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中級から学ぶ日本語 第12課「わける」の教案

『テーマ別 中級から学ぶ日本語 三訂版』 ・ 本文〈ABOAB〉

人を「わける」ことがテーマの課です。本文は、日本で血液型が性格の話題としてよく持ち出され、型ごとに性格の傾向が語られる一方で、科学的な根拠はないという反論もある、という話題の読み物だと新しい言葉から推測されます。文型は、手本や予想と同じであることを言う「〜とおり」、言ったことの理由をあとから足す「というのも」、基準を決めたり世間の考えを紹介したりする「〜とする/される」、違いのもとや分ける基準を言う「〜によって」。「〜とされる」と「というのも」は、本文のように「よく言われていること」と「実際はどうか」を分けて書くときの道具なので、意見文を書かせる最後の活動までつなげることが芯になります。「〜によって」は第7課の手段・原因に続く3つ目の使い方なので、3つを並べて整理する時間を取ります。

このページについて教科書の本文・例文・設問は載せていません。例文と場面はすべて自作です。学習項目の名前は教科書の「使いましょう」の見出しに合わせています。
学習項目4時間90分×2コマ語彙43語

この課のねらい(Can-do)

  • 「〜とおり」で、説明・予定・予想と同じであることを言え、名詞のあとの「のとおり/どおり」と動詞のあとの「Vる/Vたとおり」を使い分けられる
  • 「というのも」で、先に言った結論や意外なことの理由を、「〜からだ/のだ」で閉じる形であとから説明できる
  • 「AをBとする」で決まりや基準を書き言葉で言え、「〜とされる」で世間や専門家の考えを、自分の意見と分けて紹介できる
  • 「〜によって」で、人・国・場合による違いや分ける基準を言え、第7課の手段・原因の「によって」と読み分けられる
  • 本文を読んで、血液型で人の性格を分けることについて、よく言われていることと根拠を分けて自分の意見を書ける

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
新しい言葉25分43語。性格を表す語(慎重・楽天的・気まぐれ・のんき・気が強い・わがまま・冷静・いいかげん)はプラスの印象・マイナスの印象の2列に分けて板書し、反対の語(気が強い/気が弱い・客観的/主観的)を添える。「科学的・根拠・反論・口にする」は議論の語としてまとめる。「〜通り」「というのも」は学習項目で扱うと予告し、「一見〜が、実は」は対で見せる
いっしょに考えましょう10分「人をタイプに分ける方法」を知っているだけ挙げる(血液型・星座・生まれた順番・出身地など)。学習者の国でよく話題になるものを聞き、黒板の端に残すと学習項目4の「〜によって」の例にそのまま使える。血液型そのものは答えさせなくてよい
読みましょう(大意)20分教師の範読→段落ごとの音読→「どんな場面で血液型の話が出るか」「型ごとにどんな性格だとされているか」「筆者はそれをどう見ているか」の3点で大意をつかむ。精読は2コマ目の初めか宿題に回してよい
答えましょう10分設問を一緒に解き、答えが本文のどこにあるかを指で押さえさせる。筆者の考えを問う設問は、「一見」「実は」「というのも」の後ろに何が書いてあるかを手がかりにする
使いましょう(学習項目1・2)25分1コマ目の後半。「〜とおり」(折り紙の指示で導入)→「というのも」(教師の意外な習慣で導入)。各項目は導入→口頭→ペアまで
使いましょう(学習項目3・4)50分2コマ目。「〜とする/される」(25分)は、クラスの決まりを書き言葉で決める「とする」から、世間の考えを紹介する「とされる」へ。「〜によって」(25分)は第7課の手段・原因の板書を再現し、横に「違いのもと・分ける基準」を足して3つを並べる
まとめましょう・話しましょう25分「血液型で性格を分けることについて」を4〜5文で(〜とされている・というのも・〜によって を1つ以上)。話しましょうはペアで「人をタイプに分けて話すことは、役に立つか・困ることがあるか」
漢字を練習しましょう15分読み書き(A)は宿題、読みだけ(B)は本文を読みながら確認する

学習項目 1 〜とおり

意味・はたらき学習項目 1

前に言ったこと・見せたこと・予定や予想・書いてあることと「同じように」「同じ状態で」ということを言う。名詞のあとでは「Nのとおり」「Nどおり(予定どおり・説明書どおり)」、動詞のあとでは「Vるとおり」「Vたとおり」の形になる。後ろには「〜とおりに+動詞」(言われたとおりに書く)、「〜とおりだ」(結果は予想したとおりだった)、「〜とおりの+名詞」(思ったとおりの結果)が続く。手本と中身が同じであることを言う言い方なので、見た目や性質が似ていることを言う「〜のように」(父のように背が高い)とは重ならない部分がある。文法の見方では、名詞「通り」を前の文が修飾する形(連体修飾)で、様子・方法を表している。

接続

動詞の辞書形・た形+とおり(に/だ/の+N)/名詞+の+とおり/名詞+どおり(「ど」に濁る)/この・その・あの+とおり

形
Vる+とおりに(私がやるとおりに、手を動かしてください)Vた+とおり(心配したとおり、雨で試合が中止になった)Nのとおり/Nどおり(地図のとおりに歩いたら着いた/電車は時間どおりに来た)〜とおりの+N(説明会で聞いたとおりの仕事だった)

導入

  • 折り紙の指示で「Vるとおりに」教師が紙を1枚持ち、「私が折るとおりに折ってください」と言って、1折りずつ見せながら学習者に同じように折らせる。途中で違う折り方をした学習者に「私が折ったとおりになっていますか」と聞き、これからする動作は「Vるとおり」、もう済んだ動作は「Vたとおり」と、板書で矢印の時間を見せる。
  • 予想が当たる場面で「思ったとおり/予想どおり」箱の中身を学習者に予想させてから開け、当たった学習者に「思ったとおりでしたね」、全体に「予想どおりでした」と言う。動詞のあとは「とおり」、名詞のあとは「どおり」と濁ること、名詞と「とおり」の間には「の」が要ることを、3つの形を縦に並べて示す。

板書案

N の とおり(に)/N どおり(に)
V る / V た + とおり(に)
私が折る〔赤〕とおりに、折ってください。
思った〔赤〕とおり、中はケーキだった。
〔青〕予定どおり・時間どおり(名詞のあとは「ど」に濁る)

場面と発話(自作)

  • 日本語学校で、初めてレポートを提出する。先生に書き方を確かめる。このプリントに書いてあるとおりに書けば、大丈夫ですか。
  • 引っ越しの日。家具を運んできた業者の人に、置き場所を伝える。この図のとおりに、ベッドを窓の横に置いてください。
  • 面接の前に先輩から「質問はたいてい3つ」と聞いていた。面接のあと、先輩に報告する。先輩が言ったとおり、質問は3つでした。練習しておいてよかったです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が手本になる語(地図・説明書・予定・天気予報・先生の説明)を言い、学習者が「〜のとおり/〜どおり」「〜たとおり」で文を作る。次に予想が当たった・外れた話を「思ったとおり」「思ったとおりではなかった」で言わせてから教科書の練習へ。

  1. 口頭教師が「地図」「説明書」「予定」「天気予報」「先生が言った」「レシピに書いてある」を順にキューとして言い、学習者が全体→個人で「地図のとおりに行く」「予定どおりに終わる」「先生が言ったとおりにする」と言う。名詞のキューでは「のとおり」と「どおり」の両方を言わせる。
  2. ペア「絵の指示ゲーム」: Aだけが家具の配置図(または簡単な図形の絵)を持ち、Bに見せずに口で説明する。Bは聞いたとおりに紙にかき、最後に2人で絵を比べて「言ったとおりになっている/なっていない」と言い合う。役を替えて別の絵でもう一度。
  3. 産出「予想が当たった話・外れた話」: 日本に来る前に思っていたことと、来てみて分かったことを「思ったとおり〜」「聞いていたとおりの〜」「〜は、思っていたとおりではなかった」を使って3文で話す。教師は、名詞のあとの「の」が落ちていないか、似ていることを言う文に「とおり」を使っていないかを見る。

つまずきと手当て

  • 名詞のあとの「の」を落とす(*説明書とおりに作った)。「説明書のとおりに」か「説明書どおりに」の2つだけと、板書の1行目で確かめる
  • 見た目や性質が似ていることに使い、不自然になる(兄のとおり、背が高い)。「とおり」は手本や言われたことと同じにする・同じになるときの言い方で、似ていることは「兄のように」と言い換えさせる
  • これからする指示と済んだことの形がずれる(あとで説明したとおりに、やってください)。これから説明するなら「説明するとおりに」、もう説明したなら「説明したとおりに」と、時間の矢印で確かめる

既習の文型との違い

  • 〜ように(初級・例示・様子)「先生が言ったように」と「先生が言ったとおり」は、多くの場合どちらも使える。ただ「ように」は似ていることにも使える(父のように背が高い)のに対し、「とおり」は手本と中身が同じであることに重点がある。学習者が似ている文に「とおり」を使ったら、「手本があるか」を聞き返す。
  • 〜まま(第13課)「まま」は前の状態が変わらずに続くこと(靴をはいたまま入る)、「とおり」は手本や予定と同じにすること(言われたとおりに入る)。「まま」は変化が無いこと、「とおり」は手本との一致を言うので、同じ動詞で2つの文を作って比べさせる。
関連する文型

学習項目 2 というのも

意味・はたらき学習項目 2

前の文で言ったこと(結論・意外なこと・自分の行動)の理由や事情を、あとから付け加えて説明する、文の始めに置く接続の言い方。後ろの文は「〜からだ」「〜のだ」で終わることが多く、これで「理由の説明はここまで」という形が閉じる。先に結論を言って、聞き手・読み手が「どうして?」と思うところに答える流れを作るので、エッセイや少し改まった話で、意外な結論を言ったあとによく使う。「なぜなら」に近いが、「なぜなら」より論理を強く押し出さず、会話でも使いやすい。文法の見方では、二つの文の関係(理由)を示す接続詞で、文と文のつながり(結束性)を作る働きをしている。

接続

文。というのも、文(普通形)+からだ/のだ(書き言葉では「〜ためだ」も)

形
〜。というのも、〜からだ(最近は自転車で通っている。というのも、駅前の駐輪場が無料になったからだ)〜。というのも、〜のだ(私は朝型になった。というのも、夜は寮が騒がしくて勉強できないのだ)〜。というのも、〜ためだ(書き言葉。今年は応募者が増えた。というのも、締め切りが延びたためだ)

導入

  • 教師の意外な習慣で「どうして?」を引き出す教師が「先生は、毎朝5時に起きています」と言い、学習者から「どうしてですか」を引き出す。そのあとで「というのも、朝しか自分の時間がないからなんです」と答える。板書では「結論→(どうして?)→というのも、理由+からだ」と、矢印を後ろから前に戻して書く。
  • 「だから」と向きを比べる同じ二つの文を「朝しか時間がない。だから、5時に起きる」と「5時に起きる。というのも、朝しか時間がないからだ」の2通りに書いて並べる。「だから」は理由→結果、「というのも」は結果→理由と、矢印の向きが逆になることを見せる。

板書案

結論。 〔赤〕というのも、 理由+からだ/のだ。
〔青〕だから: 理由 → 結果 / 〔赤〕というのも: 結果 ← 理由
5時に起きている。というのも、朝しか時間がない〔赤〕からだ。

場面と発話(自作)

  • アルバイトの面接で、なぜこの店を選んだのか聞かれた。こちらの店を選びました。というのも、家から歩いて通えるので、授業のあとでも働けるんです。
  • クラスのスピーチで、日本で始めた習慣について話す。私は日本に来てから、毎日日記を書いています。というのも、書くと使った日本語を覚えられるからです。
  • 友だちが、どうして最近外食しないのかと不思議がっている。最近は自分で作るようにしているんだ。というのも、来月までにお金をためたいんだよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が意外な結論だけを言い(先生は車を持っていない・この店はいつも空いている)、学習者がもっともらしい理由を「というのも、〜からです」で付ける。次に学習者が自分の小さな意外な事実を言い、隣の人が「どうして?」と聞いて理由を答えてから教科書の練習へ。

  1. 口頭教師が「今日は傘を持ってきた」「この寮は人気がある」「最近は早く寝ている」「日本語の新聞を読み始めた」と結論の文を言い、学習者が全体→個人で「というのも、〜からです」を続ける。慣れたら「〜のです/んです」の終わり方でも言わせる。
  2. ペア「なぞの習慣インタビュー」: Aは「実は、〜ています」と自分の少し変わった習慣を一つ言い、Bは「どうしてですか」と聞く。Aは「というのも、〜からです」で答え、Bはそれをメモして「〜さんは〜ています。というのも〜からだそうです」とクラスに伝える。交替してもう一度。
  3. 産出「意外な結論の150字作文」: 自分が選んだこと(学校・住む町・専門など)を一つ挙げ、最初の文で結論を言い、「というのも、〜からだ」で理由を2つ書く。教師は、理由の文が「からだ/のだ」で閉じているか、「というのも」を一つの文の中に入れていないかを見る。

つまずきと手当て

  • 一つの文の中で「から」の代わりに使う(*寝坊したというのも、授業に遅れました)。「というのも」は文の始めに置く言い方で、前の文はいったん「。」で切ると、板書の1行目の形で確かめる
  • 理由の文を「からだ/のだ」で閉じず、ただの事実で終わる(というのも、駅が近いです)。誤りではないが説明が途中で終わったように聞こえるので、「からです」を付けた形と読み比べさせる
  • 向きを逆にして、理由のあとに結果をつなぐ(雨が降った。というのも、試合が中止になった)。結果を言うのは「だから」で、「というのも」の後ろには必ず「どうして?」の答えが来ると矢印で確かめる

既習の文型との違い

  • なぜなら(〜からだ)どちらも結論のあとに理由を言う。「なぜなら」は論文や議論で理由をはっきり示す、かたい言い方。「というのも」は事情を打ち明けるような響きがあり、エッセイや会話でも使いやすい。スピーチ原稿で両方を入れ替えて読ませ、響きの違いを聞かせる。
  • というのは理由を言う使い方では「というのも」とほとんど同じに使える。ただ「というのは」には「Nというのは〜のことだ」のように言葉の意味を説明する使い方もあり、「というのも」はふつうその意味では使わない。意味の説明の文に「というのも」を入れたときに直す。
  • 〜ものだから(第16課)「ものだから」は一つの文の中で、自分の事情を言い訳のように言う(道が混んでいたものだから、遅れました)。「というのも」は文を一度切ってから理由を足す。謝るときの言い訳は「ものだから」、意外な結論の説明は「というのも」と場面で分ける。
関連する文型

学習項目 3 〜とする/される

意味・はたらき学習項目 3

「AをBとする」は、Aを(ある基準や決まりで)Bとして決める・扱う・みなすことを言う書き言葉の言い方で、規則・お知らせ・レポートの定義によく使う(60点以上を合格とする)。ニュースでは「(人・組織)は〜としている」の形で、その人や組織の判断・発表を伝える。受身の「〜とされる/とされている」は、世間や専門家の間で一般にそう考えられている・言われていることを、自分の意見としてではなく紹介する言い方。本文の話題のように、「〜とされているが、実は〜」と、よく言われていることと実際を分けて書くときに使う。どれも引用の「と」に「する」が付いた形で、自分で言い切らずに一歩引いて伝える働きがある。

接続

AをBとする(Bは名詞)/(人・組織)は+普通形+としている/普通形+とされる・とされている(名詞・な形容詞は「〜だとされる」「Nとされる」のどちらも使う)

形
AをBとする(このクラスでは、遅刻3回を欠席1回とする)〜とされる/とされている(血液型と性格には関係があるとされてきた)〜とされる+N(体によいとされる食べ物)(人・組織)は〜としている(大学側は、来年から入学試験の方法を変えるとしている)

導入

  • クラスの決まりを書き言葉で作る「遅刻3回で欠席1回にします」と話し言葉で言ってから、学校の掲示の調子で「遅刻3回を欠席1回とする」と書く。学習者と一緒に、教室の決まり(宿題の締め切り・使ってよい辞書)を「AをBとする」で2〜3本作り、掲示の紙のように枠で囲む。
  • 「よく言われていること」と「本当か」を分ける「日本人は時間に厳しいとされている」を板書し、「だれが言っている?」「本当?」と聞く。「とされている」は自分の意見ではなく、世間で言われていることを紹介する形だと確かめ、後ろに「が、実は〜」を足した文を学習者に作らせる。本文の話題につながる。

板書案

A を B 〔赤〕とする(決まり・定義)
遅刻3回を欠席1回〔赤〕とする。
普通形 + 〔青〕とされる/とされている(世間・専門家の考え)
早起きは体によい〔青〕とされている。が、実は〜

場面と発話(自作)

  • 日本語学校の掲示板に、スピーチ大会のお知らせを書く。発表は1人5分以内とします。
  • 大学のレポートで、昼寝の効果について書く。短い昼寝は、午後の集中力を高めるとされている。
  • 留学生のグループで、国の言い伝えを紹介する発表をする。私の国では、夜に口笛を吹くのはよくないとされています。でも、実際に信じている若い人は少ないです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が話し言葉の決まり(3回休んだら欠席にします)を言い、学習者が「AをBとする」の掲示の文に言い換える。次に「〜と言われている」の文を「〜とされている」に書き換え、後ろに「が、実は〜」を付けてから教科書の練習へ。

  1. 口頭教師が「5分以内にします」「80点以上で合格にします」「日曜日は休みにします」と話し言葉の決まりを言い、学習者が全体→個人で「〜とします」に言い換える。次に「〜と言われている」の文(早起きは体にいいと言われている)を言い、「〜とされている」に言い換えさせる。
  2. ペア「寮のルールづくり」: 2人で寮の管理人と住人の役になり、Aがゴミ出しや門限についての決まりを「AをBとする」で提案し、Bが「それは厳しすぎます」と反対して、決まりを一つずつ直していく。最後に決まった3本を掲示の形で書く。役を替えて共用キッチンの決まりでもう一度。
  3. 産出「言い伝えは本当か」: 自分の国でよいとされていること・よくないとされていることを一つ選び、「〜とされている。が、実は〜」「〜とされているが、本当だろうか」の形で4文の説明を書いて発表する。教師は、自分の意見の文に「とされる」を使っていないか、「と」が落ちていないかを見る。

つまずきと手当て

  • 自分の意見や好みに使い、他人の話のように聞こえる(私はこの映画が好きだとされる)。「とされる」は世間や専門家の考えを紹介する言い方で、自分の意見は「〜と思う」「〜と考える」と言い換えさせる
  • 「と」を落とす(*健康にいいされている)。引用の「と」に「する」が付いた形だと、板書の「と」を色で囲んで示す
  • 「AをBとする」と「AをBにする」を混ぜる。どちらも決めることを言えるが、「にする」は会話で選んで決めるとき(飲み物はコーヒーにする)、「とする」は決まりや定義を書くときと場面で分ける。会話で「とする」を使うとかたく聞こえる

既習の文型との違い

  • 〜として(第9課)「Nとして」は立場・資格を言う(留学生として参加する)。「AをBとする」はAをBに決める・みなすこと。て形の「AをBとして」(失敗を経験として生かす)になると「みなして」の意味になり、第9課の「として」と形が重なるので、前に「Aを」があるかどうかで見分けさせる。
  • 〜と言われている/〜そうだ(伝聞)「そうだ」は聞いた話をそのまま伝える(天気予報によると雨だそうだ)。「と言われている」は広く言われていること、「とされている」はそれを改まった文で、専門家や公の考えとして紹介する言い方。同じ内容を会話・発表・レポートの3つの場面で言い分けさせる。
  • 仮定の「〜とする」(〜としても・第18課)「今、100万円あるとする」のように、本当ではないことを仮に考えるときにも「とする」を使う。この課の決まり・世間の考えの「とする/される」とは別の使い方なので、仮定の文が出たら「本当のこと?仮に考えていること?」と聞いて分ける。
関連する文型

学習項目 4 〜によって

意味・はたらき学習項目 4

「AによってBが違う」の形で、Aが変わればBも変わる、Aの一つ一つでBが同じではないことを言う(国によって、あいさつの仕方が違う)。後ろには「違う・異なる・さまざまだ・変わる」が来ることが多い。また「AによってBを分ける」の形で、分けたり決めたりするときの基準も言える(血液型によって、人を4つのタイプに分ける)。「Nによっては」は、いくつかある中で特別な場合を取り出す言い方(人によっては、毎日血液型の占いを見る)。名詞の前では「Nによる+N」(地域による違い)。第7課の「によって」が手段・原因を言うのに対して、この課は「違いのもと」「分ける基準」の使い方。

接続

名詞+によって+違う/異なる/さまざまだ/変わる/分ける/名詞+によっては、〜/名詞+による+名詞(違い・差)

形
Nによって+違う(季節によって、店の開く時間が違う)Nによっては、〜(場合によっては、授業がオンラインになる)Nによって+分ける(成績によって、クラスを3つに分ける)Nによる+N(年齢による考え方の差)

導入

  • 「いっしょに考えましょう」の答えで違いを並べる学習者が挙げた「国でよく話題になる分け方」(血液型・星座・生まれた順番)を国ごとに表にし、「国によって、人をタイプに分ける方法が違う」と言う。次に「朝ご飯」「あいさつ」など身近な話題で、学習者の国ごとの違いを集め、「〜によって〜が違う」を何本も作る。
  • 第7課の板書と並べて3つに整理する第7課の「話し合いによって決めた(手段)」「台風によって止まった(原因)」を再現し、その右に「国によって違う(違いのもと)」を書く。後ろの動詞(決める/止まる/違う)に線を引き、後ろを見れば3つのどれかが分かることを学習者自身に見つけさせる。

板書案

N によって + 違う/異なる/さまざまだ
国〔赤〕によって、あいさつの仕方が違う。
N によっては、〜(一部を取り出す)
〔青〕第7課: 手段(話し合いによって決めた)・原因(台風によって止まった)
〔赤〕第12課: 違いのもと(国によって違う)・基準(血液型によって分ける)

場面と発話(自作)

  • アルバイト先で、新しく入った人にシフトのことを聞かれた。シフトは週によって違うので、毎週金曜日に表を見てくださいね。
  • 日本語学校の進学相談で、先生が大学の入試について説明する。大学によっては、面接だけで決まるところもあります。
  • 国際交流のイベントで、自分の国の料理を紹介する。同じ国の中でも、地方によって料理の味付けがずいぶん違います。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が話題(あいさつ・食事の時間・プレゼントの選び方)を言い、学習者が「国によって〜が違う」「人によっては〜」を1文ずつ作る。次に分ける基準のカード(年齢・成績・住んでいる場所)で「〜によって〜に分ける」を作り、最後に第7課の手段・原因の文と混ぜて、どの使い方かを答えさせてから教科書の練習へ。

  1. 口頭教師が「人・好きな食べ物」「季節・服」「場所・値段」「日・天気」と2つの語を組にして言い、学習者が全体→個人で「人によって、好きな食べ物が違う」と言う。次に同じ組で「人によっては、〜」を言わせ、「全体の違い」と「一部の特別な例」の差を確かめる。
  2. ペア「国くらべインタビュー」: AとBは別の国(または地方)の出身として、あいさつ・誕生日の祝い方・食事の時間を聞き合い、表にまとめる。最後に表を見て「国によって〜が違う」「国によっては〜」の文を2人で3本作る。相手を替えてもう一度。
  3. 産出「分け方を考えよう」: クラスの人を何かの基準(朝型か夜型か・好きな季節など)で2〜4つのグループに分ける案を考え、「〜によって〜つに分ける。〜は〜とされているが、〜」の形で3〜4文の説明を書いて発表する。教師は、「によって」の後ろが違い・分け方になっているか、名詞の前を「による」にしているかを見る。

つまずきと手当て

  • 後ろに一つだけの事実を言い、違いが出てこない(人によって、ラーメンが好きだ)。違いを言うなら「人によって好きな食べ物が違う」、一部を取り出すなら「人によっては、ラーメンが大好きだ」と、2つの形に言い換えさせる
  • 「〜ところもある」の文で「によって」を使う(大学によって、面接だけのところもある)。通じるが、「によっては」のほうが据わりがよい。全体に違いがあるなら「によって」、その中の特別な例を言うなら「によっては」と、板書の1行目と3行目で比べる
  • 見出しやレポートで、名詞の前を「によって」のままにする(*年齢によって差の調査)。名詞の前は「による」(年齢による差の調査)と見出しの形で確かめる

既習の文型との違い

  • 〜によって(手段)・〜によって(原因)(第7課)形は同じで、手段は「人がそれを使ってする」(話し合いによって決める)、原因は「それのせいで起きる」(台風によって止まる)、この課は「それが変われば結果も変わる」(国によって違う)。後ろが動作・起きたこと・違いのどれかで見分ける。学習者が迷ったら「何が違うの?」と聞き返す。
  • 〜ごとに「ごとに」は一つ一つに同じことをする・同じことが起きる(クラスごとに写真を撮る・1時間ごとに休む)。「によって」は一つ一つで結果が違う(クラスによって雰囲気が違う)。同じ「クラス」で2つの文を作らせると、「同じことのくり返し」と「違い」の差が見える。
  • 〜次第だ(第14課)「次第」は、それ一つで結果が決まることを言う(行くかどうかは天気次第だ)。「によって」は違いがあることを広く言う。「次第」は決め手が一つ、「によって」は違いがいろいろ、と押さえる。
関連する文型

語彙の扱い

この課の新出語は 43 語(本文を読むための語 43・練習などの語 0)。1語ずつの意味・いっしょに使う助詞と連語・例文は語彙のページにあります。

新しい言葉は本文に出る順で43語と多めなので、話題ごとにまとめて扱う。性格を表す語(慎重・楽天的・気まぐれ・のんき・気が強い・わがまま・冷静・いいかげん)は、プラスの印象とマイナスの印象に分けて板書し、同じ人でも言い方で印象が変わること(のんき/落ち着いている)にも触れる。「分ける・タイプ・典型的・対照的・傾向」は分け方の語、「客観的・科学的・根拠・反論・口にする」は議論の語としてまとめる。「一見〜が、実は〜」「〜はというと」は、本文の中で話の向きをどう変えるかを確かめる。「〜通り」「というのも」は語彙にも出るが、意味と使い方は学習項目1・2でまとめて扱う。語ごとの意味・連語・場面は語彙のページに。

第12課の語彙リスト(43語)新出語の意味・いっしょに使う助詞と連語・例文(自作)を五十音順に
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本文の扱い

本文の中身は手元の教科書で確かめること。新しい言葉(性格・タイプ・分ける・血液・意外・人気・あいさつ代わりに・重んじる・慎重・傾向・対照的・楽天的・気まぐれ・典型的・一見・実は・客観的・科学的・根拠・反論・付き合う・ストレス・和らげる)から、日本では血液型があいさつ代わりのように性格の話題に使われ、型ごとに慎重・楽天的・気まぐれ・冷静のような性格の傾向が語られて人気があるが、科学的な根拠はないという反論もある——それでも人と付き合うときの話のきっかけになっている、という話題の読み物だと推測される。精読では「血液型の話はどんな場面で出るか」「型ごとにどんな性格だとされているか(本文の語を表にまとめる)」「根拠についてはどう書かれているか」「筆者は、それでもこの話題が好まれる理由をどう見ているか」の4点を段落ごとに聞く。「一見」「実は」「〜はというと」「というのも」が話の向きを変えるところなので、そこで一度止めて、前と後ろの関係を学習者に言わせる。授業で学習者に自分の血液型を言わせる必要はない。血液型で人を決めつけられて困った経験がある学習者もいるので、話しましょうは「よく言われていること」と「自分の考え」を分けて話す活動にする。

宿題と次のコマ

使いましょう(学習項目1〜4)の練習の残りと、漢字 A の書き取り。まとめましょうの「血液型で性格を分けることについて」を5〜6文(〜とされている・というのも・〜によって を1つ以上)で書いてくる。次のコマは本文の精読の続き、書いてきた文の発表、話しましょう。

よくある質問

  • 第12課「わける」は何コマで終わりますか?

    90分なら2コマが目安です。1コマ目で新しい言葉・本文の大意・設問と学習項目1・2、2コマ目で学習項目3・4とまとめ・漢字まで進めます。新しい言葉が43語と多いので、性格の語を話題ごとにまとめて扱い、それでも時間が足りないクラスは精読と作文の発表を3コマ目に回します。

  • 「というのも」と「なぜなら」「というのは」はどう違いますか?

    3つとも結論のあとに理由を言い、後ろは「〜からだ」で閉じるのがふつうです。「なぜなら」は論文や議論で理由を強く示すかたい言い方、「というのも」は事情を打ち明けるような響きで、会話やエッセイでも使いやすい言い方です。「というのは」は理由のほかに言葉の意味を説明する使い方(Nというのは〜のことだ)もある点が違います。

  • 「〜とされる」と「〜と言われている」「〜そうだ」の違いは何ですか?

    「そうだ」は聞いた話をそのまま伝える言い方、「と言われている」は広く言われていることを紹介する言い方です。「とされている」はそれをレポートやニュースのような改まった文で、専門家や公の考えとして紹介するときに使います。どれも自分の意見ではない点は同じなので、自分の考えは「〜と思う」で言うことも一緒に押さえます。

  • 「〜によって」が第7課と第12課の両方に出ますが、どう整理すればいいですか?

    第7課は手段(話し合いによって決める)と原因(台風によって止まる)、第12課は違いのもと(国によって違う)と分ける基準(血液型によって分ける)です。後ろの動詞が「動作」「起きたこと」「違い・分け方」のどれかで見分けさせると整理できます。第12課では第7課の板書を再現して、3つを横に並べる時間を取ります。

  • 血液型と性格の話題を授業で扱うとき、気をつけることはありますか?

    学習者に自分の血液型を言わせる必要はありません。血液型で決めつけられて困った経験を持つ人や、自分の血液型を知らない人もいるからです。この課は「〜とされている」と「実は〜」を使って、よく言われていることと根拠を分けて考える練習に向いているので、話し合いもその形にすると扱いやすくなります。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。

PRこの教科書

手引きで扱っている教科書。本文・例文は手元の教科書で確かめてください。