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学ぼう!にほんご 中級 第25課「やめようか続けようか決めかねていました」の教案

『学ぼう!にほんご 中級』

「できません」とそのまま言うと強く聞こえる場面で、できない理由がどこにあるかを形で示し、角を立てずに断ったり否定したりする課です。5つの形は、理由の在りかで分けると整理しやすくなります。事情があってほかに道がない「〜ざるを得ない」、立場や気持ちの上でできない「〜かねる」、方法や手がかりがない「〜ようがない」、気持ちが強すぎて思うようにできない「〜あまり」、心の上で受け入れたり認めたりするのが難しい「〜がたい」です。どれも「自分がしたくないから」ではなく「事情・立場・方法」のせいにして伝える形なので、窓口やアルバイト先での断り、会議での反対意見、悪い知らせのメールなど、相手との関係を保ちたい場面で使わせると目標がそのまま練習になります。硬い形が多いので、会話では「〜しかない」「〜すぎて」などのくだけた言い方と対にして、場面で使い分けさせます。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目5時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 客や目上の人からの頼みを、「申し訳ございませんが、〜しかねます」に理由と代わりの案を添えて、相手を不快にさせずに断れる
  • したくないことを事情があってするとき、また悪い知らせを伝えるときに、「〜ざるを得ない」で自分の意志ではないことを示して説明できる
  • 「〜ようがない」と「〜あまり」で、できない理由が方法や手がかりの不足なのか、気持ちの強さなのかを言い分けられる
  • 相手の案や話を「〜がたい」「〜とは言いがたい」で、直接「だめだ」と言わずに、会議や意見文にふさわしい硬さで否定できる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(目標の場面)10分学生に「レポートの締め切りを1週間延ばしてください」と教師に頼ませ、教師が真顔で「できません」とだけ答える。どう感じたかを聞いて「冷たい」「理由がほしい」という声を集め、同じ「できない」でも理由の在りかを示すと柔らかくなる、と予告する。黒板に「事情」「立場」「方法」「気持ちが強すぎて」「心が受け入れない」の5つの札を貼っておく
学習項目1 〜ざるを得ない25分「したくない → でも事情がある → する」の矢印で導入し、「ない」を取って「ざる」、「する → せざる」の変換を練習する。「〜しかない」と並べて、硬さと不本意な気持ちの違いを確かめる
学習項目2 〜かねる30分店員役の教師が客の頼みを「〜いたしかねます」で断る寸劇で導入する。能力ではなく立場や責任の上でできないことだと確かめ、「お/ご〜しかねます」「分かりかねます」の定型をかたまりで練習する。第35課の「〜かねない」は意味が逆になることを、この段で一言予告しておく
学習項目3 〜ようがない25分かぎをなくした絵で、「開け方がない = 開けようがない」と導入する。前に理由(連絡先が分からない・手がかりがない)を置く形を練習し、「〜にくい」との違いを確かめる。1コマ目はここまでにし、3つの形で作った文を1つずつノートに残させる
学習項目4・5 〜あまり・〜がたい35分「緊張しすぎて〜」を「緊張のあまり〜」に書き換えて、気持ちが強すぎて思うようにできなかった結果を言わせる。続けて初中級の「〜がたい」を思い出させ、心の動詞に付くこと、相手の案を「受け入れがたい」「〜とは言いがたい」で硬く否定できることを会議の場面で見せる
5つの「できない」の整理15分学生が作った文を5つの札の下に置き直し、「誰の都合か」「後ろに何が来るか」「どのくらい硬いか」の3列の表にする。「かねる(自分の行動を断る)」と「がたい(ものごとを評価する)」の違いをここで確かめる
目標の活動(断りのロールプレイ)30分窓口・アルバイト先・ゼミの3つの場面カードを使い、頼む役と断る役に分かれる。断る役は「申し訳ございませんが」で始め、「〜しかねます」で断り、「〜ようがない」か「〜ざるを得ない」で理由を一つ添え、最後に代わりの案を出す。見ている学生は、角が立たなかったかを一言で評価する
まとめ10分黒板の表をもとに、会話で使うくだけた言い方(しかない・すぎて・できない)と、メールや会議で使う硬い言い方(ざるを得ない・あまり・かねる・がたい)を左右に分けて書き残す

学習項目 1 〜ざるを得ない

意味・はたらき学習項目 1

本当はしたくない、できれば避けたいけれど、事情があってそうするほかに道がないことを表します。「〜ないことはできない」という二重の否定で、「しない」という選び方が残っていない、つまり結局はする、という意味になります。「〜しかない」「〜ほか(は)ない」と近いですが、残念だが仕方なく、という話し手の気持ちがはっきり出るのが特徴で、硬い響きがあるため、会議・公式のお知らせ・ニュース・作文などで多く使われます。また「認めざるを得ない」「〜と言わざるを得ない」のように、本当は認めたくないが、事実から見てそう判断するしかない、という判断の言い方もよく使われます。この課では、悪い知らせや相手の期待に沿えない決定を、自分の意志ではなく事情のせいだと示して伝える形として扱います。

接続

Vない(ない形)の「ない」を取って+ざるを得ない(する → せざるを得ない、来る → 来(こ)ざるを得ない。「得ない」は「えない」と読む。丁寧には「〜ざるを得ません」)

形
Vない形の「ない」を取って ざるを得ない(行かざるを得ない・やめざるを得ない)する → せざるを得ない(中止せざるを得ない・変更せざるを得ない)〜と言わざるを得ない/認めざるを得ない(認めたくないが、そう判断するしかない)〜ため、〜ざるを得なくなりました(事情を説明するお知らせ)

導入

  • 「したくない → でも → する」の矢印教師が「あしたは日曜日。ゆっくり寝たいです。でも、朝7時から会社の大事な会議が入ってしまいました」と話し、「先生は会議に行きますか」と聞く。「行く」という答えを受けて、「行きたくないけど、行かざるを得ない」と板書し、その下に「行かない」が選べない=結局行く、と矢印で書く。
  • 「しかない」と比べる「終電がないから、歩いて帰るしかない」と「台風のため、あすの試合は中止せざるを得ません」を並べ、「どちらを友達との会話で聞きますか」「どちらをニュースで聞きますか」と尋ねる。意味は近いが、後ろの文は硬く、残念な気持ちがはっきり出ることを確かめる。

板書案

したくない → でも 事情がある → する(ほかに道がない)
Vない + ざるを得ない  行か(ない)→ 行かざるを得ない
〔赤〕する → せざるを得ない  来る → こざるを得ない
大雨のため、試合を中止せざるを得ません。
〔青〕友達と話す:〜しかない / お知らせ・会議:〜ざるを得ない

場面と発話(自作)

  • 大学の国際交流係の職員が、留学生向けの日帰り旅行の参加者にメールを書く。旅行の日に台風が来る予報が出た。台風が近づいているため、今回の旅行は中止せざるを得なくなりました。
  • 留学生がアルバイト先の店長に、来月からシフトを減らしたいと伝える。在留資格の決まりで、働ける時間に上限がある。本当はもっと働きたいんですが、決まりがあるので、時間を減らさざるを得ないんです。
  • ライバル会社の新製品を試した会社員が、同僚と話している。悔しいけど、あちらのほうが使いやすいと認めざるを得ないね。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「したくないこと」のカード(引っ越す・予定を変える・アルバイトをやめる・会議に出る・もう一度来る)と「事情」のカード(工事・雨・学費・急な病気)を組み合わせ、「〜ので、〜ざるを得ない」の一文を作らせる。「する」「来る」のカードを多めに混ぜる。そのあと同じ内容を友達に言う口調で「〜しかない」に言い換えさせ、硬さの違いを耳で確かめる。

  1. 口頭教師が動詞カード(行く・やめる・変える・する・来る・認める)を見せ、全体で「〜ざるを得ない」に変え、次に一人ずつ当てる。慣れたら事情の絵カード(大雨・工事の看板・病院)と動詞を組み合わせたキューにする(「大雨・中止する」→「大雨なので、中止せざるを得ません」/「工事・道を変える」→「工事のため、道を変えざるを得ません」/「病気・会議を休む」→「病気で、会議を休まざるを得ません」)。「する」「来る」は3回に1回混ぜて、せざる・こざるで止まらないようにする。
  2. ペアA は「お知らせを出す係」、B は「参加者」。A だけが見るカードに、行事・事情・決まったことが書いてある(花火大会・台風・来週に変更 など)。A は「〜ため、〜ざるを得なくなりました」と伝え、B は「そうですか、残念ですね。〜はどうなりますか」と一つ質問する。A はカードの裏の情報で答える。3枚で役を交替する。
  3. 産出活動名「残念なお知らせメール」。学習者が、自分の学校・アルバイト先・サークルで起こりそうな変更(行事の中止・時間の変更・会場の変更)を一つ決め、事情 → 決まったこと(〜ざるを得ない)→ おわび → 代わりの案の順で、4〜5文のお知らせを書く。教師は、せざる・こざるの形、ない形から「ない」を取って付けているか、喜んでしたいことに使っていないか、事情の文が前にあるかを見て直す。

つまずきと手当て

  • 「*しざるを得ない」「*来(き)ざるを得ない」と言う。「する」は「せざる」、「来る」は「こざる」と読む、と板書の赤字で固定する
  • 「*行かなざるを得ない」「*行かないざるを得ない」と、「ない」を残したまま付ける。ない形から「ない」を取った形(行か・食べ)に付ける、と変換の手順を声に出して確かめる
  • 自分が喜んでしたいことに使う。「好きな歌手のコンサートだから、行かざるを得ない」は、本当は行きたくないのに仕方なく行く、と聞こえる(わざと冗談で言うことはある)。うれしい気持ちなら「行くしかない」「行かないわけがない」などにする
  • 「〜ないわけにはいかない」と区別できない。どちらも結局するが、「ないわけにはいかない」は義理・立場・常識から「しないのは許されない」、「ざるを得ない」は状況の上でほかの道が残っていない、という気持ちで使われることが多い

既習の文型との違い

  • 〜しかない(初中級 第14課)どちらも「ほかに選べる道がない」という意味で近い形です。「〜しかない」は辞書形に付き、会話でふつうに使います。「〜ざるを得ない」はない形に付き、硬く、残念だが仕方がないという気持ちがはっきり出ます。友達との会話で「終電がないから、歩かざるを得ないね」と言うと大げさに聞こえるので、場面で選ばせます。
  • 〜ないわけにはいかない(初中級 第4課)どちらも結局はする、という点は同じです。「〜ないわけにはいかない」は、義理・立場・常識から見て「しないのは許されない」という気持ち(友達の結婚式だから行かないわけにはいかない)、「〜ざるを得ない」は状況の上でほかの道が残っていない、という気持ち(台風だから中止せざるを得ない)で使われることが多いです。学習者が「台風なので、中止しないわけにはいきません」と言ったら、誰に対する義理なのかを聞いて、事情の問題なら「ざるを得ない」が合うと気づかせます。
関連する文型

学習項目 2 〜かねる

意味・はたらき学習項目 2

しようとしても、したい気持ちがあっても、自分の立場や気持ち、その場の事情から見て、することができないことを表します。能力が足りなくてできないのではなく、「するのは適当ではない」「責任が持てない」という判断なので、客や目上の人の頼みを丁寧に断るときに「〜しかねます」の形で多く使われます(「お答えしかねます」「お引き受けいたしかねます」「分かりかねます」)。「できません」より柔らかく、店・窓口・ビジネスのメールでの決まった言い方として覚えさせます。もう一つ、「決めかねる」「言い出しかねる」のように、気持ちが決まらなかったり、ためらったりして、なかなかできない、という使い方もあり、課の題の「決めかねていました」はこちらです。第35課の「〜かねない」は「かねる」の否定の形ですが、意味は「できる」ではなく「(悪いことが)起こるかもしれない」になるので、続けて学ぶときに必ず並べて整理します。

接続

Vます形(「ます」を取った形)+かねる(「かねる」はグループⅡの動詞と同じ活用: かねます・かねました・かねて。丁寧な断りは「お/ご〜しかねます」「〜いたしかねます」)

形
Vます形 かねる(決めかねる・言い出しかねる)お/ご〜しかねます(お答えしかねます・ご案内しかねます)〜いたしかねます(お引き受けいたしかねます・お受けいたしかねます)分かりかねます(客に向けた丁寧な「分かりません」)

導入

  • 店員の寸劇学生に客の役をさせ、「この商品、あしたまでに届けてもらえますか」と言わせる。教師は店員になって頭を下げ、「申し訳ございません。あしたのお届けはお約束いたしかねます」と答える。「店員は『できません』と言いましたか」と聞き、言わずに断っていること、届ける力がないのではなく店の立場として約束できないのだということを確かめる。
  • 「できません」と並べる「お答えできません」と「お答えしかねます」を板書し、どちらが柔らかく聞こえるかを聞く。後ろの文には「答えたい気持ちはあるが、立場の上で答えられない」という気持ちが入るので、相手が受け取りやすいと整理する。最後に、迷っていてなかなか決められないときの「決めかねる」を課の題と結びつけて見せる。

板書案

Vます + かねる (立場・気持ちの上で できない)
お答えできません → 〔赤〕お答えしかねます
申し訳ございませんが、ほかのお客様のお名前はお教えいたしかねます。
〔青〕決めかねる(迷って、なかなか決められない)
〔赤〕かねます = できない ⇔ かねません(第35課)= 〜かもしれない

場面と発話(自作)

  • ホテルのフロントで、宿泊客が、ほかの客の部屋番号を教えてほしいと言ってきた。申し訳ございません。ほかのお客様のお部屋番号はお教えいたしかねます。
  • 家電の修理受付の担当者が、修理がいつ終わるかを電話で聞かれた。部品の届く日がまだ決まっていない。部品の到着日がまだ決まっておりませんので、現時点では分かりかねます。
  • 大学院に進むか、国に帰って就職するかで迷っている留学生が、先生の研究室に相談に来た。どちらにも良いところがあって、ずっと決めかねているんです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

客の頼みのカード(返品したい・値引きしてほしい・予約の日を変えたい・ほかの客の連絡先を知りたい)を引かせ、店員役が「申し訳ございません。〜は〜かねます」で断る。断ったあとに理由を一文、代わりの案を一文(「〜でしたら、ご案内できます」)足させ、断りだけで終わらせない。

  1. 口頭教師が「〜できません」の文カードを見せ、全体で「〜しかねます」に言い換える(お答えできません → お答えしかねます/お引き受けできません → お引き受けいたしかねます/分かりません → 分かりかねます/変更できません → 変更いたしかねます)。慣れたら前に「申し訳ございませんが」を付けて一人ずつ言わせ、頭を下げる動作も一緒に練習する。最後に、二つの服の前で考えこむ人の絵で「決めかねている」を言わせ、二つの使い方を分けて口に慣らす。
  2. ペアA は客、B は店員か窓口の係。A は頼みのカード(返品したい・値引きしてほしい・予約の日を変えたい・ほかの客の電話番号を知りたい)を読み、B はカードの裏の「店の決まり」を見て、できない頼みだけを「〜かねます」で断り、できる頼みは「かしこまりました」で受ける。どれが断られる頼みかは B にしか分からないので、A はよく聞いて反応する。断ったら代わりの案を一つ出させ、カード4枚で役を交替する。
  3. 産出活動名「窓口お断りロールプレイ」。学習者が自分のアルバイト先や国の店を思い浮かべ、よく来る困った頼みを一つ考えて、客と店員の短い会話(5〜6往復)を作って演じる。教師は、ます形に付けているか、「かねます」と「かねません」を取り違えていないか、能力の上でできないことに使っていないか、断りのあとに理由と代わりの案があるかを見て直す。

つまずきと手当て

  • 「*決めるかねる」「*決めてかねる」と、辞書形やて形に付ける。前はます形(決め・答え・引き受け)、と板書で形を固定する
  • 「かねます」と「かねません」を取り違える。「その条件ではお引き受けしかねません」と言うと、「引き受けてしまうかもしれない」という逆の意味に聞こえる。断るときは「かねます」、悪いことが起こるおそれは第35課の「かねない」と、2行で並べて確かめる
  • 体や能力の上で本当にできないことに使う。「泳ぎ方を知らないので、泳ぎかねます」は不自然で、その場合は「泳げません」と言う。「かねる」は立場や気持ちの上でできないときの形だと伝える
  • 「できかねます」をよく耳にするが、「できる」と「かねる」が重なっているとして避けたほうがよいとする考えもある。教室では「いたしかねます」「お〜しかねます」を先に教える

既習の文型との違い

  • 可能表現(初級Ⅱ 第22課)「〜できません」「〜られません」は、能力の上でも条件の上でも立場の上でも使える広い言い方で、客に向けるとまっすぐで強く聞こえます。「〜かねる」は立場や判断の上でできないときにだけ使い、能力の不足には使いません。泳げないことを「泳ぎかねます」とは言わないので、「力がない?立場が許さない?」と聞いて選ばせます。
  • 〜わけにはいかない(第23課)どちらも事情があってできないことを表します。「〜わけにはいかない」は、自分の気持ちや社会の常識から見て「するのは許されない」と話し手の判断を述べる形で、会話でもよく使います。「〜かねる」は客や目上の人の頼みを丁寧に断る決まった言い方として使うことが多く、客に「お教えするわけにはいきません」と言うと、理由を突きつけるような固い感じになりやすいです。
関連する文型

学習項目 3 〜ようがない

意味・はたらき学習項目 3

その動作をする方法・手段がないことから、したくても、どうやってもすることができない、という意味を表します。「よう」は「やり方」のことで、「書きよう」は「書き方」とほぼ同じです。できない理由が、やる気や立場ではなく、手がかり・材料・方法がそろっていないことにあるのがこの形の特徴で、「連絡先が分からないので、連絡しようがない」「壊れ方がひどくて、直しようがない」のように、前に理由を置いて使います。「言いようがない」「たとえようがない」は、言葉で表す方法が見つからないほど程度がすごい、という決まった言い方です。「〜ようもない」とすると少し強くなります。話し言葉の「しょうがない(=しかたがない)」は、もとは「しようがない(する方法がない)」から来た言い方とされ、第23課の「〜てしょうがない」とつなげて紹介できます。

接続

Vます形(「ます」を取った形)+ようがない(「する」の動詞は「連絡しようがない」のほかに「連絡のしようがない」とも言う。丁寧には「〜ようがありません」)

形
Vます形 ようがない(直しようがない・探しようがない)Nの しようがない(連絡のしようがない・返事のしようがない)言いようがない/たとえようがない(言葉にできないほど)Vます形 ようもない(少し強めの言い方)

導入

  • かぎをなくした絵閉まったドアと、からっぽの手の絵を見せ、教師が「家のかぎをなくしました。合いかぎもありません。家族は旅行中です。ドアを開けたい。でも…」と話す。学生から「開けられない」を引き出したあと、「開け方がない = 開けようがない」と板書し、「よう」が「方法」の意味だと確かめる。
  • できない理由を比べる「時間がないので、行けない」と「住所が分からないので、行きようがない」を並べ、「行く方法が分からないのはどちらですか」と聞く。後ろの文は、時間があっても方法がないからできない、と確かめ、前に「〜ので」で手がかりの不足を置く形を練習につなぐ。

板書案

Vます + ようがない (やり方・方法が ない)
書き方 = 書きよう  開け方がない = 〔赤〕開けようがない
連絡先が分からないので、連絡のしようがない。
〔青〕読みにくい(方法はある) ⇔ 読みようがない(方法がない)
〔赤〕ます形に付ける:探し + ようがない(「探そう」ではない)

場面と発話(自作)

  • 駅の忘れ物係で、留学生が、かばんの特徴を聞かれて「黒いかばんです」としか言えなかった。駅員が答える。黒いかばんというだけでは探しようがないので、何か目印はありませんか。
  • パソコンの修理店で、店員が客に、壊れたデータの説明をする。データが入っていた部分が壊れていて、元に戻しようがないんです。
  • 旅行から帰った留学生が、日本語の先生に富士山で見た朝日の話をする。頂上から見た朝日は、言葉では言いようがないほどきれいでした。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「困った状況」のカード(相手の連絡先を知らない・説明書をなくした・手がかりが何もない・壊れ方がひどい)を引かせ、「〜ので、〜ようがない」の一文を作らせる。聞いた学生は「じゃあ、〜てみたらどうですか」と方法を一つ提案し、方法が見つかれば「〜ようがない」が「〜られる」に変わることを確かめる。

  1. 口頭教師が困った状況の絵と動詞を組み合わせたキューを出す(「住所が分からない・行く」→「住所が分からないので、行きようがない」/「部品がない・直す」→「部品がないので、直しようがない」/「名前も顔も知らない・探す」→「名前も顔も知らないので、探しようがない」/「電話番号を知らない・連絡する」→「連絡のしようがない」)。全体で言ってから一人ずつ当てる。「する」の動詞は「連絡しようがない」「連絡のしようがない」の両方で言わせる。
  2. ペアA は困ったことのカード(なくした物・壊れた物・分からないこと)を持ち、状況を説明して「〜ようがないんです」と言う。B は解決の方法を一つ提案する(「〜てみたらどうですか」)。A のカードの裏には使える方法と使えない方法が書いてあり、使えない方法なら「それも〜ようがないんです。〜からです」と理由を添えて返す。提案を2回したら役を交替する。
  3. 産出活動名「お手上げ相談室」。学習者が、自分が実際に困った経験(物をなくした・連絡が取れなかった・説明が分からなかった)を一つ思い出し、何がなくてどうにもできなかったかを「〜ので、〜ようがなかった」を入れて3〜4文で話す。聞き手は「そのあと、どうしましたか」と一つ質問する。教師は、ます形に付けているか(意向形と混ぜていないか)、方法はあるのに難しいだけのことに使っていないかを見て直す。

つまずきと手当て

  • 意向形と混ぜて「*探そうがない」「*行こうがない」と言う。前はます形(探し・行き)で、「する」の動詞だけは「しよう」と意向形と同じ形に見えるので、学生が混乱しやすい、と板書で並べて見せる
  • 方法はあるが難しいだけのことに使う。「字が小さくて読みにくい」と「字が消えていて読みようがない」を並べ、読む方法が残っているなら「〜にくい」、まったく残っていないなら「〜ようがない」と区別させる
  • 「どうしようもない」を「〜ようがない」の一つとして文字どおりに取る。「どうしようもない」は「手の打ちようがない」のほかに、「どうしようもない人」のように、ひどくて困る、という評価にも使う決まった言い方だと一言添える

既習の文型との違い

  • 〜やすいです/〜にくいです(初級Ⅰ 第9課)「〜にくい」は、方法はあるが手間や難しさがあることを表し、「〜ようがない」は方法そのものがないことを表します。「字が小さくて読みにくい」と「字が消えていて読みようがない」を並べると違いが見えます。難しいだけのことに「〜ようがない」を使うと大げさに聞こえるので、「方法は残っていますか」と聞いて選ばせます。
  • 可能表現(初級Ⅱ 第22課)「〜られない」「〜できない」は理由を問わず広く使えます。「〜ようがない」は、できない理由が方法や手がかりの不足にあることをはっきり示す形です。時間がなくて行けないことを「行きようがない」と言うと合わないので(方法の問題ではないため)、前に置く理由の文が「分からない」「ない」で方法の不足を言っているかを確かめさせます。
関連する文型

学習項目 4 〜あまり

意味・はたらき学習項目 4

ある気持ちや状態の程度が強すぎたために、ふつうではない、多くは望ましくない結果になってしまったことを表します。前に来るのは、驚き・喜び・心配・緊張・悲しさのような気持ちの名詞や、心配する・急ぐ・気にするのような動詞、まじめだ・慎重だのようなな形容詞です。後ろには、その結果として自分では止められなかったこと(声が出なくなる・泣いてしまう・失敗する・眠れない)が来るので、この課では、思うようにできなかった理由を、気持ちの強さのせいにして説明する言い方として使います。作文やスピーチ、改まった話で使われることが多く、話し言葉では「〜すぎて」がふつうです。副詞の「あまりに(も)〜」や「あまり〜ない」と形は似ていますが、働きは違います。

接続

Nの/Vる・Vた/な形な+あまり(い形容詞は「うれしさのあまり」「悲しさのあまり」のように名詞の形にすることが多い。「〜あまりに」とも言う)

形
Nの あまり(緊張のあまり・喜びのあまり)Vる あまり(気にするあまり・急ぐあまり)な形な あまり(まじめなあまり・慎重なあまり)い形 → 名詞の形にして(うれしさのあまり・悲しさのあまり)

導入

  • 「〜すぎて」から書き換える「スピーチのとき、緊張しすぎて、自分の名前を忘れてしまった」を板書し、その下に「緊張のあまり、自分の名前を忘れてしまった」と書き換えて見せる。意味はほぼ同じで、作文やスピーチなら後ろの文が合う、と確かめる。「緊張」「の」「あまり」を色分けし、名詞のあとは「の」が要ることを示す。
  • 後ろを空けて考えさせる「喜びのあまり、__」「心配のあまり、__」「急ぐあまり、__」と後ろを空けて板書し、学生に入れさせる。「泣いた」「眠れなかった」「忘れ物をした」などが出たら、どれも自分で止められなかった結果だと確かめ、「__しよう」「__してください」は入らないことを示す。

板書案

気持ちが 強すぎて → 思わない結果
Nの + あまり  Vる + あまり
緊張しすぎて、名前を忘れた。→ 〔赤〕緊張のあまり、名前を忘れた。
〔青〕うれしい → うれしさのあまり(い形は名詞の形にして)
〔赤〕後ろに来ない:〜しましょう/〜てください(もう起きた結果だけ)

場面と発話(自作)

  • スピーチ大会で入賞した留学生が、そのときのことを作文に書く。名前を呼ばれた瞬間、うれしさのあまり涙が止まらなかった。
  • 入社したばかりの社員が、初めての電話応対の失敗を先輩に話す。間違えないようにと気にするあまり、相手の名前を聞き忘れてしまいました。
  • 子育ての講演会で、講師が保護者に話す。子どもを心配するあまり、何でも親が決めてしまうと、子どもが自分で考える機会が減ってしまいます。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「気持ち」のカード(緊張・喜び・心配・驚き・慎重)と「結果」のカード(手が震えた・眠れなかった・決められなかった・泣いてしまった)を組み合わせ、自然な一文を作らせる。そのあと、友達との会話の「〜すぎて」の文を、作文の一文として「〜あまり」に書き直させる。

  1. 口頭教師が表情の絵(顔を真っ赤にした人・泣いている人・青い顔の人・飛び上がっている人)を見せ、全体で前半だけ「緊張のあまり」「悲しさのあまり」「心配のあまり」「喜びのあまり」と言わせる。次に前半と結果のカード(声が出なかった・涙が止まらなかった・眠れなかった・大声を出した)を組み合わせて一人ずつ一文にする。最後に教師が「〜すぎて」の文を言い(急ぎすぎて忘れ物をした)、学習者が「急ぐあまり、忘れ物をした」と書き換える逆の練習を入れる。
  2. ペアA が思い出の質問をする(いちばん緊張したのはいつですか/いちばんうれしかったのは何ですか/びっくりして何かしてしまったことはありますか)。B は会話の口調で「〜すぎて」で答える。A はそれを聞いて、作文の一文として「〜あまり」に直して言い、B が自分の話と合っているかを確かめる。質問3つで役を交替する。
  3. 産出活動名「あの日の自分 作文」。自分がとても緊張した・うれしかった・驚いた日を一つ選び、「〜のあまり」か「〜るあまり」を1回入れて、100〜150字の短い作文を書く。書いたらペアで読み合い、どの気持ちがどんな結果を生んだかを一言で言い返す。教師は、名詞のあとの「の」、後ろがもう起こってしまった結果になっているか、気持ちの程度が十分に強い場面かを見て直す。

つまずきと手当て

  • 名詞のあとの「の」を落として「*緊張あまり」「*心配あまり」と言う。名詞は「Nのあまり」、動詞は辞書形のまま、と板書で接続を固定する
  • 後ろに意志・命令・誘いを置く(「*緊張のあまり、深呼吸しましょう」)。後ろはもう起こってしまった、自分では止められなかった結果、と導入の空欄の練習に戻す
  • 「あまり〜ない」と混ぜて、「緊張のあまり」を「あまり緊張しない」の意味に取る。「Nの」や動詞のあとに来る「あまり」は「強すぎて」の意味、と2つの文を並べて確かめる
  • 少しの気持ちや、ふつうの結果に使う。「少し驚いたあまり、目が覚めた」は不自然。程度がとても強く、結果もふだんとは違うときの形だと伝える

既習の文型との違い

  • 〜すぎます(初級Ⅱ 第29課)「〜すぎて」は話し言葉で広く使え、気持ちだけでなく値段・量・大きさにも使います(高すぎて買えない)。「〜あまり」は気持ちや状態が強すぎたことに使い、作文やスピーチの硬さがあります。値段について「高いあまり、買えなかった」と言うと不自然なので、前に来るのが気持ちや人の態度(緊張・心配する・慎重だ)かどうかで選ばせます。
  • 〜てたまらない(第23課)「〜てたまらない」は、気持ちが強いこと自体を言う形で、今の気持ちの説明によく使います(会いたくてたまらない)。「〜あまり」は、その強い気持ちのせいで起きた結果まで言います。「緊張してたまらなかった」は気持ちだけ、「緊張のあまり、声が出なかった」は結果まで、と2つを並べて違いを見せます。
関連する文型

学習項目 5 〜がたい

意味・はたらき学習項目 5

初中級の第20課で学んだ「〜がたい」を、この課ではできないことを丁寧・硬く言う語として使います。「〜するのが難しい」という形ですが、実際には「気持ちの上で、とてもそうはできない」という意味で、信じる・理解する・許す・受け入れる・認める・忘れる・想像する・耐えるのような、心の働きを表す動詞に付くことがほとんどです。体や技術の上で難しいことには「〜にくい」を使います。「その条件は受け入れがたい」「成功とは言いがたい」のように、相手の案や結果を直接「だめだ」と言わずに、受け入れることが難しいと評価する形で否定できるので、会議・交渉・意見文で角を立てない否定になります。名詞の前で「忘れがたい思い出」「得(え)がたい経験」のようにも使い、「ありがたい」ももとは「有り難い(めったにない)」から来た言葉です。

接続

Vます形(「ます」を取った形)+がたい(い形容詞と同じ活用: がたかった・がたくて・がたく。名詞の前にもそのまま付く)

形
Vます形 がたい(理解しがたい・許しがたい・受け入れがたい)Vます形 がたい+N(忘れがたい思い出・耐えがたい暑さ)〜とは言いがたい(とても〜とは言えない)得がたい(えがたい。なかなか手に入らない、貴重だ)

導入

  • 初中級の復習と「にくい」との比べ「この箸は短くて使いにくい」と「彼がうそをついたとは想像しがたい」を並べ、どちらが体の難しさで、どちらが心の難しさかを聞く。初中級で学んだとおり、「がたい」は心の働きの動詞に付くことを思い出させ、「理解する・許す・受け入れる・忘れる」を板書の左に集めておく。
  • 会議の否定を言い換える取引先の無理な条件の例を見せ、「その条件はだめです」「その条件は受け入れられません」「その条件は受け入れがたいです」を順に板書し、会議でいちばん角が立たないのはどれかを聞く。後ろの文は、相手を責めずに「受け入れることが難しい」と評価している、と確かめ、「〜とは言いがたい」も同じ働きの形として加える。

板書案

Vます + がたい (心の上で 〜するのが難しい)
〔青〕信じ・理解し・許し・受け入れ・忘れ + がたい
その条件は受け入れがたいです。 この結果が成功だとは言いがたい。
〔赤〕体・技術の難しさ → 〜にくい(上りにくい坂)
かねる = 自分の行動を断る / がたい = ものごとを評価する

場面と発話(自作)

  • ゼミの討論で、学生がほかの班の調査結果に意見を言う。アンケートの回答が20人分しかない。回答の数が少ないので、この結果がクラス全体の意見だとは言いがたいと思います。
  • 取引先から、納期を半分にしてほしいと言われた担当者が、上司に報告する。今の工場の人数では、あの条件は受け入れがたいです。
  • 留学を終えて国に帰る学生が、送別会であいさつをする。ここで過ごした一年は、わたしにとって忘れがたい思い出になりました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

相手の意見や案のカード(会議の新しい決まり・友達の計画・ニュースの説明)を見せ、「〜は〜がたいです。なぜなら〜からです」と理由を添えて否定させる。次に同じ場面で、自分が頼まれたことを断るなら「〜しかねます」、相手の案を評価するなら「〜がたい」と、学習項目2と言い分けさせる。

  1. 口頭教師が心の働きの動詞カード(信じる・理解する・許す・受け入れる・忘れる・想像する)を見せ、全体で「〜がたい」に変えてから一人ずつ当てる。次に名詞を付けて「忘れがたい思い出」「信じがたい話」「許しがたいこと」と名詞の前の形を言わせる。最後に「にくい」と「がたい」を選ぶキューを出す(この字は小さくて読み_/あの人がうそをついたとは信じ_/この坂は急で上り_)。どちらかを手を挙げて選ばせ、理由を一言で言わせる。
  2. ペア会議の場面。A が提案カードを読み上げる(毎朝7時に集まる・旅行の費用を倍にする・宿題を毎日10枚にする)。B は「〜は〜がたいです。〜からです」か「〜とは言いがたいと思います」で、理由を添えて反対する。A は一度だけ「でも、〜ですよ」と押し返し、B はもう一つ理由を足す。カード3枚で役を交替する。
  3. 産出活動名「やんわり反対会議」。4人のグループで、クラスの小さな決まり(教室の掃除の当番・遠足の行き先)を一つ決める話し合いをする。だれかの案に反対するときは「〜がたい」「〜とは言いがたい」、頼まれた役を断るときは「〜かねます」を使うことにする。教師は、ます形に付けているか、体や技術の難しさに使っていないか、「かねる」との使い分け、相手を責める言い方になっていないかを見て直す。

つまずきと手当て

  • 「*理解するがたい」「*受け入れるがたい」と辞書形に付ける。前はます形(理解し・受け入れ)、と板書で形を固定する
  • 体や技術の難しさに使う。「この坂は急で上りがたい」「この魚は骨が多くて食べがたい」は不自然で、「上りにくい」「食べにくい」にする。「がたい」は心が受け入れにくいとき、と板書の左の動詞の列に戻す
  • 「〜かねる」との区別があいまいになる。「かねる」は自分がこれからする行動を立場の上で断る形(お引き受けしかねます)、「がたい」はものごとや相手の考えを受け入れにくいと評価する形(その案は受け入れがたい)。「断る?評価する?」と聞いて選ばせる
  • 友達とのくだけた会話で使って、硬く聞こえる。誤りではないが、会話では「信じられない」「納得できない」のほうが自然なことが多い

既習の文型との違い

  • 〜がたい(初中級 第20課)初中級では「〜がたい」の形と、心の働きの動詞に付くことを学びました。この課では同じ形を、相手の案や結果を直接「だめだ」と言わずに否定する言い方として使います。形は同じなので、新しいのは使う場面(会議・意見文)と目的(角を立てない否定)だと伝えます。
  • 〜やすいです/〜にくいです(初級Ⅰ 第9課)「〜にくい」は、体や技術の上の難しさにも心の上の難しさにも使えるふつうの言い方です(使いにくい・信じにくい)。「〜がたい」は心の働きの動詞にほぼ限られる硬い形です。学習者が「この坂は上りがたい」と言ったら、心の問題かどうかを聞いて「上りにくい」に直させます。
関連する文型

語彙の扱い

この課では、断りや否定の前に置くクッションの言葉(申し訳ございませんが・あいにく・恐れ入りますが・せっかくですが)と、理由を言う言葉(〜の都合で・決まりで・〜ため)を板書の端に集めておくと、5つの形をそのまま場面で使わせやすくなります。「〜がたい」の前に来る心の働きの動詞(理解する・許す・受け入れる・認める・忘れる・想像する)はカードにして、「〜にくい」の前に来る体の動作の動詞と分けて並べておきます。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • 事情(じじょう) あることが起こった理由や、その人のまわりの様子のことです。 〜がある・家の〜・〜を説明する
    来月のアルバイトを減らしたい理由を、店長に聞かれた。
    家の事情で、来月はシフトを減らさざるを得ないんです。
  • 中止する(ちゅうしする) 予定していたことを、やめて行わないことにします。 試合を〜・旅行を〜・雨で〜になる
    大雨の予報が出た朝、運動会の係が保護者に連絡する。
    大雨のため、運動会は中止せざるを得なくなりました。
  • 引き受ける(ひきうける) 頼まれた仕事や役を、自分がすると言って受けます。 仕事を〜・役を〜・代表を〜
    客から、あしたまでには終わらない量の仕事を頼まれた。
    申し訳ございませんが、あしたまでのお仕事はお引き受けいたしかねます。
  • あいにく(あいにく) 相手の期待に沿えなくて残念だ、という気持ちで、断りの前に付ける言葉です。 〜ですが・〜の雨・〜その日は
    先輩から週末の食事に誘われたが、その日は予定がある。
    あいにくその日はアルバイトがあって、行けないんです。
  • 手がかり(てがかり) 分からないことを調べたり、なくした物を探したりするときの、もとになる情報です。 〜がない・〜をつかむ・〜になる
    落とした財布のことを交番で話す。
    どこで落としたか全然分からないので、手がかりがなくて探しようがないんです。
  • 連絡先(れんらくさき) 電話番号やメールアドレスなど、その人に連絡するための情報です。 〜を教える・〜が分からない・〜を交換する
    旅行先で親切にしてくれた人にお礼を言いたいと、友達に話す。
    連絡先を聞かなかったから、お礼の伝えようがないんだ。
  • 緊張(きんちょう) 大事な場面の前などで、心や体が固くなることです。 〜する・〜のあまり・〜がとける
    面接が終わった留学生が、先生に報告する。
    緊張のあまり、準備した答えを忘れてしまいました。
  • 迷う(まよう) どちらにするか決められずに、あれこれ考えます。 進路に〜・AかBか〜・道に〜
    二つの大学から合格の知らせが来た。
    どちらの大学に行くか迷っていて、まだ決めかねています。
  • 受け入れる(うけいれる) 人の考えや頼み、条件などを、それでよいと認めて受けます。 条件を〜・意見を〜・留学生を〜
    会議で、取引先から出された新しい値段について話す。
    この値段では、その条件は受け入れがたいです。
  • 納得する(なっとくする) 人の説明や理由がよく分かって、それでいいと思います。 説明に〜・〜がいく・〜できない
    テストの点が思ったより低かったので、先生に理由を聞きに行った。
    その理由だけでは、ちょっと納得しがたいんですが…。
  • 認める(みとめる) 本当はそうしたくなくても、事実だとして受け入れます。 負けを〜・間違いを〜・〜ざるを得ない
    試合に負けたチームのキャプテンが、インタビューに答える。
    相手のほうが強かったと認めざるを得ません。

宿題と次のコマ

宿題は、頼まれたことを断るメールを一通書くこと(場面は、アルバイト先からシフトを増やしてほしいと頼まれた・サークルの代表を頼まれた・先輩に引っ越しの手伝いを頼まれた、から一つ選ぶ)。「〜かねます」「〜ざるを得ない」「〜ようがない」のうち2つ以上を使い、断り・理由・代わりの案・相手への気づかいの4つを入れて、150〜250字で書かせる。次のコマの最初にペアで読み合い、相手のメールのどの文が「事情」「立場」「方法」のどれを理由にしているかを言い、角が立たなかったかを一言で評価して振り返ります。

よくある質問

  • 「〜かねる」と「〜がたい」はどう教え分ければいいですか?

    「〜かねる」は、頼まれたことを自分がするかどうかについて、立場の上でできないと断る形です(お引き受けしかねます)。「〜がたい」は、相手の案やものごとを、心の上で受け入れにくいと評価する形です(その案は受け入れがたい)。教室では「断る?評価する?」と一言で聞いて選ばせ、まとめの表では「誰の行動か」の列で分けると混ざりにくくなります。

  • 「〜ざるを得ない」と「〜しかない」の違いはどう説明しますか?

    意味はどちらも「ほかに選べる道がない」で近いです。違いは硬さと気持ちで、「〜しかない」は会話でふつうに使い、「〜ざるを得ない」はお知らせ・会議・作文で使われ、残念だが仕方がないという気持ちがはっきり出ます。同じ内容を友達への一言とお知らせのメールの二通りで言わせると、学習者が耳で違いをつかめます。

  • 第25課の「〜かねる」と第35課の「〜かねない」は一緒に教えたほうがいいですか?

    第25課では「〜かねない」は一言予告するだけにし、深く扱うのは第35課でよいです。ただし学習者が「お引き受けしかねません」と言うと「引き受けてしまうかもしれない」という逆の意味に聞こえるので、板書には「かねます=できない」「かねません=〜かもしれない」の2行を最初から並べておきます。第35課に入るときにこの板書を見せ直すと、つながりがはっきりします。

  • 「〜ようがない」と「〜にくい」の違いは?

    「〜にくい」は方法はあるが難しいこと、「〜ようがない」は方法そのものがないことを表します。「字が小さくて読みにくい」と「字が消えていて読みようがない」を並べ、「方法は残っていますか」と聞くと区別させやすくなります。「〜ようがない」は前に「〜が分からないので」「〜がないので」のような手がかりの不足を置いて練習させます。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は導入と「〜ざるを得ない」「〜かねる」「〜ようがない」まで、2コマ目は「〜あまり」「〜がたい」と5つの形の整理、断りのロールプレイ、まとめです。硬い形が続く課なので、2コマ目の初めに1コマ目の3つの形を場面カードで短く言い直させてから進むと、ロールプレイで形が出やすくなります。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。