日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 中級 第24課「収入の面からいうと、OLをしていたときよりも苦しいです」の教案

『学ぼう!にほんご 中級』

この課の目標は、記事や説明文を読んで、ある結果がなぜ起きたのか・何から始まったのかが文章のどこに書いてあるかを見つけられるようになることです。学習項目の五つは、どれも結果の前に置かれて「理由の側」を示す印として読めます。判断や名前の根拠を示す「〜ことから」、知った・伝わった道筋を示す「〜を通じて」、変化が始まった出来事を示す「〜をきっかけにして」、どの面から見た評価かを示す「〜からいうと」、悪い結果の原因を示す「〜せいで」です。教えどころは一つずつの意味よりも、同じ「理由」でも根拠・道筋・始まり・観点・原因と役割が違うことで、板書は右端に「結果」の枠を置き、左に五つの印を並べて矢印で結ぶ図を課の最後まで使います。会話で言えるところまでは求めず、まずは読んで「ここが理由だ」と線を引ける力を育てます。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目5時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 記事や説明文を読んで、結果を表す文を見つけ、その理由・きっかけ・根拠が書いてある部分に線を引ける
  • 「〜ことから」「〜をきっかけにして」「〜せいで」の前の部分が、それぞれ根拠・変化の始まり・悪い結果の原因のどれに当たるかを言い分けられる
  • 「〜を通じて」が、情報や人のつながりの道筋を表すのか、ある期間の全体を表すのかを文脈から読み分けられる
  • 「〜からいうと」が出てきたら、その文の評価がどの面から見たものかを押さえ、別の面から見た評価と比べて読める

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(目標の場面)15分教師が作った短い記事(駅前の古い商店街に若い客が戻ってきた、という話・5〜6文)を配り、「なぜ客が戻ってきたのですか」とだけ聞く。答えを言わせたあと「その答えは、記事のどこに書いてありましたか」と聞き直し、理由の書いてある場所に線を引かせる。黒板の右端に「結果」の枠を描き、この課は理由の側の印を五つ覚えて、文章の中で理由を見つける課だと予告する
学習項目1 〜ことから25分動物の足あとの絵や、名前の由来の説明で、見えている事実から判断する・名前がつく流れを見せて導入。後ろに「〜と考えられる」「〜と呼ばれる」「〜ようになった」がよく来ることを板書の矢印の先に書く
学習項目2 〜を通じて25分人から人へ情報が渡る図(A→紹介者→B)で、間に立つ人・ものを示す使い方を導入。続けて「一年を通じて」で期間の全体を表す使い方を、季節の帯の絵で見せて、二つの使い方を分けて板書する
学習項目3 〜をきっかけにして25分ある人の生活の変化を時間の線で描き、線が曲がった一点に印をつけて導入。「ことから」との違い(判断の根拠か、変化の始まりか)を板書の二本の矢印で比べる
学習項目4 〜からいうと25分一つの品物を値段・便利さ・デザインの三つの面から評価する表で導入。同じ物でも「どの面からいうと」で評価が変わることを見せ、文章の評価はいつも一つの面から言われていると確かめる
学習項目5 〜せいで(初中級の続き)15分初中級で習った「〜せいで」を、文章の中での原因の書き方として短く復習。書き手が原因を責める気持ちを持っていることを確かめ、記事では「〜ため」「〜により」が使われやすいことと比べる
目標の活動(読み取り)40分教師が作った説明文(ある町で自転車で通勤する人が増えた理由を説明する文・10文ほど)を配る。五つの表現が全部入っている。学生は一人で読み、結果の文に四角、理由の部分に線を引き、それぞれ根拠・道筋・始まり・観点・原因のどれかを書き込む。そのあとペアで答えを比べ、違ったところだけ全体で話し合う
まとめ10分黒板の「結果」の図に、活動の文章から見つけた理由の部分を学生に書き込ませ、五つの印がそれぞれどんな理由を示していたかを全員で言い直す。最後に、理由が二つ以上重なっている文(きっかけと原因が両方ある文など)を一つ見せて、読むときはいくつ理由があるか数えるとよいと伝える

学習項目 1 〜ことから

意味・はたらき学習項目 1

「Aことから、B」は、Aという事実を根拠にしてBと判断する、またはAが理由・由来になってBという名前や状態になった、ということを表す書き言葉です。説明文・記事・案内の文章によく出て、後ろには「〜と考えられる」「〜とわかる」「〜と呼ばれる」「〜と名づけられた」「〜ようになった」のような判断や結果の言い方が来ることが多いです。前のAは、目で見える事実や、だれでも確かめられる事実であることが多く、読むときは「ことから」の前を「根拠」として線を引けば理由の場所が見つかります。後ろに「〜てください」「〜しよう」のような頼みや誘いが来ることはほとんどなく、そうした文には「から」「ので」を使います。

接続

動詞・い形容詞の普通形+ことから/な形容詞語幹+な・である+ことから/名詞+である+ことから(「名詞+の+ことから」とは言わない)

形
〜ことから、〜と考えられる/〜とわかる〜ことから、〜と呼ばれる/〜と名づけられた〜ことから、〜ようになったNであることから

導入

  • 足あとから判断する雪の上に動物の足あとが続いている絵を黒板に貼り、「足あとが小屋の前で終わっています。何がわかりますか」と聞く。学生の答えを受けて、教師が「足あとが小屋の前で終わっていることから、動物は小屋の中にいると考えられる」と板書し、見えている事実→判断の矢印を引く。「ことから」の前は見えていること、後ろは考えたことだと色を分けて書く。
  • 名前の由来を説明する学生の住んでいる町の地名や、身近な花の名前の由来を教師が簡単に説明する(例: 坂が多いことから、その町はそう呼ばれるようになった)。学生にも自分の国の地名や食べ物の名前の由来を一つ考えさせ、「〜ことから、〜と呼ばれています」の形で言わせる。説明文や観光案内でよく見る形だと伝え、話し言葉の「〜から」との違いを板書の横に小さく書いておく。

板書案

〔事実・根拠〕 ことから、 〔判断・名前〕
足あとが小屋の前で終わっている ことから、 動物は小屋の中にいる と考えられる。
坂が多い ことから、 この町は「坂の町」と呼ばれている。
〔赤〕前=見える事実(根拠) 〔青〕後ろ=判断・名前 左から右へ矢印
静かな/静かである ことから 学生である ことから(「学生のことから」とは言わない)

場面と発話(自作)

  • 市の広報誌の記事で、駅前の公園の利用者が増えた理由を説明している。夜も明るく安全であることから、仕事帰りに公園を通る人が増えたと考えられる。
  • 観光地の案内板で、橋の名前の由来を説明している。この橋は、形が虹に似ていることから「虹橋」と名づけられた。
  • 健康診断の結果を説明する社内のお知らせで、保健担当者が書いている。昼食を抜く社員が多いことから、来月から社内で軽食の販売を始めることになった。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が事実のカード(「窓が開いている」「机の上に辞書がある」など)を出し、学生が「〜ことから、〜と考えられる」で判断を一つ言う。次に、短い説明文の中から「ことから」の文を探して、根拠の部分と判断の部分を色分けして線を引かせる。

  1. 口頭教師が事実の絵カードを見せ、学生は全体で「〜ことから、〜と考えられます」と言う。キューは「道がぬれている」→雨が降った、「部屋の電気がついている」→だれかいる、「駐車場に車が一台もない」→店が休み、「この花は星の形をしている」→「星の花」と呼ばれる、のように、判断と名前の両方を混ぜる。全体で2回言ったら個人に当て、な形容詞と名詞のカード(「この道は静かだ」「父は医者だ」)で「である」を入れる接続を集中して練習する。
  2. ペアAには事実のカード、Bには判断・名前のカードを5枚ずつ配り、合うものを探して二人で一文にする(Aが「ことから」の前、Bが後ろを言う)。組み合わせが全部できたらカードを交換して役を替え、今度はBが前、Aが後ろを言う。どの組み合わせにしたかを最後に一組ずつ発表させ、根拠と判断が本当につながっているかを全体で確かめる。
  3. 産出「名前の由来クイズ」。学生は自分の国の地名・料理・店の名前を一つ選び、名前の部分を伏せて「〜ことから、〜と呼ばれています」を入れた2〜3文の説明を書き、読み上げてほかの学生に当ててもらう。教師が見るのは、な形容詞・名詞の「である」の接続と、「ことから」の後ろが判断か名前になっているか(頼みや意志の文になっていないか)の2点。

つまずきと手当て

  • 名詞やな形容詞に直接つけて「*便利ことから」「*学生ことから」と書く。な形容詞は「便利な/便利であることから」、名詞は「学生であることから」になると接続の板書で確かめる
  • 会話や頼みの文に使って「雨が降っていることから、傘を持って行ってください」と言う。文法の形は作れるが、「ことから」は判断や名前の説明に使う書き言葉なので、頼みや誘いには「から」「ので」を使うと示す
  • 読むときに「ことから」の後ろを理由だと思ってしまう。理由(根拠)は必ず前にあり、後ろは判断や結果だと、板書の矢印の向きで毎回確かめる

既習の文型との違い

  • 〜から(初級Ⅰ 第7課)・〜ので(初級Ⅱ 第21課)「から」「ので」は会話でも文章でも理由を言え、後ろに頼み・誘い・意志の文も来ます。「ことから」は判断や名前の根拠を示す書き言葉で、後ろは「〜と考えられる」「〜と呼ばれる」のような文に限られます。「寒いことから、窓を閉めてください」と言う学習者には、頼む文なら「寒いので」に戻すよう示します。
  • 〜ものだから(初中級 第4課)「ものだから」は自分の行動の言い訳として理由を言う話し言葉で、話し手の気持ちが前に出ます。「ことから」は気持ちを入れずに、だれでも確かめられる事実を根拠として示します。遅刻の理由を「電車が止まったことから、遅れました」と言うと、報告書のように聞こえて会話には合いません。
関連する文型

学習項目 2 〜を通じて

意味・はたらき学習項目 2

「Nを通じて」には二つの使い方があります。一つは、情報・気持ち・人のつながりが、Nを間に通って伝わる・手に入ることを表す使い方で、Nには人・メディア・活動などが来ます(「友人を通じて知り合った」「ボランティア活動を通じて学んだ」)。もう一つは、Nに期間を表す言葉が来て、その期間の全体ずっと、という意味を表す使い方です(「一年を通じて暖かい」)。読むときは、前の名詞が人やメディアか、期間かを見て、どちらの意味かを決めます。「〜を通して」もほぼ同じ意味で使われますが、「〜を通じて」のほうが少しかたい文章に出やすい傾向があります。

接続

名詞+を通じて(「つうじて」と読む)/名詞を修飾するときは 名詞+を通じての+名詞・名詞+を通じた+名詞

形
N(人・メディア・活動)を通じて、〜を知る/〜が伝わるN(期間)を通じて、〜Nを通じての/Nを通じたN

導入

  • 人から人へ渡る図黒板に三人の人の絵を左から並べ、左の人から真ん中の人を通って右の人へ矢印を引く。「アルバイト先の店長は、大学の先輩を通じて、この仕事を紹介してくれた」のような文を教師が言い、真ん中の人の下に「を通じて」と書く。学生に「あなたは今のアパートを何を通じて見つけましたか」と聞き、ネットのサイト・不動産屋・友達などの答えを「〜を通じて見つけました」の形にまとめる。
  • 季節の帯で期間の全体を見せる1月から12月までの横長の帯を描き、帯の端から端まで手でなぞりながら「この島は一年を通じて暖かい」と言う。部分を指して言う「夏は暑い」との違いを見せ、「を通じて」の前が期間のときは「その間ずっと」だと板書する。最初の図と並べて、前の名詞が人・ものなら道筋、期間なら全体、と見分けの手がかりを書いておく。

板書案

人・メディア・活動 + を通じて → 道筋(間を通って伝わる)
期間 + を通じて → その間ずっと
先輩を通じて、アルバイトを紹介してもらった。
この島は 一年を通じて 暖かい。
〔赤〕「を」(「に」「で」ではない) 〔青〕A → 先輩 → B の矢印 / 1月〜12月の帯

場面と発話(自作)

  • 地域の新聞の記事で、外国人住民と町の人が交流するようになった経緯を説明している。町の人たちは、毎月の料理教室を通じて、近所に住む外国人住民と顔見知りになった。
  • 会社の新人研修の報告書で、研修を受けた社員が学んだことを書いている。三か月の現場研修を通じて、お客様の声を直接聞くことの大切さを学んだ。
  • 旅行会社のパンフレットで、ある高原の気候を紹介している。この高原は一年を通じて涼しく、夏でもエアコンがいらないほどだ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が「人・メディア・活動」と「期間」の名詞カード(先輩・新聞・部活・一年・在学中など)を混ぜて出し、学生はどちらの使い方かを判断してから「〜を通じて」で一文作る。読み取りでは、文章の中の「を通じて」に印をつけ、道筋なのか期間の全体なのかを横に書き込ませる。

  1. 口頭教師が名詞カード(新聞・先輩・インターネット・ボランティア活動・一年・在学中)と、後ろのヒント(知りました・学びました・暖かい)を組みで出し、学生は全体で「〜を通じて、〜」と言う。はじめの3枚は道筋の使い方だけ、次の3枚は期間だけにし、最後に混ぜて出して、学生にまず「道筋」か「期間」かを言わせてから文にさせる。
  2. ペア「どうやって知った?インタビュー」。Aは「今のアルバイト/アパート/この学校を、何を通じて知りましたか」と三つ聞き、Bは「〜を通じて知りました」と答える。Aは答えを表に書き、終わったら役を替える。最後に、相手のことを一文でクラスに紹介させる(「Bさんは、先輩を通じて今のアパートを見つけたそうです」)。
  3. 産出「つながりマップ作文」。学生は日本に来てから出会った人や見つけた場所を三つ選び、自分とのあいだに何が入っていたか(人・サイト・活動)を線でつないだ図を描いてから、「〜を通じて」を使って3文書く。教師が見るのは、「を」の助詞と、期間の使い方を入れた学生がいれば、後ろが一回の出来事ではなく続くこと・くり返すことになっているか。

つまずきと手当て

  • 助詞を取り違えて「*友達に通じて知った」「*ネットで通じて」と書く。「通じて」の前は必ず「を」だと形の板書で確かめる
  • 期間の使い方で、「夏休みを通じて、海へ行った」のように一回だけの出来事に使う。誤りではないが、「を通じて」は期間の全体にわたって続くこと・くり返すことに合う言い方なので、一回のことなら「夏休みに」が自然だと示す
  • 「通じる」の別の意味(電話が通じる・言葉が通じる)と混ざって、文の意味を取り違える。「〜を通じて」の形で名詞のあとに来たら、道筋か期間の全体の意味だと読む

既習の文型との違い

  • 〜によると…(初中級 第7課)「によると」は情報の出どころ(だれが言ったか・何に書いてあったか)を示し、後ろに「〜そうだ」「〜ということだ」が来ます。「を通じて」は情報や人のつながりが渡ってきた道筋を示し、伝聞の形は要りません。「ラジオを通じて、あした雨が降るそうだ」と書く学習者には、出どころを言うなら「ラジオによると」だと示します。
  • 〜で…を―ます(道具・初級Ⅰ 第5課)「電話で知らせる」「メールで送る」の「で」は道具・手段を表します。「を通じて」は、人・組織・活動のように間に立って情報や関係をつなぐものに使われやすい言い方です。「メールを通じて」も言えますが、日常の会話では「メールで」が自然だと伝えます。
関連する文型

学習項目 3 〜をきっかけにして

意味・はたらき学習項目 3

「Aをきっかけにして、B」は、Aという出来事が始まりになって、それまでになかったB(新しい行動・気持ちの変化・状態の変化)が起きた、ということを表します。「して」を省いた「〜をきっかけに」もよく使われ、「〜がきっかけで」「〜をきっかけとして」の形もあります。Aは、出会い・事故・病気・引っ越し・ニュースなど、ある時点で起きた一つの出来事であることが多く、Bはそのあとに続く変化です。「ことから」が判断や名前の根拠を示すのに対して、「をきっかけにして」は時間の流れの中で「変化が始まった点」を示すので、読むときはBが「〜ようになった」「〜始めた」のような変化の言い方になっているかを見ると見つけやすくなります。

接続

名詞+をきっかけにして/をきっかけに/がきっかけで、動詞のた形+の+をきっかけにして(例: 入院したのをきっかけに)

形
Nをきっかけにして、〜ようになったVたのをきっかけに(して)、〜始めたNがきっかけで、〜Nをきっかけとして(かたい書き言葉)

導入

  • 生活の変化を時間の線で描く黒板に左から右へ一本の時間の線を引き、途中で線を上に曲げる。曲がる点に「骨折して入院した」、曲がったあとの線に「毎朝散歩するようになった」と書き、教師が「入院したのをきっかけに、毎朝散歩するようになりました」と言う。曲がる点を指して「ここがきっかけ」と板書し、後ろには変化が来ることを確かめる。
  • 学生の「始まり」を聞く「日本語の勉強を始めたきっかけは何ですか」と学生に聞き、アニメ・仕事・友達などの答えを集める。答えを「〜をきっかけに、日本語の勉強を始めました」の形に直して板書し、何人かの答えを並べる。そのうえで「ことから」の足あとの文と並べ、片方は判断の根拠、片方は変化の始まりだと二本の矢印で比べる。

板書案

〔出来事〕 を きっかけにして、 〔変化〕 ようになった/始めた
────●────↗ (●=きっかけ ↗=そのあとの変化)
入院したのをきっかけに、毎朝散歩するようになった。
Vた + の + をきっかけに(「入院したをきっかけに」とは言わない)
〔赤〕きっかけ=一回の出来事 〔青〕後ろ=新しい行動・気持ち・状態

場面と発話(自作)

  • 健康雑誌の記事で、ある会社員の生活が変わった話を紹介している。健康診断で注意されたのをきっかけにして、彼は会社まで自転車で通うようになった。
  • 地方の新聞の記事で、小さな村に観光客が来るようになった経緯を書いている。村の棚田がテレビで紹介されたことがきっかけで、週末には写真を撮りに来る人が増えた。
  • 留学生が学内のスピーチ大会の原稿で、日本に来ることを決めたいきさつを書いている。高校で日本人の留学生と同じクラスになったのをきっかけに、日本の大学で学びたいと思うようになりました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が「出来事」のカード(引っ越し・転職・旅行・入院など)を出し、学生がそのあとに起きた変化を考えて「〜をきっかけに(して)、〜ようになった」の文を作る。次に、短い記事を読んで、きっかけの出来事と、そのあとの変化をそれぞれ時間の線の上に書き込ませる。

  1. 口頭教師が出来事のカード(引っ越し・犬を飼った・大学に入った・友達の一言)と、変化のヒント(料理・早起き・ジョギング・日記)を出し、学生は全体で「〜をきっかけに、〜ようになりました」と言う。動詞のカードを3枚続けて出して「〜たのをきっかけに」を言わせ、「の」が抜けたら教師がカードの「の」を指して言い直させる。全体のあと、カードを替えて個人に当てる。
  2. ペア「きっかけインタビュー」。Aは「日本語の勉強/今の趣味/今の仕事を始めたきっかけは何ですか」と聞き、Bは「〜をきっかけに、〜」と答える。Aは答えを黒板と同じ時間の線に書き込み(●にきっかけ、↗に変化)、三つ聞いたら役を替える。最後に、相手の線を見せながら一つだけクラスに紹介させる。
  3. 産出「わたしの転機スピーチ」。学生は自分の生活が変わった出来事を一つ選び、「前は〜。〜をきっかけにして、今は〜」の流れで1分話す。聞き手はきっかけと変化をメモし、スピーチのあとで一つ質問する。教師が見るのは、動詞の「の」の接続と、後ろが判断や変わらない事実ではなく変化の言い方になっているか。

つまずきと手当て

  • 動詞に直接つけて「*入院したをきっかけに」と書く。動詞のときは「入院したのをきっかけに」と「の」が要ると接続の板書で確かめる
  • 後ろに変化ではなく判断を書いて、「この地域は坂が多いのをきっかけに、自転車に乗る人が少ないと考えられる」のようにする。文としては読めても、変わらない事実から判断するときは「ことから」が合うので、時間の線の図に戻って、きっかけは一つの出来事・後ろは変化だと確かめる
  • 悪い結果の原因にばかり使い、「せいで」と同じだと思う。「をきっかけにして」は良い変化にも悪い変化にも使え、責める気持ちはないと、「せいで」の項目で比べる

既習の文型との違い

  • 〜て以来…(初中級 第16課)「て以来」はある時点から今までずっと続いている状態に目が向き、「日本に来て以来、毎日自炊している」のように使います。「をきっかけに」は変化が始まった出来事のほうに目が向き、その変化が今も続いているかは問いません。学習者が「きっかけ」の文に「ずっと」を入れ過ぎるときは、時間の線のどこを指しているかで分けて見せます。
  • 〜ことから(この課)「ことから」の前は変わらない事実で、後ろは判断や名前です。「をきっかけに」の前は一回の出来事で、後ろはそのあとの変化です。二つの文を並べて、矢印が「根拠→判断」か、時間の線の「●→↗」かで区別させます。
関連する文型

学習項目 4 〜からいうと

意味・はたらき学習項目 4

「Nからいうと、…」は、Nという観点・立場から見て判断すると…だ、ということを表します。Nには「〜の面」「〜の点」「〜の立場」「経験」「常識」のように、物事を見る面や判断のよりどころを表す名詞がよく来ます。「からいえば」「から言って」もほぼ同じ意味です。この言い方がある文は、評価が一つの面からのものだという印なので、文章では「Aの面からいうと〜だが、Bの面からいうと…」のように、二つの面を比べる形でよく出ます。近い言い方の「〜からすると」は、「親からすると」のように人を表す名詞にもつきますが、「からいうと」は人に直接つけるより「〜の立場からいうと」の形にするほうが自然な傾向があります。

接続

名詞+からいうと/からいえば/から言って(「〜の面」「〜の点」「〜の立場」の形が多い)

形
Nの面からいうと、〜Nの立場からいうと、〜Aの面からいうと〜が、Bの面からいうと…Nからいえば/Nから言って

導入

  • 一つの品物を三つの面から評価する黒板に新しいアパートと古いアパートの二つの絵を描き、その下に「家賃・駅からの近さ・広さ」の三行の表を作る。学生に表を埋めさせたあと、教師が「家賃の面からいうと、古いアパートのほうがいいです」「駅からの近さからいうと、新しいアパートのほうが便利です」と言い、同じ物でも面によって評価が変わることを見せる。表の左の列に「〜の面からいうと」と書く。
  • 評価が逆になる文を読む「Aの面からいうと〜だが、Bの面からいうと…」の形の短い文を三つほど配り、それぞれの文で、どの面から見るとプラスで、どの面から見るとマイナスかを表に書き込ませる。文章の筆者の評価は、いつもどれかの面から言われているので、「からいうと」を見たら、まず面を押さえると読みやすいと伝える。

板書案

〔見る面・立場〕 からいうと、 〔評価〕
表: 古いアパート/新しいアパート × 家賃・駅からの近さ・広さ
家賃の面からいうと、古いアパートのほうがいい。
Aの面からいうと 〜が、 Bの面からいうと …
〔赤〕前=面・観点(出来事の原因は入らない) 〔青〕後ろ=評価

場面と発話(自作)

  • 情報誌の記事で、都心から郊外へ引っ越した家族の暮らしを紹介している。通勤時間の面からいうと不便になったが、子育てのしやすさからいうと今のほうがずっといい。
  • 会社の会議で、課長が新しい機械を買うかどうかについて意見を言っている。安全の面からいうと、古い機械を使い続けるのはもう限界です。
  • 日本語学校の進学説明会で、先生が専門学校と大学の違いを留学生に説明している。就職までの早さからいうと、専門学校のほうが有利です。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が「アルバイト」「自炊と外食」「電車と自転車」のような比べる題をカードで出し、学生が二つの面(お金・時間・健康など)を選んで「〜の面からいうと…が、〜の面からいうと…」の文を作る。読み取りでは、文章の中の「からいうと」に印をつけ、その文がどの面からの評価かを表にまとめさせる。

  1. 口頭教師が比べる二つの物の絵(電車と自転車・自炊と外食・都会と田舎)と、面のカード(お金・時間・健康・安全)を出し、学生は全体で「〜の面からいうと、〜のほうがいいです」と言う。同じ絵のまま面のカードだけを替えて、評価が逆になる文を続けて言わせ、最後に二つの面を「〜が、〜」でつなぐ長い文を個人に言わせる。
  2. ペア「どっちがいい?ミニ討論」。Aは片方(例: 自炊)の味方、Bはもう片方(外食)の味方になり、交互に「〜の面からいうと」で理由を一つずつ言う。同じ面を二度使ったら終わり。終わったら味方を入れ替えて、別の題でもう一度行う。
  3. 産出「比べて書く200字」。学生は自分の国と日本の生活(交通・食べ物・住まいなど)から一つ選び、「Aの面からいうと〜が、Bの面からいうと…」を一度入れて200字ほどで書く。教師が見るのは、「からいうと」の前が面・観点の名詞になっているか、人のときに「〜の立場からいうと」になっているか、評価がどちらの面のものか読み手にわかるか。

つまずきと手当て

  • 人を表す名詞に直接つけて「学生からいうと、この寮は便利だ」のように書く。文法の誤りとまでは言えないが、人の立場から見るときは「学生の立場からいうと」「学生からすると」のほうが自然だと示す
  • 前に観点ではなく理由を書いて、「雨からいうと、きょうは寒い」のようにする。「からいうと」の前は物事を見る面・判断のよりどころで、出来事の原因は入らないと、三行の表に戻って確かめる
  • 読むときに、評価の文を筆者の全体の意見だと思ってしまう。「からいうと」がある文は一つの面からの評価なので、ほかの面の評価がどこかに書いていないかを探させる

既習の文型との違い

  • 〜にとって…(初中級 第13課)「にとって」は人や組織の立場から見た評価で、「留学生にとって」のように人に直接つきます。「からいうと」は面や観点の名詞につき、人の立場を言うときは「〜の立場からいうと」の形にするのが自然です。「留学生からいうと」と言う学習者には、「留学生にとって」か「留学生の立場からいうと」に直すよう示します。
  • 〜に比べて…(初中級 第5課)「に比べて」は比べる相手を示し、「からいうと」は比べるときの面を示します。役割が違うので、「東京に比べて、家賃の面からいうと、この町はずっと安い」のように一つの文に両方入ることもあります。どちらが相手でどちらが面かを、三行の表の行と列で確かめさせます。
関連する文型

学習項目 5 〜せいで

意味・はたらき学習項目 5

初中級で習った「〜せいで」を、文章の中での原因の書き方として読み直す項目です。「Aせいで、B」は、Aが原因で、Bという悪い結果になったことを表し、書き手がAを責める・残念に思う気持ちを持っていることが多い言い方です。良い結果には「おかげで」を使い、原因がはっきりしないときは「せいか」を使います。新聞やかたい説明文では、責める気持ちを出さずに原因を書く「〜ため」「〜により」が使われやすく、「せいで」はエッセイや体験談、インタビューの言葉の中によく出る傾向があります。読むときは、「せいで」の前が原因、後ろが悪い結果だと押さえ、書き手がだれ(何)を責めているかまで読み取ります。

接続

動詞・い形容詞の普通形+せいで/な形容詞語幹+な+せいで/名詞+の+せいで

形
Nのせいで、〜てしまったVた/Vているせいで、〜〜せいか、〜(原因がはっきりしないとき)〜おかげで、〜(良い結果のとき)

導入

  • 初中級の復習から文章へ教師が「きのう、隣の部屋がうるさかったせいで、よく眠れませんでした」と自分のこととして話し、初中級で習った形を思い出させる。そのうえで、同じ出来事を新聞ふうに書いた文(「工事の騒音により、住民が眠れない状態が続いている」)と並べて板書し、「せいで」には責める気持ちがあり、記事では「ため」「により」が多いことを比べる。
  • 「せいで」「おかげで」「をきっかけに」を並べる一つの出来事(駅前に大きなスーパーができた)から、三つの立場の文を作って見せる。小さな店の人の「スーパーができたせいで、客が減った」、近所の人の「スーパーができたおかげで、買い物が楽になった」、記事の「スーパーができたのをきっかけに、駅前の人の流れが変わった」。同じ原因でも、書き手の気持ちと結果の良し悪しで言い方が変わることを確かめる。

板書案

〔原因〕 せいで、 〔悪い結果〕
雨のせいで、試合が中止になった。
良い結果 → おかげで 原因がはっきりしない → せいか 記事 → ため/により
N + の + せいで(「雨せいで」とは言わない)
〔赤〕書き手の責める・残念な気持ち

場面と発話(自作)

  • 旅行サイトの口コミ欄に、旅行者が感想を書いている。電車の事故のせいで、予約していた美術館に間に合わなかったのが残念だ。
  • 農家の人が地域の新聞のインタビューで、ことしの収穫について話している。夏に雨が少なかったせいで、トマトの実が小さくなってしまいました。
  • 留学生が作文で、日本に来たばかりのころの失敗を書いている。ゴミの出し方を知らなかったせいで、近所の人に迷惑をかけてしまった。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が悪い結果のカード(遅刻した・試験に落ちた・料理が焦げたなど)を出し、学生が原因を考えて「〜せいで、〜てしまった」の文を作る。次に、同じ文を「おかげで」「をきっかけに」に替えられるかを考えさせ、結果の良し悪しと書き手の気持ちで言い方が決まることを確かめる。

  1. 口頭教師が悪い結果のカード(遅刻した・風邪をひいた・よく眠れなかった・料理が焦げた)と原因のヒント(バス・寒さ・隣の部屋の音・電話)を出し、学生は全体で「〜せいで、〜てしまいました」と言う。慣れたら良い結果のカード(合格した・早く着いた)を混ぜ、学生に「せいで」か「おかげで」かを選ばせてから言わせる。
  2. ペア「言いかえ記者」。Aは体験談の文(「大雪のせいで、電車が止まってしまった」)を読み、Bはそれを新聞の記事の文(「大雪のため、電車が止まった」)に言い換える。3文ずつで役を替え、最後に、どちらの文に書き手の気持ちが出ているかを二人で話させる。
  3. 産出「残念だった日の作文」。学生は最近の失敗や困ったことを一つ選び、「せいで」を使った体験談の文を2〜3文書き、その下に同じ出来事を「ため」で報告ふうに書いた文を1文並べる。教師が見るのは、名詞の「の」の接続、良い結果に「せいで」を使っていないか、人を強く責める書き方になっていないか。

つまずきと手当て

  • 名詞に直接つけて「*雨せいで」「*渋滞せいで」と書く。名詞のときは「雨のせいで」と「の」が要ると、初中級の接続を板書で確かめる
  • 良い結果に使って「先生が教えてくれたせいで、合格できた」と言う。形は作れるが、「せいで」は悪い結果に使う言い方なので、相手を責めているように聞こえて失礼になると伝え、「おかげで」に言い直させる
  • 自分の失敗の原因を他人のせいにする書き方になってしまうことに気づかない。作文や報告書で「せいで」を使うと責める気持ちが強く出るので、客観的に書きたいときは「〜ため」を使うとよいと示す

既習の文型との違い

  • 〜おかげで…(初中級 第3課)「おかげで」は原因が良い結果をもたらしたときに使い、感謝の気持ちがこもります。「せいで」は悪い結果に使い、原因を責める・残念に思う気持ちがこもります。良い結果に「せいで」を使うと相手を責めているように聞こえるので、結果の良し悪しを先に決めさせてから言わせます。
  • 〜ばかりに…(初中級 第17課)「ばかりに」は、そのこと一つのために思ってもいなかった悪い結果になった、という後悔が強く出る言い方で、自分の行動が原因のことが多いです。「せいで」は原因を示すことが中心で、原因は天気・他人・物などでもかまいません。「雨が降ったばかりに」はやや大げさに聞こえるので、天気のような原因には「せいで」が合うと示します。
関連する文型

語彙の扱い

この課は読む課なので、新しい語は意味を一つずつ覚えさせるより、文章の中で理由・結果のどちらの側に出る語かを意識させます。「増える・減る・広がる・〜ようになる」のような変化の語と、「〜と考えられる・〜とわかる・名づける」のような判断の語は結果の側に、出来事や事実を表す語は理由の側に来やすいので、板書の「結果」の図の左右に分けて残しておくと、学習者が文章の中で理由を探す手がかりになります。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • 由来(ゆらい) 名前やものごとが、何から始まったか・どうしてそうなったかというわけです。 名前の〜・地名の〜・〜を調べる
    観光案内所で、町の名前について聞く。
    「この橋の名前の由来は、形が虹に似ていることだそうです。」
  • 名づける(なづける) 人やものに名前をつけます。 〜と名づける・子どもに〜
    公園の案内板で、道の名前を説明している。
    「白い花が咲くことから、この道は『白花通り』と名づけられた。」
  • 根拠(こんきょ) 考えや判断が正しいと言えるための、もとになる事実です。 〜を示す・〜がない・判断の〜
    ゼミで、発表した学生に先生が質問する。
    「そう考える根拠は何ですか。」
  • 判断する(はんだんする) わかっていることから考えて、どうなのかを決めます。 〜から判断する・正しく〜
    散歩の途中で、地面の足あとを見る。
    「足あとの大きさから判断すると、大きな犬だろう。」
  • 知り合う(しりあう) 会って、たがいに相手を知るようになります。 友人を通じて〜・〜きっかけ
    結婚式のスピーチで、二人の出会いを紹介する。
    「二人は、共通の友人を通じて知り合いました。」
  • 交流(こうりゅう) 人や国が、たがいに行き来したり話したりしてつながることです。 〜を深める・地域の〜・〜会
    市の広報誌で、外国人住民の活動を紹介する。
    「料理教室を通じて、地域の人との交流が深まった。」
  • きっかけ(きっかけ) 何かを始めたり、気持ちや状態が変わったりするもとになった出来事です。 〜になる・〜をつかむ・始めた〜
    日本語の授業で、勉強を始めた理由を話す。
    「友達の一言が、日本語を勉強するきっかけになりました。」
  • 転職する(てんしょくする) 今の会社や仕事をやめて、別の会社や仕事に移ります。 〜を考える・〜したのをきっかけに
    久しぶりに会った友人に、最近の生活を話す。
    「転職したのをきっかけに、家族で地方に引っ越したんです。」
  • 収入(しゅうにゅう) 働いたりして、自分のものとして入ってくるお金です。 〜が増える・〜が減る・〜の面
    アルバイトを変えた理由を友達に話す。
    「通勤の面からいうと、今の部屋のほうが便利です。」
  • 面(めん) ものごとを見たり考えたりするときの、一つの方向や部分です。 お金の〜・健康の〜・〜からいうと
    健康についての講演で、医者が話している。
    「健康の面からいうと、毎日少し歩くのがいちばんです。」
  • 被害(ひがい) 台風や事故などで、けがをしたり物がこわれたりして受ける損です。 〜を受ける・〜が出る・台風の〜
    農家の人が、ニュースのインタビューに答える。
    「長雨のせいで、畑に大きな被害が出てしまいました。」

宿題と次のコマ

宿題は、①自分の国の地名・料理・習慣の由来を一つ選び、「〜ことから」を使って3〜4文で説明すること、②自分の生活が変わった出来事を一つ選び、「〜をきっかけにして」と「〜を通じて」を使って5〜6文の短い文章を書き、その中に「〜の面からいうと」で今の生活の評価を一文入れること。次のコマの最初に、②の文章をペアで交換して読み、相手の文章の中の理由の部分に線を引いて返す活動で復習してから、第25課の「できない」を別の言葉で言う表現に入ります。

よくある質問

  • 第24課の五つの表現はどの順で教えればいいですか?

    本の順に、根拠を示す「〜ことから」、道筋を示す「〜を通じて」、変化の始まりを示す「〜をきっかけにして」、観点を示す「〜からいうと」、悪い結果の原因を示す「〜せいで」と進めると、理由の役割が一つずつ増えていく形になります。黒板の右端の「結果」の枠を最後まで消さずに、左に印を一つずつ足していくと、五つの違いが一目で比べられます。「〜せいで」は初中級の復習なので短くし、残りの時間を読み取りの活動に回します。

  • 「〜ことから」と「〜から」「〜ので」の違いは何ですか?

    「から」「ので」は会話でも使え、後ろに頼み・誘い・意志の文が来てもかまいません。「ことから」は判断や名前の根拠を示す書き言葉で、後ろには「〜と考えられる」「〜と呼ばれる」「〜ようになった」のような文が来ます。頼む文に「ことから」を使った学習者には、「ので」に戻すよう示します。

  • 「〜をきっかけにして」と「〜ことから」「〜せいで」はどう区別させればいいですか?

    「ことから」は変わらない事実を根拠にした判断、「をきっかけにして」は一回の出来事から始まった変化、「せいで」は悪い結果の原因で責める気持ちがある、と役割で分けます。板書では、「ことから」を「根拠→判断」の矢印、「をきっかけに」を時間の線の曲がる点で見せると区別しやすくなります。「をきっかけに」は良い変化にも悪い変化にも使え、責める気持ちはありません。

  • 「〜を通じて」と「〜を通して」は同じですか?

    ほぼ同じ意味で、どちらも道筋と期間の全体の二つの使い方があります。「を通して」は自分から手段として使う場合に多いという説明もありますが、中級の読み取りでは同じ意味として読めば足ります。「を通じて」のほうがややかたい文章に出やすいと伝える程度にとどめます。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は導入と「〜ことから」「〜を通じて」「〜をきっかけにして」まで、2コマ目は「〜からいうと」「〜せいで」の復習と、五つの表現が全部入った説明文の読み取りの活動、まとめです。読み取りに慣れていないクラスでは、活動の文章を短くするか、2コマ目の前半で一度ペアで線を引く練習をはさみます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。