〜にしては、〜ね」と評価だけを言い、Bが「ということは、〜なんですね」と前提を言い当てる(「初めてにしては上手だね」→「ということは、初めてなんですね」)。Bが当てたら役を替える。最後の2問は、同じ内容を「わりに」でも言えるかを二人で考える。
  3. 産出「にしては紹介文」。クラスの学生や家族の一人について、「〜にしては」を使ってほめる紹介文を2〜3文で書き、読み上げる(日本に来て半年にしては、電車の乗り換えがよく分かっている、など)。教師は、名詞に「の」「だ」を付けていないか、前が事実になっているか、後ろが評価になっているかを見る。人を下げる内容になった文は、その場でほめる内容に言い換えさせる。

つまずきと手当て

  • 名詞に「の」や「だ」を付ける(「*小学生のにしては」「*小学生だにしては」)。名詞にはそのまま付く、と板書で形を固定する
  • 後ろに話し手の意志や希望を置く(「*初めてにしては、もっと練習するつもりだ」)。後ろは、実際の出来ばえや様子についての評価だと確かめる
  • 程度そのものを表す言葉に付ける(「値段にしては安い」)。不自然に聞こえるので、「値段のわりに」か、「千円にしては」のように具体的な事実に言い換える
  • 読解で、「彼はプロにしては下手だ」を「彼はプロではない」と読む。「にしては」の前は事実として認めていることだと、前提を書き出させて確かめる

既習の文型との違い

  • 〜だけあって/だけに/だけのことはある(第21課)「だけあって」は「プロだけあって上手だ」のように、前の事実から期待されるとおりだったことを感心して言う形です。「にしては」は同じ前提に立ちながら、期待から外れたことを言います。期待どおりなら「プロだけあって上手だ」、外れたなら「プロにしては下手だ」と、同じ前提で二つを並べて見せ、「プロにしては上手だ」のような組み合わせはふつう言わないことを確かめます。
  • 〜わりに(この課の学習項目3)二つとも基準から外れた意外さを言いますが、「にしては」の前は「初めて」「小学生」のような事実・身分で、名詞にはそのまま付きます。「わりに」は「年」「値段」のような程度の言葉に付くことが多く、名詞には「の」が要ります。ただし「わりに」は「初めてのわりに」「五百円のわりに」のように事実の名詞にも付けられるので、迷いやすいのは「にしては」の側です。「*年にしては」「*値段にしては」のように程度の言葉に「にしては」を付けたら、前の言葉が程度か事実かを聞いて「わりに」に直させます。
関連する文型

学習項目 5 〜にとって

意味・はたらき学習項目 5

初中級で学んだ「Nにとって」を、この課では評価の立場を示す形として、ほかの4つと並べて使います。「Nにとって」は、Nの側から見て、それがどんな価値・意味を持つかを言う形で、後ろには「大切だ」「難しい」「ありがたい」「負担だ」のような評価の言葉が来ます。前には人だけでなく、会社・町・国のような、何かにとっての価値を考えられるものも来ます。立場を示す点は「からすると」と似ていますが、「にとって」は評価の言葉と結び付く形で、「賛成だ」「反対する」「〜と思う」のような意見・態度・行動を後ろに置くことはできません。文章では、「AにとってはXだが、BにとってはY」のように、同じものの価値が立場で分かれることを示すときによく使われます。

接続

N+にとって(は/も)+評価の言葉(名詞を修飾するときは「Nにとっての+N」)

形
Nにとって、〜は大切だ/難しい/ありがたいN1にとっては〜だが、N2にとっては〜だNにとっての+N(留学生にとっての悩み)Nにとって、〜ことは〜だ

導入

  • 初中級の復習から人以外へ「わたしにとって大切なもの」を一人ずつ短く言わせ、初中級で学んだ形を思い出させる。続けて、町の写真を見せて「この町にとって、観光客は大切ですか」と聞き、「町にとって」「会社にとって」のように、人以外にも付くことを確かめる。
  • 評価か、意見か「留学生にとって、アルバイトの時間の決まりは厳しい」と「*留学生にとって、その決まりに反対だ」を2行で並べ、どちらが自然かを聞く。後ろが評価(厳しい)なら「にとって」、意見(反対だ)なら「わたしは」「留学生の立場からすると」にする、と3列の表(からすると/にしたら/にとって)で整理する。

板書案

N + にとって(は/も)+ 評価の言葉
子どもがいる社員にとって、この制度はありがたい。
〔表〕からすると=判断・意見 / にしたら=気持ちの推し量り / にとって=評価
*私にとって、その計画に賛成です → 私としては、賛成です
先生にとって(価値)⇔ 先生に対して(行為の向かう相手)

場面と発話(自作)

  • 在宅勤務を増やすという社内のお知らせを読んだ社員が、同僚と話す。子どもがいる社員にとっては、本当にありがたい制度ですね。
  • 雪の多い町に住む人が、市のウェブサイトの意見欄に書く。除雪が間に合わない朝は、お年寄りにとって家の外に出ることさえ難しい。
  • 観光客が急に増えた町について、住民が新聞の投書欄に書く。観光客が増えることは、町の店にとってはありがたいが、静かに暮らしたい住民にとっては悩みの種でもある。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

一つの変化(駅前の商店街に大型スーパーができる/大学の授業がオンラインになる)について、「〜にとっては〜が、〜にとっては〜」の対の文を作らせる。ペアで、後ろの言葉が評価の言葉になっているかを確かめ合い、意見や行動になっていたら「〜からすると」や「〜は」に言い換えさせる。

  1. 口頭教師が「もの」と「立場」を言い、学習者が「〜にとって、〜は〜だ」で評価を言う。キューは「スマートフォン・お年寄り」「エレベーター・車いすの人」「長い休み・店をしている人」「雪・スキー場」など。人以外の立場(町・会社・店)も混ぜる。続けて教師が後ろの言葉を「反対だ」「大切だ」「賛成する」「難しい」と一つずつ言い、「にとって」と結べるかを全員に手を挙げて判断させる。
  2. ペア一つの変化のカード(大学の授業がオンラインになる/商店街に大型スーパーができる)を見て、Aが「〜にとっては、〜」、Bが「でも、〜にとっては、〜」と別の立場の評価を言う。二人で「からすると・にしたら・にとって」の3列の表に、出た文を一つずつ書き入れ、後ろの言葉が列に合っているかを確かめ合う。
  3. 産出「三つの立場マップ」。身近な変化を一つ選び、紙の真ん中に書いて、三つの立場を周りに置く。それぞれに「にとって」「からすると」「にしたら」を一回ずつ使った文を書き、最後に自分の意見を「わたしは」で一文書く。教師は、「にとって」の後ろに意見や行動が来ていないか、「に対して」と混ぜていないかを見て直す。

つまずきと手当て

  • 後ろに意見・態度・行動を置く(「*私にとって、その計画に賛成です」)。「私は」「私としては」「私の立場からすると」に直し、「にとって」の後ろは評価の言葉、と表に戻す
  • 「に対して」と取り違える(「*お客様にとって親切にする」)。後ろが行為(親切にする)なら、それが向かう相手は「お客様に対して」。後ろが評価なら「お客様にとってありがたい」と言える。「相手にとって失礼な言い方」のように評価の言葉に付くのは自然なので、後ろが行為か評価かで区別させる
  • 読解で、「若い世代にとって」と書いてあると、書き手自身が若い世代の一人だと思い込む。書き手がほかの人の側の価値を述べているだけのこともあるので、「だれにとっての評価か」と「書き手の意見はどこか」を別の色で線を引かせる

既習の文型との違い

  • 〜にとって…(初中級 第13課)初中級では「わたしにとって大切なもの」のように、自分にとっての価値を言う形として学びました。この課では、人以外(町・会社)にも付くこと、「AにとってはX、BにとってはY」で立場ごとの評価を対比すること、ほかの立場の形との違いを文章の読み取りの中で見ることに重みを置きます。
  • 〜に対して…(初中級 第13課)「に対して」は「お客様に対して親切にする」のように、行為や態度が向かう相手を示します。「にとって」はその人の側から見た価値で、後ろは評価の言葉です。「*お客様にとって親切にする」と書いたら、後ろが行為なので矢印は相手に向かう(に対して)と図で示して直させます。「相手にとって失礼な言い方」のように評価の言葉に付くなら「にとって」のままでよい、と並べて見せます。
関連する文型

語彙の扱い

この課で扱う言葉は、立場を表す名詞(利用者・住民・保護者・経営者・消費者・若い世代 など)と、評価の言葉(ありがたい・迷惑だ・負担になる・悩みの種・欠かせない など)に分けて板書し、どの形と結び付くかを考える材料にします。意見文や投書によく出る「一方で」「とはいえ」のような、立場や話の向きを切り替える言葉も、読解の目印として一緒に拾っておくと、だれの意見かを追いやすくなります。

この課の練習で使う語(10語・意味・連語・例文)

  • 立場(たちば) ある人がいる場所や役割から、物事を見たり考えたりするときの位置です。 〜の立場からすると・相手の〜に立つ・親の〜
    町の話し合いで、店の人と住民の意見が分かれた。
    「店をしている者の立場からすると、駐車場がないのは困ります。」
  • 利用者(りようしゃ) 店やサービス、乗り物などを使う人のことです。 〜の声・図書館の〜・〜にとって便利だ
    駅のエレベーターが一つ止まっている。
    「車いすの利用者にとっては、かなり不便ですね。」
  • 住民(じゅうみん) その町や地域に住んでいる人のことです。 〜の意見・近くの〜・〜からすれば
    近くに大きな工場ができることになった。
    「近くの住民からすれば、音やにおいが心配でしょう。」
  • 保護者(ほごしゃ) 子どもの世話をして、守る役目の人。学校ではふつう親のことを言います。 〜会・〜の立場・〜にしたら
    学校の行事が平日の昼に決まった。
    「働いている保護者にしたら、休みを取るのが大変だろう。」
  • 負担(ふたん) お金や仕事、心配などを引き受けて、重く感じることです。 〜が大きい・〜になる・〜を減らす
    大学の教科書の値段が上がった。
    「学生にとって、毎年の教科書代はかなりの負担です。」
  • 迷惑(めいわく) 人のしたことで、ほかの人が困ったり嫌な気持ちになったりすることです。 〜をかける・〜な話・近所に〜だ
    夜遅くまで、隣の部屋で大きな声がする。
    「隣の人にしたら、夜中の声は迷惑だろうね。」
  • ありがたい(ありがたい) 人のしてくれたことや物事が、うれしくて助かると感じる様子です。 〜話・〜制度・本当に〜
    会社が、子どもが病気のときに家で働ける制度を作った。
    「小さい子どもがいる社員にとっては、ありがたい制度だ。」
  • 意外(いがい) 思っていたことと、実際がかなり違う様子です。 〜な結果・〜と・〜に思う
    人気があると聞いていた店に入ってみたら、空いていた。
    「人気の店のわりに、意外と空いていましたね。」
  • 予想(よそう) これからどうなるか、まだ分からないことを前もって考えることです。 〜が外れる・〜より・〜どおり
    初めての試合の結果について、友達と話す。
    「予想より点が取れたし、初めてにしてはよくやったと思う。」
  • 基準(きじゅん) 比べたり判断したりするときに、もとにする決まりや目安です。 〜を決める・判断の〜・〜に合う
    留学生が、国と日本の家賃を比べている。
    「国の物価を基準にすると、日本の家賃はかなり高く感じます。」

宿題と次のコマ

宿題は、身近な変化(近所のスーパーが夜の営業をやめる/学校の図書館の開館時間が延びる など)を一つ選び、二つ以上の立場から評価する200〜300字の意見文を書くこと。「〜からすると」「〜にしたら」「〜にとって」のうち2つ以上と、「〜わりに」か「〜にしては」を1つ入れ、最後の段落で自分の立場を書かせる。次のコマの最初に、ほかの学生の文章を読み合い、立場の目印に線を引いて、書き手自身の意見がどこにあるかを当て合って振り返ります。

よくある質問

  • 第31課の「〜からすると」「〜にしたら」「〜にとって」の違いはどう教えればいいですか?

    後ろに来る言葉で分ける3列の表を作るのがいちばん伝わります。「からすると」は判断や意見(高い・困る・〜だろう)、「にしたら」はその人の気持ちの推し量り(つらいだろう・不安かもしれない)、「にとって」は価値の評価(大切だ・ありがたい)です。前に来るものも、「にしたら」は気持ちを持つ人などに限られ、「からすると」は様子や事実にも付く、と添えます。

  • 「〜わりに」と「〜にしては」はどう使い分けさせますか?

    前の言葉で選ばせます。値段・年・練習の量のような程度そのものなら「わりに」(値段のわりに)、五百円・小学生・初めてのような具体的な事実や身分なら「にしては」(五百円にしては)が自然です。形も違い、名詞に付くとき「わりに」は「の」が要り、「にしては」はそのまま付きます。意味はとても近いので、どちらも言える文があることは隠さずに伝えます。

  • 「〜にしたら」と「コーヒーにしたら?」の「にする」はどう見分けさせますか?

    後ろの文を見させます。後ろがその人の気持ち(困るだろう・うれしいかもしれない)なら立場の「にしたら」、選んだ結果やすすめ(〜にしたらどう?・〜にしたら安くなった)なら選ぶ意味の「にする」です。読解では、「にしたら」の前が人かどうかも手がかりになります。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目で導入と学習項目1〜3(からすると・にしたら・わりに)、2コマ目で学習項目4・5(にしては・にとって)と、立場を読み取る読解の活動を行います。読解の文章を宿題で先に読ませておけるクラスなら、2コマ目の活動に時間を多く回せます。

  • 第31課の板書はどう組めばいいですか?

    黒板の左に「だれの立場から」、右に「何と比べて」の二つの箱を最初に作り、学習項目を一つ入れるたびにどちらかの箱に置いていきます。左の箱には「からすると・にしたら・にとって」と、それぞれの後ろに来る言葉、右の箱には「わりに・にしては」と予想→実際の矢印を書きます。まとめのときに箱ごと見直せるので、読解の表にもそのままつながります。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。