日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

中級から学ぶ日本語 第10課「なれる」の教案

『テーマ別 中級から学ぶ日本語 三訂版』 ・ 本文〈腕時計〉

「なれる」(慣れる)がテーマの課です。本文は、長く身につけてきた腕時計が使えなくなり、時計のない生活に少しずつ慣れていく、という話題の読み物だと新しい言葉(海外出張・原因不明・唯一の思い出・不便・時間が経つ・余裕・意識・振り回す)から推測されます。文型は、ねらいや願いを込めて何かをする「意向形+と(〜ればと)」、変化と一緒に別の変化が進む「〜につれて」、予想と反対の結果を言う「〜どころか、かえって」、理由から結論を引き出す「〜わけだ」、一つの理由だけで決めつけないことを言う「〜からといって〜わけではない」。後半の二つは同じ「わけ」でも、結論を出す向きと打ち消す向きで逆になるので、続けて扱って違いを見せるのが芯になります。

このページについて教科書の本文・例文・設問は載せていません。例文と場面はすべて自作です。学習項目の名前は教科書の「使いましょう」の見出しに合わせています。
学習項目5時間90分×2コマ語彙40語

この課のねらい(Can-do)

  • 「意向形+と」「〜ればと(思って)」で、何のために・どんな願いで行動したかを、少し改まった言い方で説明できる
  • 「〜につれて」で、時間や状況の変化と一緒に別のことが少しずつ変わっていく様子を言え、「〜ば〜ほど」と言い分けられる
  • 「〜どころか、かえって」で、予想や期待と反対の結果になったことを、意外さと一緒に伝えられる
  • 「〜わけだ」で、聞いた理由や事実から「だから〜なのか」と結論を出したり、まとめて言い換えたりできる
  • 「〜からといって〜わけではない」で、一つの理由だけでは決めつけられないことを、一部だけ打ち消してやわらかく言える
  • 本文を読んで、使っていた物がなくなったあとに慣れていく経験を、自分の経験と比べて話せる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
新しい言葉15分40語と多いので、名詞(海外出張・原因不明・定年・外出)は読みと短い意味だけ確かめる。「耳に残る」「腰を上げる」「時間に追われる」「振り回される」は体や時間を使った決まった言い方としてまとめ、どんな場面で言うかを一文で見せる。文型の語(〜につれて・〜どころか・〜からといって)は学習項目で扱うと予告するだけにする
いっしょに考えましょう10分「使っていた物が急に使えなくなって困ったこと」と「そのあと慣れたこと」を1人1つ。答えを黒板の端に残すと、学習項目2「〜につれて」と学習項目3「〜どころか、かえって」の導入にそのまま使える
読みましょう(大意)20分教師の範読→段落ごとの音読→「何が使えなくなったか・はじめはどうだったか・あとでどう変わったか」の3点で大意をつかむ。細かい表現の精読は2コマ目の初めか宿題に回してよい
答えましょう15分設問を一緒に解き、答えが本文のどこにあるかを指で押さえさせる。気持ちの変化を問う設問は、本文の語(いらいらする・余裕・すっかり)を手がかりに口頭で短く答えさせる
使いましょう(学習項目1・2)30分1コマ目の後半。「意向形+と(〜ればと)」→「〜につれて」。各項目は導入→口頭→ペアまで。産出の活動は2コマ目の初めに回してもよい
使いましょう(学習項目3〜5)60分2コマ目。「〜どころか、かえって」(20分)のあと、「〜わけだ」(20分)の板書を消さずに残し、その下に「〜からといって〜わけではない」(20分)を並べる。同じ「わけ」が、結論を出す向きと打ち消す向きの両方に使われることを見せる
まとめましょう・話しましょう20分「何かがなくなって、はじめは困ったが慣れたこと」を3〜4文で(〜につれて・〜どころか、かえって を1つずつ)。話しましょうはペアで「時計やスマホがなかったら、生活はどう変わるか」
漢字を練習しましょう10分読み書き(A)は宿題、読みだけ(B)は本文を読みながら確認する

学習項目 1 意向形+と(〜ればと)

意味・はたらき学習項目 1

「Vようと、〜」は、あるねらいを持って、そのために実際に何かをした(がんばった)ことを言う。「〜ために」に近いが、話し手の「〜しよう」という気持ちが前に出て、体験談・作文・物語のような書き言葉に多い。「〜ればと(思って)」は「〜ればいいと思って」を短くした形で、結果がどうなるかは分からないが、そうなってほしいという願いを込めて行動したことを言う。決め手は前後の主語が同じかどうかで、主語自身がめざすこと(早く慣れる・会議に間に合う・自分が元気になる)なら「ようと」、ほかの人や物事がそうなってほしいこと(友だちが元気になる・雨がやむ)や、結果を控えめに願うだけのこと(少しでも役に立つ)なら「ればと」が合う、という目安で見せるとよい。「間に合う」「元気になる」のような意志で決められない動詞でも、主語が同じなら「間に合おうと走った」「早く元気になろうと毎日歩いた」と言える。文法の用語では、意向形(意志形)を使った目的の言い方と、条件形を使った願いの言い方として説明されることが多い。

接続

主語が自分でめざす動作・変化の動詞の意向形(慣れよう・間に合おう・しよう)+と、〜(前後の主語は同じ)/動詞・形容詞の ば形(役に立てば・よくなれば・楽なら=楽であれば)+と(思って)、〜。後ろには実際にした行動が来て、過去形になることが多い

形
V意向形+と、〜た(早く仕事に慣れようと、毎朝一番に出社した)V意向形+と思って、〜た(バスに間に合おうと思って、駅まで走った)〜ば+と思って、〜た(少しでも役に立てばと思って、資料を送った)〜ば+と、〜た(気分が変わればと、部屋の模様替えをした)

導入

  • 「何のために?」の問答から形を出す教師が「先週から毎朝、日本語のニュースを聞いています。どうしてだと思いますか」と聞き、学習者の答え(聞き取りが上手になりたいから)を受けて「聞き取りに慣れようと、毎朝ニュースを聞いています」と板書する。「〜ために」で言い換えても意味が通ることを確かめ、「ようと」は「〜しよう」という自分の気持ちが前に出る書き方だと加える。
  • ほかの人がそうなってほしいときは「ればと」に「友だちが元気がない。だから、手紙を書いた」という状況で、「元気になろうと」と言えるかを聞く(元気になるのは友だちで、手紙を書いた話し手とは主語が違う)。そこで「元気になればと思って、手紙を書いた」を出し、「なればいい」という願いが入っていることを見せる。板書で「ようと=主語自身のねらい」「ればと=そうなってほしい」と左右に分ける。

板書案

V意向形 + と、〜た(自分のねらい)
仕事に早く慣れようと、毎朝早く出社した。
〜ば + と(思って)、〜た(そうなってほしい)
少しでも役に立てばと思って、資料を送った。
〔赤〕ようと=主語自身のねらい(前後の主語が同じ) 〔青〕ればと=そうなってほしい願い

場面と発話(自作)

  • 来日1か月の留学生が、日本語の授業で先生に最近の生活を聞かれた。早く日本の生活に慣れようと、毎日近所のスーパーで店員さんと話すようにしています。
  • 会社員が、息を切らして会議室に入ってきた理由を同僚に話す。9時の会議に間に合おうと思って、駅から走ってきたんです。
  • 留学生が、入院した友だちに国のお菓子を持っていった。あとで別の友だちに話す。少しでも元気が出ればと思って、国のお菓子を持っていったんだ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が「ねらい」と「行動」の2枚のカード(日本語に慣れる/毎日日記を書く)を出し、学習者が「〜ようと、〜た」でつなぐ。次に、ほかの人や物事がそうなってほしいカード(相手が喜ぶ・雨がやむ)を混ぜ、「〜ればと思って」に切り替えられるかを確かめてから教科書の練習へ。

  1. 口頭教師がねらいと行動の絵カードを並べて見せ(バスに間に合う→走った/漢字を覚える→カードを作った/仕事に慣れる→早く出社した)、全体で「バスに間に合おうと、走った」と言う。次に願いの絵(相手が喜ぶ→花を買った/雨がやむ→少し待った/風邪がよくなる→早く寝た)で「〜ればと思って」を言わせる。2種類を混ぜて個人指名で4〜5人。
  2. ペアAは「した行動」だけのカード(駅まで走った・手紙を書いた・部屋を片づけた)を持ち、Bが「どうして?」と聞く。Aは「〜ようと」か「〜ればと思って」で理由を作って答え、Bはそれが自分のねらいか、そうなってほしい願いかを言い当てる。3枚ごとに役を交替する。
  3. 産出「がんばったこと発表」: 日本に来てから、何かのために続けたことを1つ選び、「〜ようと」「〜ればと思って」を1回ずつ使って30秒で話す。教師は、「ようと」の前後で主語が同じになっているか、ほかの人がそうなってほしいことに「ようと」を使っていないかを聞き取り、発表のあとで2、3例を全体で直す。

つまずきと手当て

  • 意向形を作り違える(*間に合いようと/来ようと を「きようと」と読む。正しくは「こようと」)。1グループ(間に合おう)・2グループ(慣れよう)・3グループ(しよう・来(こ)よう)を板書の端に並べ、何度か口で言わせる
  • 前後で主語が違うのに「ようと」を使う(*友だちが元気になろうと、手紙を書いた)。元気になるのはだれか、手紙を書いたのはだれかを聞き返し、「元気になればと思って」に直させる。主語が同じなら「早く元気になろうと、毎日歩いた」と言える
  • 「〜ようとしたが、できなかった」(しかけてやめる)や「だれが何と言おうと」(どんなに〜ても)の「ようと」と混ぜる。この課の「ようと」は、後ろに実際にした行動が続いてねらいを表す、と文の形で区別させる

既習の文型との違い

  • 〜ために(初級・目的)「ために」は目的を客観的に言う言い方で、話し言葉にも書き言葉にも使え、名詞にも付く(健康のために)。「ようと」は動詞の意向形にしか付かず、前後の主語も同じで、話し手の「〜しよう」という気持ちが前に出る書き言葉寄りの言い方。学習者が名詞に「ようと」を付けようとしたら「ために」に戻す。
  • 〜(よ)うともしない(第5課)第5課の「〜うともしない」は、するつもりがまったく見えない様子を責める言い方で、文の終わりに来る。この課の「ようと、〜」は、ねらいを持って実際に何かをしたことを言い、後ろに行動の文が続く。同じ「意向形+と」でも向きが反対であることを並べて見せる。
  • 〜ように(初級・願い)「試験に受かるように、毎日勉強した」も、そうなってほしい結果への願いを言える。「ればと思って」はそれより「そうなればいいのだが」という控えめな気持ちが強く、「少しでも」「何か」と一緒によく使う。
関連する文型

学習項目 2 〜につれて

意味・はたらき学習項目 2

「AにつれてB」は、Aが少しずつ変わっていくのと一緒に、Bも少しずつ変わっていくことを言う。AにもBにも変化を表す言葉が来るのがいちばんの特徴で、Aには「時間が経つ・慣れる・増える・近づく・年をとる」、Bには「〜ようになる・〜てくる・だんだん・増える・減る」がよく合う。一度で終わる出来事や、変わらない状態には使わない。後ろは自然に起こる変化の報告なので、話し手の意志や頼みの文は置きにくい。文法の用語では、二つの変化が比例して進むこと(相関関係)を言う複文の言い方として扱われることが多い。

接続

変化を表す動詞の辞書形(慣れる・近づく)+につれて/変化を表す名詞(時間の経過・成長・高齢化)+につれて。書き言葉では「〜につれ」とも言う

形
V辞書形+につれて、〜てきた(日本の生活に慣れるにつれて、友だちが増えてきた)N+につれて、〜(町の発展につれて、家賃も上がった)時間が経つにつれて、〜ようになった(時間が経つにつれて、寮の生活も楽しく感じるようになった)〜につれ、〜(書き言葉。試験が近づくにつれ、図書館が込んできた)

導入

  • 2本の線のグラフで見せる黒板に横軸「日本に来てからの時間」、縦軸「日本語が分かる」の右上がりの線を描き、「時間が経つにつれて、日本語が分かるようになった」と言う。次に縦軸を「国の料理を作る回数」にして右下がりの線を描く。左の変化と右の変化が一緒に動いていることを、2本の線を指でなぞって示す。
  • 「いっしょに考えましょう」の答えを枠に入れる学習者が挙げた「慣れたこと」から、「時間が経つにつれて変わったこと」を1人1つ言わせる(電車の乗り換えが平気になった・寒さに強くなった)。答えを「Aにつれて、Bようになった/Bてきた」の枠に入れて板書し、後ろにも変化の言葉が入っていることを色で確かめる。

板書案

Aにつれて、B(Aが変わる → Bも変わる)
日本の生活に慣れるにつれて、友だちが増えてきた。
〔図〕右上がりの線を2本描き、矢印でつなぐ
〔赤〕Aも変化 〔青〕Bも変化(〜てくる・〜ようになる・だんだん)
〔誤りの例〕*駅に着くにつれて、雨が降り出した。

場面と発話(自作)

  • 介護施設で働き始めて半年の人が、面談で上司に今の様子を聞かれた。仕事に慣れるにつれて、利用者さんとゆっくり話せるようになりました。
  • 留学生が11月の夜、寮の台所で友だちと話している。冬が近づくにつれて、朝起きるのがどんどんつらくなってきたね。
  • 日本語学校の先生が、学期の終わりに学習者の作文をまとめて読み、同僚に話す。学期が進むにつれて、みんなの作文がずいぶん長くなってきましたね。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が変化の始まり(試験が近づく・年をとる・町に人が増える)を言い、学習者が「〜につれて、〜てくる/〜ようになる」で後ろの変化を続ける。そのあと一度で終わる出来事(駅に着く・電話が鳴る)を混ぜ、「につれて」が使えるかを判断させてから教科書の練習へ。

  1. 口頭教師が変化を表す絵カード(子どもが成長する・町に人が増える・夜が更ける)を見せ、全体で「子どもが成長するにつれて、家が狭く感じるようになった」と言う。次に後ろの変化を学習者が自分で作る。個人指名で4〜5人、後ろが「〜てきた/〜ようになった/だんだん」になっているかを聞く。
  2. ペアAは「前の変化」カード(日本語が上手になる・寒くなる・試験が近づく)、Bは「後ろの変化」カード(話す相手が増える・朝起きにくい・図書館が込む)を持つ。Aがカードを読み、Bが自分のカードから合うものを選んで「〜につれて」でつなぐ。合わない組み合わせになったら、なぜおかしいかを2人で言い合う。4枚ごとに役を交替する。
  3. 産出「わたしの変化グラフ」: 来日してからの時間を横軸にして、自分の中で変わったことを2本の線で描き、「〜につれて、〜」を2文入れて1分で発表する。教師は、前と後ろの両方が変化になっているか、後ろに「〜しよう」「〜てください」が来ていないかを見て、発表のあとで全体に返す。

つまずきと手当て

  • 一度で終わる出来事に使う(*駅に着くにつれて、雨が降り出した)。前に「少しずつ」「だんだん」を入れて言えるかを確かめさせ、言えなければ「〜と」「〜たら」に直す
  • 後ろが変化ではなく一回の行動になる(*試験が近づくにつれて、図書館に行った)。後ろに「〜てくる」「〜ようになる」「増える・減る」などの変化の語を入れさせる(図書館に行く回数が増えた)
  • 後ろに話し手の意志や呼びかけを置く(*暑くなるにつれて、水をたくさん飲もう)。「につれて」の後ろは自然に変わっていくことなので、意志を言いたいときは「暑くなってきたから、〜」と言い換える

既習の文型との違い

  • 〜ば〜ほど(第9課)「慣れれば慣れるほど、楽しくなる」も、一方の程度が上がるともう一方も上がることを言う。「ば〜ほど」は程度の関係を一般的に言うことが多く、話し言葉にも多い。「につれて」は実際に時間の中で進んでいく変化の報告に向き、後ろが「〜てきた」「〜ようになった」になりやすい。
  • 〜とともに(第14課)「とともに」も変化と一緒に起こる変化を言えるが、「友人とともに」「卒業とともに」のように、相手と一緒・同時に起こることも言える、より改まった書き言葉。「につれて」は変化の並行にしか使わない。
  • 〜にしたがって変化の並行の意味ではほぼ言い換えられることが多い。「にしたがって」は「規則にしたがって」のように何かに従う意味もあり、後ろに意志の文も置きやすい。「につれて」は自然に起こる変化を言う、と押さえる。
関連する文型

学習項目 3 〜どころか、かえって

意味・はたらき学習項目 3

「AどころかB」は、Aになると思われていた(期待していた)が、実際はそれとはまったく違うBだった、と前を強く打ち消して言う。「かえって」は「予想と反対に」という意味の副詞で、「AどころかかえってB」と組むと、よくなるはずが反対に悪くなった(悪くなるはずが反対によくなった)ことがはっきりする。このほかに「漢字どころか、ひらがなも読めない」のように、「Aはもちろん、もっと簡単なBも〜ない」と程度を強める使い方もあり、こちらには「かえって」は付かない。どちらも話し手の驚きや不満が入るので、期待が見えない淡々とした報告には合わない。

接続

動詞・い形容詞の普通形/な形容詞の語幹・名詞(「な」が入ることもある)+どころか、かえって〜。程度を強める使い方は「N1どころか、N2も〜ない」

形
V普通形+どころか、かえって〜(薬を飲んだのに、よくなるどころか、かえって熱が上がった)Aい+どころか、かえって〜(その店は安いどころか、かえってほかより高かった)N1+どころか、N2も〜ない(程度。来たばかりのころは、敬語どころか、あいさつもうまく言えなかった)〜どころではない(発展。忙しくて、旅行どころではない)

導入

  • 期待と結果の2コマ絵で見せる1コマ目に「近道をする→早く着くはず」、2コマ目に「道に迷って30分遅れた」の絵を見せる。「早く着くどころか、かえって遅くなりました」と言い、期待と実際が反対向きであることを、逆向きの矢印2本で示す。「かえって」を抜いて言っても意味は通るが、反対向きの意外さが弱くなることを聞き比べさせる。
  • 程度の「どころか」はあとで足す同じ時間に2つを出すと混ざるので、まず反対向きの「どころか、かえって」を練習し、慣れてから「漢字どころか、ひらがなも読めない」のような程度を強める使い方を「N1どころか、N2も〜ない」の枠で足す。前に難しいこと、後ろに簡単なことが来ること、後ろに「かえって」が入らないことを確かめる。

板書案

Aどころか、かえってB(期待A ⇔ 実際B)
近道をしたら、早く着くどころか、かえって遅くなった。
〔図〕期待の矢印 → と 実際の矢印 ← を上下に(反対向き)
〔青〕程度: N1どころか、N2も〜ない(漢字どころか、ひらがなも読めない)

場面と発話(自作)

  • 留学生が、部屋を涼しくしようと夏の昼に窓を全部開けたが、外の熱い空気が入ってきた。友だちに話す。窓を開けたら、涼しくなるどころか、かえって暑くなっちゃった。
  • 会社員が、残業を減らそうと新しいソフトを入れたが、使い方が分からず時間がかかった。同僚に話す。新しいソフトで楽になるどころか、かえって仕事が増えましたよ。
  • 日本で働き始めた人が、国で日本語を勉強してきたのに最初は何も聞き取れなかったと、日本語の先生に話す。来たばかりのころは、会議の話どころか、自分の名前を呼ばれても分かりませんでした。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が「したこと」と「期待」を言い(ダイエットのために夜ご飯を抜いた→やせるはず)、学習者が「〜どころか、かえって〜」で反対の結果を作る。そのあと程度の例を2、3問だけ混ぜ、後ろに「も〜ない」が来る形と区別してから教科書の練習へ。

  1. 口頭教師が「したこと」カードと「期待」カードを見せ(薬を飲んだ→よくなる/早く寝た→元気になる/ていねいに説明した→分かってもらえる)、全体で「よくなるどころか、かえって悪くなった」の形で反対の結果を言う。次に結果を学習者が自分で考え、個人指名で4〜5人。期待と結果が本当に反対向きになっているかを確かめる。
  2. ペアAは「よかれと思ってしたこと」(安い店で買った・近道をした・早めに家を出た)を言い、Bが「どうだった?」と聞く。Aは「〜どころか、かえって〜」で失敗を語り、Bは「どうしてそうなったの?」と1つ質問する。3回で役を交替する。
  3. 産出「よかれと思って失敗談」: 日本に来てから、よくしようと思ってしたのに反対の結果になったことを1つ選び、学習項目1の「〜ようと」と「〜どころか、かえって」を入れて4〜5文で書き、4人のグループで読み合う。教師は前後が反対向きになっているか、期待がはっきり書かれているかを見て、よい例を2つ全体に紹介する。

つまずきと手当て

  • 程度の使い方で、前後の大小を逆にする(ひらがなどころか、漢字も読めない=言いたいことと逆になる)。前に難しいこと・大きいこと、後ろに簡単なこと・小さいことが来ると、易しい→難しいの数直線で見せる
  • 期待が見えない事実の報告に使う(昨日は雨どころか、晴れた)。文としてはおかしくないが、だれが何を期待していたのかが伝わらない。「雨の予報だったのに」のように期待を前に言わせてから使わせる
  • 「かえって」を「むしろ」と同じだと思う。「むしろ」は二つを比べて「こちらのほうが」と選ぶ言い方で、「〜したのに反対の結果になった」という意外さは「かえって」のほうが強い、と例で比べる

既習の文型との違い

  • 〜ばかりか「ばかりか」は「AだけでなくBも」と同じ向きのことを足す言い方(漢字ばかりか、敬語も上手だ)。「どころか」は前のAを打ち消して、反対の向きや程度の違うBを言う。よいことを足したいときに「どころか」を使うと、前を否定する響きが出て不自然になる。
  • かえって/むしろどちらも予想と違うことを言えるが、「かえって」は「〜したのに、その結果反対になった」と原因と結果の流れに使う。「むしろ」は「AよりむしろB」とどちらがふさわしいかを比べて選ぶ言い方で、結果の意外さよりも話し手の判断が前に出る。
  • 〜はずだ(第9課)「どころか、かえって」の前には、「〜はずだ」で言える期待がたいてい隠れている(早く着くはずだった→早く着くどころか)。導入で「〜はずだったのに」と一度言わせてから「どころか」に言い換えると、期待と結果の関係が見えやすい。
関連する文型

学習項目 4 〜わけだ

意味・はたらき学習項目 4

前に分かっている事実や理由から考えて、「だから当然そうなる」「なるほど、それでそうなのか」と結論を出す言い方。相手の説明を聞いて納得したとき(なるほど、それで込んでいるわけだ)と、自分の説明を「つまり〜ということだ」とまとめて言い換えるとき(1日8時間で週5日だから、40時間働くわけだ)によく使う。どちらも、当て推量ではなく、筋道をたどって出した結論である点が大事。文法の用語では、話し手の判断や説明を表すモダリティの一つとして、「のだ」と並べて扱われることが多い。

接続

動詞・い形容詞の普通形/な形容詞の語幹+な/名詞+な・である(「というわけだ」も)+わけだ。丁寧には「わけです」

形
〜から、〜わけだ(結論。毎日練習しているから、上手なわけだ)なるほど/それで、〜わけだ(納得。それで、今日は駅が込んでいるわけだ)つまり、〜わけだ(言い換え。つまり、来月から給料が上がるわけですね)〜わけです(説明のしめくくり。こうして、この町に工場が集まったわけです)

導入

  • なぞ→答え→「わけだ」教師が「今日、学校の食堂がとても込んでいました」と言い、理由を学習者に予想させる。最後に「カレーが半額だったんです」と答えを言い、学習者に「だから込んでいたわけだ」と言わせる。理由(半額)と結果(込んでいた)を矢印でつなぎ、矢印の先に「わけだ」を書いて、理由が分かって納得した気持ちであることを表情で見せる。
  • 数字で「つまり〜わけだ」「授業は1日4時間、週5日」と板書し、「つまり、1週間に20時間勉強するわけです」と言う。事実を足し合わせてまとめるときにも使えることを見せ、学習者にもアルバイトの時間や家賃で計算させて「つまり、〜わけだ」と言わせる。

板書案

理由・事実 → だから 〜わけだ(筋道から出した結論)
明日は祝日だから、駅が込んでいるわけだ。
〔赤〕なるほど/それで/だから + 〜わけだ(納得)
〔青〕つまり + 〜わけだ(言い換え・まとめ)
名詞・な形容詞: 休みなわけだ/静かなわけだ

場面と発話(自作)

  • 留学生が、隣の部屋の人が毎朝5時に出かける理由を、寮の管理人から聞いた。パン屋さんで働いているんですか。それで毎朝早いわけですね。
  • 同僚が来月から大阪の支社に移ると聞いて、会社員が確かめる。じゃあ、来月からは大阪に住むわけですね。
  • 日本語学校で、試験の点数が上がった学習者が、毎晩寝る前に単語を見直していたと先生に話した。毎日続けていたんですね。だから点数が上がったわけですね。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が理由のヒント(明日は祝日です/彼は10年アメリカに住んでいました)を言い、学習者が「それで〜わけだ/わけですね」で、そこから分かる結論を言う。次に数字の情報で「つまり、〜わけだ」の言い換えをさせてから教科書の練習へ。

  1. 口頭教師が結果の絵(店の前の長い行列・日に焼けた人・眠そうな学生)と理由のカード(新しい店が開いた・海に行った・徹夜した)を順に見せ、全体で「なるほど、新しい店が開いたから、行列ができているわけだ」と言う。次に理由を学習者が自分で考え、個人指名で4〜5人。
  2. ペアAは理由を書いたカード(3年中国にいた・昨日は徹夜した・駅のすぐそばに住んでいる)を持ち、Bには見せない。Bが「〜さんは中国語が上手ですね」のように結果を言い、Aが理由を1つ明かす。Bは「それで〜わけですね」と納得の形で返す。4枚ごとに役を交替する。
  3. 産出「なぞ解き30秒」: グループで1人が身の回りの「ちょっと不思議なこと」(近所のスーパーは夜になると値段が下がる、など)を言い、ほかの人が理由を予想する。答えが出たら全員で「〜から、〜わけだ」の文にして書く。教師は、まだ確かめていない予想(〜だろう)と、理由が分かってから出した結論(〜わけだ)を混ぜていないかを見て直す。

つまずきと手当て

  • 理由が分かる前の当て推量に使う(*彼はまだ来ない。きっと寝坊したわけだ)。確かめていない推測は「〜だろう」「〜かもしれない」「〜はずだ」で言い、理由が分かったあとで「わけだ」を使う、と時間の順で示す
  • 名詞・な形容詞に直接付ける(*休みわけだ/*静かわけだ)。「休みなわけだ」「静かなわけだ」と「な」を入れること、名詞は「休みというわけだ」も使えることを接続の表で確かめる
  • 目上の人の説明に「〜わけだ」と言い切り、上から評価するように聞こえる。相手の話に納得を返すときは「それで〜わけですね」と「ね」を付けると柔らかくなる、と場面で練習する

既習の文型との違い

  • 〜はずだ(第9課)「はずだ」は確かめる前に、理由から予想を言う(もう出たから、そろそろ着くはずだ)。「わけだ」は事実が分かったあとで、その理由に納得して言う(道が込んでいたから、遅れたわけだ)。どちらも理由が前に来るので混ざりやすく、「まだ分からない」か「もう分かった」かで選ばせる。納得の意味で「なるほど、〜はずだ」と言うこともあるが、それは区別ができてから触れる。
  • 〜のだ(〜んです)(初級)「のだ」は事情を説明したり聞いたりする広い言い方(遅れたのは、道が込んでいたからなんです)。「わけだ」は理由と結果の筋道をたどって「だから当然そうなる」と結論を出す言い方。「わけだ」を「んです」に替えると、納得や結論の気持ちが弱くなる。
  • 〜からといって〜わけではない(学習項目5)同じ「わけ」でも、「わけだ」は理由から当然の結論を出し、「わけではない」はその当然の結論を打ち消す。同じ事実で「だから〜わけだ」「でも、〜からといって〜わけではない」と並べると、向きの違いが分かりやすい。
関連する文型

学習項目 5 〜からといって〜わけではない

意味・はたらき学習項目 5

「AからといってBわけではない」は、「Aなら当然Bだ」と考えられがちなことを、「Aという理由だけでは、Bとは言えない」と打ち消す言い方。全部を否定するのではなく「必ずしもそうではない」と一部だけを打ち消すので、強すぎない反論や、相手の思い込みをやわらかく直すときに使える。前のAは事実として認めていて、そこから出てくる結論だけを打ち消している点が大事。「からといって」は話し言葉では「からって」とも言い、後ろには「〜わけではない」のほかに「〜とは限らない」「〜というわけではない」がよく来る。文法の用語では、部分否定の言い方の一つとして説明されることが多い。

接続

動詞・い形容詞の普通形/な形容詞・名詞+だ+からといって、動詞・い形容詞の普通形/な形容詞の語幹+な/名詞+という(な)+わけではない

形
〜からといって、〜わけではない(日本人だからといって、敬語が上手なわけではない)〜からといって、〜とは限らない(値段が高いからといって、おいしいとは限らない)〜からといって、〜てもいいわけではない(休みだからといって、昼まで寝ていていいわけではない)〜からって、〜わけじゃない(話し言葉。好きだからって、毎日食べるわけじゃないよ)

導入

  • 決めつけの「当然」を先に言わせる「日本人です。だから?」と板書し、学習者に「漢字が全部読める」「敬語が上手」など、そこから考えられがちなことを出させる。教師が「本当に?」と聞き返して、「日本人だからといって、漢字が全部読めるわけではありません」と言う。「日本人」(事実)は消さず、「全部読める」(結論)にだけ×を付けて、打ち消しているのは後ろだけだと見せる。
  • 学習項目4の「わけだ」と並べる「毎日練習しているから、上手なわけだ」の板書を残し、その下に「でも、毎日練習しているからといって、だれでもすぐ上手になるわけではない」と書く。同じ理由から結論を出す(わけだ)のと、結論を打ち消す(わけではない)のが逆向きであることを、矢印に×を付けて示す。

板書案

Aからといって、Bわけではない(A=事実 ○/B=当然と思われる結論 ×)
日本人だからといって、敬語が上手なわけではない。
〔赤〕Aは消さない 〔青〕Bにだけ×(一部だけ打ち消す)
= 〜とは限らない / 話し言葉: 〜からって、〜わけじゃない

場面と発話(自作)

  • 留学生が、日本語の上手な友だちに「国でずっと勉強してきたからでしょう」と言われた。国で勉強したからといって、すぐに話せたわけじゃないよ。来てから毎日練習したんだ。
  • 会社の新人研修で、先輩が新人に仕事の進め方を話す。早く終わったからといって、確認しなくていいわけではありません。必ず見直してください。
  • 日本語教師が、学習者の家族から「テストの点が低いから、この子は日本語に向いていない」と相談された。点数が低いからといって、日本語が伸びないわけではありません。会話の力はずいぶん上がっていますよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が「よくある決めつけ」(駅に近い→便利/値段が高い→いいもの/先生→何でも知っている)を言い、学習者が「〜からといって、〜わけではない」で打ち消し、後ろに具体的な例を1文足す。「〜とは限らない」で言い換えてもよいことを確かめてから教科書の練習へ。

  1. 口頭教師が「決めつけカード」(ブランド品だ→長く使える/毎日運動している→病気にならない/辞書を持っている→言葉を全部知っている)を読み、全体で「〜からといって、〜わけではない」に言い換える。次に「〜とは限らない」でも言わせ、個人指名で4〜5人。
  2. ペアAが、自分の出身地やふるさとについて「よく言われること」を1つ言う(「〇〇の出身だから、〜でしょう」と言われる、など)。Bはそれを「〇〇の出身だからといって、〜わけではない」で受け、Aが「たとえば私は〜」と自分の例を足す。立場を替えて3回。
  3. 産出「決めつけ、ちょっと待った」: 「若い人は〜」「留学生は〜」のような決めつけを1つ選び、「〜からといって〜わけではない」を使って、自分の経験を入れた3〜4文の意見を書いて発表する。教師は、前のAまで否定していないか(事実は認めているか)、「わけではない」の前の形(〜な・〜という)が正しいかを見て直す。

つまずきと手当て

  • 後ろを「〜ない」だけで終える(*日本人だからといって、敬語が上手ではない)。全部を打ち消してしまい、「当然そうなる、とは言えない」という意味が出ない。後ろに「わけではない」「とは限らない」を付けさせる
  • 「わけではない」と「わけがない」を混ぜる(高いからといって、おいしいわけがない)。「わけがない」は「絶対にない」と強く打ち消す言い方なので、言いたいことと意味がずれる。強さの違いを2つ並べて見せる
  • 名詞・な形容詞の後ろの形を誤る(*上手わけではない/*学生わけではない)。「上手なわけではない」「学生というわけではない」と、接続の表で確かめる

既習の文型との違い

  • 〜わけがない(第15課)「わけがない」は「そんなことは絶対にない」と強く打ち消す(あの人がうそをつくわけがない)。「わけではない」は「必ずしもそうではない」と一部だけを打ち消す。思い込みをやわらかく直したいのに「わけがない」を使うと、強く言い切る文になる。
  • 〜とは限らない「からといって」の後ろでは「わけではない」とほぼ同じように使える。「とは限らない」は「そうでない場合もある」と例外があることを言う形で、一般的な判断に多い。「わけではない」は、自分の気持ちの説明(嫌いなわけではない)にも広く使える。
関連する文型

語彙の扱い

この課の新出語は 40 語(本文を読むための語 40・練習などの語 0)。1語ずつの意味・いっしょに使う助詞と連語・例文は語彙のページにあります。

新しい言葉は本文に出る順で40語と多いので、全部を同じ重さで扱わない。「海外出張」「原因不明」「定年」「外出」のような名詞は読みと意味を短く確かめ、「耳に残る」「腰を上げる」「時間に追われる」「時間が経つ」のような体や時間を使った言い方は、決まった表現として場面と一緒に見せる。「〜につれて」「〜どころか」「かえって」「〜からといって」「〜わけではない」は語彙にも出るが、意味と使い方は学習項目でまとめて扱う。「外れる」「振り回す」「語りかける」のように意味が二つある語は、本文でどちらの意味かを確かめる。語ごとの意味・連語・場面は語彙のページに。

第10課の語彙リスト(40語)新出語の意味・いっしょに使う助詞と連語・例文(自作)を五十音順に
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本文の扱い

本文の中身は手元の教科書で確かめること。新しい言葉(海外出張・原因不明・定年・唯一の思い出・亡くす・外出・不便・時間が経つ・余裕・間に合う・いらいらする・意識・外れる・腰を上げる・振り回す・語りかける)から、長く身につけてきた腕時計が使えなくなり、はじめは不便でいらいらしたが、時間が経つにつれて時計のない生活に慣れ、かえって気持ちに余裕ができた、という話題の読み物だと推測される。その腕時計が家族の思い出につながっていることも、語から考えられる。精読では「腕時計に何が起きたか」「その時計は筆者にとってどんな物か」「時計がなくなって、はじめはどうだったか・あとでどう変わったか」「筆者が最後に時間や時計についてどう考えるようになったか」の4点を段落ごとに聞く。本文に「〜につれて」「〜どころか、かえって」「〜からといって〜わけではない」が出ていれば、その文で止めて、気持ちの変化の向きを学習者に言わせる。

宿題と次のコマ

使いましょう(学習項目1〜5)の練習の残りと、漢字 A の書き取り。まとめましょうの「何かがなくなって(使えなくなって)、はじめは困ったが慣れたこと」を4〜5文(〜につれて・〜どころか、かえって を1つずつ)で書いてくる。次のコマは本文の精読の続きと話しましょう。

よくある質問

  • 第10課「なれる」は何コマで終わりますか?

    90分なら2コマが目安です。1コマ目で新しい言葉・本文の大意・設問と学習項目1・2、2コマ目で学習項目3〜5とまとめ・漢字まで進めます。新しい言葉が40語と多いので、読みと意味の確認を宿題で先に済ませておくと、本文と文型に時間を回せます。

  • 「〜わけだ」と「〜はずだ」の違いはどう説明すればいいですか?

    「はずだ」はまだ確かめていないことを理由から予想する言い方、「わけだ」は事実が分かったあとで理由に納得する言い方だと、時間の順で分けて見せるのが分かりやすいです。「もう出たから、そろそろ着くはずだ」「道が込んでいたから、遅れたわけだ」のように似た形の文を並べ、まだ分からないか、もう分かったかで選ばせます。

  • 「〜からといって」の後ろを「〜ない」だけで終えてしまう学習者には、どう手当てしますか?

    「日本人だからといって、敬語が上手ではない」は全部を打ち消す文になり、「必ずしもそうではない」という意味が出ません。前のAは事実として認め、後ろの「当然と思われる結論」にだけ×を付ける板書を見せて、「わけではない」「とは限らない」を付けると一部だけを打ち消せることを確かめます。

  • 「〜につれて」と「〜ば〜ほど」はどう教え分けますか?

    どちらも一方が変わるともう一方も変わることを言えます。「につれて」は時間の中で実際に進んでいく変化の報告に向き、後ろが「〜てきた」「〜ようになった」になりやすいこと、「ば〜ほど」は程度の関係を一般的に言うことが多いことを、同じ話題で両方言わせて比べます。どちらも一度で終わる出来事には使えません。

  • 「〜どころか」の二つの使い方は、同じ授業で教えたほうがいいですか?

    予想と反対の結果を言う「よくなるどころか、かえって悪くなった」と、程度を強める「漢字どころか、ひらがなも読めない」があります。同時に出すと混ざりやすいので、この課ではまず「かえって」と組む反対向きの使い方を練習し、慣れてから「N1どころか、N2も〜ない」の程度の使い方を足すのがよいでしょう。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。

PRこの教科書

手引きで扱っている教科書。本文・例文は手元の教科書で確かめてください。