日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 中級 第29課「絶対に欲しい物は自分の手にとって確かめてからでないと買わない」の教案

『学ぼう!にほんご 中級』

手続きや作業を順番に説明しながら、これから同じことをする人にアドバイスする課です。5つの形は、先に済ませなければ次に進めないことを言う「〜からでないと」「〜ないことには」、どちらを選んでも共通することを言う「〜にしろ」、そして同じ「次第」でも意味が違う「N次第(〜によって決まる)」と「Vます次第(〜したらすぐ)」の3組に分けると整理しやすくなります。「〜からでないと」と「〜ないことには」はどちらも後ろが否定になる点で近いので、順番を言うのか、必要な前提を言うのかで比べさせます。二つの「次第」は、前に来る形と後ろへのつながり方で見分けられるようにしておくと、お知らせやメールの読み取りにもそのまま役立ちます。最後に、生活の手続きの手順を説明して助言するロールプレイで、5つの形をまとめて使わせます。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目5時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 手続きや作業の手順を、「〜てからでないと」で前後の条件をはっきりさせながら順番に説明できる
  • 「〜にしろ〜にしろ」で、相手がどちらを選んでも共通してすべきことを示し、迷っている人に助言できる
  • 「〜ないことには」「N次第」で、何がそろえば先に進めるか、何によって結果が変わるかを相手に伝えられる
  • 「N次第」と「Vます次第(〜したらすぐ)」を前の形と後ろのつながり方で見分け、「〜次第、ご連絡します」のような改まった言い方を読み書きできる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(目標の場面)10分教師が「日本に来て、最初にした手続きは何ですか。何から始めましたか」と聞き、学生の答え(住所の届け・携帯電話・銀行の口座など)を黒板に矢印でつないで手順にする。「この順番を間違えたらどうなりますか」と聞き、順番の条件を言う形と、来たばかりの人にアドバイスする形をこの課で学ぶ、と予告する
学習項目1 〜からでないと25分「〜てから」との違いから入る。手順の絵カードを1枚抜いて「これをしないと?」と聞き、「〜てからでないと〜ない」で、順番を守らないと先に進めないことを言わせる。後ろが否定・不可になることを赤で板書する
学習項目2 〜にしろ25分分かれ道の図で、「AにしろBにしろ」のあとが一つにまとまることを見せる。どちらを選んでも共通する手順を言う使い方と、「たとえ〜にしろ」(〜としても)の使い方を順に入れ、「〜にしても」「〜にせよ」との硬さの違いを添える
学習項目3 〜ことには(「〜からでないと」と比べる)30分「〜ないことには、〜わからない/始まらない」を、決める前にどうしても必要なことの例で導入する。学習項目1の文と言い換えさせ、形容詞・名詞の状態には「〜ないことには」しか使えないことから、順番と前提の違いを整理する
学習項目4 〜次第20分天気で行き先が変わる予定表で「行き先は天気次第です」「天気次第で決めます」を導入し、「次第では」で、ふだんどおりにならない可能性も言わせる
学習項目5 〜次第(時間)(学習項目4と見分ける)25分本屋の注文の場面で「届き次第、お知らせします」を導入する。左右2列の表で、前の形(決め手の名詞か、ます形の語幹・動作の名詞か)と後ろのつながり方(「で」か「、」か)を学生に見つけさせる
目標の活動(手順を説明して助言するロールプレイ)30分一人が日本に来たばかりの人、一人が先輩の役になり、アパートを借りる・アルバイトを始める・中古の自転車を買うなどの手順を説明する。先輩役は5つの形のうち3つ以上を使い、後輩役は「もし〜だったら、どうすればいいですか」と質問を一つ返す
まとめ15分黒板に「順番・前提」「どちらでも」「決め手」「すぐ」の4つの欄を作り、5つの形を置き直す。後ろが否定になる形、改まった場面で使う形にしるしを付けて一覧にして残す

学習項目 1 〜からでないと

意味・はたらき学習項目 1

「AてからでないとB」で、Aを先に済ませなければ、Bはできない・しない・してはいけないという順番の条件を表します。後ろには「〜ない」「〜できない」「〜てはいけない」「だめだ」「困る」のような否定や不可の言い方が来ます。「〜てから」が出来事の順番をそのまま言うだけなのに対し、「〜てからでないと」は、その順番を守らないと困るという決まりや話し手の判断を含むので、手続きの説明や「まずこれをしてください」というアドバイスにそのまま使えます。「〜てからでなければ」も同じ意味で、少し硬い言い方です。会話では後ろを言わずに「上司に確認してからでないと…」と止め、今すぐには答えられないことをやわらかく伝える使い方もよくあります。

接続

Vて+からでないと/からでなければ(時を表す名詞に付いて「10時からでないと」とも言う。後ろは否定・不可の形)

形
Vて からでないと、Vない/Vられない(カードを作ってからでないと、借りられない)Vて からでなければ、〜できない(やや硬い)N(時)から でないと(10時からでないと入れない)Vて からでないと…(後ろを言わずに止め、すぐには答えられないことを伝える)

導入

  • 「〜てから」と比べる「お金を払ってから、品物を受け取ります」と「お金を払ってからでないと、品物は受け取れません」を2行で板書し、「先に品物を受け取ろうとしたら、どうなりますか」と聞く。「だめです」「受け取れません」という答えから、下の文は順番を守らないと先に進めないことを言う形だと確かめ、後ろの「〜ない」「〜られない」を赤で囲む。
  • 手順の絵カードを1枚抜く図書館で本を借りるまでの手順(申込書を書く → 身分証を見せる → 利用カードをもらう → 本を借りる)を絵カードで黒板に並べる。「利用カードをもらう」のカードを外して「これをしないで、本が借りられますか」と聞き、「カードを作ってからでないと、本は借りられません」と言わせる。ほかのカードでも同じように言わせ、手順の説明に使えることを体で覚えさせる。

板書案

Vて + からでないと、〜ない/〜られない
申込書を書く → カードを作る → 本を借りる
カードを作ってからでないと、本は借りられません。
〔赤〕後ろは否定・不可(〜ない/〜られない/〜てはいけない)
〔青〕〜てから=順番だけ 〜てからでないと=順番を守らないと進めない

場面と発話(自作)

  • 日本に来て一年になる留学生が、来たばかりの後輩に銀行の口座の作り方を説明する。区役所で住所の手続きをしてからでないと、口座は作れないから、先に区役所に行ったほうがいいよ。
  • コンビニの店長が、アルバイトを始めたばかりの新人に仕事の順番を説明する。レジは、研修を受けてからでないと、一人で使ってはいけません。最初の一週間は先輩と一緒にお願いします。
  • 取引先から、来週の打ち合わせの日をすぐ決めてほしいと電話で言われた。自分だけでは決められない。申し訳ありません。上司の予定を確認してからでないと、何とも…。確認して、今日中にお返事いたします。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

身近な手続き(図書館で本を借りる・アルバイトを始める・引っ越しする)の手順カードを配り、ペアで「〜てからでないと〜ない」を使って順番の決まりを2つずつ言わせる。そのあと、後輩に言う形(「〜てからでないと〜できないから、先に〜したほうがいいよ」)に広げ、手順の説明をアドバイスにつなげる。

  1. 口頭前後2枚の手順カードをキューにする(区役所で手続きする→口座を作る/研修を受ける→一人でレジを使う/チケットを買う→中に入る/予約する→店に入る)。教師が2枚を並べて見せ、全体で「区役所で手続きしてからでないと、口座は作れません」と言わせてから個人へ。慣れたら「可能」「禁止」の印のカードを足し、後ろを「〜られない」「〜てはいけない」に言い分けさせる。
  2. ペア情報差で行う。Aは手順がすべて書いてある表、Bは順番が抜けている表を持つ。Bが「〜たいんですが、すぐできますか」と聞き、Aは「いいえ、〜てからでないと、〜できません」と答え、Bは聞いた順番を表に書き込む。3つ聞いたら表を取り替えて役を交替する。
  3. 産出活動「わが家・わが国の順番ルール紹介」。自分の家・国・アルバイト先の「これをしてからでないと、〜してはいけない」という決まりを3つ考えてクラスに紹介し、聞いた人が一つ質問する。教師は、前がて形になっているか、後ろが否定・不可になっているか、ただの日課の順番ではなく決まりや判断として言えているかを見て直す。

つまずきと手当て

  • 後ろを肯定にしてしまう(「*書類を出してからでないと、受け付けます」)。「〜てからでないと」の後ろは「〜ない」「〜できない」のような否定や不可の形。言いたいことが「出したら受け付ける」なら「書類を出してから、受け付けます」にする、と2つの文を並べて確かめる
  • て形を落として辞書形に付ける(「*申し込むからでないと、使えない」)。前は必ず「Vて」、と板書で形を固定する
  • ただの順番に使って、こだわりの強い言い方に聞こえる。「朝ご飯を食べてから学校に行く」で済むところを「食べてからでないと行かない」と言うと、そうしないと気がすまない人の話になる。また、目上の人への助言で「〜てからでないとだめですよ」は強く聞こえるので、「〜てからのほうがいいと思います」とやわらげる

既習の文型との違い

  • 〜てから、…(初級Ⅰ第11課)「〜てから」は二つの出来事の順番を言うだけで、後ろは肯定でも否定でもかまいません。「〜てからでないと」は、その順番を守らないと後ろができないことを言い、後ろは否定や不可の形になります。学習者は「*書類を出してからでないと、受け付けます」と肯定を続けやすいので、二つの文を上下に並べて後ろの形を比べさせます。
  • 〜なければなりません(初級Ⅰ第12課)「先に区役所に行かなければなりません」は、することの義務だけを言います。「区役所に行ってからでないと、口座は作れません」は、なぜその順番が必要なのかまで一文で伝えられます。手順の説明では「先に〜なければなりません。〜てからでないと、〜できませんから」と二つを組み合わせさせると、アドバイスに理由が付きます。
関連する文型

学習項目 2 〜にしろ

意味・はたらき学習項目 2

使い方は二つあります。一つは「AにしろBにしろ」の形で、AでもBでも、どちらの場合でも後ろのことは変わらないことを表します。AとBには、出席・欠席、賛成・反対、電車・バスのように対になる2つが来ます。「何にしろ」「どちらにしろ」「いずれにしろ」のように疑問詞に付けて、どんな場合でも、と話をまとめることもできます。もう一つは「(たとえ)Aにしろ」の形で、Aを仮に、または事実として認めたうえで、それでも後ろのことは変わらないと言う使い方で、「〜としても」に近い意味です。後ろには話し手の判断・意見・依頼・すべきことが来やすく、手順の説明では「どちらを選ぶにしろ、まず〜」の形で、選ぶ前に共通してすることを示すのに便利です。やや硬い形で、会話では「〜にしても」、文章では「〜にせよ」もよく使われます。

接続

V・い形の普通形/な形・N(「だ」は付けない)+にしろ(「〜にしろ〜にしろ」「疑問詞+にしろ」「たとえ〜にしろ」の形で使う)

形
Vる にしろ Vない にしろ(買うにしろ買わないにしろ)N にしろ N にしろ(電車にしろバスにしろ)何に/どちらに/いずれに しろたとえ 〜にしろ(たとえ冗談にしろ・たとえ忙しかったにしろ)

導入

  • 分かれ道の図黒板にY字の分かれ道を描き、左の道に「出席する」、右の道に「欠席する」と書いて、2本の道の先を一つの箱「表に丸を付ける」にまとめる。教師が「来週の研修会、出席するにしろ欠席するにしろ、この表に丸を付けてください」と言い、「欠席する人も丸を付けますか」と聞いて、どちらの場合でも後ろは同じだと確かめる。
  • 「たとえ〜にしろ」を「〜としても」と並べる「たとえ冗談だとしても、人の失敗を笑うのはよくない」と「たとえ冗談にしろ、人の失敗を笑うのはよくない」を並べ、意味は同じで、下のほうが少し硬いことを確かめる。名詞の後ろには「だ」を付けないことを赤で書き、「〜にしても」「〜にせよ」も同じ仲間として横に並べておく。

板書案

AにしろBにしろ、〜(どちらでも後ろは同じ)
〔分かれ道の図〕出席する/欠席する → 表に丸を付ける
出席するにしろ欠席するにしろ、この表に丸を付けてください。
たとえ N/な形 にしろ(〔赤〕「だ」は付けない)
〔青〕会話 〜にしても → 〜にしろ → 文章 〜にせよ

場面と発話(自作)

  • 卒業後に進学するか就職するか迷っている留学生に、担任の先生がアドバイスする。進学するにしろ就職するにしろ、まず日本語の試験の申し込みは済ませておいたほうがいいですよ。
  • 来月引っ越す同僚が、業者に頼むか自分で運ぶか迷っている。昼休みに話す。業者に頼むにしろ自分で運ぶにしろ、大家さんには早めに伝えておいたほうがいいですよ。
  • 電車の遅れで会議に30分遅れてきた後輩に、先輩があとで注意する。たとえ電車が遅れたにしろ、遅れると分かった時点で連絡はできたはずだよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

対になるカード(出席する/欠席する・買う/借りる・電車/バス・賛成/反対)を引かせ、「AにしろBにしろ、〜」で、どちらの場合でもすることを言わせる。慣れたら、相手が迷っている場面(旅行・アルバイト・引っ越し)を決めて、アドバイスの一文にさせる。最後に、話し合いの終わりを「いずれにしろ、〜」でまとめる練習をする。

  1. 口頭対になる語と、どちらでもすることをキューにする(電車/バス → 駅までは歩く、買う/借りる → 使い方を聞いておく、賛成/反対 → 理由を言う、今日/明日 → 先に電話する)。教師がカードを出し、全体で「電車にしろバスにしろ、駅までは歩かなければなりません」と言わせてから個人へ。最後に、前の学習者の文を受けて「いずれにしろ、〜」でまとめる言い方も言わせる。
  2. ペア迷い相談の形で行う。Aは迷いのカード(国に帰るか日本で働くか/自転車を新しく買うか中古にするか/寮に住むかアパートを借りるか)を持って「〜か〜か、迷っているんです」と言う。Bは「〜にしろ〜にしろ、まず〜たほうがいいですよ」と、どちらでも共通してすることを助言し、Aは「そうですね。いずれにしろ、〜ます」で受ける。2枚したら交替する。
  3. 産出活動「どっちでも先輩アドバイス」。来年この学校に入る後輩に向けて、選ぶ前に共通してしておくべきことを「AにしろBにしろ、〜」で3つ書き、一つをクラスで発表する。教師は、AとBが同じ種類の対になっているか、名詞・な形に「だ」を付けていないか、後ろが助言や判断になっているかを見て直す。

つまずきと手当て

  • 対になっていない2つを並べて、意味が通らない(「買うにしろ食べるにしろ」)。AとBは、どちらか一方を選ぶような、同じ種類の2つにする。迷ったら「AかBか、どちらでも」と言い換えて意味が通るかを確かめさせる
  • 名詞やな形容詞に「だ」を付ける(「*学生だにしろ」「*便利だにしろ」)。「学生にしろ」「便利にしろ」のように直接付ける。硬い文章では「学生であるにしろ」とも言う
  • 「する」の命令形の「〜にしろ」(「静かにしろ」「好きにしろ」)と取り違える。こちらはとても強く乱暴な命令で、使う場面はほとんどない。聞いて意味が分かればよい、と区別して見せる
  • 友達との会話で使って、少し硬く聞こえる。誤りではないが、くだけた会話では「〜にしても」や「〜でも〜でも」のほうが自然なことが多い

既習の文型との違い

  • 〜としても…(初中級第12課)「たとえ冗談だとしても」と「たとえ冗談にしろ」はほぼ同じ意味で、「〜にしろ」のほうが少し硬い言い方です。形の違いは、「〜としても」が「冗談だとしても」と「だ」を残すのに対し、「〜にしろ」は「冗談にしろ」と「だ」を付けない点です。学習者は「*冗談だにしろ」と混ぜやすいので、二つを縦に並べて名詞の後ろを比べさせます。
  • 〜ても、…(初級Ⅰ第19課)「雨が降っても行きます」は一つの場合だけを取り上げる逆接です。「降るにしろ降らないにしろ」は二つの場合を並べて、どちらでも後ろは変わらないと言います。初級の形で言い換えると「降っても降らなくても」になるので、意味が分からない学習者には、まずこの言い換えで確かめさせるとよいでしょう。
関連する文型

学習項目 3 〜ことには

意味・はたらき学習項目 3

この課では「〜ないことには」の形で、Aしなければ(Aでなければ)、Bはできない・始まらないという前提の条件を表します。Aには、物事を先に進めるためにどうしても必要なこと(実際に見る・本人に聞く・お金が集まる・体が元気だ)が来て、後ろには「わからない」「何とも言えない」「始まらない」「〜できない」のような否定的な結果が来ます。「〜なければ」に近いですが、後ろが肯定にならないことと、「まずそれがそろわないと話にならない」と前提を強く押し出す響きがあることが違います。学習項目1の「〜からでないと」とはよく言い換えられますが、「〜からでないと」が順番(先にAを済ませる)を言うのに対し、「〜ないことには」は必要な前提(Aがそろっていること)を言うので、「体が丈夫でないことには」のように形容詞や名詞の状態にも付けられます。なお、「驚いたことには」のように肯定の形に付く「〜ことには」は、気持ちを強める別の使い方で、第21課の「〜ことに」の仲間です。

接続

Vない/い形くない/な形・Nでない+ことには(後ろは否定的な結果)

形
Vない ことには、〜ない(実際に使ってみないことには、よさはわからない)い形くない/な形・Nでない ことには(体が丈夫でないことには、この仕事は続かない)〜ないことには、何とも言えない/始まらない/話にならない本人に聞かないことには…(後ろを言わずに止める)

導入

  • 「まず、これがないと」黒板にかぎのかかったドアの絵を描き、「ドアの向こうでパーティーがあります。でも、かぎがありません」と言う。「かぎがないと、どうなりますか」と聞いて「入れません」「パーティーが始まりません」を引き出し、「かぎを見つけないことには、パーティーは始まらない」と板書する。かぎの絵を「どうしても必要なこと」と書いた箱に入れ、後ろが否定になることを赤で示す。
  • 「〜からでないと」と並べて試す「実際に部屋を見てからでないと、決められない」と「実際に部屋を見ないことには、決められない」を並べ、ほとんど同じ意味だと確かめる。次に「体が丈夫でないことには、この仕事は続かない」を出し、「〜からでないと」に言い換えられるか学生に試させる。言い換えられないことから、「〜からでないと」は順番、「〜ないことには」は必要な前提、と板書でまとめる。

板書案

Vない/い形くない/な形・Nでない + ことには、〜ない
〔かぎの絵〕→ どうしても必要なこと
かぎを見つけないことには、パーティーは始まらない。
〔赤〕後ろ:わからない/決められない/始まらない/何とも言えない
〔青〕〜てからでないと=順番 〜ないことには=前提

場面と発話(自作)

  • 部屋を探している友達が、ネットの写真だけで契約しようとしている。写真だけじゃなくて、実際に部屋を見ないことには、住みやすいかどうかわからないよ。
  • アルバイトを増やして毎晩遅くまで働いている留学生が、先生に相談に来た。先生は体を心配している。まず体が元気でないことには、勉強もアルバイトも続きませんよ。睡眠の時間は削らないでくださいね。
  • 会議で、新しい企画にいくらかかるか聞かれた担当者が答える。業者から見積もりをもらわないことには、正確な金額は申し上げられません。来週までにそろえます。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「決める前にどうしても必要なこと」をペアで考えさせる(引っ越し・就職・高い買い物・旅行の計画)。「〜ないことには、〜わからない/決められない」で一文を作ったら、その文を「〜てからでないと」に言い換えられるかを相手と判定し、言い換えられない文(形容詞・名詞の状態が前に来る文)を黒板に集めて理由を確かめる。

  1. 口頭前提と結果の組をキューにする(実際に見る → わからない/本人に聞く → 何とも言えない/お金が集まる → 始まらない/体が元気だ → 続かない)。教師が2枚を出し、全体で「実際に見ないことには、わかりません」と言わせてから個人へ。次に結果のカードだけを出し、前の前提を学習者に考えさせる。最後に、い形・な形・名詞の前提(丈夫だ・元気だ・学生だ)も混ぜて形を言い分けさせる。
  2. ペア「すぐ決めて」問答。Aは急がせる役で「この部屋、今日契約しましょうよ」「この企画、すぐ始めましょう」と言い、Bは慎重な役で「〜ないことには、〜」と答えて今は決めない。Aが「じゃあ、どうすれば決められますか」と押したら、Bは同じ内容を「〜てからでないと」で言い直す。言い直せなかった文をメモしておき、交替する。
  3. 産出活動「慎重派の買い物会議」。3〜4人でグループの高い買い物(パソコン・自転車・旅行のプラン)を決める話し合いをし、一人一回は「〜ないことには」で決める前に必要な前提を出す。最後に決めた結果と、そのために必要だった前提を発表する。教師は、「ない」を落としていないか、後ろが肯定や意志の文になっていないか、状態の前提(元気でない・丈夫でない)も言えているかを見て直す。

つまずきと手当て

  • 後ろを肯定や意志の文にする(「*実際に見ないことには、買います」)。後ろは「わからない」「できない」「始まらない」のような否定的な結果になる。言いたいのが「見たら買う」なら「実際に見てから買います」にする
  • 「ない」を落として「*見ることには、決められない」と言う。この意味では必ず「〜ないことには」。肯定の形に付く「〜ことには」(「驚いたことには」)は気持ちを強める別の言い方だと区別する
  • 「〜なければ」と何でも置き換えようとする。「雨が降らなければ行きます」のように後ろが肯定の文は「〜ないことには」にできない。「〜なければ」は後ろが何でもよく、「〜ないことには」は後ろが否定的な結果のときだけ、と並べて確かめる

既習の文型との違い

  • 〜ば、…(初級Ⅱ第28課)「見なければ、わからない」は後ろに何が来てもよい条件で、「見なければ、買いません」とも言えます。「〜ないことには」は後ろが否定的な結果や不可能に限られ、「その前提がそろわないと話にならない」という響きが加わります。学習者は「*見ないことには、買います」と肯定の意志を続けやすいので、「〜なければ」の文から言い換えられる文と言い換えられない文を分けさせます。
  • 〜からでないと(この課・学習項目1)「部屋を見てからでないと/見ないことには、決められない」のように、行為が前に来るときはほとんど言い換えられます。違うのは、「〜てからでないと」が先に済ませる順番を言い、「〜ないことには」がそろっていなければならない前提を言う点です。そのため「体が丈夫でないことには」のような状態の前提は、「〜てからでないと」では言えません。
関連する文型

学習項目 4 〜次第

意味・はたらき学習項目 4

「N次第」で、そのNによって後ろのことが決まる・変わることを表します(「〜によって決まる」)。Nには、結果・天気・やり方・努力・相手の返事・値段のような、まだはっきりしていない決め手が来ます。文の終わりで「〜は〜次第だ」、文の途中で「〜次第で、(決まる・変わる・決める)」の形で使い、「〜次第では」は「場合によっては〜こともある」と、ふだんとは違う可能性を言うときに使います。「天気次第では中止になる」のような困る可能性にも、「成績次第では授業料が半分になる」のようなうれしい可能性にも使えます。前に「〜かどうかは」「〜か〜かは」を置いて、何が決まるのかを先に言うことが多い形です。アドバイスでは「上手になるかどうかは練習次第ですよ」のように、結果を左右するのは相手のやり方だと伝える言い方としてよく使われます。

接続

N(決め手になる名詞)+次第だ/次第で/次第では(「〜かどうかは」「〜か〜かは」「疑問詞〜か」を前に置くことが多い)

形
〜かどうかは N次第だ(合格できるかどうかは努力次第だ)N次第で 決まる/変わる/決める(値段次第で決める)N次第では(天気次第では中止になることもある)どれだけ〜か次第だ(どれだけ練習するか次第だ)

導入

  • 天気で変わる予定表週末の遠足の予定表を板書し、「晴れ → 山に登る」「雨 → 美術館に行く」と2本の矢印を書く。「どこに行くかは、何で決まりますか」と聞いて「天気です」を引き出し、「行き先は天気次第です」「天気次第で、行き先を決めます」と2つの形を書く。「次第」の前の言葉が決め手、後ろが決まること、と矢印で示す。
  • 「次第では」でふだんと違う可能性を足す同じ予定表に「台風 → 中止」の矢印を小さく足し、「天気次第では、中止になることもあります」と言う。続けて奨学金の案内の紙を見せ、「成績次第では、授業料が半分になることもあります」と言って、うれしい可能性にも使えることを確かめる。ふだんとは違う、場合によっては起こる可能性を言うときに「は」が付くと整理し、お知らせの文によく出る形として読み方も練習する。

板書案

〜かどうかは + N次第だ
N次第で + 決まる/変わる/決める
〔予定表〕晴れ → 山 雨 → 美術館 台風 → 中止
行き先は天気次第です。/天気次第で、行き先を決めます。
天気次第では、中止になることもあります。/成績次第では、授業料が半分になります。〔赤〕では=場合によっては(よいことにも困ることにも)

場面と発話(自作)

  • 会話が上手になる方法を聞きに来た学生に、日本語の先生がアドバイスする。上手になるかどうかは、授業の外でどれだけ日本語を話すか次第ですよ。
  • 壊れたパソコンを持ってきた客に、修理店の店員が説明する。壊れ方次第で修理代が変わりますので、まず中を見せていただけますか。
  • 島へのツアーの前日、旅行会社の担当者が参加者に説明する。当日の天気次第では、船の時間を変更することがありますので、朝7時にメールをご確認ください。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「決め手」のカード(天気・値段・試験の結果・相手の返事・体調)と、「決まること」のカード(行き先・買うかどうか・進路・出発の時間)を組み合わせ、「〜かどうかはN次第です」と「N次第で〜」の2つの形で言わせる。最後に同じ組み合わせで「N次第では、〜こともあります」を一文足させ、ふだんとは違う可能性(よいことでも困ることでもよい)も伝える練習にする。

  1. 口頭「決まること」と「決め手」の組をキューにする(行き先/天気、修理代/壊れ方、進路/試験の結果、出発の時間/道の込み具合、給料/経験)。教師がカードを出し、「行き先は天気次第です」→「天気次第で行き先を決めます」→「天気次第では中止になることもあります」の3つの形に順に変えて、全体・個人で言わせる。
  2. ペア店員と客で行う。客は店のカード(修理店・引っ越し業者・写真の店)を見て「〜はいくらですか/いつできますか」と聞き、店員は「〜次第で変わります」と答える。客が「たとえば、〜だったら?」と具体的に聞き返し、店員は「〜次第では、〜こともあります」で、ふだんと違う可能性(安くなる・高くなる・早くできる など)も一つ伝える。2回したら交替する。
  3. 産出活動「上達は○○次第 ひとことアドバイス」。自分の経験から、日本語・スポーツ・料理などが上手になるかどうかを左右するものを「〜かどうかは〜次第です」で言い、理由を1〜2文添えて発表する。教師は、「次第」の前が決め手になる名詞になっているか、後ろが「合格した」のような決まった結果の文になっていないか、「次第で」と「次第では」を使い分けているかを見て直す。

つまずきと手当て

  • 後ろに、もう決まった一つの結果を言う(「*相手の返事次第で、旅行に行った」)。「次第」は、まだどちらにもなりうることを言う形なので、もう決まったことなら「相手の返事を聞いて、旅行に行くことにした」のように言う。「次第で」の後ろは「決まる・変わる・決める」のような言葉にする、と確かめる
  • 「次第で」と「次第では」を区別しない。「次第で」はふつうに決まること、「次第では」は場合によっては起こる、ふだんとは違うこと(困ることにも、うれしいことにも使う)。予定表の矢印で、ふだんの道と、ときどき起こる道を描き分けて見せる
  • 学習項目5の時間の「次第」と取り違える。「到着」「決定」のように動作を表す名詞に付いて後ろが「、」でつながれば「〜したらすぐ」の意味になる。前の名詞が決め手か動作か、後ろが「で」か「、」かで見分けさせる
  • 副詞の「次第に」(=だんだん)と同じものだと思う。「次第に寒くなる」は意味も使い方も別の言葉だと一言添える

既習の文型との違い

  • 〜に応じて…(初中級第19課)「人数に応じて部屋を変える」は、相手の変化に合わせて後ろも変える、という対応を言う形です。「部屋は人数次第で決まる」は、何が決め手になるかを言う形で、合わせて変えるという意味は前に出ません。「〜に応じて」は料金・レベルなど段階のある語と、「次第」は天気・結果・やり方のようにまだ分からない語と結びつきやすい、と例を並べて見せます。
関連する文型

学習項目 5 〜次第(時間)

意味・はたらき学習項目 5

「Vます形の語幹+次第」で、Aしたらすぐ(Bする)ことを表します。Aには、これから起こると分かっていて話し手が待っていること(届く・決まる・終わる・分かる・そろう)が来て、後ろには「連絡します」「お知らせください」「出発します」のような話し手の意志や相手への依頼が来ます。改まった言い方で、仕事の電話やメール、お店や学校のお知らせによく出ます。「到着・完成・決定・確認」のような動作を表す漢語の名詞にも直接付き、「到着次第」のようになります。「〜たらすぐ」と違い、過去に起こった出来事を「〜したらすぐ〜した」と言うのには使いません。手順の説明では「書類がそろい次第、次の手続きに進みます」のように、一つが終わったらすぐ次へ、という流れをはっきり示せます。学習項目4の「N次第」とは、前の形(決め手の名詞か、ます形の語幹・動作の名詞か)と、後ろへのつながり方(「で」か「、」か)で見分けます。

接続

Vます(ます形の語幹)/動作を表す漢語の名詞+次第(来る → 来(き)次第、する動詞 → 確認し次第・確認次第。後ろは意志・依頼の文)

形
Vます 次第(届き次第・分かり次第・終わり次第)動作の名詞 次第(到着次第・決定次第・完成次第)〜次第、ご連絡いたします/お知らせください準備ができ次第、〜(でき次第)

導入

  • 電話の伝言で教師が本屋の店員の役で、「ご注文の本は、まだ届いていません。届き次第、メールでお知らせします」と言う。「店の人はいつメールしますか」「本が届いたら、すぐです」と確かめ、「届いたらすぐ = 届き次第」と板書して、ます形の語幹に付くことを示す。改まった店や会社の言い方だと一言添える。
  • 二つの「次第」を表で見分ける黒板の左に「天気次第で」「結果次第で」「値段次第では」、右に「到着次第、」「決まり次第、」「終わり次第、」を書き、学生に違いを探させる。前の言葉(決め手の名詞か、動作の語幹・名詞か)と、後ろの「で」と「、」の違いを見つけさせ、左は「〜によって決まる」、右は「〜したらすぐ」と見出しを付ける。

板書案

Vます + 次第、〜します/〜てください
届きます → 届き次第、メールでお知らせします。
動作の名詞 + 次第(到着次第・決定次第・完成次第)
〔左〕天気次第で(〜によって決まる) 〔右〕到着次第、(〜したらすぐ)
〔赤〕後ろはこれからの意志・依頼 過去の出来事には使わない

場面と発話(自作)

  • 取引先から打ち合わせの日程を聞かれた担当者が、電話で答える。まだ日程は決まっていない。日程が決まり次第、こちらからメールでお知らせいたします。
  • 奨学金の書類を出しに来た留学生に、学校の事務の人が説明する。書類が一枚足りない。書類がそろい次第、手続きを始めますので、残りの一枚は来週までに持ってきてください。
  • 空港まで迎えに来てくれる友達に、飛行機に乗る前の旅行者がメッセージを送る。到着次第、連絡します。荷物が多いので、出口の前で待っていてもらえますか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

申し込みから結果の通知までの流れ図(申し込み → 書類の確認 → 面接 → 結果の通知)を見せ、担当者の役で、各段階を「〜次第、〜します」でつないで流れを説明させる。次に、同じ内容を友達に話す形「〜たらすぐ〜するね」に言い換えさせ、硬さの違いを確かめる。最後に左右2列の表に戻り、自分で作った文がどちらの「次第」かを言わせる。

  1. 口頭ます形の動詞と後ろの行動をキューにする(届きます/連絡します、決まります/知らせます、終わります/電話します、そろいます/出発します)。教師がカードを出し、全体で「届き次第、ご連絡します」と言わせてから個人へ。次に動作の名詞(到着・確認・完成)のカードに替え、最後に「会議が終わったらすぐ電話します」のような文を出して「次第」に言い換えさせる。
  2. ペア電話の受付で行う。Aは客の役で「〜さんはいらっしゃいますか」「注文した品物はいつ届きますか」と聞き、Bは会社の受付や店員の役で「〜次第、〜いたします」と答える。Aは伝言メモに「いつ・だれが・何をするか」を書き取り、Bに読み上げて合っているか確かめる。3回したら交替する。
  3. 産出活動「次第、ご連絡しますメール」。係の役になり、イベントの参加・荷物の受け取り・申し込みの結果などについてのお知らせメールを書き、「N次第」と「Vます次第」を一つずつ入れる。ペアで交換し、相手のメールの二つの「次第」がどちらの意味かを言い当てる。教師は、ます形の語幹に付いているか、後ろが意志や依頼になっているか、友達あての文に使って硬すぎていないかを見て直す。

つまずきと手当て

  • 過去の出来事や、自分の意志と関係なく起こったことを後ろに置く(「*駅に着き次第、雨が降ってきた」)。この形の後ろは、これからする意志や依頼。過去のことなら「駅に着いたとたん」「駅に着くとすぐ」にする
  • 辞書形やた形に付ける(「*届く次第、お知らせします」「*届いた次第、お知らせします」)。前は必ずます形の語幹(「届き次第」)。なお「確認のためにご連絡した次第です」の「〜た次第です」は、「こういうわけです」と事情を説明する別の言い方で、意味が違う
  • 友達との会話で使って、硬く聞こえる。誤りではないが、くだけた会話では「着いたらすぐ連絡するね」のほうが自然。改まったメールや電話、お知らせで使う形だと場面で区別させる

既習の文型との違い

  • 〜次第…(初中級第11課)同じ「Vます次第」で、初中級ではお知らせを読み取るための形として学んでいます。この課では、自分が担当者として話したり書いたりする側に回り、「書類がそろい次第、次の手続きに進みます」のように手順の流れを説明するのに使います。前に学んだお知らせの読み取りを思い出させてから、自分の文を作らせるとつながります。
  • 〜たとたん…(初中級第17課)「駅に着いたとたん、雨が降ってきた」は、過去に起こった思いがけないことを言う形で、後ろは話し手の意志ではありません。「駅に着き次第、連絡します」はこれからの予定で、後ろは意志や依頼です。学習者は二つを混ぜて「*駅に着き次第、雨が降ってきた」と言いやすいので、過去か未来か、意志か偶然かの2点で並べて比べます。
関連する文型

語彙の扱い

この課では、手順を言う言葉(まず・次に・それから・最後に)と、手続きの言葉(申し込む・確認する・書類・そろう・届く・見積もり・結果)を、黒板の端に流れ図の形で書いておくと、5つの形をどこに入れるか考える材料になります。「次第」の前に来る言葉は、決め手になる名詞(天気・値段・結果)と、動作を表す名詞(到着・決定・完成)に分けてカードを作ると、二つの「次第」の見分けの練習にもなります。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • 確かめます(たしかめます) 本当かどうか、正しいかどうかを、自分で見たり聞いたりして調べます。 〜を確かめる・自分の目で〜・サイズを〜
    店で靴を選んでいる。友達が「ネットのほうが安いよ」と言う。
    「出かける前に、窓のかぎをもう一度確かめておいてね。」
  • 手続き(てつづき) 何かをするために、決まった順番で書類を出したり届けたりすることです。 〜をする・〜が済む・引っ越しの〜
    区役所の窓口で、引っ越してきたばかりの人が聞く。
    「引っ越しの手続きが済み次第、保険の手続きもできますか。」
  • 申し込みます(もうしこみます) 参加したい、使いたいということを、決まったやり方で相手に伝えます。 試験に〜・ネットで〜・早めに〜
    試験を受けるかどうか迷っている友達に話す。
    「受けるにしろ受けないにしろ、申し込みの締め切りだけは確かめておこうよ。」
  • そろいます(そろいます) 必要な物や人が、全部集まります。 書類が〜・全員〜・材料が〜
    旅行のバスの前で、案内の係が参加者に言う。
    「皆さんがそろい次第、出発します。もう少しお待ちください。」
  • 届きます(とどきます) 送った物や手紙・メールが、相手のところに着きます。 荷物が〜・メールが〜・手元に〜
    ネットで買い物をした客に、店がお知らせを送る。
    「商品が届き次第、すぐに中身をご確認ください。」
  • 見積もり(みつもり) 仕事を始める前に、だいたいいくらかかるかを計算して出した金額です。 〜を出す・〜をもらう・引っ越しの〜
    引っ越し業者が電話で客に説明する。
    「荷物の量次第で、見積もりの金額が変わります。」
  • 契約します(けいやくします) お互いに守ることを書類にして、約束を正式に決めます。 部屋を〜・携帯電話の会社と〜・1年で〜
    不動産屋で、すぐ決めるように勧められた。
    「一度部屋を見ないことには、契約できません。」
  • 結果(けっか) したことのあとに出てきたこと、最後に決まったことです。 試験の〜・〜が出る・〜を知らせる
    健康診断のあと、病院の人が説明する。
    「検査の結果次第で、次にいつ来ていただくかが決まります。」
  • 予定(よてい) 前もって決めておいた、これからすることです。 〜を確認する・〜が変わる・〜を立てる
    会社で、同僚に会議の日を聞かれた。
    「部長の予定を確認してからでないと、会議の日は決められないんです。」
  • 迷います(まよいます) どれにするか、どうするかを、なかなか決められません。 AかBか〜・買うかどうか〜・道に〜
    卒業後のことで悩んでいる後輩に、先輩が話す。
    「帰国するにしろ日本で働くにしろ、迷っているなら先生に相談したほうがいいよ。」
  • 連絡します(れんらくします) 必要なことを、電話やメールで相手に知らせます。 電話で〜・あとで〜・すぐに〜
    ホテルのフロントで、早く着いた客に係が言う。
    「お部屋の準備ができ次第、ご連絡いたします。」

宿題と次のコマ

宿題は、自分がよく知っている手続きや作業(アルバイトの始め方・図書館の使い方・国の料理の作り方など)を一つ選び、日本に来たばかりの人へのアドバイスとして、手順を順番に説明する300字程度の文章を書くこと。「〜てからでないと」「〜にしろ」「〜ないことには」「N次第」「Vます次第」のうち3つ以上を使わせる。次のコマの最初に何人かに読ませ、聞いた学生がその手順を矢印の図に書いて、順番の条件が正しく伝わったかを確かめて振り返ります。

よくある質問

  • 「〜からでないと」と「〜ないことには」はどう違いますか?

    どちらも後ろが否定や不可になり、「部屋を見てからでないと/見ないことには、決められない」のように言い換えられることが多い形です。違いは、「〜からでないと」が先に済ませる順番を言うのに対し、「〜ないことには」はそろっていなければならない前提を言う点です。そのため「体が丈夫でないことには」のような状態の前提は「〜ないことには」でしか言えません。授業では、言い換えられない文を学習者に探させると違いがはっきりします。

  • 「天気次第」と「着き次第」の二つの「次第」はどう教え分ければいいですか?

    前の形と後ろへのつながり方の2点で見分けさせます。決め手になる名詞(天気・結果・値段)に付いて「で」「では」「だ」が続けば「〜によって決まる」、ます形の語幹や動作の名詞(終わり・到着)に付いて「、」で後ろにつながれば「〜したらすぐ」です。黒板を左右2列に分けて例を並べ、学習者自身に違いを見つけさせると残りやすくなります。「Vます次第」は初中級第11課で読み取り用に学んでいるので、この課では話す・書く側で使わせます。

  • 第29課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目で導入と学習項目1〜3(〜からでないと・〜にしろ・〜ないことには)、2コマ目で二つの「次第」と手順を説明するロールプレイ、まとめまで進めます。二つの「次第」は見分けの練習をするために同じコマで続けて扱い、コマをまたがないようにします。

  • 「〜にしろ」と「〜にしても」「〜にせよ」の違いは何ですか?

    意味はほぼ同じで、違うのは硬さです。くだけた会話では「〜にしても」や「〜ても〜なくても」、改まった会話や文章では「〜にしろ」、さらに硬い文章では「〜にせよ」がよく使われます。どれも名詞・な形容詞には「だ」を付けずに続く点は同じです。命令の「静かにしろ」とは別のものだと一言添えておくと、聞き取りで迷いません。

  • 手順を説明して助言するロールプレイはどう組めばいいですか?

    先輩と日本に来たばかりの人の2役にし、アパートを借りる・アルバイトを始めるなど、学習者が実際に経験した手続きを題材にします。先輩役には5つの形から3つ以上を使う条件を付け、後輩役には「もし〜だったら、どうすればいいですか」と質問を一つ返させます。聞いている学習者に手順を矢印の図に書かせると、順番の条件が伝わったかをその場で確かめられます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。