日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 中級 第33課「残念ながら最初はほとんどの人に信じてもらえない」の教案

『学ぼう!にほんご 中級』

「AだからBになるはずだ」という予想を、後ろの文で裏切る言い方=逆接を、話すときにも文章を読むときにも使えるようにする課です。初級の「〜が」「〜けど」「〜のに」「〜ても」に、中級では「〜ながら」「〜といっても」「〜ものの」「〜からといって」が加わりますが、どれも前の文から生まれる予想が少しずつ違うので、「前の文を聞いて、ふつうは何を予想するか」→「後ろの文はその予想をどう裏切ったか」の2段で整理すると混ざりません。項目の中に順接の「〜たら」が入っているのは、予想どおりに進む「〜たら」と、予想を裏切る「〜ても」を対にして見せるためだと考えられます(この教案の推測です)。読解では、逆接の言葉のあとに書き手の言いたいことが来ることが多いので、逆接に印を付けて読む練習を課のまとめにすると、課の目標がそのまま読む力になります。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目6時間90分×3コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 「〜ながら」「〜ものの」で、前の事実から予想されることと違う結果を、作文や改まった話の中で言え、「〜ながら」の逆接と同時の使い方を文の中で見分けられる
  • 「〜といっても」で、言葉から相手が想像するほどではない実際の程度を言い足し、相手の思い込みをやわらかく直せる
  • 「〜からといって」で、一つの理由だけで決めつけることを「〜とは限らない」「〜わけではない」とつないで否定できる
  • 「〜たら」と「〜ても」の対で、予想どおりの結果と予想を裏切る結果を言い分け、文章の中の逆接の言葉に印を付けて、書き手の言いたいことを読み取れる

進め方と時間配分

目安は 90分×3コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(目標の場面)10分黒板に「雨が降った →(ふつうは)試合は中止」と書き、「でも、試合はありました」と続けて、予想が裏切られる文のつなぎ方を「逆接」と呼ぶことを確かめる。初級の「〜けど」「〜のに」「〜ても」を学生に出させて黒板の左に並べ、右にこの課の新しい形を置いていくと予告する
学習項目1 〜ながら35分「歩きながら考える」と「知っていながら黙っていた」を並べ、前に来る言葉の種類(動作か状態か)で意味が変わることを見せる。「残念ながら」「狭いながらも」などの決まった形をかたまりで入れる
学習項目2 〜といっても30分「料理ができる」と聞いて相手が想像することを出させ、実際はそれほどではない、と言い足す形として導入する。相手の思い込みを小さく直す会話で使わせる
学習項目3・4 〜ものの・〜からといって50分「〜ものの」は「〜けれども」の書き言葉として、予定どおりに進まなかったことを書く文で入れる。「〜からといって」は「一つの理由で決めつけていいか」という問いで導入し、後ろの「〜とは限らない」「〜わけではない」とセットで板書する
学習項目5・6 〜たら/〜ても45分同じ前半で「〜たら、予想どおり」「〜ても、予想と違う」の2本の矢印を書き、順接と逆接の対で整理する。「〜ても」は「12月になっても」のように、もう起きた事実にも使えることを確かめる
逆接の形の整理30分「前の文から生まれる予想」「後ろの文の裏切り方」「硬さ」の3列の表に6つの形と初級の「〜のに」を入れさせる。後ろに命令や意志の文が来られる形と来られない形もここで確かめる
目標の活動(逆接に印を付けて読む)50分教師が作った400字ほどの短い文章(新しい考えが最初は受け入れられなかった、という話題)を配り、逆接の言葉に印を付けさせる。印の前で「この先、何が書いてありそうか」を予想させてから続きを読み、書き手のいちばん言いたい一文を選ばせる
まとめ20分表を見ながら、それぞれの形を使った一文を自分のことで書かせ、硬い形(ものの・ながら)は作文、やわらかい形(といっても・からといって・ても)は会話で、と使い分けを確かめる

学習項目 1 〜ながら

意味・はたらき学習項目 1

初級で学んだ「〜ながら」は、二つの動作を同時にすること(音楽を聞きながら勉強する)でした。この課の「〜ながら」は逆接で、「〜のに」「〜けれども」に近く、前の事実から予想されることと違うことが後ろに来ることを表します。逆接になることが多いのは、前に「知っている」「ある」「いる」のような状態を表す言葉や、形容詞・名詞が来るときで、「知っていながら黙っていた」「子どもながら、しっかりしている」のように使います。動作の動詞でも「注意されながら、同じ間違いをくり返す」のように逆接に読める文があるので、最後は前後の意味で見分けます。「残念ながら」「勝手ながら」「わずかながら」「我ながら」などは決まった言い方として、会話でもお知らせの文でもよく使われます。全体としてはやや硬い言い方で、「〜ながらも」と「も」を付けると逆接であることがはっきりします。

接続

Vます形の語幹/Vている → Vていながら/い形+ながら/な形の語幹・N+ながら(「も」を付けて「〜ながらも」とも言う)

形
Vていながら/Vながら(知っていながら・ありながら)い形 ながら(も)(狭いながらも・小さいながらも)な形・N ながら(残念ながら・子どもながら)決まった形: 残念ながら・勝手ながら・わずかながら・我ながら

導入

  • 同時の「ながら」と並べる「音楽を聞きながら勉強する」と「答えを知っていながら、何も言わなかった」を2行で板書し、「この人は同時に二つのことをしていますか」と聞く。前の文は同時、後ろの文は「知っている → ふつうは言う → でも言わない」の逆接だと確かめ、前に来る言葉が動作か状態かを色分けする。
  • 「残念ながら」をお知らせの文で教師が作った「残念ながら、今年の花火大会は中止になりました」という掲示の文を見せ、「本当は開きたかった気持ち」が「残念ながら」に入っていることを確かめる。続けて「勝手ながら、来週は休業いたします」を見せ、お店や会社のお知らせで、相手にとって都合の悪い知らせの前に置く言い方だと押さえる。

板書案

〔青〕状態の言葉(知っている・ある・い形・な形・N)+ ながら(も)= 逆接
答えを 知っていながら、何も 言わなかった。
狭いながらも、気に入っている 部屋だ。
〔比べる〕音楽を 聞きながら 勉強する = 同時(動作の言葉)
〔赤〕決まった形: 残念ながら・勝手ながら・わずかながら・我ながら

場面と発話(自作)

  • 大学の事務室から、奨学金に応募した留学生に結果のメールが届いた。残念ながら、今回は採用となりませんでした。
  • 会議の時間が変わったことを知っていたのに、同僚に伝えなかった社員が、上司に注意される。変更を知っていながら、どうして伝えなかったんですか。
  • 初めて日本で一人暮らしをした部屋のことを、作文に書く。狭いながらも、窓から海が見える気に入った部屋だった。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

黒板の左に状態の言葉(知っている・お金がある・日本に住んでいる・子ども・小さい)、右に予想と違う結果のカードを並べ、組み合わせて「〜ながら(も)、〜」の文を作らせる。そのあと教師が「〜ながら」の文をいくつか読み上げ、学生に「同時」か「逆接」かを手で示させて、聞いて見分ける練習を入れる。

  1. 口頭教師が状態の言葉のカードと結果の絵を対で見せる(知っている/黙っている人、お金がある/古い服を着ている人、子ども/上手にあいさつする子、小さい/重い荷物を運ぶ犬)。全体で「知っていながら、黙っていた」「子どもながら、しっかりあいさつする」と言わせ、次に個人に当てる。最後に「残念ながら」「勝手ながら」を、教師が言うお知らせの内容(花火大会が中止・店が休み)の頭に付けて全体で言わせる。
  2. ペア教師が作った文のリスト(同時の「ながら」と逆接の「ながら」が混ざった8文)を配る。一人が読み上げ、もう一人はリストを見ずに聞いて「同時」か「逆接」かを手で示し、前の言葉が動作か状態かで理由を言う。4文で役を交替する。続けて店員と客の役で、店員が「残念ながら」「勝手ながら」を使って品切れや休業を伝え、客が「そうですか」と受ける。
  3. 産出「残念なお知らせ係」: 学生が学校・店・サークルの係になり、中止・休業・予定の変更を伝えるお知らせを2〜3文で書いて、クラスの前で読み上げる。もう一文、自分の部屋や町を「〜ながら(も)」で紹介する文を足す。教師が見るのは、な形・名詞に「な」「だ」を付けていないか、動作の動詞に付けて同時の意味に聞こえていないか、お知らせ全体の丁寧さがそろっているか。

つまずきと手当て

  • 逆接の「〜ながら」の文を、同時の意味に読んでしまう。「毎日練習していながら、試合では力が出せない」を「練習しながら試合をする」と取る。前が「〜ている」や状態の言葉なら逆接のことが多い、と読むときの目印を板書する
  • な形に「な」や「だ」を付ける(「*残念なながら」「*不便だながら」)。な形と名詞は語幹にそのまま付ける、と形を固定する
  • 逆接のつもりで動作の動詞に付けて、同時の意味に聞こえてしまう。動作の動詞で逆接を言いたいときは「〜たのに」「〜ても」のほうが誤解がない、と言い換えを示す

既習の文型との違い

  • 〜ながら、…(初級・同時)初級の「〜ながら」は動作の動詞に付いて、二つの動作を同時にすることを表します。この課の逆接の「〜ながら」は「知っている」「ある」のような状態の言葉や、形容詞・名詞に付きます。学習者は「*駅まで走りながら、電車に間に合わなかった」のように一回の動作で逆接を言おうとして、「走っている間に」と同時の意味に聞こえる文を作るので、「走ったのに」と「〜のに」に言い換えさせます。
  • 〜のに、…(初級)「〜のに」は話し言葉でもよく使い、意外さや不満の気持ちが強く出ます。逆接の「〜ながら」はやや硬く、気持ちより事実の食い違いを述べる言い方で、作文・報告・お知らせに向きます。「知っているのに、どうして言わないの」は友達への不満、「知っていながら、黙っていた」は報告や物語の文、と場面で分けて見せます。
  • 〜つつ(第28課)「〜つつ」にも同時と逆接(〜つつも)の両方があり、「〜ながら」よりさらに改まった書き言葉です。逆接の「〜つつも」は「悪いと思いつつも」のように思う・知るなどの動詞に付くことが多く、名詞や形容詞には付きません。「*子どもつつ」「*狭いつつも」の誤りが出たら、名詞・形容詞に付くのは「ながら」だけ、と整理します。
関連する文型

学習項目 2 〜といっても

意味・はたらき学習項目 2

前の言葉は本当だけれど、その言葉から相手が想像するほどではない、と後ろで実際の程度を言い足す逆接です。「旅行に行った」と聞けば相手は遠くへ何日も、と想像しますが、「旅行といっても、近くの温泉に一泊しただけです」と言えば、その想像を小さく直せます。後ろには「〜だけ」「〜くらい」「それほど〜ない」のように程度を下げる言い方が来ることが多く、自分のことを控えめに言うときにもよく使われます。文の頭に「といっても、〜」と置いて、前の人の話や自分の前の文を補うこともできます。

接続

普通形+といっても(N・な形は「だ」があってもなくてもよい: 社長といっても/静かだといっても)

形
N(だ)といっても(休みといっても・社長といっても)な形だといっても(便利だといっても)Vる/Vた/い形 といっても(料理ができるといっても・寒いといっても)文の頭で「といっても、〜」

導入

  • 想像と実際の吹き出し教師が「わたしは料理ができます」と言い、学生に「どんな料理を作ると思いますか」と聞いて、想像を大きな吹き出しに書く。次に「料理ができるといっても、卵焼きとみそ汁くらいです」と言って小さな吹き出しを横に描き、想像より小さい実際を言い足す形だと確かめる。
  • 控えめに言う会話で「日本語がお上手ですね」とほめられた場面を作り、「いえ、話せるといっても、買い物で困らないくらいです」と返す例を見せる。ほめられたときや、相手の思い込みを直すときに使えることを確かめ、学生にも自分の得意なことで同じ形を言わせる。

板書案

N(だ)/普通形 + といっても、〜だけ/〜くらい
〔大きい吹き出し〕旅行 → 遠く? 何日も?
〔小さい吹き出し〕旅行といっても、近くの 温泉に 一泊しただけです。
〔赤〕後ろ = 想像より 小さい 実際
文の頭: 「といっても、〜」

場面と発話(自作)

  • アルバイト先の先輩に「国でも働いていたんですか」と聞かれた留学生が答える。働いていたといっても、週末に家の店を手伝っていただけです。
  • 「北海道の冬はすごく寒いんでしょう」と心配する友達に、札幌に住む学生が話す。寒いといっても、部屋の中は暖かいから、意外と平気だよ。
  • 会社の休みについて聞かれた社員が、取引先の人に説明する。夏休みといっても、うちの会社は三日だけなんですよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「大きく聞こえる言葉」のカード(社長・旅行・引っ越し・ピアノが弾ける・大学で教えている)を引かせ、「〜といっても、〜だけ/〜くらい」で実際の小ささを言い足させる。そのあと、ペアの一人がカードの言葉で大げさにほめ、もう一人が「いえ、〜といっても」で控えめに返す会話にする。

  1. 口頭教師が大きく聞こえる言葉を言い、学生が全体で程度を下げて返す(「社長です」→「社長といっても、社員は三人だけです」、「家を建てました」→「家を建てたといっても、小さい家です」、「毎日運動しています」→「運動といっても、駅まで歩くだけです」)。キューを「社長/三人」の語二つ → 語一つ → 絵だけと減らしていく。な形・名詞で「だ」があってもなくてもよいことを、個人に当てて確かめる。
  2. ペア一人が、表に大きく聞こえる事実、裏に実際の小さい事実が書いてある自己紹介カードを持つ。もう一人は表だけを見て「すごいですね」とほめ、カードの持ち主が「いえ、〜といっても、〜だけです」で直す。ほめた人は裏の実際を聞いて「そうなんですか」と受ける。3枚で役を交替する。
  3. 産出「控えめ返しロールプレイ」: 学生が自分の本当の得意なことや経験を一つ選び、先輩や先生にほめられる場面を演じて、「〜といっても」で控えめに返し、実際の程度を一文で言い足す。教師が見るのは、後ろに程度を下げる内容が来ているか、「*便利なといっても」のような形の誤りがないか、目上への返答として丁寧体がそろっているか。

つまずきと手当て

  • 後ろに程度を下げる内容が来ないので、ただの「けど」に聞こえる(「旅行に行ったといっても、とても楽しかった」)。誤りではないが、この形は「想像より小さい」を言うためのものなので、後ろには実際の程度を書く、と吹き出しの図に戻す
  • な形・名詞の前に「な」を付ける(「*便利なといっても」「*休みなといっても」)。「便利だといっても」「休み(だ)といっても」と形を固定する
  • 「〜としても」と混ぜる。「〜といっても」は本当のことを認めてから程度を直す、「〜としても」はまだ本当か分からないことを仮に認める、と2文を並べて確かめる

既習の文型との違い

  • 〜わけではない(第32課)「〜わけではない」は、相手が考えそうな結論を後ろで打ち消す言い方です(料理が嫌いなわけではない)。「〜といっても」は、前の言葉が本当だと認めたうえで、その程度を小さく直します(料理ができるといっても、簡単なものだけ)。打ち消すのか、認めて縮めるのか、向きの違いを2文並べて見せます。
  • 〜としても…(初中級 第12課)「〜としても」は、本当かどうか分からないことを仮に認める形で、「社長だとしても、その言い方はよくない」のように使います。「〜といっても」は実際の事実に使います。学習者が「あした雨だといっても、行きます」のように仮の話に使ったら、「雨だとしても」「雨が降っても」に直させます。
関連する文型

学習項目 3 〜ものの

意味・はたらき学習項目 3

「〜けれども」と同じ逆接ですが、書き言葉や改まった話で使われる硬い言い方です。前の事実を認めたうえで、そこから予想される次の段階に進まなかった・うまくいかなかったことを後ろで言うことが多く、「引き受けはしたものの、気が進まない」「申し込んだものの、まだ準備ができていない」のように、気持ちや状況が前に進まない様子を表します。後ろには命令・依頼・誘い・強い意志の文は来ません。「とはいうものの」の形で文の頭に置き、前の文の内容を認めながら反対の内容を続けることもあります。

接続

普通形+ものの(な形は「な」か「である」、Nは「である」: 便利なものの・学生であるものの)

形
Vた ものの(買ったものの・引き受けたものの)い形 ものの(高いものの)な形な/である ものの(便利なものの)Nである ものの、文の頭で「とはいうものの、〜」

導入

  • 階段の図で「進まない」を見せる黒板に「申し込む → 準備する → 合格する」の階段を描き、「試験に申し込んだものの、まだ一度も問題集を開いていない」と言って、1段目で止まっている人の絵を描く。「この人は2段目に行きましたか」と聞き、前のことはしたけれど、次に進んでいないことを表す形だと確かめる。
  • 会話の「けど」を作文に書き直す学生の「新しい自転車を買ったけど、ほとんど乗っていない」という会話の文を、作文の一文「新しい自転車を買ったものの、ほとんど乗っていない」に書き直して見せる。意味は同じで硬さが違うこと、作文では「けど」より「ものの」「が」がふさわしいことを確かめる。

板書案

普通形 + ものの(な形 な/である、N である)
〔階段〕申し込む → 準備する → 合格する
試験に 申し込んだものの、まだ 問題集を 開いていない。
〔赤〕後ろ: ×命令 ×誘い ×強い意志
話す = 〜けど  書く = 〜ものの/〜が

場面と発話(自作)

  • 日本語の作文の授業で、日本に来たばかりのころの苦労を書く。日本に来たものの、最初の一か月は言葉が分からず、ほとんど外に出られなかった。
  • 会社の報告書に、新しいシステムを入れたあとの様子を書く。新しいシステムは便利なものの、使い方を覚えるのに時間がかかっている。
  • 友達の結婚式でスピーチを頼まれた学生が、日記に書く。スピーチを引き受けたものの、何を話せばいいのか、まだ決まらない。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「始めたこと」のカード(ジムに入った・料理の本を買った・資格の勉強を始めた・ブログを作った)を引かせ、「〜ものの、〜」で、そのあと進まなかったことを作文の一文で書かせる。次に同じ内容を友達に話す口調の「〜けど」に戻させ、書き言葉と話し言葉を行き来させる。

  1. 口頭教師が始めたことを言い(ジムに入った・料理の本を買った・ギターを習い始めた・日記をつけ始めた)、学生が全体で「ジムに入ったものの、まだ二回しか行っていない」のように、その先に進まなかったことを付ける。次に教師が会話の文「買ったけど、使っていない」を言い、学生が作文の文「買ったものの、使っていない」に言い換える。最後は語だけのキューで個人に当てる。
  2. ペア一人が「〜けど」の会話の文を言い、もう一人が「〜ものの」の作文の文に直して言う。次は逆に「〜ものの」の文を聞いて、友達に話す口調に戻す。教師が渡すリストには後ろが命令・誘いの文(高いけど、買いなさい)を混ぜておき、それを「ものの」にしようとしたら、もう一人が「これはできない」と止める。
  3. 産出「三日坊主の報告書」: 学生が、自分が始めたのに続かなかったこと(または、クラスで計画したのに進んでいないこと)を、報告書のように「〜ものの、〜」を含む3〜4文で書き、最後に「これからどうするか」を一文足す。教師が見るのは、「*学生ものの」のような接続の誤り、後ろに命令・誘いが来ていないか、である体かです・ます体のどちらかに文体がそろっているか。

つまずきと手当て

  • 後ろに命令や誘いを置く(「*高いものの、買いなさい」「*雨が降っているものの、出かけましょう」)。後ろが命令・誘いなら「〜けど」「〜が」を使う、と表の「後ろに来られる文」の列に戻す
  • 名詞に直接付ける(「*学生ものの」)。名詞は「学生であるものの」、な形は「便利なものの」と形を固定する
  • 友達との会話で使って、硬く聞こえる。誤りではないが、会話では「〜けど」のほうが自然。この形は作文・報告書・ニュースなどで出会うことが多い、と使う場所を押さえる

既習の文型との違い

  • 〜ながら(学習項目1)どちらも硬い逆接ですが、「〜ものの」は前のことを一度認めてから、次の段階に進まない・うまくいかないことを言う形で、動詞のた形にもよく付きます。逆接の「〜ながら」は「知っていながら」のように状態の言葉に付き、状態と行動の食い違いを言います。「申し込んだものの」を「申し込みながら」にすると同時の意味に聞こえる、と比べて見せます。
  • 〜のに、…(初級)「〜のに」は不満や意外さの気持ちが強く、話し言葉でもよく使います。「〜ものの」は気持ちを抑えて事実を述べる書き言葉です。「せっかく買ったのに、使っていない」は自分を責める気持ちが出ますが、「買ったものの、使っていない」は淡々とした報告になるので、報告書や作文では「ものの」を選ばせます。
関連する文型

学習項目 4 〜からといって

意味・はたらき学習項目 4

「〜という理由がある」ことは認めたうえで、その理由だけで、ふつう考えられる結論になるとは限らない、と言う逆接です。「ブランド品だからといって、長持ちするとは限らない」のように、後ろには「〜とは限らない」「〜わけではない」「〜ことはない」「〜てはいけない」などの否定や、決めつけをいましめる言い方が来ます。相手や世間の決めつけを直したり、自分のことを言い訳したりするときによく使われ、話し言葉では「〜からって」とも言います。なお、文章では「頭が痛いからといって、彼は先に帰った」のように、その人がそう理由を言って何かをした、という引用の意味で使われることもあるので、読むときは後ろの文で見分けます。

接続

普通形+からといって(N・な形は「だ」を付ける: 日曜日だからといって・好きだからといって。話し言葉では「〜からって」)

形
Vる/Vた からといって(日本に住んでいるからといって)い形 からといって(安いからといって)な形・N だからといって(有名だからといって・外国人だからといって)〜からといって、〜とは限らない/わけではない/ことはない

導入

  • 決めつけの矢印に×を付ける黒板に「日本人 → 漢字が全部読める」と矢印を書き、「本当ですか」と学生に聞く。「いいえ、読めない字もある」という答えから、矢印に×を付けて「日本人だからといって、漢字が全部読めるわけではない」と板書し、理由だけで決めつけることを否定する形だと確かめる。
  • 後ろの文とセットで覚える「〜からといって、〜とは限らない」「〜からといって、〜わけではない」「〜からといって、〜ことはない」の3つの枠を板書し、前半の理由を同じにして後ろだけ替えて言わせる。後ろが否定やいましめの形になることを、枠ごと耳に残す。

板書案

普通形(N・な形 + だ)+ からといって、
〔×を付けた矢印〕日本人 → 漢字が 全部 読める
日本人だからといって、漢字が 全部 読める わけではない。
後ろの枠: 〜とは限らない/〜わけではない/〜ことはない
〔赤〕後ろ = 否定・いましめ(「全部ではない」まで言う)

場面と発話(自作)

  • 「タイの人だから、辛い料理が好きでしょう」と言われた留学生が、笑って答える。タイ人だからといって、みんな辛いものが好きなわけじゃないですよ。
  • テストの点が少し悪かった学生を、先生が励ます。一回失敗したからといって、そんなに落ち込むことはありませんよ。
  • 家電売り場で、最新型の商品をすすめられた客が、友達に小声で言う。最新型だからといって、使いやすいとは限らないよね。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

学生がよく言われる決めつけ(留学生だから〜・若いから〜・男の人だから〜・日本に十年いるから〜)を黒板に集め、「〜からといって、〜わけではない/とは限らない」で一つずつ直させる。そのあと、落ち込んでいる友達を「〜からといって、〜ことはない」で励ます短い会話にする。

  1. 口頭教師が前半と結論の対を言い(新しい/使いやすい、有名な店/おいしい、若い/体が丈夫、毎日勉強している/合格する)、学生が全体で「新しいからといって、使いやすいとは限らない」と返す。同じ前半で後ろの枠を「〜とは限らない」→「〜わけではない」と替えて言わせ、最後に「一回失敗した/落ち込む」で「〜ことはない」の励ましを個人に当てる。
  2. ペア一人が決めつけのカードを読み(「留学生だから、日本の生活に慣れていないでしょう」「若いから、パソコンが得意でしょう」など)、もう一人が「〜からといって、〜わけではありませんよ」で直し、自分の例を一つ足す。読んだ人は「そうなんですね」と受ける。カード3枚で役を交替する。
  3. 産出「思い込みを直そうミニ討論」: 3〜4人のグループで、世間でよく聞く思い込み(〜な人は〜だ)を一つ選び、「〜からといって、〜とは限らない。例えば、〜」の形で、例を挙げながら2〜3文で反論を発表する。教師が見るのは、後ろを「とは限らない/わけではない」まで言い切っているか、い形に「だ」を付けていないか、例が反論の理由になっているか。

つまずきと手当て

  • 理由の「〜から」と同じつもりで使う(「安いからといって、たくさん買いました」で「安いから買った」と言いたい)。この形は「その理由だけでは決まらない」と言うためのもので、ふつうの理由なら「〜から」「〜ので」にする。ただし文章では「〜と言って(理由を言って)」の意味でこの形が出ることもある、と読むときの注意を添える
  • い形に「だ」を付ける(「*高いだからといって」)。「だ」を付けるのは名詞とな形だけ、と形を固定する
  • 後ろを「〜わけではない」「〜とは限らない」まで言わずに止めてしまい、全部否定に聞こえる(「日本人だからといって、漢字が読めない」)。後ろの枠を板書でセットにして、「全部ではない」の言い方まで言わせる

既習の文型との違い

  • 〜から(初級の理由)理由の「〜から」は、後ろにその理由から出る結論を言います(安いから買った)。「〜からといって」は理由を認めたうえで、その結論になるとは限らないと否定する形です。「安いから買った」のつもりで「安いからといって、買いました」と言うと、「その人が安いと言って買った」という引用の意味に取られるか、文が途中に聞こえる、と2文を並べて見せます。
  • 〜わけではない(第32課)第32課の「〜わけではない」は、それだけで「全部がそうではない」と言える形です。この課の「〜からといって」は、前半の理由を受けて、その後ろにこの「〜わけではない」や「〜とは限らない」を置く組み合わせです。前の課の形を先に復習しておくと、この課では前半のつなぎだけを新しく見せればよくなります。
  • 〜ことはない(第32課)「〜ことはない」は「〜する必要はない」の意味で、「失敗したからといって、落ち込むことはない」のように励ましや助言になります。「〜とは限らない」は事実についての判断です。後ろの形で、文が判断になるか励ましになるかが変わることを確かめます。
関連する文型

学習項目 5 〜たら

意味・はたらき学習項目 5

初級で学んだ条件の「〜たら」です。ここでの「〜たら」は順接の条件で、前のことが起きると、予想どおりの結果が後ろに来る使い方です。逆接の課に並ぶのは、予想どおりに進む「〜たら」と、予想を裏切る「〜ても」を対にして見せるためと考えると、教えやすくなります(「雨が降ったら中止です」と「雨が降っても実施します」)。また、「〜たら、〜た」の形で、してみたら、思っていたのと違う結果だったという発見を表すこともあり(「行ってみたら、店が閉まっていた」)、予想と結果のずれを語る文章ではこの使い方もよく出ます。この課では新しい意味を足すより、「〜たら」の後ろに来るのは予想どおりの結果か、それとも意外な発見か、を読み分ける練習に使います。

接続

Vた/い形かった/な形・Nだった+ら(初級の復習)

形
Vたら、〜(予想どおりの結果: 円安が続いたら、輸入品が高くなる)〜たら、〜。でも、〜ても、〜(順接と逆接の対)Vてみたら、〜た(思っていたのと違う発見)

導入

  • 2本の矢印で「たら」と「ても」を対に黒板に「雨が降った」と書き、右へ2本の矢印を引く。上の矢印には「〜たら → 中止(予想どおり)」、下の矢印には「〜ても → 実施(予想と違う)」と書き、前半が同じでも、つなぎの言葉で後ろの向きが逆になることを確かめる。学習項目6の導入にもそのまま使う。
  • 「〜てみたら」で意外な発見教師が「きのう、評判のラーメン屋に行ってみたら、お休みでした」と話し、「先生は何を予想していましたか」と聞く。「食べられると思っていた → 違った」という流れを確かめ、「〜たら、〜た」は意外な結果を話すときにもよく使う、と押さえる。

板書案

〔前半〕雨が 降った
〔青の矢印〕〜たら → 中止(予想どおり)
〔赤の矢印〕〜ても → 実施(予想と違う)
Vてみたら、〜た = 思っていたのと違う発見
行ってみたら、店が 閉まっていた。

場面と発話(自作)

  • 経済の授業で、円の値段の変わり方を表すグラフを見ながら、学生が発表する。このまま円安が続いたら、輸入品がもっと高くなると思います。
  • 友達にすすめられた映画を見た学生が、次の日に感想を言う。怖い映画だと思ってたけど、見てみたら、すごく感動する話だった。
  • 旅行の計画を立てている友達どうしが、天気のことを話す。もし雨が降ったら、美術館に行こうよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

前半のカード(物価が上がる・人口が減る・駅ができる・円が安くなる)を引かせ、まず「〜たら、〜」で予想どおりの結果を言わせ、次に同じ前半で「〜ても、〜」と予想を裏切る結果を言わせる。最後に「〜てみたら、〜た」で、自分が予想と違う経験をしたことを一つずつ話させる。

  1. 口頭前半のカード(物価が上がる・駅ができる・人口が減る・円が安くなる)を見せ、全体で「〜たら、〜」の予想どおりの結果を言わせる。キューを語 → 絵だけと減らす。次に教師が「店に行ってみました」と言いながら意外な結果の絵(閉まった店・長い行列・別の店に変わっている)を見せ、学生に「行ってみたら、閉まっていました」と言わせる。
  2. ペア一人が前半だけを言い、もう一人が「たら」か「ても」のカードを引いて、そのカードに合わせて後ろを付ける。前半を言った人は、その結果が予想どおりか予想と違うかを判定し、カードと合っていなければ言い直させる。5回で役を交替する。
  3. 産出「予想と違った体験談」: 学生が「〜てみたら、〜た」を使って、日本に来てから思っていたのと違った経験を1分ほどで話す。聞き手は「最初は何を予想していましたか」と質問し、話し手が答える。教師が見るのは、「〜たら、〜た」をただの動作の順番に使っていないか、予想を裏切る内容を「たら」でつないでいないか。

つまずきと手当て

  • 予想を裏切る内容を「〜たら」でつなぐ(「雨が降ったら、試合はありました」で「降っても」と言いたい)。後ろが予想と違うなら「〜ても」、と2本の矢印の図に戻す
  • 「〜たら、〜た」で自分の続けた動作を言う(「駅に着いたら、電車に乗りました」)。誤りとまでは言えないが、ただの順番なら「着いて」「着くと」のほうが自然なことが多く、「〜たら、〜た」は思いがけない発見や出来事に使うことが多い、と伝える
  • 文章を読むとき、「〜たら」のあとを書き手の主張と取り違える。「〜たら」の後ろは予想や仮の結果で、そのあとに「しかし」「〜ても」が来て、書き手の本当の考えが続くことがある、と読む順に印を付けさせる

既習の文型との違い

  • 〜と・〜ば(初級の条件)「〜たら」は一回の出来事にも仮定にも使え、後ろに意志や依頼の文も来られます。「〜と」は「春になると桜が咲く」のように、いつも決まって起きることに向き、後ろに意志の文は来にくい形です。思っていたのと違う発見を言う「〜たら、〜た」は「行ってみると、閉まっていた」と「〜と」でも言えますが、「〜ば」ではふつう言わない、と並べて確かめます。
  • 〜としたら/とすれば(第34課)次の課の「〜としたら/とすれば」は、本当かどうか分からないことを仮に置いて考える形で、仮定の色が「〜たら」より強く出ます。「〜たら」は実際に起こりそうなことにも使います。この課では「〜たら」を予想どおりの結果を言う形として押さえ、仮に考える形は次の課で広げる、と予告しておきます。
関連する文型

学習項目 6 〜ても

意味・はたらき学習項目 6

初級で学んだ逆接の「〜ても」です。「雨が降っても行きます」のように、まだ起きていないことを仮に考えて、それでも結果は変わらないと言う使い方(仮定)と、「12月になっても雪が降らない」「何度説明しても分かってもらえない」のように、もう起きた事実から予想されることが起きないと言う使い方があります。中級では、「たとえ〜ても」「いくら〜ても」「どんなに〜ても」と組み合わせて意味を強める形も使えるようにします。同じ逆接の「〜のに」との違いは、「〜のに」が実際に起きた事実や今の事実に使い、意外さや不満の気持ちが強く出ること、仮定の話には使えないことです。「〜ても」は仮定にも事実にも使え、後ろに「〜ます」「〜ましょう」のような意志の文も来られます。

接続

Vて+も/い形くて+も/な形・Nで+も(初級の復習。たとえ・いくら・どんなに と組み合わせる)

形
Vても(雨が降っても・何度聞いても)い形くても/な形・Nでも(高くても・不便でも・雨でも)たとえ〜ても(仮定を強める)いくら/どんなに〜ても(程度を強める)

導入

  • 仮定と事実の2つの「ても」学習項目5の2本の矢印を使い、「あした雨が降っても、試合はあります」を板書して、まだ起きていないことだと確かめる。次にカレンダーと雪のない山の絵を見せ、「12月になっても、雪が降りません」と言って、もう12月になったのに予想が外れていることを確かめ、「ても」には仮定と事実の2つがあると整理する。
  • 「のに」と並べて気持ちを比べる「12月になっても降らない」と「12月になったのに降らない」を並べ、教師が後ろの文を少し不満そうな声で読んで、どちらに「どうして?」の気持ちが強いかを聞く。「〜のに」は意外さや不満が強いこと、「あした雨が降ったのに」のような仮定には使えないことを確かめる。

板書案

Vて+も/い形 くても/な形・N でも
〔仮定〕あした 雨が 降っても、試合は あります。
〔事実〕12月に なっても、雪が 降らない。
たとえ/いくら/どんなに 〜ても
〔赤〕〜のに = 事実だけ・不満が 強い

場面と発話(自作)

  • 冬の天気について、ニュースで話していた内容を、留学生がクラスで紹介する。今年は暖かい日が続いて、12月になっても雪が降らない地方があるそうです。
  • 日本語能力試験を受けるかどうか迷っている友達に、先輩が話す。たとえ今回合格できなくても、受けてみると自分の弱いところが分かるよ。
  • 会社で、新しい企画を何度説明しても上司に分かってもらえない社員が、同僚に相談する。どんなに丁寧に説明しても、なかなか分かってもらえないんです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「まだ起きていないこと」と「もう起きたこと」の2色のカードを用意し、引いた色に合わせて仮定の「〜ても」か事実の「〜ても」で文を作らせる。事実のカードの文は「〜のに」にも言い換えさせ、どちらが不満の気持ちが強く聞こえるかをペアで話し合わせる。

  1. 口頭「まだ起きていないこと」と「もう起きたこと」の2色のカードを見せ、全体で文を作らせる(あした雨/行く、何度説明する/分かってもらえない、高い/買う、12月になる/雪が降らない)。次に同じカードの前に「たとえ」「いくら」「どんなに」を付けさせ、どの言葉がどのカードに合うかを個人に当てて確かめる。形(くても・でも・ても)は最初に全体で唱えさせておく。
  2. ペア一人が「もう起きたこと」の文を「〜ても」で言い、もう一人がそれを「〜のに」に言い換えて、どちらが不満が強く聞こえるかを話し合う。「まだ起きていないこと」のカードが出たときに相手が「〜のに」にしようとしたら、もう一人が「これはできない」と止める。4枚で役を交替する。
  3. 産出「それでも宣言」: 学生が自分の目標を一つ決め、「たとえ〜ても、〜」「いくら〜ても、〜」でクラスの前で30秒の宣言をする。続けて、いま困っていることを「〜ても、〜ない」で一つ話し、聞き手がアドバイスを一言返す。教師が見るのは、形(くても・でも・ても)、「たとえ」「いくら」と「ても」の対応、後ろの意志の文が自然かどうか。

つまずきと手当て

  • 形を間違える(「*高いでも」「*雨が降るても」)。い形は「くても」、な形と名詞は「でも」、動詞はて形に「も」、と板書で3つに分けて固定する
  • 仮定の話に「〜のに」を使う(「あした雨が降るのに、行きます」で「降っても」と言いたい)。「〜のに」は実際の事実に使う形で、まだ起きていないことには「〜ても」、と2つの「ても」の図に戻す
  • 「たとえ」「いくら」を付けたのに後ろを「〜ても」にしない(「*たとえ雨が降ったら、行きます」)。「たとえ」「いくら」「どんなに」は「〜ても」とセットで使う、と枠を板書する

既習の文型との違い

  • 〜のに、…(初級)「〜のに」は実際に起きたことにだけ使い、意外さや不満が強く出ます。「〜ても」は仮定にも事実にも使え、後ろに「行きます」「やりましょう」のような意志の文も来られます。「あした雨が降るのに、行きます」のように仮の話に「〜のに」を使ったら、まだ起きていないことは「〜ても」、と2色のカードに戻します。
  • たとえ〜ても…(初中級 第12課)初中級で学んだ「たとえ〜ても」は、仮定を強める形です。この課では「12月になっても」のような事実の「〜ても」と並べ、「たとえ」を付けると仮の話に聞こえることを確かめます。もう起きたことを強めたいときは「いくら」「どんなに」を使う、と言い分けます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の言葉は、逆接の形の前に来る「予想を生む言葉」(有名・高い・約束する・申し込む など)と、後ろに来る「予想を裏切る言葉」(〜とは限らない・〜だけ・まだ〜ない など)に分けて板書すると、形の使い方と結び付けて覚えられます。読む練習では、逆接の言葉そのもの(しかし・ところが・〜ながら・〜ものの など)にも印を付けさせ、文章の中で見つけたら「この先に書き手の言いたいことがある」と考える習慣を付けます。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • 予想します(よそうします) これからどうなるかを、前もって考えることです。 結果を〜・〜どおり・〜と違う
    試合の次の日に、友達と結果を話す。
    きのうの試合は、予想どおり、日本が勝ったね。
  • 実際(じっさい) 想像や話ではなく、本当にそうであることです。 〜に・〜は・〜の生活
    日本に来る前と来たあとの違いを、作文に書く。
    日本は物価が高いと聞いていたが、実際に住んでみると、それほどでもなかった。
  • 意外(いがい) 思っていたことと違っていて、少し驚く様子です。 〜な結果・〜に・〜と
    初めて納豆を食べた留学生が、感想を言う。
    においは強いけど、食べてみたら意外においしかったです。
  • 品質(ひんしつ) 品物がどのくらいよいか、という中身のよさです。 〜がいい・〜を上げる・高い〜
    家電売り場で、二つの商品を比べる。
    値段が安いからといって、品質が悪いとは限りません。
  • 限ります(かぎります) 「〜とは限らない」の形で、いつもそうだとは言えない、という意味になります。 〜とは限らない・人数を〜
    有名なレストランについて、友達と話す。
    有名な店だからといって、おいしいとは限らないよ。
  • 決めつけます(きめつけます) よく確かめないで、そうだと一方的に決めてしまうことです。 相手を〜・一方的に〜・〜ないでください
    留学生が、言われて困ったことを先生に話す。
    外国人だから箸が使えないと決めつけられて、少し悲しかったです。
  • 思い込み(おもいこみ) 本当かどうか確かめないで、強くそうだと信じていることです。 〜が強い・〜をなくす・ただの〜
    グループで、世間のイメージについて話し合う。
    それは思い込みですよ。若いからといって、みんな機械に強いわけではありません。
  • 申し込みます(もうしこみます) 試験や旅行などに参加したいと、決まった方法で伝えることです。 試験に〜・インターネットで〜
    試験の準備について、日記に書く。
    試験に申し込んだものの、まだ何も準備していない。
  • 引き受けます(ひきうけます) 頼まれた仕事や役を、自分がすると言って受けることです。 仕事を〜・係を〜・喜んで〜
    サークルの先輩に、行事の係を頼まれた。
    係を引き受けたものの、何から始めればいいか分かりません。
  • 中止(ちゅうし) 予定していたことを、やめることです。 〜になる・〜する・雨で〜
    学校の掲示板に、お知らせを書く。
    残念ながら、あしたの見学会は雨のため中止になりました。
  • 控えめ(ひかえめ) 自分のことを大きく言わず、少なめに、静かに言ったりしたりする様子です。 〜に言う・〜な人・〜な性格
    日本語をほめられた留学生のことを、先生が同僚に話す。
    あの学生は、ほめられても「話せるといっても、少しだけです」と控えめに答えるんです。

宿題と次のコマ

宿題は、自分が「最初は思っていたのと違った」経験(日本に来る前の想像と実際・始めた習い事・アルバイトなど)を一つ選び、「〜ながら」「〜といっても」「〜ものの」「〜からといって」「〜ても」のうち3つ以上を使って、300字ほどの文章に書くこと。書き終わったら、自分の文章の逆接の言葉に印を付け、そのあとに書いた一文が言いたいことになっているかを確かめさせる。次のコマの最初にペアで交換して読み、相手の文章の「いちばん言いたい一文」を当て合って振り返ります。

よくある質問

  • 第33課の逆接の形は、どの順で教えればいいですか?

    最初に初級の「〜けど」「〜のに」「〜ても」を学生に出させ、「前の文からふつう何を予想するか」を毎回言わせる習慣を付けてから、本の順に「〜ながら」→「〜といっても」→「〜ものの」→「〜からといって」と進めます。「〜たら」と「〜ても」は最後に2本の矢印の図で対にすると、順接と逆接の違いがはっきりします。終わりに6つの形を表にまとめると、混同が減ります。

  • 「〜ながら」と「〜ものの」はどう違いますか?

    どちらも硬い逆接ですが、逆接の「〜ながら」は「知っていながら」のように状態の言葉や形容詞・名詞に付き、状態と行動の食い違いを言います。「〜ものの」は「申し込んだものの」のように動詞のた形にもよく付き、前のことはしたが次の段階に進まない、うまくいかないことを言います。どちらも後ろに命令や誘いを置きにくいので、会話でそう言いたいときは「〜けど」に戻させます。

  • 「〜といっても」と「〜からといって」の違いは?

    「〜といっても」は前の言葉が本当だと認めて、相手が想像するほどではないと程度を小さく直す形で、後ろに「〜だけ」「〜くらい」が来ます。「〜からといって」は理由を認めたうえで、その理由だけで決めつけることを否定する形で、後ろに「〜とは限らない」「〜わけではない」が来ます。形が似ているので、後ろに来る言葉の枠を板書でセットにして見分けさせます。

  • 「〜ても」と「〜のに」の違いはどう説明しますか?

    「〜のに」は実際に起きたことにだけ使い、意外さや不満の気持ちが強く出ます。「〜ても」は「あした雨が降っても」のような仮定にも、「12月になっても」のような事実にも使え、後ろに意志の文も来られます。事実の「〜ても」を「〜のに」に言い換えさせて気持ちの強さを比べると、違いがつかみやすくなります。

  • この課は何コマで終わりますか?

    この教案では90分×3コマを目安にしています。1コマ目に導入と「〜ながら」「〜といっても」、2コマ目に「〜ものの」「〜からといって」「〜たら」「〜ても」、3コマ目に逆接の整理表と、逆接に印を付けて読む活動、まとめを置きます。読む活動を宿題の作文に回せば、2コマ半ほどに縮められます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。