日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 中級 第27課「どこかへ行ったきり、帰ってこなくなってしまいました」の教案

『学ぼう!にほんご 中級』

出来事がどう進んで、いまどうなっているかという途中の様子や経過を、相手に分かるように説明する課です。5つの形は、ある時点から先が止まってしまった「〜きり」、やってみて分かった結果の「〜たところ」、変化がまだ続いている「〜つつある」、長く迷ったり苦労したりした最後の「〜末に」と、出来事の流れのどこを切り取るかで分けると整理しやすくなります。最後の「〜ところです/ところへ」は初中級で学んだ形の続きで、動作の段階(する直前・している最中・した直後)と、その場面に別のことが起きる言い方をまとめ直します。項目を一つずつ入れたら、なくし物の届け出や仕事のトラブルの報告など、経過を順に説明する活動でまとめて使わせると、課の目標がそのまま練習になります。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目5時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 「〜たきり」「それきり」で、ある出来事のあと、続いて起きるはずのことが起きていない状態を説明できる
  • 「〜たところ」で、問い合わせたり試したりした結果、分かったことや起きたことを、報告やメールの中で順序よく伝えられる
  • 「〜つつある」で、いま進んでいる変化をニュースやレポートの文体で書け、「〜ている」との違いが分かる
  • 「〜末に」で長い迷いや苦労のあとの結論を言い、「〜ところです/ところへ」で、そのとき何をしている途中だったかと、そこに起きたことを説明できる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(目標の場面)10分教師が「先週、かさを電車に忘れてしまって…」と話し始め、学生に「それで、どうしましたか」「見つかりましたか」と聞かせる。出来事を時間の線(矢印)で板書し、線の上に「止まったまま」「やってみたら」「変わっていく途中」「長く迷って最後に」「ちょうどそのとき」の5つの札を置いて、この課の形がそれぞれどこを言うかを予告する
学習項目1 〜きり25分時間の線の途中で矢印を切り、「出かけた → (帰ってくるはず)→ ?」の形で導入する。後ろは「〜ない」が多いこと、「それきり」で文を分けても言えることを押さえ、初級の「〜たまま」と比べる
学習項目2 〜ところ25分「店に電話して聞いた → 分かった」の2コマで導入し、「〜たら」と同じく結果を言う形だが、後ろは起きた事実だけで、報告やメール向きの少し硬い形だと押さえる。文末の「〜たところだ」との違いを読点で見分けさせる
学習項目3 〜つつある30分右上がりのグラフと、まだ線が伸びている途中の矢印で、変化が進行中であることを導入する。ニュースやレポートの文体だと伝え、変化の動詞にしか付かないことを確かめる
学習項目4 〜末に25分迷路の絵で、行ったり戻ったりした線の最後に出口を描き、「何度も話し合った末に、決めた」を導入する。前は「Vた」か「Nの」で、時間や苦労を表す言葉がいっしょに出ることが多いと押さえる
学習項目5 〜ところです/ところへ25分初中級の「〜ところだ」(する・している・したところ)を時間の線で思い出させ、「出かけようとしているところへ電話がかかってきた」のように、その場面に別のことが起きる言い方へつなぐ。「〜ところへ」「〜ところに」「〜ところを」の後ろに来る動詞の違いを表にする
目標の活動(経過を説明するロールプレイ)30分なくし物の届け出・頼んだ荷物が届かない・機械が動かなくなった、などのカードを引き、窓口の人やサポートの担当者に経過を説明する。この課の形を3つ以上使い、聞き手は「それはいつごろですか」「そのあとどうなりましたか」と質問を返す
まとめ10分導入の時間の線に5つの形を置き直し、話し言葉で使いやすい形(〜きり・〜ところです)と、報告や書き言葉向きの形(〜たところ・〜つつある・〜末に)を一覧にして残す

学習項目 1 〜きり

意味・はたらき学習項目 1

「Vたきり」で、ある動作をしたのを最後に、そのあと続いて起きるはずのことが起きないことを表します。「出かけたきり帰ってこない」「借りたきり返さない」のように、後ろには「〜ない」「〜ていない」が来ることが多く、話し手の心配・不満・あきらめがにじみます。前の文を受けて「それきり」「あれきり」とも言い、「去年の夏に一度会った。それきり、会っていない」のように使います。「Nきり」(二人きり・一度きり)は「〜だけ」の意味で別の使い方ですが、「会ったのは一度きりだ」のように、この課の意味とつながることもあります。会話ではよく「〜っきり」と言います。

接続

Vた(た形)+きり(文末は「〜たきりだ」。前の文を受けるときは「それきり/あれきり」。会話では「〜たっきり」)

形
Vた きり、Vない(出かけたきり、帰ってこない)Vた きりだ(その人とは一度会ったきりです)それきり/あれきり、〜ないVた っきり(会話のくだけた形)

導入

  • 途中で切れた矢印黒板に「友達に本を貸した → (返してもらう)」と矢印を書き、後ろの矢印に大きく×を付ける。教師が「三か月前に友達に本を貸したきり、まだ返してもらっていないんです」と困った顔で言い、「本は今どこですか」「友達はそのあと何をしましたか」と聞いて、続くはずのことが起きていないことを確かめる。
  • 「それきり」で文を分ける同じ内容を「前の会社の同僚とは、去年の春に一度会いました。それきり、会っていません」と二文で言って見せる。「それ」が何を指すかを学生に言わせ、一文の「〜たきり」と二文の「それきり」を並べて板書する。

板書案

Vた + きり、〜ない(続くはずのことが起きない)
本を 貸した ──→ ×(返してもらう)
三か月前に友達に本を貸したきり、まだ返してもらっていない。
去年の春に一度会った。それきり、会っていない。
〔赤〕きり 〔青〕後ろの「〜ない」に下線 時間の線の途中に大きな×

場面と発話(自作)

  • 寮の同じ部屋の留学生が、きのうの朝から戻ってこない。心配になって寮の管理人に相談する。ルームメイトがきのうの朝、出かけたきり、まだ帰ってこないんです。
  • 引っ越しの前に、近所の人に工具を貸した。返してほしいが、なかなか言い出せず、同僚に話す。となりの人に電動ドリルを貸したきりで、もう半年になるんですよ。
  • 国にいる高校時代の友人の話になって、日本語のクラスメートに聞かれた。高校を卒業したとき一度会ったきりで、それきり連絡を取っていません。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「〜たきり、〜ない」の前と後ろを別々のカードにして(買った/使っていない、言った/やっていない、入院した/退院していない など)、組み合わせを探して一文にさせる。次に、自分の持ち物や知り合いについて「〜たきり〜ていないもの・人」を一つずつ話させ、聞き手は「どうしてですか」と理由を聞く。

  1. 口頭教師が前半だけをキューで出し(「出かけた」「借りた」「一度会った」「習い始めた」)、学習者が後ろを「〜ない」で補って一文にする(「出かけたきり、帰ってこない」)。全体で言ってから個人に当てる。次に教師が二文で言い(「去年の夏に電話で話しました。そのあと話していません」)、学習者に「それきり」を使ってつなぎ直させる。
  2. ペアAは「困っていることカード」(貸した物・連絡のない知り合い・買って使っていない物)を持ち、Bが「どうしたんですか」と聞く。Aは「〜たきり、〜ない」で答え、Bは「いつからですか」「連絡してみましたか」と質問を二つ返す。カードは相手に見せない。3枚で役を交替する。
  3. 産出「〜たきりリスト」。自分の生活で「買ったきり使っていない物」「始めたきりやめてしまったこと」「一度会ったきりの人」を一つずつ書き、グループで一つ選んで理由まで話す。教師が見るのは、前がた形になっているか、後ろが続くはずのことが起きない内容か(順番を言う文になっていないか)、「〜たまま」と混ざっていないか。

つまずきと手当て

  • 後ろに、続いて起きた別の動作を言う(「*朝ごはんを食べたきり、学校へ行きました」)。「きり」の後ろは、続くはずのことが起きない内容なので、順番に言うなら「食べてから」、そのあと何も食べていないなら「朝ごはんを食べたきり、何も食べていない」にする
  • 「〜たまま」と混ぜる。「電気をつけたまま寝た」は、つけた状態が続いている中で次のことをした、という意味で、「きり」には言い換えにくい。「きり」は、その動作のあと続くはずのことが止まっている点に目を向ける形だと、矢印の×で区別する
  • 前を辞書形にする(「*出かけるきり、帰ってこない」)。この意味では前は必ず「Vた」。「それきり」は、何を指すか分かるように、前の文で最後の出来事をはっきり言ってから使う

既習の文型との違い

  • 〜たまま、…(初級Ⅰ第16課)「めがねをかけたまま寝た」は、前の状態が続いている中で後ろの動作をする言い方で、後ろには別の動作が来ます。「〜たきり」は前の動作を最後に、続くはずのことが起きていない点を言い、後ろは「〜ない」が多くなります。学習者は「*くつをはいたきり、部屋に入った」のように混ぜるので、状態の線が伸びる「たまま」と、線の先に×が付く「きり」を描き分けます。
  • 〜てから、…(初級Ⅰ第11課)「〜てから」は二つの動作の順番を言うだけで、後ろも実際に起きた動作です。「〜きり」は後ろに動作が続かないことを言います。順番を言いたい場面で「きり」を使うと「*朝ごはんを食べたきり、学校へ行った」になるので、後ろが起きたことか起きていないことかを確かめさせます。
関連する文型

学習項目 2 〜ところ

意味・はたらき学習項目 2

「Vたところ、〜」で、あることをしてみたら、こういう結果だった・こういうことが分かった、という流れを表します。前には、聞く・調べる・頼む・試す・開けるのような、話し手(人)が自分の意志でする行為が来ることが多く、後ろには、その結果として起きたことや分かったことを、事実として過去の形で言います。結果は、予想と違う意外なものであることも、予想どおりのものであることもあります。意味は「〜たら」の発見の使い方と近いですが、「〜たところ」は少し硬く、仕事の報告・メール・レポートなど、経過を順に伝える文によく使われます。

接続

Vた(た形)+ところ、〜(後ろは「〜た」で起きた事実。文末の「〜たところだ」(〜した直後)とは別の使い方)

形
Vた ところ、〜た(問い合わせたところ、すぐに返事が来た)調べた ところ、〜ことが分かったVてみた ところ、〜た(試してみたところ、うまくいった)

導入

  • 2コマの絵で「やってみたら」1コマ目に電話をかける人、2コマ目に「在庫あり」の札を描く。教師が「近くの店に電話で聞いたところ、まだ一つ残っていると言われました」と言い、「どうして分かりましたか」「電話する前に、残っていると知っていましたか」と聞いて、してみて初めて分かった結果だと確かめる。
  • 会話の「たら」と報告の「たところ」同じ内容を、友達との会話(「聞いてみたら、もう売り切れだったよ」)と、上司への報告メール(「確認したところ、在庫がないとのことでした」)で書き分けて見せる。意味はほとんど同じで、場面の硬さが違うと整理し、仕事のメールでは「〜たところ」が使いやすいと伝える。

板書案

Vた + ところ、〜た(してみた結果・分かったこと)
店に電話して聞いた ──→ まだ一つ残っていた
店に問い合わせたところ、一週間以内なら交換できるそうです。
〔青〕Vたところ、〜(文の途中・読点) ⇔ 〔赤〕Vたところです(文末・した直後)
後ろ:もう起きた事実だけ(依頼・意志は×)

場面と発話(自作)

  • ネットで買った靴のサイズが合わなかった。返品できるか販売店に問い合わせた結果を、家族に話す。お店に問い合わせたところ、一週間以内なら交換できるそうです。
  • コピー機が動かなくなった。担当の社員が、直そうとした経過を課長に報告する。電源を入れ直したところ、エラーの表示が消えて、また使えるようになりました。
  • ゼミの発表で、留学生が自分の調査の結果を説明する。クラスの30人に聞いたところ、毎日料理をする人は5人しかいませんでした。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「したこと」のカード(先生に相談する・ネットで調べる・駅員に聞く・薬を飲む)と、「分かったこと・起きたこと」のカード(快く引き受けてくれた・もう終わっていた・忘れ物センターにあった・熱が下がった)を組み合わせて「〜たところ、〜」の文を作らせる。そのあと、自分が最近問い合わせたり試したりしたことを、上司へのメールの一文として書かせる。

  1. 口頭教師が「したこと」を言い(「駅員に聞いた」「辞書で調べた」「薬を飲んだ」「先生に相談した」)、結果を絵で見せる(忘れ物センターの札・載っていない辞書・熱の下がった体温計・笑顔の先生)。学習者は「〜たところ、〜」で一文にする。全体のあと個人で。続けて同じ文を「〜たら」で言わせ、友達への会話と上司への報告で言い分けさせる。
  2. ペア「上司と部下」の報告。部下役は問題と、したこと・結果が書いてあるカードを持ち、上司役は「あの件、どうなりましたか」と聞く。部下は「〜たところ、〜」で結果を報告し、上司が「それで、次はどうしますか」と聞いたら、これからのことは別の文(「〜ます」)で答える。結果と次の行動を一文に入れない練習になる。2枚で交替する。
  3. 産出「報告メール一文チャレンジ」。最近問い合わせたり試したりしたこと(役所・学校・店・アプリの設定)を、先生か上司あてのメールの一文として書き、ペアで読み合って、何をして何が分かったかを相手に言い直してもらう。教師が見るのは、後ろが過去の事実になっているか、文末の「〜たところです」と混ざっていないか、前に自分がした行為が来ているか。

つまずきと手当て

  • 後ろに依頼・意志・命令を言う(「*駅に着いたところ、電話してください」「*駅に着いたところ、すぐ連絡します」)。「〜たところ」の後ろは、もう起きた結果だけ。これから先のことなら「着いたら」を使う
  • 文末の「〜たところだ」(初中級。「いま着いたところです」=着いた直後)と混ぜる。文の途中で「、」が続いて結果が来るのがこの課の形、文末で終わるのは直後の意味、と2つの文を並べて見分けさせる。さらに「〜たところで」(いくら〜しても無駄だ)は別の形なので、ここでは扱わないと一言添える
  • 前に、人の意志と関係なく起きたことを置く(「雨が降ったところ、〜」)。不自然に聞こえることが多いので、前には自分(や人)がしてみた行為を置き、天気のような出来事なら「〜たら」を使う、と伝える

既習の文型との違い

  • 〜たら、…(初級Ⅰ第19課)「窓を開けたら、雪が降っていた」のような発見の「たら」と意味は近いですが、「たら」は会話で広く使え、後ろに依頼や意志も来ます(着いたら電話してください)。「〜たところ」は後ろが起きた事実に限られ、報告やメールに向く少し硬い形です。「*駅に着いたところ、電話してください」は「たら」の使い方をそのまま移した誤りです。
  • 〜ところだ(初中級第1課)「いま駅に着いたところだ」は文末に来て、した直後を言います。この課の「着いたところ、〜」は文の途中で読点が続き、結果を言います。同じ「Vたところ」でも、文が終わるか後ろに続くかで意味が変わると、二つの文を並べて見分けさせます。
  • 〜と、…ました/〜と、…た(初級Ⅱ第38課)「ドアを開けると、猫がいました」の発見の「と」も、してみたらこうだった、という流れを言えます。「と」は目の前の場面を順に語る物語的な言い方で、「〜たところ」は調べたり問い合わせたりした結果の報告に向きます。同じ出来事を、日記の文と報告メールの文で書き分けさせると違いがつかめます。
関連する文型

学習項目 3 〜つつある

意味・はたらき学習項目 3

ある変化がある方向へ少しずつ進んでいる途中で、まだ終わっていないことを表します。前に来るのは、増える・減る・変わる・広がる・近づく・回復する・失われるのような、状態が変わっていくことを表す動詞です。「増えている」も進行中の変化を言えますが、「〜ている」は変化のあとの状態(もう増えた状態)も表すのに対し、「〜つつある」はいま変化の途中であることだけをはっきり言います。新聞・ニュース・レポート・スピーチなどで使われる書き言葉的な硬い形で、友達との会話ではあまり使いません。

接続

Vます(ます形)の「ます」を取って+つつある(丁寧には「〜つつあります」)

形
Vます つつある(増えつつある・変わりつつある)Vます つつあります(ニュース・スピーチの丁寧な形)〜が回復しつつある/失われつつある少しずつ/徐々に 〜つつある

導入

  • 伸びている途中のグラフ右上がりのグラフを描き、線の先を点線にして「まだ伸びている」と書く。教師がニュースの読み上げのように「日本で働く外国人の数は、年々増えつつあります」と言い、「もう終わりましたか」「これからも増えそうですか」と聞いて、変化の途中だと確かめる。
  • 「ている」との比べ方「台風が近づいている」と「台風が近づきつつある」を並べ、どちらがニュースらしいか、どちらが会話らしいかを聞く。次に「窓が開いている」を出し、これは開いたあとの状態なので「つつある」では言い換えられないことから、「つつある」は変化の途中にだけ使う、と整理する。

板書案

Vます + つつある(変化が進んでいる途中)
増えます → 増えつつある  回復します → 回復しつつある
日本で働く外国人の数は、年々増えつつあります。
〔赤〕右上がりのグラフ 線の先を点線(まだ続く)
会話:だんだん〜てきた ⇔ ニュース・レポート:〜つつある

場面と発話(自作)

  • 天気予報で、アナウンサーが大雨の見通しを伝える。強い雨の雲が、西から関東地方に近づきつつあります。
  • 交通事故でけがをした同僚の様子を、上司が朝礼で部署の人に伝える。山本さんのけがは順調に回復しつつあり、来月には職場に戻れるそうです。
  • 留学生が、自分の国の町の変化についてレポートを書く。高いビルが次々に建ち、昔ながらの市場は少しずつ姿を消しつつある。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

グラフやビフォー・アフターの絵のカード(スマホで払う人・古い家・海の氷・留学生の数)を見せ、ニュースの原稿として「〜つつあります」で一文ずつ読ませる。そのあと同じ内容を友達に話す口調に言い換えさせ(「〜てきてるよ」「どんどん〜ている」)、書き言葉と話し言葉の差を耳で確かめる。

  1. 口頭変化の絵とグラフのカードをキューにする(スマホで払う人が増える・商店街の店が減る・海の氷がとける・けがが治ってくる・町の景色が変わる)。教師が動詞を添えて見せ(「増える」)、学習者はニュースの読み上げのように「〜つつあります」で言う。全体のあと個人で。慣れたら動詞を言わずに絵だけで言わせ、最後に同じ内容を「だんだん〜てきました」に言い換えさせる。
  2. ペア「アナウンサーと友達」。Aはニュース原稿のカードを「〜つつあります」で読み、Bはそれを友達に伝える口調(「〜てきてるんだって」)に言い換える。カードには動作の動詞(本を読む・ご飯を食べる)を何枚か混ぜておき、「つつある」にできないものはBが「これはつつあるでは言えない」と指摘して、「〜ている」で言い直す。4枚で交替する。
  3. 産出「わたしの町の変化レポート」。自分の国や住んでいる町で、いま変わりつつあること(人口・店・交通・若い人の言葉)を、である体で2〜3文書き、グラフか絵を一つ添えて発表する。教師が見るのは、変化の動詞に付いているか(動作の動詞に付けていないか)、文体の硬さがそろっているか、もう終わった変化に使っていないか。

つまずきと手当て

  • 変化ではない、続けて行う動作に付ける(「*いま本を読みつつある」「*テレビを見つつある」)。その動作をしている最中なら「〜ている」「〜ているところだ」を使う。「つつある」は、状態が少しずつ変わっていく動詞に付ける形だと、グラフの線で確かめる
  • 第28課の「〜つつ」(〜ながら・〜けれども)と混ぜる。「〜つつある」は「ある」までで一つの形で、変化の途中を言う。「〜つつ」は二つのことを同時にする・逆のことを言う別の形だ、と並べて板書する
  • 友達との会話でそのまま使い、硬すぎて聞こえる。誤りではないが、会話では「だんだん〜てきた」「どんどん〜ている」のほうが自然なことが多い

既習の文型との違い

  • 〜てきました(初中級第16課)「最近、町に外国からの観光客が増えてきました」は、前から今までの変化を振り返って言う形で、会話でもふつうに使います。「〜つつある」は、いま変化の途中にあり、これからも続きそうだということを言う硬い形です。時間の線の上で、「増えてきた」は過去から今まで、「増えつつある」は今そのものの途中、と位置を比べて見せます。
  • 〜一方だ(初中級第18課)「物価は上がる一方だ」は、変化が一つの方向にだけ進んで止まらないことを言い、困った方向の変化に使われやすい形です。「〜つつある」は変化の途中であることを事実として述べ、「回復しつつある」のようによい変化にもふつうに使います。話し手の困った気持ちがあるかどうかで分けます。
  • 〜ています(初級Ⅰ第10課)「いま本を読んでいます」は動作の最中を言います。この「ている」を置き換えて「*本を読みつつある」とする誤りがよく出ます。「〜ている」は動作にも変化にも使えますが、「〜つつある」は状態が少しずつ変わっていく動詞にだけ付く、と動詞の種類で押さえます。
関連する文型

学習項目 4 〜末に

意味・はたらき学習項目 4

長い時間迷ったり、話し合ったり、いろいろ苦労したりした、その最後に、ある結果や結論に至ったことを表します。「末」は「終わり」の意味で、「長い間悩んだ末に」「何度も話し合った末」「三年間の研究の末に」のように、前には時間や手間がかかったことを表す言葉がよく来ます。後ろには、決めた・合格した・やめた・見つかったなど、最後にどうなったかを言います。結果はよいことにも悪いことにも使えます。少し改まった言い方で、経過を振り返る話・作文・報告によく使われます。

接続

Vた(た形)+末(に)/Nの+末(に)(「に」は省いてもよい。名詞の前では「〜た末の N」(悩んだ末の結論))

形
Vた 末(に)、〜(何度も話し合った末に、決めた)Nの 末(に)、〜(長い話し合いの末、決まった)Vた 末の N(悩んだ末の答え)さんざん/何度も/長い間 〜た末に

導入

  • 迷路の絵で「最後に」黒板に迷路を描き、行ったり戻ったりする長い線のいちばん最後に出口の旗を立てる。教師が「大学院の試験に二回落ちて、三年目にやっと合格しました」と話し、「三年も受け続けた末に、合格しました」と言い直す。「すぐ合格しましたか」「合格するまでどうでしたか」と聞いて、長い苦労のあとの最後の結果だと確かめる。
  • 「あとで」と比べる「ご飯を食べたあとで、散歩した」と「何度も話し合った末に、引っ越すことにした」を並べ、どちらに長い時間や苦労があるかを聞く。「末に」は、ただの順番ではなく、苦労や迷いの最後に来た結果を言う形だと整理する。

板書案

Vた / Nの + 末(に)、〜(長い経過の最後の結果)
迷路の線 ──→ いちばん最後に旗
三年も受け続けた末に、やっと合格しました。
長い話し合いの末、日にちが変わりました。
〔青〕さんざん・何度も・長い間(前に来やすい語)に下線 〔赤〕末(に)

場面と発話(自作)

  • 就職活動を終えた留学生が、日本語の先生に結果を報告する。家族と何度も話し合った末に、地元の会社に入ることにしました。
  • なくした財布が見つかった経過を、寮の友達に話す。駅と交番に何度も問い合わせた末に、やっと戻ってきたんです。
  • 町内会の役員が、お祭りの日にちが変わった理由を回覧板に書く。役員会での長い話し合いの末、今年は十月の第二土曜日に行うことになりました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「長くかかったこと」のカード(三回受けた・一晩考えた・三時間探した・家族と何度も話した)と「結果」のカード(合格した・断ることにした・見つかった・帰国を決めた)を組み合わせて「〜た末に」の文を作らせる。次に、自分が大きなことを決めたときの経験(留学・就職・引っ越し)を「〜た末に、〜ことにしました」で一人ずつ話させる。

  1. 口頭「時間や手間がかかったこと」の語句(三回受けた・一晩考えた・家族と何度も話した・三時間探した)と、結果の絵(合格の通知・断りの電話・見つかったかぎ・空港)をキューにし、学習者が「〜た末に、〜」で一文にする。全体のあと個人で。次に名詞のキュー(長い話し合い・三年間の研究・激しい議論)を出して「Nの末(に)」に言い換えさせる。
  2. ペア「決断インタビュー」。Aが「留学(仕事・住む所)を決めるとき、すぐ決めましたか」と聞き、Bは「〜た末に、〜ことにしました」で答える。Aは「どのくらい迷いましたか」「何がいちばん大変でしたか」と質問を二つ足し、最後にBの答えを「〜さんは、〜た末に〜ことにしたそうです」とまとめて言う。交替する。
  3. 産出「わたしの大きな決断スピーチ」。自分が長く考えた末に決めたこと(進学・就職・引っ越し・やめたこと)を、迷った経過から最後の結論の順で1分で話す。教師が見るのは、前がVたかNのになっているか、前に時間や苦労を表す語があるか、後ろが最後の結果になっているか(ふつうの順番を大げさに言っていないか)。

つまずきと手当て

  • 時間も苦労もかからない、ふつうの順番に使う(「*シャワーを浴びた末に、寝ました」)。順番だけなら「〜てから」「〜たあとで」。「末に」は、迷い・話し合い・苦労の最後に来た結果に使う
  • 前を辞書形にする(「*迷う末に、決めた」)。前は「Vた」か「Nの」。また「月の末に」「今年の末に」(月や年の終わり)は時間の言い方で、この課の意味とは別だと一言添える
  • 後ろにこれからの意志や依頼を言う(「よく考えた末に、連絡してください」)。不自然に聞こえることが多いので、後ろには最後にどうなったか(決めた・〜ことにした・〜ことになった)を言わせる。悪い結果に使われることが多い「〜あげく」と比べて、「末に」はよい結果にも使える、と添えると違いがはっきりする

既習の文型との違い

  • 〜あとで、…(初級Ⅰ第16課)「ご飯を食べたあとで、散歩した」は二つのことの順番を言うだけです。「〜末に」は、迷いや苦労の長い経過の最後に来た結果を言います。順番だけの文に使うと「*歯をみがいた末に寝た」のように誤った文になるので、前に長い時間や手間があるかを確かめさせます。
  • 〜ところ(第27課 学習項目2)「問い合わせたところ、分かった」は一回の行為とその結果を言います。「何度も問い合わせた末に、見つかった」は、くり返しや長い経過のあとの結果です。同じなくし物の報告の中で二つを並べ、経過が短いか長いかで使い分けさせます。
関連する文型

学習項目 5 〜ところです/ところへ

意味・はたらき学習項目 5

初中級で学んだ「〜ところだ」の続きとして、動作がどの段階にあるかと、その場面に別のことが起きる言い方をまとめ直します。「Vるところです」はする直前、「Vているところです」はしている最中、「Vたところです」はした直後で、時間の線の上の一点を指します。「〜ところへ」は、ちょうどその場面に、人がやってきたり電話がかかってきたりしたことを言い、後ろには「来る・現れる・帰ってくる・電話がかかってくる」のような、外から何かが来ることを表す言い方が多く来ます。初中級で学んだ「〜ところに」もほぼ同じように使え、「〜ところを」は、その場面を誰かに見られる・見つかる・助けられるなど、その場面にいる人に働きかける動詞と使う、という違いを押さえておきます。

接続

Vる/Vている/Vた+ところです(ところだ)。Vる/Vている/Vた/Vようとしている+ところへ、〜

形
Vる ところです(これから出かけるところです)Vている ところです(いま資料を作っているところです)Vた ところです(いま会議が終わったところです)Vようとしている/Vている ところへ、〜が来た

導入

  • 時間の線に3つの点黒板に「会議」の時間の線を描き、始まる前・途中・終わった直後に点を打つ。教師が時計を見ながら「これから会議が始まるところです」「いま会議をしているところです」「ちょうど会議が終わったところです」と言い、点を指して学生に言わせて、初中級の形を思い出させる。
  • 点の上に矢印が飛んでくる「出かけようとしている」の点の上に、外から矢印を描き「客」と書く。教師が「出かけようとしているところへ、急にお客さんが来たんです」と言い、「先生は何をしようとしていましたか」「何が起きましたか」と聞く。続けて「〜ところへ/に(来る)」と「〜ところを(見られる)」を表にして、後ろの動詞の違いを見せる。

板書案

会議 ──●(始まる前)──●(途中)──●(終わった直後)──→
Vる ところです / Vている ところです / Vた ところです
シャワーを浴びているところへ、配達の人が来ました。
〔青〕〜ところへ/に + 来る・かかってくる 〔赤〕〜ところを + 見られる・起こされる
Vたところです(した直後) ⇔ Vたばかりです(気持ちの上で新しい)

場面と発話(自作)

  • 同僚から電話で「いま話せますか」と聞かれた。ちょうど会社を出る前だった。すみません、いま会社を出るところなので、駅に着いたらかけ直します。
  • 宅配便の荷物を受け取れなかった理由を、再配達の受付で説明する。シャワーを浴びているところへ配達の方が来て、出られなかったんです。
  • 大事な書類を家に忘れたことに気づいたときのことを、同僚に話す。ちょうど家を出ようとしていたところへ課長から電話があって、それで書類のことを思い出したんです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

まず時計の絵を見せて、「〜るところです/〜ているところです/〜たところです」を速く言い分けさせる。次に、「していたこと」(料理をしていた・寝ようとしていた・宿題を始めた)のカードと「来たもの」(友達・電話・地震)のカードを引かせ、「〜ところへ、〜」で、そのとき困ったことを説明する一文を作らせる。最後に同じ場面で「〜ところを、〜に見られた」も一つ作らせて、へ・に・を の後ろを比べる。

  1. 口頭一日の予定と時計の絵をキューにする(7時に朝ごはん、9時に会議、12時に昼ごはん)。教師が時計の針を動かしながら「いま8時59分。会議は?」「9時半は?」「10時1分は?」と聞き、学習者は「始まるところです/しているところです/終わったところです」を言い分ける。次に「していたこと」と「来たもの」の2枚のキュー(料理をしていた+友達、寝ようとしていた+電話、出かけようとしていた+客)で「〜ところへ、〜」を言わせる。
  2. ペア「タイミングの悪い日」。Aは一日の予定表、Bは「来たもの」のカード(宅配便・友達・上司からの電話)を持つ。Bが「12時ごろ、何をしていましたか」と聞き、Aが答えたら、Bがカードを出して「そこへ〜が来ました」と言い、Aが「〜ているところへ〜が来て、困りました」と一文にまとめる。後半は「先生・上司・家族」のカードを足し、「〜ところを、〜に見られた/呼び止められた」も作らせる。交替する。
  3. 産出「再配達受付ロールプレイ」。荷物を受け取れなかった、電話に出られなかった理由を、窓口の人や約束の相手に説明する。窓口役は「何時ごろでしたか」「そのとき何をしていらっしゃいましたか」と聞き返す。教師が見るのは、へ・に・を の後ろの動詞が合っているか、「たところです」を時間のたったことに使っていないか、相手に合った丁寧さで謝っているか。

つまずきと手当て

  • 直後の「Vたところです」を、時間がたったことに使う(「*三か月前に日本に来たところです」)。「たところ」は、した直後のごく短い時間を指す。時間がたっていても気持ちの上で新しいなら「来たばかりです」を使う、と二つを並べて確かめる
  • 「ところへ」と「ところを」の後ろを取り違える(「*寝ているところへ、母に起こされた」)。誰かにされること(起こされる・見られる・呼び止められる)は「〜ところを」。人や電話が来ることは「〜ところへ/に」、と表に戻す
  • 「〜ところへ」の後ろに、自分の意志でしたことを言う。「料理をしているところへ、わたしは友達に電話した」は不自然に聞こえることが多い。「〜ところへ」は、自分がしている途中に外から何かが来た、という場面に使う、と矢印の絵で確かめる

既習の文型との違い

  • 〜ところだ(初中級第1課)初中級では「するところ・しているところ・したところ」で動作の段階を言うのが中心でした。この課では、その段階に外から別のことが起きる「〜ところへ」を足します。前の形はそのまま使えるので、時間の線の点に外から矢印を一本足すだけ、と見せるとつながります。
  • 〜ところへ…/〜ところに…/〜ところを…(初中級第17課)「ところへ・ところに」は人が来る・電話がかかってくるなど外から何かが来ること、「ところを」は見られる・助けられる・呼び止められるなど、その場面にいる人に何かがされることに使います。学習者は「*寝ているところへ、母に起こされた」のように後ろの動詞で取り違えるので、後ろの動詞を表にして選ばせます。
  • 〜最中(初中級第4課)「食事の最中に電話が鳴った」は、ちょうど進んでいる途中であることを強く言い、じゃまされた感じが出ます。「〜ているところへ」は、その場面に外から何かが来ることに目を向けます。どちらも言える場面が多いですが、「最中」は「Vている」か「Nの」に付き、「Vる」「Vた」には付きません。
関連する文型

語彙の扱い

この課で扱う言葉は、経過を説明するときの言葉(問い合わせる・届け出る・確認する・見つかる・戻ってくる など)と、変化を表す言葉(増える・減る・回復する・広がる・姿を消す など)に分けて板書しておくと、どの形と組みやすいかを考える材料になります。変化の言葉は「〜つつある」、問い合わせる・確認するは「〜たところ」の形でカードにして、形とセットで覚えさせます。

この課の練習で使う語(10語・意味・連語・例文)

  • 問い合わせる(といあわせる) 分からないことを、店や役所などに聞いて確かめることです。 店に〜・電話で〜・在庫を〜
    ネットで買った品物がまだ届かない。家族に様子を聞かれた。
    「お店に問い合わせたところ、あした届くそうです。」
  • 届け出る(とどけでる) 決まった窓口に、起きたことや変わったことを正式に知らせることです。 警察に〜・落とし物を〜・住所の変更を〜
    財布を落とした。駅の窓口で、もう届けたかを聞かれた。
    「はい、きのう交番に届け出たところ、まだ見つかっていないと言われました。」
  • 確認する(かくにんする) 本当にそうか、間違いがないかを調べて確かめることです。 予約を〜・日にちを〜・もう一度〜
    会議室の予約が重なっていた。上司に報告する。
    「予約の記録を確認したところ、同じ時間に二つの予約が入っていました。」
  • 見つかる(みつかる) 探していた物や人が、どこにあるか分かることです。「見つける」と対になる自動詞です。 財布が〜・答えが〜・仕事が〜
    なくしたかぎのことを、友達に話す。
    「三日も探した末に、やっとかばんの底で見つかったんだ。」
  • 戻ってくる(もどってくる) 一度離れた人や物が、もとの場所に帰ってくることです。 家に〜・手元に〜・すぐ〜
    飼っている猫がいなくなった。近所の人に話す。
    「おととい外に出たきり、戻ってこないんです。」
  • 回復する(かいふくする) 悪くなった体や様子が、もとのよい状態に戻っていくことです。 けがが〜・景気が〜・体力が〜
    入院している祖父の様子を、先生に聞かれた。
    「おかげさまで、少しずつ回復しつつあります。」
  • 広がる(ひろがる) 範囲や数が、だんだん大きくなることです。 うわさが〜・被害が〜・利用が〜
    地域のニュースで、新しい支払い方法を紹介する。
    「スマートフォンで支払う人が、お年寄りの間にも広がりつつあります。」
  • 迷う(まよう) どちらにするか決められずに、あれこれ考えることです。道が分からなくなる意味もあります。 進路に〜・道に〜・どちらにするか〜
    二つのアルバイトのどちらにするか決めた。友達に話す。
    「赤と青でずいぶん迷って、結局、店の人に選んでもらいました。」
  • 話し合う(はなしあう) 何人かで意見を言い合って、考えをまとめることです。 家族と〜・何度も〜・当番について〜
    シェアハウスの掃除の決まりを、新しく来た住人に説明する。
    「みんなで何度も話し合った末に、週ごとの当番にしたんです。」
  • かかってくる(かかってくる) ほかの人からこちらに電話が来ることです。 電話が〜・友達から電話が〜・夜中に〜
    宿題を出せなかった理由を、先生に説明する。
    「宿題を始めようとしていたところへ、国の母から電話がかかってきて……。」

宿題と次のコマ

宿題は、なくし物・トラブル・大きな決断など、自分が経験した出来事を一つ選び、何が起きて、どうなって、いまどうなっているかを、この課の形のうち3つ以上を使って200〜300字で書くこと。報告の文には「〜たところ」「〜末に」、いまの様子には「〜きり」「〜つつある」を使うように指示する。次のコマの最初に何人かに読ませ、聞いた学生が時間の線を書いて、どの形が線のどこを言っていたかを確かめて振り返ります。

よくある質問

  • 「〜たきり」と「〜たまま」はどう教え分ければいいですか?

    「〜たまま」は前の状態が続いている中で別のことをする言い方で、後ろには動作が来ます(電気をつけたまま寝た)。「〜たきり」は前の動作を最後に、続くはずのことが起きていないことを言い、後ろは「〜ない」が多くなります。時間の線の上で、「たまま」は状態の線が伸びる、「きり」は線の先に×が付く、と描き分けると混同が減ります。

  • 「〜たところ、〜」と「〜たら、〜」の違いは何ですか?

    どちらも「してみたら、こうだった」と結果を言えますが、「〜たところ」は後ろが起きた事実に限られ、依頼・意志・命令は来ません。また少し硬く、報告やメールに向いています。授業では同じ内容を、友達との会話と上司へのメールで書き分けさせ、場面の違いとして整理します。

  • 「〜つつある」と「〜ている」の違いは何ですか?

    「〜ている」は動作の最中にも変化のあとの状態にも使えますが、「〜つつある」は変化がいま進んでいる途中であることだけを言います。前には増える・減る・変わる・回復するのような変化の動詞が来て、「*本を読みつつある」とは言えません。ニュースやレポートの硬い形なので、会話では「だんだん〜てきた」を使うように勧めます。

  • 「〜ところへ」「〜ところに」「〜ところを」はどう分けますか?

    「〜ところへ」「〜ところに」は、ある場面に人が来る・電話がかかってくるなど、外から何かが来ることを言い、ほぼ同じように使えます。「〜ところを」は、その場面を見られる・呼び止められる・助けられるなど、その場にいる人に何かがされる動詞と使います。後ろの動詞を表にして選ばせると、取り違えが目に見えて減ります。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目で導入と「〜きり」「〜たところ」「〜つつある」、2コマ目で「〜末に」「〜ところです/ところへ」と経過を説明するロールプレイ、まとめまで進めます。「〜ところへ」は初中級の復習を兼ねるので、定着が弱いクラスでは2コマ目の頭に「〜ところだ」の確認を10分ほど足します。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。