日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

中級から学ぶ日本語 第16課「うたう」の教案

『テーマ別 中級から学ぶ日本語 三訂版』 ・ 本文〈歌の力〉

歌が人と人をつなぐ力がテーマの課です。本文は、カラオケや送別会のような場で歌うのが苦手な人の気持ちから入り、だれでも知っている歌を声をそろえて歌うと見知らぬ人どうしでも気持ちが通じること、昔は田植えや漁のような仕事の中で歌がはげまし合いや喜びを分かち合う役をしていたこと、という話題の読み物だと新しい言葉から推測されます。文型は、言い訳や事情の説明をする「〜ものだから」、動作の段階を言う「〜ところだ」、その「ところ」に助詞を付けて後ろにつなぐ「〜ところへ/を/に/で/まで」、限りはあるがその程度に合ったやり方でを言う「〜なり(に)」、強い確信を言う「〜に違いない」。芯は「ところ」の2項目で、時間の線を1本引いて、直前・途中・直後と、そこに割り込む出来事を同じ板書で見せます。「〜ところだ」は第5課の「〜たばかり」、第8課の「〜たところ」と、「〜に違いない」は第9課の「〜はずだ」と並べて違いを確かめます。

このページについて教科書の本文・例文・設問は載せていません。例文と場面はすべて自作です。学習項目の名前は教科書の「使いましょう」の見出しに合わせています。
学習項目5時間90分×2コマ語彙48語

この課のねらい(Can-do)

  • 「〜ものだから」で、遅刻や失敗のような自分のしたことの事情を、言い訳として丁寧に説明できる(後ろに頼みや命令を置かない)
  • 「〜るところだ/〜ているところだ/〜たところだ」で、動作の直前・途中・直後を言い分け、「〜るところだった」で、もう少しでそうなりかけたことを話せる
  • 「〜ところへ(に)/を/で/まで」を、後ろの動詞(来る・見られる・やめる・進む)に合わせて選び、「お忙しいところを」のような挨拶にも使える
  • 「〜なりに/〜なりの」で、十分ではないがその人やものの程度に合ったやり方で、ということを、自分のことなら謙遜しながら言える
  • 「〜に違いない」で、手がかりから強く確信していることを言い、「〜はずだ」「〜だろう」と確信の強さや根拠の種類で言い分けられる
  • 本文を読んで、歌が人と人をつなぐ場面を自分の経験から一つ挙げて話せる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
新しい言葉20分48語と多いので、読みと短い意味の確認は手早く。「えんりょ/えんりょがち」「勇気/勇気づける」「耐える/耐え難い」「立場/立場上」は元の語と派生の組で板書の端に残す。「声をそろえる」「声を合わせる」「汗を流す」「間がある」は決まった言い方としてまとめる。「田植」「摘む」「網」「浜」は絵や写真で一度に見せる。「〜ものだから」「〜ところ」「〜なりに」「〜に違いない」は学習項目でも扱うので、ここでは意味だけ確かめる
いっしょに考えましょう10分「人前で歌うのは好き? 苦手?」「みんなで歌った歌で覚えているものは?」を1人1つ。苦手だと言った学習者の理由を黒板に残しておくと、「〜ものだから」の導入に使える
読みましょう(大意)20分教師の範読→段落ごとの音読→「歌が苦手な人はどんな気持ちか・どんなときに歌が人をつなぐか・昔の人は歌をどう使っていたか」の3点で大意をつかむ。精読は2コマ目の初めか宿題に回してよい
答えましょう15分設問を一緒に解き、答えが本文のどこにあるかを指で押さえさせる。筆者の考えを問う設問は、題の「歌の力」と結びつけて口頭で短く答えさせる
使いましょう(学習項目1・2)25分1コマ目の後半。「〜ものだから」(10分)は遅刻の芝居から入り、後ろに頼みを置かないことを確かめる。「〜ところだ」(15分)は時間の線を1本引いて3つの形を並べる。この線は写真に撮っておき、2コマ目の学習項目3でもう一度使う
使いましょう(学習項目3)25分2コマ目の前半。「〜ところだ」の線を復習(3分)→「ところへ・に/を」(10分)→「ところで/まで」(7分)→後ろの動詞を見て助詞を選ぶ練習(5分)。「お忙しいところを」は挨拶の言い方として最後に1〜2例
使いましょう(学習項目4・5)30分「〜なり(に)」(15分)は第9課の「〜として」と並べる。「〜に違いない」(15分)は第9課の「〜はずだ」と並べ、確信の強さを目盛りで見せる
まとめましょう・話しましょう25分「歌が人と人をつないだと思った経験」を3〜4文で(〜ものだから・〜ところへ/を・〜なりに・〜に違いない から1つ以上)。話しましょうはペアで「人前で歌うことを頼まれたらどうするか」
漢字を練習しましょう10分読み書き(A)は宿題、読みだけ(B)は本文を読みながら確認する

学習項目 1 〜ものだから

意味・はたらき学習項目 1

理由を言う形で、とくに「そうするしかなかった」「仕方がなかった」と、自分のしたこと(遅刻・失敗・約束を守れなかったこと)の言い訳や事情の説明をするときに使う。理由そのものを伝えるより、「わかってほしい」という話し手の気持ちが出る。後ろの文は起きてしまった事実や結果で、命令・誘い・話し手の意志(〜しなさい・〜ましょう・〜つもりだ)は来にくい。会話では「〜もんだから」「〜もので/もんで」とも言い、目上の人に謝るときは「〜ものですから」「〜もので」がよく使われる。文法の見方では「から」「ので」と同じ原因・理由の従属節だが、話し手の主張よりも事情の説明に寄った言い方。

接続

動詞・い形容詞の普通形+ものだから/な形容詞の語幹・名詞は「な」を付けて+ものだから(静かなものだから・初めてなものだから)

形
V普通形+ものだから(電車が止まったものだから、授業に遅れた)イA普通形+ものだから(あまりに眠かったものだから、話を聞いていなかった)ナA語幹/N+な+ものだから(初めてなものだから、緊張してしまった)〜ものですから/〜もので(丁寧・おわび:道が混んでいたもので、遅くなりました)

導入

  • 遅刻の芝居で言い訳の気持ちを見せる教師が教室に遅れて入ってくる芝居をし、1回目は「バスが遅れたので、遅くなりました」、2回目は頭を下げながら「バスがなかなか来なかったものですから……」と言う。どちらが言い訳らしく聞こえるかを学習者に聞き、「ものだから」には「仕方がなかったんです」という気持ちが入ると板書する。
  • 「から」と並べて、後ろの文の違いを見せる左に「雨だから、傘を持っていきなさい」、右に「雨だったものだから、出かけるのをやめた」を書く。左は後ろが命令でも言えるが、右の「ものだから」は後ろが起きてしまったこと・したことになる、と後ろの文に色を付ける。右の後ろを命令に変えるとおかしくなることを学習者に言わせる。

板書案

普通形 + ものだから、〜(起きてしまったこと)
ナA語幹/N + な + ものだから(初めてなものだから)
道が混んでいたものですから、遅くなってしまいました。
〔赤〕前=わかってほしい事情 〔青〕後ろ=起きてしまったこと・したこと
〔誤りの例〕*雨なものだから、傘を持っていきなさい → 雨だから

場面と発話(自作)

  • 宿題を出さなかった留学生が、授業のあとで先生に事情を話す。すみません、きのうは熱が出てしまったものですから、宿題ができませんでした。
  • 会社の送別会の二次会でカラオケに行ったが、一曲も歌わなかった。次の日、同僚に理由を話す。歌はどうも苦手なものだから、きのうはずっと聞く役だったんです。
  • 取引先に送る資料が1日遅れた。課長に理由を報告する。先方からの数字が届くのが遅かったものですから、資料が今日になってしまいました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が「遅刻した」「電話に出なかった」「約束を忘れた」のようなカードを見せ、学習者が事情を付けて「〜ものですから、〜てしまいました」で言い訳をする。後ろに頼みや命令が入っていないか、名詞・な形容詞に「な」が付いているかを確かめてから教科書の練習へ。

  1. 口頭教師が「したこと」カード(授業に遅れた・メールの返事が遅れた・会議の資料を忘れた・電話に出られなかった)と「事情」カード(電車が止まった・体調が悪い・初めての場所・道が混んでいた)を1枚ずつ出す。全体で「電車が止まったものですから、授業に遅れてしまいました」と言い、次に事情カードを伏せて学習者が自分で事情を作る。名詞の事情(初めて・雨)が出たら「な」に注意させる。個人指名で3〜4人。
  2. ペア先生と学生、または上司と部下の役。学生(部下)役は「したこと」カードを引き、「〜ものですから」で事情を説明しておわびする。先生(上司)役は「そうですか。次はどうしますか」と聞き、学生役は次にどうするかを別の文(次からは〜ようにします)で答える。言い訳の文と、これからの文を分けて言わせるのがねらい。役を交替する。
  3. 産出「おわびの電話ロールプレイ」: アルバイトに遅れる・友だちとの約束に間に合わないなどの場面を選び、相手に電話をかけて、事情(〜ものですから)・おわび・これからどうするかの3つを言う。教師は、後ろの文に頼みや命令を入れていないか、目上の相手に「〜ものだから」を何度も重ねて言い訳ばかりに聞こえていないかを見て直す。

つまずきと手当て

  • 後ろに命令・誘い・自分の意志を置く(*雨なものだから、傘を持っていきなさい/*時間がないものだから、急ぎましょう)。後ろが「これからしてほしいこと・しようと思うこと」なら「から」に言い換えると伝え、「ものだから」の後ろは起きてしまったことだと板書の色で固定する
  • 名詞・な形容詞に「な」を付けない(*初めてだものだから/*雨だものだから)。「な+ものだから」をひとかたまりで覚えさせ、「静かな部屋」と同じ「な」だと見せる
  • 目上の人に何度も使って、言い訳ばかりに聞こえる。文法の誤りではないが、「〜ものですから」でおわびしたあとは「申し訳ありません」「次から〜します」を続けると印象がよくなると伝える

既習の文型との違い

  • 〜から/〜ので(初級)「から」「ので」は理由を言う基本の形で、後ろに頼みや命令も来る(時間がないので、急いでください)。「〜ものだから」は自分のしたことの言い訳や事情の説明に使い、後ろは起きてしまったことになる。同じ事情でも「ので」は客観的に、「ものだから」は「仕方がなかった」という気持ちを込めて言う、と並べて見せる。
  • 〜ものだ(第6課)第6課の「〜ものだ」は、だれにでも当てはまる性質や感心を言う文末の形(時間がたつのは早いものだ)。「〜ものだから」は文の途中で理由を言い、後ろに文が続く。形が似ているので、文がそこで終わるか、後ろに続くかで見分けさせる。
関連する文型

学習項目 2 〜ところだ

意味・はたらき学習項目 2

動作が時間の流れの中で、今どの段階にあるかを言う。「Vるところだ」は始まる直前(今から〜する)、「Vているところだ」はちょうど途中(今まさに〜している)、「Vたところだ」は終わった直後(たった今〜した)。「ところ」はもともと場所の言葉だが、ここでは時間の線の上の一点を指す。文法の見方では、動作のどの段階かを表すアスペクトの言い方。「Vるところだった」は、もう少しでそうなりかけたが実際にはならなかった、という意味になり、危なかったことやほっとした気持ちを言う。

接続

動詞の辞書形・ている形・た形+ところだ(丁寧は「ところです」。会話では「ところなんだ/ところなんです」が多い)

形
Vる+ところだ(今から家を出るところだ)Vている+ところだ(今、資料をまとめているところです)Vた+ところだ(ちょうど駅に着いたところだ)Vる+ところだった(もう少しで電車に乗り遅れるところだった)

導入

  • 一つの動作を3つの場面で見せる教師が本を手に取って「今から読むところです」、ページをめくりながら「今、読んでいるところです」、本を閉じて「今、読み終わったところです」と動作をしながら言う。黒板に時間の線を1本引き、動作の前・途中・後ろの3か所に印を付けて、それぞれに辞書形・ている形・た形の「ところだ」を書く。
  • 電話の「今、何してる?」で答えさせる教師が電話をかける身ぶりで「もしもし、今、何してる?」と聞き、学習者に絵カード(玄関で靴をはく人・料理中の人・食べ終わった皿)を見せて答えさせる。「出かけるところ」「作っているところ」「食べたところ」と、絵のどの瞬間かで形が変わることを確かめる。

板書案

〔時間の線〕──●前──────●途中──────●後ろ──→
前=Vる + ところだ(今から出かけるところだ)
途中=Vている + ところだ(今、料理を作っているところだ)
後ろ=Vた + ところだ(ちょうど駅に着いたところだ)
〔赤〕Vる + ところだった=もう少しで〜しそうだった(でも、しなかった)

場面と発話(自作)

  • 待ち合わせに少し遅れそうなとき、友だちから「今どこ?」と電話がかかってきた。ごめん、今ちょうど家を出るところ。15分ぐらいで着くよ。
  • 会社で上司に、会議の資料はもうできたかと聞かれた。今、数字を確かめているところです。あと10分ほどお待ちください。
  • 送別会の会場の店に着いたとき、先に来ている幹事から電話がかかってきた。ちょうど今、お店の前に着いたところです。すぐ入ります。
  • 朝寝坊して、ぎりぎりで試験の教室に入った。休み時間に友だちに話す。目覚ましが鳴らなくて、もう少しで試験に遅れるところだったよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が絵カード(出かける直前・料理の途中・食べ終わり など)を出し、学習者が「今、〜ところです」で答える。3つの形がそろったら、「危なかった話」を「もう少しで〜ところだった」で1つずつ。そのあと教科書の練習へ。

  1. 口頭教師が同じ動作の3枚組の絵(シャワーの前・シャワーの最中・シャワーのあと/手紙を書く前・書いている途中・書き終わり/ご飯の前・食べている途中・食べ終わり)を1枚ずつ見せ、全体で「今から〜ところです」「今、〜ているところです」「今、〜たところです」と言う。慣れたら絵の順番をばらばらにして個人指名で答えさせる。
  2. ペア電話のロールプレイ。Aは「今、何してる? ちょっと手伝ってほしいんだけど」と頼み、Bは引いたカード(出かける直前・料理の途中・宿題が終わった直後)を見て「今、〜ところだから、〜」と答え、手伝えるか手伝えないかを言う。Aは答えに合わせて「じゃあ、あとでいいよ」「じゃあ、お願い」と返す。役を交替する。
  3. 産出「危なかった話」: 自分が「もう少しで〜ところだった」経験(電車に乗り遅れる・財布を忘れる・寝坊する)を一つ選び、何があったか・どうして助かったかを3文で話す。教師は「〜るところだった」の前が辞書形になっているか、「〜たところだった」と混ぜていないかを見て直す。話の中で「〜ているところへ」のような次の学習項目の形が自然に出たら、板書に残して学習項目3の入口にする。

つまずきと手当て

  • 状態を表す動詞に使う(*答えを知っているところです/*お金があるところです)。「ところだ」は動作の段階を言う形なので、始まりと終わりがある動作の動詞に使うと伝える
  • 時間が長くたったことに「たところだ」を使う(「先月日本に来たところです」は不自然)。話す人が「まだ少ししかたっていない」と感じる長めの時間なら第5課の「〜たばかり」を使う、と並べて見せる
  • 「Vるところだった」を「今から〜する」と同じ意味だと思う。「だった」が付くと、実際にはそうならなかった話になることを、危なかった話の例で確かめる

既習の文型との違い

  • 〜たばかり(第5課)どちらも「〜してから時間がたっていない」と言える。「〜たところだ」は終わった直後の一点を指し、たった今の話に使う(今、着いたところです)。「〜たばかり」は話す人がまだ少ししかたっていないと感じていれば、数か月前のことにも使える(先月来たばかりです)。
  • 〜たところ(第8課)第8課の「〜たところ、〜」は、してみた結果を後ろの文で言う形で、文が続く(店に聞いたところ、在庫がないと言われた)。この課の「〜たところだ」は、終わった直後という時間の言い方で、文がそこで終わる。後ろに文があるかどうかで見分けさせる。
関連する文型

学習項目 3 〜ところへ/を/に/で/まで

意味・はたらき学習項目 3

学習項目2の「ところ」(時間の中のある場面・時点)に助詞を付けて、後ろの文につなぐ形。「〜ところへ/〜ところに」は、ちょうどその時に、だれかが来た・何かが起きたことを言い、後ろは「来る・入ってくる・電話がかかってくる」のような、こちらへ向かってくる出来事が多い。予想していなかったことや、じゃまが入ったことを言う場合が多い。「〜ところを」は、その場面を後ろの動詞の対象にする言い方で、「見る・見られる・見つかる・助ける・起こす」が来る。「お忙しいところを」「お休みのところを」は、相手の都合がよくない時にあえて、という挨拶になる。「〜ところで」は、その時点・区切りで次のことが起きたり、何かをやめたりすること。「〜ところまで」は、その段階まで、という範囲を言う。

接続

動詞の辞書形・ている形・た形(「〜(よ)うとしている/〜(よ)うとした」も多い)+ところへ/に/を/で/まで。「お忙しいところ」「お休みのところ」のように、い形容詞や「名詞+の」にも付く

形
Vようとしているところへ/に、〜が来た(出かけようとしているところへ、客が来た)Vているところを、〜に見られた(居眠りしているところを、先生に見られた)お忙しいところを、〜(お忙しいところを、ありがとうございます)Vたところで、〜(話が終わったところで、チャイムが鳴った)Vた/Vる+ところまで(きのう読んだところまで復習する)

導入

  • 学習項目2の時間の線に「割り込み」を描く学習項目2の板書(時間の線)を写真か描き直しで出し、「寮の部屋で一人で歌っている」の途中の印に、外から矢印を1本差し込んで「友だちが入ってきた」と書く。「歌っているところへ、友だちが入ってきた」と言い、恥ずかしかった気持ちも添える。次に同じ場面で、矢印を「見られた」に変えて「歌っているところを、友だちに見られた」と言い、助詞が変わったことに気づかせる。
  • 後ろの動詞から助詞を選ぶ黒板の右に後ろの動詞カード(来る・電話がかかってくる/見られる・見つかる・助ける/やめる・休む・終わる/進む・読む)を4つのまとまりで貼り、それぞれの上に「へ・に」「を」「で」「まで」を書く。「ところ」の後ろの助詞は、後ろの動詞を見て決める、とまとめる。

板書案

〔時間の線〕歌っている ●←〔矢印〕だれかが来る・見る
Vているところ + へ/に + 来る・電話がかかる(ちょうどその時に)
Vているところ + を + 見られる・見つかる・助ける
Vたところ + で + 区切る・次のことが起きる/Vたところ + まで + その段階まで
〔挨拶〕お忙しいところを、ありがとうございます。
〔誤りの例〕*歌っているところへ、友だちに見られた → ところを

場面と発話(自作)

  • 寮の部屋で送別会のための歌を一人で練習していた。翌日、友だちに話す。大きな声で歌っているところへ隣の人が入ってきて、すごく恥ずかしかった。
  • 会社の昼休み、自分の席でうとうとしていた。同期の同僚に話す。机でうとうとしているところを、部長に見られちゃったんだ。
  • 取引先の担当者が、急な打ち合わせのために時間を作ってくれた。打ち合わせの初めに言う。お忙しいところをお時間をいただき、ありがとうございます。
  • 日本語の授業で、教師が長い練習の途中に学習者の様子を見て言う。ちょうど半分まで終わったところで、少し休憩しましょう。
  • 週に一度の読書会で、前回どこまで読んだかを確かめる。前回は第3段落を読んだところまででしたね。今日はその続きからです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が「〜ているところ」の絵(電話している・寝ている・料理している)と後ろの出来事のカード(友だちが来た・先生に見られた・電気が消えた)を組み合わせて出し、学習者が助詞を選んで1文にする。「で」「まで」は授業の区切りの言い方(きりのいいところで・読んだところまで)で短く確かめてから、教科書の練習へ。

  1. 口頭教師が場面の絵(シャワーを浴びている・出かけようとしている・試験の答えを見せ合っている・歌の練習をしている)と、後ろの出来事のカード(電話がかかってきた・宅配便が来た・先生に見つかった・友だちに見られた)を出す。全体で「出かけようとしているところへ、宅配便が来た」のように言い、次に教師が後ろのカードだけ見せて学習者が助詞を選ぶ。助詞を間違えたら、後ろの動詞のカードを指して選び直させる。
  2. ペア「タイミングが悪かった話」づくり。Aは場面のカード、Bは出来事のカードを持ち、Aが「〜ているところだった」と言うと、Bが自分のカードを見て「そのとき、〜」と続ける。2人で1文にまとめ(〜ているところへ/を、〜)、助詞が後ろの動詞に合っているかを2人で確かめる。役を交替し、最後に「お忙しいところを」を使ったお礼を1回ずつ言う。
  3. 産出「間の悪い瞬間スピーチ」: 自分が経験した「ちょうど悪いときに何かが起きた・見られた」話を一つ選び、「〜ているところへ/を」を使って4文で話す(いつ・何をしていたか・何が起きたか・どう思ったか)。教師は、後ろが「来る・起きる」なら「へ・に」、「見られる・見つかる」なら「を」になっているか、「ところへ」の後ろが外から来た出来事になっているかを見て直す。

つまずきと手当て

  • 「へ」と「を」を取り違える(*寝ているところへ、母に見られた/*料理しているところを、友だちが来た)。後ろの動詞が「来る・入ってくる」なら「へ・に」、「見られる・見つかる」なら「を」と、後ろの動詞のカードと助詞を組にして覚えさせる
  • 「ところへ/に」の後ろに話し手自身の意志の行動を置く(「出かけようとしているところへ、私は友だちに電話した」は不自然)。「ところへ/に」の後ろは、外から来た出来事や、ほかの人の動きになると伝え、自分の行動なら「〜とき」「〜前に」で言わせる
  • 「〜たところで」に「〜しても無駄だ」という別の意味(今から急いだところで、間に合わない)があることに学習者が気づいて混乱する。上級で学ぶことが多い使い方なので、この課では「その時点で・区切りで」の「で」に絞り、聞かれたら別の形として短く紹介する

既習の文型との違い

  • 〜たところ(第8課)第8課の「〜たところ、〜」は、自分が調べる・聞くのような動作をした結果を言う(店に聞いたところ、在庫がなかった)。「〜ているところへ、〜」は、自分が何かをしている最中に外から何かが割り込んでくることを言う(店で探しているところへ、店員が来た)。前が「確かめる動作」か「している途中の場面」かで分けさせる。
  • 〜とき(初級)「〜とき」は時を広く言う一般的な形で、後ろに自分の意志の行動も来る(出かけるとき、かぎをかけた)。「〜ところへ」は「ちょうどその瞬間に」と時をしぼり、予想していなかった出来事が外から来たことを言う。同じ場面を両方で言い、「ところへ」のほうが「タイミングが悪い・ちょうどいい」という気持ちが出ることを確かめる。
関連する文型

学習項目 4 〜なり(に)

意味・はたらき学習項目 4

「Nなりに」「Nなりの」で、十分ではない・限りはあるが、その人やものの程度・立場に合ったやり方で、という意味。「子どもなりに考えた」は、大人ほどではないが子どもとしてできるかぎり考えた、ということ。自分について「私なりに」「自分なりに」と言うと、まだ足りないところがあると謙遜しながら、努力したことを伝える言い方になる。「自分なりの方法」のように「の」で名詞を修飾することも多い。い形容詞・な形容詞では「狭いなら狭いなりに」「下手は下手なりに」のくり返しの形で、その条件に合ったやり方で、という意味になる。

接続

名詞+なりに/なりの。い形容詞の辞書形・な形容詞の語幹にも付く(若いなりに・下手なりに)。「〜なら〜なりに」「〜は〜なりに」のくり返しの形も多い

形
N+なりに+V(子どもなりに一生懸命考えた)私なりに/自分なりに+V(自分なりに調べてみました)N+なりの+N(自分なりの覚え方がある)〜なら〜なりに/〜は〜なりに(狭いなら狭いなりに工夫する)

導入

  • 「100点ではないけれど、精一杯」を図で見せる黒板に目盛りを書き、大人の考えを100、子どもの考えを40の高さにする。40の線の上に「でも、40の中で精一杯」と書き、「子どもなりに考えた」と言う。次に学習者自身の日本語の力を目盛りにして、「私なりに日本語で説明してみます」と教師が学習者の立場で言ってみせる。
  • 苦手な歌の話で「〜なら〜なりに」へ教師が「歌が苦手な人は、送別会で何ができる?」と聞き、学習者から「手拍子をする」「楽器を鳴らす」などを出させる。それを受けて「苦手なら苦手なりに、楽しみ方がある」と板書し、くり返しの形はその条件に合ったやり方を言うと示す。

板書案

N + なりに + V(十分ではないが、その程度に合ったやり方で精一杯)
〔目盛り〕大人100 子ども40 →「40の中で精一杯」=子どもなりに考えた
自分なりの + N(自分なりの覚え方)
苦手なら苦手なりに、楽しみ方がある。
〔注意〕目上の人には使わない(部長なりに → 失礼に聞こえる)

場面と発話(自作)

  • ゼミの発表のあと、先生に準備の仕方を聞かれた留学生が答える。まだ足りないところはあると思いますが、私なりに資料を調べてまとめてみました。
  • 送別会で歌うのをいやがる後輩に、先輩が声をかける。歌が苦手なら苦手なりに、手拍子で盛り上げてくれればいいんだよ。
  • 小学生の娘が、引っ越していく友だちのために手紙を書いていた。母親が夫に話す。あの子はあの子なりに、何を書けば喜んでもらえるか考えていたみたい。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が「留学生」「新人」「子ども」「初心者」のカードを出し、学習者が「〜なりに〜」で、限りはあるが精一杯したことを言う。次に「自分なりの〜」で、自分の勉強法や習慣を1つずつ。目上の人を主語にしていないかを確かめてから教科書の練習へ。

  1. 口頭教師が「立場」カード(新人・留学生・子ども・初心者)と「したこと」カード(資料を作った・日本の歌を覚えた・料理を作った・ルールを考えた)を組み合わせて見せ、全体で「新人なりによく調べて資料を作った」のように言う。次に「自分なりの〜」の形で、カード(覚え方・楽しみ方・やり方)を見て学習者が自分のことを1文ずつ言う。個人指名で3〜4人。
  2. ペアインタビュー。Aが「日本語の勉強で、自分なりに工夫していることは?」「日本の生活で、自分なりの楽しみ方は?」と聞き、Bが「自分なりに〜」「自分なりの〜」で答える。Aは「それはいいですね。どうしてそうしようと思ったんですか」と1つ聞き返す。役を交替する。
  3. 産出「自分なりの〇〇法」発表: 自分なりの勉強法・歌の覚え方・ストレスの解消法を一つ選び、「〜は〜なりに」「自分なりの〜」を使って3〜4文で紹介する。教師は、「なりに」を自分や年下・同じ立場の人に使っているか(目上の人を主語にして失礼に聞こえていないか)、動詞に直接付けていないかを見て直す。

つまずきと手当て

  • 目上の人に使う(「部長なりに頑張っていらっしゃいます」)。「部長の力はその程度だ」と聞こえて失礼になりうるので、自分や年下・同じ立場の人について使うと伝える
  • 動詞に直接付ける(*頑張るなりに、試験を受けた)。この意味の「なりに」は名詞や形容詞に付くと示し、「自分なりに頑張った」と言い換えさせる。動詞に付く「〜するなり」(〜するとすぐ)は意味の違う別の形で、上級で学ぶことが多いと短く添える
  • 「〜らしく」と混ぜる(いかにも子どもという様子を言いたいのに「子どもなりに元気に遊ぶ」と言う)。典型的な様子なら「子どもらしく」、子どもの力の範囲で精一杯なら「子どもなりに」と並べて選ばせる

既習の文型との違い

  • 〜として(第9課)「〜として」は立場・資格・役割をそのまま言う(留学生として発表する)。「〜なりに」は、その立場には限りがあるが、その中で精一杯という評価が入る(留学生なりに工夫して発表した)。同じ「留学生」で2つの文を作り、「なりに」には謙遜や「足りないけれど」という気持ちが加わることを確かめる。
  • 〜らしく/〜らしい(初級〜中級)「子どもらしく」は、いかにも子どもという典型的な様子を言う(子どもらしく元気に遊ぶ)。「子どもなりに」は、大人ほどではない子どもの力の範囲で、という意味になる(子どもなりに悩んでいた)。ほめ方も違い、「らしく」は様子を、「なりに」は努力を認める言い方になる。
関連する文型

学習項目 5 〜に違いない

意味・はたらき学習項目 5

話し手が何かの手がかりから「きっと〜だ」「ほかの可能性はほとんどない」と強く確信していることを言う。手がかりは目で見た事実のこともあるが、経験や直感からそう思う場合にも使える。物語・作文・説明文などの書き言葉に多く、会話では「きっと〜と思う」「〜に決まってる」のほうがふつう。文法の見方では、話し手の判断を表すモダリティの一つで、確信の強さは「〜かもしれない」<「〜だろう」<「〜に違いない」の順に強くなる。話し手自身のこれからの行動(意志)には使わない。

接続

動詞・い形容詞の普通形+に違いない/な形容詞の語幹・名詞+に違いない(「だ」は付けない。書き言葉では「〜であるに違いない」も)。丁寧は「〜に違いありません」

形
V普通形+に違いない(電気がついているから、もう帰っているに違いない)イA普通形+に違いない(あんなに並んでいるから、おいしいに違いない)ナA語幹/N+に違いない(あの歌声はプロの歌手に違いない)Vた+に違いない(昔の人も同じことを感じたに違いない)

導入

  • 探偵ごっこで手がかりから確信へ教師が「同僚の机の上に旅行のパンフレット、カレンダーに丸、朝からずっとにこにこ」と手がかりを3つ板書し、「休みに旅行に行くに違いない」と言う。手がかりが1つのときは「〜かもしれない」、2つで「〜だろう」、3つそろうと「〜に違いない」と、確信の目盛りを横に書いて強さの違いを見せる。
  • 「だ」を付けない形を確かめる「学生」「静か」「元気だった」のようなカードを出し、学習者に「に違いない」を付けさせる。「学生に違いない」「静かに違いない」のように、名詞・な形容詞では「だ」が消えることを、「学生だ→学生に違いない」と板書で線を引いて見せる。

板書案

普通形 + に違いない(きっと〜だ・ほかの可能性はほとんどない)
ナA語幹/N + に違いない(*学生だに違いない → 学生に違いない)
朝からにこにこしているから、いいことがあったに違いない。
〔目盛り〕かもしれない < だろう < に違いない(確信が強い)
〔青〕〜はずだ=予定・知識からの理屈 〔赤〕〜に違いない=手がかりからの強い確信

場面と発話(自作)

  • 寮で、隣の部屋から毎晩同じ歌の練習が聞こえてくる。ルームメートに話す。毎晩同じ歌を練習しているから、来週の送別会で歌うに違いないね。
  • いつもは静かな同僚が、朝からずっとにこにこしている。昼休みに別の同僚と話す。朝からあんなにうれしそうだから、何かいいことがあったに違いない。
  • 駅のベンチに財布が落ちていた。さっきまでそこに座っていた人を思い出して、友だちに言う。これ、さっきここに座っていた人のに違いないよ。駅員さんに届けよう。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が手がかりの絵(ぬれた傘・行列のできた店・電気の消えた部屋)を見せ、学習者が「〜から、〜に違いない」で確信を言う。名詞・な形容詞に「だ」を付けていないかを確かめ、同じ手がかりを「〜かもしれない」「〜だろう」でも言って強さを比べてから、教科書の練習へ。

  1. 口頭教師が手がかりの絵(ぬれた傘を持った人・行列のできた店・カーテンの閉まった部屋・日焼けした同僚)を見せ、全体で「傘がぬれているから、外は雨に違いない」のように言う。次に、手がかりの数を1つ・2つ・3つと増やしながら同じ文を「かもしれない」「だろう」「に違いない」で言い分ける。名詞の結論(雨・プロの歌手)で「だ」を付けていないかを全体で確かめる。
  2. ペア「これはだれの持ち物?」推理。Aは持ち物のカード(楽譜・日本語の教科書・小さい子どもの靴など)を見せ、Bが手がかりを2つ以上言ってから「〜さんのに違いない」と推理する。Aは「どうしてそう思うの?」と聞き返し、Bは「〜から」で根拠を足す。役を交替する。
  3. 産出「名探偵の推理メモ」: 教室や身の回りの小さななぞ(だれが黒板を消したか・昔の人はどうして仕事のときに歌ったか)を一つ選び、手がかりを2つ書いてから「〜に違いない」で結論を書く(3〜4文)。教師は、根拠になる手がかりが書けているか、自分のこれからの行動に使っていないか、名詞・な形容詞に「だ」を付けていないかを見て直す。

つまずきと手当て

  • 名詞・な形容詞に「だ」を付ける(*学生だに違いない/*静かだに違いない)。「だ」を消して付けることを板書の線で見せ、「はずだ」の前(学生のはず)とも形が違うことを確かめる
  • 話し手自身のこれからの行動に使う(「明日は早く起きるに違いない」で「起きるつもりだ」と言いたい)。自分の意志なら「〜つもりだ」「〜ようと思う」で言い、「に違いない」は確かめられないことへの判断だと伝える
  • 会話で多く使って、大げさに聞こえる。文法の誤りではないが、友だちとの会話では「きっと〜よ」「〜に決まってる」、丁寧な会話では「おそらく〜と思います」のほうが自然なことが多いと伝え、作文や物語の中で使う練習に寄せる

既習の文型との違い

  • 〜はずだ(第9課)「〜はずだ」は、知っている事実・予定・理屈から当然そうだと判断する(3時に出たから、もう着いているはずだ)。「〜に違いない」は、目の前の手がかりや経験から話し手が強く確信していることを言い、理屈がはっきりしない直感にも使える。「〜はずだったのに」のように予定どおりにならなかったことは「はずだ」でしか言えない。
  • 〜だろう/〜かもしれない(初級)どれも話し手の推量だが、確信の強さが違う。「〜かもしれない」は可能性がある程度、「〜だろう」はたぶんそうだ、「〜に違いない」はほかの可能性はほとんどないと思っている。同じ手がかりから3つで言わせ、手がかりの数と確信の強さを結びつけて見せる。
関連する文型

語彙の扱い

この課の新出語は 48 語(本文を読むための語 48・練習などの語 0)。1語ずつの意味・いっしょに使う助詞と連語・例文は語彙のページにあります。

新しい言葉は本文に出る順で48語と多い。読みと意味の確認は1語ずつ時間をかけず、元の語と派生した語(えんりょ/えんりょがち、勇気/勇気づける、耐える/耐え難い、立場/立場上)は組にして覚えさせる。「声をそろえる」「声を合わせる」「汗を流す」「間がある」は決まった言い方としてまとめ、「声をそろえる」と「声を合わせる」はほぼ同じ意味で使えると添える。「田植」「摘む」「網」「浜」は昔の仕事と歌の話に出る語なので、絵や写真で一度に見せる。「〜かねる」「〜ては」は語彙にだけ出る文型なので、本文の文脈で意味を確かめ、「〜かねない」「〜てはいけない」と混ぜないよう注意する。「〜ものだから」「〜ところ」「〜なりに」「〜に違いない」は学習項目で扱う。語ごとの意味・連語・場面は語彙のページに。

第16課の語彙リスト(48語)新出語の意味・いっしょに使う助詞と連語・例文(自作)を五十音順に
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本文の扱い

本文の中身は手元の教科書で確かめること。新しい言葉(なじむ・送別・誘う・立場上・生まれつき・苦手・耐え難い・どうしても・童謡・白ける・えんりょがち・勇気づける・声をそろえる・見知らぬ・分かち合う・田植・摘む・網・浜・はげます)から、送別会などで歌に誘われても、歌が苦手でえんりょがちな人にはつらいこともあるが、だれでも知っている歌を声をそろえて歌うと、見知らぬ人どうしでも気持ちが通じたり勇気づけられたりすること、また昔は田植えや茶摘み、浜で網を引くような仕事の中で、歌がはげまし合いや喜びを分かち合う役をしていたこと、という話題の読み物だと推測される。精読では「歌が苦手な人はどんな場面でつらいと感じるか」「どんな歌なら人と人がつながると筆者は考えているか」「昔の人は仕事の中で歌をどう使っていたか」「題の『歌の力』とは何か」の4点を段落ごとに聞く。「どうしても」「〜かねる」「立場上」のように、したくないのに断りにくい気持ちを表す語のところで一度止め、筆者や登場する人がそのときどう感じているかを学習者に言わせる。歌が苦手な学習者もいるので、話し合いでは歌うことを強いず、聞く・手拍子をするのも参加の仕方だと受け止める。

宿題と次のコマ

使いましょう(学習項目1〜5)の練習の残りと、漢字 A の書き取り。「〜ところだ」の3つの形と「〜ところへ/を/で/まで」を、自分の一日の場面で1文ずつ書いてくる。まとめましょうの「歌が人と人をつないだと思った経験」を4文(〜ものだから・〜ところへ/を・〜なりに・〜に違いない から2つ以上)で書いてくる。次のコマは本文の精読の続きと話しましょう。

よくある質問

  • 第16課「うたう」は何コマで終わりますか?

    90分なら2コマが目安です。1コマ目で新しい言葉・本文の大意・設問と学習項目1・2、2コマ目で学習項目3〜5とまとめ・漢字まで進めます。「ところ」の2項目に時間がかかるクラスは、学習項目2と3を同じコマで続けて扱い、精読を3コマ目に回してもかまいません。

  • 「〜ものだから」と「〜ので」はどう教え分けますか?

    「〜ので」は理由を客観的に言う形で、後ろに頼みや命令も来ます。「〜ものだから」は自分のしたことの言い訳や事情の説明に使い、「仕方がなかった」という気持ちが入ります。後ろの文は起きてしまったことになるので、「〜ものだから、〜しなさい」のような文は作らせないようにします。遅刻のおわびのような場面で2つを言い比べると違いがつかみやすくなります。

  • 「〜ところだ」の3つの形は、どの順で教えればいいですか?

    動作の流れに沿って、直前(Vるところだ)→途中(Vているところだ)→直後(Vたところだ)の順で、時間の線を1本引いて同時に見せるのがわかりやすいです。そのあと「Vるところだった」(もう少しでそうなりかけた)を足します。「〜たところだ」は第5課の「〜たばかり」、第8課の「〜たところ、〜」とも並べて、形が似ている3つを区別させます。

  • 「〜ているところへ」と「〜ているところを」の違いは何ですか?

    後ろの動詞で決まります。「来る・入ってくる・電話がかかってくる」のように何かがこちらへ来るなら「へ(に)」、「見られる・見つかる・助ける」のようにその場面を対象にするなら「を」です。同じ「歌っているところ」に、後ろの動詞を変えて「友だちが入ってきた/友だちに見られた」と続け、助詞が変わるのを見せると定着しやすくなります。

  • 「〜に違いない」と「〜はずだ」はどう違いますか?

    「〜はずだ」は予定・知識・理屈から当然そうだと判断する言い方で、「〜はずだったのに」のように予定どおりにならなかったことも言えます。「〜に違いない」は目の前の手がかりや経験から話し手が強く確信していることを言い、直感にも使えます。また、名詞・な形容詞には「学生に違いない」と「だ」を付けずに続く点も、「学生のはずだ」と並べて確かめます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。

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手引きで扱っている教科書。本文・例文は手元の教科書で確かめてください。