中級から学ぶ日本語 第14課「みなおす」の教案
『テーマ別 中級から学ぶ日本語 三訂版』 ・ 本文〈てるてるぼうず〉
自然と人の暮らしの関わりを、天気を手がかりに見直すことがテーマの課です。本文は、昔の人が空や自然を観察して天気を予測し、当たらないときはてるてるぼうずに晴れをいのったこと、気象観測が進歩した今も異常気象による災害は防ぎきれないことなどを通して、自然との付き合い方を考える読み物だと、新しい言葉から推測されます。文型は、何かをするときに大切なこと・必要なことを言う「〜上で」、結果を決める決め手を言う「〜次第だ」、一緒に・同時に・変化に伴っての3つの意味を持つ「〜とともに」、予想と反対の事実を改まって言う「〜にもかかわらず」。4つとも書き言葉寄りの硬い表現なので、話し言葉の「〜とき」「〜によって」「〜と一緒に」「〜のに」と並べて、どこが違うかを見せるのが芯になります。
このページについて教科書の本文・例文・設問は載せていません。例文と場面はすべて自作です。学習項目の名前は教科書の「使いましょう」の見出しに合わせています。
学習項目4時間90分×2コマ語彙43語
この課のねらい(Can-do)
- 「〜上で」で、何かをするときに大切なこと・必要なこと・気をつけることを、「大切だ」「欠かせない」などの評価の言葉と一緒に言える
- 「〜次第だ/次第で」で、結果が何によって決まるかを言い、「〜によって違う」や「Vます形+次第(すぐに)」と区別できる
- 「〜とともに」の3つの意味(一緒に・同時に・一方の変化に伴って)を見分け、改まった文で変化を説明できる
- 「〜にもかかわらず」で、予想と反対の事実を報告や作文の文体で述べ、「〜のに」「〜にかかわらず」と言い分けられる
- 本文を読んで、昔の知恵と今の科学技術を比べ、自然との付き合い方について自分の考えを話せる
進め方と時間配分
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
| 新しい言葉 | 15分 | 43語と多いので、全部を同じ重さで扱わない。「予測・観察・観測・気象」は天気の話の語としてまとめ、「当てになる」「手におえない」「かけがえのない」「欠かせない」「なくてはならない」は決まった言い方として場面を一文で示す。「〜る上で」「〜次第」「〜とともに」「〜にもかかわらず」は学習項目で扱うと予告するだけにする |
| いっしょに考えましょう | 10分 | 「天気が分かると便利なのはどんなときか」「天気に関する言い伝えを知っているか(夕焼けの次の日は晴れ、など)」を1人1つ。国ごとの言い伝えを黒板の端に残しておくと、本文の大意と学習項目2の導入に使える |
| 読みましょう(大意) | 20分 | 教師の範読→段落ごとの音読→「昔の人は天気をどう知ったか」「今はどう変わったか」「それでも困っていることは何か」の3点で大意をつかむ。細かい精読は2コマ目の初めに回す |
| 答えましょう | 15分 | 設問を一緒に解き、答えが本文のどこにあるかを指で押さえさせる。筆者の考えを問う設問は、課の題「みなおす」と結びつけて「何を見直すのか」を口頭で短く言わせる |
| 使いましょう(学習項目1・2) | 30分 | 1コマ目の後半。「〜上で」→「〜次第だ」。各項目は導入→口頭→ペアまで。産出の活動は2コマ目の初めに回してもよい |
| 精読の続き | 10分 | 2コマ目の初め。本文で「〜とともに」「〜にもかかわらず」が出ていればその文で止め、前と後ろの関係(変化に伴う変化/予想と反対)を学習者に言わせてから学習項目へ入る |
| 使いましょう(学習項目3・4) | 45分 | 「〜とともに」(25分・3つの意味を板書で分ける)→「〜にもかかわらず」(20分・「のに」「にかかわらず」と並べる)。最後に4項目を混ぜた短い文の穴埋めを口頭で |
| まとめましょう・話しましょう | 25分 | 「昔の知恵で、今も役に立つと思うもの」を4〜5文で(学習項目を2つ以上使う)。話しましょうはペアで「科学が進んでも、人がコントロールできないこと」について意見を交換する |
| 漢字を練習しましょう | 10分 | 読み書き(A)は宿題、読みだけ(B)は本文を読みながら確認する |
学習項目 1 〜上で(〜するにあたって)
意味・はたらき学習項目 1
「V辞書形+上で」の形で、「〜するときに」「〜する場合に」「〜するためには」という意味を表す。後ろには「大切だ」「必要だ」「欠かせない」「役に立つ」「注意が必要だ」「問題がある」のように、その行為についての評価や条件を言う文が来ることが多い。かっこの「〜するにあたって」は、何か改まったことを始めるとき、という近い言い方。名詞には「Nの上で(は)」の形で付き、「〜の面で」という意味になる(数字の上では順調だ)。第11課の「〜た上で」は「〜したあとで、それをふまえて」という時間の順序を言う表現で、辞書形の「〜上で」とは意味が違う。
接続
動詞の辞書形+上で(は/も)、〜/名詞+の上で(は)、〜。名詞を修飾するときは「〜上での+N」
形
V辞書形+上で、〜が大切だ(日本で働く上で、時間を守ることが大切だ)V辞書形+上で欠かせない/役に立つ(レポートを書く上で、この辞書は欠かせない)V辞書形+上での+N(留学する上での注意点)N+の上で(は)(計算の上では、間に合うはずだ)
導入
- 「〜するとき、何が大切?」の図で見せる黒板の真ん中に「日本で生活する」と書き、学習者に「何が大切ですか」と聞いて答えを周りに書いていく(ごみの出し方・在留カード・日本語)。集まったところで「日本で生活する上で、ごみの出し方は大切です」と言い、「上で」の前は行為、後ろは評価の言葉が来ることを、色を変えて示す。
- 本文の話題につなぐ「昔、農業をする人にとって、天気を知ることはどうでしたか」と聞き、学習者の答え(大事・必要)を受けて「農作業をする上で、天気を予測することは欠かせなかった」と言い換える。新しい言葉の「欠かせない」と「上で」を一緒に覚えさせる。
板書案
V辞書形 + 上で、〜が大切だ/必要だ/欠かせない
日本で生活する上で、ごみの出し方は大切だ。
〔赤〕「上で」の前=これからする行為 〔青〕後ろ=評価・条件の言葉
〔比べる〕調べた上で、決める(=調べたあとで)
場面と発話(自作)
- 日本語学校の就職説明会。卒業生が、これから日本で仕事を探す後輩たちに話す。日本で仕事をする上で、報告・連絡・相談はとても大切です。
- 大学のゼミで、留学生が研究の方法について先生に相談している。アンケートを作る上で、気をつけたほうがいいことはありますか。
- 会社で、新しい商品を売り出す前の会議。課長が全員に話す。この商品を売る上で、いちばんの問題は値段だと思います。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
教師が行為のカード(料理をする・面接を受ける・一人暮らしをする)を出し、学習者が「〜上で、〜が大切だ/必要だ/欠かせない」で続ける。後ろが評価の文になっているか、「た上で」と混ざっていないかを確かめてから教科書の練習へ。
- 口頭教師が行為のカード(運転する・日本語を教える・子どもを育てる・山に登る)を見せ、全体で「運転する上で、何が大切ですか」「運転する上で、まわりをよく見ることが大切です」の問答を繰り返す。後ろの語は「大切だ・必要だ・欠かせない・役に立つ」の4枚のカードから選ばせ、個人指名で3〜4人に言わせる。
- ペアAは行為のカード、Bは「必要なもの」の絵カード(地図・辞書・体力・お金)を持つ。Aが「留学する上で、何がいちばん必要だと思う?」と聞き、Bが絵から選んで「留学する上で、お金がいちばん必要だと思う。なぜなら〜」と理由まで言う。3枚ごとに役を交替する。
- 産出「先輩からのアドバイス」: これから日本に来る後輩に向けて、「日本で生活する上で」「アルバイトをする上で」から1つ選び、大切なことを3つ、理由と一緒に1分で話す(または5文で書く)。教師は、「上で」の前が辞書形か、後ろが評価・条件の文になっているかを聞き取り、終わってから2、3例を全体で直す。
つまずきと手当て
- 辞書形と「た形」を混ぜる(*日本で生活した上で、ルールを守ることが大切だ)。「〜するときに大切なこと」なら辞書形、「〜したあとで次のことをする」なら「た形」と、時間の線を引いて見せる
- 後ろに単なる出来事や自分の行動を置き、不自然になる(「日本で働く上で、日本語を勉強しています」は「働くために」のほうが自然)。「上で」の後ろには評価の言葉が来ることが多いと、使える語の一覧で示す
- 添加の「〜上に」と混ぜる(*この部屋は広い上で、駅から近い)。「〜上に」は「それに加えて」で、前に形容詞も来る。「上で」は行為について言う、と並べて違いを確かめる
既習の文型との違い
- 〜た上で(第11課)「〜た上で」は「〜したあとで、それをふまえて次のことをする」で、前と後ろに時間の順序がある(よく考えた上で決める)。辞書形の「〜上で」は「〜するときに」で、後ろは評価の文になる。学習者が「調べる上で決めます」と言ったら、順序の話か大切さの話かを聞き返す。
- 〜ために(初級・目的)「ために」は目的を言い、後ろに自分の行動が来られる(大学に入るために、毎日勉強している)。「上で」の後ろは「大切だ・必要だ」のような評価が多く、行動を続けると不自然になりやすい。同じ前の文で両方を言わせ、後ろの文の違いを比べさせる。
- 〜にあたり/にあたって(は)(第20課)「〜にあたって」は開会・入学・出発のような、ある特別な機会を前にして、という改まった言い方で、あいさつや案内文によく出る。「〜上で」はふだん繰り返す行為(料理する・働く)にも使える。どちらも後ろに準備や注意が来られるので、場面の改まり方の違いとして見せる。
関連する文型
学習項目 2 〜次第だ
意味・はたらき学習項目 2
「N次第だ」の形で、結果がNによって決まる、Nがどうなるかで変わる、という意味を表す。前のNは結果を左右する決め手(天気・努力・やり方・相手の返事・考え方)で、「行くかどうかは天気次第だ」のように、前に「〜か(どうか)は」が来ることが多い。文の途中では「N次第で、〜」「N次第では、〜」になり、「次第では」は悪い結果も起こりうることを言うときによく使う。「〜によって違う」が「いろいろだ」と違いを並べるのに対し、「次第だ」は「それで決まる」と決め手を指す。「Vます形+次第」(届き次第、連絡します)は「〜したらすぐに」という別の意味なので、区別して扱う。
接続
名詞+次第だ/次第で(は)、〜。「〜か(どうか)は+N次第だ」の形が多い
形
〜か(どうか)は+N次第だ(試合をするかどうかは、天気次第だ)N次第で、〜(やり方次第で、結果は大きく変わる)N次第では、〜(検査の結果次第では、入院することもある)すべてはN次第だ(成功するかどうかは、すべてあなたの努力次第だ)
導入
- 天気マークで「決めるのはだれ?」を見せる「日曜日にバーベキューをします」と言ってから、晴れのマーク→「します」、雨のマーク→「しません」と板書する。「するかしないかを決めるのは、私? 天気?」と聞き、「天気です」と答えさせてから「バーベキューをするかどうかは、天気次第です」と言う。矢印を天気から結果へ1本引き、「次第」の前が決め手だと示す。
- 言い伝えと本文の話題につなぐ「いっしょに考えましょう」で集めた言い伝えを指して、「昔の人はどうして天気を気にしたのでしょう」と聞く。農作業や収穫の話が出たら「米がたくさんとれるかどうかは、天気次第だった」と言い換え、本文の「収穫」「いとなみ」とつなぐ。
板書案
〜か(どうか)は + N次第だ
バーベキューをするかどうかは、天気次第だ。
〔赤〕N=結果を決めるもの 〔矢印〕N → 結果
N次第で、〜/N次第では、〜(悪い場合もある)
〔別の意味〕Vます形+次第=〜したらすぐ(決まり次第、連絡します)
場面と発話(自作)
- 留学生が、夏休みに国へ帰るか友だちに聞かれた。まだアルバイトの休みが取れるか分からない。帰れるかどうかは、店長次第なんだ。来週聞いてみる。
- 日本語学校で、進学先に迷っている学生に先生が話す。どの大学に入れるかは、これからの3か月の勉強次第ですよ。
- 会社で、取引先との打ち合わせのあと、部長が今後の予定を説明する。先方の返事次第では、計画を一から見直すことになります。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
教師が「旅行に行く」「試験に合格する」「野菜がよく育つ」のような結果を言い、学習者が決め手(お金・努力・天気)を選んで「〜かどうかは〜次第だ」で答える。次に「次第で」「次第では」で後ろを続ける文を作り、「Vます形+次第」と混ざっていないかを確かめてから教科書の練習へ。
- 口頭教師が結果のカード(花火大会がある・給料が上がる・料理がおいしくなる・風邪が早く治る)を出し、全体で「花火大会があるかどうかは、天気次第です」と言う。次に決め手のカード(天気・会社の売り上げ・材料・休み方)を伏せて、学習者に自分で決め手を考えさせる。個人指名で3〜4人。
- ペア「何で決まる?」の情報差: Aは予定の表(週末のハイキング・引っ越し・発表会)、Bは「決め手」のメモ(天気・家賃・先生のOK)を持つ。Aが「ハイキング、行ける?」と聞き、Bがメモを見て「天気次第だね。雨なら中止」と答える。次にAが「〜次第では」を使って悪い場合を1つ足す。3つごとに役を交替する。
- 産出「わたしの未来は〜次第」: 5年後の自分の目標を1つ言い、それが何で決まるかを「〜かどうかは〜次第だ」、うまくいかない場合を「〜次第では」で、合わせて3〜4文で話す。教師は「次第」の前が名詞になっているか、「次第では」の後ろが起こりうる結果になっているかを聞き、終わってから全体で直す。
つまずきと手当て
- 「次第」の前に動詞の辞書形を付ける(*がんばる次第だ)。「次第だ」の前は名詞(努力・がんばり方)にすると板書の枠で固定し、動詞を名詞に言い換える練習を少し入れる
- 「Vます形+次第」と混ぜて、意味が通らなくなる(「天気次第、出発します」を「天気が分かったらすぐ」の意味で使う)。「Vます形+次第」は「〜したらすぐ」、「N次第」は「Nで決まる」と、前の形で分けて見せる
- 違いを並べるだけの文に使って不自然になる(「国次第で、あいさつの仕方が違う」は「国によって違う」が自然)。「次第」は決め手が一つあって結果が変わるときに使う、と確かめる
既習の文型との違い
- 〜によって違う(いろいろな場合を並べる)「人によって考え方が違う」のように、「によって」はいろいろな場合があることを並べて言う。「次第だ」は「それで決まる」と決め手を指し、後ろに「決まる・変わる」や結果が来る。「天気によって予定が変わる」「予定は天気次第だ」はどちらも言えるが、「国によって習慣が違う」を「次第」で言うと不自然になる。
- Vます形+次第(〜したらすぐに)「資料が届き次第、お送りします」は「届いたらすぐに」という意味で、ビジネスの連絡や案内によく出る。前が動詞のます形で、後ろは話し手のこれからの行動になる。この課の「N次第だ」とは形も意味も別なので、混ぜた文を読み上げてどちらの意味かを答えさせる。
学習項目 3 〜とともに
意味・はたらき学習項目 3
書き言葉・改まった話し方で使う表現で、意味が3つある。1つ目は「Nとともに」で「Nと一緒に」(家族とともに暮らす)。2つ目は「一方が変わると、もう一方も変わる」で、前に「時代・年齢・技術の進歩」や変化を表す動詞が来て、後ろも変化の文になる(年をとるとともに、体力が落ちる)。3つ目は「同時に」で、二つのことが同じときに起こる、または一つのものが二つの面を持つことを言う(ベルが鳴るとともに走り出す/医者であるとともに作家でもある)。どの意味かは、前の語が人か、変化か、出来事かで見分けられる。
接続
名詞+とともに/動詞の辞書形+とともに/名詞・な形容詞+である+とともに(二つの面)。変化の意味では、前に「進歩・成長・変化」のような名詞や、変化を表す動詞が来る
形
N(人・組織)+とともに(地域の人々とともに、町の祭りを守っている)N(変化)/V辞書形+とともに、〜も変わる(技術の進歩とともに、生活が便利になった)V辞書形+とともに(同時)(試合終了の笛が鳴るとともに、選手たちは座り込んだ)Nである+とともに、〜でもある(この祭りは観光の行事であるとともに、地域の大切な伝統でもある)
導入
- 3つの意味を3枚の絵で分ける黒板を3つに区切り、①二人が並んで歩く絵、②時間の矢印と右上がりのグラフ、③ベルと走り出す人の絵を描く。①「友人とともに歩く=一緒に」、②「年をとるとともに、体力が落ちる=一方が変わると、もう一方も変わる」、③「ベルが鳴るとともに、走り出した=同時に」と言い、それぞれの絵の下に話し言葉の言い換え(一緒に/〜につれて/と同時に)を書く。
- 本文の「進歩」から変化の意味へ新しい言葉の「気象」「観測」「進歩」を使い、「昔の天気予報と今の天気予報、何が変わりましたか」と聞く。「よく当たるようになった」が出たら「気象観測の進歩とともに、天気予報はよく当たるようになった」と言い、グラフの絵の②に当てはめる。この課でいちばん大事なのは②の意味だと伝える。
板書案
① N(人)+とともに=一緒に
② N(変化)/V辞書形+とともに、〜も変わる
気象観測の進歩とともに、天気予報はよく当たるようになった。
③ V辞書形+とともに=同時に
〔青〕話し言葉では ①一緒に ②〜につれて ③〜と同時に
場面と発話(自作)
- 日本語学校の卒業式。卒業生代表が、お世話になった先生たちにあいさつする。この2年間、先生方や仲間とともに学んだことは、一生の宝物です。
- 大学の授業で、留学生が自分の国の変化について発表している。経済の成長とともに、私の国では車を持つ人が急に増えました。
- 会社の朝礼で、課長が新しいシステムについて説明する。来月から新しいシステムを入れるとともに、仕事の進め方も見直します。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
教師が3枚の絵(一緒・変化・同時)のどれかを指しながらキュー(家族・年齢・ドアが開く)を出し、学習者が「〜とともに」で文を作る。そのあと教師が文を読み上げ、①〜③のどの意味かを答えさせてから教科書の練習へ。
- 口頭変化の意味を中心に、教師が「時代」「年齢」「インターネットの普及」「町の人口が減る」のキューを出し、全体で「〜とともに、〜も変わった」と言う。後ろの変化は、教師が絵(手紙→メール・若者→高齢者・店が閉まる)で示す。慣れたら絵を外し、学習者が自分で後ろを作る。個人指名で3〜4人。
- ペア「昔と今」のインタビュー: Aは「昔」の写真カード(黒電話・紙の地図・手書きの手紙)、Bは「今」の写真カード(スマホ・地図アプリ・メール)を持ち、カードを見せ合って「〜の普及とともに、〜なくなった/〜ようになった」を一人1文ずつ言う。最後に二人で「同時に」の意味の文を1つ作る。2枚ごとに役を交替する。
- 産出「わたしの国の変化」スピーチ: 自分の国や町でこの10年に変わったことを1つ選び、「〜とともに」(変化)を使って3〜4文で話す(または作文に書く)。聞き手は「ほかに変わったことは?」と1つ質問する。教師は、前と後ろの両方が変化になっているか、話し言葉の中で硬すぎないかを聞き取り、終わってから全体で直す。
つまずきと手当て
- 変化の意味なのに、後ろに変化しない文を置く(*時代とともに、この町には古い寺がある)。「〜とともに」の後ろも「〜ようになった・〜なくなった・増えた」のような変化の文になると、グラフの絵で確かめる
- 前を「た形」にする(*大学を卒業したとともに、帰国した)。「とともに」の前は辞書形か名詞(卒業するとともに/卒業とともに)と、板書の枠で固定する
- 友だちとの会話で使って硬すぎる文になる(「昨日、友だちとともにカラオケに行った」)。文法の誤りではないが、話し言葉なら「友だちと一緒に」が自然だと、場面の改まり方で言い換えさせる
既習の文型との違い
- 〜につれて(第10課)「〜につれて」は、一方が少しずつ変わるのに合わせて、もう一方も少しずつ変わることを言い、変化の意味にしか使えない。「〜とともに」は変化の意味も言えるが、「一緒に」「同時に」の意味も持ち、より書き言葉的になる。「年をとるにつれて/とともに」はどちらも言えるが、「家族につれて暮らす」とは言えない。
- 〜と一緒に(初級)「と一緒に」は話し言葉でも書き言葉でも使える、人と何かを一緒にするときの基本の言い方。「とともに」は同じ意味でも改まった文(あいさつ・作文・ニュース)向きになる。学習者には、ふだんの会話は「一緒に」、スピーチや作文では「とともに」と、場面で選ばせる。
関連する文型
学習項目 4 〜にもかかわらず
意味・はたらき学習項目 4
前の事実から当然予想されることと反対の結果になったことを言う逆接の表現。意味は「〜のに」に近いが、書き言葉・改まった話し方で使い、報告・ニュース・論文などで事実として述べるときによく出る。後ろは実際に起きたこと・今の状態で、命令・依頼・誘い・話し手の意志(〜てください・〜ましょう・〜つもりだ)は来ない。名詞に直接付けることもでき(雨にもかかわらず)、文の初めに「(それ)にもかかわらず、〜」と接続詞のように置くこともある。「も」のない「〜にかかわらず」は「〜に関係なく」という別の意味なので、区別して扱う。
接続
動詞・い形容詞の普通形+にもかかわらず/名詞・な形容詞の語幹+(である)にもかかわらず(休日にもかかわらず/不便であるにもかかわらず)
形
V普通形+にもかかわらず、〜た(何度も注意したにもかかわらず、同じ間違いが続いた)N+にもかかわらず、〜(悪天候にもかかわらず、会場には多くの人が集まった)Nである/な形容詞の語幹+である+にもかかわらず(平日であるにもかかわらず、店は混んでいた)文頭の「にもかかわらず、〜」(準備は十分だった。にもかかわらず、結果は予想を下回った)
導入
- 「予想」と「実際」を左右に並べる黒板の左に「天気予報:晴れ」、右に「実際:大雨」と書き、間に「予想と反対」と矢印を引く。「天気予報は晴れだったのに、大雨が降りました」と「のに」で一度言ってから、ニュースの読み上げ口調で「晴れの予報だったにもかかわらず、大雨が降りました」と言い換える。「のに」はふだんの言い方、「にもかかわらず」はニュースや作文の言い方、と2行で並べる。
- 本文の「異常気象」で書き言葉の文を作る新しい言葉の「観測」「進歩」「異常」「洪水」を使い、「技術は進歩しました。でも、災害はなくなりましたか」と聞く。「なくなっていない」が出たら、二つの文を「気象観測の技術が進歩したにもかかわらず、洪水の被害はなくならない」と1文にまとめ、後ろが事実の文になっていることを確かめる。
板書案
予想 〜 + にもかかわらず、実際 〜(予想と反対)
晴れの予報だったにもかかわらず、大雨が降った。
〔赤〕N/な形容詞の語幹+(である)にもかかわらず
〔青〕話し言葉では「〜のに」 〔×〕後ろに「〜てください・〜ましょう」
〔比べる〕天候にかかわらず実施する(=関係なく)
場面と発話(自作)
- 大学のゼミで、留学生がアンケートの結果を発表している。多くの学生が朝ご飯は大切だと答えたにもかかわらず、実際に毎日食べている人は半分以下でした。
- 会社で、イベントの報告書を書いている。当日は台風が近づいていた。当日は強い風が吹いていたにもかかわらず、予定の倍の来場者がありました。
- 日本語学校のスピーチ大会。司会の学生が、最後に会場の人にお礼を言う。本日はお忙しいにもかかわらず、お集まりいただき、ありがとうございました。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
教師が「予想」と「実際」の2枚のカード(よく勉強した/不合格・薬を飲んだ/熱が下がらない・日曜日/店が空いている)を出し、学習者が「〜にもかかわらず、〜」で1文にする。次に同じ内容を「のに」でも言わせ、後ろに頼みや意志を置いていないかを確かめてから教科書の練習へ。
- 口頭教師が予想と実際の組のカード(練習した/負けた・雨だった/試合があった・高い/よく売れている)を見せ、全体で「〜にもかかわらず、〜」と言う。名詞のカード(雨・休日・夜中)も混ぜ、名詞に直接付く形と「である」の形を確かめる。個人指名で3〜4人に、ニュースを読む口調で言わせる。
- ペア「ニュースの原稿」づくり: Aは出来事のメモ(台風が近づいていた・入場料が高かった)、Bは結果のメモ(客がたくさん来た・すぐに売り切れた)を持ち、メモを読み合って一つの文にし、Aがニュースのアナウンサー役で読み上げる。次の組では役を交替し、Bが同じ内容を友だちに話す口調(「のに」)で言い直す。
- 産出「意外な結果レポート」: クラスで簡単なアンケート(毎日運動するのは大切か/実際にしているか など)を取り、結果を「〜にもかかわらず」を1つ以上使って3〜4文の報告文に書き、発表する。教師は、後ろが事実の文になっているか、命令・意志が入っていないか、な形容詞・名詞の接続が正しいかを見て、提出された文に直しを入れる。
つまずきと手当て
- 後ろに誘い・依頼・意志を置く(*雨にもかかわらず、出かけましょう)。後ろは実際に起きた事実だと板書に残し、誘いや意志を言いたいときは「雨でも、出かけましょう」と「ても」に言い換えさせる
- 「も」を落として意味が変わる(「雨にかかわらず、たくさんの人が集まった」と言うと「雨かどうかに関係なく」の意味になる)。「にもかかわらず=のに」「にかかわらず=関係なく」と、「も」に丸を付けて対で見せる
- な形容詞に「な」を付けたまま接続する(*不便なにもかかわらず)。「不便であるにもかかわらず」「不便にもかかわらず」の形で練習させ、名詞と同じ扱いだと伝える
既習の文型との違い
- 〜のに(初級)「のに」は話し言葉でよく使い、話し手の不満・残念・驚きの気持ちが強く出る(せっかく作ったのに、だれも食べない)。「にもかかわらず」は改まった文で事実として述べる言い方で、気持ちは「のに」ほど前に出ない。どちらも後ろに命令・意志は来ない点は同じなので、違いは文体と気持ちの強さとして見せる。
- 〜ながら(逆接)(第2課)「残念ながら」「知っていながら」のように、逆接の「ながら」は前に状態や事実が来て、同じ人が「〜なのに〜する」ことを言う場合が多い。「にもかかわらず」は前と後ろの主語が違ってもよく、出来事どうしの予想外の関係を広く言える(雨だったにもかかわらず、客が多かった)。
- 〜にかかわらず(「も」のない形)「年齢にかかわらず、だれでも参加できる」のように、「にかかわらず」は「〜に関係なく、どの場合でも」という意味で、前には「年齢・天候・経験の有無」や「〜かどうか」が来る。「にもかかわらず」は一つの事実に対して予想と反対だったことを言う。案内文と報告文の例を並べて、どちらの意味かを答えさせる。
関連する文型
語彙の扱い
この課の新出語は 43 語(本文を読むための語 43・練習などの語 0)。1語ずつの意味・いっしょに使う助詞と連語・例文は語彙のページにあります。
新しい言葉は本文に出る順で43語と多い。全部を同じ重さで扱わず、天気と観測の語(予測・観察・観測・気象・夕焼け)、自然と暮らしの語(いとなみ・収穫・農作業・調和・知恵・言い伝え)、災害の語(異常・洪水・引き起こす・うばう)のまとまりで黒板に分けると、本文の流れが先に見える。「当てになる」「手におえない」「かけがえのない」「欠かせない」「なくてはならない」は語を一つずつ訳すと意味が取れないので、決まった言い方として、どんな場面で言うかを一文で示す。「欠かせない」と「なくてはならない」は意味が近いので並べて扱う。「〜る上で」「〜次第」「〜とともに」「〜にもかかわらず」は語彙にも出るが、意味と使い方は学習項目でまとめて扱う。語ごとの意味・連語・場面は語彙のページに。
第14課の語彙リスト(43語)新出語の意味・いっしょに使う助詞と連語・例文(自作)を五十音順に
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本文の扱い
本文の中身は手元の教科書で確かめること。新しい言葉(予測・いとなみ・収穫・法則・観察・夕焼け・言い伝え・当てになる・知恵・いのる・てるてるぼうず・気象・観測・進歩・異常・洪水・かけがえのない・手におえない・したがう・見直す)から、天気を知ることは昔から人の暮らしや農作業に欠かせず、人々は空や自然を観察して言い伝えや知恵を残し、当てにならないときは神にいのったりてるてるぼうずを作ったりしたこと、気象観測が進歩した今でも異常気象による災害は防ぎきれないことを通して、自然との付き合い方を見直そう、という話題の読み物だと推測される。精読では「昔の人は何を手がかりに天気を予測したか」「言い伝えはどんなときに当てになり、どんなときに当てにならないか」「科学の進歩で何が変わり、何が変わっていないか」「筆者は何を見直すべきだと考えているか」の4点を段落ごとに聞く。本文に「〜とともに」「〜にもかかわらず」が出ていれば、そこで止めて、変化に伴う変化か、予想と反対の事実かを学習者に言わせる。
宿題と次のコマ
使いましょう(学習項目1〜4)の練習の残りと、漢字 A の書き取り。まとめましょうの「昔の知恵で、今も役に立つと思うもの」を5文(学習項目を2つ以上使う)で書いてくる。自分の国の天気の言い伝えを1つ調べてきて、次のコマの話しましょうで紹介する。
よくある質問
第14課「みなおす」は何コマで終わりますか?
90分なら2コマが目安です。1コマ目で新しい言葉・本文の大意・設問と学習項目1・2、2コマ目で精読の続きと学習項目3・4、まとめ・漢字まで進めます。新しい言葉が43語と多いので、語彙の確認を前のコマの宿題に回すと時間に余裕ができます。
「〜る上で」と「〜た上で」の違いはどう説明すればいいですか?
「〜る上で」は「〜するときに大切なこと・必要なこと」で、後ろには「大切だ・欠かせない」のような評価の言葉が来ます。「〜た上で」は「〜したあとで、それをふまえて」で、前と後ろに時間の順序があります。時間の線を引き、前の行為が終わっているかどうかで見分けさせると分かりやすいです。
「〜次第だ」と「Vます形+次第」はどう教え分けますか?
前の形で分けます。名詞に付く「天気次第だ」は「それで決まる」、動詞のます形に付く「届き次第」は「〜したらすぐに」です。この課の中心は名詞の「次第だ」なので、ます形の用法は混同を防ぐために一言触れる程度にし、混ぜた文でどちらの意味かを答えさせると定着します。
「〜とともに」と「〜につれて」の違いは何ですか?
「〜につれて」は、一方が少しずつ変わるとそれに合わせてもう一方も変わる、という変化の意味だけを持ちます。「〜とともに」は変化の意味のほかに「一緒に」「同時に」の意味もあり、より改まった書き言葉の表現です。変化の文ではどちらも使えることが多いので、「家族とともに」のような人の例で「につれて」が使えないことを見せると違いがはっきりします。
「〜にもかかわらず」と「〜のに」「〜にかかわらず」はどう区別させればいいですか?
「にもかかわらず」と「のに」は同じ逆接で、違いは文体と気持ちの強さです(作文・報告は「にもかかわらず」、会話で不満を言うなら「のに」)。「も」のない「にかかわらず」は「〜に関係なく」という別の意味なので、「にもかかわらず=のに」「にかかわらず=関係なく」と対で板書し、案内文と報告文の例を比べさせます。
この課に関係する用語・解説・練習問題
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。