日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 中級 第39課「お知らせどころか、個人の大事な情報でさえ簡単に見られてしまう」の教案

『学ぼう!にほんご 中級』

二つの物事を並べて、どこが違うのか、どちらの面が強いのかを、読み手に分かるように説明する力をつける課です。5つの形は、違う二つの物事を比べる「〜一方(で)」「〜に対して」、一つの物事の表と裏を並べる「〜反面」、予想や期待と結果の食い違いを言う「〜に反して」「〜どころか」の3組に分けて入れると整理しやすくなります。とくに「一方(で)」「反面」「に対して」は、どれも対比に使えるので学習者が混ぜやすく、「同じ一つの物事か、別々の二つか」「同じ人が並行してすることも言えるか」の二つの問いで使い分けを確かめておきます。「〜に対して」は初中級で学んだ「相手に向かう」用法の続きとして、この課では対比の用法に絞ります。最後に、二つの物事を比べる短い作文を書かせると、課の目標がそのまま活動になります。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目5時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 自分の国と日本、都市と地方、若い世代と年上の世代など、違う二つの物事の違いを「〜のに対して」「〜一方(で)」で対比して説明できる
  • 一人暮らし・スマートフォン・アルバイトなど、一つの物事の良い面と悪い面を「〜反面」で並べて、その物事を評価する文が書ける
  • 予想・期待・自分の意志と違う結果になったことを「〜に反して」で、予想をはるかに超える程度や予想と正反対の結果を「〜どころか」で言える
  • これらの形を使って、二つの物事を比べ、違いと自分の考えを述べる400字ほどの作文が書ける

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(目標の場面)10分教師が「スマートフォンがない生活とある生活、どちらがいいですか」と聞き、良いところと困るところを自由に出させる。黒板を左右に分けて答えを集め、「この二つを比べて、文章で説明する形がこの課に5つある」と予告する。黒板の端に「別々の二つを比べる」「一つの物事の表と裏」「予想と結果が違う」の3つの箱を作っておく
学習項目1・2 〜一方(で)・〜反面35分地図で南北の地方の気候を比べて「〜一方(で)」を入れ、同じ人が昼と夜に別のことをしている例で並行の使い方も見せる。次に一つの物事(一人暮らし)を表と裏の絵にして「〜反面」を入れ、「一つの物事の二つの面」に限ることを押さえる
学習項目5 〜に対して25分初中級で学んだ「相手に向かう矢印」の絵を思い出させてから、二つの物事を向かい合わせに置く絵で「AはXのに対して、BはY」を導入する。アンケートの数字を比べる文で練習する
対比の3つの形の整理20分同じ組み合わせの文(二つの国の比較・一つの物事の評価・一人の人の二つの活動)を出して、「一方で」「反面」「のに対して」のどれが自然か表にまとめさせる。どれも使える文と、一つしか使えない文を分けて確かめる。1コマ目はここまで
学習項目3 〜に反して25分天気予報や試合の予想を板書し、「予想」と「結果」を逆向きの矢印で結んで導入する。「予想に反して」「期待に反して」「意志に反して」「規則に反して」をかたまりで入れ、書き言葉の形だと押さえる
学習項目4 〜どころか25分程度の階段の絵で「Aどころか、Bも〜」を入れ、続けて「楽になるどころか、かえって忙しくなった」で予想と正反対の使い方を見せる。最後に、相手の言葉を「〜どころか」で打ち消す短い会話をペアで練習する
目標の活動(比べる作文)30分「AとB」(自分の国と日本の〜/スマートフォンを使う生活と使わない生活 など)の題を選び、比べる観点を3つメモしてから、この課の形を3つ以上使って400字ほどの文章を書く。ペアで読み合い、相手の文の対比がはっきりしているかを確かめ合う
まとめ10分黒板の3つの箱に5つの形を置き直し、前と後ろの関係(別々の二つ・一つの表と裏・予想と結果)と、硬さ(作文向きか会話でも使えるか)を一覧にして残す

学習項目 1 〜一方(で)

意味・はたらき学習項目 1

二つのことを並べて示す形で、使い方は大きく二つあります。一つは、「AはXだ。一方、BはYだ」のように、違う二つの物事を比べて違いを対比する使い方です。もう一つは、「彼は昼は会社で働く一方で、夜は大学院で勉強している」のように、同じ人・同じ物事の別の面や、並行してしていることを並べる使い方で、この場合は前と後ろが反対の性質でなくてもかまいません。「で」はあってもなくても意味はほぼ同じです。説明文・レポート・ニュースなどの書き言葉や改まった話でよく使い、作文では文の頭に「一方、」「その一方で、」と置いて、前の段落と次の段落を対比させることもできます。

接続

V普通形/い形普通形/な形な・である/Nである+一方(で)(文の頭では「一方、」「その一方で、」)

形
Aは〜一方(で)、Bは〜(違う二つの物事の対比)〜する一方で、〜もする(同じ人が並行してすること)な形な/である 一方(で)・Nである 一方(で)文の頭の「一方、」「その一方で、」

導入

  • 地図で二つの地方を比べる黒板に日本列島の簡単な地図を描き、北に雪だるま、南に太陽の絵を置く。「北の地方は冬に雪がたくさん降ります。一方、南の地方では雪はほとんど降りません」と言い、二つの文を一つにした「北の地方は冬に雪がたくさん降る一方で、南の地方ではほとんど降らない」を板書する。左右に違う物事が並んでいることを、地図の二つの場所を指しながら確かめる。
  • 一人の人の二つの顔教師が「わたしは平日は学校で日本語を教えています。週末は地域の日本語教室でボランティアをしています」と自己紹介し、「教える一方で、週末はボランティアもしている」とまとめて板書する。前の使い方と違って反対の内容ではないことに気づかせ、「同じ人が並行してしていることも並べられる」と書き添える。

板書案

A は 〜 一方(で)、B は 〜 (別々の二つ)
北の地方は 雪が多い 一方で、南の地方は ほとんど 降らない。
わたしは 平日は 教える 一方で、週末は ボランティアも している。(同じ人・並行)
〔赤〕な形な/Nである + 一方(で) 〔青〕文の頭「一方、」「その一方で、」
〔黒〕左右に二つの箱と ⇔ の印 / 文末の「〜一方だ」(減る一方だ)は別の形と注記

場面と発話(自作)

  • 留学生がゼミの発表で、自分の国と日本の家族の形を比べる。私の国では祖父母と一緒に住む家族が多い一方で、日本では一人暮らしの若者が多いようです。
  • アルバイト先の店長について、留学生が友達に話す。店長は将来自分の店を持つつもりだという。店長はこの店で働く一方で、夜は料理学校に通っているんだって。
  • 地理の授業のレポートで、国内の人口の変化をまとめる。大都市の人口が増えている一方で、多くの地方では人口が減り続けている。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

二つの物事のカード(夏と冬・都市と地方・自分の国と日本・平日と週末)を引かせ、「〜一方(で)、〜」で違いを一文で言わせる。次に、知っている人(家族・先輩・店長)が並行してしていることを「〜一方で、〜もしている」で紹介させ、二つの使い方を言い分ける。

  1. 口頭二つの物事を左右に描いたカードでキューを出す(「夏・暑い/冬・寒い」「都市・人が多い/地方・人が少ない」「大人・電車で通勤/子ども・歩いて通学」「北・雪が多い/南・雪が少ない」)。全員で「夏は暑い一方で、冬は寒い」と言わせ、次に個人で。続けて、一人の人の絵(昼は会社員・夜は学生)で「働く一方で、勉強もしている」と並行の使い方を言わせる。な形・名詞のカード(「町・便利」「兄・学生」)を混ぜて、「便利な一方で」「学生である一方で」まで言わせる。
  2. ペアAは「自分の国」、Bは「日本」の情報カードを持つ(食事の時間・店が閉まる時間・学校が始まる月 などの欄が半分ずつ空いている)。Aが「わたしの国では〜」と言い、Bが「一方、日本では〜」と続けて、聞いたことをお互いのカードに書き込む。3項目で役を交替し、最後に二人で一文ずつ「〜一方で、〜」にまとめて言う。
  3. 産出「わたしの二つの顔」スピーチ。学生が自分(または家族)が並行してしていることを二つ選び、「わたしは〜一方で、〜もしています」で始めて30秒ほど話す。続けて、自分の国と日本の違いを一つ「〜一方(で)」で書いて黒板に貼る。教師が見るのは、な形・名詞の接続、文末の「〜一方だ」と混ざっていないか、友達どうしの会話に硬すぎる使い方をしていないか。

つまずきと手当て

  • 初中級で学んだ「〜一方だ」(人口が減る一方だ=減るばかりで止まらない)と混ぜる。文の終わりの「一方だ」は変化がひとつの方向に進み続けること、文の途中の「一方(で)」は二つのことを並べることだと、二つの文を並べて板書する
  • な形・名詞にそのまま付ける(「*交通が便利一方で」「*学生一方で」)。な形は「便利な一方で」、名詞は「学生である一方で」と、接続の枠を板書で固定する
  • 友達とのくだけた会話で多用して硬く聞こえる。誤りではないが、会話では「〜けど」「でも」で十分なことが多い。作文・発表で使う形として練習する

既習の文型との違い

  • 〜一方だ(初中級 第18課)「〜一方だ」は文の終わりに置いて、変化が一つの方向に進み続けることを言います(物価は上がる一方だ)。この課の「〜一方(で)」は文の途中に置いて、二つのことを並べます。学習者は「物価は上がる一方で。」と文を切ったり、「〜一方だ」のつもりで「人口は減る一方で、困っている」と書いたりするので、文の終わりか途中かで形を分けて板書します。
  • 〜に比べて…(初中級 第5課)「AはBに比べて〜」は、一つの物差しでAとBの程度の差を言う形です(東京は大阪に比べて家賃が高い)。「〜一方(で)」はAとBについて別々の文を並べ、それぞれの様子を述べます。「東京は家賃が高い一方で、大阪は比較的安い」と「東京は大阪に比べて家賃が高い」を並べ、比べ方の違いを確かめます。
関連する文型

学習項目 2 〜反面

意味・はたらき学習項目 2

一つの物事・一人の人が持っている、反対向きの二つの面を並べる形です。多くは「良い面」と「悪い面」の組で、前に一方の面を、後ろにそれと反対の面を言い、その物事を全体として評価するときに使います。主語は前と後ろで同じ一つの物事です。「〜一方(で)」も同じように使えますが、「一方(で)」が違う二つの物事を比べることもできるのに対して、「反面」は一つの物事の表と裏に限られるところが違います。やや硬い言い方で、作文・説明・評価の文でよく使います。文の頭では「その反面、」とも言い、「半面」と書くこともあります。

接続

V普通形/い形普通形/な形な・である/Nである+反面(文の頭では「その反面、」)

形
Xは〜反面、〜(一つの物事の良い面と悪い面)い形い 反面(給料が高い反面)な形な 反面(自由な反面)・Nである 反面文の頭の「その反面、」

導入

  • 一枚のカードの表と裏厚紙のカードの表に「一人暮らし:自由」、裏に「一人暮らし:家事を全部自分でする」と書いておく。表を見せて「一人暮らしは自由です」、裏返して「でも、家事を全部自分でしなければなりません」と言い、「一人暮らしは自由な反面、家事を全部自分でしなければならない」と板書する。カードが一枚であること、つまり話題は一つの物事だということを強調する。
  • 「一方で」と言い比べる「北の地方は雪が多い一方で、南の地方は雪が少ない」と「一人暮らしは自由な反面、寂しいこともある」を並べ、それぞれ「一方で」と「反面」を入れ替えさせる。前の文は話題が二つなので「反面」にすると不自然、後ろの文は話題が一つなのでどちらも使える、と学生に理由を言わせながら確かめる。

板書案

X は 〜 反面、〜 (一つの物事の表と裏)
一人暮らしは 自由な 反面、家事を 全部 自分で しなければ ならない。
〔赤〕い形い/な形な/Nである + 反面 〔青〕文の頭「その反面、」
〔黒〕カード1枚の絵:表=良い面(+)、裏=悪い面(−)
二つの物事 → 反面は使わない → 一方(で)/のに対して

場面と発話(自作)

  • 寮を出るか迷っている新入生に、先輩の留学生が説明会で経験を話す。一人暮らしは自由な反面、料理も掃除も全部自分でしなければなりません。
  • 会社で新しい会計ソフトを試した社員が、上司に感想を伝える。このソフトは機能が多い反面、使い方に慣れるまで時間がかかりそうです。
  • 就職活動の作文で、自分の性格の長所と短所を書く。私は決断が早い反面、よく確かめずに進めて失敗することもある。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

身近な物事のカード(コンビニ・深夜のアルバイト・オンライン授業・大きな町・車)を引かせ、良い面と悪い面を一つずつメモしてから「〜は〜反面、〜」の一文にさせる。言えたら、同じ物事について聞き手が「それでも、〜と思いますか」と質問し、評価まで言わせる。

  1. 口頭一つの物事の名前と、+と−の語を書いたカードでキューを出す(「スマートフォン+便利/−目が疲れる」「大きな町+店が多い/−家賃が高い」「車+どこへでも行ける/−お金がかかる」「深夜のアルバイト+時給が高い/−体が疲れる」)。全員で「スマートフォンは便利な反面、目が疲れる」、次に個人で。慣れたら、−を先に言う形(「目が疲れる反面、便利だ」)にも言い換えさせ、後ろに置いた面のほうが話し手の言いたいことに聞こえるのを確かめる。
  2. ペアAは物事のカードを引いて良い面だけを言う(「オンライン授業は家で受けられます」)。Bは「確かに。でも、その反面、〜」と悪い面を足し、Aが「それでも、わたしは〜と思います」と評価で終える。3枚で役を交替する。良い面か悪い面か迷うものは、ペアで相談してから言ってよい。
  3. 産出「良いところ・困るところ」評価カード。学生が自分の今の生活の一つ(寮・アルバイト・住んでいる町・使っているアプリ)を選び、「〜は〜反面、〜。それでも/だから、わたしは〜」の2文をカードに書いて発表する。教師が見るのは、話題が一つの物事になっているか、前後が反対の面になっているか、な形・名詞の接続の形。

つまずきと手当て

  • 違う二つの物事を比べるのに使う(「兄は背が高い反面、弟は低い」は不自然)。話題が二つなら「〜一方(で)」か「〜のに対して」にする、とカードが一枚か二枚かで確かめる
  • 前と後ろが反対の面になっていない(「この店は安い反面、おいしい」は意味が通らない)。両方が良い面なら「安いうえに」「安いし」で並べる、と言い直させる
  • な形・名詞にそのまま付ける(「*自由反面」「*学生反面」)。「自由な反面」「学生である反面」の形で練習する

既習の文型との違い

  • 〜一方(で)(第39課 学習項目1)一つの物事の表と裏なら「〜反面」も「〜一方で」も使えます(一人暮らしは自由な一方で、寂しいこともある)。しかし、別々の二つの物事を比べる文や、同じ人が並行してすることを並べる文には「反面」は使えません。学習者が「兄は背が高い反面、弟は低い」と書いたら、話題が一つか二つかを聞いて「一方で」に直させます。
  • 〜ですが、…です(初級Ⅰ 第6課)「〜が」は前と後ろが逆の内容ならどんな組み合わせにも使える、広い逆接の形です。「〜反面」は一つの物事の二つの面に限られ、その物事を評価する文章で使う硬い形です。作文で「が」ばかり続く学習者に、評価の文だけ「反面」に替えさせると、使い分けが見えやすくなります。
  • 〜うえに…だ(初中級 第10課)「〜うえに」は同じ向きの面を重ねます(この店は安いうえにおいしい)。「〜反面」は反対向きの面を並べます。「安い反面、おいしい」のような文が出たら、二つの面が同じ向きか反対向きかを+・−の印で確かめ、「うえに」と「反面」のどちらかを選ばせます。
関連する文型

学習項目 3 〜に反して

意味・はたらき学習項目 3

予想・期待・予報・希望・意志など、前もって考えていたこと・望んでいたことと逆の結果になったことを表します。「予想に反して」は「予想とは反対に」という意味で、後ろには実際に起きたことが来ます。「(自分の)意志に反して」は、本当はしたくないのに、命令や事情でそうすることになった、という意味です。また、「規則に反して」「法律に反する」のように、決まりを守らない(違反する)という意味でも使います。名詞の前では「〜に反するN」(期待に反する結果)の形になります。新聞・ニュース・レポートなどの書き言葉でよく使われ、会話では「予想と違って」「思ったより」と言うことが多い形です。

接続

N+に反して(名詞の前は「Nに反するN」、書き言葉では「Nに反し、」とも言う)

形
予想/期待/予報 に反して、〜た(逆の結果になった)(自分の)意志に反して、〜することになった規則/法律 に反して(決まりを守らずに)Nに反するN(予想に反する結果・規則に反する行為)

導入

  • 予想と結果の逆向きの矢印黒板の左に「天気予報:あしたは大雨」、右に晴れのマークを描き、二つを逆向きの矢印で結ぶ。「予報では大雨でした。でも、朝から晴れました」と言い、「予報に反して、朝から晴れた」と板書する。続けて「予想」「期待」を同じ枠に入れ、前の名詞は「前もって考えていたこと」だとまとめる。
  • 「意志に反して」と「規則に反して」教師が「本当は東京に残りたかった。でも会社が大阪へ行けと言った」という話をして、「意志に反して大阪へ行くことになった」と板書する。次に「ここは駐車禁止です。でも車を止めました」の絵で「規則に反して車を止めた」を見せ、こちらは「決まりを守らない」という意味だと、二つの意味を分けて書く。

板書案

予想/期待/予報 + に反して、〜た (実際の結果)
予報に 反して、朝から 晴れた。
(自分の)意志に 反して、大阪へ 行く ことに なった。
規則に 反して 車を 止めた。(=決まりを守らない)
〔赤〕Nに反するN(予想に反する結果) 〔青〕予想 → と ← 結果 の逆向きの矢印
〔黒〕話し言葉では「予想と違って」「思ったより」

場面と発話(自作)

  • 学校のスポーツ大会の朝、担当の先生が学生に連絡する。前の日の予報は雨だった。予報に反して朝から晴れたので、大会は予定どおり行います。
  • 経営学の授業で、留学生が駅前の新しい店について調べたことを発表する。多くの人の予想に反して、駅前の大型スーパーは開店から半年で閉店しました。
  • 転勤が決まった会社員が、学生時代の日本語の先生に近況をメールで書く。会社の決定で、自分の意志に反して、来月から地方の支店で働くことになりました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「予想(期待・予報)」と「結果」を書いた二枚組のカード(試合・試験・天気・新商品の売れ行き)を配り、「〜に反して、〜た」で一文にさせる。次に、同じ内容を友達に話す会話の形(「思ったより」「予想と違って」)に言い換えさせ、書き言葉と話し言葉の違いを確かめる。

  1. 口頭左に予想・右に結果を書いたカードでキューを出す(「予報・雨/晴れた」「みんなの予想・Aチームが勝つ/Bチームが勝った」「期待・よく売れる/あまり売れなかった」「親の希望・医者/歌手になった」)。全員で「予報に反して、晴れた」、次に個人で。最後に「規則」「法律」のカード(駐車禁止の標識の絵)を出して「規則に反して〜」の意味の違いを言わせ、「予想に反する結果だった」と名詞の前の形にも変えさせる。
  2. ペアAはニュースのアナウンサー役、Bは友達役。Aが予想と結果のカードを読んで「〜の予想に反して、〜ました」とニュースの文で言う。Bはそれを友達に話す言葉に直して「〜と思ってたけど、〜だったんだって」と言う。4枚で役を交替し、同じ内容を書き言葉と話し言葉で往復させる。
  3. 産出「予想外ニュース」作り。学生が自分の経験か身近な出来事で、予想や期待と違う結果になったことを一つ選び、ニュースの見出しと2〜3文の記事(「〜に反して、〜た。〜によると、〜」)を書いて読み上げる。教師が見るのは、前が「ことがら」の名詞になっているか、後ろが実際の結果になっているか、依頼や決意を後ろに置いていないか。

つまずきと手当て

  • 前に人を置く(「親に反して留学した」は意味が通じにくい)。前には予想・期待・希望・意志・規則のような「ことがら」の名詞を置き、「親の希望に反して」「親の反対を押し切って」と言い直す
  • 後ろに依頼や自分のこれからの決意を置く(「予想に反して、がんばりましょう」は意味が通らない)。予想・期待の意味では、後ろは実際に起きた結果を述べる文にする
  • 音の似た「〜に対して」と取り違える(「先生の質問に反して答えた」)。相手に向けた動作なら「に対して」、予想や決まりと逆になることなら「に反して」と、矢印の向きの絵で分ける

既習の文型との違い

  • 〜に対して…(初中級 第13課)「〜に対して」は気持ちや動作が向かう相手を表し(お客様に対して丁寧に話す)、「〜に反して」は予想や決まりと逆になることを表します。音が似ているので「お客様に反して丁寧に話す」のような取り違えが出ます。向かう矢印と逆向きの矢印の二つの絵で、前の名詞が「相手」か「予想・決まり」かを確かめます。
  • 〜のに、…(初級Ⅱ 第21課)「〜のに」は予想と違う結果に、話し手の不満や残念な気持ちが乗ります(勉強したのに、合格しなかった)。「〜に反して」は名詞に付き、出来事を客観的に述べる書き言葉で、気持ちは前に出ません。同じ出来事を「〜のに」と「〜に反して」で書かせ、どちらが日記・会話向きで、どちらがレポート・ニュース向きかを比べます。
関連する文型

学習項目 4 〜どころか

意味・はたらき学習項目 4

前で言ったことを強く打ち消して、実際はそれとは程度がまったく違うと言う形です。使い方は大きく二つあります。一つは「Aどころか、Bも〜」の形で、Aはもちろん、もっと程度の違うBまでそうだ、と言う使い方です。否定の文では、Bにもっと簡単なこと・当たり前のことが来て(「旅行どころか、近所を散歩する時間もない」)、肯定の文では、Bにもっと大きなことが来ます(「日本語が話せるどころか、日本語で小説まで書いている」)。もう一つは、相手の予想や期待と正反対だと言う使い方で(「楽になるどころか、前より忙しくなった」)、「かえって」「逆に」といっしょに使うことが多いです。会話では、相手の言葉を受けて「暇どころか、〜」と打ち消すときにもよく使います。Bには「も」「さえ」「まで」がよく付きます。

接続

V普通形/い形普通形/な形・N+どころか(な形と名詞は「暇どころか」「休みどころか」のようにそのまま付く形が多い)

形
Aどころか、Bも/さえ/まで〜(Aはもちろん、Bまで)Vるどころか、かえって〜(予想と正反対の結果)「〜?」「〜どころか、…」(相手の言葉を打ち消す)

導入

  • 程度の階段黒板に階段を描き、下の段から「駅で道を聞く」「買い物で話す」「日本語で冗談を言う」と書く。来日一週間の留学生の絵を置き、「冗談を言う? いいえ、冗談どころか、駅で道を聞くこともできません」と言いながら、上の段から下の段へ指を下ろす。否定の文ではBに下の段(もっと簡単なこと)が来ることを、階段の向きで確かめる。
  • 予想と正反対「新しい仕事に変わりました。前より楽になると思いました」と言い、黒板に上向きの矢印(予想)を描く。続けて「でも、前より忙しくなりました」と言って下向きの矢印を描き足し、「楽になるどころか、かえって忙しくなった」と板書する。「かえって」をいっしょに入れると、正反対の意味がはっきりすることを見せる。

板書案

A どころか、B も/さえ/まで 〜
旅行どころか、近所を 散歩する 時間も ない。(B=もっと簡単なこと)
楽に なる どころか、かえって 忙しく なった。(予想と正反対)
〔赤〕程度の階段:A(上の段)→ B(下の段)の矢印
〔青〕「暇でしょう?」「暇どころか、〜」(相手の言葉を打ち消す)

場面と発話(自作)

  • 来日したばかりの留学生が、国の友達とビデオ通話をしている。「もう日本人と冗談を言ったりしてる?」と聞かれた。冗談どころか、まだ駅で道を聞くこともうまくできないよ。
  • 健康のためにジムに通い始めた会社員が、昼休みに同僚に話す。三か月通ったのに、やせるどころか、前より2キロ増えちゃったんです。
  • アルバイト先の先輩に「テストが終わって、最近は暇でしょう」と言われた留学生が答える。暇どころか、レポートが三つもあって、毎日寝る時間もないんです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

ペアで、一人が「〜でしょう?」「〜した?」と軽い予想を言い(「もう慣れたでしょう?」「週末は休めた?」)、もう一人が「〜どころか、〜も/かえって〜」で打ち消して答える。答えた人は理由を一文足し、会話を続ける。

  1. 口頭程度の階段の絵に二つの語を書いたキューを出す(「敬語・あいさつ/できない」「旅行・散歩/時間がない」「ごちそう・水/飲めなかった」「千円・百円/持っていない」)。学生は上の段から言って「敬語どころか、あいさつもできない」、全体のあと個人で。次に予想と結果の矢印のカード(「楽になる→忙しくなった」「やせる→太った」「安くなる→高くなった」)で「〜どころか、かえって〜」を言わせ、二つの使い方を言い分ける。
  2. ペアAは予想を言う役で、カードを見て「もう〜でしょう?」「〜した?」と聞く(「もう慣れたでしょう?」「週末は休めた?」「アルバイトは楽になった?」)。Bは自分で考えた答えで「〜どころか、〜も/かえって〜」と打ち消し、理由を一文足す。Aは「そうなんだ。大変だね」と受けて会話を一往復続ける。4つ聞いたら役を交替する。
  3. 産出「思ったのと大違い」体験談。学生が来日前の予想と実際が大きく違ったこと(言葉・食べ物・生活・アルバイト)を選び、「〜と思っていた。でも、〜どころか、〜」を入れて1分ほど話す。聞き手は「それはどうしてですか」と一つ質問する。教師が見るのは、AとBの程度の順序、正反対の使い方で後ろが実際の結果になっているか、目上の人に強い打ち消しを向けていないか。

つまずきと手当て

  • AとBの順序が逆になる(「近所の散歩どころか、旅行に行く時間もない」は意味が通らない)。否定の文ではAに大きなこと、Bにもっと簡単なことを置く、と階段の絵に戻して並べ替えさせる
  • 第38課の「〜ばかりか」と同じように使う(「よくなるばかりか、悪くなった」は意味が通らない)。「ばかりか」は同じ向きのことを足すだけで、予想と正反対の結果は「〜どころか、かえって〜」で言う、と二つの文を比べる
  • 目上の人の言葉を打ち消すときに使って、強く聞こえる。「暇どころか」は親しい相手には自然だが、先生や上司には「いえ、実は〜」のようにやわらげて言うほうがよいことが多い

既習の文型との違い

  • 〜ばかりか(第38課)「〜ばかりか」は同じ向きのことを足して「Aだけでなく、Bも」と言います(漢字が読めるばかりか、書くこともできる)。「〜どころか」も同じ向きの足し算に使えますが、前を強く打ち消す気持ちが入り、予想と正反対の結果にも使える点が違います。「やせるばかりか、太った」のような文が出たら、正反対なら「どころか」と、二つの文を並べて確かめます。
  • 〜さえ/でさえ(第38課)「さえ」は一つの極端な例を挙げて、ほかは当然だと言う形です(専門家でさえ分からない)。「〜どころか」は二つの程度を並べ、Bに「さえ」「も」を付けて使うことが多い形です(料理どころか、お湯をわかすことさえできない)。「どころか」と「でさえ」を一文に組み合わせた自作の例(新人どころか、ベテランの社員でさえ迷う)を一つ板書すると、二つの役割の違いが見えます。
関連する文型

学習項目 5 〜に対して

意味・はたらき学習項目 5

初中級では、気持ちや態度が向かう相手を表す「〜に対して」(お客様に対して丁寧に話す)を学びました。この課では、違う二つの物事を並べて、違いをはっきり対比する使い方を扱います。「AはXのに対して、BはY」の形で、AとBという別々の物事について、反対の、または大きく違う性質や様子を述べます。アンケートや統計の数字を比べる文(賛成が〜人なのに対して、反対は〜人だった)でもよく使います。「〜一方(で)」と近いですが、「に対して」は対比だけに使い、同じ人が並行して別のことをする意味にはなりません。また「〜反面」と違って、一つの物事の二つの面ではなく、違う二つの物事を比べます。説明文・レポート・発表でよく使う形です。

接続

V普通形/い形普通形+のに対して、な形・N+な(である)+のに対して(文の頭では「それに対して、」)

形
Aは〜のに対して、Bは〜(違う二つの物事の対比)な形な/Nなのに対して(入学式が4月なのに対して)数字を比べる:〜が〜割なのに対して、〜は〜割文の頭の「それに対して、」

導入

  • 二つの矢印の絵初中級で使った「店員からお客様へ向かう矢印」の絵を左に貼り、「お客様に対して丁寧に話す」を思い出させる。右には、二つの国旗を向かい合わせに置いて真ん中に「⇔」を描き、「日本では入学式が4月なのに対して、わたしの国では9月です」と言う。左は「相手に向かう」、右は「二つを比べる」と書き、同じ「に対して」に二つの使い方があることを見せる。
  • アンケートの数字で「朝ごはんを毎日食べますか」というクラスのアンケートの結果を棒グラフにして貼る(男子と女子、または二つのクラス)。「Aクラスは8割の人が毎日食べるのに対して、Bクラスは4割です」と言って板書し、学生にもグラフの別の数字で同じ文を作らせる。発表やレポートでよく使う形だと一言添える。

板書案

A は 〜 のに対して、B は 〜 (二つを比べる)
日本では 入学式が 4月な のに対して、わたしの 国では 9月だ。
〔赤〕V・い形 普通形 + のに対して/な形・N + な + のに対して
〔青〕左:お客様に 対して 丁寧に 話す(相手 →) 右:A ⇔ B(対比)
〔黒〕同じ人の二つの活動 → のに対しては使わない → 一方で

場面と発話(自作)

  • 留学生がゼミの発表で、自分の国と日本の学校の一年を比べる。日本では大学の入学式が4月なのに対して、私の国では9月に新しい学年が始まります。
  • 市役所の職員が、住民アンケートの結果を説明会で報告する。20代では8割の人がキャッシュレス決済を使っているのに対して、70代では3割ほどにとどまっています。
  • ホームステイ中の留学生が、日本語の先生への近況のメールで、ホストファミリーの兄弟のことを書く。お兄さんは毎朝5時に起きて走っているのに対して、弟さんは休みの日は昼まで寝ています。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

二つの物事の比べ方の表(自分の国と日本:食事の時間・電車の様子・学校の休み など)を学生に作らせ、表の一行ずつを「〜は〜のに対して、〜は〜」の一文にさせる。次に、同じ表から一つ選んで「一方(で)」でも言わせ、どちらも自然なことを確かめる。

  1. 口頭二つの物事と数字・様子を書いたキューを出す(「兄・朝型/弟・夜型」「Aクラス・8割/Bクラス・4割」「日本・左側通行/わたしの国・右側通行」「夏休み・長い/冬休み・短い」)。全員で「兄は朝型なのに対して、弟は夜型だ」、次に個人で。な形・名詞のカードでは「なのに対して」、動詞・い形のカードでは「のに対して」と、「の」が必ず入ることを声に出して確かめる。最後に初中級の「相手」の用法の文(店員はお客様に対して〜)を一つ混ぜ、どちらの用法かを言わせる。
  2. ペアクラスで取った小さなアンケート(毎日朝ごはんを食べる・電車で通う・自分で料理をする など)の結果を、Aは男女別、Bは年代別の表で持つ(相手の表は見えない)。Aが「〜は〜割なのに対して、〜は〜割です」と読み上げ、Bは聞いた数字をグラフに書き込む。3項目で交替し、最後にお互いのグラフを見せて合っているか確かめる。
  3. 産出「データで比べる」ミニ発表。ペアで取った数字か、自分の国と日本の違いを一つ選び、「〜について調べました。〜のに対して、〜。その理由は〜と考えます」の3文の原稿を書いて1分で発表する。教師が見るのは、「の」の脱落、後ろに別の「〜は」が来ているか、同じ人の二つの活動に使っていないか、文の頭の「それに対して、」を使えているか。

つまずきと手当て

  • 「の」を落とす(「*兄は朝が早いに対して、弟は遅い」)。文に付けるときは必ず「のに対して」、な形と名詞は「なのに対して」と、接続の枠を板書で固定する
  • 初中級の「相手に向かう」用法と混ぜて、どちらの意味か分からなくなる。「Nに対して+態度・動作」なら相手、「〜のに対して、Bは〜」と後ろに別の「〜は」が来るなら対比、と形で見分けさせる
  • 同じ人が並行してしていることに使う(「彼は昼は会社で働くのに対して、夜は大学院で学ぶ」は不自然)。同じ人の二つの活動は「〜一方で」で並べる、と学習項目1の板書に戻す

既習の文型との違い

  • 〜に対して…(初中級 第13課)初中級の「〜に対して」は「Nに対して+態度・動作」で、気持ちが向かう相手を表します。この課の対比の用法は「〜のに対して、Bは〜」と文に付き、後ろに別の主題が来ます。名詞に直接付くか、「の」を挟んで文に付くかの形の違いを板書で左右に並べると、学習者が意味を取り違えにくくなります。
  • 〜に比べて…(初中級 第5課)「AはBに比べて〜」は一つの性質について程度の差を言い、話の中心はAのほうです。「AはXのに対して、BはY」はAとBを同じ重さで並べ、性質が違うことを言います。「東京は大阪に比べて人が多い」と「東京は人が多いのに対して、地方の町は人が少ない」を並べ、後者は後ろにBの説明が必要だと確かめます。
  • 〜一方(で)(第39課 学習項目1)二つの物事の対比なら「のに対して」も「一方で」も使えますが、「のに対して」のほうが二つの違いをはっきり打ち出します。同じ人が並行してしていることを並べられるのは「一方で」だけです。表の同じ行を両方の形で言わせ、片方しか使えない組み合わせだけを取り出して確かめます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の言葉は、比べる観点の言葉(人口・割合・世代・都市・地方 など)と、評価の言葉(便利・自由・不安・危険・手間がかかる など)に分けて板書しておくと、対比の文を作る材料になります。作文の前に、観点の言葉を「〜の面では」「〜について比べると」と組み合わせる練習をしておくと、文章の組み立てがはっきりします。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 対照的(たいしょうてき) 二つのものの違いが、はっきりしているようすです。 〜な性格・〜な二人・〜だ
    ゼミで、二人の兄弟の性格を紹介する。
    兄は明るくてよく話すのに対して、弟は静かで、二人は対照的だ。
  • 都市(とし) 人や建物が多く集まっている大きな町です。 大〜・〜の生活・〜に住む
    レポートで、住む場所による生活の違いをまとめる。
    都市の生活は便利な反面、家賃が高い。
  • 地方(ちほう) 国の中で、大きな都市から離れた地域です。 〜の町・〜に住む・〜出身
    人口の変化について発表する。
    大都市の人口が増える一方で、地方の人口は減っている。
  • 割合(わりあい) 全体の中で、ある部分がどのくらいあるかを表す数です。 〜が高い・〜が増える・〜を比べる
    アンケートの結果を説明する。
    朝ごはんを毎日食べる人の割合は、20代が5割なのに対して、60代は9割だった。
  • 世代(せだい) 同じころに生まれて、同じ時代を生きてきた人たちのまとまりです。 若い〜・親の〜・〜が違う
    家族の中で、買い物のしかたを比べる。
    若い世代はスマートフォンで買い物をするのに対して、祖父母の世代は店で買うことが多い。
  • 予想(よそう) これからどうなるかを、前もって考えることです。 〜が外れる・〜に反して・〜どおり
    サッカーの試合の結果を友達に知らせる。
    みんなの予想に反して、弱いと言われていたチームが勝った。
  • 期待(きたい) そうなってほしいと思って、楽しみに待つことです。 〜する・〜に反して・〜が大きい
    新しい映画を見た感想を書く。
    期待に反して、話がよく分からない映画だった。
  • 意志(いし) 自分で何かをしよう、したくないと決める心の力です。 自分の〜・〜が強い・〜に反して
    転勤が決まった会社員が、友達に話す。
    自分の意志に反して、来年から海外の支社に行くことになった。
  • 手間(てま) 何かをするのに必要な時間や仕事です。 〜がかかる・〜を省く・〜をかける
    手作りのお弁当について話す。
    手作りのお弁当は安くて体にいい反面、毎朝手間がかかる。
  • 不安(ふあん) これからのことが心配で、落ち着かない気持ちです。 〜になる・〜を感じる・将来が〜だ
    留学が決まった学生が、先生に気持ちを話す。
    留学は楽しみな反面、言葉が通じるかどうか不安もあります。
  • かえって(かえって) 思っていたことと反対の結果になるようすです。 〜悪くなる・〜忙しくなる・〜高くつく
    近道をしたが、時間がかかってしまった。
    近道をしたら、早く着くどころか、かえって遅くなってしまった。
  • 増加(ぞうか) 数や量が増えることです。「減少」の反対です。 人口の〜・〜する・〜が続く
    市役所の報告書を読む。
    外国人の住民が増加している一方で、日本人の住民は減少している。

宿題と次のコマ

宿題は、「AとB」の形の題(自分の国と日本の〜/都市の生活と地方の生活/スマートフォンを使う生活と使わない生活 など)を一つ選び、「〜一方(で)」「〜反面」「〜のに対して」のうち2つ以上と、「〜に反して」か「〜どころか」を1つ使って、400字ほどの文章に書くこと。最初の段落で何と何を比べるかを書き、次の段落で違いを対比し、最後の段落で自分の考えを書く、という三段の形にさせる。次のコマの最初に何人かに読ませ、聞いた学生が「別々の二つの比較」「一つの物事の表と裏」「予想と結果の食い違い」のどれが使われていたかを言って振り返ります。

よくある質問

  • 「〜一方(で)」「〜反面」「〜に対して」の違いはどう教えればいいですか?

    「話題が一つか二つか」と「同じ人が並行してすることか」の二つの問いで分けます。一つの物事の表と裏は「反面」も「一方で」も使え、別々の二つの物事の対比は「一方で」と「のに対して」が使えます。同じ人が並行してしていることを並べられるのは「一方で」だけです。同じ組み合わせの文を表にして、使える形に○を付けさせると整理できます。

  • 「〜どころか」は否定の文と肯定の文でどう違いますか?

    否定の文では、後ろのBにもっと簡単なこと・当たり前のことが来ます(旅行どころか、散歩する時間もない)。肯定の文では、Bにもっと大きなことが来ます(話せるどころか、小説まで書いている)。程度の階段の絵で、否定は上から下へ、肯定は下から上へ指を動かして見せると、順序の誤りが減ります。予想と正反対の使い方は「かえって」と組にして別に入れます。

  • 「〜に反して」と「〜に対して」を混ぜる学習者にはどうしますか?

    前に来る名詞の種類で分けます。「に対して」の前は気持ちや動作が向かう相手か比べるもう一方の物事で、「に反して」の前は予想・期待・意志・規則のような「ことがら」です。向かう矢印と逆向きの矢印の二つの絵を板書に残し、取り違えたらその絵を指して自分で直させます。

  • 第39課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は導入と「〜一方(で)」「〜反面」「〜に対して」、それに対比の3つの形の整理まで。2コマ目は「〜に反して」「〜どころか」と、比べる作文、まとめです。作文を宿題に回せば2コマ目に余裕ができ、次のコマの頭で読み合いができます。

  • この課の形は会話でも使えますか?

    「〜どころか」は会話でもよく使い、相手の言葉を打ち消すときに自然です。「〜一方(で)」「〜反面」「〜に対して」「〜に反して」は説明文・レポート・発表で使う硬い形で、友達との会話では「〜けど」「予想と違って」で言うことが多くなります。練習では、書き言葉の文を話し言葉に直す往復を入れると、場面の違いが身につきます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。