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学ぼう!にほんご 中級 第35課「予想しない効果が現れてしまうことがあり得るのだ」の教案

『学ぼう!にほんご 中級』

「絶対にそうなるとは言えないけれど、そうならないとも言い切れない」という可能性を言葉にして、相手に注意をうながしたり、先回りしてアドバイスしたりする課です。5つの形は、悪い結果を心配して注意をうながす「〜かねない」「〜おそれがある」、よい結果も悪い結果も含めて「起こる可能性はある」と認める「〜得る(得る)」、その人のいつもの様子から先を読む「〜ことだから」、見かけと実際のずれを言う「〜かのようだ」に分けると、学習者の頭の中で整理しやすくなります。アドバイスの場面では「〜ことだから〜だろう(予測)→ 〜かねない(心配)→ だから〜たほうがいい(助言)」という流れが作れるので、項目を一つずつ入れたら、この流れで友達や後輩に注意をうながす会話を組み立てさせます。硬さは「〜おそれがある」「〜得る」がいちばん硬く、報道・説明書・お知らせ向きで、会話の助言では「〜かねない」「〜かもしれない」が中心になる、という目安も早めに示しておきます。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目5時間90分×3コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 「〜かねない」で、このままだと悪い結果になる可能性があることを相手に伝え、「だから〜たほうがいい」とアドバイスにつなげられる
  • 「〜ことだから」で、相手も知っている人柄やいつもの様子を根拠に先を予測し、その予測に合わせた準備や声かけを提案できる
  • 「〜得る(得る)」「〜おそれがある」を、説明書・お知らせ・ニュースのような硬い文章で読み取り、会話では「〜かもしれない」「〜かねない」に言い換えて人に伝えられる
  • 「〜かのようだ」で、見かけは問題がないように見えても実際は違うかもしれない、という注意を、たとえを使って言える

進め方と時間配分

目安は 90分×3コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(目標の場面)10分教師が「友達が、あしたの試験の前の晩に、朝までゲームをすると言っています。何と言いますか」と聞き、学生に自由に助言させる。「遅刻するかもしれない」「寝坊すると思う」のような答えを黒板に集め、「かもしれない」より強く、心配して注意をうながす言い方がこの課にある、と予告する。黒板に「心配(悪いこと)」「可能性(どちらも)」「予測の根拠」「見かけ」の4つの箱を作っておく
学習項目1 〜かのようだ40分初中級の「〜のようだ」(たとえ)を思い出させ、名詞だけでなく文全体をたとえる形として導入する。「本当はそうではない」ことを確かめ、「何もなかったかのように」をかたまりで入れる
学習項目2 〜ことだから40分クラスの全員が知っている人物(遅刻の多い有名人・時間に厳しい教師など)を例に、「あの人のことだから、きっと〜だろう」と予測させる。後ろは推量や判断が多いことを板書で示す
学習項目3 〜かねない40分第25課の「〜かねる」と2行で並べ、意味が逆になることを最初に押さえる。「このままだと〜かねない。だから〜たほうがいい」の型で、アドバイスにつなげる練習をする
学習項目4・5 〜得る(得る)・〜おそれがある50分薬の説明書・お知らせ・ニュースの文を教師が作って読ませ、「起こり得る」「〜おそれがあります」を拾わせる。読みの「える/うる」と否定の「えない」、「おそれがある」は悪いことだけ、を確かめ、会話の言い方に言い換えさせる
目標の活動(注意をうながすアドバイス)65分二人一組で、相手の計画(徹夜で勉強する・自転車で傘を差す・期限ぎりぎりに申し込む など)を聞き、「〜ことだから」「〜かねない」を使って注意し、「〜たほうがいい」で助言する。最後に同じ内容を、お知らせの文(「〜おそれがあります」「〜こともあり得ます」)に書き直す
まとめ25分黒板の4つの箱に5つの形を置き直し、悪いことだけに使う形(かねない・おそれがある)とどちらにも使う形(得る)、硬い形と会話の形を一覧にして残す

学習項目 1 〜かのようだ

意味・はたらき学習項目 1

実際にはそうではない(またはそうだと確かめられない)のに、まるでそうであるように見える・感じられることを表します。初中級の「〜のようだ」(たとえ)は名詞に付けてたとえましたが、「〜かのようだ」は「何もなかった」「全部知っている」のような文の内容そのものをたとえに使えるのが特徴です。「まるで」といっしょに使うことが多く、「何もなかったかのように」「自分の家であるかのように」のような形で、人のふるまいや物事の見かけを描くときによく出ます。この課では、見かけと実際のずれに気づかせる言い方として扱い、「治ったかのように見えても、まだ休んだほうがいい」のように注意やアドバイスの前置きに使えることを示します。

接続

V・い形の普通形+かのようだ/な形・N は「〜である」+かのようだ(話し言葉では「である」を省いて「Nかのようだ」と言うこともある)。名詞の前は「〜かのような+N」、動詞・形容詞の前は「〜かのように」

形
(まるで)Vた かのようだ(何もなかったかのようだ)Vた かのように+V(何もなかったかのように話す)Nである かのような+N(自分の家であるかのような態度)〜かのように見える/思える(治ったかのように見える)

導入

  • 「のようだ」から広げる初中級の「彼女は太陽のようだ」を板書し、たとえだったことを思い出させる。次に教師が、けんかしたあと翌朝ふつうにあいさつしてくる友達の話をし、「きのうのけんかがなかったようだ」では足りないことを確かめてから「まるで、きのう何もなかったかのようだ」と板書する。「本当に何もなかったんですか」と聞いて、本当はあったと答えさせ、文の上に「本当はそうではない」と書く。
  • 見かけと実際の2枚の絵左に元気に笑っている人、右に同じ人が熱を測っている絵を描き、「きょうは治ったかのように見えますが、実は…」と言いかけて学生に続けさせる。見かけはそう見えても実際は違うかもしれない、という注意に使えることを確かめ、アドバイスの前置きの形として「〜かのように見えても、〜たほうがいい」を板書する。

板書案

(まるで)文の普通形 + かのようだ
N/な形 + である + かのようだ
まるで きのう 何も なかった かのように、あいさつした。
〔青〕見かけ:何もなかった 〔赤〕実際:けんかした (二つを矢印で結び「本当はそうではない」)
〜かのような+N / 〜かのように+V(〔丸〕で「な」と「に」を囲む)

場面と発話(自作)

  • 寮の共用の台所を使った人が、片付けずに出て行った。次に来た留学生が管理人に言う。まるで自分の家であるかのように、なべもお皿も置いたままなんです。
  • 風邪で三日休んだ同僚が、出社した朝から残業すると言っている。先輩が声をかける。治ったかのように見えても、無理するとまたぶり返すよ。きょうは早く帰ったら?
  • 初めて雪の積もった朝、窓から外を見た留学生が日記に書く。町全体が白い布をかぶったかのように、静かだった。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「見かけ」のカード(元気そう・何も知らない顔・新品・問題なさそう)と「実際」のカード(まだ熱がある・全部知っている・中古・期限が切れている)を組み合わせ、「〜かのように見えるけど、実は〜」の一文を作らせる。そのあと「だから〜たほうがいい」を一文足させ、たとえを注意につなげる。

  1. 口頭教師が語のカードを出し、学生が「まるで〜かのようだ」を全体で言ってから個人で言う。キューは「何もなかった」→「まるで何もなかったかのようだ」、「初めて聞いた」→「初めて聞いたかのようだ」、「自分の家だ」→「自分の家であるかのようだ」、「夏だ」→「夏であるかのようだ」。慣れたら教師が後ろに「話す」「顔」「態度」「笑う」と言い、学生が「かのように」と「かのような」を選んで言い直す。
  2. ペアAには「見かけ」のカード(とてもきれいな部屋・新品に見える自転車・何も知らない顔の弟)、Bには裏に「実際」のカード(母が全部片付けた・十年前の自転車・本当は全部知っている)を配る。Aが「まるで〜かのように見えるね」と言い、Bが「実は〜」と答えてから「だから〜たほうがいい」を一文足す。4枚ごとに役を替える。
  3. 産出「見かけと実際カード」: 自分の経験から、見かけと実際が違ったこと(元気そうに見えた友達・安く見えた店・簡単に見えた試験)を一つ選び、「〜かのように見えたけど、実は〜。だから、〜たほうがいい」の3文を書いて発表する。教師は、本当にそうかもしれないことをたとえにしていないか、名詞のあとの「である」、名詞の前の「かのような」を見て、その場で言い直させる。

つまずきと手当て

  • 本当にそうである可能性が高いことに使う(例:空が暗いので、雨が降るかのようだ)。文の形は正しくても、たとえではなく推量を言いたいので「雨が降りそうだ」「降るようだ」に直す。「本当はそうですか」と聞いて、本当かもしれないなら「かのようだ」は使わない、と確かめる
  • 名詞・な形容詞に直接付ける形で迷う(*子どもだかのようだ)。書き言葉では「子どもであるかのようだ」と「である」を入れる、と板書で形を固定する
  • 名詞の前で「ように」を使う(*夢であるかのように一日だった)。初中級の「〜のような+N/〜のように+V」と同じく、名詞の前は「かのような」、動詞の前は「かのように」と二段で示す

既習の文型との違い

  • 〜のようだ(初中級第10課)初中級の「〜のようだ」は「海のようだ」のように名詞に付けてたとえました。「〜かのようだ」は「何もなかった」のような文の内容をそのままたとえにします。「何もなかったようだ」と「か」を落とすと、たとえではなく「本当に何もなかったらしい」という推量に聞こえるので、「本当はあった」場面では「か」が要ると確かめます。
  • 〜そうです 様態(初級Ⅱ第29課)「雨が降りそうだ」は見た様子から本当にそうなると予測する形で、話し手はそうなると思っています。「〜かのようだ」は本当はそうではないと分かっていて、見かけだけを言います。予測を言いたいのに「雨が降るかのようだ」と言う学生には、「本当に降ると思いますか」と聞いて形を選び直させます。
関連する文型

学習項目 2 〜ことだから

意味・はたらき学習項目 2

話し手と聞き手がどちらもよく知っている人の性格やいつもの様子を理由にして、「その人なら、きっと〜だろう」と先を予測するときの形です。「Nのことだから」の N には人を表す言葉(田中さん・あの子・うちの部長)が多く入り、前に「まじめな」「時間に厳しい」のような説明が付くこともあります。後ろには「〜だろう」「〜に違いない」「きっと〜はずだ」のような推量や判断が来ることが多い形です。よい予測(「あの人のことだから、うまくやるだろう」)にも悪い予測(「あの人のことだから、また遅れるだろう」)にも使えます。アドバイスの場面では、予測を言ってから「だから早めに連絡しておいたほうがいい」と、それに合わせた行動をすすめる流れでよく使います。

接続

N(人を表す名詞が多い)+の+ことだから(前に「まじめな」「心配性の」など、その人を説明する言葉を付けることも多い)

形
Nの ことだから、きっと〜だろう/〜に違いない(性格の説明)Nの ことだから(まじめな田中さんのことだから)Nの ことだから、〜たほうがいい(予測に合わせた助言)あなたの ことだから、〜と思うけど(相手の性格を信頼していると伝える)

導入

  • みんなが知っている人で予測させる教師が「わたしはいつも、約束の10分前に来ます」と言ってから、「来週の遠足、先生は何時に来ると思いますか」と聞く。「10分前に来る」という答えを引き出し、「先生のことだから、きっと10分前に来るだろう」と板書する。「どうしてそう思いましたか」と聞き、「いつもそうだから」という理由が「〜のことだから」に入っていることを確かめる。
  • 予測から助言へ遅刻の多い友達と映画を見に行く場面を話し、「木村さんのことだから、また遅れるかもしれない」「だから、チケットは先に買っておいたほうがいい」の2文を板書する。人柄からの予測が、アドバイスの理由になることを矢印で結んで見せ、目標の活動の型にする。

板書案

Nの ことだから、(きっと)〜だろう/〜に違いない
根拠:その人のいつもの様子(話し手も聞き手も知っている)
先生の ことだから、きっと 10分前に 来るだろう。
〔赤〕予測 →(矢印)→〔青〕だから、〜たほうがいい
*田中さんことだから (〔丸〕で「の」を足す)

場面と発話(自作)

  • クラスでいちばん心配性の友達が、まだ面接の結果を聞いていない。ほかの友達に話す。あの人のことだから、きっと何回もメールを確かめてるよ。こっちから声をかけてあげよう。
  • いつも締め切りぎりぎりに書類を出す後輩に、先輩がアドバイスする。君のことだから、また前の日に慌てるんじゃない? 今週中に一回見せてね。
  • まじめな同僚が出張先で道に迷ったらしい、と聞いた課長が言う。佐藤さんのことだから、もう自分で調べて向かっているでしょう。少し待ちましょう。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

人物のカード(心配性の母・時間に厳しい先生・忘れ物の多い弟・料理好きの友達)と場面のカード(旅行・試験・引っ越し・パーティー)を引かせ、「〜のことだから、きっと〜だろう」で予測させる。言えたら、聞いている学生が「じゃあ、どうしたらいい?」と聞き、言った学生が「〜たほうがいい」で助言する。

  1. 口頭教師が人物のカードと場面のカードを一枚ずつ出し、学生が「〜のことだから、きっと〜だろう」で予測を言う。全体で言ってから個人に当てる。キューは「時間に厳しい部長・会議」→「時間に厳しい部長のことだから、きっと早く来るだろう」、「忘れ物の多い弟・旅行」→「弟のことだから、また何か忘れるだろう」、「料理好きの母・パーティー」→「母のことだから、たくさん作るに違いない」。後ろを「だろう」「に違いない」「はずだ」に替えて言わせる。
  2. ペアAは自分の知り合いを一人選び、性格やいつもの様子を3つBに話す(「姉はとても心配性で、いつも早く準備します」など)。Bはそれを聞いてから、来週の予定について「お姉さんのことだから、〜だろうね」と予測し、Aが「そうそう」か「いや、実は〜」と答える。聞き手もその人柄を知っていることが前提になる形で、会話で人柄を聞いて共有すれば使えることを体験させ、役を替えてもう一回。
  3. 産出「クラスメート予報」: クラスの全員が知っている人(教師・学校の職員・有名人)を一人選び、その人の次の行動を「〜のことだから、きっと〜だろう」で予測し、「だから、〜たほうがいい」で準備を提案する2文を書いて発表する。予測された本人(教師)が当たっているかを判定する。教師は「の」の落ち、後ろが予測や判断になっているか、聞き手が知らない人に使っていないかを見る。

つまずきと手当て

  • 話し手しか知らない人や、初めて会った人に使う(例:きのう会った人のことだから、遅れるだろう)。誤りではないが根拠が伝わらず不自然。聞き手もその人のことを知っていて、「ああ、あの人ならね」と思える相手に使う形だと確かめる。会話の中でその人の性格を話して、聞き手と共有したあとなら使える
  • 名詞のあとの「の」を落とす(*田中さんことだから)。「Nの+こと」は「その人について言えば」という意味のかたまりだと板書で固定する
  • 第36課で学ぶ「〜ことだ」(「早く寝ることだ」=そうしたほうがいいという忠告)と混ぜる。「〜ことだから」は名詞に「の」で付いて、後ろに予測が続く形、「〜ことだ」は動詞の辞書形に付いて文が終わる形、と2行で比べる。また「〜のだから」(「約束したのだから、守りなさい」)とも形が似ているので、前が「名詞+の」(人を表す名詞が多い)か、文かで見分けさせる

既習の文型との違い

  • 〜だけあって/だけに/だけのことはある(第21課)「〜だけあって」は「プロだけあって上手だ」のように、結果を見たあとで「その人ならそうだ」と評価する形です。「〜ことだから」は、まだ起きていないことをその人柄から予測するのが中心です。結果に感心する場面で「〜のことだから、上手だった」と言う学生には、「もう見ましたか、これからですか」と聞いて形を選ばせます。
  • 〜ものだから(初中級第4課)「〜ものだから」は普通形に付いて、自分の事情を理由・言い訳として言う形です(「電車が遅れたものだから、遅刻しました」)。「〜ことだから」は名詞(人を表すものが多い)に「の」で付いて、相手も知っている人柄を予測の根拠にします。どちらも「こと/もの」と「だから」で形が似ているので、前に来る言葉(文か、名詞+の か)で見分けさせます。
関連する文型

学習項目 3 〜かねない

意味・はたらき学習項目 3

このままだと悪い結果になる可能性があることを表します。「〜かもしれない」と近いですが、後ろに来るのは事故・病気・失敗・誤解のような好ましくない結果だけで、話し手がそれを心配し、相手に注意をうながす気持ちがこもります。第25課の「〜かねる」(立場や事情から、することができない)の否定の形ですが、意味は「できる」ではなく「(悪いことが)起こりかねない=起こってしまうかもしれない」になるので、二つを必ず並べて整理します。会話のアドバイスにも、少し改まった文章にも使えます。また「あの人ならやりかねない」のように、人が悪いことをしてしまいそうだ、という見方を言うのにも使います。

接続

Vます形(「ます」を取った形)+かねない(丁寧には「〜かねません」。「なりかねない」「起こしかねない」のように使う)

形
Vます かねない(なりかねない・起こしかねない)このままだと/そんなことをしたら、Vます かねないVます かねないから、〜たほうがいい(助言につなげる)Vます かねません(改まった注意・お知らせ)

導入

  • 「かねる」と2行で並べる第25課の「その件にはお答えしかねます(=答えられない)」を上の行に書き、下の行に「そんなに寝ないと、体を壊しかねません」を書く。「上の人は答えますか」「下の人は体を壊しますか」と聞き、上は「しない」、下は「してしまうかもしれない」で、形は似ているのに向きが逆だと確かめる。下の行の横に「悪いことだけ」と赤で書く。
  • 心配から助言へ教師が、自転車に乗りながらスマートフォンを見ている人の絵を見せ、「このままだと、どうなりますか」と聞く。「事故を起こしかねない」を引き出してから、「だから、止まってから見たほうがいい」と続け、「〜かねない。だから〜たほうがいい」の型を板書する。

板書案

〔上〕その件には お答えし かねます = 答えられない(第25課)
〔下〕そんなに 寝ないと、体を 壊し かねない = 壊してしまうかもしれない
Vます + かねない 〔赤〕悪いことだけ
このままだと、〜かねない。→(矢印)→ だから、〜たほうがいい。

場面と発話(自作)

  • アルバイトを三つ掛け持ちしている留学生に、日本語学校の先生が声をかける。このままだと、体を壊しかねませんよ。少し減らせないか考えてみませんか。
  • グループの発表の前日、資料の数字が一か所違っているのに気づいた学生が、ほかのメンバーに連絡する。この数字のままだと、聞いている人に誤解されかねないから、直しておくね。
  • 大雪の予報が出た日、会社の総務の担当者が社員にメールを送る。帰りの電車が止まりかねませんので、きょうは早めの退社をお願いします。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「よくない習慣」のカード(夜更かし・食事を抜く・パスワードを使い回す・書類の確認をしない)を見せ、「〜と、〜かねない」で結果を言わせる。言えたら「だから〜たほうがいい」を一文足させる。途中で「合格しかねない」のようなよい結果のカードを一枚混ぜ、使えないことに学生自身が気づくかを見る。

  1. 口頭まず形の速答: 教師が辞書形「壊す・起こす・なる・遅れる・忘れる」を言い、学生が「壊しかねない・起こしかねない…」と言う。次に行動のカードで結果を言わせる。キューは「夜更かし」→「夜更かしすると、寝坊しかねない」、「自転車でスマートフォン」→「事故を起こしかねない」、「パスワードの使い回し」→「情報を盗まれかねない」、「確認しないで送る」→「間違えたまま送りかねない」。全体→個人の順で、最後に「合格する」のカードを一枚混ぜて、言えないことに気づくかを見る。
  2. ペアAは計画のカード(徹夜で発表の準備をする・期限の前の日に申し込む・雨の日に傘を差して自転車に乗る)を自分の予定として読み上げる。Bは「このままだと、〜かねないよ。〜たほうがいいよ」と注意する。Aは「でも、〜から大丈夫」と一回だけ言い返し、Bは別の悪い結果を挙げてもう一度助言する。3枚ごとに役を替える。
  3. 産出「心配性の先輩ロールプレイ」: 学生が自分の本当の予定(週末の旅行・試験前の過ごし方・アルバイトの増やし方)を話し、相手は心配性の先輩の役で「〜のことだから」「〜かねない」「〜たほうがいい」を使って助言する。終わったら、言われた側が助言を受けるか断るかを一言で返す。教師は、よい結果に使っていないか、前がます形になっているか、断る場面で「かねません」と言っていないかを見る。

つまずきと手当て

  • よい結果に使う(例:毎日練習すれば、合格しかねない)。文の形は正しくても意味が合わないので、「合格できるかもしれない」「合格する可能性がある」に直す。「かねない」の横に書いた「悪いことだけ」に戻って確かめる
  • 前を辞書形やない形にする(*なるかねない・*ならないかねない)。前はます形(なり・起こし・壊し)で、「かねる」と同じ付き方だと板書で示す
  • 「かねる」と取り違えて、断るつもりで「お引き受けしかねません」と言う。「引き受けてしまうかもしれない」という逆の意味に聞こえるので、断るときは「かねます」、心配を言うときは「かねない」と、導入の2行に戻って言い直させる

既習の文型との違い

  • 〜かねる(第25課)「〜かねる」は話し手の立場や事情から「することができない」という意味で、断るときの丁寧な言い方です(「お引き受けしかねます」)。「〜かねない」はその否定の形ですが、意味は「悪いことが起こってしまうかもしれない」になり、向きが逆です。断るつもりで「お引き受けしかねません」と言うと、「引き受けてしまうかもしれない」に聞こえてしまいます。
  • 〜かもしれません(初級Ⅱ第33課)「〜かもしれない」はよいことにも悪いことにも使え、話し手の気持ちは中立です(「合格するかもしれない」)。「〜かねない」は悪い結果だけで、それを心配し、相手に注意する気持ちがこもります。よい結果に「合格しかねない」と言う学生には、「かもしれない」に戻して言い直させます。
関連する文型

学習項目 4 〜得る(得る)

意味・はたらき学習項目 4

そういうことが起こる可能性がある・そうすることが可能だという意味で、動詞のます形に付けて使います。「あり得る」「起こり得る」「考え得る」の形でよく出ます。「〜かねない」「〜おそれがある」と違って、よいことにも悪いことにも使え、話し手の心配よりも「理屈の上では、その可能性は否定できない」という落ち着いた判断を表します。そのため、説明書・論文・ニュース・会議の説明のような硬い文章や改まった話によく出ます。否定の「〜得ない」は「その可能性はない」という意味で、特に「あり得ない」は会話でも「信じられない」の気持ちでよく使われます。課の題の「あり得るのだ」も、予想していなかったことでも起こる可能性は否定できない、という言い方です。

接続

Vます形(「ます」を取った形)+得る。読みに注意: 辞書形(名詞の前も同じ)は「うる」が基本(起こりうる・考えうる・しうる)。「ありえる」「起こりえる」のように「える」も広く使われる語はあるが、どの動詞でも両方言えるわけではない。否定は「えない」だけ(起こりえない)、ます形は「えます」(起こりえます)、て形・た形も「えて」「えた」

形
Vます 得る(ありうる・起こりうる・考えうる。「ありえる」「起こりえる」も使われる)Vます 得ない(ありえない・起こりえない。読みは「えない」だけ)Vます 得ます/得た(ありえます・起こりえた。読みは「え」)Vます 得る+N(起こりうる問題・考えうる方法)

導入

  • 読みの表を先に作る「あり得る」を板書し、学生に読ませる。「ありうる」「ありえる」の両方が出たら、この語ではどちらも使われると伝え、表を作る。辞書形の欄には「うる(あり得る・起こり得るは える も)」、否定の欄には「えない(×うない)」、ます形の欄には「えます(×うます)」と書き、「う」と読めるのは辞書形だけで、基本は「うる」だと確かめる。最後に、第25課の「〜ざるを得ない」の「得」も「え」と読むことを思い出させる。
  • 説明書の文で教師が作った薬の説明書の一文(「まれに、眠気などの症状が起こり得ます」)を読ませ、「必ず起こりますか」「絶対に起こりませんか」と聞く。どちらでもなく「起こる可能性はある」ことを確かめ、それを友達に伝える言い方「この薬、眠くなることもあるんだって」に言い換えさせる。

板書案

Vます + 得る(うる。あり得る・起こり得るは える も)
読みの表:辞書形 うる(一部 える も)|ない形 えない|ます形 えます|た形 えた
まれに、眠気が 起こり得ます。= 起こる可能性がある
〔赤〕よいことにも 悪いことにも
〔青〕許可を 得る(える)= 手に入れる ← 名詞+を の後ろ

場面と発話(自作)

  • 引っ越しの見積もりの説明で、業者の担当者が客に話す。当日の道路の状況によっては、到着が少し遅れることもあり得ます。
  • ゼミで、学生が自分の調査の問題点を説明する。回答した人が少ないため、結果に偏りが出ることも十分あり得ます。
  • 財布を落とした留学生が、すぐに交番で見つかったと聞いて、友達に言う。落とした財布が一時間で戻ってくるなんて、国ではありえないよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

読みの練習を先に速く回す(教師が「起こり得る・否定」「あり得る・ます形」「考え得る・名詞の前」と言い、学生が読みを付けて言う)。そのあと、教師が作った説明書・お知らせの文を3つ読ませ、「〜得る」を含む文を会話の「〜こともある」「〜かもしれない」に言い換えさせる。

  1. 口頭読みの速答を先に回す。教師が動詞と形を言い、学生が読みを付けて言う。キューは「ある・否定」→「ありえない」、「起こる・ます形」→「起こりえます」、「考える・名詞の前(方法)」→「考えうる方法」、「予想する・辞書形」→「予想しうる」。全体で言ってから個人に当て、「う」で読んだら表に戻る。
  2. ペア本物の薬の説明書や家電の取扱説明書の注意の欄をコピーして配る(商品名は隠す)。教師が作った文のカードでもよい。Aは「〜得る」を含む文を読み上げ、Bはそれを友達に伝える会話の文(「〜こともあるんだって」「〜かもしれないって」)に言い換える。Aは言い換えが元の文と同じ意味かを確かめる。1文ごとに役を替える。
  3. 産出「起こり得るリスト」: クラスの旅行やイベントの計画を一つ決め、当日に起こり得ること(よいことも悪いことも)を3つ「〜こともあり得る」で書き、それぞれに対策を一文添える。最後に一つだけ「〜なんて、ありえない」で、絶対に起こらないと思うことを書いて笑いで締める。教師は読み、人の能力に使っていないか、よいことにも使えているかを見る。

つまずきと手当て

  • 否定やます形を「う」で読む(*ありうない・*ありうます)。「う」と読めるのは辞書形(名詞の前)だけで、ほかの形はすべて「え」の段になる、と読みの表に戻る
  • 人の能力に使う(例:彼は100メートルを10秒で走り得る)。誤りとまでは言えないが硬く不自然で、人ができることは「走れる」「走ることができる」と可能形で言うのが普通。「〜得る」は物事が起こる可能性や、理屈の上で可能なことに使う、と伝える
  • 「評価を得る」「許可を得る」の「得る(える)=手に入れる」と混ぜる。動詞のます形に付いているときが「可能性」の「得る」、名詞と「を」のあとに来るときは「手に入れる」の意味で、読みは「える」だけ、と2つの文を並べる

既習の文型との違い

  • 〜ざるを得ない(第25課)「〜ざるを得ない」の「得」も「え」と読みますが、意味は「したくないけれど、しないわけにはいかない」で、可能性の話ではありません。形は「Vない形(ない を取る)+ざるを得ない」で、「〜得る」のように、ます形には付きません。「行かざるを得ない」と「行き得る」を並べて、読み・付き方・意味の三つの違いを確かめます。
  • 可能表現(1)(初級Ⅱ第22課)「走れる」「読める」の可能形は、主に人の能力や、その場でできるかどうかを言います。「〜得る」は物事が起こる可能性や、理屈の上で可能なことを言う硬い形です。人の能力を「走り得る」と言う学生には、会話では可能形のほうが自然だと伝えます。
関連する文型

学習項目 5 〜おそれがある

意味・はたらき学習項目 5

初中級の第15課では、天気予報の中で悪いことが起こる可能性があることを言う形として学びました。この課では、同じ形を、ニュース・役所や会社のお知らせ・薬の説明書・注意書きのような公的な文で注意をうながす言い方として広げます。「〜かねない」と同じく悪いことだけに使いますが、「〜かねない」に比べて話し手の気持ちが表に出にくく、客観的に危険を知らせる響きがあります。「〜得る」はよいことにも使える点で違います。読んで意味を取れるだけでなく、自分でお知らせや注意書きを書くときに使え、会話で人に伝えるときは「〜かもしれない」「〜かねない」に言い換えられるようにします。

接続

V辞書形/Vない形+おそれがある、N+の+おそれがある(丁寧には「〜おそれがあります」。「〜おそれもある」「〜おそれは少ない」の形でも使う)

形
V辞書形 おそれがある(感染が広がるおそれがある)Vない おそれがある(期限までに届かないおそれがある)Nの おそれがある(大雨のおそれ・延期のおそれ)〜おそれがありますので、〜てください(お知らせの注意)

導入

  • 同じ内容を3つの文体で「荷物が期限に間に合わないかもしれない」という内容を、友達への会話(「間に合わないかもしれない」)、先輩への助言(「間に合わなくなりかねませんよ」)、会社のお知らせ(「期限までにお届けできないおそれがあります」)の3つで板書する。どれも悪いことの可能性を言っていることを確かめ、硬さの順に並べさせる。
  • お知らせを書く側に回る教師が寮の貼り紙を作るという設定で、「ベランダに物を置くと、強い風で落ちる」という内容を出し、学生に「〜おそれがありますので、〜てください」の形で一文にさせる。読むだけの形から、注意をうながすために書く形へ広げる。

板書案

V辞書形/Vない/Nの + おそれがある
会話:間に合わないかもしれない
助言:間に合わなくなりかねませんよ
お知らせ:期限までにお届けできないおそれがあります
〔矢印〕やわらかい → かたい  〔赤〕悪いことだけ

場面と発話(自作)

  • 台風が近づいている日、マンションの管理会社が住人に貼り紙で知らせる。強風で物が飛ばされるおそれがありますので、ベランダの物は室内に入れてください。
  • 薬局で、薬剤師が客に飲み方を説明する。お酒と一緒に飲むと、効きすぎるおそれがありますので、お気をつけください。
  • ゼミの発表会の案内メールで、担当の学生が参加者に知らせる。当日は会場の都合で、開始が遅れるおそれがあります。ご了承ください。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

危険のカード(強風・大雨・凍った道・期限切れ・個人情報の流出)を引かせ、貼り紙やメールの一文を「〜おそれがありますので、〜てください」で書かせる。書けたら、同じ内容を隣の学生に会話で伝える形(「〜かもしれないから、〜たほうがいいよ」「〜かねないよ」)に言い換えさせる。

  1. 口頭危険のカードを見せ、学生がお知らせの文で言う。キューは「強風」→「強風のおそれがあります」、「道が凍る」→「道が凍るおそれがありますので、気をつけてください」、「荷物が届かない」→「期限までに届かないおそれがあります」、「個人情報が流れる」→「個人情報が流れるおそれがあります」。全体→個人。慣れたら教師が会話の文(「遅れるかもしれないよ」)を言い、学生がお知らせの文に言い直す。
  2. ペアAはお知らせを書く係、Bはそれを読んで友達に伝える係になる。Aが場面カード(台風の日のマンション・薬局・ゼミの発表会)を見て「〜おそれがありますので、〜てください」の一文を書き、Bは同じ内容を「〜かもしれないから、〜たほうがいいって」と会話で言い直す。意味がずれていないかを二人で確かめ、場面ごとに係を替える。
  3. 産出「寮の貼り紙づくり」: 3人ほどのグループで、寮や教室に貼るお知らせを1枚作る。危険を知らせる文(〜おそれがあります)・起こり得ることを言う文(〜こともあり得ます)・お願いの文の3文以上を入れる。できたら別のグループが読み、友達に伝える会話の言い方に直して発表する。教師は、Nのあとの「の」、ます形に付けていないか、よいことに使っていないかを見る。

つまずきと手当て

  • よいことに使う(例:来年は給料が上がるおそれがある)。文の形は正しくても意味が合わないので、「上がる見込みだ」「上がる可能性がある」に直す。よいこと・悪いことのどちらにも使えるのは「〜得る」だ、と表で確かめる
  • 名詞のあとの「の」を落とす、ます形に付ける(*大雨おそれ・*遅れますおそれがあります)。「おそれ」は名詞なので、前は名詞を説明する形(辞書形・ない形・Nの)になる、と初中級の板書に戻る
  • 友達への助言にそのまま使って、他人ごとに聞こえる(例:そんなに寝ないと、病気になるおそれがあるよ)。誤りではないがニュースのように冷たく響くので、会話の助言では「病気になりかねないよ」「病気になるかもしれないよ」に替えさせる

既習の文型との違い

  • 〜おそれがある(初中級第15課)初中級では天気予報の中で「大雨のおそれがあります」を読み取る形として学びました。この課では、自分でお知らせや注意書きを書く形として使い、さらに「〜かねない」「〜得る」と比べて、悪いことだけか・どちらにも使うか、硬いか・会話向きかで整理します。意味は同じなので、読むだけから書くへ、使い方の幅を広げる回だと伝えます。
  • 〜がちだ(初中級第15課)「〜がちだ」は「冬は風邪をひきがちだ」のように、よくない状態や行動がくり返しよく起こる傾向を言います。「〜おそれがある」は、まだ起きていないことが一回起こる可能性を知らせます。「あしたは雪が降りがちです」と言う学生には、くり返しの傾向かどうかを聞いて、予報なら「降るおそれがあります」に直させます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の言葉は、注意をうながす場面で使う言葉(体を壊す・誤解される・遅れる・感染する・症状・まれに・念のため など)と、硬い文章で可能性を言う言葉(可能性・危険性・場合によっては・予想・効果 など)に分けて板書しておくと、どの形と一緒に使いやすいかを考える材料になります。「〜かねない」「〜おそれがある」と組む言葉は悪い結果の言葉が中心なので、「壊しかねない」「遅れるおそれ」のように、形を付けたかたまりでカードにして練習します。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 壊す(こわす) 「体を壊す」で、無理をして体の調子を悪くし、病気になることを言います。 体を〜・おなかを〜
    毎日夜遅くまでアルバイトをしている友達に。
    そんなに働いたら、体を壊しかねないよ。
  • 誤解する(ごかいする) 人の言葉や気持ちを、本当とは違う意味に取ります。 相手に〜される・意味を〜する
    グループの連絡のメールを送る前に、友達が文面を見せてくれた。
    この書き方だと、怒っていると誤解されかねないから、一言足したほうがいいよ。
  • 寝坊する(ねぼうする) 起きる予定の時間に起きられず、遅くまで寝てしまいます。 〜して遅刻する・よく〜する
    あした早い飛行機に乗る友達が、夜遅くまでゲームをしている。
    そんなに遅くまで起きていたら、寝坊しかねないよ。目覚ましを二つかけておいたら?
  • 締め切り(しめきり) 書類やレポートを出さなければならない、最後の日や時間です。 〜に間に合う・〜を過ぎる・〜ぎりぎり
    レポートをまだ書き始めていない後輩に。
    このままだと、締め切りに間に合わなくなりかねないよ。
  • 念のため(ねんのため) たぶん大丈夫だけれど、もしものときのために何かをする、という気持ちで言います。 〜確認する・〜持っていく
    晴れの予報だが、山に登る友達に。
    山の天気は急に変わり得るから、念のため雨具を持っていったほうがいいよ。
  • 症状(しょうじょう) 病気やけがのときに体に出る、熱・せき・痛みなどの様子です。 〜が出る・〜が重い・〜が軽い
    薬局で、薬剤師が新しい薬の説明をする。
    まれに、頭が痛くなるなどの症状が出るおそれがあります。
  • まれに(まれに) とても少ない回数だけ起こる様子を言います。説明書やお知らせなど、硬い文章でよく使います。 〜起こる・ごく〜
    駅の券売機に貼ってある注意書き。
    この機械は、まれに止まることもあり得ますので、そのときは係員を呼んでください。
  • 可能性(かのうせい) そうなるかもしれない、という見込みのことです。大きい・小さいで言います。 〜がある・〜が高い・〜は低い
    雨の多い季節に、イベントの準備をしている学生たちの会議。
    雨で中止になる可能性もあるから、教室も予約しておきましょう。
  • 夜更かし(よふかし) 夜遅くまで寝ないで起きていることです。 〜する・〜が続く
    試験の前の晩にゲームをすると言っている友達に。
    試験の前の晩に夜更かしすると、本番で眠くなりかねないよ。
  • 掛け持ち(かけもち) 二つ以上の仕事や役目を、同じ時期に一人ですることです。 アルバイトを〜する・サークルを〜する
    日本語学校の先生が、アルバイトを増やしたいという学生と話す。
    アルバイトを三つも掛け持ちしたら、勉強の時間がなくなりかねませんよ。
  • 見かけ(みかけ) 外から見たときの様子です。本当の中身とは違うこともあります。 〜は新しい・〜によらない
    中古の自転車を買おうとしている友達に。
    見かけは新品であるかのようだけど、ブレーキはちゃんと確かめたほうがいいよ。
  • 流行する(りゅうこうする) 病気や服などが、短い間に多くの人に広がります。 風邪が〜する・インフルエンザが〜する
    冬の初めに、学校が学生に出すお知らせ。
    これからインフルエンザが流行するおそれがありますので、手洗いをお願いします。

宿題と次のコマ

宿題は、身近な人(友達・家族・後輩)が計画していることを一つ選び、その人にアドバイスする短いメッセージを書くこと。「〜のことだから」「〜かねない」を必ず使い、「〜たほうがいい」で助言を締める。そのうえで、同じ内容を、寮や会社の貼り紙のような「お知らせ」の文に書き直し、「〜おそれがあります」か「〜こともあり得ます」を使う。会話の文とお知らせの文を並べて提出させ、次のコマの最初に何人かに読ませて、聞いた学生が「どの形が使われていたか」「どちらが硬いか」を言って振り返ります。

よくある質問

  • 第35課の「〜かねない」と「〜おそれがある」はどう使い分けさせればいいですか?

    どちらも悪い結果の可能性だけに使う点は同じです。「〜かねない」はます形に付き、話し手の心配がこもるので、友達や後輩への助言に向きます。「〜おそれがある」は辞書形・ない形・Nのに付き、気持ちが表に出にくいので、お知らせ・説明書・ニュースで客観的に危険を知らせるときに使います。同じ内容を会話・助言・お知らせの3つの文体で書き分けさせると、違いがはっきりします。

  • 「起こり得る」は「うる」と「える」のどちらで教えればいいですか?

    辞書形(名詞の前の形も同じ)は「うる」を基本に示し、「あり得る」「起こり得る」のようによく使う語では「える」も広く使われると伝えます。「し得る」は「しうる」、「考え得る」は「かんがえうる」が普通で、どの動詞でも両方言えるわけではありません。否定は「えない」、ます形は「えます」、た形は「えた」で、「う」と読むのは辞書形だけです。最初に読みの表を板書し、速答で口に慣らしてから意味の練習に入ると、読みで止まりません。

  • 「〜かねない」と第25課の「〜かねる」を学習者が混同します。どう整理しますか?

    「〜かねる」は話し手の立場や事情で「できない」、「〜かねない」は悪いことが「起こってしまうかもしれない」で、否定の形なのに意味の向きが逆です。導入で上下2行に並べ、「その人はしますか」と聞いて確かめます。断るときに「お引き受けしかねません」と言う誤りが出たら、この2行に戻って言い直させます。

  • 「〜ことだから」はどんな人について使えますか?

    話し手も聞き手もよく知っている人で、その人柄やいつもの様子が予測の根拠になるときに使います。初めて会った人や、話し手しか知らない人に使うと、根拠が伝わらず不自然です。後ろは「だろう」「に違いない」のような予測や判断が多く、よい予測にも悪い予測にも使えます。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×3コマが目安です。1コマ目は導入と「〜かのようだ」「〜ことだから」、2コマ目は「〜かねない」と「〜得る」「〜おそれがある」、3コマ目は注意をうながすアドバイスの活動と、同じ内容をお知らせの文に書き直す練習、まとめです。読みの練習が早く済むクラスなら、2コマ目の残りで目標の活動を始めてかまいません。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。